環境経済学入門 第6章 政府の失敗...環境経済学入門 第6章 政府の失敗...
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環境経済学入門
第6章政府の失敗77430401 海野遥香
2018/05/31 循環型社会システム論発表1
外部性の影響を被る人々を保護するために・・・
政府が市場に介入する必要がある
例
2018/05/31 循環型社会システム論発表
21.政府の介入の理由
第5章環境の保全に関して、自由市場の機能はあてにならない
市場の失敗の理由・・・ 外部性個人や企業の行動は他者の福祉に影響を及ぼす
航空会社が自発的に防音壁を提供しそうにない→政府は騒音に対する規制
2018/05/31 循環型社会システム論発表
1.政府の介入の理由 3
政府の介入が環境問題にとって特に重要なもう一つの理由は
誰もが資源を実際に所有していないために環境破壊が起こる場合にある。
このような資源を オープン・アクセス資源 と呼ぶ
誰かが所有しているわけではない→各人は利己的な観点から、排出を抑制せずに利益を得る
「コモンズの悲劇(tragedy of commons)」
このような状態のときは複数の政府の介入が必要である。
所有していない資源の例・・・大気
2018/05/31 循環型社会システム論発表
2.政府の失敗 4
政府の介入には十分な理由があるが、残念ながら自由市場よりも自然資源を適切に管理することにしばしば失敗する。
一つ目の失敗の理由民主的な国々でさえ、政府は社会全体よりも特定の圧力集団の歓心を買うように行動するかもしれないということ
政府が環境保全的な行動
有力な圧力集団に費用を課すことになる
政府は環境保全的な行動をとらない
三つ目の失敗の理由政治家が良い意図を持ち原則的に良い環境法を作ったとしても、官僚が実行に移さない場合があるということ。
官僚は、結果による報酬を支払われることがない。
政治家から細かく調べられることがない限り、最善の行動をとる明白なインセンティブはない。
2018/05/31 循環型社会システム論発表
2.政府の失敗 5
二つ目の失敗の理由政府は、ある行動をとったとき生じるすべての結果を予測できるだけの、正確な情報を手に入れることができないかもしれないということ。
政治家は問題を「区分」しがちしかし、すべて相互に影響しあっている
エネルギー政策地域開発計画
環境政策
2018/05/31 循環型社会システム論発表
3.政府の失敗の例 6
〈欧州共同体の共通農業政策〉• 農業社会の所得をあげて農業市場を安定化• 食料供給の国際的中断に備えてつねに食糧供給が可能であることを保証• 妥当な消費者価格を保証
実際にはこの政策は農業圧力団体の力を反映したもの
消費者や納税者という、より大きな集団を犠牲にして、農民という集団を保護する→社会全体に準費用をかけてしまう「政府の失敗」の一例。
この政策は、環境面での喪失とどのように関連付けられるか?この政策の影響 農民が大量に生産しても、介入価格で販売できるため過剰生産を鼓舞する
この政策の環境への影響 農業地域の拡大・・・ヘッジロー(生け垣をなす低木列)を取り払った 集約化・・・多量の肥料・農薬の使用が促進された
〈発展途上国における政府の失敗〉発展途上国の場合、自由市場の機能は不十分→政府が介入し価格を統制善意の動機より、政府の統制価格は市場均衡より低く維持される
このような介入はむしろ多くの問題を作り出している
政府はかなりの税収と他の所得を価格統制のための補助金に使い果たす これらの補助金は補助金の対象となる資源の濫用を助長する
補助金はその対象の経済活動を不自然に魅力的なものとする。また、高い利潤または「レント(上乗せ利益)」が得られがち→多くの人をその産業に引き付ける(レント・シーキング)
2018/05/31 循環型社会システム論発表
73.政府の失敗の例
この政策の環境への影響 灌漑用水 エネルギーの価格付けを取り上げて説明
2018/05/31 循環型社会システム論発表
3.政府の失敗の例 8
灌漑用水
また、巨大なダムは森林伐採により下流の汚染と上流の沈泥化を引き起こす
政府が灌漑面積を基準に低料金に設定
過剰灌漑
地下水が農地の地表付近まで上昇
塩類集積
総費用の回収率は最高でも20%だけである
※運転費用と維持費用の和(O+M)
低すぎる価格付け→浪費的姿勢
非効率的な灌漑→農業生産に負の影響
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3.政府の失敗の例 9
灌漑用水
さらに、水は農作物生産の必要性によってではなく、面積によって配分されがち
これにより レント・シーキング の現象が生じる
水配分体系をコントロールする権利を確保することに利権が存在→高い利潤により土地価格はさらに高いものに資本化される→配分をめぐり競争を行うインセンティブは強烈に
レント・シーキングは
富裕層や有力者に有利貧しい人々や未組織の人々を冷遇
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3.政府の失敗の例 10
エネルギー
石炭・石油・ガス・電気などの商業エネルギーは、発展途上国では広く補助金が与えられている
灌漑と同様に、補助金の効果により浪費的な使用が助長
環境の観点からは・・・ 大気汚染 廃棄物処理の問題
補助金が政府収入を枯渇
生産部門から貴重な資源を転用
外国への負債にも
より効率的な産業を犠牲にしてエネルギー集約的な産業を促進
2018/05/31 循環型社会システム論発表
3.政府の失敗の例 11
エネルギー補助金には財政的と経済学的な二つの尺度がある
• 財政的尺度・・・価格と生産費用の差を指す
• 経済学的尺度・・・最も生産的な利用をしたときのエネルギー源の価値(「機会費用価値」)と現実の価格の差
「機会費用価値」を測る便利な指標
a. その燃料が輸出されるなら売れる価格、また輸入されるなら支払わなければならない価格(世界価格)
b. その燃料が貿易財でなければ供給の長期限界費用
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3.政府の失敗の例 12
エネルギー
主に非先進諸国での化石燃料に対する補助金の大きさを示している。
補助金率は一般に低下傾向にある
2018/05/31 循環型社会システム論発表
4.結論 13
きわめて多くの場合に、政府自身が環境悪化の原因となっている。
政府は物事を正さなければならない
という考えに慣れているしかし、
表面的に環境と関連のない政府の政策が環境破壊を引き起こす
これが 「政府の失敗」 である
市場の失敗も生じるため、政策上の問題は市場と政府介入の間の適切な釣り合いを見つけること→第4部で議論