主体的・対話的で深い学びを実現する 国語科学習の創造 · 例 2...

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平成 29・30 年度 鹿児島市教育委員会研究協力校 平成 30 年 11 月 29 日(木) 鹿児島市立星峯西小学校 主体的・対話的で深い学びを実現する 国語科学習の創造 ~説明的文章を中心として~

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Page 1: 主体的・対話的で深い学びを実現する 国語科学習の創造 · 例 2 年:じゅんじょに気をつけてたんぽぽのちえを読み,おも ったことをみんなにつたえよう

平成 29・30 年度

鹿児島市教育委員会研究協力校

平成 30 年 11 月 29 日(木)

鹿児島市立星峯西小学校

研 究 主 題

主体的・対話的で深い学びを実現する

国語科学習の創造

~説明的文章を中心として~

Page 2: 主体的・対話的で深い学びを実現する 国語科学習の創造 · 例 2 年:じゅんじょに気をつけてたんぽぽのちえを読み,おも ったことをみんなにつたえよう

「主体的な学び」,「対話的な学び」,「深い学び」の関係を,主体的な学びと対話的な学びを往還しながら深い学びに向

かっていくと捉え,以下のように図式化した。

「主体的な学び」

Ⅰ 主題設定の理由

「対話的な学び」

「深い学び」

研究仮説

国語科において,主体的・対話的で深い学びの視点で授業改善を行うことにより,子供

の思考・判断・表現等の力を高めることができるのではないか。

学ぶことに興味や関心をも

ち,見通しをもって粘り強く取

り組み,自らの学習活動を振

り返って次の学習につなげよ

うとすること。

自己との対話,作品(書き

手)との対話,子供同士の

対話,子供と教師との対話

などを通して,自己の考えを

見直すこと。

主体的・対話的な学

びの中で,言葉で理解

したり表現したりしなが

ら,自分の思いや考え

を広げたり深めたりす

ること。

本校の実態

・ 接続語に注意して読む力が不足

している。

・ 内容の大体や内容を理解するこ

とが難しい。

・ 読んだ内容を条件に合わせて表

現する力が不足している。

学校教育目標

• キャッチフレーズ:みんなで助け

合い みんなで学ぶ 笑顔あふれる

星西の子~「主体的・対話的で深い

学び」の実現に向けた取組を通して

• 教育課題:確かな学力の定着(基

礎・基本の力と活用する力の向上)

社会の要請

• 予測が困難な時代を生き抜くため

に,様々な変化に積極的に向き合い,

他者と協働して課題を解決したり,

様々な情報を見極め,新たな価値に

つなげたりしていくことなどが求め

られている。

• 新学習指導要領では,「主体的な

学び」,「対話的な学び」,「深い

学び」をキーワードとした授業改善

が求められている。

本校における「主体的・対話的で深い学び」とは・・・

Page 3: 主体的・対話的で深い学びを実現する 国語科学習の創造 · 例 2 年:じゅんじょに気をつけてたんぽぽのちえを読み,おも ったことをみんなにつたえよう

主体的な学びが深い学びへとつながっていくと考え,

以下のような目指す子供像を作成した。また,主体的な

学びが実現するための手立てとして研究の視点 1を設定

した。

【目指す子供像】

〇 教師と一緒に学習のめあてを設定し,学習の見通しをもって意欲的に取り組むことができる

子供

〇 学習内容と自分の体験を結び付けて考えていこうとする子供

〇 教師や友達と一緒に学習のめあてを設定し,学習の見通しをもって意欲的に取り組むことが

できる子供

〇 学習内容と自分の体験や既習事項を結び付けて考えていこうとする子供

〇 自分で学習のめあてを設定し,学習の見通しをもって意欲的に取り組むことができる子供

〇 学習内容と自分の体験や既習事項を結び付けて考えたことを自分の言葉で表現しようとする

子供

研究の視点1

⑴ 子供と教師で学習計画を立て,学習の見通しをもつ時間を

設定しているか。

単元のはじめに,子供と教師が一緒に学習計画を立てる時間

を設定する。子供の学びたいことを学習計画に入れたり,互いに

この単元で「だれに」「何を」「どのように」伝えるのか単元のゴ

ールを共有したりする。

⑵ 子供たちの意欲が高まる学習課題になっているか。

例 2 年:じゅんじょに気をつけてたんぽぽのちえを読み,おも

ったことをみんなにつたえよう

3 年:上手に伝えるには,どんなまとまりの文がいいか考えよう

~自分の作りたい『未来のこま』をしょうかいしよう~

6 年:6の1スマイルミッション!クラスの友達に,生活の仕方を提案しよう

⑶ 単元の随所に「今日のなるほど」を位置付け,自らの学びを説明したり評価したりする時間を設定している

か。

「今日のなるほど」: 一単位時間の終末に,今日の学習で分かったこと・気付いたことなどを1~2 文程度にま

とめ,自らの学習を振り返ったり,学級全体としての学びをつないだりするものとして行っ

ている。

低学年

1 主体的な学び

中学年

高学年

Ⅱ 研究の実際

Page 4: 主体的・対話的で深い学びを実現する 国語科学習の創造 · 例 2 年:じゅんじょに気をつけてたんぽぽのちえを読み,おも ったことをみんなにつたえよう

「主体的な学び」と同様に,以下のような目

指す子供像を作成した。また,対話的な学びが

実現するための手立てとして研究の視点 2を設

定した。

【目指す子供像】

〇 自分の考えをもった上で,その考えを伝えたり,友達の考えを聞いたりすることができる

子供

〇 自分の考えを伝え,友達の考えを聞くことで,自分の考えと他者の考えと比較して,共通点

や相違点に気付くことができる子供

〇 自分の考えを伝え,友達の考えを聞くことで,自分の考えと他者との考えを比較して,共通

点や相違点などを共有し,批判的にも共感的にも捉えることができる子供

研究の視点2

⑴ 自己内対話の時間を設けているか。

まずは,自己内対話の時間を設け,それから,他者との対話を通しな

がら,自分の考えを深めていけるようにする。

⑵ 対話がしやすい場の設定ができているか。

学習の内容に応じて対話がしやすい場の工夫

〈コの字の学習形態を基本として〉 〈ペア・グループで〉 〈ランダムで〉

⑶ 対話の基本を身に付けさせ,対話から気付きが生まれる工夫をしているか。

グループでの対話を深める際の手立てとして,「グループ学習の進め方」という手引を低学年・中学年・高学年

ごとに作成し,基本的な対話の仕方を共通理解している。(研究誌Ⅱ参照)

2 対話的な学び

低学年

中学年

高学年

まずは一人で

Page 5: 主体的・対話的で深い学びを実現する 国語科学習の創造 · 例 2 年:じゅんじょに気をつけてたんぽぽのちえを読み,おも ったことをみんなにつたえよう

主体的・対話的な学びを通して,子供たちの学びが深まっている姿を,目指す子供像として,以下のように設定

した。また,深い学びが実現するための手立てとして研究の視点3を設定した。

【目指す子供像】

〇 学習の仕方を学び,自分の考えを伝え合うことで,友達の考えのよさに気付くことのできる

子供

〇 自分の学びを振り返り,学んだことを次の学びにつなげることのできる子供

〇 多くの見方・考え方から自分の考えを再考し,相手意識や目的意識をもって,それを表現す

ることができる子供

〇 自分の学びを振り返り,学んだことを次の学びや他教科に生かすことができる子供

〇 多くの見方・考え方から自分の考えを再考し,相手意識や目的意識をもって,論理的な表現

をすることができる子供

〇 自分の学びを振り返り,学んだことを他教科や実際の生活に生かすことができる子供

研究の視点3

⑴ 自分の考えをもう一度考え直す時間を設定しているか。(自分の考え→対話→自分の考え)

単元構成基本案を低・中・高学年ごとに作成し,そ

れぞれの振り返りで始まり,振り返りで終わる単元構

成になるようにした。これを基に説明文単元は単元計

画を構成した。

⑵ 子供が新しい学びに気付き,自信を深め,今後の

意欲につながる学習となっているか。

「今日のなるほど」で子供の新しい学びを見取るよ

うにし,子供への称賛や授業で取り上げるなど意欲に

つながる手立てとしても活用した。

例 2 年 「たんぽぽのちえ」の「今日のなるほど」

〇 おもったことをかくときは,なにをどうおもったかをかくとじょうずにかけるんだ。

〇 たんぽぽは,いろんなちえをはたらかせているんだな。ぼくもみならわないとなあ。

〇 ほかの花とくらべると,どこがどうちがうのかわかった。

⑶ 他教科や子供たちの実生活につながる学びとなっているか。

カリキュラムマネジメントの視点に立ち,単元をデザインした。子供の生活とのつながりや教科と教科のつな

がりを意識したり,学習したことが今後の学校生活のどこに生かされるのか,他教科に反映できる力となってい

るか考えたりして単元を構成した。

3 深い学び

低学年

中学年

高学年

Page 6: 主体的・対話的で深い学びを実現する 国語科学習の創造 · 例 2 年:じゅんじょに気をつけてたんぽぽのちえを読み,おも ったことをみんなにつたえよう

【教師アンケートから】

〇 学年の系統性を考えながら,共通の認識をもち,研修に臨むことができた。

〇 最終目標を示すことにより,教師も子供も学習の見通しをもつことができた。

意欲につながった。

〇 3 年間の積み重ねにより,教材研究を深化・共有することができた。

【考察】

〇 NRT,鹿児島学習定着度調査,全国学力学習状況調査からは,一定の成果を上げられたことが伺える。

〇 子供たちの意識には大きな変化はなかったが,どちらも高い数値であることから,主体的で対話的な学びが継続している

と考えられる。

〇 子供たちが主体的に学習へ向かう姿が多く見られるようになってきている。

〇 学校全体で単元構成基本案を低・中・高学年ごとに作成し,それを基に単元づくりを行うことで,説明文の読み方を系統

立てて指導することができた。

〇 「今日のなるほど」で個人の学びをつなぐとともに学級としても学びをつなぐことができた。また,個人の学びを見取る

上でも効果的に活用することができた。

〇 学校の共通実践や各学年部の研究授業・授業研究,更には,低・中・高学年部で授業づくりを通して,教師側も主体的・

対話的で深い学びを目指した授業づくりができるようになってきた。

〇 子供の学びが深いものになっているかを評価する手立てについても考えていく必要がある。

〇 友達同士の対話において,学びを深めることに課題が見られる。どのようなメンバー構成・座席の配置・教師の関わり方

がよいか,更に研究を行う必要がある。

〇 本研究は,国語科の読むこと,特に説明文教材に限定して,主体的・対話的で深い学びを実現する授業改善に取り組んだ

ものである。今後は,国語の他領域等,また他の教科でも本テーマが実現できるよう考えていく必要がある。

Ⅲ 成果と課題

0

20

40

60

80

NRT説明的な文章を読

むこと結果(現6年生)

本校 全国

0

20

40

60

80

H27 H28 H29

鹿児島学習定着度調査

国語(思考・表現)

本校 市 県

121 115 126(全国比)

40

50

60

70

H28 H29 H30

全国学力・学習状況

調査国語B

本校 県

全国

0

1

2

3

4

H29.7月 H30.2月 H30.7月

対話的な学びを通して,自分の考えを深め

ることができているか。

現2年生

現3年生

現4年生

現5年生

現6年生

0

1

2

3

4

H29.7月H30.2月H30.7月

国語の授業では,自分で考え,

自分から取り組んでいますか。

現2年生

現3年生

現4年生

現5年生

現6年生

アンケートや調査等の結果

69 99 129(県比) 102 96 108(全国比)

研究の成果

今後の課題

子供アンケート