住民監査請求(地方自治法第242条)...野田市職員措置請求に係る監査結果...

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野田市職員措置請求に係る監査結果 住民監査請求(地方自治法第242条) 平成31年2月8日 野田市監査委員

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野田市職員措置請求に係る監査結果

住民監査請求(地方自治法第242条)

平成31年2月8日

野田市監査委員

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1

第1 請求の受理

1 請求人

(省略)

2 請求の要旨

(以下原文のまま掲載)

(請求の要旨)

1 前提事実

ア 野田市は、野田市環境基本条例を制定し、これに基づき野田市環境基本計画を

制定すると共に、野田市地球環境温暖化対策実行計画を策定し市が直接管理する

施設を対象として、温室効果ガスの排出削減に取り組んでいる。

イ 野田市長は、通年での使用を条件にトータルコスト比較を行い最も安価なガス

又は電気ヒートポンプ方式を選択して、中学校11校に冷暖房が可能な空調設備

の設置を行い、平成29年度からこれの使用を開始した(以下、「本件空調設備

導入」という)。

ウ 教育委員会生涯学習部長は、平成29年5月30日付「野田市立学校空調設備

運用指針の策定について(通知)(野教教第32号)」(証拠1-1)及び平成

29年5月付「野田市立学校空調設備運用指針」(証拠1-2)によって、『石

油ストーブを基本とします。ただし、コンピュータ室については、精密機器への

影響を考慮し、空調設備での暖房とします。』(証拠1-2のP.4)と市内市

立学校に対し、冬期の暖房手段として石油ストーブの使用を指示した(以下、「

本件石油ストーブ使用指示」という)。

2 違法・不当な財務会計上の行為の事実

教育長は、平成30年1月31日、2月28日、4月13日、4月27日に分け

て市立第一中学校の冬季暖房用の石油ストーブの石油代金として合計金386,9

86円の支払いを行った(以下、「本件支出行為」という)(事実証明書1-1か

ら1-4)。なお、市立全中学校11校では合計で金3,160,921円の支払

いを行った(事実証明書2)。

3 違法・不当と思料する理由

ア 1項の前提事実のイ項で述べたとおり本件空調設備導入は、通年での使用を前

提にランニングコストを含めたトータルコスト比較を行い、最も安価な方式とし

てガス又は電気ヒートポンプ方式の空調設備の採用を決定したものである。それ

にも拘らず、4項で後述するとおりガス又は電気に比べ燃料コスト高となる本件

石油ストーブ使用指示が行われた。本件石油ストーブ使用指示は、本件空調設備

導入の通年使用の前提とも矛盾し、そのうえ1項の前提事実のア項で述べた野田

市地球環境温暖化対策実行計画にも矛盾しており合理的な理由がないから、その

結果行われた本件支出行為は不当である。

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2

イ 地方自治法第2条14項が「地方自治体は、その事務の処理をするに当っては、

公共の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果をあげなければな

らない。」と定め、また、地方財政法第4条が「地方公共団体の経費は、その自

的を達成するための必要且つ最少の限度をこえて、これを支出してはならない。」

と規定していることに照らせば、本件支出行為は同時に違法でもある。

ウ また、教育委員会生涯学習部長がした、本件石油ストーブ使用指示の行為自体

も前述の本件空調設備導入の前提や野田市地球環境温暖化対策実行計画とも矛盾

があることから地方公務員法第32条が定める法令等及び上司の職務上の命令に

従う義務に反し違法であるうえ、加えてこれは裁量権からも逸脱したものでもあ

り職権濫用とも言え違法である。

エ つまり、本件石油ストーブ使用指示の行為自体が違法であるならば、これに基

づいた次の行為に違法性が継承されることから本件支出行為は違法である。

4 野田市が被った損害

冬季において、本件空調設備導入で設置した空調設備を使用した場合とそれを使

用せずに石油ストーブを使用した場合で、その燃料コストを比較すると本件石油ス

トーブ使用指示に従って石油ストーブを使用した場合の方がコスト高となり、その

損害率は表1に示すとおりとなる。

表1に示した市内全中学校の中から第一中学校での損害率45.45%と本件支

出行為で支出した金386,986円から損害を算出すると

¥386,986 × 45.45% = ¥175,885

となる。

つまり、平成29年度において市立第一中学校だけでも金175,885円の損

害を野田市が被ったと認められる。

なお、同様に市内全中学校11校について計算すると表2に示すとおりであり、

合計で金1,582,750円の損害を野田市が被ったものと認められる。

表1:石油ストーブ使用による損害率算定表 学校名 月

月間負荷

(KW)

石油ストーブ *1 電気エアコン

電気代(円)B

ガスエアコン(円)B 損害率%

(1-B/A) 灯油必要量㍑ 単価 電気 金額A ガス代 電気代 合計

第一

中学校

採用方式

(D)

11 月 2,157.3 314.1 9,452 27,382 36,834

12 月 12,336.2 1,796.1 56,193 47,137 103,330

1 月 17,990.9 2,619.3 85,327 42,418 127,745

2 月 24,480.8 3,564.2 116,467 56,679 173,146

3 月 9,192.4 1,338.3 41,629 35,916 77,545

合計 66,157.6 9,632.1 94.5 4.2 950,687 309,068 209,532 518,600 45.45%

第二

中学校

採用方式

(D)

11 月 1,661.0 241.8 6,998 20,934 27,932

12 月 9,498.3 1,382.9 41,599 36,764 78,363

1 月 13,852.1 2,016.8 63,358 33,903 97,261

2 月 18,849.1 2,744.3 86,472 45,368 131,840

3 月 7,077.7 1,030.5 30,818 27,958 58,776

合計 50,938.2 7,416.2 93.5 4.2 724,567 229,245 164,927 394,172 45.60%

東部

中学校

採用方式

(D)

11 月 1,494.6 217.6 7,313 15,903 23,216

12 月 8,546.8 1244.4 40,460 28,885 69,345

1 月 12,464.5 1,814.7 61,163 26,573 87,736

2 月 16,960.9 2,469.4 83,498 35,500 118,998

3 月 6,368.7 927.2 29,972 22,101 52,073

合計 45,835.5 6,673.3 93.3 4.2 650,650 222,406 128,962 351,368 46.00%

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南部

中学校

採用方式

(B)

11 月 2,687.5 391.3 38,163

12 月 15,367.7 2,237.4 87,580

1 月 22,412.0 3,263.0 100,486

2 月 30,496.8 4,440.1 134,260

3 月 11,451.4 1,667.2 66,027

合計 82,415.4 11,999.1 93.4 4.2 1,171,113 426,516 63.58%

北部

中学校

採用方式

(D)

11 月 1,611.9 234.7 7,321 24,268 31,589

12 月 9,217.3 1,342.0 43,536 41,571 85,107

1 月 13,442.4 1,957.1 65,592 37,163 102,755

2 月 18,291.5 2,663.1 89,551 49,662 139,213

3 月 6,868.4 1,000.0 32,250 31,675 63,925

合計 49,431.5 7,196.9 93.4 4.2 702,416 238,250 184,339 422,589 39.84%

川間

中学校

採用方式

(D)

11 月 2,151.1 313.2 25,926 9,729 35,655

12 月 12,300.8 1,790.9 45,421 57,836 103,257

1 月 17,939.2 2,611.8 41,034 87,955 128,989

2 月 24,410.6 3,554.0 54,796 120,051 174,847

3 月 9,166.0 1,334.5 34,688 42,847 77,535

合計 65,967.7 9,604.4 93.3 4.2 936,433 201,865 318,418 520,283 44.44%

岩名

中学校

採用方式

(D)

11 月 1,836.9 267.4 24,416 8,204 32,620

12 月 10,504.1 1,529.3 42,267 48,480 90,747

1 月 15,318.9 2,230.3 37,825 73,769 111,594

2 月 20,845.0 3,034.9 50,508 100,708 151,216

3 月 7,827.2 1,139.6 32,270 36,136 68,406

合計 56,332.1 8,201.6 94.2 4.2 807,034 187,286 267,297 454,583 43.67%

福田

中学校

採用方式

(B)

11 月 1,878.6 273.5 28,719

12 月 10,742.5 1,564.0 63,164

1 月 15,666.7 2,281.0 69,977

2 月 21,318.3 3,103.8 93,585

3 月 8,004.9 1,165.5 47,639

合計 57,611.0 8,387.8 89.2 4.2 783,417 303,084 61.31%

木間ケ瀬

中学校

採用方式

(B)

11 月 1,896.0 276.0 29,297

12 月 10,841.7 1,578.5 65,271

1 月 15,811.3 2,302.0 73,510

2 月 21,515.0 3,132.4 98,211

3 月 8,078.8 1,176.2 49,217

合計 58,142.8 8,465.2 94.4 4.2 834,667 315,506 62.20%

二川

中学校

採用方式

(B)

11 月 1,566.9 228.1 24,683

12 月 8,961.0 1,304.7 54,901

1 月 13,067.0 1,902.5 61,565

2 月 17,780.8 2,588.8 82,285

3 月 6,676.6 972.1 41,405

合計 48,052.3 6,996.1 94.5 4.2 690,513 264,839 61.65%

関宿

中学校

採用方式

(D)

11 月 922.0 134.2 11,394 5,714 17,108

12 月 5,272.1 767.6 22,040 33,496 55,536

1 月 7,688.7 1,119.4 21,847 50,800 72,647

2 月 10,462.3 1,523.2 29,341 69,345 98,686

3 月 3,928.6 572.0 16,743 24,815 41,558

合計 28,273.7 4,116.5 93.9 4.2 403,824 101,365 184,170 285,535 29.29%

計算根拠:月間負荷及び電気ガス代金は、熱源比較検討表より転記、電気(16円/KW)・ガス料金には基本料金は含まず。

灯油発熱量 10,300kcal/kg(低発熱量) 比重 0.8 kcal→wは 1.163倍 8.929kw/ℓ 数式 10,300×0.8×1.163

灯油必要量は灯油発熱量 8,929w/㍑×1.3倍(換気ロス) 灯油単価は購入単価+電気料金(4.2円/㍑)とした。

(B)は電気式エアコン設置学校 (D)はガスエアコンプラス電気式パッケージエアコン設置学校

*1 石油ストーブはダイニチ石油ファンヒーター(煙突無し)で算出、消費電力 265W/h 要換気

表2:市立全中学校での推定損害額一覧

石油購入量 推定損害額

学校名 数量(㍑) 購入額 損害率(%) 損害額

第一中学校 4,094 ¥386,986 45.45 ¥175,885

第二中学校 3,164 ¥295,944 45.60 ¥134,950

東部中学校 3,510 ¥327,599 46.00 ¥150,696

南部中学校 3,291 ¥307,555 63.58 ¥195,543

北部中学校 3,223 ¥301,069 39.84 ¥119,946

川間中学校 2,617 ¥244,186 44.44 ¥108,516

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岩名中学校 1,930 ¥181,953 43.67 ¥79,459

福田中学校 2,670 ¥250,610 61.31 ¥153,649

木間ケ瀬中学校 3,750 ¥354,284 62.20 ¥220,365

二川中学校 3,077 ¥290,934 61.65 ¥179,361

関宿中学校 2,340 ¥219,801 29.29 ¥64,380

合 計 33,666 ¥3,160,921 ¥1,582,750

5 求める措置

ア 野田市監査委員は、教育長に対して野田市が被った損害金175,885円(

市立全中学校11校では合計で金1,582,750円)を補填するための必要

な措置を講ずることを勧告せよ。

イ 野田市監査委員は、教育長に対して教育委員会の組織統治について改善するた

めに必要な措置を講ずることを勧告せよ。

3 請求人の提出証拠(事実証明書)(省略)

事実証明書1-1 平成29年12月13日付起票の支出命令決議票

事実証明書1-2 平成30年2月8日付起票の支出命令決議票

事実証明書1-3 平成30年3月7日付起票の支出命令決議票

事実証明書1-4 平成30年3月15日付起票の支出命令決議票

事実証明書2 燃料等使用実績調(作成:教育総務課)

証拠1-1 平成29年5月30日付「野田市立学校空調設備運用指針の策

定について(通知)(野教教第32号)」

証拠1-2 平成29年5月付「野田市立学校空調設備運用指針」

4 請求の受理

本件請求は、平成30年12月11日付けで提出され、地方自治法(昭和22年法

律第67号。以下「法」という。)第242条所定の要件を具備しているものと認め、

12月14日付けで受理した。 第2 監査の実施

1 監査の対象事項

請求の趣旨から、市長が、平成29年度及び平成30年度に野田市立第一中学校の

冬季暖房用の灯油代金として支出した386,986円のうち、請求人の主張する損

害率45.45%を乗じた175,885円の支出が法第242条第1項に規定する

「違法若しくは不当な公金の支出」に当たるかを監査の対象事項とした。

2 監査対象部局

生涯学習部を監査対象部局とした。

3 資料の提出及び陳述

法第199条第8項の規定により、関係職員に関係書類の提出を求め、平成31年

1月22日に陳述の聴取を行った。

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(陳述の聴取出席職員)生涯学習部長、教育総務課長、教育総務課課長補佐、教育

総務課財務係長、営繕課長、営繕課営繕係長

4 請求人の証拠提出及び陳述

法第242条第6項の規定により、請求人に対して証拠の提出及び陳述の機会を設

けた。請求人は、平成31年1月17日に新たに証拠を提出し、1月22日に陳述原

稿に基づき陳述を行った。なお、請求人のうち1人は、指定日時に都合により出席で

きず陳述ができないため、1月18日に「陳述書」の提出により補足説明がなされた。

(1) 新たに提出された証拠(省略)

証拠2-1 野田市地球温暖化対策実行計画(平成29年8月)

証拠2-2 学校別冬期間空調機及び石油ストーブ使用によるCO₂排出量比較

証拠3-1 市立中学校における熱源方式比較(総括表)

証拠3-2 野田市立中学校空調設備設置工事 試算条件

証拠3-3 市立小学校における熱源方式比較(総括表)

証拠3-4 月運転日数等資料、従量料金算出に係る低減率算出資料

(2) 陳述の要旨

(以下陳述原稿の内容を原文のまま掲載)

私は野田市民オンブズマンに属し、野田市**********に住んでいる*

***と申します。**氏が野田市地球環境温暖化対策実行計画との矛盾について

述べましたので、私**は損害等について補足して陳述します。市は小中学校の空

調設備(以下エアコンと述べます)を設置するに際し、年間の使用を前提に総コス

トで一番経済的な方式を採用するとして、方式や熱源の比較を行い学校毎に、最も

適したとしたガス方式又は電気方式のヒートポンプエアコンを設置しました。この

運用に当たり教育委員会、生涯学習部長は「空調設備運用指針」を中学校は一昨年、

小学校は1年遅れの昨年同じ内容で通達しました。指針には冬季の暖房はエアコン

ではなく石油ストーブを使えの指示が入っていました。昨年冬の中学校の暖房は石

油ストーブが使われました。オンブズマンがこの事実を知ったのは昨年8月、他の

目的で取り寄せた開示書類から事実を知りました。ストーブ使用の指示にびっくり

しました。とんでもないことが行われたとすぐ、教育総務課に申し入れを行いまし

た。間違ったと思ったのでしょう、この冬からの石油ストーブ使用は取りやめとな

り、現在は小中学校共エアコンが設置された教室では石油ストーブは使われなくな

りました。しかしオンブズマンの指摘がなければ、この冬小・中学校全校で石油ス

トーブを使ったに違いありません。なぜストーブを使ったのか、なぜストーブの使

用をやめたのかの質問に対して、「ストーブ使用をやめたからもういいだろう」と

屁理屈ばかりで整合性のある説明は未だありません。まともに説明すると自分たち

の間違いを認めなくてはならない、それは避けたいとしたのでしょう。常識では考

えられない石油ストーブの使用、反省の言葉一つありません。よって過去の使用分

について金銭的な損害も与えていることから、損害を償うべきとして、監査請求を

行ったものです。

1.教育環境の基本 健康面、危険性、給油の手間を全く配慮しないストーブの使用

空調設備運用指針の冒頭「学校施設は、児童、生徒の学びの場であると同時に、

一日の大半を過ごす生活の場でもあり、快適な環境を確保する必要があります。」

と書き起こし、冬季のページは、四角く囲んだ内に石油ストーブを基本とします。

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とストーブ使用を強く指示しています。そして、コンピューター室については、精

密機器への影響を考慮し空調設備の暖房とします。なお故障等で石油ストーブの不

足が生じた場合、修理はせず普通教室以外から空調設備に切り替えるようにしてく

ださい。と書いています。この文書の作成者は学校の施設の環境整備が担当の教育

総務課です。パソコンはきれいな部屋、児童生徒は排気ガス満杯の汚れた部屋で1

日の大半を過ごせとしているのです。どちらが大事なのでしょう。私の孫は市内の

学校に通っています。エアコンを設置したにもかかわらず、劣悪な環境に子供を置

く、激しい憤りを感じます。絶対に許すことは出来ません。この他に

① 石油ストーブを使うと発生する3つの危険、これに対する配慮も全く見られま

せん。

危険そのi 一酸化炭素中毒と排ガスの危険

石油ストーブには一酸化炭素中毒の危険性があります。ストーブには一酸化炭

素を検知するセンサーは付いていません。換気不足や手入れの不足、さらに古い

ストーブは危険度が増します。過去石油ストーブで何件も死亡事故が起きていま

す。現実に先日の土曜授業の日、ある先生はストーブを使うと頭が痛くなると言

われていました。危険の兆候です。又灯油には硫黄分が合まれています。燃える

と臭い共に、SO₂亜硫酸ガスが発生します。このガスは呼吸器系統の疾患や、ア

レルギー疾患の元凶と言われています。

危険その ii 火災の危険

石油ストーブは炎で暖を取ります。地震で消火する機能はありますが、灯油が

漏れれば余熱で再点火の可能性は残ります。教室に危険物の灯油がある。このこ

とがもう危険なのです。

危険その iii やけどの危険

子供の行動は予測不能です。教室には火が燃えているのです。事故が起きない

と断言できますか。エアコンがあるのに、石油ストーブを使っていた。事故でも

起きればどう責任を取るつもりでしたか。

危険性や健康への配慮は優先すべき基本中の基本です。今まで事故がなかったか

らの判断は間違いです。より安全で、健康的で、快適な環境にするために大金をか

けての施設整備です。小学校では文科省から学校施設環境改善交付金4億3千万円

余の交付を受けています。他市に比べて高額な設置工事費用、その後のずさんな運

用実態、オンブズマンは会計検査院に出向き面談、状況を説明し報告書類を提出し

てきました。交付金の減額や引き戻しを受けても仕方がない事態です。

② 給油の手間

設置されているストーブのタンクは13㍑~18㍑の灯油が入ります。ストー

ブのタンクは取り外すことが出来ません。危険物の灯油は屋外タンクで保管され

ています。これをポリタンクに小分けして教室に運びます。重さは1缶(18㍑)

15Kgです。教室までの距離は長ければ数百メートルにおよびます。途中には

階段もあります。さらにタンクの返却、児童生徒も分担するとは思いますが、中

身は危険物おろそかな取り扱いはできません。現場の実態は知っていたはずです。

今回のストーブ使用、一酸化炭素中毒、排ガスの害、火災、やけど、給油の手

間等、どれをとっても灯油を使うことで発生します。文書作成者は独断で文書を

作成したわけではない、教育委員会の組織としてストーブ使用を決めたと述べて

います。熱源計算でエアコン暖房を使うことになっていたが、①灯油の方がコス

トは安いと思い込んでいた。②ストーブはまだ使えるのにもったいない。③エア

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コン暖房は暖かくない。おそらく、これらの先入観念で検証も調査もせず、熱源

比較及びその検討時得た知識も無視して、状況が変わったことも、世の中の変化

も考えず、過去の延長線上の惰性で物事を進めたとしか考えられません。総務部

営繕課はストーブ使用の相談は受けていない。コストは明らかにエアコンが安い、

危険性もしかりと言っています。間題の大きさは、これが生涯学習部の総意だっ

たことです。12月の議会の一般質問の答弁を注目していました。

2.12月議会一般質間に対する生涯学習部長の答弁。

① なぜ石油ストーブを基本としたのかの質問に対して

答弁冒頭エアコンを設置したが石油ストーブを使うことを考えていた、船橋市

も使っているので使ったとストーブが壊れるまでの経過措置として使うつもりだ

ったと答えました。この答弁は野田市に責任がなく、他市に責任を転嫁するとい

えるものです。

i 船橋市学務課に確認しました。船橋市は方式検討の熱源比較をしていません。

知識はほとんどない状況でした。単純にストーブの方がコストは掛からないと

思っていたようです。私のアドバイスに早速見直しをしますと感謝されました。

野田市は熱源計算でエアコン暖房の知識を持っていました。しかし間違った判

断をしました。知識がなかったので間違えたのが船橋市、知識がありながら間

違った判断をしたのが野田市です。

ii 石油ストーブ使用は壊れるまでの経過措置とあたかも短い時間しか使わない

ような印象を持たせる答弁をしました。これは、言葉遊びトリックです。船橋

市はエアコン設置後4年経過していますが、未だに石油ストーブを使っていま

す。経過措置で使うなら期限を切るはずです。普通教室のストーブが壊れたら、

特別教室から移動せよと指示までしています。いかに石油ストーブにこだわっ

ていたのかが判ります。石油ストーブは使える限り使うつもりだったが正確な

答弁でしょう。

② 熱源方式比較で決まった方式と灯油を使ったことの整合性を問われると

「熱源比較は考慮しなかった」と答えました。熱源比較は今回の工事の中核。

これに主査的役割でかかわったのが答弁者本人の生涯学習部長です。この熱源比

較を骨抜きにする、考慮しなかった発言は、質問者も驚く暴言です。こんな言葉

が許されていいのでしょうか。小学校の熱源計算では不備があったとして、市長

が謝罪してまだ半年余、手順の違いだけで市長が謝罪しなければいけないような

重要な決定事項。中学校でも同じ重要性を持っているはずです。この決定を当事

者自らが全否定しました。市の決定はそんなにいい加減なものなのでしょうか。

考慮しなかった理由として、経過措置だからとしましたが、これは前述の通り、

ただの言い逃れにすぎません。中学校の「熱源比較検討資料」使用期間の計算は、

厳格に線引きが行われたことは十分承知していたはずです。当初15年で計画し

ていた耐用年数を20年に延長し、基準に従い方式を決定しました。南部中学校

は21年目でなければガス式エアコンが有利にならないとして、電気式エアコン

を採用しました。岩名中学校は19年目でわずかにガスが有利だとしてガス式エ

アコンが採用されたのです。熱源比較の際の冷暖房の年間使用日数は、冷房使用

が44日、暖房使用は100日となっていて、エアコン使用の70%が暖房での

使用となっています。短年度であってもストーブを使えば考慮しなくてはなりま

せん。小学校にも同じ通達が流れています。6月の熱源比較の再検証の検証その

2の中央小学校では耐用年数一杯の20年目、わずかに電気エアコンの方が有利

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でした。電気式エアコンを使うのが本来ですが、差が小さいとしガス式エアコン

設置で問題なしの判断を議会に示し了解を取り付けました。しかし当時は5月末

に行われた石油ストーブ使用の通達は生きていました。中央小学校の石油ストー

ブを一冬使うと、0.6年分の耐用年数延長が必要になります。6月の時点では

ガス式エアコンの選択は間違っていたとしなければならないはずです。次の議会

で、昨年6月の答弁は問違いだったと、謝罪をするつもりですか。

③ 学校現場と本庁が遊離しているのではないかの質問に対して

指針は校長会・教頭会の会議の席上で説明したが、ストーブ使用に異論らしき

ものは出なかったと自身の立場を正当化しました。指針の説明は冷房使用直前に

行われています。長年待ち望んだエアコンの設置、関心は待ち焦がれた夏場の冷

房に集中するのは当たり前です。冬のことは上の空です。加えて出席の校長、教

頭は、熱源比較や暖房時の運転のコストまでの経過や知識はありません。予算を

握っているのは本庁、文句を公の場では口にしないは大人の対応です。異論は出

なかったは当たり前です。これも言い逃れにすぎません。

3.無駄は燃料費だけではなかった

措置請求書に記載の通り、石油ストーブが安くついたのはもう20年も前の話、

最近のヒートポンプエアコンの技術進歩は目覚ましく、今では熱湯もわかせるレベ

ルまでに進化してきています。石油ストーブは移動性、簡便性で使われているにす

ぎません。コスト計算は調べればすぐわかるはずです。漫然と20年前の知識で物

事を進めれば間違うのは当たり前です。昨年石油ストーブを使用した第一中学校で

はガス式エアコンを使った場合に比べて、175,885円無駄な出費すなわち損

害が発生しました。中学校全校では1,582,750円の無駄、損害が発生した

ことになります。オンブズマンが指摘しなければ、この状況は小学校に広がり、船

橋市の例を見ると少なくとも3~5年は続いたでしょう。おそらく 1 千万円を超え

る損害が発生する危険性がありました。この他に、目に見えない損害も発生してい

ます。暖房に適した最新の高額なガス式エアコンが主に設置されましたが、エアコ

ンは使わなくても耐用年数が延びることはありません。機械設備は使わないと、む

しろ故障のリスクが高くなると言われています。使わなければその減価償却分は全

額が損害となります。粗い計算ですが第一中学校だけで、損害は一冬150万円に

上ります。全小中学校では膨大な金額になったことでしょう。古いストーブを使わ

ないのはもったいないは結構ですが、もっと大きな損害が出ているのに気が付かな

い、この程度の知識を組織全員が持っていなかったとすれば、市民の税金を扱う資

格はないと言われても仕方がない事態です。痛みを感じなければ人間は変われない

ものです。猛省すると共に、損害については役割に応じて分担し、市に返済するこ

とを望みます。

最後に他市の状況を参考にされているようなので申し添えます。どこの自治体で

も間違いはあるものです。その後の対応に大きな差がありました。いい例がありま

した。肝に銘じてほしいものです。

例1 鎌ヶ谷市教育委員会生涯学習部長は、昨年12月の議会エアコン工事の一般

質問の答弁でガス式エアコン総コストが、電気式より高かったことを指摘され、

潔く高かったことを認めました。

論語の言葉ですが、過ちて改まるに憚ることなかれが当てはまります。

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例2 野田市教育委員会生涯学習部長は昨年12月の議会、エアコン暖房を使わず

になぜ、石油ストーブを使ったのかの一般質問の答弁で、間違いを認めずその

場しのぎの言い訳と強弁でその場を取りつくろいました。

論語の言葉ですが、過ちて改めざるこれを過ちと謂うが当てはまります。

アドバイスを一つ申し上げて陳述を終わりにしたいと思います。

エアコン暖房は暖かくないとの声がまだあるのは確かです。エアコン暖房は対流

暖房です。空気を温め、それで部屋全体を温めていく暖房機です。石油ストーブと

は違う使い方が必要なのです。使う部屋を事前に温めておくことが賢い使い方です。

暖房は10~15°温度を上げる必要があります。しかも空気を温めただけでは暖

かく感じません。熱は移動するので体から冷たい壁や床に向かって熱が移動します。

だから室温(空気温度)が上がっても暖かく感じないのです。無人の教室でストー

ブは燃やせないでしょうが、エアコンなら心配なく稼働させることが出来ます。寒

いのは朝です。登校時間に所定の温度となるようにタイマー運転してやればいいだ

けです。全教室管理できる集中コントローラーが設置されています。使う教室だけ

コントローラーで設定してやれば、この欠点はカバーできます。

もう一つの賢い使い方は、ON、OFFをあまりしないことです。部屋全体の温

度を保つ運転が大事です。短時間であればスイッチを切らない、この方が省エネに

もつながります。頻繁なON、OFFは逆に燃料費が増えます。もう一つの注意点

は、乾燥です。加湿をしっかり行うことは、インフル対策にも有効です。

(以下陳述書の内容を原文のまま掲載)

提出しました「野田市職員措置請求書」では、『冬季の石油ストーブの使用の野

田市地球環境温暖化対策実行計画との矛盾』についても指摘しましたが、具体的に

示していないので、新たに提出した証拠を交え、ここに補足いたします。

平成10年、国は「地球温暖化対策の推進に関する法律」を制定しました。同法

には、地方公共団体の責務として『自らの事務及び事業に関し温室効果ガスの排出

の量の削減並びに吸収作用の保全及び強化のための措置を講ずる。』と定められま

した。これを受けて野田市は、「野田市環境基本条例」の制定、「野田市環境基本

計画」の策定を経て、平成19年には「野田市地球環境温暖化対策実行計画」を策

定し、市の事務事業全体を対象とした対策に着手し、平成29年にはその第三次計

画を策定したところでした(証拠2-1「野田市地球環境温暖化対策実行計画」)。

平成29年と言えば、「本件空調設備導入」が行われた年であり、また、教育委員

会生涯学習部長が「本件石油ストーブ使用指示」を行ったその年です。なんと見事

な連携でしょうか!行政職員は自己の判断や行動の根拠を説明するときに度々『総

合的な判断』という言葉をお使いになっています。これについて見るとどこが『総

合的な判断』でしょうか?

それでは、どれだけ「野田市地球環境温暖化対策実行計画」と「本件石油ストー

ブ使用指示」が矛盾し、反しているかを具体的に示します。

私たちは、法に定めるCO₂排出係数を使って、平成29年度の冬期の市立中学

校全校について個々に空調機器を使用した場合と石油ストーブを使用した場合のC

O₂排出量を比較してみました。例えば、第一中学校では空調設備を使用した場合

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は約12,300Kgになり、石油ストーブを使用した場合は約24,060Kg

になります。その差は、約11,750Kgと石油ストーブを使用した場合の方が

約倍のCO₂排出量です。同様に他校も計算し全市立中学校を合計すると約112,

500KgのCO₂排出量の増加と云う試算結果になりました(証拠2-2「学校

別冬季間空調機器及び石油ストーブ使用によるCO₂排出量比較」)。

つまり、平成29年に導入した空調設備を使って冬季の暖房を行っていれば「野

田市地球環境温暖化対策実行計画」に示された削減目標に向けて全市立中学校だけ

でも約112,500KgのCO₂排出量の削減を行うことができたのです。しか

し、「本件石油ストーブ使用指示」によってその機会を失うことになったのです。

「本件石油ストーブ使用指示」で使われた「野田市立学校空調設備運用指針」

(証拠1-2)の冒頭には『本市では、平成29年3月に「野田市環境基本計画」

を改定しました。教育委員会としても、温室効果ガス(二酸化炭素等)の排出抑制

のため、市と一体となって取り組んでいくことが重要と考えております。』とした

うえで『地球環境・児童生徒にやさしい空調設備の運用を進めてください。』と締

めくくり指示されています。しかし、事実は「地球環境・児童生徒にやさしい空調

設備の運用」が言葉だけであることを示しているのです。

これらのことから教育委員会は全体として本件に関して職務上の注意義務を果た

していたとは到底言えないばかりか、職務上の命令にも反していることは明らかで

す。

従って、この点においてだけでも違法性の継承によって本件支出行為が違法であ

ることも明らかなのです。

5 監査対象部局の主張

【措置要求の内容】

1 教育長に対して野田市が被った損害金175,885円(市立全中学校11校で

は合計で金1,582,750円)を補填するための必要な措置を講ずることを勧

告せよ。

2 教育長に対して教育委員会の組織統治について改善するために必要な措置を講ず

ることを勧告せよ。

【結論】

本件請求人(以下「請求人」という。)は、本件空調設備導入は、通年での使用を

前提にランニングコストを含めたトータルコスト比較(以下「熱源比較」という。)を

行い、最も安価な方式としてガス又は電気ヒートポンプ方式の空調設備の採用を決定

したにもかかわらず、ガス又は電気に比べ燃料コスト高となる本件石油ストーブ使用

指示が教育委員会生涯学習部長により行われたこと(以下「本件使用指示」という。)

は、本件空調設備導入の通年使用の前提とも矛盾し、そのうえ、市が策定した野田市

地球温暖化対策実行計画にも矛盾しており、合理的理由がないから、平成30年1月

31日、2月28日、4月13日、4月27日に分けて市立第一中学校の冬季暖房用

の石油ストーブの石油代金として合計金386,986円を支払った支出行為の内1

75,885円は違法不当な支出であると主張している。

また、本件使用指示自体も、本件空調設備導入の前提や野田市地球温暖化対策実行

計画とも矛盾があることから、地方公務員法第32条が定める法令等及び上司の職務

上の命令に従う義務に反し違法であるうえ、裁量権からも逸脱したものであり職権濫

用とも言え違法であると主張している。

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しかし、請求人の主張は、何れも事実誤認に基づくものであり、以下に示すとおり、

請求人の主張に理由は認められない。したがって、本件において市に損害が発生した

事実は認められない。

【結論の理由】

1 野田市地球温暖化対策実行計画と本件との関係について

請求人は、本件使用指示は、野田市地球温暖化対策実行計画(以下「実行計画」と

いう。)と矛盾するため、地方公務員法第32条に違反し違法であると主張する。

しかし、実行計画は、市の事務及び事業により排出される温室効果ガスの削減等を

市の事務事業のトータルとして達成しようとする計画であり、個々の事務事業につい

て、具体的に拘束するものではない。一例をあげると、現在、公用車はガソリン車を

基本としている。実行計画の実行性を高めるためには、更新時に電気自動車への切り

替えが期待されるが、財政上の問題から未導入となっている。また、小中学校への空

調設備導入についても、温室効果ガス削減の観点からは、夏季の温室効果ガス排出を

増大させる事業ともいえる。つまり、個々の事務事業においては、各々の行政効果を、

まさに総合的に判断して行うものであり、必ずしも温室効果ガスの削減等が最優先さ

れるというものではない。

本件使用指示は、「野田市立学校空調設備運用指針」(以下「本件指針」という。)

によりなされたものであるが、「指針」という形をとり、強制力をもたないものであ

り、生涯学習部長は、各学校に対する指針の説明においても、各校長の判断により空

調設備の使用も可能としている。したがって、本件使用指示が、ただちに実行計画に

反するものということはできない。さらに、実際の各中学校における石油ストーブの

使用方法は多種多様であったという結果からみると、場合によっては、石油ストーブ

使用の必要性も考えられることから、本件使用指示は、実行計画に反するものではな

いといえる。

したがって、本件使用指示が、実行計画と矛盾するため、地方公務員法第32条に

違反し、違法であるとの主張には、明らかな事実誤認と論理の飛躍があり、誤りであ

る。

しかしながら、石油ストーブの使用は、各校長の判断によるとの教育委員会の考え

がありながら、本件指針においては、「石油ストーブを基本とします。」と記載した

ことや、本件指針と実行計画との関係を精査できていなかったことは事実である。本

年度は、空調設備を基本とした運用を各学校にお願いしているが、校長の判断に委ね

るという基本は変更していない。本年度の結果を踏まえ、実行計画との関係も整理し

た上で、来年度に新たな指針を策定する予定である。

2 空調設備導入の通年使用の前提について

請求人は、熱源比較検証が空調設備の通年使用での前提により実施されたにも関わ

らず、燃料コスト高となる本件使用指示が行われたことは、空調設備導入の前提と矛

盾し、不当であると主張する。

しかし、熱源比較検証において、空調設備の通年使用を前提としたのは、石油スト

ーブによる冬季暖房から空調設備使用に切り替えることが予定されていたため、コス

ト比較において通年使用を前提とするのは当然である。

一方、切り替え時期をいつにするかは、別問題であり、別に切り替え時期を決定す

べき事項である。そもそも、小中学校への空調設備導入は、温暖化による猛暑に対す

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る緊急措置として導入したものであり、石油ストーブによる冬季の暖房に問題があっ

たわけではない。したがって、経過措置としての冬季における石油ストーブ使用が、

通年使用の前提に反するという請求者の主張に理由はなく、誤りである。

3 地方自治法第2条第14項及び地方財政法第4条違反について

請求人は、実績ではなく、熱源比較検証データを基に、石油ストーブを使用した場

合と空調設備を使用した場合のコスト比較を実施し、石油ストーブ使用のほうが、コ

ストが高くなるとの推定結果から、市に損害が発生したと主張している。

しかしながら、この主張は、本件使用指示が、上記1及び2の請求人の主張が認め

られる場合に成り立つものであるが、前述のとおり、これらの請求人の主張は誤りで

あるから、コストの比較をするまでもなく、請求人の主張を認めることはできない。

参考までに申し述べると、当該コストの比較は、灯油価格、電気料、ガス料、気象

条件、使用状況など変動要因が多く、正確な比較は困難といえる。

請求人は、第一中学校の11月から3月までの灯油必要量を熱源比較の月間負荷を

利用し、9,632.1ℓと算出しているが、第一中学校が、暖房器具がストーブ中

心であった過去3年間に、第一中学校が購入した灯油量は、平成26年度が5,51

8ℓ、平成27年度が5,545ℓ、平成28年度が5,945ℓである。3か年の平

均購入量である5,669ℓ は、請求人が見込んだ使用量の約6割程度である。また、

中学校の合計では、請求人は灯油必要量を88,689.2ℓと算出しているが、同

様に、中学校が、暖房器具がストーブ中心であった過去3年間の冬季に購入した灯油

量は、平成26年度が45,082.20ℓ、平成27年度が42,252.00ℓ、

平成28年度が43,977.08ℓである。3か年の平均購入量である43,77

0.43ℓは、請求人が見込んだ使用量の約5割程度である。

この事実からも、当該コスト比較は極めて困難といえる。

なお、請求人は、地方自治法第2条第14項及び地方財政法第4条違反を主張する

が、最小の経費で最大の効果における効果とは、単なる経費面をいうものではなく、

市民サービスの観点からの効果をいうものであり、その判断は、裁量権の逸脱になら

ない限り、首長の権限に属するとされており、この点からも請求人の主張に理由は認

められない。

(添付資料)(省略)

・灯油購入実績(平成26年度、27年度、28年度)

・ストーブ整備状況

・行政文書開示請求に関する文書

・野田市地球温暖化対策実行計画

第3 監査の結果

1 事実関係の確認

(1) 市内市立学校における空調設備について

市では、児童、生徒、園児及び教職員の健康への影響を考慮し、更なる教育環境

の向上を図るため、全市立小中学校及び幼稚園への空調設備設置工事(以下「本件

工事」という。)を実施した。本件工事は、導入する施設ごとに電気式、都市ガス

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式及びLPガス式の3つの熱源方式について、イニシャルコストと通年で使用した

場合のランニングコストのトータルコストを比較検討し、より安価なものを決定し

た上で実施された。中学校においては平成29年度から、小学校及び幼稚園におい

ては平成30年度から空調設備(以下「エアコン」という。)の運用が開始されて

いる。

なお、本件工事が実施される前から、冬季の暖房用として各施設では石油ストー

ブが使用されており、中学校においては平成27年度まで学級増等による石油スト

ーブの更新及び新規購入が行われていた。

(2) 市内市立学校におけるエアコンの運用について

教育委員会は、エアコンの適正かつ有効な利用を目的とし、統一した基準として

「野田市立学校空調設備運用指針(以下「本件指針」という。)」を平成29年5

月に策定した。各校には既に石油ストーブが配備されていたことから、本件指針に

おいて、学校におけるエアコンの冬季の運用については「石油ストーブを基本とし

ます。ただし、コンピュータ室については、精密機器への影響を考慮し、空調設備

での暖房とします。なお、故障等で石油ストーブの不足が生じた場合、修理はせず

に普通教室以外から空調設備に切り替えるようにしてください。」とし、学校にお

ける冬季の暖房手段として石油ストーブの使用を基本とすることを指示(以下「本

件石油ストーブ使用指示」という。)し、石油ストーブの使用からエアコンの使用

への切替え時期は別に決定することとされた。

しかし、本件指針において石油ストーブの使用を基本としたにもかかわらず平成

29年度の冬季に中学校で相当程度エアコンが使用されておりエアコンの使用に対

するニーズが相当あったと考えられることや請求人からの意見等を総合的に勘案し、

教育委員会は本件指針を改定し、学校における冬季の暖房手段としてエアコンの使

用を基本とする内容とした。そして、改定後の指針と併せて、エアコンが設置され

ている部屋における石油ストーブの使用を廃止することを平成30年11月26日

に各学校に通知した。その後、教育委員会は平成30年12月18日に行われた第

3回校長会議において、エアコンの使用を基本としつつも各学校長の判断で石油ス

トーブの補助的利用を可能とすることを各学校に伝えた。

(3) 野田市地球温暖化対策実行計画について

地球温暖化は自然の生態系及び人類に深刻な影響を及ぼすものであることから、

市では事務事業における地球温暖化対策を推進するため、平成33年度(2021

年度)を目標年度として温室効果ガスの削減等を図る第3次野田市地球温暖化対策

実行計画(以下「実行計画」という。)を平成29年8月に策定した。実行計画で

は、燃料の使用、電気の使用、ごみの焼却等、市の事務事業に伴う温室効果ガス排

出量の総計を目標値とし、年度ごとに排出量を集計して達成状況を評価するものと

されている。

温室効果ガスの削減に向けた取組としては、ガソリン・軽油等自動車燃料使用量

の削減、灯油・重油使用量の削減、都市ガス・液化石油ガス(LPG)の使用量の

削減、電気の使用量の削減、廃棄物の減量、水道使用量の削減等の取組が記載され

ており、暖房の使用については20℃を設定温度とすることを目安に空調温度の適

正化を図ることとされている。

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なお、温室効果ガスの排出量の算定は、燃料、電気等の使用量に、地球温暖化対

策の推進に関する法律施行令に基づく排出係数を乗じて求めるものとされており、

排出計数は灯油1リットル当たり2.49kgCO₂、電気1kwh当たり0.4

91kgCO₂とされている。

(4) 市立第一中学校の状況

本件請求の対象となった市立第一中学校には都市ガス式のエアコンが設置され平

成29年度から稼働しているが、冬季は本件指針に基づき石油ストーブを基本的に

使用し、平成29年度は4,094リットルの灯油を購入した。市長は、平成30

年1月31日から平成30年4月27日までの間に、販売店に対し市立第一中学校

の灯油代として総額386,986円を支払った。

(5) 市立中学校における灯油購入実績等

エアコン設置前の市立中学校における灯油購入実績と請求人が熱源方式の比較検

討時の月間負荷を基に試算した灯油必要量は下表のとおりである。

単位:リットル

学校名 26年度 27年度 28年度 3 か年の平均① 請求人② ①-②

第一中学校 5,518.0 5,545.0 5,945.0 5,669.3 9,632.1 △ 3,962.8

第二中学校 4,242.0 4,290.0 4,988.0 4,506.7 7,416.2 △ 2,909.5

東部中学校 3,047.0 2,762.0 3,425.0 3,078.0 6,673.3 △ 3,595.3

南部中学校 5,500.0 5,444.0 4,952.0 5,298.7 11,999.1 △ 6,700.4

北部中学校 3,589.0 3,244.0 3,572.0 3,468.3 7,196.9 △ 3,728.6

福田中学校 3,733.1 3,568.5 2,751.5 3,351.0 8,387.8 △ 5,036.8

川間中学校 3,260.0 3,348.0 3,299.0 3,302.3 9,604.4 △ 6,302.1

岩名中学校 4,264.0 2,769.0 3,546.0 3,526.3 8,201.6 △ 4,675.3

木間ケ瀬中学校 4,609.1 3,700.6 4,122.8 4,144.2 8,465.2 △ 4,321.0

二川中学校 5,110.0 4,778.9 4,735.8 4,874.9 6,996.1 △ 2,121.2

関宿中学校 2,210.0 2,802.0 2,640.0 2,550.7 4,116.5 △ 1,565.8

合 計 45,082.2 42,252.0 43,977.1 43,770.4 88,689.2 △ 44,918.8

2 判断

(1) 本件工事における熱源比較と石油ストーブの使用について

請求人は、本件石油ストーブ使用指示が本件工事に先立って実施された熱源方式

の比較検討時の試算条件の一つであるエアコンの通年使用の前提と矛盾している旨

主張している。

しかし、そもそも熱源方式の比較検討は、ある一定の試算条件を基に長期間のト

ータルコストを予測し各学校に導入する機器を決定する資料とするために行われた

ものであり、実際のトータルコストを約束するものではないことから、仮に試算条

件を変えて比較した場合に当初の決定と異なる熱源方式が有利となる結果が出たと

しても、それはあくまで推測に過ぎず、損害発生の証拠となるものではない。すな

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わち、実際のトータルコストは、エアコンの使用期間における電気及びガスの料金

の変動、気象条件、各学校の運用方法、機器の不具合等の様々な影響を受けること

から、結果的にいかなる熱源方式がトータルコストで有利となるかについては現時

点で判断できるものではないのである。むしろ、このような将来における様々な影

響の可能性を考慮すれば、当初の試算条件どおりに必ず運用しなければならないと

することの方が不合理であり、実際の運用は状況に応じて柔軟に行われるべきもの

であると考えられる。

したがって、本件石油ストーブ使用指示によって学校において試算条件と異なる

エアコンの運用がされたからといって、市に財務会計上の損害が生じるとは認めら

れない。

(2) 実行計画と石油ストーブの使用について

請求人は、本件石油ストーブ使用指示が、市が策定した実行計画と矛盾している

旨主張している。

確かに、市が行った熱源方式の比較検討時の月間負荷を基に灯油の必要量及び温

室効果ガスの排出量を計算すると、請求人が証拠2-2で試算した排出量となり、

灯油を使用した場合の方がエアコンを使用した場合と比べ、より多くの温室効果ガ

スを排出する結果となることが認められる。

しかし、基本的に実行計画は市の事務及び事業により排出される温室効果ガスの

削減等を市の事務事業のトータルとして達成しようとする計画であり、個々の事務

事業について具体的に拘束するものではないことから、エアコンを使用できる環境

下で石油ストーブを使用することが直ちに実行計画に反するものではない。

また、教育委員会が提出した資料によれば、過去の市立第一中学校における灯油

購入量は、平成26年度から平成28年度までの平均で5,669.3リットルで

あり、さらにこの中にはエアコンを設置していない体育館等における灯油使用量も

含まれることから、エアコンの消費電力と比較すべき灯油使用量は5,669.3

リットルよりも更に少なくなるものと考えられる。一方で請求人が証拠2-2で示

す灯油必要量は9,632.1リットルであり、両者の間には大きな乖離がある。

これを全ての中学校で見ても同様で、過去の中学校全体における灯油購入量は、平

成26年度から平成28年度までの平均で43,770.4リットルである一方、

請求人が示す灯油必要量は88,689.2リットルである。このような乖離が生

じる要因は、学校における石油ストーブの運用方法とエアコンの運用方法とに異な

る点が多くあることによるものと考えられるが、いずれにしても請求人が証拠2-

2で示す灯油必要量は、学校における石油ストーブの使用実態を考慮せずに算出さ

れた必要量であるといわざるを得ず、市立第一中学校はもとより、全ての中学校に

おいても当該試算を論拠とする請求人の主張は採用することができない。

(3) 法第2条第14項及び地方財政法第4条との適合性について

請求人は「冬季において、本件空調設備導入で設置した空調設備を使用した場合

とそれを使用せずに石油ストーブを使用した場合で、その燃料コストを比較すると

本件石油ストーブ使用指示に従って石油ストーブを使用した場合の方がコスト高と

なり、その損害率は表1に示すとおりとなる」とし、本件石油ストーブ使用指示が

法第2条第14項及び地方財政法第4条に違反すると主張している。

確かに、市が行った熱源方式の比較検討時の月間負荷を基に灯油の必要量等を計

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算すると、請求人が本件請求書の表1で示す金額となり、灯油を使用した場合の方

が、エアコンを使用した場合と比べコスト的に不利となる試算結果となることが認

められるが、請求人が表1で示す灯油必要量は、学校における石油ストーブの使用

実態を考慮せずに算出された必要量であり、当該試算を論拠とする請求人の主張は、

市立第一中学校はもとより全ての中学校においても採用することができないことは

(2)で判断したとおりである。

そもそも、地方公共団体の行為が法第2条第14項及び地方財政法第4条に規定

する最小経費最大効果原則に違反するか否かについては、『地自法2条14項は、

「地方公共団体は、その事務を処理するに当っては、住民の福祉の増進に努めると

ともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。」と規定す

るところ、地自法は、「地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保を

図るとともに、地方公共団体の健全な発達を保障することを目的とする」ものであ

り(同法1条)、「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、

地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担う」ものである(同

法1条の2第1項)から、地方公共団体は、その財政面における能率性という意味

での費用対効果を常に意識しながら住民の福祉の増進等の目的の達成を図らなけれ

ばならないとしても、会社等の私企業とは異なり、専ら費用の節減と収入の増加の

みを目標とすべきものではないこともまた明らかであり、財政上の収入の増加には

必ずしもつながらない費用の投下であっても、広く地方公共団体の健全な発達又は

住民の福祉の増進に寄与するものであれば、同法2条14項にいう「効果を挙げ」

たと評価し得るというべきである。

そして、同項の趣旨は、地方公共団体に対して、この意味における「効果」が同

一であると見込まれる事業方式が複数ある場合には経費が最少となる方式を、同じ

経費を投下する場合にはより多くの「効果」を挙げることが期待できる方式を選択

すべきことを要求することにあると解される。また、経費額と「効果」の両方が異

なる複数の事業方式が存在するときは、経費の増差に対応する「効果」の増差を考

慮して、同項の趣旨を没却するような不当な選択を行った場合には違法性を帯びる

というべきであるが、上記のとおり、「効果」が必ずしも金銭に還元することので

きない様々な価値を含むものである以上、いわば1つの尺度で経費と効果のそれぞ

れの増差を比較することは困難を伴うものであって、一般的には、そのような判断

については、専門的、技術的な観点から行政に広範な裁量が付与されていることは

否定できないから、この裁量権を逸脱ないし濫用したものと評価できる特段の事情

が存する場合に限り、当該行政庁の判断が違法となると解すべきである。』(平成

16年1月29日名古屋地方裁判所判決)とされており、単純にコスト面のみで最

小経費最大効果原則との適合性を判断できるものではない上に、その判断について

は行政庁に広範な裁量が与えられている。

そして、エアコンにも石油ストーブにもそれぞれメリット及びデメリットがある

ことから、各家庭においても使用する部屋の広さ及び室温、使用時間の長短、灯油

価格の状況等に応じて使い分けたり、場合によっては併用しているのが通常で、い

ずれも冬季における有効な暖房手段として確立されているものである。したがって、

市立学校における冬季の暖房手段として、どちらの使用を基本とするのか、あるい

は各学校長の判断に委ねるのかといったことは、当然に学校施設の環境整備を所管

する行政庁の裁量権の範囲内の問題であると考えられ、いずれか一方を選択するこ

とが法の趣旨を没却するような不当な選択となり、裁量権を逸脱ないし濫用するも

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のとなるとは認められない。

なお、請求人は、石油ストーブには一酸化炭素中毒、排気ガスの害、火災等の危

険性もあることを挙げ、このような点からも石油ストーブを使用すべきでないと主

張しているが、石油ストーブに限らず、およそほとんどの設備は特性を理解した上

で適切に使用しない限り何らかの危険性があることは当然であるから、これらの危

険性があることをもって、とりわけ石油ストーブを使用すべきでないというのは妥

当ではなく、当該主張は上記判断を左右するものではない。

以上によれば、本件石油ストーブ使用指示が法第2条第14項及び地方財政法第

4条に違反するものとはいえない。

3 結論

以上のとおりであるから、本件請求には理由がないものと認め、これを棄却する。

4 要望

本件指針は、強制力を持たない形式で各学校に通知されたものではあるが、その目

的が巨額の税金を投入して設置されたエアコン等の適正かつ有効な利用にあることに

鑑みれば、各学校においては本件指針に基づきエアコン等を運用すべきことが求めら

れ、教育委員会においては様々な角度から十分な検証を重ねた上で指針を策定すべき

ことが求められていることはいうまでもない。

しかしながら、本件指針の内容は、先行して学校にエアコンを設置していた他自治

体の例をそのまま採用したと思われる点が多々あり、教育現場におけるニーズへの配

慮や他の計画等との関係の検証が十分ではなく、行動規範とすべき基本的指針という

重要事項であるにもかかわらず、策定時だけでなく、その後に行われた改定時におい

ても慎重さを欠いていたといわざるを得ない。

教育委員会は、本年度の結果を踏まえ、実行計画との関係も精査した上で来年度に

新たな指針を策定する予定であることから、その際は職員一人一人が責任を持って職

務に当たることは当然のことながら、学校におけるエアコン等の使用実態やニーズを

詳細に把握し、様々な角度から十分に検証した上で指針を策定するよう要望する。

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