cedec 2007 imagire day 最新世代機に関わる技術トラック
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シリコンスタジオ株式会社 技術資料 http://www.siliconstudio.co.jp/presentations/TRANSCRIPT
CEDEC 2007
Imagire Day 1
CEDEC 2007
Imagire Day最新世代機に関わる技術トラック
CEDEC 2007
Imagire Day 2
レンダリストのためのレンダリストのためのカメラ(光学)理論とポストエカメラ(光学)理論とポストエ
フェクト フェクト 川瀬 正樹川瀬 正樹
シリコンスタジオ株式会社シリコンスタジオ株式会社ソフトウェア開発部ソフトウェア開発部
Imagire Day 3
コンテンツコンテンツ
• ゲームにおけるHDRゲームにおけるHDR• トーンマップトーンマップ• レンズの仕組みとボケの表現レンズの仕組みとボケの表現
– レンズの基本レンズの基本– 焦点距離とフィルムサイズと画角焦点距離とフィルムサイズと画角– 収差とボケ味収差とボケ味– 口径蝕とケラレ口径蝕とケラレ
• 人間の眼とカメラレンズとCGと像面歪曲人間の眼とカメラレンズとCGと像面歪曲• 光芒(光条)光芒(光条)• 小手先テクニックとアドバイス小手先テクニックとアドバイス
– 複合ガウスフィルタ(MGF)複合ガウスフィルタ(MGF)– 非同期GPUフィードバック非同期GPUフィードバック– カメラの画角とCGの画角カメラの画角とCGの画角– エンジニアの陥りがちな罠エンジニアの陥りがちな罠
• 今後の展望今後の展望
CEDEC 2007
Imagire Day 4
ゲームにおけるHDRゲームにおけるHDR
Imagire Day 5
ゲームにおけるHDRの現状ゲームにおけるHDRの現状
• ここ数年でHDRという概念自体は一気に浸透ここ数年でHDRという概念自体は一気に浸透– 言葉だけなら多くの人が知っている言葉だけなら多くの人が知っている
• HDRを謳うタイトルは多いHDRを謳うタイトルは多い– 本質的なHDRレンダリングと言えるか本質的なHDRレンダリングと言えるか
• 現状あまりそうとは言えない現状あまりそうとは言えない• 正しく理解されていないことが多い正しく理解されていないことが多い
• 本質的なHDRとよべるタイトルは極めて少な本質的なHDRとよべるタイトルは極めて少ないい– ユーザがHDRと思い込まされているユーザがHDRと思い込まされている
Imagire Day 6
よくある誤解よくある誤解
• 明るい部分から光が溢れているのがHDR明るい部分から光が溢れているのがHDR– 擬似的なグレア=HDRという認識擬似的なグレア=HDRという認識– HDRに基づかないレンダリングに対するグレアHDRに基づかないレンダリングに対するグレア
• ソフトフォーカスに近い効果ソフトフォーカスに近い効果– ただし本当のソフトフォーカス表現にはHDRが必要ただし本当のソフトフォーカス表現にはHDRが必要
• 一般にHDRっぽいと思われている映像一般にHDRっぽいと思われている映像– 本当はHDRではないものが多い本当はHDRではないものが多い– 多くのユーザも誤解している多くのユーザも誤解している
• 誤った認識が広まっているのが現状誤った認識が広まっているのが現状
Imagire Day 7
なぜ誤った認識が広がるのかなぜ誤った認識が広がるのか
• グレアエフェクトはとにかく判りやすいグレアエフェクトはとにかく判りやすい– 見た目に変化が大きい見た目に変化が大きい
• ユーザの技術嗜好(特に海外)ユーザの技術嗜好(特に海外)– 新しい技術(言葉)を好む新しい技術(言葉)を好む– パブリッシャーや開発者が乗るパブリッシャーや開発者が乗る
• 本質をついたHDRでなくともユーザには判らない本質をついたHDRでなくともユーザには判らない– HDRという言葉だけが氾濫するHDRという言葉だけが氾濫する
Imagire Day 8
ゲームにおけるHDRの現状ゲームにおけるHDRの現状
• 一時のブーム化一時のブーム化– エフェクトとしてのHDRブームエフェクトとしてのHDRブーム
• HDRの概念の安売り状態HDRの概念の安売り状態
• そろそろ終焉を迎えつつあるそろそろ終焉を迎えつつある– ここ数年表現力があまり進化していないここ数年表現力があまり進化していない
• すでにありふれた映像表現になっているすでにありふれた映像表現になっている– 徐々に飽きられつつある徐々に飽きられつつある
• エフェクトとしてのHDRの不自然さエフェクトとしてのHDRの不自然さ• 画面がぼやけたような絵作り画面がぼやけたような絵作り
Imagire Day 9
HDRエフェクトの表現力HDRエフェクトの表現力
• 本当に綺麗な表現がなされているか?本当に綺麗な表現がなされているか?– 言葉に騙されていないか言葉に騙されていないか
• あまり効果的ではない使い方あまり効果的ではない使い方– 少数の非常に明るく小さい光源のグレア少数の非常に明るく小さい光源のグレア
• 太陽や街灯や車のヘッドライトのグレア太陽や街灯や車のヘッドライトのグレア• レガシーなスプライトによるレンズフレアの方が有効レガシーなスプライトによるレンズフレアの方が有効
– はるかに高速&ハイクォリティはるかに高速&ハイクォリティ
– HDRではない画像に対するグレアHDRではない画像に対するグレア• 拡散反射素材や日陰、人の顔などが輝いてしまう拡散反射素材や日陰、人の顔などが輝いてしまう• ソフトフォーカス的な演出として巧く利用するのはありソフトフォーカス的な演出として巧く利用するのはあり
– ファンタスティックな表現などファンタスティックな表現など
Imagire Day 10
レガシーな手法の方が向いている表現レガシーな手法の方が向いている表現
• スプライトによるレンズフレアスプライトによるレンズフレア
CEDEC 2007
Imagire Day 11
これからのHDRこれからのHDR
Imagire Day 12
これからのHDRこれからのHDR
• 画面がぼやけるグレア=HDRではない画面がぼやけるグレア=HDRではない• 今後はHDRの本質をついた表現が重要今後はHDRの本質をついた表現が重要
– 実際のところHDRとは何なのか実際のところHDRとは何なのか– どういった表現が効果的かどういった表現が効果的か
• 既存の情報に頼り過ぎないこと既存の情報に頼り過ぎないこと– リアルタイムCGで知られているHDRリアルタイムCGで知られているHDR
• 表面的なエフェクトの説明が多い表面的なエフェクトの説明が多い• 本質をついておらず、クォリティもあまり高くない本質をついておらず、クォリティもあまり高くない
– あまりゲーム向きでない表現もあるあまりゲーム向きでない表現もある• Reinhard Reinhard トーンマップは本当に有効かトーンマップは本当に有効か
Imagire Day 13
HDRの本質HDRの本質
• 明るさの対比明るさの対比– 特に重要なHDRの本質!!特に重要なHDRの本質!!– 屋外と屋内の明るさ屋外と屋内の明るさ– 日向と陰の明るさ日向と陰の明るさ– 昼と夜の明るさ昼と夜の明るさ– 拡散反射と鏡面反射(ハイライト)の明るさ拡散反射と鏡面反射(ハイライト)の明るさ
• クランプされないブラークランプされないブラー– 被写界深度処理のボケ表現被写界深度処理のボケ表現– モーションブラーモーションブラー
• 重要な要素だが非常に軽視されがち重要な要素だが非常に軽視されがち
Imagire Day 14
効果的な使い方効果的な使い方
• 実装上効果が大きい使い方実装上効果が大きい使い方
• グレアグレア– 非常に多数の光源非常に多数の光源– 面積または長さをもった光源(点以外)面積または長さをもった光源(点以外)– 反射光(間接光)反射光(間接光)
• 車のボディやビルの窓に反射した光源など車のボディやビルの窓に反射した光源など• 街灯やイルミネーションの反射街灯やイルミネーションの反射• 太陽の反射太陽の反射
• グレアは判りやすいがHDRの本質ではないグレアは判りやすいがHDRの本質ではない
Imagire Day 15
ハイライトの眩しさハイライトの眩しさ
Imagire Day 16
ハイライトの眩しさハイライトの眩しさ
Imagire Day 17
ハイライトの眩しさハイライトの眩しさ
Imagire Day 18
ハイライトの眩しさハイライトの眩しさ
Imagire Day 19
イルミネーションやクランプされない反射イルミネーションやクランプされない反射光光
Imagire Day 20
明るさの対比(ハイライトや空の明るさ)明るさの対比(ハイライトや空の明るさ)
Imagire Day 21
明るさの対比明るさの対比
Imagire Day 22
明るさの対比明るさの対比
Imagire Day 23
クランプされないブラー効果クランプされないブラー効果
Imagire Day 24
スプライトでは難しい表現(反射光のグレスプライトでは難しい表現(反射光のグレア)ア)
Imagire Day 25
現実のダイナミックレンジ現実のダイナミックレンジ
• 何となく想像されているよりもはるかに広い何となく想像されているよりもはるかに広い– 反射光やブラー画像でも充分な光量をもつ反射光やブラー画像でも充分な光量をもつ– 車のボディやガラスの反射:車のボディやガラスの反射:
• 鏡面反射率はせいぜい4%未満鏡面反射率はせいぜい4%未満• それでも反射光は充分に明るくまぶしいそれでも反射光は充分に明るくまぶしい• 腕時計の表面のガラスのまぶしさを思い出そう腕時計の表面のガラスのまぶしさを思い出そう
• ライティングやブラーにもっとHDRを活かそライティングやブラーにもっとHDRを活かそうう– 明るさの対比の重要性を認識しよう明るさの対比の重要性を認識しよう
• シーンを照らすライトの明るさの重要性シーンを照らすライトの明るさの重要性– 現状の多くのタイトルではまだまだ活かせていない現状の多くのタイトルではまだまだ活かせていない
• リアリティのある眩しい反射表現はほとんどないリアリティのある眩しい反射表現はほとんどない
CEDEC 2007
Imagire Day 26
トーンマップトーンマップ
Imagire Day 27
トーンマップトーンマップ
• HDR画像を出力デバイスレンジに変換するHDR画像を出力デバイスレンジに変換する– 通常はLDR(ローダイナミックレンジ)通常はLDR(ローダイナミックレンジ)
• 写真や実写映像写真や実写映像– 撮影や現像(プリント)/ビデオ出力などに相当撮影や現像(プリント)/ビデオ出力などに相当
Imagire Day 28
トーンマップの種類トーンマップの種類
• Reinhard Reinhard や対数変換が知られているや対数変換が知られている– リアルタイムCGでは リアルタイムCGでは Reinhard Reinhard がよく使われていがよく使われてい
るる
• Reinhard Reinhard トーンマップトーンマップ– 参照:参照:
• Reinhard, Erik, Mike Stark, Peter Shirley, and Jim Ferwerda. Reinhard, Erik, Mike Stark, Peter Shirley, and Jim Ferwerda. “Photographic Tone Reproduction for Digital Images”“Photographic Tone Reproduction for Digital Images”, 2002., 2002.
Imagire Day 29
Reinhard Reinhard トーンマップトーンマップ
Imagire Day 30
対数変換対数変換
Imagire Day 31
ReinhardReinhard や対数関数や対数関数
• 写真とは異なる写真とは異なる– 物理的根拠に基づくマッピングではない物理的根拠に基づくマッピングではない– 滑らかなレンジの圧縮が主目的滑らかなレンジの圧縮が主目的– 明るい部分の色調(色解像度)がつぶれにくい明るい部分の色調(色解像度)がつぶれにくい
• 白飛びしにくい白飛びしにくい– 全般的にコントラストが低くなる全般的にコントラストが低くなる
• 写真的な表現にはあまり向かない写真的な表現にはあまり向かない– 全体的におとなしい画像全体的におとなしい画像– 滑らかではあるがあまり美しくない滑らかではあるがあまり美しくない
Imagire Day 32
写真に近いトーンマップ写真に近いトーンマップ
• 感光のシミュレーション感光のシミュレーション– フィルムの感光の再現フィルムの感光の再現
• 簡易シミュレーション簡易シミュレーション– 参照:参照:
• Hugo, Hugo, “Exposure”“Exposure”
Imagire Day 33
簡易感光シミュレーション簡易感光シミュレーション
Imagire Day 34
写真に近いトーンマップ写真に近いトーンマップ
• 感光のシミュレーション感光のシミュレーション– 写実性を追及する場合に向いている写実性を追及する場合に向いている– 明るい部分の色調(色解像度)がつぶれやすい明るい部分の色調(色解像度)がつぶれやすい
• 白飛びが起こりやすい白飛びが起こりやすい• 実際の写真に近い実際の写真に近い
• フィルムは白飛びや暗い部分のつぶれがあるフィルムは白飛びや暗い部分のつぶれがある– 本来絵作りとしては歓迎されない性質本来絵作りとしては歓迎されない性質
Imagire Day 35
さまざまなトーンマップ関数さまざまなトーンマップ関数
簡易感光シミュレーション簡易感光シミュレーション
Reinhard Reinhard トーンマップトーンマップ
対数関数対数関数
線形マッピング(クランプ)線形マッピング(クランプ)
画像の明るさ
画像の明るさ
(マッピング結
(マッピング結
果)果)
エネルギー(光の強さ)エネルギー(光の強さ)
Imagire Day 36
線形マッピング(単純なクランプ)線形マッピング(単純なクランプ)
• 高輝度の色調は完全に高輝度の色調は完全に失われる失われる
Imagire Day 37
簡易感光シミュレーション簡易感光シミュレーション
• 高輝度の色調がある程高輝度の色調がある程度は残る度は残る
Imagire Day 38
Reinhard Reinhard トーンマップトーンマップ
Imagire Day 39
対数変換対数変換
• 高輝度の色調は残るが高輝度の色調は残るがコントラストがかなりコントラストがかなり低い低い
Imagire Day 40
リアルタイムCGのトーンマップリアルタイムCGのトーンマップ
• 感光のシミュレーションが向いている感光のシミュレーションが向いている– 簡易的なシミュレーションでも比較的良い結果簡易的なシミュレーションでも比較的良い結果
• 写真に近いためリアリティがある写真に近いためリアリティがある• 自然に見えやすい自然に見えやすい
– ReinhardReinhard や対数関数よりも線形に近いためや対数関数よりも線形に近いため– LDR化されないなら本来は線形がもっとも自然LDR化されないなら本来は線形がもっとも自然
• Reinhard Reinhard トーンマップなどは目的が異なるトーンマップなどは目的が異なる– 無根拠に利用するのは止めよう無根拠に利用するのは止めよう
Imagire Day 41
ReinhardReinhard トーンマップの使いどころトーンマップの使いどころ
• 事前トーンマップレンダリング事前トーンマップレンダリング– シーンレンダリング時にトーンマップシーンレンダリング時にトーンマップ– LDRバッファに出力LDRバッファに出力– ポストエフェクト時に逆トーンマップでHDR情報をデコードポストエフェクト時に逆トーンマップでHDR情報をデコード– 感光シミュレーションは不向き感光シミュレーションは不向き
• 高輝度部の情報がつぶれやすい高輝度部の情報がつぶれやすい• グレア生成などでエイリアスが発生しやすいグレア生成などでエイリアスが発生しやすい
– Reinhard Reinhard トーンマップが無難で向いているトーンマップが無難で向いている
– 参照:参照:• Kawase, Masaki, Kawase, Masaki,
“Practical Implementation of High Dynamic Range Rendering”“Practical Implementation of High Dynamic Range Rendering”, , in in GGDC2004, 2004.DC2004, 2004.
Imagire Day 42
対数関数の使いどころ対数関数の使いどころ
• LDRレンダリング結果に強制HDRエフェクトLDRレンダリング結果に強制HDRエフェクト– シーンレンダリングは完全にLDRシーンレンダリングは完全にLDR– ポストエフェクト時に逆トーンマップ(指数関数)でポストエフェクト時に逆トーンマップ(指数関数)で
HDR化HDR化– 手軽にそれらしい効果を加えたいときには有効手軽にそれらしい効果を加えたいときには有効
• 時代に逆行気味…時代に逆行気味…• HDRに詳しくない人にはまだ通用するHDRに詳しくない人にはまだ通用する
– 感光シミュレーションや 感光シミュレーションや Reinhard Reinhard は不向きは不向き• レンダリング結果はトーンマップを行っていないため、高輝レンダリング結果はトーンマップを行っていないため、高輝
度部分の色が不自然に変化しやすい度部分の色が不自然に変化しやすい
CEDEC 2007
Imagire Day 43
レンズの仕組みとボケの表現レンズの仕組みとボケの表現
Imagire Day 44
従来のボケ表現従来のボケ表現
• ガウスフィルタもしくはそれに似たフィルタガウスフィルタもしくはそれに似たフィルタ• 滑らかなボケ表現滑らかなボケ表現
– 中央が明るくエッジに向かって滑らかに減衰中央が明るくエッジに向かって滑らかに減衰• 実装が容易で高速実装が容易で高速
– x, y x, y に変数分離可能に変数分離可能• 2パスで効率よく処理できる2パスで効率よく処理できる
– または小規模なブラーの再帰適用または小規模なブラーの再帰適用• ピンポンブラーピンポンブラー
• 縮小バッファのエイリアスが目立ちにくい縮小バッファのエイリアスが目立ちにくい• Xbox Xbox や や PS2 PS2 など、DX8以前のハードウェアなど、DX8以前のハードウェア
– 当時としてはこのようなボケ表現が現実的だった当時としてはこのようなボケ表現が現実的だった
Imagire Day 45
ガウスフィルタによるボケ表現ガウスフィルタによるボケ表現
Imagire Day 46
ガウスフィルタによるボケ表現ガウスフィルタによるボケ表現
• 未だに広く利用されている未だに広く利用されている– 写真のボケとしては不自然な表現写真のボケとしては不自然な表現
• そろそろもっとリアルなピンボケを表現しようそろそろもっとリアルなピンボケを表現しよう– ガウスフィルタによるボケは時代遅れガウスフィルタによるボケは時代遅れ
Imagire Day 47
円形絞りのボケ表現円形絞りのボケ表現
Imagire Day 48
より自然なボケの表現へより自然なボケの表現へ
• フラットなボケ表現フラットなボケ表現– 円形や六角形円形や六角形– 写真のボケとして自然な表現写真のボケとして自然な表現
• 縮小バッファのエイリアスが目立ちやすい縮小バッファのエイリアスが目立ちやすい• 一般に低速一般に低速
– ガウスフィルタのような効率的な処理が難しいガウスフィルタのような効率的な処理が難しい• 実装にはさまざまな工夫が必要実装にはさまざまな工夫が必要
Imagire Day 49
ガウスフィルタによるボケ表現ガウスフィルタによるボケ表現
Imagire Day 50
円形のボケ表現円形のボケ表現
Imagire Day 51
六角形のボケ表現六角形のボケ表現
Imagire Day 52
フィルタによるボケ表現の違いフィルタによるボケ表現の違い
• ガウスブラーよりもフガウスブラーよりもフラットなボケの方がリラットなボケの方がリアリティがあるアリティがある
Imagire Day 53
フォーカス画像フォーカス画像
Imagire Day 54
ガウスフィルタによるボケ表現ガウスフィルタによるボケ表現
Imagire Day 55
円形のボケ表現円形のボケ表現
Imagire Day 56
ガウスフィルタによるボケ表現ガウスフィルタによるボケ表現
Imagire Day 57
円形のボケ表現円形のボケ表現
Imagire Day 58
六角形のボケ表現六角形のボケ表現
Imagire Day 59
ガウスフィルタによるボケ表現ガウスフィルタによるボケ表現
Imagire Day 60
円形のボケ表現円形のボケ表現
Imagire Day 61
これからのボケ表現これからのボケ表現
• ガウスフィルタは時代遅れガウスフィルタは時代遅れ– 写真のボケとしては不自然であることを認識しよう写真のボケとしては不自然であることを認識しよう
• よりフラットで自然なボケ表現よりフラットで自然なボケ表現– ピンボケのリアリティが大きく向上するピンボケのリアリティが大きく向上する– ボケの発生メカニズムを理解することボケの発生メカニズムを理解すること
• 詳しくは後述詳しくは後述
CEDEC 2007
Imagire Day 62
スキャッターベースのスキャッターベースのポストエフェクトポストエフェクト
Imagire Day 63
ギャザーベースとスキャッターベースギャザーベースとスキャッターベース
• 現在のポストエフェクトはギャザーベースが主現在のポストエフェクトはギャザーベースが主流流– 出力先ピクセルを確定出力先ピクセルを確定– 出力先に集まるべきピクセルをサンプリング出力先に集まるべきピクセルをサンプリング
• 極一部で使われ始めたスキャッターベース手法極一部で使われ始めたスキャッターベース手法– ソースとなるピクセルを確定ソースとなるピクセルを確定– そのピクセルの影響先を描画するそのピクセルの影響先を描画する
Imagire Day 64
スキャッターベース手法スキャッターベース手法
• 元画像を走査元画像を走査– ソースとなるピクセルを確定ソースとなるピクセルを確定
• ソースのピクセルをフィルタカーネルで描画ソースのピクセルをフィルタカーネルで描画– ジオメトリ(スプライト)を動的に生成ジオメトリ(スプライト)を動的に生成
• レガシーなレンズフレアと同様の手法レガシーなレンズフレアと同様の手法– 画像ベースでピクセル単位に処理するところが大きく異なる画像ベースでピクセル単位に処理するところが大きく異なる
• ジオメトリおよびフィル負荷が高いジオメトリおよびフィル負荷が高い– ピンボケ表現では実用圏内に入ってきているピンボケ表現では実用圏内に入ってきている
• ジオメトリシェーダで自然に実装できるジオメトリシェーダで自然に実装できる– CPUオーバヘッドがなく非常に効率的CPUオーバヘッドがなく非常に効率的
Imagire Day 65
スキャッターベース手法スキャッターベース手法
• フィルタカーネルを完全に自由に定義できるフィルタカーネルを完全に自由に定義できる– もっとも大きなメリットもっとも大きなメリット
• カーネルをテクスチャとして用意できるカーネルをテクスチャとして用意できる• ギャザーベースでは事実上不可能ギャザーベースでは事実上不可能
– これまで非常に難しかった自由な表現が可能これまで非常に難しかった自由な表現が可能• フラットなボケ表現にとどまらないフラットなボケ表現にとどまらない• リアリティのあるボケ味や複雑な光学現象の表現リアリティのあるボケ味や複雑な光学現象の表現
– これらについては後述これらについては後述
Imagire Day 66
スキャッターベース手法スキャッターベース手法
• 今後の主流今後の主流– ギャザーベース手法ではそろそろ限界が見えてきてギャザーベース手法ではそろそろ限界が見えてきて
いるいる• フィルタカーネルごとに最適化やさまざまな工夫が必要フィルタカーネルごとに最適化やさまざまな工夫が必要
• 速度さえ充分に速くなればグレアにも利用でき速度さえ充分に速くなればグレアにも利用できるる– あらゆる形状のグレア表現が可能あらゆる形状のグレア表現が可能
• 放射状の無数の鋭い光芒放射状の無数の鋭い光芒• 波長によって生じる環状のハロ波長によって生じる環状のハロ
CEDEC 2007
Imagire Day 67
レンズの基本レンズの基本
Imagire Day 68
レンズの基本レンズの基本
• 焦点距離(f)焦点距離(f)– 平行光線(無限遠からの光)が焦点を結ぶ レンズからの垂直距離平行光線(無限遠からの光)が焦点を結ぶ レンズからの垂直距離
• 焦点面焦点面– レンズから垂直方向に焦点距離の位置にある点の集まり(平面)レンズから垂直方向に焦点距離の位置にある点の集まり(平面)
ff ff
f = f = レンズの焦点距離レンズの焦点距離
後側焦点面(焦平面)後側焦点面(焦平面)前側焦点面(焦平面)前側焦点面(焦平面)
Imagire Day 69
レンズに斜めに入射する光の場合レンズに斜めに入射する光の場合
• 焦点距離(f)焦点距離(f)– 平行光線(無限遠からの光)が焦点を結ぶ レンズからの垂直距離平行光線(無限遠からの光)が焦点を結ぶ レンズからの垂直距離
• 焦点面焦点面– レンズから垂直方向に焦点距離の位置にある点の集まり(平面)レンズから垂直方向に焦点距離の位置にある点の集まり(平面)
ff ff
f = f = レンズの焦点距離レンズの焦点距離
後側焦点面(焦平面)後側焦点面(焦平面)前側焦点面(焦平面)前側焦点面(焦平面)
Imagire Day 70
レンズの基本レンズの基本
• 平行光線はレンズの焦点面で交わる平行光線はレンズの焦点面で交わる– 斜めから来た並行光線は焦点面の中央を外れた一点で交わる斜めから来た並行光線は焦点面の中央を外れた一点で交わる
• 焦点面の特定の一点を通過したあらゆる光線焦点面の特定の一点を通過したあらゆる光線– レンズを通って屈折すると平行になるレンズを通って屈折すると平行になる– 焦点面の中央を外れた一点を通った光線は斜めに平行になる焦点面の中央を外れた一点を通った光線は斜めに平行になる
• レンズの中央を通った光線は屈折しないレンズの中央を通った光線は屈折しない– 斜めから来た光もそのまま真っ直ぐに進む斜めから来た光もそのまま真っ直ぐに進む
ff ff ff ff
Imagire Day 71
ff ff
aa a’a’
1/f = 1/a + 1/a’ 1/f = 1/a + 1/a’ の関係の関係
ff ff
aa a’a’
Imagire Day 72
1/f = 1/a + 1/a’ 1/f = 1/a + 1/a’ の関係の関係
• 一点から出た光はレンズを通ると再び一点に集ま一点から出た光はレンズを通ると再び一点に集まるる
• このときこのとき– レンズから垂直距離で レンズから垂直距離で a a 離れた一点から出た光離れた一点から出た光– レンズから垂直距離で レンズから垂直距離で a’ a’ 離れた一点に集まる離れた一点に集まる
• とするととすると– 1/f = 1/a + 1/a’ 1/f = 1/a + 1/a’ の関係が常に成り立つの関係が常に成り立つ
ff ff
aa a’a’
ff ff
aa a’a’
CEDEC 2007
Imagire Day 73
結像の仕組み結像の仕組み
Imagire Day 74
結像の仕組み結像の仕組み
• レンズを通って再び一点に集まる光レンズを通って再び一点に集まる光– 集まった場所に実像を結ぶ(結像)集まった場所に実像を結ぶ(結像)
• 1/f = 1/a + 1/a’ 1/f = 1/a + 1/a’ の関係からの関係から– a’ = aa’ = af / (f / (aa - f) - f)
• レンズから レンズから a a 離れた物体(被写体)離れた物体(被写体)– レンズから レンズから aaf / (f / (aa - f) - f) の距離に結像するの距離に結像する
• 結像位置にスクリーンやフィルムを置く結像位置にスクリーンやフィルムを置く 像が映る像が映る
Imagire Day 75
ff ff
aa a’a’
yy
y’y’
b’b’bb
結像(フィルム)位置結像(フィルム)位置レンズ主平面レンズ主平面被写体位置被写体位置
f = f = レンズの焦点距離レンズの焦点距離a = a = 被写体距離被写体距離y = y = 被写体のサイズ被写体のサイズy’ = y’ = 結像サイズ結像サイズ1/f = 1/a + 1/a’1/f = 1/a + 1/a’a’a’ = = aaf / (f / (aa - f) - f)
撮像倍率撮像倍率 MM= y’/y = a’/a = f/b = b’/f= y’/y = a’/a = f/b = b’/f= = ff / / (a - f)(a - f)= 0.5= 0.5
結像の仕組み(被写体が 3f の距離)結像の仕組み(被写体が 3f の距離)
Imagire Day 76
ff ff
aa a’a’
yy
y’y’
b’b’bb
レンズ主平面レンズ主平面 結像(フィルム)位置結像(フィルム)位置被写体位置被写体位置
f = f = レンズの焦点距離レンズの焦点距離a = a = 被写体距離被写体距離y = y = 被写体のサイズ被写体のサイズy’ = y’ = 結像サイズ結像サイズ1/f = 1/a + 1/a’1/f = 1/a + 1/a’a’a’ = = aaf / (f / (aa - f) - f)
撮像倍率撮像倍率 MM= y’/y = a’/a = f/b = b’/f= y’/y = a’/a = f/b = b’/f= = ff / / (a - f)(a - f)= 1.0= 1.0
結像の仕組み(被写体が 2f の距離)結像の仕組み(被写体が 2f の距離)
Imagire Day 77
ffffaa a’a’
yy
y’y’
b’b’bb
レンズ主平面レンズ主平面 結像(フィルム)位置結像(フィルム)位置被写体位置被写体位置
f = f = レンズの焦点距離レンズの焦点距離a = a = 被写体距離被写体距離y = y = 被写体のサイズ被写体のサイズy’ = y’ = 結像サイズ結像サイズ1/f = 1/a + 1/a’1/f = 1/a + 1/a’a’a’ = = aaf / (f / (aa - f) - f)
撮像倍率撮像倍率 MM= y’/y = a’/a = f/b = b’/f= y’/y = a’/a = f/b = b’/f= = ff / / (a - f)(a - f)= 2.0= 2.0
結像の仕組み(被写体が 結像の仕組み(被写体が 1.51.5f の距離)f の距離)
Imagire Day 78
結像の性質結像の性質
• 像は点対称形像は点対称形– 上下左右反転した像(倒立像)ができる上下左右反転した像(倒立像)ができる
• 像の大きさ像の大きさ– レンズから像までの距離に比例するレンズから像までの距離に比例する
• レンズから結像までの距離レンズから結像までの距離– 結像の距離結像の距離
• V = LV = Lf / (f / (LL - f) - f)– L : L : 被写体距離被写体距離– V : V : レンズから結像までの距離レンズから結像までの距離
• 近くの被写体ほど遠くに結像する近くの被写体ほど遠くに結像する
Imagire Day 79
結像の性質結像の性質
• 撮像倍率撮像倍率– 被写体と結像の大きさの比率被写体と結像の大きさの比率– 結像の距離:被写体距離の比率に等しい結像の距離:被写体距離の比率に等しい
• M = M = ff / / ((LL - f) - f)– M : M : 撮像倍率撮像倍率
– 倍率と結像の距離との関係倍率と結像の距離との関係• V = LV = Lf / (f / (LL - f) - f) からから
– V = LMV = LM
– V = f (M + 1)V = f (M + 1)
• 近くの被写体ほど遠くに大きく結像する近くの被写体ほど遠くに大きく結像する
Imagire Day 80
撮像倍率とマクロ撮影撮像倍率とマクロ撮影
• マクロフォーカス(マクロ撮影)マクロフォーカス(マクロ撮影)– 撮像倍率が1(等倍)以上撮像倍率が1(等倍)以上
• 焦点距離の2倍以内の距離にフォーカス焦点距離の2倍以内の距離にフォーカス– 一般には 一般には 0.5 0.5 倍程度以上がマクロと呼ばれる倍程度以上がマクロと呼ばれる
• 焦点距離のおよそ3倍以内のフォーカス焦点距離のおよそ3倍以内のフォーカス– マクロレンズ以外の通常のレンズマクロレンズ以外の通常のレンズ
• 最大倍率でおおよそ 最大倍率でおおよそ 0.10.1 ~~ 0.2 0.2 倍程度倍程度• 焦点距離の6~11倍程度が最も近いフォーカス距離焦点距離の6~11倍程度が最も近いフォーカス距離
CEDEC 2007
Imagire Day 81
開口絞りとボケ開口絞りとボケ
Aperture StopAperture Stop
Imagire Day 82
ff ff
aa a’a’
yy
y’y’
b’b’bb
フィルム位置フィルム位置物体にフォーカス物体にフォーカス
合焦位置合焦位置
レンズの絞りレンズの絞り
撮像倍率撮像倍率 MM= y’/y = a’/a = f/b = b’/f= y’/y = a’/a = f/b = b’/f= = ff / / (a - f)(a - f) = 0.5= 0.5
開口絞りとボケ(被写体にフォーカス)開口絞りとボケ(被写体にフォーカス)
Imagire Day 83
ff ff
aa a’a’
yy
b’b’bb
無限遠にフォーカス無限遠にフォーカス フィルム位置フィルム位置
合焦位置合焦位置
前ボケ前ボケ
レンズの絞りレンズの絞り
開口絞りと前ボケ(遠くにフォーカス)開口絞りと前ボケ(遠くにフォーカス)
Imagire Day 84
ff ff
aa a’a’
yy
=a=a
b’b’bb=b=b
f f の の 1.5 1.5 倍の距離にフォーカス倍の距離にフォーカス フィルム位置フィルム位置
合焦位置合焦位置
後ボケ後ボケレンズの絞りレンズの絞り
開口絞りと後ボケ(近くにフォーカス)開口絞りと後ボケ(近くにフォーカス)
Imagire Day 85
ボケの形と大きさボケの形と大きさ
• 結像位置(合焦位置)から離れた像結像位置(合焦位置)から離れた像– ボケが発生するボケが発生する
• ボケの大きさボケの大きさ– 合焦位置から実際のフィルムまでの距離に比例合焦位置から実際のフィルムまでの距離に比例
• 適切なフィルム位置からのズレに比例適切なフィルム位置からのズレに比例
• 絞りの形状が現れる絞りの形状が現れる• 前ボケと後ボケでは向きが反転前ボケと後ボケでは向きが反転
– 後ボケは絞りの点対称形後ボケは絞りの点対称形• 結像自体が倒立像なので最終的な写真ではさらに反転する結像自体が倒立像なので最終的な写真ではさらに反転する
CEDEC 2007
Imagire Day 86
ピンボケ像の大きさピンボケ像の大きさ
Imagire Day 87
ff ff
aa a’a’
yy
y’y’
=a=a
b’b’bb=b=b
倍率倍率 MM= y’/y = a’/a = f/b = b’/f= y’/y = a’/a = f/b = b’/f= = ff / / (a - f)(a - f) = 0.5 = 0.5
合焦位置合焦位置
後ボケ後ボケ
前ボケ前ボケ
レンズの絞りレンズの絞り
Imagire Day 88
ff ff
aa a’a’
yy
y’y’
b’b’bb
倍率倍率 MM= y’/y = a’/a = f/b = b’/f= y’/y = a’/a = f/b = b’/f= = ff / / (a - f)(a - f) = 1.0 = 1.0
レンズの絞りレンズの絞り 前ボケ前ボケ 後ボケ後ボケ
合焦位置合焦位置
Imagire Day 89
ffffaa a’a’
y’y’
yy
=a=a
b’b’bb
=b=b
倍率倍率 MM= y’/y = a’/a = f/b = b’/f= y’/y = a’/a = f/b = b’/f= = ff / / (a - f)(a - f) = 2.0 = 2.0
前ボケ前ボケ
合焦位置合焦位置
Imagire Day 90
ピンボケ像の大きさピンボケ像の大きさ
• ピンボケしている像でも合焦している像でも同ピンボケしている像でも合焦している像でも同じじ– レンズから像までの距離に比例するレンズから像までの距離に比例する
Imagire Day 91
ff ff
aa a’a’
yy
y’y’
b’b’bb
レンズの絞りレンズの絞り
合焦位置合焦位置
絞りの大きさとボケ絞りの大きさとボケ
前ボケ前ボケ 後ボケ後ボケ
Imagire Day 92
絞りの大きさとボケ絞りの大きさとボケff ff
aa a’a’
レンズの絞りレンズの絞り
合焦位置合焦位置
前ボケ前ボケ 後ボケ後ボケ
Imagire Day 93
絞りの大きさとボケ絞りの大きさとボケff ff
aa a’a’
レンズの絞りレンズの絞り
合焦位置合焦位置
前ボケ前ボケ 後ボケ後ボケ
Imagire Day 94
絞りの大きさとボケ絞りの大きさとボケff ff
aa a’a’
f/2f/2
レンズが無い状態と同じレンズが無い状態と同じピンホールカメラピンホールカメラ
Imagire Day 95
絞りの大きさとボケ絞りの大きさとボケ
• ボケのサイズは絞りの大きさに比例するボケのサイズは絞りの大きさに比例する– 絞りを開けるとボケは大きくなる絞りを開けるとボケは大きくなる– 絞り込むとボケは小さくなる絞り込むとボケは小さくなる
Imagire Day 96
絞りとボケの形絞りとボケの形
• 絞りの構造絞りの構造– 滑らかなカーブをもつ絞り羽根で構成される滑らかなカーブをもつ絞り羽根で構成される– 開放絞りでは円形開放絞りでは円形– 絞り込むほど角が立つ(角張る)絞り込むほど角が立つ(角張る)
• 絞り具合でボケの形も変化する絞り具合でボケの形も変化する
Imagire Day 97
絞り具合とボケの形絞り具合とボケの形絞りの状態絞りの状態
前ボケの形前ボケの形
後ボケの形後ボケの形
Imagire Day 98
絞りとボケ絞りとボケ
CEDEC 2007
Imagire Day 99
焦点距離と焦点距離とフィルムサイズとフィルムサイズと
画角画角
Imagire Day 100
ff
有効な視野角有効な視野角フィルムサイズ
フィルムサイズ
焦点距離とフィルムサイズと画角焦点距離とフィルムサイズと画角
Imagire Day 101
ff
有効な視野角有効な視野角フィルムサイズ
フィルムサイズ
フィルムサイズを半分にするとフィルムサイズを半分にすると
Imagire Day 102
ff
有効な視野角有効な視野角フィルムサイズ
フィルムサイズ
焦点距離を倍にすると焦点距離を倍にすると
Imagire Day 103
焦点距離とフィルムサイズと画角の関係焦点距離とフィルムサイズと画角の関係
• よく知られている関係よく知られている関係– fov = atan(h * 0.5 / f) * 2.0fov = atan(h * 0.5 / f) * 2.0
• f : f : 焦点距離焦点距離• h : h : フィルムのサイズフィルムのサイズ
• フィルム位置が焦点距離にあると仮定フィルム位置が焦点距離にあると仮定– 無限遠にフォーカス無限遠にフォーカス
Imagire Day 104
カメラレンズの画角(無限遠フォーカスカメラレンズの画角(無限遠フォーカス時)時)
• 標準レンズの画角は?標準レンズの画角は?– 35㎜フィルムの高さは24㎜35㎜フィルムの高さは24㎜– 標準レンズの焦点距離はおよそ50㎜標準レンズの焦点距離はおよそ50㎜– atan(24.0 * 0.5 / 50.0) * 2.0atan(24.0 * 0.5 / 50.0) * 2.0
• 垂直画角は約27度垂直画角は約27度
• 広角レンズの画角は?広角レンズの画角は?– 一般的には焦点距離28~35㎜程度一般的には焦点距離28~35㎜程度– atan(24.0 * 0.5 / (28atan(24.0 * 0.5 / (28 ~~ 35) ) * 2.035) ) * 2.0
• 垂直画角は約46~38度垂直画角は約46~38度
• 焦点距離12㎜程度の超広角が最短焦点距離12㎜程度の超広角が最短– 魚眼レンズは結像が特殊なため除く魚眼レンズは結像が特殊なため除く– atan(24.0 * 0.5 / 12) * 2.0atan(24.0 * 0.5 / 12) * 2.0
• 垂直画角は約90度垂直画角は約90度
Imagire Day 105
fov = atan(h * 0.5 / f) * 2.0fov = atan(h * 0.5 / f) * 2.0
• フィルム位置が焦点距離にある場合の関係フィルム位置が焦点距離にある場合の関係– 無限遠にフォーカスと仮定している無限遠にフォーカスと仮定している
• 近くにフォーカスした場合は条件が変わる近くにフォーカスした場合は条件が変わる– レンズからフィルムまでの距離が焦点距離より長くレンズからフィルムまでの距離が焦点距離より長く
なるなる– マクロ撮影時に顕著マクロ撮影時に顕著
Imagire Day 106
像サイズはレンズ~フィルム距離に比例像サイズはレンズ~フィルム距離に比例
ff ff
aa a’a’
f/2f/2
Imagire Day 107
ff
有効な視野角有効な視野角
f f の2倍の距離にフォーカス(等倍マクロの2倍の距離にフォーカス(等倍マクロ撮影)撮影)
• 結像距離は f の2倍の距離になる結像距離は f の2倍の距離になる
フィルムサイズ
フィルムサイズ
フォーカス面フォーカス面
Imagire Day 108
ff
有効な視野角有効な視野角フィルムサイズ
フィルムサイズ
無限遠にフォーカス無限遠にフォーカス
Imagire Day 109
ff
有効な視野角有効な視野角フィルムサイズ
フィルムサイズ
f f の2倍の距離にフォーカス(等倍マクロの2倍の距離にフォーカス(等倍マクロ撮影)撮影)
Imagire Day 110
マクロ撮影時の画角変化マクロ撮影時の画角変化
• 等倍(像倍率1:1)マクロ時等倍(像倍率1:1)マクロ時– フィルム位置は焦点距離の2倍フィルム位置は焦点距離の2倍
• フィルム位置V=焦点距離fフィルム位置V=焦点距離f ×× (像倍率M+1)(像倍率M+1)– 画像は無限遠フォーカス時の2倍に拡大される画像は無限遠フォーカス時の2倍に拡大される– 画角は約半分になる画角は約半分になる
• マクロ撮影時は顕著に画角が狭くなるマクロ撮影時は顕著に画角が狭くなる
Imagire Day 111
マクロ撮影以外の画角変化マクロ撮影以外の画角変化
• 標準50㎜レンズで55㎝先にフォーカス標準50㎜レンズで55㎝先にフォーカス– 像倍率は 像倍率は 0.10.1倍倍
• 像倍率 像倍率 M = f / (L - f) = 50 / (550 - 50) = 0.1M = f / (L - f) = 50 / (550 - 50) = 0.1
– フィルム位置は焦点距離の フィルム位置は焦点距離の 1.11.1倍(=倍(= M + 1M + 1 ))– 画像は無限遠フォーカス時の 画像は無限遠フォーカス時の 1.11.1倍に拡大される倍に拡大される
• 画角は無限遠フォーカス時の約91%となる画角は無限遠フォーカス時の約91%となる
Imagire Day 112
フィルム位置を考慮した厳密な関係フィルム位置を考慮した厳密な関係
• fov = atan(h * 0.5 / f) * 2.0fov = atan(h * 0.5 / f) * 2.0– は正確ではない…は正確ではない…– 無限遠にフォーカスと仮定無限遠にフォーカスと仮定
• フィルム位置を考慮した厳密な関係フィルム位置を考慮した厳密な関係– 焦点距離ではなくレンズからフィルムまでの距離で計算焦点距離ではなくレンズからフィルムまでの距離で計算– L L にピントを合わせたときのフィルム位置 にピントを合わせたときのフィルム位置 V V はは
• V = LV = Lf / (f / (LL - f) - f)– L : L : フォーカス距離フォーカス距離
– f f の代わりに の代わりに LLf / (f / (LL - f) - f) を使用を使用
• fov = atan(h * 0.5 * fov = atan(h * 0.5 * ((LL - f) - f) / (L * f) ) * 2.0 / (L * f) ) * 2.0
Imagire Day 113
カメラレンズの画角カメラレンズの画角
• 全群繰り出しレンズ 全群繰り出しレンズ – レンズ全体が移動レンズ全体が移動– フォーカスを変えても焦点距離が一定フォーカスを変えても焦点距離が一定
• 一般的には画角が一定であることを意味する一般的には画角が一定であることを意味する
• 実際にはフォーカス距離によっても画角が変化実際にはフォーカス距離によっても画角が変化するする– 焦点距離が同じでもピント調整だけで変化焦点距離が同じでもピント調整だけで変化
• 近くにフォーカスすると望遠効果近くにフォーカスすると望遠効果
Imagire Day 114
画角への影響(その他の要因)画角への影響(その他の要因)
• 前群繰り出し/インナーフォーカス/リアフォーカ前群繰り出し/インナーフォーカス/リアフォーカスス– レンズ全体ではなく内部のレンズの移動レンズ全体ではなく内部のレンズの移動
• 複雑なレンズの移動複雑なレンズの移動– 実際の焦点距離が変化する(一般に短くなる)実際の焦点距離が変化する(一般に短くなる)
• 全群繰り出しによる望遠効果とは逆の変化全群繰り出しによる望遠効果とは逆の変化– 近くにフォーカスすると広角側による近くにフォーカスすると広角側による
• 画角の変化が補正されるレンズもある画角の変化が補正されるレンズもある– 画角が変化しないように実際の焦点距離が調整される画角が変化しないように実際の焦点距離が調整される– 画角がほぼ変化しないものもある画角がほぼ変化しないものもある
Imagire Day 115
画角への影響(その他の要因)画角への影響(その他の要因)
• 望遠ズームレンズの焦点距離制限望遠ズームレンズの焦点距離制限– 望遠状態で近くにフォーカスすると望遠状態で近くにフォーカスすると
• フィルムまでの結像距離が長くなり過ぎるフィルムまでの結像距離が長くなり過ぎる• レンズの制限で焦点距離が強制的に短くなるレンズの制限で焦点距離が強制的に短くなる
– カメラの設定よりも実際の焦点距離が短くなるカメラの設定よりも実際の焦点距離が短くなる
– 近くにフォーカスすると広角側による近くにフォーカスすると広角側による
• etc.etc.
Imagire Day 116
演出としてのカメラワーク演出としてのカメラワーク
• 一般に普及帯のカメラレンズでは一般に普及帯のカメラレンズでは– フォーカス距離によっても画角が変化するものが多いフォーカス距離によっても画角が変化するものが多い– 典型的な例:典型的な例:
• フォーカス距離(L)が短くなるとフォーカス距離(L)が短くなると• L / (f - L) + 1 L / (f - L) + 1 (=M+1)の割合で視野が狭くなる(=M+1)の割合で視野が狭くなる
• リアルタイムCGにおけるカメラワークリアルタイムCGにおけるカメラワーク– フォーカス距離によって画角を変化させる演出フォーカス距離によって画角を変化させる演出
• 臨場感が増す臨場感が増す
• アニメーションなどアニメーションなど– 昔からよく使われている昔からよく使われている
• カメラを使う人は経験的に知っているカメラを使う人は経験的に知っている
CEDEC 2007
Imagire Day 117
収差とボケ味収差とボケ味
Imagire Day 118
収差とは収差とは
• 実際のレンズは理論どおりには結像しない実際のレンズは理論どおりには結像しない– レンズの設計/製造上の制限レンズの設計/製造上の制限– 光と媒質(レンズ素材)の性質光と媒質(レンズ素材)の性質
• さまざまな問題が発生するさまざまな問題が発生する– 像がボケる像がボケる– 色が分離する色が分離する– 像が歪む像が歪む– etc.etc.
これらレンズの諸問題を収差と呼ぶこれらレンズの諸問題を収差と呼ぶ
Imagire Day 119
収差の種類収差の種類
• 単色収差(ザイデル収差)単色収差(ザイデル収差)– 球面収差球面収差– コマ収差コマ収差– 非点収差非点収差– 像面湾曲 像面湾曲 – 歪曲収差(ディストーション)歪曲収差(ディストーション)
• 色収差色収差– 軸上色収差軸上色収差– 倍率色収差倍率色収差
CEDEC 2007
Imagire Day 120
球面収差球面収差
Spherical aberrationSpherical aberration
Imagire Day 121
球面収差(球面収差( Spherical aberrationSpherical aberration ))
• レンズ中央と周辺での焦点距離のズレレンズ中央と周辺での焦点距離のズレ– 屈折した光線が等距離に焦点を結ば ない屈折した光線が等距離に焦点を結ば ない
• 球面レンズで発生球面レンズで発生– レンズの屈折面が球面であるために発生レンズの屈折面が球面であるために発生
Imagire Day 122
球面収差の原理球面収差の原理
• 周辺部ほど焦点距離が近くなる周辺部ほど焦点距離が近くなる
レンズの中央以外の焦点距離レンズの中央以外の焦点距離
レンズ本来の焦点距離レンズ本来の焦点距離
Imagire Day 123
球面収差のボケ方球面収差のボケ方
光線の収束光線の収束
光線がもっとも収束する距離(実質的な焦点面)光線がもっとも収束する距離(実質的な焦点面)
レンズ本来の焦点面レンズ本来の焦点面
シャープな前ボケ(輪郭強調)シャープな前ボケ(輪郭強調) ソフトな後ボケソフトな後ボケ
Imagire Day 124
球面収差のボケ方球面収差のボケ方
光線の収束光線の収束
光線がもっとも収束する距離(実質的な焦点面)光線がもっとも収束する距離(実質的な焦点面)
レンズ本来の焦点面レンズ本来の焦点面
シャープな前ボケ(輪郭強調)シャープな前ボケ(輪郭強調) ソフトな後ボケソフトな後ボケ
Imagire Day 125
球面収差球面収差
レンズ本来の焦点面レンズ本来の焦点面
光線の収束光線の収束
光線がもっとも収束する距離(実質的な焦点面)光線がもっとも収束する距離(実質的な焦点面)
Imagire Day 126
球面収差球面収差
レンズ本来の焦点面レンズ本来の焦点面
光線の収束光線の収束
光線がもっとも収束する距離(実質的な焦点面)光線がもっとも収束する距離(実質的な焦点面)
Imagire Day 127
球面収差球面収差
レンズ本来の焦点面レンズ本来の焦点面
光線の収束光線の収束
光線がもっとも収束する距離(実質的な焦点面)光線がもっとも収束する距離(実質的な焦点面)
Imagire Day 128
球面収差球面収差
レンズ本来の焦点面レンズ本来の焦点面
光線の収束光線の収束
光線がもっとも収束する距離(実質的な焦点面)光線がもっとも収束する距離(実質的な焦点面)
Imagire Day 129
球面収差球面収差
レンズ本来の焦点面レンズ本来の焦点面
光線の収束光線の収束
光線がもっとも収束する距離(実質的な焦点面)光線がもっとも収束する距離(実質的な焦点面)
Imagire Day 130
球面収差球面収差
レンズ本来の焦点面レンズ本来の焦点面
光線がもっとも収束する距離(実質的な焦点面)光線がもっとも収束する距離(実質的な焦点面)
光線の収束光線の収束
Imagire Day 131
球面収差球面収差
レンズ本来の焦点面レンズ本来の焦点面
光線の収束光線の収束
光線がもっとも収束する距離(実質的な焦点面)光線がもっとも収束する距離(実質的な焦点面)
絞りが大きいほど収差も大きく、焦点面がレンズに近づく絞りが大きいほど収差も大きく、焦点面がレンズに近づく
Imagire Day 132
球面収差の影響球面収差の影響
• 一点に結像しない一点に結像しない– ピントが完全には合わず常に像がぼやけるピントが完全には合わず常に像がぼやける
• 絞りが大きいほど極端に影響が現れる絞りが大きいほど極端に影響が現れる– 加えて実質的な焦点面がレンズに近づく加えて実質的な焦点面がレンズに近づく
• 前ボケは周辺部が明るくなる前ボケは周辺部が明るくなる– リング状の輪郭をもつシャープなボケリング状の輪郭をもつシャープなボケ– 線状の被写体は二本の線のように見える(2線ボケ)線状の被写体は二本の線のように見える(2線ボケ)
• 後ボケは中央部が明るくなる後ボケは中央部が明るくなる– 中心の芯を柔らかいブラーが包むようなソフトなボケ中心の芯を柔らかいブラーが包むようなソフトなボケ– エッジ部分はソフトエッジ部分はソフト
• フォーカス付近(微妙なピンボケ)にもっとも影響が大きいフォーカス付近(微妙なピンボケ)にもっとも影響が大きい– ボケの形にも相対的に大きな影響があるボケの形にも相対的に大きな影響がある
Imagire Day 133
球面収差の補正球面収差の補正
• ダブレットレンズ(ダブレットレンズ( Doublet lensDoublet lens )を利用)を利用– 凸レンズと凹レンズの二枚を組み合わせる凸レンズと凹レンズの二枚を組み合わせる
• 凹レンズでは収差が逆になることを利用して打ち消す凹レンズでは収差が逆になることを利用して打ち消す– 完全な補正はできない完全な補正はできない– 安価安価
• トリプレットレンズ(トリプレットレンズ( Triplet lensTriplet lens )を利用)を利用– ダブレットにさらに一枚レンズを加えて過剰な補正を打ち消すダブレットにさらに一枚レンズを加えて過剰な補正を打ち消す– 完全ではないがかなり良好な補正が可能完全ではないがかなり良好な補正が可能– 高価高価
• 非球面レンズ(非球面レンズ( Aspherical lensAspherical lens )を利用)を利用– 屈折面が球面ではない特殊なレンズ屈折面が球面ではない特殊なレンズ
• レンズの端ほど曲率が低いレンズの端ほど曲率が低い– 完全な補正が可能完全な補正が可能– 高価高価– レンズ枚数が少なくて済むため軽量レンズ枚数が少なくて済むため軽量
Imagire Day 134
ダブレットによる適正補正(大きな絞り)ダブレットによる適正補正(大きな絞り)
• 完全な補正はできない完全な補正はできない• 補正しない場合と逆に近いボケ味(より複雑)補正しない場合と逆に近いボケ味(より複雑)
– 前ボケはソフトでかつ中央部がやや暗い前ボケはソフトでかつ中央部がやや暗い– 後ボケはシャープでかつ中央部がやや明るい後ボケはシャープでかつ中央部がやや明るい
レンズの中央以外の焦点距離レンズの中央以外の焦点距離
光線がもっとも収束する距離(実質的な焦点面)光線がもっとも収束する距離(実質的な焦点面)
前ボ前ボケケ
後ボ後ボケケ
Imagire Day 135
同じ補正で絞り込むと同じ補正で絞り込むとレンズの中央以外の焦点距離レンズの中央以外の焦点距離
光線がもっとも収束する距離(実質的な焦点面)光線がもっとも収束する距離(実質的な焦点面)
Imagire Day 136
同じ補正で絞り込むと同じ補正で絞り込むと
• 補正不足補正不足
レンズの中央以外の焦点距離レンズの中央以外の焦点距離
光線がもっとも収束する距離(実質的な焦点面)光線がもっとも収束する距離(実質的な焦点面)
Imagire Day 137
ダブレットによる適正補正(小さな絞り)ダブレットによる適正補正(小さな絞り)
• 絞り込んで適切に補正するとボケはよりフラットになる絞り込んで適切に補正するとボケはよりフラットになる– ボケ味の性質は同じボケ味の性質は同じ– 収差と補正の影響の出るピンボケ範囲が狭い収差と補正の影響の出るピンボケ範囲が狭い
• 大きな影響が出るのはかなり小さな(微妙な)ピンボケのみ大きな影響が出るのはかなり小さな(微妙な)ピンボケのみ• 絞りによって適切な補正は変化する絞りによって適切な補正は変化する
レンズの中央以外の焦点距離レンズの中央以外の焦点距離
光線がもっとも収束する距離(実質的な焦点面)光線がもっとも収束する距離(実質的な焦点面)
前ボ前ボケケ
後ボ後ボケケ
Imagire Day 138
同じ補正で絞りを開けると同じ補正で絞りを開けると
• 周辺光が過剰補正になる周辺光が過剰補正になる• 補正しない場合と逆に近いボケ味補正しない場合と逆に近いボケ味
– 前ボケはソフト前ボケはソフト– 後ボケはシャープ後ボケはシャープ
レンズの中央以外の焦点距離レンズの中央以外の焦点距離
光線がもっとも収束する距離(実質的な焦点面)光線がもっとも収束する距離(実質的な焦点面)
前ボ前ボケケ
後ボ後ボケケ
Imagire Day 139
球面収差曲線球面収差曲線
• 中央から離れた周辺光の焦点位置のズレ中央から離れた周辺光の焦点位置のズレ– 左側がレンズに近づく方向(焦点距離が短い)左側がレンズに近づく方向(焦点距離が短い)
• 揺れ幅が小さいほど良好な補正揺れ幅が小さいほど良好な補正– シャープなフォーカスシャープなフォーカス– フラットなボケフラットなボケ
補正無し補正無し ダブレットダブレット トリプレットトリプレット 非球面レンズ非球面レンズ
レンズの中心レンズの中心
レンズの周辺レンズの周辺側側
Imagire Day 140
球面収差の方向とボケ味球面収差の方向とボケ味
補正無し補正無し ダブレットダブレット トリプレットトリプレット 非球面レンズ非球面レンズ
レンズの中心レンズの中心
レンズの周辺レンズの周辺側側
前ボ前ボケケ
後ボ後ボケケ
レンズレンズ側側
レンズの反対レンズの反対側側
Imagire Day 141
球面収差の方向とボケ味球面収差の方向とボケ味
• レンズ端(グラフ上側)の焦点距離がレンズ側(グラフ左側)にずれる場合レンズ端(グラフ上側)の焦点距離がレンズ側(グラフ左側)にずれる場合– 前ボケがシャープ(輪郭)前ボケがシャープ(輪郭)
• レンズ端の焦点距離がレンズと反対側(グラフ右側)にずれる場合レンズ端の焦点距離がレンズと反対側(グラフ右側)にずれる場合– 後ボケがシャープ(輪郭)後ボケがシャープ(輪郭)
• 適切に補正されている場合適切に補正されている場合– 前ボケの中央はやや暗くなる前ボケの中央はやや暗くなる– 後ボケの中央はやや明るくなる後ボケの中央はやや明るくなる
前ボ前ボケケ
後ボ後ボケケ
レンズレンズ側側
補正無し補正無し ダブレットダブレット トリプレットトリプレット 非球面レンズ非球面レンズレンズの中レンズの中心心
レンズの周辺側レンズの周辺側
レンズの反対レンズの反対側側
Imagire Day 142
球面収差によるボケ味のコントロール球面収差によるボケ味のコントロール
• 球面収差を意図的に残す球面収差を意図的に残す– ソフトフォーカスソフトフォーカス– DC(デフォーカス・イメージ・コントロール)レDC(デフォーカス・イメージ・コントロール)レ
ンズなどンズなど• 抑え気味に補正抑え気味に補正
– 前ボケはシャープ前ボケはシャープ– 後ボケはソフト後ボケはソフト
• 過剰気味に補正過剰気味に補正– 前ボケはソフト前ボケはソフト– 後ボケはシャープ後ボケはシャープ
前ボ前ボケケ
後ボ後ボケケ
補正不足補正不足
過剰補正過剰補正
Imagire Day 143
球面収差の補正とボケ味球面収差の補正とボケ味
• 高度な補正ほどシャープなフォーカス高度な補正ほどシャープなフォーカス– ピントがくっきりと合うピントがくっきりと合う
• 一般に高級なレンズの方がフラットなボケ一般に高級なレンズの方がフラットなボケ
Imagire Day 144
球面収差の補正とボケ味球面収差の補正とボケ味
• 多くの普及帯レンズの補正では多くの普及帯レンズの補正では– 前ボケはソフトで中央部がやや暗い前ボケはソフトで中央部がやや暗い– 後ボケはシャープで中央部がやや明るい後ボケはシャープで中央部がやや明るい
前ボ前ボケケ
後ボ後ボケケ
Imagire Day 145
球面収差の補正とボケ味球面収差の補正とボケ味
• フォーカスに近いボケほど残存収差が目立つフォーカスに近いボケほど残存収差が目立つ
• フォーカスから微妙に外れたボケ(僅かなピンボケ)フォーカスから微妙に外れたボケ(僅かなピンボケ)– 残存収差が強い残存収差が強い– 絞りが大きいと特に目立つ絞りが大きいと特に目立つ– 前ボケがドーナツ状前ボケがドーナツ状– 後ボケに輪郭と鋭いピーク後ボケに輪郭と鋭いピーク
• フォーカスから離れた(大きな)ピンボケフォーカスから離れた(大きな)ピンボケ– 残存収差はかなり軽減される残存収差はかなり軽減される– 大きなピンボケはほとんどフラット大きなピンボケはほとんどフラット– 絞りが小さいとよりフラットになりやすい絞りが小さいとよりフラットになりやすい
後ボ後ボケケ
前ボ前ボケケ
後ボ後ボケケ
前ボ前ボケケ
Imagire Day 146
球面収差の補正とボケ味球面収差の補正とボケ味
• レンズ枚数が多いとボケ味も複雑になるレンズ枚数が多いとボケ味も複雑になる– 前ボケと後ボケの性質が変化前ボケと後ボケの性質が変化– 全般的には補正レンズが多いほどフラットになる全般的には補正レンズが多いほどフラットになる
前ボ前ボケケ
後ボ後ボケケ
1枚1枚 2枚2枚 3枚3枚
CEDEC 2007
Imagire Day 147
干渉リング干渉リング
Imagire Day 148
干渉リング干渉リング
• 光の波としての性質光の波としての性質– レンズによる屈折で光(電磁波)が干渉レンズによる屈折で光(電磁波)が干渉
• ボケに同心円状の干渉縞が発生ボケに同心円状の干渉縞が発生– 非常に細かい縞模様非常に細かい縞模様
Imagire Day 149
干渉リング干渉リング
• かなり拡大した画像かなり拡大した画像• 参照:参照:
– “Spherical aberration”“Spherical aberration”, from Wikipedia, the free encyclopedia., from Wikipedia, the free encyclopedia.
過剰補正過剰補正
補正不足補正不足
Imagire Day 150
干渉リング干渉リング
• 非常に細かい縞模様非常に細かい縞模様• 受光部が小さいカメラで目立ちやすい受光部が小さいカメラで目立ちやすい
– コンパクトデジカメコンパクトデジカメ• 受光部(CCD)サイズがフィルムよりも遥かに小さい受光部(CCD)サイズがフィルムよりも遥かに小さい• 最終写真では大きく拡大されるため細かい模様が可視化され最終写真では大きく拡大されるため細かい模様が可視化され
るる– フィルムや大型のCCDフィルムや大型のCCD
• 細かすぎてほとんど見えない細かすぎてほとんど見えない• 球面収差などによる明暗差の方が目立つ球面収差などによる明暗差の方が目立つ
• 中くらいのボケで比較的目立ちやすい中くらいのボケで比較的目立ちやすい– 収差の影響が比較的少なく、極端に大きくないボケ収差の影響が比較的少なく、極端に大きくないボケ
Imagire Day 151
干渉リング干渉リング
Imagire Day 152
干渉リング干渉リング
CEDEC 2007
Imagire Day 153
軸上色収差軸上色収差
Axial chromatic aberrationAxial chromatic aberration
Imagire Day 154
軸上色収差(軸上色収差( Axial chromatic aberrationAxial chromatic aberration ))
• または または Longitudinal chromatic aberrationLongitudinal chromatic aberration
• 光の波長による焦点距離のズレ光の波長による焦点距離のズレ– 屈折した光が等距離に焦点を結ば ない屈折した光が等距離に焦点を結ば ない
• 波長によって屈折率が異なるために発生波長によって屈折率が異なるために発生– 分散(分散( DispersionDispersion ))
Imagire Day 155
軸上色収差軸上色収差波長ごとの焦点距離波長ごとの焦点距離
Imagire Day 156
軸上色収差軸上色収差
周辺部の光線の収束周辺部の光線の収束
前ボケ前ボケ 後ボケ後ボケ
Imagire Day 157
軸上色収差の影響軸上色収差の影響
• 前ボケに赤い輪郭前ボケに赤い輪郭• 後ボケに青い輪郭後ボケに青い輪郭• フォーカス付近では紫の輪郭フォーカス付近では紫の輪郭• フォーカス近辺の方が相対的に大きな輪郭フォーカス近辺の方が相対的に大きな輪郭• 望遠ほど目立つ望遠ほど目立つ• 絞りが大きいほど目立つ絞りが大きいほど目立つ
Imagire Day 158
軸上色収差の補正軸上色収差の補正
• 色消しレンズ色消しレンズ• ダブレットやトリプレットで補正ダブレットやトリプレットで補正
– 分散特性の異なるレンズの組み合わせ分散特性の異なるレンズの組み合わせ– 複数の波長(色)を一定の距離に結像できる複数の波長(色)を一定の距離に結像できる– 全波長域での完全な補正はできない全波長域での完全な補正はできない
• 二次スペクトルが発生(残存色収差)二次スペクトルが発生(残存色収差)– レンズの枚数や素材によって大きく性能が異なるレンズの枚数や素材によって大きく性能が異なる
Imagire Day 159
アクロマート(アクロマート( AchromatAchromat )レンズ)レンズ
• Achromatic doubletAchromatic doublet– 低分散(クラウンガラス)の凸レンズ低分散(クラウンガラス)の凸レンズ– 高分散(フリントガラス)の凹レンズ高分散(フリントガラス)の凹レンズ
• 2つの波長を同じ距離に結像できる2つの波長を同じ距離に結像できる– 例えば赤/青例えば赤/青– 他の波長(緑など)は補正できない他の波長(緑など)は補正できない
Imagire Day 160
アポクロマート(アポクロマート( ApochromatApochromat ))
• 一般にアクロマートよりも強力な補正レンズ一般にアクロマートよりも強力な補正レンズ• Apochromatic tripletApochromatic triplet
– 3枚レンズの組み合わせ(トリプレット)3枚レンズの組み合わせ(トリプレット)– 3つ以上の波長域を補正3つ以上の波長域を補正
• 例えば赤/緑/青の波長を同じ距離に結像できる例えば赤/緑/青の波長を同じ距離に結像できる
Imagire Day 161
アポクロマート(アポクロマート( ApochromatApochromat ))
• その他の特殊な色消しレンズその他の特殊な色消しレンズ• 凸レンズに蛍石や異常部分分散(UD/ED)ガラスを凸レンズに蛍石や異常部分分散(UD/ED)ガラスを利用利用– 特殊な分散をもつレンズ特殊な分散をもつレンズ
• 分散が少なく、通常のガラスとは異なる分散特性をもつ分散が少なく、通常のガラスとは異なる分散特性をもつ– ダブレットでもより多くの波長域で補正が可能ダブレットでもより多くの波長域で補正が可能– 蛍石(フローライト)は特に高度な補正が可能蛍石(フローライト)は特に高度な補正が可能
• 非常に高価非常に高価
• 回折レンズ回折レンズ– レンズ面に微細な凹凸をもつレンズレンズ面に微細な凹凸をもつレンズ
• 光の回折を利用して逆方向の色収差を発生光の回折を利用して逆方向の色収差を発生• 通常のレンズと組み合わせて収差を補正通常のレンズと組み合わせて収差を補正
– DODO レンズやPFレンズレンズやPFレンズ
Imagire Day 162
アクロマートによる補正例アクロマートによる補正例
• 赤と青の焦点距離を一致させた場合赤と青の焦点距離を一致させた場合– 緑を一致させることはできない緑を一致させることはできない
• もし赤と緑を一致させるともし赤と緑を一致させると– 青は補正され過ぎて赤と緑の焦点距離より遠くなる青は補正され過ぎて赤と緑の焦点距離より遠くなる
波長ごとの焦点距離波長ごとの焦点距離
Imagire Day 163
アクロマートによる補正例アクロマートによる補正例
周辺部の光線の収束周辺部の光線の収束
前ボケ前ボケ 後ボケ後ボケ
Imagire Day 164
補正なし補正なし
周辺部の光線の収束周辺部の光線の収束
前ボケ前ボケ 後ボケ後ボケ
Imagire Day 165
アクロマートによる補正例アクロマートによる補正例
周辺部の光線の収束周辺部の光線の収束
前ボケ前ボケ 後ボケ後ボケ
Imagire Day 166
軸上色収差が補正されたボケ軸上色収差が補正されたボケ
• アクロマートによる補正アクロマートによる補正– 広く利用されている広く利用されている– 典型的な補正典型的な補正
• 前ボケに赤/青や紫のソフ前ボケに赤/青や紫のソフトな輪郭が出やすいトな輪郭が出やすい
• 後ボケに緑や黄のシャープ後ボケに緑や黄のシャープな輪郭が出やすいな輪郭が出やすい
前ボケ前ボケ 後ボケ後ボケ
Imagire Day 167
赤いソフトな輪郭の前ボケ赤いソフトな輪郭の前ボケ
Imagire Day 168
緑のシャープな輪郭の後ボケ緑のシャープな輪郭の後ボケ
Imagire Day 169
軸上色収差が補正されたボケ軸上色収差が補正されたボケ
• 絞りが大きくピンボケが少ないボケ絞りが大きくピンボケが少ないボケ– 大きな絞りで微妙にピントの外れたボケ大きな絞りで微妙にピントの外れたボケ– 残存色収差が目立つ残存色収差が目立つ
• フォーカスから遠い(大きな)ピンボケフォーカスから遠い(大きな)ピンボケ– 大きなピンボケほど残存色収差は軽減される大きなピンボケほど残存色収差は軽減される
Imagire Day 170
軸上色収差が補正されたボケ軸上色収差が補正されたボケ
• アポクロマートによる補正アポクロマートによる補正– トリプレット/蛍石/回折レンズなどトリプレット/蛍石/回折レンズなど
• 比較的高価なレンズ比較的高価なレンズ– 全般に色のついたボケが出にくい全般に色のついたボケが出にくい
CEDEC 2007
Imagire Day 171
口径蝕とケラレ口径蝕とケラレ
Imagire Day 172
口径蝕とケラレ口径蝕とケラレ
• 口径蝕(口径蝕( EclipseEclipse ))– 画面の端のボケの一部が欠ける画面の端のボケの一部が欠ける
• ボケがレモン形になるボケがレモン形になる
Imagire Day 173
口径蝕とケラレ口径蝕とケラレ
• ケラレ(ケラレ( VignettingVignetting ))– 画面の端の方が暗くなる画面の端の方が暗くなる– 口径蝕そのものを指すこともある口径蝕そのものを指すこともある
Imagire Day 174
口径蝕とケラレの原因口径蝕とケラレの原因
• レンズの鏡筒によって光が遮られるためレンズの鏡筒によって光が遮られるため– 斜めから来た光が鏡筒に遮られフィルムに届かない斜めから来た光が鏡筒に遮られフィルムに届かない
• 実際のレンズでは非常に複雑な現象実際のレンズでは非常に複雑な現象– ここでは簡略化したモデルを使用ここでは簡略化したモデルを使用
Imagire Day 175
口径蝕とケラレの簡易モデル口径蝕とケラレの簡易モデル• 絞りの前部で遮られる絞りの前部で遮られる
– 絞りを通る前の光線が遮られるケース絞りを通る前の光線が遮られるケース• レンズ後部で遮られるレンズ後部で遮られる
– 絞りを通った後の光線が遮られるケース絞りを通った後の光線が遮られるケース
これらの部分で光が遮られてフィルムに届かないこれらの部分で光が遮られてフィルムに届かない
絞りの前部絞りの前部 絞りの後部絞りの後部
CEDEC 2007
Imagire Day 176
絞り前部による絞り前部による口径蝕とケラレ口径蝕とケラレ
Imagire Day 177
口径蝕とケラレの原理と比較口径蝕とケラレの原理と比較
• 絞り前部による口径蝕とケラレ絞り前部による口径蝕とケラレ– 前ボケと後ボケ前ボケと後ボケ
• 同じ距離にある光点同じ距離にある光点• 光点より遠くにフォーカスした場合の前ボケ光点より遠くにフォーカスした場合の前ボケ• 光点より近くにフォーカスより遠い光点の後ボケ光点より近くにフォーカスより遠い光点の後ボケ• ボケの大きさは同じボケの大きさは同じ
Imagire Day 178
ff
ff
aa
a’a’
bb
合焦位置合焦位置
前ボケ(実際の大きさ)前ボケ(実際の大きさ)
f f の の 3.0 3.0 倍の距離にフォーカス倍の距離にフォーカス
欠けない範囲
欠けない範囲
完全蝕
完全蝕
部分蝕
部分蝕
フィルム位置フィルム位置
部分蝕
部分蝕
鏡筒の縁の鏡筒の縁のピンボケ範囲ピンボケ範囲
絞りのどの部分を通っても絞りのどの部分を通っても鏡筒に遮られるため、鏡筒に遮られるため、外部の光は一切届かない外部の光は一切届かない
レンズの絞りレンズの絞り
b’b’
絞りのどこを絞りのどこを通っても鏡筒通っても鏡筒にに遮られない遮られない
ほぼ開放絞り(前ボケ)ほぼ開放絞り(前ボケ)f f の の 2.0 2.0 倍の距離の光点のボケ倍の距離の光点のボケ
Imagire Day 179
ff
ff
aa
a’a’b’b’
bb
合焦位置合焦位置
後ボケ(実際の大きさ)後ボケ(実際の大きさ)
f f の の 1.5 1.5 倍の距離にフォーカス倍の距離にフォーカス
完全蝕
完全蝕
欠けない範囲
欠けない範囲
部分蝕
部分蝕
フィルム位置フィルム位置
絞りのどの部分を通って
絞りのどの部分を通って
もも鏡筒に遮られない
鏡筒に遮られない
鏡筒の縁の
鏡筒の縁の
ピンボケ範
ピンボケ範
囲囲
レンズの絞りレンズの絞り
ほぼ開放絞り(後ボケ)ほぼ開放絞り(後ボケ)f f の の 2.0 2.0 倍の距離の光点のボケ倍の距離の光点のボケ
Imagire Day 180
ff
ff
aa
a’a’b’b’
bb
前ボケ(実際の大きさ)前ボケ(実際の大きさ)
合焦位置合焦位置
欠けない範囲
欠けない範囲
完全蝕
完全蝕
f f の の 3.0 3.0 倍の距離にフォーカス倍の距離にフォーカス
部分蝕
部分蝕
フィルム位置フィルム位置
部分蝕
部分蝕
絞りのどこを絞りのどこを通っても鏡筒に通っても鏡筒に遮られない遮られない
鏡筒の縁の鏡筒の縁のピンボケ範囲ピンボケ範囲
絞りのどの部分を通っても絞りのどの部分を通っても鏡筒に遮られるため、鏡筒に遮られるため、外部の光は一切届かない外部の光は一切届かない
レンズの絞りレンズの絞り
少し絞った状態(前ボケ)少し絞った状態(前ボケ)f f の の 2.0 2.0 倍の距離の光点のボケ倍の距離の光点のボケ
Imagire Day 181
ff
ff
aa
a’a’b’b’
bb
後ボケ(実際の大きさ)後ボケ(実際の大きさ)
合焦位置合焦位置
欠けない範囲
欠けない範囲
f f の の 1.5 1.5 倍の距離にフォーカス倍の距離にフォーカス
完全蝕
完全蝕
部分蝕
部分蝕
フィルム位置フィルム位置
絞りのどの部分を通って
絞りのどの部分を通って
もも鏡筒に遮られない
鏡筒に遮られない
鏡筒の縁の
鏡筒の縁の
ピンボケ範
ピンボケ範
囲囲
レンズの絞りレンズの絞り外部の光は
外部の光は
一切届かな
一切届かな
いい
少し絞った状態(後ボケ)少し絞った状態(後ボケ)f f の の 2.0 2.0 倍の距離の光点のボケ倍の距離の光点のボケ
Imagire Day 182
ff
ff
aa
a’a’b’b’
bb
前ボケ(実際の大きさ)前ボケ(実際の大きさ)
欠けない範囲
欠けない範囲
完全蝕
完全蝕
f f の の 3.0 3.0 倍の距離にフォーカス倍の距離にフォーカス 合焦位置合焦位置
部分蝕
部分蝕
フィルム位置フィルム位置
部分蝕
部分蝕
絞りのどこを絞りのどこを通っても鏡筒に通っても鏡筒に遮られない遮られない
鏡筒の縁の鏡筒の縁のピンボケ範囲ピンボケ範囲
絞りのどの部分を通っても絞りのどの部分を通っても鏡筒に遮られるため、鏡筒に遮られるため、外部の光は一切届かない外部の光は一切届かない
レンズの絞りレンズの絞り
さらに絞った状態(前ボケ)さらに絞った状態(前ボケ)f f の の 2.0 2.0 倍の距離の光点のボケ倍の距離の光点のボケ
Imagire Day 183
ffa’a’
b’b’
合焦位置合焦位置f f の の 1.5 1.5 倍の距離にフォーカス倍の距離にフォーカス
欠けない範囲
欠けない範囲
完全蝕
完全蝕
部分蝕
部分蝕
フィルム位置フィルム位置
ffaa
bb
後ボケ(実際の大きさ)後ボケ(実際の大きさ)
絞りのどの部分を通って
絞りのどの部分を通って
もも鏡筒に遮られない
鏡筒に遮られない
鏡筒の縁の
鏡筒の縁の
ピンボケ範
ピンボケ範
囲囲
外部の光は
外部の光は
一切届かな
一切届かな
いいレンズの絞りレンズの絞り
さらに絞った状態(後ボケ)さらに絞った状態(後ボケ)f f の の 2.0 2.0 倍の距離の光点のボケ倍の距離の光点のボケ
Imagire Day 184
口径蝕とケラレの比較口径蝕とケラレの比較
• 絞り前部による口径蝕とケラレ絞り前部による口径蝕とケラレ– 絞りの違いによる比較絞りの違いによる比較
Imagire Day 185
ff
ff
aa
a’a’
bb
合焦位置合焦位置
前ボケ(実際の大きさ)前ボケ(実際の大きさ)
f f の の 3.0 3.0 倍の距離にフォーカス倍の距離にフォーカス
欠けない範囲
欠けない範囲
完全蝕
完全蝕
部分蝕
部分蝕
フィルム位置フィルム位置
部分蝕
部分蝕
鏡筒の縁の鏡筒の縁のピンボケ範囲ピンボケ範囲
絞りのどの部分を通っても絞りのどの部分を通っても鏡筒に遮られるため、鏡筒に遮られるため、外部の光は一切届かない外部の光は一切届かない
レンズの絞りレンズの絞り
b’b’
絞りのどこを絞りのどこを通っても鏡筒通っても鏡筒にに遮られない遮られない
ほぼ開放絞り(前ボケ)ほぼ開放絞り(前ボケ)f f の の 2.0 2.0 倍の距離の光点のボケ倍の距離の光点のボケ
Imagire Day 186
ff
ff
aa
a’a’b’b’
bb
前ボケ(実際の大きさ)前ボケ(実際の大きさ)
合焦位置合焦位置
欠けない範囲
欠けない範囲
完全蝕
完全蝕
f f の の 3.0 3.0 倍の距離にフォーカス倍の距離にフォーカス
部分蝕
部分蝕
フィルム位置フィルム位置
部分蝕
部分蝕
絞りのどこを絞りのどこを通っても鏡筒に通っても鏡筒に遮られない遮られない
鏡筒の縁の鏡筒の縁のピンボケ範囲ピンボケ範囲
絞りのどの部分を通っても絞りのどの部分を通っても鏡筒に遮られるため、鏡筒に遮られるため、外部の光は一切届かない外部の光は一切届かない
レンズの絞りレンズの絞り
少し絞った状態(前ボケ)少し絞った状態(前ボケ)f f の の 2.0 2.0 倍の距離の光点のボケ倍の距離の光点のボケ
Imagire Day 187
ff
ff
aa
a’a’b’b’
bb
前ボケ(実際の大きさ)前ボケ(実際の大きさ)
欠けない範囲
欠けない範囲
完全蝕
完全蝕
f f の の 3.0 3.0 倍の距離にフォーカス倍の距離にフォーカス 合焦位置合焦位置
部分蝕
部分蝕
フィルム位置フィルム位置
部分蝕
部分蝕
絞りのどこを絞りのどこを通っても鏡筒に通っても鏡筒に遮られない遮られない
鏡筒の縁の鏡筒の縁のピンボケ範囲ピンボケ範囲
絞りのどの部分を通っても絞りのどの部分を通っても鏡筒に遮られるため、鏡筒に遮られるため、外部の光は一切届かない外部の光は一切届かない
レンズの絞りレンズの絞り
さらに絞った状態(前ボケ)さらに絞った状態(前ボケ)f f の の 2.0 2.0 倍の距離の光点のボケ倍の距離の光点のボケ
Imagire Day 188
ff
ff
aa
a’a’b’b’
bb
合焦位置合焦位置
後ボケ(実際の大きさ)後ボケ(実際の大きさ)
f f の の 1.5 1.5 倍の距離にフォーカス倍の距離にフォーカス
完全蝕
完全蝕
欠けない範囲
欠けない範囲
部分蝕
部分蝕
フィルム位置フィルム位置
絞りのどの部分を通って
絞りのどの部分を通って
もも鏡筒に遮られない
鏡筒に遮られない
鏡筒の縁の
鏡筒の縁の
ピンボケ範
ピンボケ範
囲囲
レンズの絞りレンズの絞り
ほぼ開放絞り(後ボケ)ほぼ開放絞り(後ボケ)f f の の 2.0 2.0 倍の距離の光点のボケ倍の距離の光点のボケ
Imagire Day 189
ff
ff
aa
a’a’b’b’
bb
後ボケ(実際の大きさ)後ボケ(実際の大きさ)
合焦位置合焦位置
欠けない範囲
欠けない範囲
f f の の 1.5 1.5 倍の距離にフォーカス倍の距離にフォーカス
完全蝕
完全蝕
部分蝕
部分蝕
フィルム位置フィルム位置
絞りのどの部分を通って
絞りのどの部分を通って
もも鏡筒に遮られない
鏡筒に遮られない
鏡筒の縁の
鏡筒の縁の
ピンボケ範
ピンボケ範
囲囲
レンズの絞りレンズの絞り外部の光は
外部の光は
一切届かな
一切届かな
いい
少し絞った状態(後ボケ)少し絞った状態(後ボケ)f f の の 2.0 2.0 倍の距離の光点のボケ倍の距離の光点のボケ
Imagire Day 190
ffa’a’
b’b’
合焦位置合焦位置f f の の 1.5 1.5 倍の距離にフォーカス倍の距離にフォーカス
欠けない範囲
欠けない範囲
完全蝕
完全蝕
部分蝕
部分蝕
フィルム位置フィルム位置
ffaa
bb
後ボケ(実際の大きさ)後ボケ(実際の大きさ)
絞りのどの部分を通って
絞りのどの部分を通って
もも鏡筒に遮られない
鏡筒に遮られない
鏡筒の縁の
鏡筒の縁の
ピンボケ範
ピンボケ範
囲囲
外部の光は
外部の光は
一切届かな
一切届かな
いいレンズの絞りレンズの絞り
さらに絞った状態(後ボケ)さらに絞った状態(後ボケ)f f の の 2.0 2.0 倍の距離の光点のボケ倍の距離の光点のボケ
Imagire Day 191
口径蝕とケラレの比較口径蝕とケラレの比較
• 絞り前部による口径蝕とケラレ絞り前部による口径蝕とケラレ– 後ボケどうしの大小による比較後ボケどうしの大小による比較
• レンズの条件はまったく同じレンズの条件はまったく同じ– 同じ近距離にフォーカス同じ近距離にフォーカス
• 少し離れた距離の光点の後ボケ(小さい後ボケ)少し離れた距離の光点の後ボケ(小さい後ボケ)• さらに離れた距離の光点の後ボケ(大きい後ボケ)さらに離れた距離の光点の後ボケ(大きい後ボケ)
Imagire Day 192
ff
ff
欠けない範囲
欠けない範囲
完全蝕
完全蝕
部分蝕
部分蝕
フィルム位置フィルム位置合焦位置合焦位置
b’b’a’a’
f f の の 2.0 2.0 倍の距離にフォーカス倍の距離にフォーカスf f の の 3.0 3.0 倍の距離の光点のボケ倍の距離の光点のボケ
レンズの絞りレンズの絞り
後ボケ(実際の大きさ)後ボケ(実際の大きさ)
Imagire Day 193
ff
ff
欠けない範囲
欠けない範囲
f f の の 2.0 2.0 倍の距離にフォーカス倍の距離にフォーカスf f の の 5.0 5.0 倍の距離の光点のボケ倍の距離の光点のボケ
完全蝕
完全蝕
部分蝕
部分蝕
フィルム位置フィルム位置合焦位置合焦位置
a’a’
後ボケ(実際の大きさ)後ボケ(実際の大きさ)
レンズの絞りレンズの絞り
Imagire Day 194
口径蝕とケラレの比較口径蝕とケラレの比較
• 絞り前部による口径蝕とケラレ絞り前部による口径蝕とケラレ– 前ボケと後ボケの比較前ボケと後ボケの比較
• レンズの条件は同じレンズの条件は同じ– 同じ距離にフォーカス同じ距離にフォーカス
• フォーカスより近い光点(前ボケ)フォーカスより近い光点(前ボケ)• フォーカスより遠い光点(後ボケ)フォーカスより遠い光点(後ボケ)• ボケの大きさは同じ(前ボケ/後ボケだけの違い)ボケの大きさは同じ(前ボケ/後ボケだけの違い)
Imagire Day 195
合焦位置合焦位置
ff
ff
前ボケ(実際の大きさ)前ボケ(実際の大きさ)
欠けない範囲
欠けない範囲
f f の の 3.0 3.0 倍の距離にフォーカス倍の距離にフォーカスf f の の 1.5 1.5 倍の距離の光点のボケ倍の距離の光点のボケ
完全蝕
完全蝕
部分蝕
部分蝕
フィルム位置フィルム位置
a’a’
レンズの絞りレンズの絞り
Imagire Day 196
ff
ff
後ボケ(実際の大きさ)後ボケ(実際の大きさ)
欠けない範囲
欠けない範囲
f f の の 3.0 3.0 倍の距離にフォーカス倍の距離にフォーカス無限遠の光点のボケ無限遠の光点のボケ
完全蝕
完全蝕
部分蝕
部分蝕
フィルム位置フィルム位置合焦位置合焦位置
a’a’
レンズの絞りレンズの絞り
CEDEC 2007
Imagire Day 197
絞り後部による絞り後部による口径蝕とケラレ口径蝕とケラレ
Imagire Day 198
口径蝕とケラレの比較口径蝕とケラレの比較
• 絞り後部による口径蝕とケラレ絞り後部による口径蝕とケラレ– 前ボケと後ボケの比較前ボケと後ボケの比較
• レンズの条件は同じレンズの条件は同じ– 同じ距離にフォーカス同じ距離にフォーカス
• フォーカスより近い光点(前ボケ)フォーカスより近い光点(前ボケ)• フォーカスより遠い光点(後ボケ)フォーカスより遠い光点(後ボケ)• ボケの大きさは同じ(前ボケ/後ボケだけの違い)ボケの大きさは同じ(前ボケ/後ボケだけの違い)
Imagire Day 199
ff
ffa’a’
b’b’
前ボケ(実際の大きさ)前ボケ(実際の大きさ)
合焦位置合焦位置
欠けない範囲
欠けない範囲
完全蝕
完全蝕
部分蝕
部分蝕
フィルム位置フィルム位置レンズの絞りレンズの絞り
絞り後部による口径蝕とケラレ(前ボケ)絞り後部による口径蝕とケラレ(前ボケ)f f の の 3.0 3.0 倍の距離にフォーカス倍の距離にフォーカスf f の の 2.0 2.0 倍の距離の光点のボケ倍の距離の光点のボケ
Imagire Day 200
ff
ffa’a’
b’b’
後ボケ(実際の大きさ)後ボケ(実際の大きさ)
欠けない範囲
欠けない範囲
完全蝕
完全蝕
部分蝕
部分蝕
レンズの絞りレンズの絞り
絞り後部による口径蝕とケラレ(後ボケ)絞り後部による口径蝕とケラレ(後ボケ)f f の の 3.0 3.0 倍の距離にフォーカス倍の距離にフォーカスf f の の 6.0 6.0 倍の距離の光点のボケ倍の距離の光点のボケ 合焦位置合焦位置
フィルム位置フィルム位置
Imagire Day 201
ff
ffa’a’
b’b’
前ボケ(実際の大きさ)前ボケ(実際の大きさ)
合焦位置合焦位置
欠けない範囲
欠けない範囲
完全蝕
完全蝕
部分蝕
部分蝕
フィルム位置フィルム位置レンズの絞りレンズの絞り
絞り後部による口径蝕とケラレ(前ボケ)絞り後部による口径蝕とケラレ(前ボケ)f f の の 3.0 3.0 倍の距離にフォーカス倍の距離にフォーカスf f の の 2.0 2.0 倍の距離の光点のボケ倍の距離の光点のボケ
Imagire Day 202
ff
ff
後ボケ(実際の大きさ)後ボケ(実際の大きさ)
欠けない範囲
欠けない範囲
完全蝕
完全蝕
部分蝕
部分蝕
レンズの絞りレンズの絞り
絞り後部による口径蝕とケラレ(後ボケ)絞り後部による口径蝕とケラレ(後ボケ)f f の の 3.0 3.0 倍の距離にフォーカス倍の距離にフォーカスf f の の 6.0 6.0 倍の距離の光点のボケ倍の距離の光点のボケ 合焦位置合焦位置
フィルム位置フィルム位置
a’a’b’b’
Imagire Day 203
口径蝕とケラレの比較口径蝕とケラレの比較
• まとめて比較まとめて比較– どのような口径蝕とケラレが起こるかどのような口径蝕とケラレが起こるか
• 絞りの前部と後部による口径蝕とケラレ絞りの前部と後部による口径蝕とケラレ– 絞りによる違い絞りによる違い
• 大/中/小大/中/小– 前ボケ/後ボケおよびボケサイズによる違い前ボケ/後ボケおよびボケサイズによる違い
• それぞれピントの合い具合によるボケサイズの違いそれぞれピントの合い具合によるボケサイズの違い
Imagire Day 204
画像の中心方
画像の中心方
向向
画像の周辺方
画像の周辺方
向向
絞り前部による蝕とケラレ(絞り:大)絞り前部による蝕とケラレ(絞り:大)
絞りの状態絞りの状態
後ボケ後ボケフォーカフォーカスス
前ボ前ボケケ
Imagire Day 205
後ボケ後ボケ前ボ前ボケケ
フォーカフォーカスス
画像の中心方
画像の中心方
向向
画像の周辺方
画像の周辺方
向向
絞りの状態絞りの状態
絞り前部による蝕とケラレ(絞り:中)絞り前部による蝕とケラレ(絞り:中)
Imagire Day 206
画像の中心方
画像の中心方
向向
画像の周辺方
画像の周辺方
向向
絞りの状態絞りの状態
絞り前部による蝕とケラレ(絞り:小)絞り前部による蝕とケラレ(絞り:小)後ボケ後ボケ前ボ前ボ
ケケフォーカフォーカスス
Imagire Day 207
画像の中心方
画像の中心方
向向
画像の周辺方
画像の周辺方
向向
絞りの状態絞りの状態
絞り後部による蝕とケラレ(絞り:大)絞り後部による蝕とケラレ(絞り:大)後ボケ後ボケフォーカフォーカ
スス前ボ前ボケケ
Imagire Day 208
画像の中心方
画像の中心方
向向
画像の周辺方
画像の周辺方
向向
絞りの状態絞りの状態
絞り後部による蝕とケラレ(絞り:中)絞り後部による蝕とケラレ(絞り:中)後ボケ後ボケ前ボ前ボ
ケケフォーカフォーカスス
Imagire Day 209
画像の中心方
画像の中心方
向向
画像の周辺方
画像の周辺方
向向
絞りの状態絞りの状態
絞り後部による蝕とケラレ(絞り:小)絞り後部による蝕とケラレ(絞り:小)後ボケ後ボケ前ボ前ボ
ケケフォーカフォーカスス
Imagire Day 210
口径蝕とケラレの性質口径蝕とケラレの性質
• 画像(フィルム)の中央部から同心円状に発生画像(フィルム)の中央部から同心円状に発生– シフトレンズなどの特殊な構造では異なる可能性もシフトレンズなどの特殊な構造では異なる可能性も
あるある
• レンズやその状態によってケラレる場所も異なレンズやその状態によってケラレる場所も異なるる– 絞りの前部の鏡筒でケラレる絞りの前部の鏡筒でケラレる– 絞りの後部で鏡筒でケラレる絞りの後部で鏡筒でケラレる– どの部分でケラレるかによって欠けかたも異なるどの部分でケラレるかによって欠けかたも異なる
• 前部か後部かで性質が逆転する前部か後部かで性質が逆転する
Imagire Day 211
絞り前部によるケラレ絞り前部によるケラレ
• 前ボケは内側から欠け始める前ボケは内側から欠け始める• 後ボケは外側から欠け始める後ボケは外側から欠け始める• 後ボケの方が欠けやすい後ボケの方が欠けやすい
– 外側から欠け始めるため外側から欠け始めるため
• ある一枚の写真の中(レンズの条件が同じ)ではある一枚の写真の中(レンズの条件が同じ)では– 欠け(始め)やすさは欠け(始め)やすさは
• 前ボケ(大)<前ボケ(小)<後ボケ(小)<後ボケ(大)前ボケ(大)<前ボケ(小)<後ボケ(小)<後ボケ(大)– 欠け(終わり)やすさは逆に欠け(終わり)やすさは逆に
• 前ボケ(大)>前ボケ(小)>後ボケ(小)>後ボケ(大)前ボケ(大)>前ボケ(小)>後ボケ(小)>後ボケ(大)
前ボ前ボケケ
後ボケ後ボケ
Imagire Day 212
絞り後部によるケラレ絞り後部によるケラレ
• 前ボケは外側から欠け始める前ボケは外側から欠け始める• 後ボケは内側から欠け始める後ボケは内側から欠け始める• 前ボケの方が欠けやすい前ボケの方が欠けやすい
– 外側から欠け始めるため外側から欠け始めるため
• ある一枚の写真の中(レンズの条件が同じ)ではある一枚の写真の中(レンズの条件が同じ)では– 欠け(始め)やすさは欠け(始め)やすさは
• 前ボケ(大)>前ボケ(小)>後ボケ(小)>後ボケ(大)前ボケ(大)>前ボケ(小)>後ボケ(小)>後ボケ(大)– 欠け(終わり)やすさは逆に欠け(終わり)やすさは逆に
• 前ボケ(大)<前ボケ(小)<後ボケ(小)<後ボケ(大)前ボケ(大)<前ボケ(小)<後ボケ(小)<後ボケ(大)
前ボ前ボケケ
後ボケ後ボケ
Imagire Day 213
口径蝕とケラレの特性口径蝕とケラレの特性• 絞りが大きいほど起きやすい絞りが大きいほど起きやすい
– 絞りが大きいほど中央寄りから欠け始める絞りが大きいほど中央寄りから欠け始める– 半分欠ける(中央からの)距離は絞りやボケサイズに関わらず同じ半分欠ける(中央からの)距離は絞りやボケサイズに関わらず同じ– 絞りが小さい方が中央寄りで欠け終わる(完全にケラレる)絞りが小さい方が中央寄りで欠け終わる(完全にケラレる)
• ただし実際のフィルムはかなり小さいただし実際のフィルムはかなり小さい• 欠け終わる(完全にケラレる)場所はほとんどのケースでフィルム外欠け終わる(完全にケラレる)場所はほとんどのケースでフィルム外
– 実質的には絞りが小さいほど欠けにくい実質的には絞りが小さいほど欠けにくい
通常この辺りはフィルム外
通常この辺りはフィルム外
Imagire Day 214
口径蝕とケラレの特性口径蝕とケラレの特性
• 広角ほど起きやすく望遠ほど起きにくい広角ほど起きやすく望遠ほど起きにくい
• 典型的な状況:典型的な状況:– 広角で開放絞りで近くにフォーカス(マクロ撮影が広角で開放絞りで近くにフォーカス(マクロ撮影が典型的)典型的)
遠景のボケ(後ボケ)が欠ける遠景のボケ(後ボケ)が欠ける
Imagire Day 215
開放絞りの前部による口径蝕(後ボケ)開放絞りの前部による口径蝕(後ボケ)
Imagire Day 216
大きな後ボケはより中央から欠け始める大きな後ボケはより中央から欠け始める
Imagire Day 217
大きな後ボケはより中央から欠け始める大きな後ボケはより中央から欠け始める
Imagire Day 218
少し絞った後ボケ(口径蝕が軽減)少し絞った後ボケ(口径蝕が軽減)
Imagire Day 219
さらに絞り込んだ後ボケ(口径蝕なし)さらに絞り込んだ後ボケ(口径蝕なし)
CEDEC 2007
Imagire Day 220
人間の眼とカメラレンズと人間の眼とカメラレンズとCGと像面歪曲CGと像面歪曲
画角の違いと特徴画角の違いと特徴
Imagire Day 221
人間の眼と魚眼レンズと f人間の眼と魚眼レンズと f θθ レンズレンズ
• CGや理想的なカメラレンズCGや理想的なカメラレンズ– 空間を平面で切り取った投影空間を平面で切り取った投影– 像の大きさ像の大きさ
• f tanf tan θθ に比例に比例
• 人間の眼の結像特性人間の眼の結像特性– 空間を球面の一部(半球面など)で切り取った投影空間を球面の一部(半球面など)で切り取った投影– 像の大きさは画角に比例する像の大きさは画角に比例する
• 魚眼レンズと同じタイプ魚眼レンズと同じタイプ• ff θθ に比例に比例
– CGや理想的なカメラレンズとは異なる特性をもつCGや理想的なカメラレンズとは異なる特性をもつ
Imagire Day 222
投影の違い投影の違い
理想的なカメラレンズやCG理想的なカメラレンズやCG 人間の眼や魚眼レンズ人間の眼や魚眼レンズ
スクリーンへの投影サイズ(全て同じ)スクリーンへの投影サイズ(全て同じ)
Imagire Day 223
投影の違い(同サイズに投影される範囲)投影の違い(同サイズに投影される範囲)
理想的なカメラレンズやCG理想的なカメラレンズやCG 人間の眼や魚眼レンズ人間の眼や魚眼レンズ
スクリーンへの投影サイズ(全て同じ)スクリーンへの投影サイズ(全て同じ)
Imagire Day 224
望遠ではほぼ同じ(望遠ではほぼ同じ( θ≒θ≒tantan θθ ))
理想的なカメラレンズやCG理想的なカメラレンズやCG 人間の眼や魚眼レンズ人間の眼や魚眼レンズ
Imagire Day 225
広角では特に大きく投影が異なる(広角では特に大きく投影が異なる( θ≠θ≠ tantanθθ ))
理想的なカメラレンズやCG理想的なカメラレンズやCG 人間の眼や魚眼レンズ人間の眼や魚眼レンズ
スクリーンへの投影サイズ(全て同じ)スクリーンへの投影サイズ(全て同じ)
Imagire Day 226
広角では特に大きく投影が異なる(広角では特に大きく投影が異なる( θ≠θ≠ tantanθθ ))
理想的なカメラレンズやCG理想的なカメラレンズやCG 人間の眼や魚眼レンズ人間の眼や魚眼レンズ
スクリーンへの投影サイズ(全て同じ)スクリーンへの投影サイズ(全て同じ)
Imagire Day 227
結像の特性結像の特性
• 理想的なカメラレンズ理想的なカメラレンズ– 像の大きさはレンズから垂直方向の距離に依存像の大きさはレンズから垂直方向の距離に依存
• 物理距離が同じでも斜め方向は大きく映る物理距離が同じでも斜め方向は大きく映る• 垂直方向の距離が同じなら物理距離が異なっても同じ大きさ垂直方向の距離が同じなら物理距離が異なっても同じ大きさ• カメラの向きを変えると像の大きさも変化するカメラの向きを変えると像の大きさも変化する
– 特に広角で顕著特に広角で顕著
– 物理的な直線は必ず直線に投影される物理的な直線は必ず直線に投影される
Imagire Day 228
結像の特性結像の特性
• 人間の眼や魚眼レンズ人間の眼や魚眼レンズ– 像の大きさはレンズからの直線距離に依存像の大きさはレンズからの直線距離に依存
• 物理距離が同じなら同じ大きさに映る物理距離が同じなら同じ大きさに映る• 眼の向きを変えても像の大きさは変化しない眼の向きを変えても像の大きさは変化しない
– 物理的な直線が直線に投影されない物理的な直線が直線に投影されない• 画面中央部が膨らんで見える画面中央部が膨らんで見える
Imagire Day 229
正面に直線状に並んだ同サイズの被写体正面に直線状に並んだ同サイズの被写体カメラからの垂直距離は等しいカメラからの垂直距離は等しい
理想的なカメラレンズやCG理想的なカメラレンズやCG 人間の眼や魚眼レンズ人間の眼や魚眼レンズ
Imagire Day 230
45度右を向いたときの投影の変化45度右を向いたときの投影の変化
理想的なカメラレンズやCG理想的なカメラレンズやCG 人間の眼や魚眼レンズ人間の眼や魚眼レンズ
Imagire Day 231
カメラの方向を変えたときの像の変化カメラの方向を変えたときの像の変化同色のボールの投影サイズの変化に注意同色のボールの投影サイズの変化に注意
理想的なカメラレンズやCG理想的なカメラレンズやCG
45度右を向くと45度右を向くと画像が左にずれるだけでなく画像が左にずれるだけでなく像サイズも変化する像サイズも変化する
人間の眼や魚眼レンズ人間の眼や魚眼レンズ
45度右を向くと45度右を向くと画像が左にずれるだけで画像が左にずれるだけで像サイズは変わらない像サイズは変わらない
Imagire Day 232
カメラから等距離に並んだ同サイズの被写体カメラから等距離に並んだ同サイズの被写体カメラからの垂直距離は異なるカメラからの垂直距離は異なる
理想的なカメラレンズやCG理想的なカメラレンズやCG 人間の眼や魚眼レンズ人間の眼や魚眼レンズ
Imagire Day 233
45度右を向いたときの投影の変化45度右を向いたときの投影の変化
理想的なカメラレンズやCG理想的なカメラレンズやCG 人間の眼や魚眼レンズ人間の眼や魚眼レンズ
Imagire Day 234
カメラの方向を変えたときの像の変化カメラの方向を変えたときの像の変化同色のボールの投影サイズの変化に注意同色のボールの投影サイズの変化に注意
理想的なカメラレンズやCG理想的なカメラレンズやCG
45度右を向くと45度右を向くと画像が左にずれるだけでなく画像が左にずれるだけでなく像サイズも変化する像サイズも変化する
人間の眼や魚眼レンズ人間の眼や魚眼レンズ
45度右を向くと45度右を向くと画像が左にずれるだけで画像が左にずれるだけで像サイズは変わらない像サイズは変わらない
Imagire Day 235
投影の違い(超広角での比較)投影の違い(超広角での比較)
理想的なカメラレンズやCG理想的なカメラレンズやCG 人間の眼や魚眼レンズ人間の眼や魚眼レンズ
Imagire Day 236
投影の違い(超広角での比較)投影の違い(超広角での比較)
理想的なカメラレンズやCG理想的なカメラレンズやCG 人間の眼や魚眼レンズ人間の眼や魚眼レンズ
CEDEC 2007
Imagire Day 237
歪曲収差歪曲収差
DistortionDistortion
Imagire Day 238
歪曲収差歪曲収差
• レンズの歪曲収差レンズの歪曲収差– 球面収差などの要因により像が歪む球面収差などの要因により像が歪む– たる型歪曲と糸巻き型歪曲たる型歪曲と糸巻き型歪曲
たる型歪曲収差たる型歪曲収差 糸巻き型歪曲収差糸巻き型歪曲収差
Imagire Day 239
ズームレンズの広角側(たる型)ズームレンズの広角側(たる型)
歪曲収差歪曲収差
• 広角ではたる型歪曲が生じやすい広角ではたる型歪曲が生じやすい– 特にズームレンズの広角側特にズームレンズの広角側– 魚眼レンズのような歪み魚眼レンズのような歪み
Imagire Day 240
広角/超広角レンズとは広角/超広角レンズとは
• 魚眼レンズの投影とは異なる魚眼レンズの投影とは異なる– CGと同じ投影CGと同じ投影– 歪曲の生じないものが理想歪曲の生じないものが理想
• 歪曲が補正されたレンズ歪曲が補正されたレンズ– 比較的高価な広角/広角ズームレンズ比較的高価な広角/広角ズームレンズ– 非球面レンズなどで補正非球面レンズなどで補正
• 歪曲収差の生じるレンズ歪曲収差の生じるレンズ– 高価ではないTVカメラのズームレンズなど高価ではないTVカメラのズームレンズなど– 特に広角側で大きく像が歪む(たる型歪曲)特に広角側で大きく像が歪む(たる型歪曲)
Imagire Day 241
歪曲が補正された広角/超広角レンズ歪曲が補正された広角/超広角レンズ
• ほぼ理論通りの広角撮影が可能ほぼ理論通りの広角撮影が可能– CGと同様の透視投影CGと同様の透視投影
• 透視(パースペクティブ)が強調される透視(パースペクティブ)が強調される– 斜め方向の画像が大きく伸びる斜め方向の画像が大きく伸びる– 直角が鋭角に写る直角が鋭角に写る
• 正面から見ると直角でもカメラの向きを変えると鋭角になる正面から見ると直角でもカメラの向きを変えると鋭角になる
• 室内や建築物/広告写真などによく利用される室内や建築物/広告写真などによく利用される– 直線を直線に、歪み無く撮影できるため直線を直線に、歪み無く撮影できるため
Imagire Day 242
超広角画像に違和感を感じる理由超広角画像に違和感を感じる理由
• 超広角なCG映像や魚眼レンズ写真超広角なCG映像や魚眼レンズ写真– 強烈な違和感を感じる強烈な違和感を感じる
• 魚眼レンズの非常に強いたる型歪曲魚眼レンズの非常に強いたる型歪曲• 超広角CGの強調された遠近感超広角CGの強調された遠近感
Imagire Day 243
超広角画像に違和感を感じる理由超広角画像に違和感を感じる理由
• 本来画像を正しく見るためには本来画像を正しく見るためには– 撮影時の投影状況の再現が必要撮影時の投影状況の再現が必要– 魚眼レンズ魚眼レンズ
• 180度などの半球スクリーンに投影180度などの半球スクリーンに投影• 半球スクリーンの中央部に眼を置く半球スクリーンの中央部に眼を置く
– カメラやCG映像カメラやCG映像• 撮影時の画角に一致する位置に眼を置く撮影時の画角に一致する位置に眼を置く• 超広CGではスクリーンにくっつくほど近い超広CGではスクリーンにくっつくほど近い
Imagire Day 244
半球スクリーン半球スクリーン
スクリーンスクリーン
超広角画像を正しく見るための条件超広角画像を正しく見るための条件
• 撮影時の投影状況の再現撮影時の投影状況の再現
正確な透視の超広角画像正確な透視の超広角画像 魚眼画像魚眼画像
Imagire Day 245
現実の鑑賞環境現実の鑑賞環境
• 超広角や魚眼の投影からは程遠い超広角や魚眼の投影からは程遠い– 超広角や魚眼画像を見ると違和感を感じる超広角や魚眼画像を見ると違和感を感じる
• 超広角や魚眼でなければ比較的差が少ない超広角や魚眼でなければ比較的差が少ない– 違和感が少ない違和感が少ない
スクリーンスクリーン
Imagire Day 246
歪曲が補正された広角/超広角レンズ歪曲が補正された広角/超広角レンズ
• 広角でもそれほど極端な違和感は感じない広角でもそれほど極端な違和感は感じない– なぜかなぜか
• 広角レンズとCGの画角広角レンズとCGの画角– 広角レンズは垂直画角で38度から45度程度広角レンズは垂直画角で38度から45度程度– 超広角レンズでも50度から最大で90度程度超広角レンズでも50度から最大で90度程度– 広角レンズといってもCGでは標準に近い広角レンズといってもCGでは標準に近い
• ゲームなどでは垂直画角45度は標準的ゲームなどでは垂直画角45度は標準的
Imagire Day 247
歪曲が補正された広角/超広角レンズ歪曲が補正された広角/超広角レンズ
• 写真はアニメーションしない写真はアニメーションしない– カメラの向きが変わるときに違和感を感じやすいカメラの向きが変わるときに違和感を感じやすい
• 向きによって画像のサイズや角度が大きく変化する向きによって画像のサイズや角度が大きく変化する– 写真などの静止画では違和感を感じにくい写真などの静止画では違和感を感じにくい
• 正確な透視の超広角実写映像(動画)正確な透視の超広角実写映像(動画)– そもそも目にする機会がかなり少ないそもそも目にする機会がかなり少ない
Imagire Day 248
違和感を感じるような広角CG違和感を感じるような広角CG
• レンズの投影としては正しいレンズの投影としては正しい– 正確な透視正確な透視
• 非常に硬いイメージの映像非常に硬いイメージの映像• 不自然に感じやすい不自然に感じやすい
– 現実世界であまり見慣れていない現実世界であまり見慣れていない• 実写映像(動画)ではあまり存在しない実写映像(動画)ではあまり存在しない
• CGっぽさを感じる要因の一つCGっぽさを感じる要因の一つ– アニメーションCGなどでも違和感を感じやすいアニメーションCGなどでも違和感を感じやすい
Imagire Day 249
たる型歪曲の広角映像たる型歪曲の広角映像
• レンズとしてはチープレンズとしてはチープ• やわらかいイメージの映像やわらかいイメージの映像• TV映像などで比較的見慣れているTV映像などで比較的見慣れている• 比較的自然な広角表現比較的自然な広角表現
– 魚眼のような極端な広角でなければ人間の視野に近魚眼のような極端な広角でなければ人間の視野に近いい
• 不自然な遠近感の軽減不自然な遠近感の軽減– 多少広角になっても遠近感が強調されない多少広角になっても遠近感が強調されない
Imagire Day 250
歪曲収差の表現歪曲収差の表現
• 意図的に歪曲収差を表現する意図的に歪曲収差を表現する– 広角映像がやわらかく感じられる広角映像がやわらかく感じられる– CGっぽさが軽減されるCGっぽさが軽減される– 魚眼レンズ的なカメラの演出魚眼レンズ的なカメラの演出– FPSなどで違和感少なく画角を広くできる?FPSなどで違和感少なく画角を広くできる?
• 直線が直線に投影されないので問題があるかも直線が直線に投影されないので問題があるかも
• アニメーションなどでは昔から使われているアニメーションなどでは昔から使われている– 経験的によく知られた現象経験的によく知られた現象– カメラのパニング時カメラのパニング時
• 向きによって像サイズが変わらない方が違和感が少ない向きによって像サイズが変わらない方が違和感が少ない• 同じ絵をずらすだけで表現できるという製作上の優位点同じ絵をずらすだけで表現できるという製作上の優位点
– 魚眼レンズ的なカメラの演出として魚眼レンズ的なカメラの演出として
Imagire Day 251
ポストエフェクトによる歪曲効果ポストエフェクトによる歪曲効果
• 正確な透視でレンダリングされたシーンを歪ま正確な透視でレンダリングされたシーンを歪ませるせる
• 画角ベースの投影(魚眼)画像に変換画角ベースの投影(魚眼)画像に変換– ピクセルシェーダで変換できるピクセルシェーダで変換できる– スクリーン中心からの距離を画角とみなすスクリーン中心からの距離を画角とみなす
• 現在のピクセル座標から画角を計算現在のピクセル座標から画角を計算– その画角に出力すべき透視画像ソースの座標を計算その画角に出力すべき透視画像ソースの座標を計算
• 画角画角 θθ を tanを tan θθ ベースの‘中心からの距離’に変換ベースの‘中心からの距離’に変換• 現在のピクセル座標をスクリーン中心基準でスケーリング現在のピクセル座標をスクリーン中心基準でスケーリング
– θθtantan θθ 変換による伸び率でスケーリング変換による伸び率でスケーリング– スケーリングの程度で歪曲の度合いを調整できるスケーリングの程度で歪曲の度合いを調整できる
– ソース画像をサンプリングして出力ソース画像をサンプリングして出力
Imagire Day 252
垂直画角130度を基準に f垂直画角130度を基準に f θθ系に歪曲系に歪曲正確な透視(垂直画角130度)正確な透視(垂直画角130度) ff θθ系への歪曲(垂直画角130度)系への歪曲(垂直画角130度)
Imagire Day 253
ポストエフェクト歪曲効果の問題ポストエフェクト歪曲効果の問題
• 超広角時の中央部(カメラ正面)超広角時の中央部(カメラ正面)– 正確な透視正確な透視
• 非常に小さく映る非常に小さく映る• 画角180度に近づくほど極端に、無限に小さくなる画角180度に近づくほど極端に、無限に小さくなる
– 魚眼魚眼• 画角に反比例するだけでそれほど縮小されない画角に反比例するだけでそれほど縮小されない
• 超広角時の歪曲効果超広角時の歪曲効果 中央部が大きく拡大される中央部が大きく拡大される
Imagire Day 254
中央部の拡大によるエイリアス中央部の拡大によるエイリアス
• 超広角時は中央部が大きく拡大される超広角時は中央部が大きく拡大される– もとの画像でレンダリング時のサンプリングが足りもとの画像でレンダリング時のサンプリングが足り
ないない 中央部分に強いエイリアスが発生中央部分に強いエイリアスが発生
Imagire Day 255
中央部の拡大によるエイリアス中央部の拡大によるエイリアス
• もとの画像のマルチサンプル化もとの画像のマルチサンプル化• 歪曲時のボカしフィルタ歪曲時のボカしフィルタ
– 中央部がボケた画像になる中央部がボケた画像になる
• もとの画像の解像度を上げるもとの画像の解像度を上げる– スーパーサンプリングスーパーサンプリング– 実装が容易実装が容易– メモリとフィルレートの消費メモリとフィルレートの消費– コストパフォーマンスはあまり高くないコストパフォーマンスはあまり高くない
• 中央部はかなり拡大されるため、負荷に対して効果が少な中央部はかなり拡大されるため、負荷に対して効果が少ないい
Imagire Day 256
ポストエフェクト歪曲効果の問題ポストエフェクト歪曲効果の問題
• 複数の向きの画像から生成複数の向きの画像から生成– 上下左右の四方向程度上下左右の四方向程度
• 各方向の解像度はそれほど高くなくても良い各方向の解像度はそれほど高くなくても良い– 高品質高品質– マルチパスレンダリングが必要マルチパスレンダリングが必要
• 頂点処理およびCPUオーバヘッドが大きい頂点処理およびCPUオーバヘッドが大きい• 実装が面倒実装が面倒
Imagire Day 257
ポストエフェクト歪曲効果の問題ポストエフェクト歪曲効果の問題
• 歪曲された画像は非矩形歪曲された画像は非矩形– 周辺部はもとの画像に情報が存在しない周辺部はもとの画像に情報が存在しない– 魚眼レンズのように周辺部が欠落魚眼レンズのように周辺部が欠落
Imagire Day 258
周辺部の欠落問題の軽減周辺部の欠落問題の軽減
• 対角画角を基準にする対角画角を基準にする– 対角魚眼レンズのようなイメージ対角魚眼レンズのようなイメージ– 画像の欠落がなくなる画像の欠落がなくなる
• 隅の部分は常にもとの画像より拡大されるため隅の部分は常にもとの画像より拡大されるため
Imagire Day 259
周辺部の欠落問題の軽減(対角画角基準)周辺部の欠落問題の軽減(対角画角基準)• 全体的に拡大されるため画質は全体的に拡大されるため画質は
さらに低下するさらに低下する– 特に中央部がかなり拡大される特に中央部がかなり拡大される
• もとの画像のかなりの面積が破もとの画像のかなりの面積が破棄される棄される– シーンレンダリングの多くのピシーンレンダリングの多くのピ
クセルが無駄になるクセルが無駄になる– ステンシルテストなどで多少はステンシルテストなどで多少は軽減できる?軽減できる?
Imagire Day 260
周辺部の欠落問題の軽減周辺部の欠落問題の軽減
• 周辺部をフォールオフ周辺部をフォールオフ– スムーズに暗くして誤魔化すスムーズに暗くして誤魔化す– ケラレや周辺光量落ち(周辺減光)を強めにかけるケラレや周辺光量落ち(周辺減光)を強めにかける
• もともとこれらは広角で目立ちやすいもともとこれらは広角で目立ちやすい
• 折衷案?折衷案?– 水平画角程度を基準にする水平画角程度を基準にする– 周辺部をフォールオフ周辺部をフォールオフ
Imagire Day 261
水平画角150度を基準に f水平画角150度を基準に f θθ系に歪曲系に歪曲正確な透視(水平画角150度)正確な透視(水平画角150度) ff θθ系への歪曲(水平画角150度 )系への歪曲(水平画角150度 )
Imagire Day 262
たる型歪曲と糸巻き型歪曲たる型歪曲と糸巻き型歪曲
• ズームレンズに多いズームレンズに多い– 広角側ではたる型広角側ではたる型– 望遠側では糸巻き型望遠側では糸巻き型
• ポストエフェクトでの実装ポストエフェクトでの実装– ある程度以上望遠側では逆変換ある程度以上望遠側では逆変換
ズームレンズの望遠側(糸巻き型)ズームレンズの望遠側(糸巻き型)ズームレンズの広角側(たる型)ズームレンズの広角側(たる型)
Imagire Day 263
広角側のたる型歪曲効果広角側のたる型歪曲効果
Imagire Day 264
広角側(元画像:歪曲なし)広角側(元画像:歪曲なし)
Imagire Day 265
望遠側の糸巻き型歪曲効果望遠側の糸巻き型歪曲効果
Imagire Day 266
望遠側(元画像:歪曲なし)望遠側(元画像:歪曲なし)
Imagire Day 267
陣笠型歪曲陣笠型歪曲
• 両方が組み合わさった歪曲両方が組み合わさった歪曲– レンズによっては画像の場所ごとに歪曲の方向が異レンズによっては画像の場所ごとに歪曲の方向が異
なるなる– 陣笠型歪曲陣笠型歪曲
• 少し外側ではたる型歪曲少し外側ではたる型歪曲• 周辺部では糸巻き型歪曲周辺部では糸巻き型歪曲
– etc.etc.
• 実装しても効果は少ない実装しても効果は少ない
CEDEC 2007
Imagire Day 268
光芒(光条)光芒(光条)
Imagire Day 269
光芒(光条)光芒(光条)
• スター/クロス/ライトストリーク スター/クロス/ライトストリーク etc.etc.
• 輝点から筋状に伸びるグレア輝点から筋状に伸びるグレア
• 光芒(光条)の原因光芒(光条)の原因– 絞りによる光の回折絞りによる光の回折– クロスフィルタクロスフィルタ– デジタルカメラのスミアデジタルカメラのスミア– etc.etc.
Imagire Day 270
光芒(光条)の原因光芒(光条)の原因
• 絞りによる光の回折絞りによる光の回折– 後述後述
• クロスフィルタクロスフィルタ– 光芒を意図的に発生させるフィルタ光芒を意図的に発生させるフィルタ– 透明なフィルタ表面に細かな溝が刻まれている透明なフィルタ表面に細かな溝が刻まれている
• 屈折や回折によって光芒が発生屈折や回折によって光芒が発生
• デジタルカメラのスミアデジタルカメラのスミア– CCDセンサ特有の現象CCDセンサ特有の現象– 多くは上下のみに発生多くは上下のみに発生
• 液晶プレビューなどで紫の上下のスミアがよく見られる液晶プレビューなどで紫の上下のスミアがよく見られる
CEDEC 2007
Imagire Day 271
絞りによる光の回折絞りによる光の回折
Imagire Day 272
回折とは回折とは
• 波が障害物の後ろ側などに回り込む現象波が障害物の後ろ側などに回り込む現象– 非常に小さな穴は光が直進できずに広がる非常に小さな穴は光が直進できずに広がる
• 波長が短いほど小さな隙間で発生波長が短いほど小さな隙間で発生– 可視光より波長の長い電波はより大きい隙間でも発生可視光より波長の長い電波はより大きい隙間でも発生
Imagire Day 273
回折の特徴回折の特徴
• 小さな隙間ほど起こりやすい小さな隙間ほど起こりやすい
Imagire Day 274
回折の特徴回折の特徴
• 障害物の壁に対して垂直に回り込む障害物の壁に対して垂直に回り込む– 円形の穴円形の穴
• 放射状に広がる放射状に広がる– 縦向きの隙間縦向きの隙間
• 横方向に広がる横方向に広がる– 横向きの隙間横向きの隙間
• 縦方向に広がる縦方向に広がる– 正方形の穴正方形の穴
• 辺に垂直に広がる辺に垂直に広がる
• 壁の反対側にも広がる壁の反対側にも広がる
Imagire Day 275
絞りによる光芒の発生絞りによる光芒の発生
• 絞りによる回折で光が広がる絞りによる回折で光が広がる
Imagire Day 276
絞りによる光芒の発生(ほぼ開放絞り)絞りによる光芒の発生(ほぼ開放絞り)
Imagire Day 277
絞りによる光芒の発生(少し絞り込む)絞りによる光芒の発生(少し絞り込む)
Imagire Day 278
絞りによる光芒の発生(さらに絞り込む)絞りによる光芒の発生(さらに絞り込む)
Imagire Day 279
絞りによる光芒の発生(かなり絞り込む)絞りによる光芒の発生(かなり絞り込む)
Imagire Day 280
絞りによる光芒の発生(4枚羽根絞りの場絞りによる光芒の発生(4枚羽根絞りの場合)合)
Imagire Day 281
絞りによる光芒の発生絞りによる光芒の発生
• 絞り込むほど強い方向性をもって鋭く発生絞り込むほど強い方向性をもって鋭く発生– 小さい穴の方が回折が起こりやすいため小さい穴の方が回折が起こりやすいため– 絞り込むほど絞り形状が角張るために発生方向が集絞り込むほど絞り形状が角張るために発生方向が集中中
• 開放絞り(円形)ではブルームになる開放絞り(円形)ではブルームになる– 非常に鋭く明るい光源の場合は無数の放射状非常に鋭く明るい光源の場合は無数の放射状
– 実際にはかなり絞り込まないと強い光芒は発生しな実際にはかなり絞り込まないと強い光芒は発生しないい
Imagire Day 282
絞りによる光芒の発生絞りによる光芒の発生
• 刃(絞りの辺)の反対側にも発生する刃(絞りの辺)の反対側にも発生する– 奇数絞り(5/7枚羽根絞りなど)奇数絞り(5/7枚羽根絞りなど)
• 結果として絞り羽根の枚数の2倍の光芒が発生結果として絞り羽根の枚数の2倍の光芒が発生– 5枚羽根絞りでは10本5枚羽根絞りでは10本
– 偶数絞り(4/6/8/10枚羽根絞り)偶数絞り(4/6/8/10枚羽根絞り)• 反対側の光芒と重なって強い光芒が発生反対側の光芒と重なって強い光芒が発生• 光芒の本数は絞り羽根の枚数と同じ光芒の本数は絞り羽根の枚数と同じ• 絞りが綺麗な対象形でない場合絞りが綺麗な対象形でない場合
– 安価なカメラの絞りなど安価なカメラの絞りなど– 微妙にずれた方向に2倍の光芒が発生微妙にずれた方向に2倍の光芒が発生
• 絞りのエッジ(辺)から垂直方向に広が絞りのエッジ(辺)から垂直方向に広がるる– 直接的には角から発生するわけでは無い直接的には角から発生するわけでは無い
• 偶数絞りの場合角からは発生しない偶数絞りの場合角からは発生しない• 奇数絞りでは結果として角からも発生する奇数絞りでは結果として角からも発生する
4枚羽根絞り4枚羽根絞り
5枚羽根絞り5枚羽根絞り
Imagire Day 283
4枚羽根絞りによる4方向の光芒4枚羽根絞りによる4方向の光芒
Imagire Day 284
クロスフィルタによる光芒クロスフィルタによる光芒
• 絞りとは無関係に発生絞りとは無関係に発生– 絞りによる光芒よりも強く発生する絞りによる光芒よりも強く発生する
• 全体的にボケてソフトフォーカスになりやすい全体的にボケてソフトフォーカスになりやすい
• さまざまなタイプの製品があるさまざまなタイプの製品がある– 4本~8本程度の光芒数4本~8本程度の光芒数
• クロスフィルタ(4本)クロスフィルタ(4本)• スノークロスフィルタ(6本)スノークロスフィルタ(6本)• サニークロスフィルタ(8本)サニークロスフィルタ(8本)
– 波長による分散を強く起こすもの波長による分散を強く起こすもの• 色が明確に分かれた光芒色が明確に分かれた光芒
– etc.etc.
• 宝飾品やイルミネーションの写真によく利用される宝飾品やイルミネーションの写真によく利用される
CEDEC 2007
Imagire Day 285
カメラとCGのリアリティカメラとCGのリアリティ
まとめまとめ
Imagire Day 286
カメラとCGのリアリティカメラとCGのリアリティ
• カメラやレンズに起因する諸問題カメラやレンズに起因する諸問題– グレアグレア– 収差収差– 露光オーバー/アンダー露光オーバー/アンダー
• 本来は除去すべき対象本来は除去すべき対象• 除去しきれない収差など除去しきれない収差など
– カメラらしい味となるカメラらしい味となる
• CGでカメラの問題を敢えて再現CGでカメラの問題を敢えて再現– リアリティが生まれるリアリティが生まれる
• そういった傾向の実写を見慣れているためそういった傾向の実写を見慣れているため
– ただし‘過ぎたるは及ばざるが如し’ただし‘過ぎたるは及ばざるが如し’
CEDEC 2007
Imagire Day 287
小手先テクニックと小手先テクニックとアドバイスアドバイス
TipsTips
Imagire Day 288
小手先テクニックとアドバイス(小手先テクニックとアドバイス( TipsTips ))
• 複合ガウスフィルタ(MGF)複合ガウスフィルタ(MGF)• 非同期GPUフィードバック非同期GPUフィードバック• カメラの画角とCGの画角カメラの画角とCGの画角• エンジニアの陥りがちな罠エンジニアの陥りがちな罠
CEDEC 2007
Imagire Day 289
複合ガウスフィルタ複合ガウスフィルタ
MGF(MGF( Multiple Gaussian FiltersMultiple Gaussian Filters ))
より自然なブルームフィルタより自然なブルームフィルタ
Imagire Day 290
ブルーム(ブルーム( BloomBloom ))
Imagire Day 291
ブルーム表現に理想的なフィルタの性質ブルーム表現に理想的なフィルタの性質
• 重要な性質重要な性質– フィルタカーネルの中央に鋭いピークがあるフィルタカーネルの中央に鋭いピークがある– 広い範囲にブラーが広がる広い範囲にブラーが広がる
• フィルタの解像度に依存しないフィルタの解像度に依存しない– フィルタを適用するバッファサイズが異なる場合フィルタを適用するバッファサイズが異なる場合
• 見た目が同じであることが望ましい見た目が同じであることが望ましい
Imagire Day 292
小さな光源(広角で小さく撮影)小さな光源(広角で小さく撮影)
• ブルームの広がりは小さいブルームの広がりは小さい– 輝点に近い部分には非常に明るいピーク輝点に近い部分には非常に明るいピーク
Imagire Day 293
大きな光源(同じ光源を望遠で大きく撮大きな光源(同じ光源を望遠で大きく撮影)影)
• 面積が大きくなった分全体の光量が増える面積が大きくなった分全体の光量が増える• ブルームの広がりも大きいブルームの広がりも大きい
– ブルームの見た目は小さな光源と似ているブルームの見た目は小さな光源と似ている
大きな光源大きな光源 小さな光源小さな光源
Imagire Day 294
露出を下げた大きな光源露出を下げた大きな光源
• 露出が下がった分光量が減る露出が下がった分光量が減る• ブルームの広がりも小さいブルームの広がりも小さい
– 輝点に近い部分にはやはり明るいピーク輝点に近い部分にはやはり明るいピーク
Imagire Day 295
明るさの異なる光源のグレア形状明るさの異なる光源のグレア形状
”V838 Monocerotis”NASA, , ESA, and H. Bond (, and H. Bond (STScI) )
Imagire Day 296
明るさの異なる光源のグレア形状明るさの異なる光源のグレア形状
“Globular Cluster NGC 6397”NASA, ESA, and H. Richer (University of British Columbia)
Imagire Day 297
ブルーム表現に理想的なフィルタの性質ブルーム表現に理想的なフィルタの性質
• 明るさやサイズの異なる光源のブルーム明るさやサイズの異なる光源のブルーム– 広がりが輝点の明るさにおおよそ比例する広がりが輝点の明るさにおおよそ比例する– 相似形に近い見た目になるのが自然相似形に近い見た目になるのが自然
• 小さい(または暗い)光源には小さなブルーム小さい(または暗い)光源には小さなブルーム• 大きい(または明るい)光源には大きなブルーム大きい(または明るい)光源には大きなブルーム
Imagire Day 298
ガウスフィルタはどうかガウスフィルタはどうか
• ブルーム表現にはガウスフィルタがよく利用さブルーム表現にはガウスフィルタがよく利用されるれる– 正規分布をもつフィルタカーネル正規分布をもつフィルタカーネル
2re
Imagire Day 299
元画像元画像
• 実際にはHDR実際にはHDR– 白い点は 白い点は 1.0 1.0 を遥かに越を遥かに越
える明るさえる明るさ
Imagire Day 300
ガウスフィルタブルームガウスフィルタブルーム
2re
Imagire Day 301
ガウスフィルタのブルームは不自然ガウスフィルタのブルームは不自然
• 中央の鋭さがない中央の鋭さがない• 非常に明るい輝点でもフィルタがあまり広がら非常に明るい輝点でもフィルタがあまり広がら
ないない– ある距離でほとんどゼロになるある距離でほとんどゼロになる– ある程度明るいとみな同じ半径になるある程度明るいとみな同じ半径になる
Imagire Day 302
ガウスフィルタのブルームは不自然ガウスフィルタのブルームは不自然
• 重要な性質が両立しない重要な性質が両立しない– 鋭さを重視すると光がほとんど広がらない鋭さを重視すると光がほとんど広がらない– フィルタを広げると鋭さが完全に失われるフィルタを広げると鋭さが完全に失われる
Imagire Day 303
ガウスフィルタのブルームは不自然ガウスフィルタのブルームは不自然
• 光源の明るさや大きさによって見た目が異なる光源の明るさや大きさによって見た目が異なる– 小さな(または暗い)光源小さな(または暗い)光源
• ブルームが見えない(ほとんど発生しない)ブルームが見えない(ほとんど発生しない)– 大きな(または明るい)光源大きな(または明るい)光源
• ブルームが不自然な固まりのようになるブルームが不自然な固まりのようになる
• ブルームには極めて不自然ブルームには極めて不自然– 非常に明るい光源や小さな光源で特に顕著非常に明るい光源や小さな光源で特に顕著
Imagire Day 304
なぜガウスフィルタが利用されるのか?なぜガウスフィルタが利用されるのか?
• なぜかガウスフィルタによる実装が大多数なぜかガウスフィルタによる実装が大多数– x, y x, y に変数分離可能に変数分離可能
• 2パスの畳み込みで効率よく処理できる2パスの畳み込みで効率よく処理できる– HDRサンプルや参照されるゲームでの実装HDRサンプルや参照されるゲームでの実装
• ガウスフィルタによる実装が多いガウスフィルタによる実装が多い
• 他に大きな理由はない他に大きな理由はない– サンプルが多すぎて誤った常識化している?サンプルが多すぎて誤った常識化している?
Imagire Day 305
• 単一のガウスフィルタを使うのは止めよう!単一のガウスフィルタを使うのは止めよう!
• 半径の異なる複数のガウスフィルタを合成半径の異なる複数のガウスフィルタを合成– MGF(MGF( Multiple Gaussian FiltersMultiple Gaussian Filters ))
– 参照:参照:• Kawase, Masaki, Kawase, Masaki,
“Practical Implementation of High Dynamic Range Rendering“Practical Implementation of High Dynamic Range Rendering””, , in in GDC2004, 2004.GDC2004, 2004.
複合ガウスフィルタ複合ガウスフィルタ
Imagire Day 306
ガウスフィルタと複合ガウスフィルタガウスフィルタと複合ガウスフィルタ
...222
222
)8()4()2(
)5.0()25.0(
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ガウスフィルタガウスフィルタ 複合ガウスフィルタ複合ガウスフィルタ
Imagire Day 307
複合ガウスフィルタ複合ガウスフィルタ
• 鋭いピークと広範囲の広がりをもつ鋭いピークと広範囲の広がりをもつ• ブルームに理想的な性質を併せもつブルームに理想的な性質を併せもつ
...222
222
)8()4()2(
)5.0()25.0(
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Imagire Day 308
元の画像元の画像
Imagire Day 309
ガウスフィルタガウスフィルタ
2re
Imagire Day 310
複合ガウスフィルタ複合ガウスフィルタ
...222
222
)8()4()2(
)5.0()25.0(
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rrr
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Imagire Day 311
ブルームの比較ブルームの比較• 単一ガウスフィルタ単一ガウスフィルタ• 明るさによっては不自然な形状明るさによっては不自然な形状
– それぞれ見た目が異なるそれぞれ見た目が異なる– 鋭いピークがない鋭いピークがない
• 小さな(暗い)光源が不自然小さな(暗い)光源が不自然– 明るい点の広がりがない明るい点の広がりがない
• 大きな(明るい)光源が不自然大きな(明るい)光源が不自然• 見た目がバッファサイズに依存する見た目がバッファサイズに依存する
• 複合ガウスフィルタ複合ガウスフィルタ• 明るさによらず見た目が自然明るさによらず見た目が自然
– 見た目が一貫している見た目が一貫している• ブルームの形が相似形ブルームの形が相似形
– 鋭いピークを表現できる鋭いピークを表現できる– かつ明るい点は広く広がるかつ明るい点は広く広がる
• バッファサイズに依存しにくいバッファサイズに依存しにくい
Imagire Day 312
元の画像元の画像
Imagire Day 313
ガウスフィルタガウスフィルタ
Imagire Day 314
複合ガウスフィルタ複合ガウスフィルタ
Imagire Day 315
元の画像元の画像 ガウスフィルタガウスフィルタ 複合ガウスフィルタ複合ガウスフィルタ
Imagire Day 316
実装上のテクニック実装上のテクニック
• ガウス半径よりもバッファ解像度を変更ガウス半径よりもバッファ解像度を変更– ガウスフィルタガウスフィルタ
• 半径が大きいほどローパスフィルタになる半径が大きいほどローパスフィルタになる• 半径が大きいほど細かな誤差は目立たなくなる半径が大きいほど細かな誤差は目立たなくなる
– 解像度を半分ずつ小さくする解像度を半分ずつ小さくする• コストはレベル毎にコストはレベル毎に 1/41/4 になるになる
• 最後にバイリニアフィルタで拡大して合成最後にバイリニアフィルタで拡大して合成– 誤差はほとんど視認できない程度誤差はほとんど視認できない程度
• 単一のガウスフィルタと大差ない速度単一のガウスフィルタと大差ない速度– 各レベルのガウス半径は小さくできる各レベルのガウス半径は小さくできる
Imagire Day 317
各レベルのガウスフィルタと合成結果各レベルのガウスフィルタと合成結果
Imagire Day 318
誤差はほとんど視認できない誤差はほとんど視認できない
Imagire Day 319
実装上のテクニック実装上のテクニック
• 結果を次のレベルのソースに利用結果を次のレベルのソースに利用– 半径の大きい(解像度の低い)フィルタ半径の大きい(解像度の低い)フィルタ– 一段階小さいフィルタの結果を縮小してソースに利一段階小さいフィルタの結果を縮小してソースに利用用
• 縮小バッファによるエイリアスが大幅に軽減される縮小バッファによるエイリアスが大幅に軽減される• フィルタカーネルに大きな影響は無いフィルタカーネルに大きな影響は無い
– フィルタが変わることによる悪影響は無いフィルタが変わることによる悪影響は無い
– 各レベルのガウス半径をより小さくできる各レベルのガウス半径をより小さくできる• さらに高速化が可能さらに高速化が可能
CEDEC 2007
Imagire Day 320
GPU非同期フィードバックGPU非同期フィードバック
Imagire Day 321
GPU非同期フィードバックGPU非同期フィードバック
• 自動露光のための画面の輝度取得自動露光のための画面の輝度取得• オートフォーカスのための深度取得オートフォーカスのための深度取得• etc.etc.
• GPU内でも完結は可能GPU内でも完結は可能– ピクセルシェーダで露光やフォーカスを調整ピクセルシェーダで露光やフォーカスを調整
• CPUからGPU結果にアクセスしたいCPUからGPU結果にアクセスしたい– より複雑な調整を実装したいより複雑な調整を実装したい– CPUから取得できた方が何かと便利CPUから取得できた方が何かと便利
• CPUから現在のフォーカス距離や露光にアクセスしたいCPUから現在のフォーカス距離や露光にアクセスしたい
Imagire Day 322
GPU非同期フィードバックGPU非同期フィードバック
• コンシューマゲーム機コンシューマゲーム機– 多くの環境ではCPUからVRAMに直接アクセス多くの環境ではCPUからVRAMに直接アクセス可能可能
– 結果を数フレーム分残しておいて取得結果を数フレーム分残しておいて取得• GPUの遅延レンダリングを完了させるためGPUの遅延レンダリングを完了させるため
Imagire Day 323
GPU非同期フィードバックGPU非同期フィードバック
• PC環境PC環境– 原則としてVRAMに直接アクセスはできない原則としてVRAMに直接アクセスはできない– 描画内容をを取得する手段は用意されている描画内容をを取得する手段は用意されている
• IDirect3DDevice9::GetRenderTargetData()IDirect3DDevice9::GetRenderTargetData()
• glReadPixels()glReadPixels()
• etc.etc.
– GPUリソースをロックする際にCPUがGPUの完GPUリソースをロックする際にCPUがGPUの完了をまつ了をまつ
• 次の描画コマンドがキックされるまでGPUが完全停止次の描画コマンドがキックされるまでGPUが完全停止– CPUとGPUの非同期実行が阻害されるCPUとGPUの非同期実行が阻害される
• 数百万クロックサイクル以上に相当するコスト数百万クロックサイクル以上に相当するコスト
– よほどの理由が無い限り使うべきではない!!よほどの理由が無い限り使うべきではない!!
Imagire Day 324
PC環境でのGPU非同期フィードバックPC環境でのGPU非同期フィードバック
• 描画データの直接的な取得描画データの直接的な取得– 実用的な手段ではない実用的な手段ではない
• 非同期に結果にアクセスできる手段は?非同期に結果にアクセスできる手段は?– 非同期が保証されたクエリ機能非同期が保証されたクエリ機能– 描画ピクセル数の非同期問い合わせ描画ピクセル数の非同期問い合わせ
• オクルージョンクエリ(zパスピクセルカウント)オクルージョンクエリ(zパスピクセルカウント)– IDirect3DQuery9IDirect3DQuery9
– GL_ARB_occlusion_queryGL_ARB_occlusion_query
– etc.etc.
Imagire Day 325
PC環境でのGPU非同期フィードバックPC環境でのGPU非同期フィードバック
• オクルージョンクエリを利用してピクセルを取得オクルージョンクエリを利用してピクセルを取得– 取得したい値(明るさ/深度)に応じたピクセル数を取得したい値(明るさ/深度)に応じたピクセル数を出力出力
• 閾値によるアルファテストやフラグメント破棄閾値によるアルファテストやフラグメント破棄– 数フレーム後(GPUの遅延描画完了後)クエリで取数フレーム後(GPUの遅延描画完了後)クエリで取得得
• 非同期実行を阻害しない非同期実行を阻害しない– 問い合わせのCPU負荷は一般に低くはない問い合わせのCPU負荷は一般に低くはない– 非同期であればそれほど大きな問題ではない非同期であればそれほど大きな問題ではない
• 少なくとも同期実行とは比較にならない少なくとも同期実行とは比較にならない
CEDEC 2007
Imagire Day 326
カメラの画角とCGの画角カメラの画角とCGの画角
Imagire Day 327
カメラワークのアドバイスカメラワークのアドバイス
• カットシーン/CGムービーなどカットシーン/CGムービーなど
• 画角の制御にもっと気を使いましょう画角の制御にもっと気を使いましょう– 45度などに固定していませんか?45度などに固定していませんか?
• カメラの一般的な画角はCGよりも望遠気味カメラの一般的な画角はCGよりも望遠気味– 標準レンズは垂直画角で30度足らず標準レンズは垂直画角で30度足らず– CGの一般的な画角はカメラでは広角レンズに相当CGの一般的な画角はカメラでは広角レンズに相当
• 垂直画角45度などは完全に広角レンズ垂直画角45度などは完全に広角レンズ• 全般的に広角になりがち全般的に広角になりがち
– 歪曲のないCGでは不自然に感じやすい歪曲のないCGでは不自然に感じやすい
Imagire Day 328
カメラワークのアドバイスカメラワークのアドバイス
• フォーカス移動でも画角を変えてみましょうフォーカス移動でも画角を変えてみましょう
• 常に画角を意識してみましょう常に画角を意識してみましょう– 映画やドラマ、アニメーションなど映画やドラマ、アニメーションなど
• いろんなシーンで画角がどのくらいかを考えてみるいろんなシーンで画角がどのくらいかを考えてみる– ゲームCGよりも全体的に望遠であることに気付くゲームCGよりも全体的に望遠であることに気付く
でしょうでしょう
• ちょっとした意識の違いが重要ちょっとした意識の違いが重要– 思いのほかリアリティが増します思いのほかリアリティが増します
CEDEC 2007
Imagire Day 329
エンジニアの陥りがちな罠エンジニアの陥りがちな罠
Imagire Day 330
エンジニアの陥りがちな罠エンジニアの陥りがちな罠
• 手段が目的になってしまう手段が目的になってしまう– 新しい技術などを実装することが目的になりがち新しい技術などを実装することが目的になりがち
• 実装した時点で満足してしまう人も多い実装した時点で満足してしまう人も多い– 技術はあくまで手段であって目的ではない技術はあくまで手段であって目的ではない
• それを使って何をどう表現するのかが重要それを使って何をどう表現するのかが重要– 例:例:
• 太陽や街灯のグレアにポストエフェクトは向かない太陽や街灯のグレアにポストエフェクトは向かない– スプライトによるレンズフレアの方が遥かに綺麗で高速スプライトによるレンズフレアの方が遥かに綺麗で高速– これらに使うだけでは実装する価値が半減これらに使うだけでは実装する価値が半減
– 「HDRを実装しました」だけでは意味がない「HDRを実装しました」だけでは意味がない• 貴方にとって「HDR」とは何のことですか?貴方にとって「HDR」とは何のことですか?• 技術用語を戦略に巧く利用するのはありでしょう技術用語を戦略に巧く利用するのはありでしょう
Imagire Day 331
エンジニアの陥りがちな罠エンジニアの陥りがちな罠
• 技術情報やサンプルを鵜呑みにする技術情報やサンプルを鵜呑みにする– HDRやポストエフェクトのサンプルが溢れているHDRやポストエフェクトのサンプルが溢れている
• 3~4年ほど前からほとんど進化していない3~4年ほど前からほとんど進化していない• 有名な方法が必ずしも適切(目的に合っている)とは限ら有名な方法が必ずしも適切(目的に合っている)とは限ら
ないない– ブルームやフォーカスブラーでのガウスフィルタブルームやフォーカスブラーでのガウスフィルタ– Reinhard Reinhard トーンマップトーンマップ
• あまり巷の情報を絶対視しないことあまり巷の情報を絶対視しないこと
– 自分で判断できるよう感性を磨きましょう自分で判断できるよう感性を磨きましょう• サンプルは本当に綺麗/リアルですか?サンプルは本当に綺麗/リアルですか?
– 自分で魅力的に感じられるエフェクトを作りましょ自分で魅力的に感じられるエフェクトを作りましょうう
Imagire Day 332
心がけ心がけ
• 何かにリアリティや臨場感を感じたとき何かにリアリティや臨場感を感じたとき– 何故そう感じたかを考えてみる何故そう感じたかを考えてみる
• 現行のグラフィクスに違和感を感じたとき現行のグラフィクスに違和感を感じたとき– 凄いと言われる映像でも違和感があることが多い凄いと言われる映像でも違和感があることが多い– 何が原因かを考えてみる何が原因かを考えてみる
• とにかく常に意識をもつことが重要とにかく常に意識をもつことが重要
Imagire Day 333
カメラの想定の重要性カメラの想定の重要性
• 何を表現したくてエフェクトを適用するのか何を表現したくてエフェクトを適用するのか– 映画的なできるだけ完成された絵作り映画的なできるだけ完成された絵作り– ホームビデオ的な表現ホームビデオ的な表現– スポーツカメラの中継スポーツカメラの中継
• 高価なカメラやレンズと安価なカメラ高価なカメラやレンズと安価なカメラ– さまざまな光学現象がまったく異なるさまざまな光学現象がまったく異なる
CEDEC 2007
Imagire Day 334
今後の展望今後の展望
Imagire Day 335
今後の展望今後の展望
• 写実的な映像を目指す場合写実的な映像を目指す場合– ボケ味などを表現できるDOFボケ味などを表現できるDOF
• ソフトで赤っぽい輪郭をもつ前ボケソフトで赤っぽい輪郭をもつ前ボケ• シャープで緑っぽい輪郭をもつ後ボケシャープで緑っぽい輪郭をもつ後ボケ• 口径蝕やケラレの再現口径蝕やケラレの再現• etc.etc.
• これらはスキャッターベースの手法が向いているこれらはスキャッターベースの手法が向いている– フィルムのよりリアルなシミュレーションフィルムのよりリアルなシミュレーション
• ゲインやトーンマップゲインやトーンマップ• フィルムグレインフィルムグレイン
Imagire Day 336
今後の展望今後の展望
• 反射に対する正確なDOF表現反射に対する正確なDOF表現– 明るい室内から人が外を眺めている明るい室内から人が外を眺めている
• 窓の外の遠景にフォーカス窓の外の遠景にフォーカス 窓に映り込んでいる人の顔(近距離)にフォーカス窓に映り込んでいる人の顔(近距離)にフォーカス
– 映画などではお馴染みの演出映画などではお馴染みの演出
– 現状のポスト処理では表現できない現状のポスト処理では表現できない• レイトレースが必要レイトレースが必要• 将来的には是非表現したい将来的には是非表現したい
Imagire Day 337
もっとリアルで鋭いグレア表現もっとリアルで鋭いグレア表現
• 放射状に無数に発生する鋭い光芒放射状に無数に発生する鋭い光芒– まぶしさの表現にも重要まぶしさの表現にも重要– スキャッターベースの手法で大量のフィルが必要スキャッターベースの手法で大量のフィルが必要
• パフォーマンスさえ充分になれば可能パフォーマンスさえ充分になれば可能
• 回折から生成した光芒のフィルタカーネルを利回折から生成した光芒のフィルタカーネルを利用用– 絞り込むと光芒絞り込むと光芒– 開放絞りではブルームや無数の鋭い光芒開放絞りではブルームや無数の鋭い光芒– 波長によるスペクトル(環状の着色されたハロ)波長によるスペクトル(環状の着色されたハロ)