人工知能から人工頭脳へ - isem.co.jp · 1 人工知能から人工頭脳へ...

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1 人工知能から人工頭脳へ NF研自由話題 20160114 宮西洋太郎 人(人体頭脳)とロボット(人工知能) なにが違うか 人間に追いつき、追い越すには 日本発信の人工知能開発ができないか? 人工知能から人工頭脳へ 睡眠に効用がないのか? それから(だから)どうなる?

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人工知能から人工頭脳へ

NF研自由話題 20160114

宮西洋太郎

• 人(人体頭脳)とロボット(人工知能)

• なにが違うか

• 人間に追いつき、追い越すには

• 日本発信の人工知能開発ができないか?

• 人工知能から人工頭脳へ

• 睡眠に効用がないのか?

• それから(だから)どうなる?

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参考情報

• 情報処理2015年1月号 シンギュラリティ特集

• 「子供のAI」松尾豊 日経新聞2015年10月5日

• 「人工知能の未来-ディープラーニングの先にあるもの-」松尾豊

http://www.rieti.go.jp/jp/events/bbl/15060301.pdf

• 技術戦略研究センターレポート

TSC ForsightVol.8 人工知能分野の技術戦略策定に向けて

http://www.nedo.go.jp/content/100764487.pdf

• 「脳のしくみ」高島明彦監修 日本文芸社

• 全脳アーキテクチャ・イニシアティブ WBAI

http://wba-initiative.org/

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参考情報(未調査) • 技術的特異点Technological Singularity

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8A%80%E8%A1%93%E7%9A%84%E7%89%B9

%E7%95%B0%E7%82%B9

• 「ポスト・ヒューマン誕生-コンピュータが人類の知性を超えるとき」

レイ・カーツワイル(著) 井上健(監訳) NHK出版 ISBN 978-4-14-081167-2 (“The

Singularity is Near:When Humans Transcend Biology”(ISBN 978-0143037880)の邦訳

• 「シンギュラリティは近い―人類が生命を超越するとき」 [Kindle版]

レイ・カーツワイル (著), 小野木 明恵 (翻訳), 野中 香方子 (翻訳), 福田 実 (翻訳), 井上 健 (監修)

• 「人工知能 人類最悪にして最後の発明 」[Kindle版]

ジェイムズ・バラット (著), 水谷 淳 (翻訳)

• 「AIは「心」を持てるのか 脳に近いアーキテクチャ」 [Kindle版]

ジョージ ザルカダキス (著), 長尾 高弘 (翻訳)

• 「人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの 」(角川EPUB選書)

単行本 – 2015/3/11

松尾 豊 (著)

• 「考える脳 考えるコンピューター 」単行本 – 2005/3/24

ジェフ・ホーキンス (著), サンドラ・ブレイクスリー (著), 伊藤 文英 (翻訳)

• 「意識はいつ生まれるのか――脳の謎に挑む統合情報理論 」単行本 – 2015/5/26

ジュリオ・トノーニ (著), マルチェッロ・マッスィミーニ (著), 花本 知子 (翻訳)

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参考情報(未調査) • 「意識と脳――思考はいかにコード化されるか」 単行本 – 2015/8/27

スタニスラス・ドゥアンヌ (著), 高橋 洋 (翻訳)

• 「クラウドからAIへ 」[Kindle版]

小林 雅一 (著)

• 「AIの衝撃 人工知能は人類の敵か」 (講談社現代新書) 新書 – 2015/3/19 小林 雅一 (著)

• キーワード

• Spiritual computer

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人(その人体頭脳)とロボット(その人工知能)

人 Human ロボット Robot

人体頭脳

Human

Brain

人工知能

Artificial

Intelligent

Human

Body

機体

Mechanical

Body

機械 生物

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人体頭脳と人工知能の比較 発生の歴史

もともと生命体を維持する機能から出発

発生の歴史

頭脳のうち、計算や論理的思考を模擬する機能から出発

頭脳 人工知能

機能

生命維持機能(脳幹)がもともとあり、それに運動機能(小脳)、さらには知的処理機能(大脳)が人類への進化過程で加わった。

機能

計算機能、論理的処理機能が主体である。

ロボットの場合には、運動機能が追加される。

特徴(違い)

・脳の中で、ハードウェア(生体部位)が機能分担がなされている。

・活動に疲れがあり、その回復に睡眠が不可欠。

・要素数が膨大。

特徴(違い)

・人工知能の中で、ハードウェアは共通に使われる、すなわち機能分担がなされていない。

・活動に疲れがない。睡眠は不要。

・要素数は頭脳に及ばず。

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人体頭脳と人工知能違いの結果

論理的な動作

人工知能に比べ、処理速度が低い。

論理的な動作

得意の動作で、高速に動作することができる。(特に計算機能)

頭脳 人工知能

パターン認識機能

強い。

パターン認識機能

弱い(要素数の少なさに起因か)。

無駄の有無、非効率性の効用

無駄があるし、限定した問題に対して非効率の場合もあるが、大所高所の問題解決が得意。

無駄の有無、非効率性の効用

無駄が無いが、大所高所での問題解決(問題定義とプログラミングが困難なので)が不得意。

休息(睡眠)

人体の他の器官と同様、連続運転に限界があり、休息(脳の場合、主に睡眠)が必要。

休息(睡眠)

無休息(不眠不休)の活動が可能。

情緒の理解

得意。冷たくも、暖かくも自在。

情緒の理解

不得意。知性的すぎ、冷たい。

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人体頭脳と人工知能違いの結果

睡眠中に夢をみる。

頭脳 人工知能

アルコール、薬物への反応

泥酒酔い、薬物幻覚などあり。

老化、忘却、死亡

細胞の新陳代謝、老化、忘却あり。

不慮の死、天寿の死、死ねば復元不可

感情

喜怒哀楽あり。

目標への自らの強い意志あり。

睡眠もなく、夢もみない。

アルコール、薬物への反応

左に相当する動作なし。

感情

喜怒哀楽なし。

目標は自分で設定しない。

老化、忘却、死亡

要素の新陳代謝、老化なし、忘却なし。

不慮の死(故障)あり、修理可能。

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人体頭脳と人工知能違いの結果

本能

自己保存、種の保存。

頭脳 人工知能

創発(emergence)

部分の総和以上の性質あり。

独創性、発想、発明、発見

思いつき(問題発見、問題設定)あり。推論、熟考あり。人工知能に発明、発見ができるか、ノーベル賞をとれるか(人間の知能部分のみを担当したとして)。

本能

本能なし。

独創性、発想、発明、発見

思いつきなし。

多少あり。局所最適からの脱却

創発

単純には部分の総和以上の性質なし。

研究中。

悟り

筆舌につくせない心の境地

悟り(?)

筆舌につくせる状態変数

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人体頭脳と人工知能違いの結果

協同・協調作業

抽象的(未確定な)目的に、複数の人間(頭脳)が協力して作業を行うことができる。

頭脳 人工知能

協同・協調作業

未開拓の分野(?)。

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人工知能の限界

人工知能(Artificial Intelligence)は、もともと計算機であり、人間が計算をおこ

なったり、論理的な推論を行ったりすることを模擬して創られている(ノイマン型、非ノイマン型(ニューロコンピュータ)にかかわらず)。

ゆえに、クールな処理、理性的処理(計算や論理のTrue/Falseを明確にできる処理と、ここではする)には強いが、

ウオーム/ホットな処理、情緒的処理(一概にTrue/Falseの判断を行うことが難しい処理と、ここではする)には、弱い。

これはひとつには、膨大な判断要素があり、 True/Falseを決めかねるということでもあろう。

同様に、感情的な処理や、パターン認識のように、なんとなく人間が処理しているものについても弱い(ニューロコンピュータ、DL(DeepLearning)が善戦中)。

この解決策の有望な策は、やはり、能動素子(ニューロン)の数を人間なみに多くすることであろう。

それは、だれも気づいているが、それ以外には無いだろうか。

シンギュラリティポイントの実現に向かって。

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脳の構成

「脳のしくみ」高島明彦監修 日本文芸社

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人工知能から人工頭脳へ

違いの解消(人工知能Artificial Intelligenceに追加するもの)

・要素数(能動素子数)を人体頭脳の要素数に近づける。

・活動を分担させる。 (「全脳アーキテクチャ」が目指している)

脳幹、小脳は、さておき、大脳の中も、情報処理の性質によって、右脳、左脳、前頭連合野などを模擬した分散処理。

・睡眠機能の導入。

人工知能(Artificial Intelligence)→人工頭脳(Artificial Brain)

・さまざまな種の生物における睡眠の効用を探求

「犬は夢を見るか」とか「蛙は冬眠以外毎日眠るのか」とか

高等動物ほど、「睡眠」→「夢をみる」となるのでは?

下等生物に睡眠は存在するのか、たぶんウイルスには睡眠はないのでは、では、どこから境界か。脳の進化と関係があるのでは。

・人類における睡眠の効用を探求

生物としての疲労回復

睡眠中の情報処理、夢の効用

「ロボット(人工知能)は夢をみるか?」「ロボットに夢をみさせる」「夢見るロボットを創る」

睡眠し、夢見るロボット(人工知能)

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人工知能から人工頭脳へ

違いの解消(人工知能Artificial Intelligenceに追加するもの)

・瞑想(Meditation)、熟考機能(Deep Thinking)の導入。

・応用分野

新しい考え方の創出

故障解析、社会問題の解析、解決方策の創出

新薬開発など、発明、発見

・テーマの設定

上位のテーマは人間が与える

・階層的テーマ

テーマのブレークダウンを人工頭脳が行う

WBS(Work Breakdown Structure)の考えからTBS(Theme Breakdown Structure)生成

・各レベルについて可能性を広く、深く(すなわち、ブレークダウンのカバレッジを上げる)

各テーマについて、テーマの構造を分析(テーマに関わる要素の洗い出し、要素間の関連の解明)、解決方向の探索

・発見的方法

ときどき、乱数的に、的(道)をはずしてみる。新しい発想の思いつき、発想の転換 瞑想し、熟考するロボット(人工知能)

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人工知能から人工頭脳へ

違いの解消(人工知能Artificial Intelligenceに追加するもの)

・瞑想(Meditation)、熟考機能(Deep Thinking)の導入。

人工頭脳(Artificial Brain)

あれやこれや、いきつもどりつ、思い巡らす(推論)ThinkingLoop

思いつき(発想)で、別のThinkingLoopにジャンプする

縦軸

熟考のレベル

作業はBrushUp

考えが整理されてLoopが小さくなる

超多次元の方程式、論理式からなる

今まで考えてきたすべてのLoopを整理統合して

思いつき(発想)で、別のThinkingLoopにジャンプする

現実には、横軸は時間軸も含まれるが、ここでは表現せず

軸は関連する多次元の要素とする 熟考モデル(Deep Thinking Model)のイメージ

概念、理論体系、悟り

抽象化 aufheben

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人工知能から人工頭脳へ

違いの解消(人工知能Artificial Intelligenceに追加するもの)

・協同・協調作業機能の導入。

人工頭脳(Artificial Brain)

・応用分野

人間の行うチームワーク全般

・目的・目標の共有

・自律的に各AI体(協調作業に参加するメンバーAI体)で作業をすすめる

・適宜、作業経緯、作業の中間結果について情報を交換する

・上記を繰り返し、全AI体が「これでよかろう」と判断したとき、当面としての協同作業を終了する

協調するロボット(人工知能)

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とりあえずここまで