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大田原都市計画 都市計画区域の 整備、開発及び保全の方針 平成28年3月 栃 木 県

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大田原都市計画

都市計画区域の

整備、開発及び保全の方針

平成28年3月

栃 木 県

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- 目 次 -

1. 都市計画の目標 ............................................. 1

1-1 目標年次及び都市計画区域の範囲・規模 .................................... 1 (1) 目標年次 ............................................................... 1 (2) 都市計画区域の範囲・規模 ............................................... 1 1-2 本区域の現状及び課題 .................................................... 1 (1) 位置・地勢等 ........................................................... 1 (2) 都市の状況 ............................................................. 2 (3) 本都市計画区域の広域的な位置づけ ....................................... 6 (4) 本都市計画区域の課題 ................................................... 8 1-3 都市づくりの基本理念 .................................................... 9 (1) 暮らしやすくコンパクトな都市づくり ..................................... 9 (2) 誰もが安全でスムーズに移動できるネットワーク型の都市づくり ............. 9 (3) 環境にもやさしいエコな都市づくり ....................................... 9 (4) 地域の魅力や強みを活かした都市づくり .................................. 10 1-4 本区域の将来都市構造 ................................................... 10 1-5 地域ごとの市街地像 ..................................................... 10 (1) 拠点地区 .............................................................. 10 (2) 基盤構造 .............................................................. 11

2. 区域区分の決定の有無及び区域区分を定める際の方針 .......... 14

3. 主要な都市計画の決定の方針 ................................ 15

3-1 土地利用に関する主要な都市計画の決定の方針 ............................. 15 (1) 本区域における土地利用の考え方 ........................................ 15 (2) 主要用途の配置の方針 .................................................. 15 (3) 土地利用の方針 ........................................................ 17 3-2 都市施設の整備に関する主要な都市計画の決定の方針 ....................... 20 (1) 交通施設の都市計画の決定の方針 ........................................ 20 (2) 下水道及び河川の都市計画の決定の方針 .................................. 22 (3) その他の都市施設の都市計画の決定の方針 ................................ 23 3-3 市街地開発事業に関する主要な都市計画の決定の方針 ....................... 23 3-4 自然的環境の整備又は保全に関する主要な都市計画の決定の方針 ............. 25 (1) 基本方針 .............................................................. 25

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(2) 主要な緑地の配置方針 .................................................. 25 (3) 実現のための具体の都市計画制度の方針 .................................. 25 (4) 主要な緑地の確保の方針 ................................................ 26 3-5 都市防災に関する方針 ................................................... 28

4. 本区域における都市づくりの実現に向けて .................... 29

4-1 実現に向けての基本方針 ................................................. 29 4-2 都市づくりの実現化方策 ................................................. 29 (1) 暮らしやすくコンパクトな都市づくり .................................... 29 (2) 誰もが安全でスムーズに移動できるネットワーク型の都市づくり ............ 30 (3) 環境にもやさしいエコな都市づくり ...................................... 31 (4) 地域の魅力や強みを活かした都市づくり .................................. 31 (5) 医療や福祉、産業、環境など各種施策と連携した都市政策の展開 ............ 32 (6) 多様な主体と協働・連携した都市づくり .................................. 32 (7) 都市の評価分析 ........................................................ 32

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大田原都市計画 都市計画区域の整備、開発及び保全の方針の決定

(栃木県決定)

都市計画 都市計画区域の整備、開発及び保全の方針を次のように決定します。

1. 都市計画の目標

1-1 目標年次及び都市計画区域の範囲・規模

(1)目標年次

都市づくりの基本理念、将来の都市構造については平成 42年を想定し、土地利用、都市

施設などの決定の方針については、平成 32 年を目標年次として作成します。

(2)都市計画区域の範囲・規模

本区域の範囲及び規模は次のとおりです。

都市計画区域 市  町  名 範  囲

大  田  原都市計画区域

大 田 原 市 行政区域の一部 約 13,380 ha

規  模

1-2 本区域の現状及び課題

(1)位置・地勢等

① 位置・地勢 【位置図】

本区域は、栃木県の北部に位置し、県都宇都宮

から北に約 45km、首都東京から約 140km の距離に

あります。区域の北は那須塩原市、南は那珂川町

とさくら市、東は大田原市域の湯津上地域と黒羽

地域、西は矢板市に接しています。

那須野が原扇状地を中心に北部及び南部に緩

やかな起伏の丘陵地帯があり、中央に蛇尾川、西

に箒川の清流が流れ、その沿川に豊かな田園地帯

が広がっています。このように、四季の変化に富

み、豊かな水と緑に恵まれた環境を有する自然豊

かな都市です。

那須野が原扇状地の平地部を中心に市街地や集落が形成されています。

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② 都市の変遷

本区域は、源平合戦の雄「那須与一」の里であり、江戸時代には大田原氏一万一千石の

城下町として、また、奥州街道の宿場町として栄えるなど豊かな歴史を有する区域です。

昭和9年に大田原地区、昭和 30 年に親園地区、金田地区、野崎地区、昭和 36 年に佐久

山地区、昭和 50年に旧大田原市全域を都市計画区域に指定しました。

また、平成 17 年に旧大田原市、旧湯津上村、旧黒羽町が合併により「(新)大田原市」

となりました。

市街地は、金燈籠交差点付近を中心に発展しており、昭和 48 年に用途地域が定められ、

平成 26 年4月1日現在では、約 1,489ha が用途地域として定められています。

【都市の主な変遷】

都市計画区域 年次 範囲 都市計画の内容

昭和 9年 大田原地区 都市計画区域を指定

昭和30年親園地区、金田地区、野崎地区

都市計画区域を指定

昭和36年 佐久山地区 都市計画区域を指定

昭和48年 旧大田原市街地 用途地域の決定

昭和50年 旧大田原市全域 都市計画区域を指定

大田原都市計画区域

(2)都市の状況

① 人口及び人口構成の推移

本区域を構成する大田原市全体の人口は、平成 12 年の 78,993 人から平成 22 年には

77,729 人と 1.6%減少しており、今後も減少が続くことが見込まれています。平成 32年に

は 73,749 人と平成 22 年と比べて 5.1%減少し、更に平成 42 年には 68,643 人と 11.7%減

少すると推計され、この減少率は、県平均 10.4%に比べて大きな値となっています。

人口減少と同時に高齢化も急速に進行しており、平成 22 年の高齢化率は 21.1%と県平

均の 21.8%は下回っていますが、平成 42 年には 32.9%と3人に1人が 65 歳以上の高齢者

になると推計されています。また、生産年齢人口(15 歳~64 歳)の割合は平成 22 年の 66.2%

から平成 42 年には 56.9%まで減少すると推計されています。

平成 22 年の都市計画区域内人口 58,265 人のうち、用途地域内人口は 28,162 人と都市計

画区域全体の 48.3%にとどまっており、用途地域内の人口密度は 18.9 人/ha、用途地域外

の人口密度は 2.5 人/ha と、区域全体に人口が薄く分散している状況にあります。

人口集中地区(DID)は、平成 12 年から平成 22 年にかけて面積は 46ha 増加し、人口は

1,824 人増加しており、人口密度も 38.0 人/ha から 38.2 人/ha へと高くなっています。

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【行政区域の人口・人口構成比】

人口 構成比 人口 構成比 人口 構成比 人口 構成比 人口 構成比 H22/H12 H32/H22 H42/H22(人) (%) (人) (%) (人) (%) (人) (%) (人) (%)76,406 78,993 77,729 73,749 68,643 △ 1.6 △ 5.1 △ 11.7

0~14歳 16,305 (21.3) 11,904 (15.1) 9,864 (12.7) 8,347 (11.3) 7,036 (10.3) △ 17.1 △ 15.4 △ 28.715~65歳 50,025 (65.5) 52,894 (67.0) 51,480 (66.2) 43,934 (59.6) 39,041 (56.9) △ 2.7 △ 14.7 △ 24.265歳~ 10,076 (13.2) 14,195 (18.0) 16,385 (21.1) 21,468 (29.1) 22,566 (32.9) 15.4 31.0 37.7

1,935,168 2,004,817 2,007,683 1,926,237 1,799,782 0.1 △ 4.1 △ 10.40~14歳 380,087 (19.6) 306,905 (15.3) 269,823 (13.4) 231,478 (12.0) 191,015 (10.6) △ 12.1 △ 14.2 △ 29.215~65歳 1,316,576 (68.0) 1,353,406 (67.5) 1,299,664 (64.7) 1,134,958 (58.9) 1,030,632 (57.3) △ 4.0 △ 12.7 △ 20.765歳~ 238,505 (12.3) 344,506 (17.2) 438,196 (21.8) 559,801 (29.1) 578,135 (32.1) 27.2 27.8 31.9

平成2年 平成12年 平成22年 平成32年 平成42年

大田原市

年齢別内訳

栃木県

年齢別内訳

増減率(%)実 績 値 推 計 値

(国勢調査、H27 以降は国立社会保障・人口問題研究所(H25.3 月推計結果))

【都市計画区域の人口・人口密度】

平成2年 平成12年 平成22年 H12/H2 H22/H12 平成2年 平成12年 平成22年 平成2年 平成12年 平成22年

都市計画区域 52,547 56,557 58,265 7.6% 3.0 % 100% 100% 100% 3.9 4.2 4.4

用途地域 23,480 28,303 28,162 20.5 % △ 0.5% 44.7% 50.0% 48.3% 15.8 19.0 18.9

用途地域外 29,067 28,254 30,103 △ 2.8% 6.5 % 55.3% 50.0% 51.7% 2.4 2.4 2.5

都市計画区域との構成比増減率人口(人) 人口密度(人/ha)

(栃木県都市計画基礎調査)

【DID 人口・面積・人口密度】

平成2年 平成12年 平成22年 平成2年 平成12年 平成22年 平成2年 平成12年 平成22年

人口集中地区 12,697 13,989 15,813 1,824 340 368 414 46 37.3 38.0 38.2

人口(人) 面積(ha)H12→H22増減

H12→H22増減

人口密度(人/ha)

(栃木県都市計画基礎調査)

② 産業の状況

産業就業者数は、平成 22 年では総数 36,496 人であり、平成 12 年に比べ 10.0%減少し

ています。また、産業別では、第1次産業、第2次産業は大幅な減少傾向にありますが、

第3次産業はわずかに増加しています。

農業では、広大な平地部を活かした稲作を中心に大豆、麦などを基幹に、特産品である

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ネギやウドなどの生産が行われており、首都圏の食糧基地としての役割を担っていますが、

農業産出額は平成15年の271億円から平成18年には247億円と約8.9%減少しています。

工業では、野崎工業団地、野崎第二工業団地、中田原工業団地、品川台工業団地、高蕨

工業団地、大野室工業団地、五輪平工業団地、古久根前工業団地の8箇所が整備され、産

学官連携による調査研究、情報収集、新製品開発・新事業創出への取組も行われてきまし

たが、製造拠点の海外進出傾向や経済不況の影響などもあり、製造品出荷額等は平成 19 年

の 8,834 億円をピークに減少に転じ、平成 22 年には 6,643 億円とピーク時から約 24.8%

減少しています。

商業では、郊外における大型商業施設の立地により、中心市街地では空洞化が進行して

いますが、商業販売額は平成19年で1,293億円と平成9年から横ばい傾向を保っています。

【産業別就業者数】

総数 第1次 第2次 第3次 総数 第1次 第2次 第3次 総数 第1次 第2次 第3次

栃木県 1,031,252 75,214 373,403 582,635 937,703 54,746 300,422 582,535 △ 9.1% △ 27.2% △ 19.5% 0.0%

大田原市 40,570 5,869 15,714 18,987 36,496 4,406 12,707 19,383 △ 10.0% △ 24.9% △ 19.1% 2.1%

平成12年産業別就業者数(人) 平成22年産業別就業者数(人) H12-H22増加割合

(国勢調査)

【産業別構成比】

第1次 第2次 第3次 第1次 第2次 第3次 第1次 第2次 第3次

栃木県 7.3% 36.2% 56.5% 5.8% 32.0% 62.1% △ 1.5% △ 4.2% 5.6%

大田原市 14.5% 38.7% 46.8% 12.1% 34.8% 53.1% △ 2.4% △ 3.9% 6.3%

構成割合の推移(H22-H12)平成12年産業構成率 平成22年産業構成率

(国勢調査)

注)四捨五入のため、合計しても 100%にならない場合がある。

【農業産出額】 平成15年 平成16年 平成18年

大田原市 27,080 26,170 24,650栃木県 278,680 276,910 260,920

(百万円:生産所得統計)

注)平成 18 年以降は市町別の集計データなし

【製造品出荷額等】 平成17年 平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年

大田原市 8,096 8,310 8,834 7,599 6,252 6,643

栃木県 83,522 87,279 92,453 92,792 76,797 84,591 (億円:工業統計)

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【商業販売額(卸売業・小売業)】 平成9年 平成11年 平成14年 平成16年 平成19年

卸売業 45,116 46,845 41,789 51,352 47,538小売業 78,110 78,791 71,474 78,864 81,713

計 123,226 125,635 113,263 130,216 129,251栃木県 6,143,160 6,055,821 5,646,459 5,472,396 5,650,311

(百万円:商業統計)

③ 土地利用の状況

都市計画区域内の土地利用の状況では、農地が 58.6%を占めるほか、自然的な土地利用

が約 76.5%を占め、住宅・商業・工業用地や公益用地、道路用地などの都市的な土地利用

の割合は 23.5%となっています。

用途地域内の土地利用状況では、住宅・商業・工業用地が 43.9%、公益用地や道路用地

などが 20.4%を占めていますが、農地や山林などのいわゆる低未利用地も 35.7%残存して

います。

【土地利用現況別構成比】

(平成 25 年度栃木県都市計画基礎調査(H23.3.31 現在))

注)四捨五入のため、合計しても 100%にならない場合がある。

④ 都市基盤の状況

本区域は、JR 東北本線や各種バス路線に加え、(国)4号、(国)400 号、 (国)461 号など

を軸とした交通ネットワークが形成されています。

都市施設の整備状況は、都市計画道路の整備率が 74.7%、下水道については 93.2%と整

備が進んでいますが、都市計画公園・緑地については 49.2%となっています。

鉄道及び路線バスが希薄で都市が拡散していることから、鉄道・バスカバー率は 63.5%

と低い状況にあります。 注)鉄道・バスカバー率:鉄道及び路線バスのサービス圏域(鉄道:駅から 1.5km、路線バス:バス系統(運行回数6回

(3往復)/日以上)から 300m)に含まれる人口の総人口に対する割合。

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【都市施設整備状況】

計画 整備済 整備率 計画 供用済 供用率 計画 供用済 供用率

大田原都市計画区域

40.0 29.9 74.7% 77.1 37.9 49.2% 1,125 1,049 93.2%

都市計画道路(km) 都市計画公園・緑地(ha) 都市計画下水道(ha)

*整備済=改良済+概成済 (平成 25 年度都市計画現況調査(H25.3.31 現在))

(3)本都市計画区域の広域的な位置づけ

本区域と他都市とのつながりを見ると、通勤・通学による人口動態や購買動向による商

圏においては、隣接する那須塩原市との流出・流入が最も多く、次いで矢板市、那珂川町、

宇都宮市への流出・流入が多い状況にあります。

また、日用品の区域内購買率は、111.9%と区域外からの流入が多くなっており、周辺都

市の日常生活機能を補完する都市となっています。

更に、八溝山周辺地域定住自立圏の中心都市として位置づけられていることから、本区

域は大田原の中心市街地を核として、既存の交通機能や都市機能の集積を活かしながら、

隣接する那須塩原都市計画区域及び矢板都市計画区域との広域的な連携を図るとともに、

周辺都市を含めた生活圏の中心都市の1つとして位置づけられます。

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【通勤・通学及び購買動向】

通勤・通学(流出) 通勤・通学(流入)

購買動向(流出) 購買動向(流入)

出典)平成 22 年国勢調査 ※都市計画区域外がある市町は都市計画区域外も含んだ流動状況である。

出典)平成 21 年度地域購買動向調査(栃木県)

※都市計画区域外がある市町は都市計画区域外も含んだ流動状況である。

※( )内は、自市町に居住する通勤・通学者のうち

自市町内に通勤・通学している人の割合を示す。

※( )内は、自市町に居住する通勤・通学者に対す

る自市町内に通勤・通学している人の割合を示す。

※( )内は、自市町の居住者のうち、自市町内で買

い物をしている人の割合を示す。

※( )内は、自市町の居住者に対する自市町内で買

い物をしている人の割合を示す。

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(4)本都市計画区域の課題

本都市計画区域の課題は次のとおりです。

① 都市機能の集積促進と街なかへの居住(集住)の誘導

一定の都市機能は充足していますが、本区域の人口は減少傾向にあり、市街地中心部で

は居住人口の減少や空き店舗の増加などにより、都市の空洞化や活力の低下が生じていま

す。

こうした現状の都市のまま、人口減少・超高齢社会が進行した場合「人口密度の希薄化」

や「高齢化率の上昇」により、既存の市街地にある店舗などは利用者が減少して撤退など

を余儀なくされ、日常生活の利便性が低下していくことが予想されます。また、自動車を

運転できない高齢者などの交通弱者は、自立した日常生活を送ることが困難になることが

懸念されます。

このため、誰もが暮らしやすい都市づくりのためには、市街地の無秩序な拡散を抑制し

ながら、既存の市街地などを中心に、徒歩や自転車で行ける範囲内に日常的な都市機能を

バランス良く集積させることにより利便性を高め、街なかへの居住(集住)を誘導してい

くことが課題となっています。

② 公共交通による拠点間の連携強化と移動の円滑化

本区域内では、大田原の中心市街地及び JR 野崎駅周辺の市街地に加え、広範囲に大小

様々な集落が田畑と混在する形で低密度に分布しています。このため、拠点地区となる市

街地や集落、周辺都市との連携強化により、都市機能を効率的に利活用していくことが課

題となっています。

また、本区域は人や物の移動の多くを自動車交通に依存しており、自動車を運転できな

い高齢者などは移動手段の確保に支障が生じています。このため、公共交通を充実するこ

とにより拠点間の連携を強化し、誰もが安全でスムーズに移動できる都市づくりが課題と

なっています。

③ 都市経営の効率化、地球規模での環境問題などへの対応

人口減少・超高齢社会の進行により、医療・福祉などの社会保障費が増大するとともに、

生産年齢人口の減少による都市活動の低下や税収の減少が懸念されています。このため、

社会資本整備やその更新・維持管理にかかる行政コストの縮減など、更なる都市経営の効

率化が課題となっています。

また、地球温暖化やエネルギー需給の変化など地球規模での環境問題への対応に加え、

地震や豪雨などによる自然災害への備えなど、住民が将来にわたって安全で安心して暮ら

せる都市づくりが課題となっています。

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④ 魅力や強みを活かした都市づくり

本区域は、南北に JR 東北本線や(国)4号、(国)400 号、東西には(国)461 号などの広域

交通網が充実しているとともに、県北地域の中心都市として都市機能が集積しています。

このため、本区域の発展のためには周辺都市との連携を図りつつ、恵まれた立地環境や

広域交通網、多くの地域資源を活かした都市機能の更なる充実や、産業や観光の振興が課

題となっています。

また、平地に広がる農地や平地林、箒川、蛇尾川の清流、森林などの豊かな自然環境、

温泉などの地域資源を活かし、人と自然環境が共生した都市づくりが課題となっています。

更に、人口減少の進行が推計されるなか、魅力や強みを活かした都市づくりを進め、定

住人口の確保や交流人口を増加させることが課題となっています。

1-3 都市づくりの基本理念

今後、本格的に訪れる人口減少・超高齢社会においても、誰もが快適・便利に暮らしや

すい、また環境にもやさしく都市経営コストの面からも持続可能な集約型の都市への転換

を図るため、以下の基本理念のもと、都市づくりを進めていきます。

(1)暮らしやすくコンパクトな都市づくり

本区域においては、徒歩や自転車で移動可能な範囲で、商業や医療、金融など日常生活

に必要な都市的サービスを手軽に受けられるように、拠点となる市街地や集落への居住(集

住)を促進し、暮らしやすくコンパクトな都市づくりを進めていきます。

また、安全で安心して暮らすことができるように、災害に対する予防や発生時における

応急対策(防災・減災)、更には速やかな復旧・復興などを可能とする災害に強い都市づく

りを進めていきます。

特に、本区域は八溝山周辺地域定住自立圏の中心都市であることから、大田原の中心市

街地における既存都市機能の活用と強化により拠点性を高め、周辺都市とも連携した効率

的な都市づくりを進めていきます。

(2)誰もが安全でスムーズに移動できるネットワーク型の都市づくり

鉄道やバスなどの公共交通を基本とし、地域の特性やニーズに応じた交通ネットワーク

により拠点地区や周辺都市を連結するとともに、歩行者や自転車の利用環境を向上してい

くことで、誰もが安全でスムーズに移動し多様なサービスを享受できるネットワーク型の

都市づくりを進めていきます。

また、これらのネットワークを活用し、各拠点地区の都市機能の広域利用や相互補完に

よる効率的な都市づくりを進めていきます。

(3)環境にもやさしいエコな都市づくり

都市経営の効率化に加え、地球温暖化やエネルギー需給の変化など地球規模での環境問

題に対応した、持続可能で環境にも優しいエコな都市づくりを進めていきます。

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市街地の形成においては、周辺営農環境との健全な調和を図りながら、自然環境への負

荷の少ない低炭素で循環型の社会の構築や計画的な土地利用を進めていきます。

また、豊かな自然環境や恵まれた地域資源を活かしながら、水と緑の自然景観の形成や

地域の特性にあった美しい景観づくりにより、環境と共生した魅力ある都市づくりを進め

ていきます。

(4)地域の魅力や強みを活かした都市づくり

JR 東北本線や(国)4号などの広域交通網を活用するとともに、周辺都市との連携を図り

つつ、豊かな自然環境や地域資源を活かした住環境づくりや産業の集積などを進め、活力

ある都市づくりを進めていきます。

また、那須与一の郷や奥州街道の宿場町をはじめとした、地域の有する歴史・文化など

の貴重な資源を活用しながら、個性的で魅力ある都市づくりを進めていきます。

1-4 本区域の将来都市構造

人口減少・超高齢社会に対応するため、

○店舗や病院など日常生活に必要なサービスを手軽に受けることができるよう、既存の

市街地や拠点となる集落などを中心として、その規模や役割に応じて必要な都市機能

や居住機能をバランスよく集積した拠点地区(広域拠点、地域拠点、生活拠点など)

を形成

○公共交通ネットワークを基本とし、徒歩・自転車の利用環境、道路ネットワークを充

実させ、拠点地区の連携強化や都市機能の相互補完を図り、誰もが安全でスムーズに

移動し、多様なサービスを享受できる暮らしやすく効率的な都市に再構築

○省エネ技術・情報通信技術の導入、水環境やみどり空間の保全・活用による環境負荷

の低減

これらにより、快適・便利で暮らしやすい、また環境にもやさしく都市経営コストの面

からも持続可能な多核ネットワーク型の都市構造「とちぎのエコ・コンパクトシティ」を

目指します。

1-5 地域ごとの市街地像

(1)拠点地区

市街地の規模や役割に応じて、必要な都市機能を集積した拠点地区(広域拠点、地域拠

点、生活拠点、産業拠点、観光レクリエーション拠点)づくりを進めるとともに、拠点地

区間や周辺都市との連携による相互補完により、効率的な都市機能の利活用を図ります。

① 広域拠点地区

都市機能や人口の集積を一層促進し、これらの都市機能を周辺都市と共有、利活用でき

るよう、公共交通を基本とした交通ネットワークを充実・強化する「広域拠点地区」とし

て次の箇所を位置づけます。

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○金燈籠交差点付近を中心とした大田原の中心市街地(以下、「大田原市街地」という)

② 地域拠点地区

徒歩や自転車圏内に日常生活機能と居住機能を集積させ、人口密度を維持していくとと

もに、都市機能の維持・充実により、日常生活の利便性の向上を図る「地域拠点地区」と

して次の箇所を位置づけます。

○JR 野崎駅周辺地区

③ 生活拠点地区

広域拠点地区や地域拠点地区周辺の住居系市街地、概ね小学校区などの規模でコミュニ

ティの中心となる地区を「生活拠点地区」として位置づけます。

生活拠点地区では、日常生活に必要な店舗や診療所などの生活利便施設を誘導するとと

もに、地域の多様な生活に配慮しつつ、地域コミュニティの維持を図ります。また、生活

の利便性を向上させるため、公共交通の充実を図ります。

④ 産業拠点地区

周辺環境に配慮しながら、産業や研究開発機能の集積を図る拠点として次の箇所を位置

づけます。

○野崎工業団地、野崎第二工業団地、中田原工業団地、実取地区

⑤ 観光レクリエーション拠点地区

豊かな自然環境を活かして、広域的な観光の集客を促進するための魅力向上を図る拠点

として次の箇所を位置づけます。

○ふれあいの丘周辺地区

(2)基盤構造

必要な都市機能を集積した各拠点地区の形成とともに、拠点地区間や宇都宮市などの周

辺都市との連携を強化する多核ネットワーク型の都市を構築します。

① 広域連携軸

広域的な移動や連携の促進を図る軸として位置づけます。

○鉄道・バス等:JR 東北本線

○道 路:(国)4号、(国)400 号、(国)461 号

② 都市間連携軸

広域拠点地区の形成を支援するとともに、周辺都市との移動や連携の促進を図る軸とし

て位置づけます。

○鉄道・バス等:JR 東北本線、路線バス

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○道 路:(主)大田原高林線、(主)大田原氏家線

③ 都市内連携軸

地域拠点地区や生活拠点地区の形成を支援するとともに、拠点地区間や周辺地域との移

動や連携の促進を図る軸として位置づけます。

○鉄道・バス等:路線バス

○道 路:(主)矢板那珂川線、(主)大田原芦野線

(一)親園南金丸線、(一)滝沢野崎停車場線

都市計画道路 3・3・3 号野崎こ線橋通り

(市)ライスライン金田線、(市)ライスライン親園線、

市道(都市計画道路 3・3・2 号大田原野崎線)、

市道(都市計画道路 3・4・3 号大高前通り) など

その他、都市内連携軸となる主要な市道などについては、市が策定する「都市計画マス

タープラン」などで位置づけます。

※(国)は一般国道、(主)は主要地方道、(一)は一般県道、(市)は市道を示します。

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【将来市街地像図】

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2. 区域区分の決定の有無及び区域区分を定める際の方針

本区域においては、区域区分を定めないこととします。

なお、区域区分を定めないとした根拠は、次のとおりです。

今後、人口減少・超高齢社会の進行が推計されるなか、「とちぎのエコ・コンパクトシティ」

の実現に向けて、市街地の拡大を抑制し、人口や都市機能の集積により、集約型の都市を

目指すことが求められています。

これを踏まえ、目指すべき都市構造の実現及び都市づくりの課題への対応として、区域

区分の必要性について、「①拠点市街地の形成状況」「②都市の拡大・拡散の可能性」「③自

然的環境保全の必要性」「④隣接都市計画区域への影響」「⑤他制度による規制の可能性」

の観点から、都市の評価を行いました。

[5つの観点からの評価の概要]

①人口集中地区(DID)の他、人口が集積する地区の連担により、まとまりのある拠点市

街地が形成されており、今後も維持することが必要である。

②用途地域外においては人口・世帯数とも増加傾向にあり、農地転用件数は県の非線引

き都市計画区域の用途地域外の平均値より高く、開発などにより市街地が拡散する可

能性がある。一方、今後は人口減少が見込まれている。

③市街地周辺部や郊外部に存する平地林面積について過去 10 年間の増減を見ると、平成

13 年からほぼ横ばいであり、「自然的環境の整備又は保全の観点から引き続き土地利

用の規制が必要である」と判断される。

④隣接する都市計画区域との縁辺部では、人口・世帯数の増加が一部で見られ、開発に

より隣接する都市計画区域に影響を及ぼす可能性がある。

⑤市街地の拡散の抑制については、都市計画法に基づく用途地域や特定用途制限地域な

どを活用することにより、適切な土地利用規制及び誘導が可能である。また、農業振

興地域の整備に関する法律、森林法、自然公園法や自然環境保全法などの他法令によ

り土地利用の適切な規制、誘導が可能である。

以上の観点から評価した結果、市街地が拡散する可能性があるものの、今後は人口減少

が見込まれており、市街地の拡散の抑制については他制度による規制が可能であることか

ら、区域区分の必要性は低いと判断し、区域区分は定めないこととします。

なお、区域区分は定めませんが、市街地のまとまりを維持し、無秩序な市街地の拡散を

防止するために、都市計画法に基づく用途地域や特定用途制限地域、都市再生特別措置法

に基づく立地適正化計画、また、農業振興地域の整備に関する法律や森林法、自然公園法、

自然環境保全法などの他法令も活用しながら、土地利用の適切な規制、誘導を行っていく

こととします。

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3. 主要な都市計画の決定の方針

3-1 土地利用に関する主要な都市計画の決定の方針

(1)本区域における土地利用の考え方

拠点地区への都市機能の集積を図りながら街なかへの居住を誘導し、暮らしやすくコン

パクトな都市づくりを推進するため、公共交通や道路、下水道、公園などの既存都市施設

の有効活用を図るとともに、その機能に支障が生じないよう都市施設などの整備と整合し

た計画的な土地利用を図ります。

また、交通利便性に優れた幹線道路沿線や既存の工業団地などに新たな工場や物流施設

の誘導を図るとともに、都市構造に大きな影響を与える大規模集客施設については、郊外

部への立地を抑制し、用途地域内への誘導を図ります。

更に、定住や就業の場にふさわしい都市的土地利用と丘陵地、農地などの自然的土地利

用との調和を図ります。

(2)主要用途の配置の方針

① 住宅地

住宅地は、周辺土地利用などを考慮した良好な環境形成の可能性や公共公益施設、医療・

福祉、商業サービスなどの日常利便機能並びに鉄道・バスなどの公共交通の利便性が確保

され、集約的な都市構造の実現に寄与する地区を基本に配置します。

広域拠点地区や地域拠点地区では、生活の場と商業、業務などの産業・経済活動、文化

の集積が良好な関係で共生する住宅地の形成を目指し、既存の施設や環境を活かしつつ良

好な居住環境の維持・形成や中心市街地の賑わいの創出を図ります。

生活拠点地区では、道路、公園などの既存ストックを有効活用し、田園環境など緑豊か

な自然と調和を図るとともに、広域拠点地区や地域拠点地区周辺の住居系市街地において

は地区計画の活用や、道路、公園などの都市基盤整備を推進し、良好な居住環境の形成を

図ります。

また、住宅地の外延化を抑制し、エコでコンパクトな市街地の形成を図るため、拠点地

区内の空き地などの低未利用地、空き家や公的不動産などの既存ストックの有効活用を図

ります。

② 商業地

商業地は、都市の動向、人口減少・超高齢社会への対応、鉄道・バス、道路などの交通

基盤の状況を考慮しながら、拠点地区を中心として必要な規模を適切に配置します。

広域拠点地区では、八溝山周辺都市の中心都市として、商業、業務、交流、文化機能な

どの集積を図りながら、魅力と活気ある商業地を目指すとともに利便性の高い日常的商業

地を配置します。

地域拠点地区では、周辺住宅地のための日常的商業地を配置します。日常的商業地は、

徒歩や自転車で移動できる範囲でサービスが受けられるよう拠点地区を中心に必要な規模

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を適切に配置します。

都市計画道路 3・3・1 号インターチェンジ通りなどの環状線沿いでは、都市基盤施設の整

備状況や整備目的、後背地の良好な居住環境形成、中心市街地の商業地との役割分担に配

慮しながら、沿道サービス型施設の立地を適正に配置します。

なお、都市の拡散を誘発し、新たな基盤整備を必要とする大規模集客施設の郊外配置は

抑制します。

③ 業務地

業務地は、都市活動全般にわたる都市機能が集積する広域拠点地区や地域拠点地区に配

置します。

公共公益施設については、高齢者などの利便性や周辺環境に配慮するとともに、都市の

拡散を誘発しないよう拠点地区を中心に適切な位置に配置・誘導します。

④ 工業地

工業地は、産業の高度化への対応と生産活動の効率化を図るため、現在及び将来の工業

生産規模並びに周辺住宅などに及ぼす影響などを踏まえ、緑地空間などのオープンスペー

スの確保など周辺環境に配慮しながら配置します。

産業拠点地区では、周辺の自然環境や生活環境との調和に配慮するとともに、良好な操

業環境の維持、充実を図ることにより、新たな企業誘致に努めながら良好な工業地を配置

します。

⑤ 流通業務地

流通業務地は、物資の流通活動の円滑化を図るため、流通業務施設の集積度及び広域的

な連携機能を高める交通網などの整備状況を考慮しながら配置します。

⑥ 公園・緑地ゾーン

公園・緑地ゾーンは、将来の都市化動向やレクリエーション活動の需要に対応し、都市

の環境向上、景観の保全、災害の防止などの機能を総合的に発揮できるよう適正な規模を

配置します。

⑦ 田園集落ゾーン

用途地域外における田園地帯などを、自然環境や営農環境に配慮しつつ集落の維持・保

全を図るゾーンとして位置づけます。

⑧ 自然環境保全ゾーン

豊かな自然環境や水辺空間などの地域固有の景観特性について、将来にわたって保全を

図るゾーンとして位置づけます。

また、ミヤコタナゴ生息地保護区をはじめとする貴重な自然環境について、将来にわたっ

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て保全に努めます。

(3)土地利用の方針

① 土地の高度利用に関する方針

広域拠点地区では幹線道路の整備にあわせ、空き地などの低未利用地、空き家や公的不

動産などの既存ストックの有効活用により計画的な土地の高度利用を促進し、商業、業務、

居住などの複合的な都市機能の強化を図ります。

広域拠点地区・地域拠点地区周辺の生活拠点地区では、コンパクトな市街地の形成を目

指すため、既存の都市基盤を活かしつつ、良好な居住環境の維持・改善に努めます。

また、拠点地区などにおいては、日常的に必要となる都市機能を維持できる人口密度を

確保します。

② 用途転換、用途純化又は用途の複合化に関する方針

広域拠点地区や地域拠点地区では、地域の核として必要な各種都市機能の立地を誘導す

るとともに、街なかへの居住を促進するため、適切な用途への転換や複合化を検討します。

都市基盤の整備に合わせた都市機能の集積・誘導のための用途転換や良好な市街地保全

のための地区計画などにより、適切な土地利用を図るとともに、地域の実情の変化や社会

的ニーズに応じた用途地域の見直しを検討します。

住居専用地域への日常生活機能の確保のため、必要に応じて用途転換や地区計画の導入

を検討します。

既成市街地において用途の混在による都市環境の悪化が懸念される地域については、必

要に応じて地区計画の活用などにより用途の純化を図ります。

野崎地区北部の低未利用地や中田原地区などについては、都市計画道路などの整備状況

や産業活動の見通し、地域活性化などの観点を踏まえながら、必要に応じて用途地域のあ

り方を検討します。

③ 居住環境の改善又は維持に関する方針

広域拠点地区や地域拠点地区及びその周辺の生活拠点地区では、道路や公園などの都市

基盤の優先的な整備を進めるとともに、地区計画や建築協定、緑地協定などを活用し街並

みの形成を誘導するなど、良好な居住環境の創出を図ります。

郊外の生活拠点地区などでは、従来の生活様式を尊重し、道路や公園などの既存都市施

設を活かしながら居住環境の維持・改善を図るとともに、地域コミュニティの維持に努め

ます。

高齢者向け住宅やバリアフリーに対応した住宅、社会インフラの整備により高齢者など

に負担が少ない居住環境を確保します。

空き家などの既存ストックの適正管理に努めるとともに、有効活用を図るための仕組み

づくりを検討します。

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④ 都市内の緑地又は都市の風致の維持に関する方針

本区域は、蛇尾川沿いの緑地や城跡を中心とした丘陵地など緑豊かな区域です。これら

都市内の緑は人に安らぎを与え、都市の活性化を促す重要な資源でもあることから、これ

らの保全に努めるとともに、有効な整備・活用を図ります。

⑤ 優良な農地との健全な調和に関する方針

本区域の金田・親園地区をはじめとする優良農地は首都圏の食糧基地の役割を担ってい

ることから、これらの農地の維持・保全に努めます。

用途地域外では営農環境と農地の集団性を確保するため、農村集落の振興に配慮しなが

ら優良な農地の維持・保全に努めます。

⑥ 災害防止の観点から必要な市街化の抑制に関する方針

大雨時における浸水や土石流、がけ崩れなどによる災害の発生の恐れがある区域につい

ては、新たな市街化を抑制します。

⑦ 自然環境形成の観点から必要な保全に関する方針

羽田ミヤコタナゴ生息地保護区や親園自然環境保全地域、金丸緑地環境保全地域をはじ

め、地域に点在する平地林や箒川、蛇尾川などの清流及びその沿川に広がる水辺環境など

の豊かな自然環境は、後世に残すべき貴重な財産であり、将来にわたって保全に努めます。

⑧ 計画的な都市的土地利用の実現に関する方針

良好な生活環境の維持と産業の振興を促進するため、周辺地域の農林業などとの健全な

調和を図りながら、計画的な都市的土地利用を図ります。

既に市街化が進行している地区については、用途地域や特定用途制限地域などにより、

計画的な市街地の形成を図ります。

用途地域外への無秩序な市街地の拡散を抑制するため、必要に応じて用途地域や地区計

画、特定用途制限地域などの活用により、適切な土地利用への誘導を図るとともに、地域

の実情にあった建築物の形態規制(建ぺい率、容積率)を行います。

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【土地利用構想図】

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3-2 都市施設の整備に関する主要な都市計画の決定の方針

(1)交通施設の都市計画の決定の方針

① 基本方針

拠点地区の形成や拠点地区及び都市間の連携にあたっては、鉄道・バスなどの公共交通

ネットワークや歩行者・自転車の利用環境を充実していくとともに、自動車交通との連携

や適切な役割分担を図ることにより総合的な交通体系を構築し、誰もが安全でスムーズに

移動できるネットワーク型の都市づくりを進めます。

本区域は、東京圏と東北地方を結ぶ軸上に位置しており、JR 東北本線や(国)4号などの

広域連携軸を活用しながら、県内外との広域的な連携を図ります。

また、八溝山周辺地域定住自立圏の中心都市であるとともに、県北地域の中核的病院を

有する医療研究産業の拠点となっていることから、周辺都市との連携や広域交通拠点であ

る新幹線駅や高速道路 IC へのアクセス強化を図ります。

本区域においては、大田原市街地を核に大小様々な拠点地区が形成されており、既存の

鉄道・バスなどの公共交通を活用しつつ、幹線道路網の整備を推進し拠点地区間の連携を

強化します。

公共交通は、JR東北本線を基軸として路線バスなどが整備されていますが、周辺都市間

や区域内交通では自動車への依存度が高く、道路を主とした交通体系が構築されています。

このため、複数の交通手段間の連携や交通結節点などの整備を促進し利用者の交通手段の

選択肢を増やすなど、円滑な都市交通を確保し公共交通の利用促進を図ります。

更に、歩道や公共交通機関などのバリアフリー化や自転車の利用環境の充実を図り、歩

いても暮らせる都市づくりを進めます。

② 主要な施設の配置の方針

【道路】

道路網は、広域連携軸となる市街地の中心部で交差する(国)400 号や(国)461 号及び野崎

地区を縦貫する(国)4号に加え、都市間・都市内連携軸となる中心市街地から放射状に延

びる県道や市街地骨格や都市の外郭を形成する都市計画道路などにより構成されています。

広域連携軸である(国)4号、(国)461 号の整備を図るとともに、東北縦貫自動車道への

アクセスを強化し、産業の振興や地域の更なる発展に資するとともに、災害時の緊急輸送

道路となる広域的な道路ネットワークを構築します。

また、市街地内の幹線道路は、都市計画道路を中心に整備を推進し、市街地に集中する

交通を分散・誘導し、スムーズな交通流動を確保するなど機能の強化を図ります。特に、

3・3・2 号大田原野崎線や 3・4・2 号西那須野線など市街地の骨格となる都市計画道路につい

ては、魅力的な都市環境に配慮した利便性の高い道路網を構築するため、放射道路と整合

しつつ整備を進めます。

更に、都市経営コストの軽減を図るため、長寿命化修繕計画などに基づき既存ストック

の適切な維持管理や有効活用を図ります。

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【鉄道・バス等】

JR 野崎駅については、野崎工業団地及び野崎第二工業団地の企業立地への重要な役割を

有し、かつ、公共交通を利用する市民の居住環境形成に寄与しているため、交通結節機能

の強化などによる効率的な交通体系を確立し、利便環境の充実を図ります。

近接する JR 西那須野駅や新幹線駅である JR 那須塩原駅へのアクセス強化を図るととも

に、バスを含めた公共交通機関相互の連携や機能の充実・強化により効率的な交通基盤を

確立し住民の利便性の向上を図ります。

また、人口減少・超高齢社会に対応し、郊外の既存集落などからも拠点地区にある都市

機能をより使い易くするため、地域特性に応じた公共交通ネットワークのあり方を踏まえ

ながら、路線バスなどの運行円滑化や利便性向上、駅へのアクセスの強化を図る施設の整

備を進めます。

併せて、モビリティマネジメントなどにより公共交通の利用を促進し、自動車交通から

公共交通への移動手段の転換を図ります。

【その他の施設】

道路の整備や鉄道・バスなどの公共交通ネットワークの構築に併せて、歩道や公共交通

機関のバリアフリー化、自転車利用環境の充実など、誰もが安全で安心して移動できる移

動空間の整備を進めます。

③ 主要な施設の整備目標

概ね 10 年以内に実施することを予定する主要な事業は、次のとおりです。

【広域連携軸】

広域連携軸として、以下に挙げる道路の整備を推進します。

○(国)4号(矢板大田原バイパス)

(国)400 号、(国)461 号

【都市間・都市内連携軸】

都市間・都市内連携軸として、以下に挙げる道路や公共交通の充実を図ります。

○(主)大田原氏家線(親園・佐久山バイパス)

(主)大田原高林線(都市計画道路 3・4・2 号西那須野線)

(市道)都市計画道路 3・3・2 号大田原野崎線

都市計画道路 3・3・3 号野崎こ線橋通り など

○バスなどの地域公共交通の充実

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(2)下水道及び河川の都市計画の決定の方針

① 基本方針

【下水道及び河川の整備方針】

下水道については、市街地などにおける生活排水などの汚水を効率的に処理し、生活環

境の改善、河川など公共用水域の水質保全を図るため整備を促進します。また、区域内の

緑地、空地の減少などに伴う雨水流出量の増加による市街地の浸水を防止するため、河川

計画と整合のとれた効率的な整備を促進します。

河川については、流域内の開発などに伴う自然の保水及び遊水機能の減少などによる雨

水の流出増に対応するため、河川改修など適切な治水対策を推進するとともに、自然環境

などに配慮した良好な水辺空間の整備を進めます。

【整備水準の目標】

下水道については、効率的・効果的な汚水処理を行うため、新栃木県生活排水処理構想

に位置づけられた下水道事業、農業集落排水事業、浄化槽整備事業などの適正な役割分担

のもと、下水道の全体計画に基づき整備を促進します。

河川については、河川の特性や地域の風土・文化・住民の意見などを反映させた河川整

備計画に基づき、効率性、経済性を踏まえながら、個性を活かした魅力ある河川の整備を

進めます。

② 主要な施設の配置の方針

【下水道】

市街地については、生活排水などの汚水を適切に処理し、雨水による浸水を防ぐなど快

適な都市生活環境の充実を図り、将来的な土地利用と整合した下水道などの整備を促進し

ます。整備にあたっては用途地域内を優先的に進めるとともに、効率的な施設整備により

処理区域の拡大に努めます。

都市経営コストの軽減を図るため、長寿命化計画などに基づき既存ストックの適切な維

持管理や有効活用を図ります。

【河川】

巻川、熊川については、自然環境に配慮した河川改修により洪水による浸水の低減を図

ります。

③ 主要な施設の整備目標

概ね 10 年以内に実施することを予定する主な事業は次のとおりです。

【下水道】

下水道については、以下に挙げる地区において整備を促進します。

○上石上地区、中田原地区など

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本区域における平成 32年度末までの下水道処理人口普及率の目標を概ね 62%とします。

【河川】

○巻川、熊川の計画的な整備を進めます。

(3)その他の都市施設の都市計画の決定の方針

① 基本方針

人口減少・超高齢社会や産業構造の変革、更には循環型社会への対応などによりライフ

スタイルの多様化が進行することが予想されます。

これらに対応して、健康で文化的な都市生活や機能的な都市活動を確保するために必要

な都市施設を都市計画に位置づけ、整備を進めます。

② 主要な施設の配置の方針

廃棄物処理施設については、循環型社会の実現に向け栃木県廃棄物処理計画や市の一般

廃棄物処理計画に基づき、必要な施設の確保を図ります。

③ 主要な施設の整備の目標

概ね 10 年以内に実施することを予定する主要な事業は、次のとおりです。

○廃棄物処理施設については、効率的な運営の確保と再生利用を図るため、広域的な観

点での整備を促進します。

3-3 市街地開発事業に関する主要な都市計画の決定の方針

都市基盤が未整備なため土地の有効利用が図れない市街地においては、土地区画整理事

業などの導入を図り、道路などの都市基盤の整備改善を図るとともに、都市機能の更新、

土地の有効利用を進め、必要に応じ建築物の不燃化や耐震化により都市防災機能の向上を

図ります。

本区域においては、JR野崎駅周辺で野崎工業団地地区、薄葉団地地区、上石上地区、野

崎駅西地区、また大田原市街地の金燈籠交差点地区や中央通り地区第一種市街地再開発事

業などが既に完了しています。

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【都市施設構想図・市街地開発事業構想図】

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3-4 自然的環境の整備又は保全に関する主要な都市計画の決定の方針

(1)基本方針

本区域は、北部及び南部の緩やかな起伏の丘陵地帯における森林、箒川や蛇尾川をはじ

めとする水辺環境及びその沿川の沃野を擁した田園地帯など、良好な自然環境に恵まれた

区域です。

これら本区域の各地に残された貴重な自然環境、自然景観を今後も積極的に保全し、次

代の子供たちに引き継いでいくとともに、これら水と緑の資源を有効に活用した都市づく

りを進めます。

(2)主要な緑地の配置方針

① 環境保全系統

○本区域の代表的な自然空間である北部及び南部に広がる丘陵地や箒川、蛇尾川沿いに

広がる田園地帯の自然環境の保全に努めます。

○イトヨ、ミヤコタナゴの生息地である羽田地区や親園地区、ザゼンソウ群生地である

金丸地区など、地域固有の自然環境の保全に努めます。

○地域に点在する平地林について自然環境の保全に努めます。

② レクリエーション系統

○ふれあいの丘周辺の観光レクリエーション拠点は、市内外から人々が集い、楽しめる

自然活用型観光リゾート地として整備・充実を図ります。

③ 防災系統

○地震、火災など災害時の避難場所として地区公園、総合公園などの適正な配置を図る

とともに、これらの公園や学校などへ接続する道路を適切に配置し、避難路のネット

ワーク化を図ります。

④ 景観構成系統

○自然環境と共生したゆとりある市街地の形成を図るため、蛇尾川沿いの緑地や城跡を

中心とした丘陵地など、都市内の豊かな緑と潤いのある水辺空間の保全に努めます。

○栃木県景観条例に基づく一定規模以上の建築物などの届出制度や、屋外広告物条例の

適切な運用などにより、“ふるさととちぎ”の美しい自然や、歴史・文化を生かした

良好な都市景観の保全・創造を図ります。

○地域の特性を活かした良好な景観形成の実現に向け、景観行政団体への移行及び景観

計画の策定などを支援します。

(3)実現のための具体の都市計画制度の方針

① 公園緑地などの整備目標及び配置方針

日常生活圏や地理的条件、市街化の動向などを考慮し、身近な運動や休養の場及び地震

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や火災時の避難地として、街区公園などを適正に配置します。

また、休養、休息、運動、教養、自然や文化とのふれあいを通じて、住民の健康の維持・

増進、文化活動の普及のため、有機的連携を図りながら、総合公園や運動公園等を適切に

配置します。

【公園緑地など】

公 園 緑 地の 種 別

配 置 の 方 針

街 区 公 園近 隣 公 園

安全で潤いのある日常生活圏の形成に資するため、市街地規模、住区構成、分断要素等を踏まえ、適切に配置します。

地 区 公 園御殿山公園、龍城公園、大田原グリーンパークなど既存の地区公園の整備・拡充を図ります。

運 動 公 園 佐久山運動公園、美原公園など既存の運動公園の整備・拡充を図ります。

総 合 公 園 水辺公園などの総合公園の整備・拡充を図ります。

そ の 他 の公 園 緑 地 等

蛇尾川緑地、ぽっぽ緑地などの保全と利活用を図ります。ふれあいの丘など都市計画公園以外の公園の維持・保全を図ります。地域特性に応じた公園整備の促進を図ります。

② 風致地区などの指定目標及び指定方針

風致地区である大田原公園、城山公園については、継続して風致の維持を図ります。ま

た、優れた自然環境を保全すべき緑地については、風致地区の指定を検討するとともに、

市街地及びその周辺部の重要な緑地については適切に保全し、良好な都市環境の形成を図

ります。

(4)主要な緑地の確保の方針

概ね 10 年以内に実施することを予定する主要な事業は、次のとおりです。

○蛇尾川緑地などの整備

○「水と緑のリハビリパーク」をテーマにして善勝川や森林などの自然を活かし、高齢

者や障がい者にやさしい公園として水辺公園の整備

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【自然環境整備・保全構想図】

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3-5 都市防災に関する方針

これまでの災害の教訓を活かし、被害を未然に予防する防災対策や、災害が発生した場

合であっても被害を最小限に抑える減災対策、速やかな応急対策、復旧・復興などにより、

災害に強い都市づくりを進めます。

また、栃木県地域防災計画や市の防災計画との整合を図りつつ、災害時における都市機

能の維持・確保、適切な都市施設の配置とそれらのネットワーク化、建物の耐震化、水害・

土砂災害対策などを進めます。

本区域においては、土砂災害警戒区域などが存在することから、これまでの管理施設の

整備と併せ、災害の恐れがある危険箇所への情報提供を行い、住民の防災意識の向上に努

めるとともに、安全な土地利用を図ります。

更に、計画規模を上回る洪水や地震などの大規模災害が発生した場合にも壊滅的な被害

とならないように、危機管理体制の充実に努めます。

① 防災拠点の整備とネットワークの形成

災害時における防災拠点間の連携や災害応急対策に必要な人員・物資の輸送などに資す

る緊急輸送道路や減災ネットワーク道路を確保します。

都市における避難場所や防災拠点として機能する都市公園の適正配置や防災機能の確保

を図ります。また、必要に応じて河川緑地などの大規模なオープンスペースにも避難地と

しての機能を持たせるとともに、避難路の整備を進めます。

災害時においても重要な役割を果たす都市施設やライフラインについては、その機能を

維持するため代替性・補完性を確保します。

人口減少・超高齢社会の進行を踏まえて、災害時における効率的な応急対策や復旧・復

興、生活や経済活動の継続性を確保するため都市のコンパクト化の推進や地域コミュニ

ティの維持を図ります。

② 都市の耐震化・不燃化

大規模災害発生時に防災拠点となる公共施設、道路や上下水道などのライフラインの耐

震化を推進します。また、再生可能エネルギー導入促進など災害時の生活維持や防災力の

向上を図ります。

都市の防災機能の向上を図るために、住宅などが密集する市街地において市街地開発事

業を実施するとともに、公園などのオープンスペースや避難路及び延焼遮断帯となる道路

空間の確保を図ります。

建物の耐震診断や耐震補強に対する助成などにより耐震化を促進するとともに、更新に

合わせた不燃化・難燃化を図ります。

空き家などを適切に管理・活用することにより、防災・防犯対策を促進します。

③ 水害・土砂災害等の対策

台風や集中豪雨などによる浸水被害を低減するため、河川改修や遊水地の設置、下水道

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の整備、道路の冠水対策などを推進します。また、土砂災害の危険性の高い区域において

は、砂防施設の整備や急傾斜地対策などを進め、住民の安全を確保します。

これらのハード対策と併せて、浸水想定区域・土砂災害警戒区域の指定や、ハザードマッ

プの活用、洪水予報・土砂災害警戒情報の発表などのソフト対策を充実させ、住民の防災

意識の向上や警戒避難体制の強化を図ります。

更に、適切な土地利用を誘導するため、大雨時における浸水や土石流、がけ崩れなどに

よる災害の発生の恐れのある区域については、新たな市街化を抑制します。

④ その他

防災の観点を考慮した市の都市計画マスタープランの策定を促進することとし、県及び

市は住民の協力を得て、災害に強く安全性の高い都市づくりを進めます。

4. 本区域における都市づくりの実現に向けて

4-1 実現に向けての基本方針

「1-4 本区域の将来都市構造」の実現を図るため、これまで築いてきた既存ストック

の有効活用を図りつつ必要な方策を講じていきます。

また、拡散型の都市構造を助長する開発の抑制に努め、持続可能で暮らしやすい都市環

境の形成を図るため、エコでコンパクトな都市構造への転換を目指します。

4-2 都市づくりの実現化方策

(1)暮らしやすくコンパクトな都市づくり

① 日常生活に必要な都市機能の集積の促進

拠点地区において不足する機能の配置や拠点地区間の相互補完を考慮しながら、日常生

活に必要な都市機能の集積を図ります。

特に、拠点地区においては、土地の高度利用や都市基盤の整備などを進めるとともに、

市街地の無秩序な拡大を抑制するために、用途地域外における適切な土地利用規制を検討

します。

② 街なかへの居住(集住)の促進

都市機能の集積と併せて、街なか(拠点地区)への居住を誘導し、都市機能や居住の一

層の集積による相乗効果により、都市の拠点性を高めていきます。

特に、商業機能と居住機能の複合化や高齢者向けの住宅など、多様なニーズに対応した

都市づくりを進めます。

③ 空き家など既存ストックの有効活用

都市機能の集積や街なかへの居住を誘導するにあたっては、空き家や空き地、公的不動

産の有効活用を図ります。

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特に、空き家については、条例等に基づいて有効活用を図ります。

④ 都市の防災・減災機能の強化

安全で安心して暮らすことができるように、災害に対する予防や発生時の応急対策、復

旧・復興に資する都市施設の整備を進めます。

特に、防災拠点となる公共公益施設の耐震化や防災機能を有する公園、避難路などの都

市施設の整備を推進するほか、条例等に則して空き家などを適正に管理します。

【主な取組】

○用途地域や特定用途制限地域を活用しながら、適切に土地利用規制・誘導を行います。

○拠点地区を中心に、既存ストックなどを有効活用しつつ日常的な都市機能の集積や街

なかへの居住を促進します。

○都市基盤整備においては、土地区画整理事業や地区計画などの活用について検討しま

す。

○都市計画道路をはじめとする都市施設、土地区画整理事業などの面的整備と連携した

用途地域の変更などにより都市機能の適切な誘導を図ります。

○街区単位の土地利用と自然・歴史・文化・景観などの地域特性にあった都市づくりを

推進するため地区計画の活用を図ります。

○郊外に立地している公共公益施設などについては、施設更新にあわせ拠点地区への誘

導を図ります。

○大規模集客施設については郊外への立地を抑制し、用途地域内への誘導を図ります。

○災害発生時における円滑な救助・救援活動及び緊急物資輸送のための代替性・多重性

のある道路ネットワークや避難所周辺道路の確保及び強化を図ります。

○防災の観点を考慮した市の都市計画マスタープランの策定を促進します。

○都市機能の集積や街なかへの居住を誘導するため、立地適正化計画の策定を促進しま

す。

地区名 事業手法 目的等 大田原西地区 都市再生整備計画(H26~) 都市施設の整備

(2)誰もが安全でスムーズに移動できるネットワーク型の都市づくり

① 拠点間を結ぶ公共交通ネットワークの充実・強化

誰もが安全でスムーズに移動できるように、鉄道やバスなどの公共交通を基本とし、自

動車交通との連携や適切な役割分担による交通ネットワークを形成していきます。

特に、公共交通については交通事業者との連携を図りながら、地域の特性やニーズに応

じた公共交通手段(コミュニティバス・デマンド交通など)の確保・充実に取り組みます。

また、公共交通の利便性を向上させるために、駅前広場の整備などを進めます。

更に、交通需要マネジメントやモビリティマネジメント施策を通じ交通の円滑化や公共

交通の利用促進を図ります。

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② 徒歩や自転車による移動性の向上

歩道や公共交通機関などのバリアフリー化や自転車の利用環境の充実を図り、安全でス

ムーズに移動できる環境づくりを進めます。

【主な取組】

地区名 整備路線等 目的等

大田原中心市街地 都市計画道路 3・4・2 号西那須野線 中心市街地活性化、円滑な交通の確保

(3)環境にもやさしいエコな都市づくり

① 環境負荷の少ない低炭素な都市づくり

拠点地区への都市機能の集積や集約、公共交通の利用促進を図ることにより、エネルギー

消費を抑制した効率的な都市を構築します。

また、地球温暖化やエネルギー需給の変化など地球規模での環境問題に対応した未利

用・再生可能エネルギーの有効活用、省エネ技術・情報通信技術の導入などによるエネル

ギー利用効率の向上を図ります。

更に、都市部における緑化を推進するとともに、郊外部における農地や山林などの緑地

を保全し、持続可能で環境負荷の少ない低炭素な都市づくりを進めます。

② 都市経営コストの低減

拠点地区への都市機能の再配置や効率的な利活用、公共投資の重点化、社会資本の長寿

命化などの適切な維持管理により、都市経営コストの低減を図ります。

特に、公共施設については拠点地区への集積に伴う再配置など効率的な整備を行うとと

もに、長寿命化計画を策定し、適切な維持管理に努めます。

【主な取組】

○集約型の都市構造への転換、公共交通の利用促進を図ります。

○下水道施設などにおける未利用エネルギーや太陽光、水力、バイオマスなどの再生可

能エネルギーの利活用を促進します。

○社会資本の長寿命化計画を策定します。

(4)地域の魅力や強みを活かした都市づくり

① 恵まれた立地環境や優れた交通ネットワークを活かした産業の振興

宇都宮市から約 45km、東京から約 140km に位置する地理的優位性や、東北縦貫自動車道

などの広域交通ネットワークを活かしながら、既存工業団地への医療用機械器具製造業な

どの産業集積、大豆や麦などの土地利用型農業を基幹に他、特産品であるネギやウドなど

の農産品の生産などにより、産業の振興を図ります。

特に、物流拠点や高速道路 IC へのアクセス道路の整備などにより、効率的な物流ネット

ワークを構築するとともに、工場跡地も含め産業団地への工場などの集積を図ります。

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② 地域資源を活かした観光の振興

源平合戦の雄「那須与一」の里、奥州街道の宿場町をはじめ、歴史・文化など魅力ある

地域資源を活用しながら、県内外との交流人口を増加させ、地域の魅力や活力を高めてい

きます。

特に、公共交通を活用した観光地へのアクセス性、周遊性を向上させるとともに、風致

地区や景観地区などを活用しながら、豊かな自然や景観、歴史・文化などの地域資源の保

全と活用を図ります。

(5)医療や福祉、産業、環境など各種施策と連携した都市政策の展開

医療や福祉政策、商工業・農林業などの産業政策、教育や文化政策、環境政策、交通政

策などと連携し、店舗や病院などの多様な都市機能の集積や産業振興・企業誘致、地球環

境の保全、都市景観の形成などを進める総合的かつ戦略的な施策展開を図ります。

(6)多様な主体と協働・連携した都市づくり

地域のニーズに応じた都市環境整備や公共サービスの提供を将来にわたって行うため、

積極的な住民参加を促し、適切な情報の提供を行いながら、住民・NPO・企業・大学・行政

などの多様な主体と協働・連携した都市づくりを進めます。

更に、それぞれの役割と責任を明確化しながら、一体的に事業を推進していくための仕

組みづくりや、主体的に都市づくりを進める人材育成に取り組んでいきます。

【主な取組】

地区名 施策及び団体名 活動目的等

大田原中心市街地 中心市街地活性化協議会 中心市街地活性化

大田原中心市街地 (株)大田原まちづくりカンパニー 中心市街地活性化

(7)都市の評価分析

都市計画基礎調査などにより都市の現状や課題の把握を行うとともに、客観的な評価指

標などを用いた都市の評価分析を行っていきます。

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【拠点地区形成の考え方】

「とちぎのエコ・コンパクトシティ」の実現を図るために、都市機能の集積や街なかへ

の居住を促進する「広域拠点」「地域拠点」「生活拠点」の具体的な区域設定について検討

します。

大田原都市計画区域の将来都市構造イメージ図

(集約型都市構造イメージ図)