株式会社クラレ ¥ 4 o n&ã - waseda...

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1 株式コード:3405 投資推奨 BUY 価格(2011/10/06)1,042 目標価格:1,511 早稲田大学 広田真一ゼミナール 杉浦智史 1. 投資サマリー 本稿では、エンタプライズ・ディスカウント・キャッシュフロー法(以下、DCF )を用 いて株式会社クラレの理論株価を 1511 円と推計した。従って現在(2011/10/06)の株価 1042 円と比較して理論株価 1511 円は 31.0%の割安水準にあるため、投資推奨を“BUYとする。 同社は創立以来積み重ねられてきた技術力を強みとし、人々のニーズに応じて他社が作 れない製品を世界に先駆けて市場に投入することで高シェアを獲得し、高い利益水準を維 持してきた。同社の高シェア製品は人々の生活に密接に関わっている一方で、その技術障 壁の高さは他社の参入を防いでおり、新興国の経済発展による素材需要の増加後も同社の 供給寡占状態が継続すると判断した。 2. 事業内容 株式会社クラレ(以下同社)は、人造絹糸レーヨンを事業化することを目的に 1926 年に倉 敷レーヨンという名で創立された。1950 年には我が国初の国産合成繊維として世界に先駆 けて PVA 繊維ビニロンの工業化に成功し、日本における化合繊産業の草創期を切り開いた。 その後、オイルショック・新興国の台頭等を背景に国内の繊維産業が衰退するに従い、事 業範囲を化学分野へと広げ、現在では樹脂事業、化学品事業、繊維事業、トレーディング 事業、その他事業の 5 事業体制となった(Figure:1 参照)。同社は「世のため人のため、他人 ¥0 ¥200 ¥400 ¥600 ¥800 ¥1,000 ¥1,200 ¥1,400 日次株価推移 ¥0 ¥3,000 ¥6,000 ¥9,000 ¥12,000 ¥15,000 1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011 業種平均株価推移 クラレ 業界平均 株式会社クラレ SourceYahoo!ファイナンス Source: 日経 NEEDS-FAME

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株式コード:3405 投資推奨 BUY

価格(2011/10/06):1,042円 目標価格:1,511円

早稲田大学 広田真一ゼミナール 杉浦智史

1. 投資サマリー

本稿では、エンタプライズ・ディスカウント・キャッシュフロー法(以下、DCF 法)を用

いて株式会社クラレの理論株価を 1511円と推計した。従って現在(2011/10/06)の株価 1042

円と比較して理論株価 1511円は 31.0%の割安水準にあるため、投資推奨を“BUY”とする。

同社は創立以来積み重ねられてきた技術力を強みとし、人々のニーズに応じて他社が作

れない製品を世界に先駆けて市場に投入することで高シェアを獲得し、高い利益水準を維

持してきた。同社の高シェア製品は人々の生活に密接に関わっている一方で、その技術障

壁の高さは他社の参入を防いでおり、新興国の経済発展による素材需要の増加後も同社の

供給寡占状態が継続すると判断した。

2. 事業内容

株式会社クラレ(以下同社)は、人造絹糸レーヨンを事業化することを目的に 1926 年に倉

敷レーヨンという名で創立された。1950 年には我が国初の国産合成繊維として世界に先駆

けて PVA繊維ビニロンの工業化に成功し、日本における化合繊産業の草創期を切り開いた。

その後、オイルショック・新興国の台頭等を背景に国内の繊維産業が衰退するに従い、事

業範囲を化学分野へと広げ、現在では樹脂事業、化学品事業、繊維事業、トレーディング

事業、その他事業の 5事業体制となった(Figure:1参照)。同社は「世のため人のため、他人

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日次株価推移

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1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011

業種平均株価推移

クラレ 業界平均

株式会社クラレ

Source:Yahoo!ファイナンス Source: 日経 NEEDS-FAME

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のやれないことをやる」というコーポレートスローガンの基に、独自の技術を活かして事

業の拡大を行っている。また海外売上高比率は約 50%であり、グローバル企業として成長

を続けている(Figure:2参照)。

樹脂セグメント

同事業では酢酸ビニルを原料とし製品群が展開されている。同事業では PVA 樹脂、PVB

樹脂、PVBフィルム、光学用 PVAフィルム、EVOH(エバール)を扱う。これらの製品の用

途は、合わせガラス中間膜・食品包装材・FPD 反射板等多岐にわたる。いずれも世界で高

いシェアを獲得しており、このうち PVB樹脂以外は世界シェア 1位を誇る。特に注目され

ている製品は、液晶画面製品の反射板に採用されている光学用 PVAフィルムである。同製

品は日本合成化学工業株式会社と同社の 2 社で寡占状態であり、同社が世界で 80%のシェ

アを維持している。

化学品セグメント

同事業ではメタアクリル、化学品、エラストマー、ジェネスタ、メディカルの 5 つの事

業部で構成されている。特に同社はエラストマー(ゴムとプラスチック両方の性質を備える

工業用材料)分野において様々な系統(スチレン系、ウレタン系、アクリル系)の製品を開発

しており、その用途はタイヤやベルト、シ-リング材など非常に多岐にわたる。また高耐

熱性ポリアミド樹脂であるジェネスタは同社の独自技術によるものであり、世界で同社の

みが生産している。同製品は高耐熱性・高耐摩擦性といった特性が評価されており、携帯

電話やパソコン等電子部品のコネクタや液晶テレビに搭載されているLEDの反射板に採用

されている。

繊維セグメント

同事業では、合成化学繊維ビニロンや人工皮革等創業当時からの歴史のある事業で構成

されている。現在は、ビニロンなどの繊維資材事業、人工皮革事業、不織布事業、マジッ

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樹脂 化学品 繊維 トレーディング その他 営業利益率

Figure:1業績の推移

Source:同社 HP

単位:百万

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クテープなどのファスニング事業など、同社が持つ素材・技術にこだわりながら、新しい

用途を開発することで、大量生産によるコスト競争力に優れる新興国とは差別化を目指し

て展開している。

トレーディングセグメント

同事業は同社 100%出資の子会社であるクラレトレーディングが担っている。同社の製品

を中心に扱う商社機能を果たしている。

その他セグメント

同事業には、上記の三つに分類されないものが全て含まれる。その中でも売上高の多く

を占めているのは水関連事業である。同事業では工業排水処理に使用される高機能膜、活

性炭などの製造、販売、エンジニアリング事業等が行われている。

業績ドライバーの選定

同社の売上高のうち、最も多くを占めているのは樹脂事業である。コア技術である酢酸

ビニル系の製品はいずれも世界シェア1位を維持しており、生産拠点は日本以外にアジア、

欧州、北米に設けられている。また同事業の製品は同社の供給寡占状態である一方で、食

品包装材、自動車部材、建築部材、液晶製品部材など人々の生活に密接に関わるモノのサ

プライチェーンの一部となっていることからも、今後も同事業が同社の成長を左右するド

ライバーであると判断した。以下では同事業に焦点を当てた分析を行う。

3. 競争上の位置づけ

同社は様々な最終消費財を作るために必要な「素材」を提供する化学メーカーであるた

め、同社の成長に影響を与えうるマーケットは非常に多岐にわたる。以下では同社の樹脂

事業に含まれる個々の素材(光学用 PVAフィルム、PVBフィルム、EVOH樹脂)の用途を説

明した後、5fours分析を行う。

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日本 アジア 北米

欧州 その他 海外売上高比率

Figure:2海外売上高推移

Source:同社 HP

(百万円)

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①樹脂事業製品

・光学用 PVAフィルム

液晶ディスプレイが搭載されている製品の偏光板(バックライトの光を均一に液晶に通す部

材)全てに使用されている。液晶テレビ、スマートフォン、ノートパソコンなどが代表的な

モノである。

・PVBフィルム

建築用・自動車用合わせガラスの中間膜として使用されている。PBV フィルムをガラス基

板の間に挟むことで、ガラスが破損した際に破片が飛散することを防ぐことができるため、

安全性の観点からも先進国ではほとんどの建築物、自動車に使用されている。

・EVOH樹脂

EVOH 樹脂は高いガスバリア性を兼ね備えた高機能材料である。主な用途は食品の酸化を

防ぐための食品包装材であるが、近年では自動車のガソリンタンクなど工業用としても普

及している。

②5fours分析

樹脂事業の高付加価値・高シェア製品である光学用 PVAフィルム、PVBフィルム、EVOH

樹脂について業界の競争環境を明らかにし、同社の競争優位性を考察する。

総評:有利

同社が樹脂事業として手掛けている製品はいずれも競合他社が少なく、供給寡占状態に

ある。またそのような有利な事業環境の中で、同社は市場シェアが最も高いだけではなく、

光学用PVAフィルム 弱い

PVBフィルム 弱いEVOH樹脂 弱い

光学用PVAフィルム 弱い

PVBフィルム やや弱いEVOH樹脂 弱い

光学用PVAフィルム 弱い

PVBフィルム やや弱いEVOH樹脂 やや弱い

光学用PVAフィルム やや強い

PVBフィルム やや強い

EVOH樹脂 やや強い

光学用PVAフィルム 弱い

PVBフィルム 弱いEVOH樹脂 弱い

同製品を生産できる企業は同社を含め2社のみである

液晶部材への参入は、初期投資が大きい上に、技術障壁が非常に高い

フィルムの成型加工技術は模倣が困難である共重合技術に高度な技術が必要なため模倣が困難である

現在偏光板に使用可能な高機能フィルムは他に存在していない

現在合わせガラス中間膜に使用可能な高機能フィルムは他に存在しない同製品のガスバリア水準を満たす高機能材は存在していない

業界内の競争

新規参入の脅威

買い手の交渉力

売り手の交渉力

代替品の脅威

供給の80%を同社が占めているためコストリーダーシップが大きい

供給の40%を同社が占めているためコストリーダーシップが大きい供給の65%を同社が占めているためコストリーダーシップが大きい

原材料価格に対する交渉力は弱い

原材料価格に対する交渉力は弱い

原材料価格に対する交渉力は弱い

同製品を生産できる企業は同社を含め2社のみである

同製品を生産できる企業は同社を含め4社のみである

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生産能力も市場シェア 2 位の企業と比較して 2 倍以上の差があり、同分野に関しては他社

の追随を許さない状況にある。さらにいずれの製品に関しても、その製造技術は「人」に

体化されており、模倣が困難であると言える。

・業界内競争

光学用 PVAフィルム「弱い」:現在光学用 PVA フィルムを生産することができるのは、世

界で同社と日本合成化学工業の 2 社だけである。寡占状態にあることは 2 社にとって有利

な状況にあるので激しい競争は起こっていない。シェアに関しては同社が 80%、日本合成

化学工業が 20%である。

PVBフィルム「弱い」:現在 PBVフィルムを生産することができる企業は、世界で同社と

積水化学工業、SOLUTIA(米)、Dupont(米)の 4社のみである。同社は建築用中間膜におい

て世界シェア 40%を獲得している。

EVOH樹脂「弱い」:現在 EVOH樹脂を生産することができるのは、光学用 PVAフィルム

と同様世界で同社と日本合成化学工業の 2 社だけである。シェアに関しては同社が 65%、

日本合成化学工業が 35%である。

・新規参入の脅威

光学用 PVA フィルム「弱い」:新規参入を防ぐものとして技術障壁と資本障壁の二つが考

えられるが、液晶部材産業の場合は技術障壁がより重要であると思われる。技術障壁が強

い理由には製造ノウハウが人に体化されていることが挙げられる。液晶部材は材料を調達

し、それを組み立てて製造されるのではなく、独自の合成や成型加工技術が必要とされる。

そして、こうしたノウハウの蓄積には時間がかかり、現場での経験から積み上げられる側

面が強いと言える。つまり、最先端の製造装置の導入が競争力に転化しにくい特性をもっ

ていると言える。

PVBフィルム「弱い」:同製品の製造にも独自の成型加工技術が必要とされる。また現在同

製品を供給可能な企業はいずれも同製品の基となる原材料を内製化しているため、新規参

入者にとっては資本障壁も高いと言える。

EVOH樹脂「弱い」:同製品の製造にも独自の合成技術が必要とされるため参入障壁は高い

と言える。

・買い手の交渉力

光学用 PVA フィルム「弱い」:同製品は液晶に映像を映す際、必ずなくてはならないもの

である。液晶製品はテレビ、パソコン、携帯電話と生活に欠かせないものが多い。液晶製

品のサプライチェーンのコア部分を寡占しているため、コストリーダーシップは非常に高

い。実際に液晶パネルが激しい価格下落に直面している際にも、偏光板の価格が上がるこ

ともあった。

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PVBフィルム「やや弱い」:同製品は建築物や自動車フロントに使用されているガラスの安

全性を高めるものである。北米や欧州地域の先進国の一部では建築物のガラスに中間膜を

使用することを事実上義務付けている国も存在しているが、安全性への配慮は高い生活水

準を達成して注目されるものであるため、先進国に比べて発展途上の国に対しては買い手

の交渉力も強まると考えられる。

EVOH樹脂「やや弱い」:同製品は先進国において、食品包装材・自動車のガソリンタンク

に主に使用されている。同製品は食品の劣化防止に貢献し、食の安全性を高めている。ま

た、現在自動車のガソリンタンクは金属からプラスチック化が進み、軽量化・燃費向上が

図られている。同製品の用途も生活必需品ではないが、生活水準の向上によって需要が喚

起されるものであると言える。よって先進国に比べて発展途上の国に対しては買い手の交

渉力も強まると考えられる。

・売り手の交渉力

光学用 PVAフィルム「弱い」:原材料に国産ナフサであり、原油価格に左右される。

PVBフィルム「弱い」:原材料に国産ナフサを使用しており、原油価格に左右される。

EVOH樹脂「弱い」:原材料にシェールガスを使用しており、資源価格に左右される。

・代替品の脅威

光学用 PVA フィルム「弱い」:現在、液晶の偏光板を構成している素材に代替となるもの

は存在していない。同製品も同様に代替品は存在していない。

PVBフィルム「弱い」: 1906年に発明されて以来、同製品の代替となる技術は開発されて

おらず、当面はその状況が続くと考えられる。

EVOH樹脂「弱い」:現在同製品と同じ水準のガスバリア性をもつ高機能材は発明されてお

らず、当面代替品は存在しないと考えられる。

4. 市場動向

同社の樹脂事業は、その技術力の高さを強みにして高シェアな製品を輩出している。以

下では上記でふれた高機能樹脂の需要がいかにして生まれているのかを考察した後、同社

が今後注力していくと考えられる市場の動向について述べる。

①生活水準の向上

同社の製品は一般的に高機能樹脂と呼ばれ、その機能は非常に優れており、これら高機

能樹脂が採用されている製品は、人々の生活をより便利に、そして安全にし、また環境へ

の配慮という観点からも大きな貢献をしている。しかしながら、高機能樹脂はその付加価

値の高さ故に価格も高い水準にある。つまり、人々の生活が豊かになればなるほど高機能

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樹脂の需要は大きくなるのである。実際に同社の海外展開は北米から始まり、欧州、アジ

アという変遷を辿っており、生活水準の高い先進諸国から開拓してきたことが伺える。

②さらなる海外展開

現在経済発展が著しい国として BRICs(中国、ロシア、インド、ブラジル)が挙げられ

る。これらの国の GDPは 2050年には世界のトップ 10にいずれも入り込むと予測され

ており(Exhibit:4 参照)、今後同社の樹脂製品の需要の多くを占めるようになると考え

られる。現在同社は中国に 4 拠点、ロシアに 1拠点を設置しており、2009 年にはイン

ド市場への窓口としてインドにクラレインディアを、そして 2010年には南米市場への

窓口としてブラジルにクラレサウスアメリカを設置した。これらの地域は過去 10 年間

の GDP成長率の平均値は 15%を超えており、今後も大きく成長していくと予測できる

(Figure:3参照)。

5. バリュエーション

2011 年度以降 10 年間の営業利益予測から算出した営業 FCF と 10 年後時点での継続価

値を加重平均資本コスト(WACC:5.31%)で割引くことで理論株価を算出した。結果、同社の

理論株価は 1511円と算定された。(Exhibit:5参照)

6. 財務諸表分析

同社と同じ業種でかつ規模が似ている企業といくつかの経営指標を比較することで、同

社の財務状態を収益性、効率性、安全性の三つの観点から分析する。

収益性、効率性分析

企業の収益性を分析するために、ROA の指標を用いる。ROA は、株主、債権者によっ

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GDP推移

ヨーロッパ アメリカ 日本 BRICsSource:IMF

単位:100億$

Figure:3 GDP推移

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て投資された資金を使用して経営者がどれだけ効果的に利益を生み出しているかを示して

いるので、企業の包括的な指標である。Figure:4を参照すると同社の ROA は一貫して他社

に比べて高い傾向にあることがわかる。また同社の売上高営業利益率は他社に比べて常に

2%以上高く、総資本回転率は他社に比べて一貫して最も低いことからも、同社の高い ROA

は高い利益率によって支えられていることがうかがえる。これは同社の他社が供給できな

いような高付加価値製品を市場に投入することで供給寡占状態をつくり、コストリーダー

シップを得ていることと整合性が採れる。

安全性

次に安全性の評価を行う。安全性を評価する指標として流動比率を用いる。流動比率が

100%を越えている場合、企業は流動資産を換金することで流動負債をまかなえるので安全

であるということができる。同社の流動比率の平均は 2.45 と他社に比べても非常に高いこ

とからも同社の安全性は高いと判断できる(Figure:5参照)。

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営業利益率

クラレ 東レ 帝人 旭化成

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総資産回転率

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流動比率

クラレ 東レ 帝人 旭化成

Figure:4収益性、効率性指標

Figure:5流動比率

Source: eol

Source: eol

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7. 業績見通し

売上高予測

売上高の予測は樹脂事業、化学品事業、繊維事業、トレーディング、その他事業に分け、

それぞれ今後の売上高に最も影響を与えると思われる要因を考察し、分析を行った。2021

年には全体の売上高が 2011年と比べて 1.6倍の 5800億円になると見込まれる(Figure:6参

照)。また業績ドライバーである樹脂事業は 2021 年まで一貫して売上高に占める割合が最

も大きくなると予想され、同社の成長に最も影響を与えていると判断できる。

<樹脂事業>

樹脂事業の売上高予測に関しては、同社が製品を供給している国のGDP成長率を用いた。

GDP 成長率を用いた理由には樹脂事業の売上高と GDP 成長率に 85%以上の相関関係が見

られたからである(Exhibit:6 参照)。2002 年から 2011 年の全社売上高と同期間の GDP 成

長率には十分な相関関係は見られなかった一方で、樹脂事業に関しては高い相関係数が観

測された。この結果は市場動向の項で述べたように、同社の樹脂事業の製品の普及には経

済発展により生活水準が高くなることが求められることを反映していると判断できる。今

後 BRICs諸国を筆頭に新興国経済の成長が期待されるため(Exhibit:7参照)、同事業の売上

高増加も大いに期待することができると思われる。

<化学品事業>

化学品事業の売上高予測には、過去のトレンドと LED普及動向を参考にした。同事業で

は LED 反射板や LED 搭載液晶テレビのバックライトを構成している導光板の成型材料を

主に生産している。LED 反射板に使用されているジェネスタは同社のみ生産可能な部材で

あり、LEDの普及に伴い売上高も上昇していくと考えられる(Exhibit:8参照)。

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樹脂 化学品 繊維 トレーディング その他(百万円)

Figure6:売上高予測

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<繊維事業>

同事業は黒字化が急務な事業である。黒字化の一環として汎用性の高い製品の製造を中

国へと移管し、国内ではより高品質な製品に特化する方針を執っている。しかし、中国工

場のオペレーティング能力がまだ不十分であり、それらが本来の機能を果たすのに時間が

かかると予想される。したがって今後数年間は売上高も減少していくと予想した。

<その他事業>

同事業では現在水関連の売上高が約 50億円であるが、中国での合弁会社の設立、シンガ

ポールにおける工業排水分野でのプロジェクトの採用決定など成長機会に恵まれている。

さらに同社は船舶のバラスト水処理装置も独自の技術を応用して手掛けている。2017 年以

降、全ての船舶にバラスト水処理装置の設置が義務付けられることもあり、市場ポテンシ

ャルは 2 兆円規模であると言われている。同社は新興国の水関連事業において今後5年で

500億円の売上を見込んでおり、市場の成長に加えて、同社の独自技術は優位性を発揮でき

ると考えられるため、少なからず今後 10年以内であればこの売上目標は達成できると判断

する

<トレーディング事業>

トレーディング事業に関しては、同社の子会社であるクラレトレーディングが担っている。

クラレトレーディングは、扱っている製品のほとんどが親会社である同社から仕入れてい

るものであり、クラレトレーディングの売上高の多くは決算の際調整額として控除の対象

となる。今後も同社の成長にしたがって、事業間での取引は増加すると考えられる。

8. リスク要因

為替リスク:同社は海外で事業を行っており、海外売上高比率も 50%となっているため為

替レートの変動による業績へのインパクトが大きい。今期同社の想定為替レートはドル/円

79 円で設定されているが、さらに円高が強くなる可能性は大いにある。為替リスクを回避

するために、同社では現地生産・現地販売の仕組みの構築に注力している。

原材料価格の動向:同社の製品の原材料は天然資源であるため、その価格動向は同社の業

績に大きく影響を与える。感応度としては国産ナフサの価格が 1ドル上がると 7、8億円の

損失を被ることになる(Exhibit:9参照)。

新しい技術の到来:同社の製品が採用されているモノが、技術革新によって全く別のモノ

に取って代わられる可能性は無いとは言えない。

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Exhibit1:貸借対照表

資産の部 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021

現金及び預金 76032 79537 83376 87505 91912 96399 101216 106136 111117 116128

余剰資金 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

受取手形及び売掛金(純額) 79692 83366 87389 91717 96337 101040 106088 111246 116466 121718

在庫 67640 70758 74173 77846 81767 85759 90044 94421 98852 103310

繰延税金資産 6046 6046 6046 6046 6046 6046 6046 6046 6046 6046

その他流動資産 64636 67616 70879 74390 78137 81951 86046 90229 94463 98723

流動資産合計 325758 348485 371212 393940 416667 439394 462122 484849 507576 530303

有形固定資産合計 152024 159032 166707 174963 183776 192748 202378 212217 222176 232195

のれん 12725 12725 12725 12725 12725 12725 12725 12725 12725 12725

その他無形固定資産 4406 4609 4831 5071 5326 5586 5865 6150 6439 6729

無形固定資産合計 17131 17334 17556 17796 18051 18311 18590 18875 19164 19454

投資その他の資産 64743 67728 70997 74513 78266 82087 86188 90378 94619 98886

(投資有価証券) 40241 42096 44128 46313 48646 51021 53570 56174 58811 61463

(長期貸付金) 1345 1407 1475 1548 1626 1706 1791 1878 1966 2055

固定資産合計 233898 244094 255260 267272 280093 293146 307157 321471 335959 350535

資産合計 588652 628833 669014 709195 749376 789557 829738 869919 910100 950281

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負債の部 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021

支払手形及び買掛金 32027 33503 35120 36860 38716 40606 42635 44708 46806 48917

短期借入金 9424 9424 9424 9424 9424 9424 9424 9424 9424 9424

新規借入 35893 48833 58824 66321 71380 74097 74777 73402 69955 64414

1年以内返済予定長期借入金 3314 3314 3314 3314 3314 3314 3314 3314 3314 3314

未払法人税等 10369 10369 10369 10369 10369 10369 10369 10369 10369 10369

その他流動負債 30362 30362 30362 30362 30362 30362 30362 30362 30362 30362

流動負債合計 126789 142339 154941 165049 172720 178048 181339 182576 181739 178810

社債 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

転換社債型新株予約権付社債 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

長期借入金 41613 39353 38078 37315 36990 36990 36990 36990 36990 36990

退職給付引当金 13734 13734 13734 13734 13734 13734 13734 13734 13734 13734

役員退職慰労引当金 175 175 175 175 175 175 175 175 175 175

繰延税金負債 4918 4918 4918 4918 4918 4918 4918 4918 4918 4918

資産除去債務 736 770 807 847 890 933 980 1028 1076 1124

その他固定負債 12267 12267 12267 12267 12267 12267 12267 12267 12267 12267

固定負債合計 73444 71218 69980 69257 68975 69018 69065 69113 69161 69209

負債合計 200329 213678 225063 234466 241870 247256 250605 251900 251121 248250

純資産の部 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021

資本金 88955 88955 88955 88955 88955 88955 88955 88955 88955 88955

資本剰余金 87219 87219 87219 87219 87219 87219 87219 87219 87219 87219

利益剰余金 252385 279056 307679 338272 370852 405438 442049 480701 521414 564207

自己株式 -40856 -40856 -40856 -40856 -40856 -40856 -40856 -40856 -40856 -40856

その他株主資本 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

株主資本合計 387703 414374 442997 473590 506170 540757 577367 616019 656733 699526

その他包括利益累計額 (2701) (2701) (2701) (2701) (2701) (2701) (2701) (2701) (2701) (2701)

少数株主持分 3316 3481 3654 3839 4036 4245 4466 4700 4946 5205

純資産合計 388322 415154 443950 474728 507505 542301 579132 618018 658978 702030

負債純資産合計 588651 628832 669013 709194 749375 789556 829737 869918 910099 950280

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Exhibit2:損益計算書

PL 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021

売上高 380160 397685 416878 437524 459562 481997 506080 530682 555586 580640

売上原価 260409 272414 285561 299704 314800 330168 346664 363517 380576 397738

売上総利益 119750 125271 131316 137820 144762 151829 159415 167165 175009 182902

減価償却費 28333 29657 31024 32521 34132 35851 37602 39480 41400 43342

その他販売費及び一般管理費 36828 38526 40385 42385 44520 46693 49026 51410 53822 56249

販売費及び一般管理費 65161 68183 71409 74907 78652 82545 86628 90890 95222 99592

営業利益 54589 57088 59907 62913 66110 69284 72787 76275 79788 83310

受取利息 2408 503 503 503 503 503 503 503 503 503

受取利息配当金 1516 1516 1516 1516 1516 1516 1516 1516 1516 1516

その他営業外収益 1067 1067 1067 1067 1067 1067 1067 1067 1067 1067

営業外収益 2583 2583 2583 2583 2583 2583 2583 2583 2583 2583

支払利息(社債利息含む) 922 1492 1668 1812 1924 2002 2047 2058 2035 1978

その他営業外費用 5182 5182 5182 5182 5182 5182 5182 5182 5182 5182

営業外費用合計 6104 6674 6851 6995 7106 7184 7229 7241 7218 7161

経常利益 51068 52261 55607 58986 62397 65841 69319 72830 76375 79955

特別利益 225 225 225 225 225 225 225 225 225 225

特別損失 6744 6744 6744 6744 6744 6744 6744 6744 6744 6744

税金等調整前当期純利益 44549 45742 49088 52467 55878 59322 62800 66311 69856 73436

法人税等合計 18132 18617 19979 21354 22742 24144 25560 26989 28432 29888

少数株主損益調整前当期純利益 26418 27125 29109 31113 33136 35178 37240 39323 41425 43547

少数株主利益 157 161 173 185 197 209 221 234 246 259

当期純利益 26261 26964 28936 30928 32939 34969 37019 39089 41179 43289

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Exhibit:3キャッシュフロー計算書

CF 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021

当期純利益 26261 26964 28936 30928 32939 34969 37019 39089 41179 43289

減価償却 28333 29657 31024 32521 34132 35851 37602 39480 41400 43342

受取手形及び売掛金(純額) (3557) (3674) (4023) (4328) (4620) (4703) (5048) (5157) (5220) (5252)

在庫 (6252) (3118) (3415) (3673) (3921) (3992) (4285) (4377) (4431) (4458)

その他流動資産 68168 (2980) (3263) (3510) (3747) (3814) (4095) (4183) (4234) (4260)

支払手形及び買掛金 1719 1476 1617 1739 1857 1890 2029 2073 2098 2111

営業CF 114672 46393 50706 55038 59389 63760 68150 72560 76990 81441

有形固定資産合計 (6786) (7008) (7675) (8256) (8813) (8972) (9631) (9839) (9959) (10019)

のれん 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

その他無形固定資産 (1563) (203) (222) (239) (255) (260) (279) (285) (289) (290)

投資その他の資産 (28815) (2985) (3269) (3516) (3753) (3821) (4101) (4190) (4241) (4267)

資産除去債務 (1486) 34 37 40 43 43 47 48 48 49

減価償却(-) (28333) (29657) (31024) (32521) (34132) (35851) (37602) (39480) (41400) (43342)

投資CF (66983) (39819) (42153) (44493) (46911) (48860) (51566) (53746) (55840) (57870)

FCF 47689 (4548) (2575) (584) 1427 3457 5507 7577 9667 11777

短期借入金 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

1年以内返済予定長期借入金 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

その他流動負債 (2437) 0 0 0 0 0 0 0 0 0

社債 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

転換社債型新株予約権付社債 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

長期借入金 (1422) (2260) (1275) (763) (325) 0 0 0 0 0

退職給付引当金 (907) 0 0 0 0 0 0 0 0 0

役員退職慰労引当金 8 0 0 0 0 0 0 0 0 0

その他固定負債 2962 0 0 0 0 0 0 0 0 0

資本金 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

資本剰余金 72 0 0 0 0 0 0 0 0 0

利益剰余金 -0 -0 0 0 0 0 0 0 -0 0

自己株式 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

その他株主資本 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

その他包括利益累計額 14622 0 0 0 0 0 0 0 0 0

少数株主持分 157 161 173 185 197 209 221 234 246 259

支払配当金 (274) (293) (313) (335) (358) (383) (409) (436) (465) (496)

財務CF 12786 (2392) (1415) (913) (486) (174) (188) (203) (219) (237)

現金同等物の増減 15886 (6940) (3991) (1497) 941 3283 5320 7374 9448 11540

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Exhibit4: 2050年予想 GDPランキング

順位 国名 2050年GDP

1位 中国 70.71兆ドル

2位 アメリカ 38.51兆ドル3位 インド 37.66兆ドル4位 ブラジル 11.36兆ドル5位 メキシコ 9.34兆ドル6位 ロシア 8.58兆ドル7位 インドネシア 7.01兆ドル8位 日本 6.67兆ドル9位 イギリス 5.13兆ドル10位 ドイツ 5.02兆ドル

Source: ゴールドマン・サックス

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Exhibit5: DCF モデル

セグメント 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021

樹脂 155889 163149 171582 180940 191122 200540 210422 220791 231671 243087化学品 80062 86193 92794 99900 107551 115787 124655 133007 140588 147196

繊維 59711 58545 57402 56281 55182 54656 54682 55254 56386 58104

トレーディング 20300 20300 20300 20300 20300 20300 20300 20300 20300 20300

その他 64199 69499 74800 80103 85408 90714 96022 101331 106642 111954

売上合計 380160 397685 416878 437524 459562 481997 506080 530682 555586 580640

EBITA 54589 57088 59907 62913 66110 69284 72787 76275 79788 83310

みなし税 40.70% 40.70% 40.70% 40.70% 40.70% 40.70% 40.70% 40.70% 40.70% 40.70%

NOPLAT 32371 33853 35525 37308 39203 41086 43163 45231 47314 49403

減価償却費 28333 29657 31024 32521 34132 35851 37602 39480 41400 43342

グロスキャッシュフロー 60705 63510 66549 69829 73335 76937 80764 84711 88714 92745

総投資額 43209 41981 44521 47040 49629 51628 54537 56781 58912 60961

営業FCF 17496 21529 22029 22789 23706 25309 26228 27930 29802 31784

割引率 1.05 1.11 1.17 1.23 1.30 1.36 1.44 1.51 1.59 1.68

現在価値 16613 19412 18860 18527 18300 18552 18256 18460 18703 18941

国債金利 1.08%

リスクプレミアム 5.26%

β 0.94rE 6.01%

rD 1.65%

税率 40.70%

税引き後WACC 5.31%割引率 1.05

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Exhibit6: 売上と GDPの相関

y = 0.023x + 2752.2R² = 0.4511

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

0 10000 20000 30000 40000 50000

全社売上高 線形 (全社売上高)

y = 0.0337x + 31.377R² = 0.8515

0

400

800

1200

1600

2000

0 10000 20000 30000 40000 50000

樹脂事業売上高 線形 (樹脂事業売上高)

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Exhibit7: GDP予想

Exhibit8: LEDライト浸透率

0

10000

20000

30000

40000

50000

60000

70000

80000

90000

GDP合計

0%

25%

50%

75%

100%

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

LED浸透率

ノートPC 液晶テレビ

Source: ディスプレイサーチ

Source: IMF

Page 19: 株式会社クラレ ¥ 4 o N&ã - Waseda University...光学用PVAフィルム「弱い」:現在光学用PVA フィルムを生産することができるのは、世 界で同社と日本合成化学工業の2

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Exhibit9: 国産ナフサ価格動向

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国産ナフサ価格

Sources:同社資料