政策・総務・財政委員会行政視察概要 · 2018. 8. 8. ·...
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政策・総務・財政委員会行政視察概要
1 視察月日 平成29年7月4日(火)~7月6日(木)
2 視察先及び視察事項
(1)国立大学法人滋賀大学(滋賀県彦根市)
(1)データサイエンス学部の開設について
(2)滋賀県東近江市
(1)東近江市版SIB(ソーシャルインパクトボンド)の取り組みにつ
いて
(3)愛知県名古屋市
(3)あいち・なごや強靭化共創センターの取り組みについて
(4)京都府京都市
公共施設と市立学校の複合化について
3 視察委員
委 員 長 鈴 木 太 郎
副 委 員 長 大 山 しょうじ
同 福 島 直 子
委 員 草 間 剛
同 清 水 富 雄
同 髙 橋 徳 美
同 古 川 直 季
同 花 上 喜代志
同 藤 崎 浩太郎
同 髙 橋 正 治
同 荒 木 由美子
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視察概要
1 視察先
国立大学法人滋賀大学(滋賀県彦根市)
2 視察月日
7月4日(火)
3 対応者
理事・副学長 (受け入れ挨拶及び説明)
データサイエンス学部長 (受け入れ挨拶及び説明)
副学部長教授
副学部長教授
副学部長教授
経済学部・データサイエンス学部共通事務部副事務長
副事務長兼DS連携事業
推進係長 (進行)
滋賀県県民生活部統計課参事 (説明)
彦根市企画振興部次長兼地域経営・地方創生推進室長事務取扱
企画課副主幹兼地域経営・地方創生推進室副主幹
4 視察内容
データサイエンス学部の開設について
ア データサイエンス教育研究拠点形成の取り組み
(ア) データサイエンス(DS)
ICTの進化に伴い、さまざまな領域で集積されるビックデー
タを社会の豊かな資源と捉え、新たな知見を発見し価値創造へ結
びつけていくための方法論を中心とした学問である。
データアナリシス(多様なデータを分析・解析するための知識
とスキル【統計学】)とデータエンジニアリング(大量のデータ
を加工・処理するための知識とスキル【コンピューター科学】)
の両方のスキルが必要となる。
ビジネスや教育などさまざまな領域の課題を読み取り、データ
エンジニアリングとデータアナリシスにより得られた知見を現場
に最適な意思決定に生かすことができる人をデータサイエンティ
ストという。
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(イ) データサイエンス分野の重要性
日本再興戦略2016において「ビックデータ時代を迎え、データ
の利活用により付加価値を生み出す新事業・新サービスの創出が
重要」と言われており、第4次産業革命を支える基盤技術として、
AI・ビッグデータ・IoTが挙げられる。しかし、「欧米等と
比較し、データ分析のスキルを有する人材や統計科学を専攻する
人材が極めて少ないという危機的状況」と第5期科学技術基本計
画において認識されており、原因は複数あるが、この分野におい
て日本の著しい立ちおくれの要因として、統計学部の不存在があ
ると考えている。従来の日本の大学には統計学部がなく、各学部
に統計を少し学んだことのある人が分野別に点在しており、デー
タが少ない時代にはそれで足りていた。しかし、現在は分野ごと
のデータが大量にあり、分野をまたがったデータの使い方や異な
った分野のデータをつなげて分析するなど多量に存在するデータ
を取り扱う必要があるが、そういった人材開発を行わなかったこ
とにより、アメリカの情報産業と日本の情報産業の差を生み出し
ていると考えている。
(ウ) 諸外国の動向
統計学部数がアメリカは1 0 0程度、イギリス・韓国は50程度
あるが、日本はこれまでゼロだった。
アメリカでもコンピューターの進化に伴い、データ分析の重要
性が高まっており、2008年にはグーグルのチーフエコノミストが
向こう10年最も魅力的な職業は統計家だとも言っており、以降
急速に学士及び修士がふえており、現在もその動向は継続してい
る。
イ データサイエンス(DS)学部の概要
(ア) 特色
・データサイエンティストの育成のための日本初の専門学部
・文理融合型カリキュラム
・外部連携を重視(企業、データサイエンティスト協会、統計数
理研究所、国内外の大学、政府、自治体、理化学研究所API
センター、JINSE(統計教育連携ネットワーク)等)
・現場のデータを用いた、課題発見、データ分析、問題解決、価
値創造
・情報・統計を初め、医学、社会学、公的機関・企業経験者など
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の多様な専門分野の教員による多彩な教育
・定員は1 0 0名だったが、優秀な方が多く受験したため、定員を
1 1 0名と増員した。
・他学部生の出身地域は、名古屋・岐阜等の中京圏から4割、滋
賀県以外の京都・大阪・神戸等関西圏から4割、滋賀県内が2
割という構成となっているが、DS学部について北は北海道、
南は鹿児島までと全国から学生が集まっており、2割程度を占
めている。
・全学部でDS関係科目を教養教育科目として履修可能。
・経済学部にDS副専攻を開設
・経済学研究科にデータサイエンス履修モデル設置
・平成33年に初めて卒業者が出ることや企業とのさまざまな連
携の中で企業内の人材の高度化のニーズがあり、大学院の設置
を求める声があることから、文部科学省からは4年たたないと
大学院の設置はできないと言われているが早期に設置できるよ
う、文部科学省と協議を行っている。
(イ) データサイエンス教育研究拠点
データサイエンス学部開設に先駆けて、平成28年4月にデー
タサイエンス教育研究センターを立ち上げ、①DS基盤研究(機
械学習、最適化等の最新の研究、国際シンポジウム)、②DS価
値創造プロジェクト研究(企業や自治体等と連携し、各領域での
データ利活用の共同研究)、③DS教育開発(プロジェクト研究
を通じたデータ駆動型PBL演習教材等の各種教材の開発)、④
DS調査・情報発信(海外動向把握、普及啓発)を先行推進して
きた。
外部連携を重視しており、企業、データサイエンティスト協会、
統計数理研究所、国内外の大学、政府、自治体、理化学研究所A
PIセンター、JINSE(統計教育連携ネットワーク)等と連
携を図っている。
(ウ) PBL演習
PBL演習とは Project-Based Learning:課題解決型学習)を
指す。さまざまなデータサイエンスの実践例の紹介から始まり、
データサイエンスが使われているさまざまな現場の見学、データ
分析の試行錯誤を重ねながら、価値創造の経験を積み上げ、最終
的には実データを使った価値創造(現場の意思決定に生かす実際
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の提案)を行うプロジェクトであり、1年次から4年次までを通
してこのPBL演習を行う。
ウ 質疑概要
Q 自治体においてもこれからはデータリテラシーを持ち、データ
を見ていくべきだと考えるが、これからどういうリテラシーを持
っていくべきであるか。
A 行政機関の中では統計は一つのジャンルであり、統計の専門家
が集まれば統計として機能するのだけれども、専門人材を育成す
るのはなかなか難しいため、結果として統計をつくるだけの状況
になってしまっていると思う。データを扱える人たちをつくって
いかなければならないが全員をそうするのはすごく難しいため、
横浜市くらい大きい自治体であれば社内コンサルのような形で市
役所の中にデータコンサルタント、行政のデータを扱える人やそ
のほかのデータを見られる人を庁内に一人程度置いて各部局とや
りとりをしながらデータの使い方等の相談を受け、それから外注
するというようなことが必要であり、それがないと丸投げになっ
てしまう可能性がある。
Q 横浜市大もデータサイエンス学部を開設するに当たって、議会
としては大学の経営面もケアしなければいけないという事情もあ
る。私学でプロジェクト研究を行わせてもらった際、結構な金額
が大学に入り、それを先生がファシリティ面で使えたという経験
があるのだが、国公立のマネジメントはわからないが、企業との
プロジェクト研究等、ああいったものの額というのは大きいもの
なのか。
A 外部コンサルよりかは大分安いかと思う。別に設備が必要であ
るわけではないため、基本的に我々の人件費のみである。実はそ
れが非常に重要なことで国立大学は国の方から人件費に制限がか
かっており、人件費がなかなかこないという非常に厳しい状況で
ある。それでも学部を発展させるには外部資金を獲得して拠点と
してもっと若い人材を雇用したい。ただ、今データサイエンスは
日本で取り合いになっている状況であり、首都圏地域で外注する
と我々の10倍くらいの金額になる。
Q リテラシーの部分で言うと、例えば既にマーケティングの分野
ではデータサイエンス学部を活用して何かやりたいという企業は
すごく多くあると思うのだが、受ける受けないの調整というのは
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理事会などで決めているのか。
A 文系学部に理系のような学部をつくったわけだが、文系学部で
あれば1 0 0から 2 0 0人の講義が成立するが、理系学部だと講義で
あれば1 0 0人はあるかもしれないが、演習となると50人単位に
割らないとできなくなる。また1人の先生が50人の演習を見ら
れるかというとそんなことはなく、ティーチングアシスタントが
必要等の話になってくる。形式的な配分のある定員では学部運営
できない要素があるので、受託を受けて人件費を稼いでその金額
でティーチングアシスタント等を雇用するという形で回さないと
うまく回せないということもあるので、できるだけ受けたいとい
うのが経営的な考えでもある。一方で先生方は研究もされている
ので、企業の研究ばかりに時間を取られると先に進みたいところ
のマイナスになってしまうし、学部教育も進めなければならない
ので、あつれきを生まない程度に抑える必要もあるが、ともかく
我々が初ということ、データサイエンスという看板を掲げている
ので相談できますかという問い合わせが結構来ており、それが長
く続くとは限らないし、基本的に受けて、拡大していくというこ
とが戦略である。
Q 横浜市大もこれからDS学部開設に当たって、教員の確保が大
変であると考える。滋賀大学のDS学部のほうでも今、講師・教
授募集というのが出ていたので、やはり全国的にやり始めると教
える先生の確保がものすごく大変だろうと思うが、人材の確保は
どのように工夫されているのか。
A 2014年、AIブームが起きる前から前学長のリーダーシップの
もと推進が図られて竹村教授を筆頭に人材を集めることができた
ので、まだ集めることができたほうだと思っている。
その後AIブームになったので、人材の奪い合いになっており、
今は人を見つけるのが難しい状況になっている。特にコンピュー
ター系はまだしも、統計系の研究者はもともと少ない。日本では
学部がないため年間に統計学博士は数人しか出ていないし、分野
点在で散らばっている。海外で取ってくる人もいないし、医学・
保健・疫学が統計学を使うが、そういう道を進んだ方は医者にな
り、わざわざ統計の世界に来る人はよほどの方であるし、そうい
う人がベースをつくっているのが実情である。
教える側もつくらなければいけないという要素も学部にあると
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思っている。
Q 自治体が持っている情報の何が社会的に効果的で、どのように
出すかというところまでいけていないのが横浜市の現状であると
思っているのだが、滋賀大学の研究の成果・インパクトというの
が彦根市や滋賀県にどのような影響を与えていると考えるか。
A まだそれほど進んでおらず、横浜のほうが進んでいると思って
いる。ただ非常に期待は大きいと感じている。
県下自治体からはアンケート調査、それを受けて地域をどのよ
うにしていくかという相談を受けている。具体的な成果が出ると
ころまで進んでいるわけではないが、地域のためにデータを生か
すべく、データを生かさない限り有効な施策が打てない時代だと
思うので、地方行政の専門家ではないがデータを見ることで行政
のお手伝いができるのではないかと思い、協力をしている。
県との取り組みとしては、昨年の秋から統計相談という形で民
間企業等から御応募いただいて、滋賀大学の教授が毎月一回3件
程度の相談を受けた。そのほか、統計の講演会も行っている。今
後も連携を取りながらさまざまな取り組みを推進していきたいと
考えているが、具体的なところまでいっていないのが現状である。
Q 大学を中心とした企業集積であるとか滋賀県全体、彦根市をよ
り発展させていくための一つの拠点として大学が機能し得ると思
うが、一方で難しい圏域の中にいると思うので滋賀県内、彦根市
内の発展を描きづらい部分もあるかと思うがその点どのように考
えているか。
A データサイエンスはどこでもできるという面と東京にいたほう
がいいという面との両面があり、人脈の点ではデータサイエンス
やIT関係の企業は東京都の渋谷あたりにイメージとしては多く
あり、集積の効果がある。一方で地方は土地代が安いのがメリッ
トであり、通信系のインフラがそろってくればどこでもできる。
情報産業はアイデアが大事で、アイデアに投資する人がつく。
どこでやるのかという問題があり、横浜市が住みやすいのでそこ
にいたいと思う人であればそこで起業するし、東京がよいと思え
ば東京に行く。それは彦根市も同じである。営業は都市に出なけ
ればできないが、企業の本社は沖縄に置いているという企業もあ
るし、ベンチャー投資も受けやすい時代になっている。
オープンイノベーションは人が集まりアイデアを出し合い集積
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させることは必要なので、最初の投資は必要である。大学のそば
でやる、学内でやるぐらいのオープンイノベーションの場をつく
っていくということをしていくことが重要であり、離れてしまう
と学生も行きづらいし、サポートも受けづらくなってしまう。
卒業生が彦根市に起業し、彦根バレーができるのが夢である。
(滋賀大学にて説明聴取)
(滋賀大学データサイエンス教育研究センターにて)
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視察概要
1 視察先
滋賀県東近江市
2 視察月日
7月5日(水)
3 対応者
まちづくり政策局政策企画部政策調整課政策調整担当係長 (受け入
れ挨拶及び説明)
まちづくり政策局政策企画部政策調整課調整係 (説明)
市民環境部森と水政策課 (説明)
NPO法人愛のまちエコ倶楽部 (説明)
4 視察内容
東近江市版SIB(ソーシャルインパクトボンド)の取り組みについ
て
ア 東近江市の概要(平成29年4月1日現在)
・人口:11万4935人
・世帯数:4万3109世帯
・自治会数:3 9 0
・面積:3 8 8. 5 8平方キロメートル(うち山林が56%を占める。)
・人口のピークは平成17年の11万6797人であり、 2040年の想定
人口は9万6792人となり16.2%減少し、老年人口(65歳以上)
が人口構成の34%を占めると予想している。このことから人口
減少とともに人口構成がより課題になると考えられる。
・14地区に分かれ、それぞれの地域にまちづくり協議会が設置さ
れ、まちづくりが展開されている。
イ コミュニティビジネス(CB)スタートアップ支援事業
(ア) 事業概要
農福連携や空き家活用など複雑・多様化する地域の課題に地域
資源を生かして、ビジネスの手法で解決する事業者のスタートを
支援する事業として平成26年度より開始した。
・支援団体数:平成26年度 4団体
27年度 3団体
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28年度 4団体(SIBを活用)
(イ) 期待される効果
・地域資源を循環させ、地域課題を解決
・他地域、他分野に課題解決のノウハウを応用
・地域課題解決に係る行政コストの削減
・地域での雇用の創出
ウ 東近江市版SIB(ソーシャルインパクトボンド)
(ア) 事業概要
東近江市では、日本財団が行っているような行政コストの削減
が中心ではなく、市民との関係性に着眼した取り組みを行ってお
り、一般的なSIBとは異なるため東近江市版としている。
従来の補助事業の改革として成果連動型補助金改革型SIBの
手法を活用しており、地域の課題を地域の資源を活用して解決し
ようとする取り組みであり、市民はお金の流れを通じて事業を支
える(出資)という仕組みである。
従来の補助金のスキームでは市と事業者の関係の中で成果の有
無にかかわらず、活動にかかった経費を領収書の審査等を経て補
助金を交付していたが、東近江市版SIBでは市と事業者のほか
に出資者という第三者が事業に対して出資をし、事業者は出資さ
れた資金をもとにサービス対象者にサービスを提供し、独立した
評価機関がサービスの成果を評価し、行政はその評価に基づいて
目標達成時に報酬を支払い、出資者には配当がついた出資金が償
還されるというスキームになっている。
事業者からは出資を受けることにより、より責任感が高まりサ
ービスの精度向上につながったという声も上がっている。
また、市民の出資金(一口2万円)は、事業が成功しないと返
却されないため、事業が成功するために側面から支援することが
期待される。
(イ) 東近江市版SIBの特徴
【事業者】
・成果で評価される。
・出資者という支援者ができることにより、非資金的支援を得
られる可能性が高い。
・経費の使途を深く関与されない。
【出資者】
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・共感をベースとした地域への参画の形ができる。
・投資で地域に貢献できる。
【行政】
・行革として、インパクト型に事業を変えることができる
・庁内連携も進めており、政策連携の糸口になる
(ウ) 平成29年度の取り組み概要
・中間支援組織を金融会社だけでなく、公益財団法人東近江三方
よし基金とも協働協定を締結し、事業を推進する予定である。
・CB事業の2団体を支援する。
(エ) 平成28年度の採択事業及び事業スケジュール
【採択事業】
①がもう夢工房拠点整備事業(がもう夢工房協議会)
②クミノプロジェクト(クミノ工房)
③東近江発!新しいせっけんブランドの立ち上げ~次世代によ
る”第二次せっけん運動”ビジネス化計画~(NPO法人愛
のまちエコ倶楽部)
④ほんなら堂(あいとうふくしモール運営委員会)
【平成28年度の主な事業スケジュール】
平成28年4月 SIBを利用した補助金制度に変更
6月 成果目標を設定(東近江市、中間支援組織、
市民が協議)
8月 事業資金集め(中間支援組織がファンド、ボ
ンドを組成し募集・販売を実施)
9月 出資者向け説明会・見学会の実施
29年3月 事業の評価・出資者へ償還
エ 東近江三方よし基金
(ア) 設立経緯
環境省が環境と経済と社会を分断せず持続可能な社会をつくる
よう、さまざまな施策提案をしており、それに基づいて東近江市
では第2次環境基本計画を策定した。その中で自然資本をベース
に人と人、人と自然がつながる豊かな社会をつくることを目指し、
それらをつなげる仕組みや資金活用についても盛り込んでいる。
環境省の支援を受けて地域経済分析を行った結果、東近江市総
生産は5459億円のうち、地域外へ約1000億円が流出していること
がわかり、その資金が地域内で循環するような仕組みをつくりた
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いということから基金設立の機運が高まった。
どのような社会をつくることを目指すのかが重要であると考え、
近江商人の考え方に「三方よし(売り手よし、買い手よし、世間
よし)」という言葉があり、それを冠にするような資金の仕組み
とし、地域の金融機関と協力して基金を設立する運びとなった。
(イ) 設立経過
平成28年 設立準備会呼びかけ
設立準備会設置
平成29年6月12日 一般財団法人東近江三方よし基金設立
公益認定を県に申請することを準備中
(ウ) 資金の調達例
●目的別補助金の運営委託
●遺贈等寄附受け入れ
地方に居住する高齢者の死亡により発生する相続により、都会
に居住する相続人に預金が移ってしまうことが多く、地方銀行
の死活問題となりつつある。地域をよくするためにお金を使っ
てほしいという方もふえてきており、地域に貢献する活動を応
援する基金への寄附を促進し、次世代に先人の思いをつなぐ仕
組みとなっている。
●休眠預金
現在、内閣府において活用に関するルールづくりがされている
が、休眠預金未来構想プラットフォームを設立した。
●コミュニティ投資
地域貢献型の投資について商品化する組織と連携し、東近江市
のコミュニティファンドが目指すテーマの実現に資する取り組
みについて商品化し、地域金融機関で販売することを目指す。
オ 採択事業「東近江発!新しいせっけんブランドの立ち上げ」
(ア) 事業概要
事 業 者:NPO法人愛のまちエコ倶楽部
東近江市の「菜の花プロジェクト」という資源循環
の取り組み拠点である、あいとうエコプラザ菜の花
館の指定管理を受託するほか、都市と農村の交流事
業「田舎もん体験」を行っているNPO法人である。
CBの背景:昭和52年に水質汚染により琵琶湖に赤潮が大量発
生し、その水質汚染の原因として工場排水、農業排
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水のほか、家庭から排出される排水が挙げられ、合
成洗剤に含まれているリンが原因であることが明ら
かになった。このことから、住民主体の環境運動「せ
っけん運動」が滋賀県で始まり、昭和54年に滋賀
県琵琶湖の富栄養化の防止に関する条例の制定につ
ながった。また、家庭から出る廃食油から自分たち
が使う石けんをつくろうという主婦たちの活動にも
広がった。
CBとして継続した事業にする際の課題として、製
造に手間がかかる割に時給として計算すると3 0 0円
程度にしかならないことから収益を回せる事業とす
ること、ボランティアによるリサイクル石けんづく
りには限界があること、現代の暮らしに合う使いや
すさやパッケージの改良の必要があることであった。
事業内容:①若い世代に向けた「せっけん講座」や市場調査で
共感を広げる。
②におい、溶けにくさ等の改良及び新製品の開発
③試作品製作及び5 0 0人にモニターアンケート
(イ) 平成28年度の成果目標
・商品パッケージの具体的な展開が決まっている。
・試作品が完成している。
・試作品のモニターとして1 0 0人が使用し、感想や改善点がまと
められている。
・事業体の立ち上げに対して、具体的かつ詳細なプランができて
いて、立ち上げに展望ができている。
(ウ) 平成28年度の達成状況
・サンプル商品完成(5 0 0個)
・モニタリング実施(1 0 0名以上)
(エ) 今後の展開
事業体として立ち上げに向けて、①法人設立準備(銀行の資金
借り入れを目指して事業計画の準備)、②製造メンバーの募集
(子育てママ集め)、③最終パッケージづくり(寄附金集め)
(オ) 一年の活動を通しての課題
【よかった点(抜粋)】
・SIBの活用により、事業を周知できる機会が多くあった。
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・NPO以外の人脈が広がった。
・定期的に事業へのアドバイスを受けられた。
【課題】
・初期に設定する成果目標の出し方
→事業の重さが変わる。
→市・NPO・寄附者目線で変わるので、事例に詳しい第三
者機関が必要。
・定期的な集まりが多く負担があった。
・収支明細の提出を求められた。
カ 質疑概要
Q 事業を回していくためにノウハウは必要になり、中間支援組織
がビジネススキルを回していくことを考えるべきであるが、事業
が成り立たなくなり事業を畳むNPO等もあり、お金が回ってい
かないところの課題をどう認識しているか。
A ビジネス支援のスタートアップ事業については中間支援組織に
は事業を回している間の伴走支援もお願いしている。NPOの支
援に携わっているNPOまちづくりねっと東近江は市の委託事業
を含めて、コミュニティビジネスの支援を行っている。相談会を
3回開いており、単年度の事業支援は行っている。従来からのコ
ミュニティビジネスの相談業務も担っている。
Q 社会の中でビジネススキルを磨いてきた高齢者のリタイア後に
活用していく取り組みはあるのか。
A 中間支援組織が開く研修会等の機会を利用し退職後の地域デビ
ューとしてつながった事例はある。ビジネスではないが、まちづ
くり協議会や今後の動きになるが、人材バンクを通じて人材の掘
り起こしにつなげていきたいと考えている。
Q 出資者に対するマネジメントとして、NPOだと出資者対応に
なれていないということもあると思うが、その辺はどうか。
A 平成28年度の取り組みは私募債として顔の見える関係で出資
者を募るような状況であったため、4団体中3団体は母体がしっ
かりしている団体であり、出資は関係者を中心に広がっていった。
行政がかかわる事業ということで信頼を得ているものの、市民
は出資をするリスクを負うため、出資に関する説明会を行ってい
る。また、事業そのものを紹介する説明会を開催する必要がある
と考えていたが、それらが事業者にとっては負担となっていると
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ころもあったのかなと思う。
規模が小さいのでマネジメントについての問題は余りないと考
えている。昨年の例だと出資金が返却されることに対して、それ
は返ってくるお金だったのかという反応もあり、善意が前提で出
資されるケースが多いと思われる。
Q 東近江三方よし基金は目的としては環境・水と森の関係だけに
限定している資金調達の一つなのか。
A 東近江三方よし基金は、農業から中心市街地の活性化、環境保
全まで持続可能な社会につながるさまざまなテーマを対象にして
いる。助成金、金融機関と強調する融資、SIBのような行政と
協定を結んだ投資やそのほかの投資も想定している。コミュニテ
ィビジネスをベースにしているけれども、地域のさまざまなお金
の流れを変えていこうというのが、東近江三方よし基金をあえて
別法人にした理由である。
Q 東近江三方よし基金の会計処理はどのように報告しているのか。
A 登記をしたばかりだが、公益財団法人化していきたいと思って
おり、常時地域の皆さんには情報開示をしていきたいと思ってい
る。
Q SIBは成果目標をどのように設定するのかが非常に難しいと
思うが、出資者からすればそれを達成すればよいということだが、
決め方がどのように決められているのか。
A コミュニティビジネスはなかなか商売として成り立つことが難
しく、社会的な課題に着目し、携わってもらう初めの一歩として
の取っかかりを重視したいと考えており、どちらかといえばハー
ドルは低く設定したいと考えている。客観的な指標も必要になっ
てくると思うが、単年度で達成できるところで設定をしている。
達成度の評価については、必ず達成している必要があることから、
達成するために、市民、行政、関係者が伴走支援をしていく状況
である。
成果指標の設定の仕方は平成28年度と平成29年度で異なっ
ている。平成28年度は多くの市民がかかわる形でということか
ら、市民参加型のワークショップで目標値を設定しそれを追認す
る形で設定をした。平成29年度は、そのやり方に内部で異論が
出たことから、第三者の審査委員会で事業者とともに目標を設定
するという形で設定することになった。
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Q 投資家に利息を支払うとのことだが、平成28年度は支払うこ
とはできたのか。
A 2パーセントの利息を支払うことができた。
Q 東近江三方よし基金は市が主導して設立されたのか。
A 市から地域の方々に検討会の委員を募り、スタートした。
(東近江市議会にて説明聴取)
(東近江市議会にて説明聴取)
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視察概要
1 視察先
愛知県名古屋市
2 視察月日
7月5日(水)
3 対応者
あいち・なごや強靱化共創センター長 ( 受 け 入 れ 挨 拶 及 び 説 明 )
愛知県防災局防災危機管理課長 (説明)
名古屋市防災危機管理局危機管理企画室長 (説明)
名古屋市防災危機管理局危機管理企画室係長 (進行)
4 視察内容
あいち・なごや強靭化共創センターの取り組みについて
ア 名古屋市地域強靭化計画
平成25年12月、強くしなやかな国民生活の実現を図るための
防災・減災等に資する国土強靭化基本法が公布・施行され、名古屋
市では名古屋市地域強靭化計画を策定し、国や愛知県、民間事業者
などの関係者相互連携のもと、国土強靭化に関する施策を総合的か
つ計画的に進めている。
名古屋市を強靭化する意義は、①大規模自然災害から市民の命や
財産を守り、本市の社会経済活動を維持する、②名古屋大都市圏の
産業・経済活動等の持続的成長を促進する、③首都圏が被災した場
合のバックアップ機能や他地域が被災した場合のサポート機能の充
実により国全体の強靭化に寄与することが挙げられる。
●基本目標
Ⅰ.市民の命を最大限守る
Ⅱ.地域及び社会の重要な機能の致命的な障害を回避する
Ⅲ.市民の財産及び公共施設に係る被害を最小化する
Ⅳ.迅速な復旧復興を可能にする
Ⅴ.他地域や他団体との連携を強化する
Ⅵ.中部圏の中心都市として強靭化に貢献する
●強靭化施策の基本的な考え方
地域特性(抜粋):北・西・南部の沖積平野、中央部の洪積台地
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東部の丘陵地から構成
東西交通ネットワークの要衝・貿易額日本一
の名古屋港
ものづくり産業を初めとする名古屋大都市圏
の経済活動を支える多様な都市機能集積
想定リスク:南海トラフ巨大地震を始めとした津波・台風・大雨
火山噴火・異常渇水などの災害を想定
上記の想定リスクと地域特性を踏まえ、「事前に備えるべき目標
(8つ)」と「起きてはならない最悪の事態(42例)」を設定、
これらをもとに大規模自然災害等に対する現行施策の取り組み状況
の分析や脆弱性の評価を行い、その結果に基づき推進すべき施策の
方針及び優先的な取り組み事項を定めた。
イ あいち・なごや強靭化共創センター
(ア) 概要
平成29年6月に愛知県、名古屋市、名古屋大学が大規模災害
発生時においても愛知・名古屋を中核とした中部圏の社会経済活
動が維持されるための研究開発や事業を産学官が戦略的に推進す
るため、産業界の賛同も得て、あいち・なごや強靭化共創センタ
ーを設立した。
(イ) センターの機能
●産学官の英知を結集したシンクタンク機能
産学官の連携により、産業界・大学・行政が保有する最新の技
術的知見や経験、ノウハウ等を集約し、愛知・名古屋を中核と
した中部圏のシンクタンクとして、地域社会のニーズにマッチ
した防災・減災対策の研究開発を行う。
●地域の強靭化のコーディネート機能
産学官がそれぞれ進めている防災・減災対策をより効率的・効
果的に推進するため、中部圏の強靭化対策のコーディネーター
役として、防災関係者の意見交換の場を設定するなど地域の調
整役を担う。
●企業・県民・行政の防災活動の支援機能
企業等からの防災・減災に係る各種の相談をワンストップで受
け付ける窓口になるとともに、企業のBCP策定を支援するた
めの講習や、県民の自助・共助の取り組みを促進するための講
習、市町村職員が災害対策に係る専門的な知識を習得するため
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の研修など、企業や県民、行政の防災活動を支援するための活
動を行う。
(ウ) 主な事業内容
●研究開発部門
【企業の対策】
・東海経済圏のボトルネック解消のための企業の災害対応の
課題分析、対策検討、提言
・業種別のBCPモデルの開発
・地域連携BCPの策定に係る研究開発
【県民の活動】
・防災・減災行動の誘致手法の研究開発
【行政の対策】
・効果的な減災戦略を検討するための行政の災害対応の課題
分析、対策検討、提言
ウ 減災館
(ア) 施設概要
・建築面積:7 3 1. 1 0平方メートル
・延べ床面積:2897. 8 3平方メートル
・規模:地上5階建て
・構造種別:鉄筋コンクリート造、基礎免震構造
(イ) 役割
・先端的研究施設
建物全館が耐震・免震・制振技術に関する研究開発の実践・実
証の場として活用されている。
・防災啓発・人材育成施設
触れて学べる耐震実験教材や揺れの体験装置を備え、耐震・免
震に関する体験型の学習をするとともに、市民向けにさまざま
な講演会・セミナーを定期的に開催している。
・災害対応施設
大規模災害時の東海地域の災害対応拠点として、災害対策本部
室を配置している。
(ウ) 特徴
・建物の地下に免震層があり、敷地の高低差を利用して常時免震
層を見ることができる免震ギャラリーが整備されている。ギャ
ラリーのガラス面には耐震・免震・制振の技術開発の歴史を学
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ぶパネルを展示している。また、世界各国の高層タワー・ビル
の縮尺図が張られており、建物の高さを比較できるようになっ
ている。
・免震層のジャッキを利用して建物全体を振動させることができ
るため、本体建物と屋上実験室を地盤と建物に見立てた共振実
験を行うことができる。
・停電時には中部電力の電源車が電源を供給するコンセントも外
部に設置されている。都市ガスの供給が停止した場合はプロパ
ンガスに自動的に切りかわるシステムとなっている。
また、屋上に一週間連続稼働可能なディーゼル発電機と太陽光
発電装置が設置されており、地下には軽油を7000リットル備蓄
できるオイルタンクが設置されているため、非常時には屋上に
設置したディーゼル発電機で利用することができる。
・井戸水を雑用水に利用し、1000人分の給水量を確保している。
(飲用タンク:3㎥、雑用タンク:17㎥)
・国・自治体との連絡体制は、中部地方整備局とは長距離無線L
ANで常時通話でき、地方自治体とは自治体衛星通信パラボラ
アンテナで首長と通話できる体制となっている。
・被災地派遣される県市職員は減災館にて応急危険度判定や罹災
証明業務に必要な知識の講習を受けた上で、被災地に派遣され
る。
エ 質疑概要
Q 減災館の施工はどこか。
A 清水建設株式会社が施工した。
Q 減災館の展示は誰が対応しているのか。
A 専門のスタッフはおらず、交代で大学の教員が対応している。
そのため、開館時間は午後1時から4時と限られているが、開館
日には教員によるギャラリートークというイベントを行っており、
リピーターが多く、平均すると毎回50人、年間1万5000人ほど
の参加者数となっている。
Q 共創センターのメリットは何か。
A 受託研究員が37人おり、年間を通じて、民間企業の方や行政
の方と連携を図れる。
Q 中部地方整備局とは長距離無線LANでつながっているという
ことだが、どこに設置しているのか。
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A 屋上に設置してある。小さい装置であり、価格も安いため、名
古屋市とも結ぶべきだと思っている。
(名古屋大学減災館にて説明聴取)
(名古屋大学減災館にて説明聴取)
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(名古屋大学減災連携研究センターにて)
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視察概要
1 視察先
京都府京都市
2 視察月日
7月6日(木)
3 対応者
教育環境整備室長 (受け入れ挨拶及び説明)
教育環境整備室担当課長 (説明及び進行)
教育環境整備室課長補佐 (説明)
京都市立京都御池中学校校長 (説明)
4 視察内容
公共施設と市立学校の複合化について
ア 京都御池中学校複合施設整備事業
(ア) 京都御池中学校概要
・在籍生徒数(平成29年5月1日時点):1061人
※小学6年生: 3 2 6人、中学生: 7 3 5人
京都市立中学校(全73校)のうち、4番目に人数が多い。
・鉄筋コンクリート造(地上7階、地下1階)
・延床面積:約2万平方メートル
・敷地面積:約8千平方メートル
(イ) 京都御池中学校開校の経過
昭和33年以降京都市全体で子供の数が減少。
城巽中学校の生徒数が1 2 9人、柳池中学校の生徒数が3 6 0人で
あり、城巽中学校の小規模校を契機に柳池中学校もいずれ小規模
校化するだろうという危機感をもった保護者から要望があった。
京都市では昭和58年以来行政が統合計画をつくるのではなく
地元主導で論議検討してもらい、地元の方から統合要望をもらう
方法で進めている。これまで小中学校72校を19校に統合して
おり、現在も複数校の検討がなされているため、年中市内各所で
統合の論議を進めている。
平成13年 9月 14学区と小中学校PTAから3中学校の
統合要望書の提出
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12月 市会で一次統合に関する条例可決
14年 4月 滋野中学校(上京区)と柳池中学校(中京
区)を統合し、京都柳池中学校の開校
城巽中学校を京都城巽中学校と名称変更
15年 4月 京都御池中学校と京都城巽中学校を統合し、
京都御池中学校を城巽中学校跡地に開校。
18年 4月 柳池中学校跡地に京都御池中学校を移転。
※複合施設完成
【今後の予定】
平成31年に3小学校と1中学校を統合し、小中一貫校を1
校開校予定、平成32年2小学校の統合
(ウ) 複合施設化の検討
複合施設化の検討の中で、①利便性にすぐれた敷地の有効活用、
②次代の教育に対応可能な機能性の高い学校、③地域ニーズの高
い公共施設の整備、④御池通のにぎわい創出が意見として出され
た。その視点から、中学校のほか、乳幼児保育所、老人デイサー
ビスセンター、オフィススペース、にぎわい施設、拠点備蓄倉庫、
自治会・消防分団施設、観光トイレを併設した複合施設として整
備することとなった。なお、オフィススペースは生徒数の増加に
より、教室に転用されている。
(エ) 施設整備手法及びその効果
財政非常事態宣言が出されていたこと、京都市初の大規模複合
施設整備であったことなどの背景からPFI導入が検討され、P
FI導入可能性調査が実施され、京都市初のPFI事業となった。
この手法を導入したことにより、落札者決定時金額が63.2億円
となり、従来方式であれば90.1億円に比べて26.9億円の削減が図
られたことから財政支出の削減につながった。
また、限られた敷地、事業期間、事業費等の厳しい条件下で民
間事業者が競合し提案力を競うことにより、事業コンセプトを高
いレベルで実現できた。
そのほか、PFI手法等のノウハウを蓄積できたことから、そ
れ以降4件のPFI事業を実施し、例えば城巽中学校跡地に有料
の音楽ホール、絵画ギャラリーを併設した複合施設として京都堀
川音楽高校を整備した。
(オ) にぎわい施設の併設と活用方法
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京都市のシンボルロードである御池通の活性化、京都商工会議
所からの要望、京都市とフィレンツェ市の有効姉妹都市40周年
という契機の3点が重なり、御池通におけるにぎわいの創出を図
ることとなった。運営に関しては、京都市とPFI事業者が委託
契約を結び、PFI事業者は各店舗と個別に委託契約を締結する
方法となっている。
また、生き方探求・チャレンジ体験(京都御池中学校等の子供た
ちが職場体験活動に取り組む事業 )や総合支援学校版デュアルシ
ステム(総合支援学校の生徒が店舗での実習等を体験する事業)
を通して学校教育活動への協力がなされている。
イ 質疑概要
Q 各施設の連絡調整会議で、そういったことを意図的にやること
を開いていたりするのか。
A 2カ月に1度施設運営者会議を開いている。また、普段のやり
取りの中で工夫したり連絡を取り合ったりしている。
Q 管理面で難しいことはあるか。またメリット・デメリットはど
うか。
A 専門の管理会社が全部やっており、24時間体制でやってもら
っている。効率的であり、細かい点検までしてもらっており、管
理会社からも逐次報告してもらっている。トイレの清掃やワック
スがけ等、楽なところもあるが、教師の異動により戸惑いがある。
例えば土日の活動とかは管理会社に申請する必要があったりと、
細かいところで他の学校との違いが多い。また調整は難しいとこ
ろもある。
Q PFI方式の複合化だが、当初オフィスとして使用していた部
分を教室等に変更したと思うが、オフィスとしての賃料を支払っ
ているのか。それとも教育関係で免除等はあるか。
A オフィススペースではあるが、民間に有料で貸し出しをしてい
たのではなく、もともと役所の他部局の事務所が入っており、賃
料は発生していない。保育所や老人デイサービスは有料で、保育
所は所管が保有している土地・建物を民間に有料で貸し付ける形
となっている。そのような有料の部分が当初計画と大きく異なっ
た場合、契約変更の手続が必要となる。
Q 各種施設はどのエリアにいくつくらいという配置計画があるだ
ろうが、複合する施設の種類はどのように選んだのか。また今回
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複合化した保育所及び老人デイサービスは既存の施設が周辺にあ
ったのか。
A 福祉行政を所管している保健福祉局の職員が御池複合施設の開
設準備の担当部局と兼務し、調整を行った。保育所及び老人デイ
サービスは新設のため、既存の施設を複合化するといったことは
していない。
(京都市立京都御池中学校にて説明聴取)
(京都市立京都御池中学校にて)