残存率と事故台数からワイブル解析による リコール...

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残存率と事故台数からワイブル解析による リコール終了時期の判断方法の提案 -製品の残存率から得られる製品事故のリスク減少の考察- 2017年7月8日 製品寿命ワーキンググループ ㈱テクノクオリティ 渡部利範 元長岡技術科学大学 巴図孟克 元東芝テック㈱ 菊池敏郎 1

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残存率と事故台数からワイブル解析によるリコール終了時期の判断方法の提案

-製品の残存率から得られる製品事故のリスク減少の考察-

2017年7月8日

製品寿命ワーキンググループ㈱テクノクオリティ 渡部利範元長岡技術科学大学 巴図孟克元東芝テック㈱ 菊池敏郎

1

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製品寿命ワーキンググループの活動

研究会

2015年 2016年

①製品事故率における経年変化のワイブル解析の発表 2月6日

長岡技術科学大学

2011年~2014年 2017年

日本能率協会主催第一次耐用寿命研究会

第二次耐用寿命研究会

2015年10月共同研究開始

8月所沢

11月長岡

1月所沢

長岡技術科学大学

2月24日

製品寿命の研究事故とワイブル解析の研究

バトさん論文【製品事故データベースと消費動向調査を利用した製品事故率の経年変化の把握】の発表

②残存率と事故台数からワイブル解析によるリコール終了時期の判断方法の提案

7月

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目次・ワイブル解析について・まえがき・目的・前提条件・試算例の事故概要・該当製品の試算上の各年の推定台数・手順1 経過年リストの作成・手順2 使用期間別の事故台数と残存台数の計算・手順3 累積型ハザード法による計算・手順4 累積型ハザード法によるワイブルプロット・手順5 各経過年毎の事故率の計算・手順6-1 事故台数の計算・手順6-2 1993年から2016年迄の事故台数(推定)を計算する・手順7 1993年から2016年迄の残存台数(推定)を確認する・手順8 推定した事故台数の推移のグラフ化・推定した計算結果の妥当性確認・考察、まとめ

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ワイブル解析とは1. 1939年スェーデン人 W.Weibull氏は鋼のテストピース389本の

許容応力値を実測した。その分布からワイブル分布と呼ばれる形の式(*)を考え出し、寿命値(故障データ)を当てはめた。

2. ワイブル氏は面倒な計算式を使うかわりに特別な目盛をつけた方眼紙を考え出した。それが、ワイブル確率紙である。縦軸に累積故障率、横軸に時間(t)を設けた。今報告では縦軸に事故率あるいは故障率、横軸に使用期間(年)を設けた。

3. このワイブル確率紙を駆使して形状パラメータm(分布を表すもの)MTBFなどを求めることをワイブル解析と言う。

(他のパラメータ η:特性寿命(全体の63.2%が故障した時間)、γ:位置パラメータ(故障が理論的に発生する最初の時間))

確率密度関数: *

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バスタブ曲線とワイブル確率紙との関係は形状パラメータmが重要

バスタブ曲線

時間

累積故障率(%)

ワイブル確率紙

故障率(%/年)

m=1

m=1

m<1 m>1

m<1

m>1

時間5※ワイブル確率紙の詳細は省略。

初期故障期

偶発故障期(故障率λ一定)

摩耗故障期※ワイブル確率紙から摩耗

故障期に達する時間を把握する。

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ワイブル確率紙には、累積故障率をプロットする方法と累積ハザード値をプロットする方法がある。

途中打切のないデータ(完全データ) 途中打切のあるデータ(不完全データ)

累積故障率をプロット 累積ハザード値をプロット通常は不完全データの方が多い。今回の解析は、累積ハザード法による。

※引用文献:シートNo.6,7のグラフ・表「2009年度信頼性通信講座テキスト1 P2-23,33」日科技連 2009

累積故障率

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累積故障率と累積ハザード値の違いは縦軸の目盛にある

累積ハザード値

累積故障率

約3%迄はほぼ同じ

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まえがき1発表者が従来、NITEの市場事故をワイブル解析する時は、製品の使用年別残存台数が不明な為、出荷台数すべてを母数にして、解析することがあった。この場合、EXCEL解析は摩耗故障になっているが、残存台数を考慮しないと、途中から偶発故障していると勘違いすることや正しい形状パラメータにならない可能性があった。下記に例を示す。(市場台数100万台で、時間経過しても台数が一定の場合。試料(電解コンデンサ)の事故データ数は24個。※)

y = 3.6443ln(x) - 20.705R² = 0.9275

-16.000

-14.000

-12.000

-10.000

-8.000

-6.000

-4.000

-2.000

0.0001 10 100

EXCEL解析による回帰直線

経過年

lnH(t)

経過年13年前後以降の回帰直線

※出典:日本能率協会第二次耐用寿命研究会P80図3-2-4

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まえがき2

そのような時、日本信頼性学会誌2015年7月号P191「製品事故データベースと消費者動向調査を利用した製品事故率の経年変化の把握」(バトモンク氏等 共著)の論文の中で、テレビの使用年別残存率の記載があった。

さらに、研究開発プロジェクト「生活空間の高度リスクマネジメントのエビデンス情報基盤構築」2016年2月5日のワークショップの中で、日本では現在約1800件(※)のリコールが未完結のままになっており、いずれの製品が最もリスクが高いのか、また、リコール終了判断をどう考えるか、という問題提起があった(経済産業省川原課長)。

ここから、今回のテーマの始まりとなった。

※出典:NITE年度別事故情報収集結果(平成9年度~26年度)

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目的現在、家電製品のリコールは100%実施が非常に難しい状況にあり、いつ終了するか不明である。リコール判断の基準・方法については、リスク評価の観点からR-Map手法が執られている。しかし、市場の残存率と事故台数の観点からリコール終了について研究、報告された事例はない。

そこで、実際のリコールの事例を取り上げて、家電製品の経過年毎の残存率と事故データを利用してワイブル解析し、各年毎の残存台数×事故率を計算して各年毎の事故台数を推定する。

その計算から得られた経過年毎の事故台数と実際の経過年毎の事故台数から得られる結果を述べたい。

ここでは、市場の残存率と事故台数を核にリコールの終了判断方法を提案することを目的とする。

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前提条件11.事故データはNiteの事故データベースを利用し、製品はブラウン

管テレビ、事故データは1996年~2016年3月迄の23台を引用した。

2.リコール対象品は、生産期間は1983年から1987年。機種は21機種。社告によると「まれに焼損が発生する」対象としてリコールされた機種・生産年は異なるものの、ほぼ同一のリコール事由が考えられる為、生産期間の全数を一つの母集団とした。

3.対象製品の経過年による残存率は、まえがき記載の論文P197図5を引用した。

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4.日本国内にあるブラウン管テレビを1つの母集団(大きなメーカーが生産した)と考えると、試算対象製品の製造会社は、その一部であると考えることができる。したがって、論文の図5にある残存率を、リコール対象台数987,395台に当てはめ、各年毎の残存台数を計算できる。

5.全体の回収台数は判明しているが、市場で稼働している製品の回収台数が不明な為、市場にある全てが回収されていないと考え、今回の分析対象品も同一の残存率分布に従うと仮定した。

前提条件2

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試算例の事故概要1

1.メーカー名:松下電器産業㈱(現 パナソニック㈱)

2.対象製品:ブラウン管型テレビ

3.当該製品のリコールについて(1)不良現象

長期間使用中に、製品の一部部品の経年劣化やほこり、すす、油煙などの堆積により、まれに発火に至る可能性がある。

(2)社告1998年4月15日新聞社告。対象台数 987,395台。

(3)回収率2016年3月31日現在8.1%。

※2016年4月8日付「消費者庁消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について」より、抜粋。

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14※2016年4月8日付「消費者庁消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について」より、抜粋。

試算例の事故概要2

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生産開始年 機種名 対象台数 試算上の推定台数1983年 TH14-N9(N)

TH19-L55GRTH21-H55GR

1984年 TH15-M3RTH15-M4VRTH19-L1VR

1985年 TH11-S29TH14-N39RTH15-M15VRTH15-M5GTH15-M8VRTH15-M9VRTH19-L6VRTH19-L7VRTH19-L10VRTH21-H7VR

1986年 TH19-L9VRTH19-L25AVTH21-H25AVTH-29A1

1987年 TH-26A1 50,000

987,395台

100,000

100,000

587,395

150,000

該当製品の機種名と試算上の各年の推定台数

※2016年4月8日付「消費者庁消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について」より、抜粋・加筆。

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No. 型式機種 事故発生日 製品の使用期間

1 TH19-L9VR 2006/12/26 約20年10月

2 TH19-L55GR 2006/11/20 約22年

3 TH15-M9VR 2006/06/16 約19年6月

4 TH19-L6VR 2005/12/16 約19年

5 TH19-L55GR 2005/11/03 約22年

6 TH14-N39R 2005/07/21 約20年

7 TH19-L55GR 2005/04/13 約21年

8 TH19-L9VR 2005/04/05 約19年

9 TH19-L9VR 2005/01/21 約17年

10 TH19-L9VR 2005/01/06 約17年

11 TH19-L55GR 2004/08/08 約21年

12 TH19-L9VR 2004/03/22 約18年1月

13 TH19-L7VR 2002/07/26 約16年

14 TH19-L6VR 2002/02/05 約16年

15 TH-29A1 2001/01/16 約15年

16 TH14-N39R 2000/09/22 約15年

17 TH19-L6VR 2000/01/28 約15年

18 TH19-L55GR 1999/10/10 約16年

19 TH19-L6VR 1999/01/31 約13年

20 TH19-L6VR 1998/05/01 約11年

21 TH15-M4VR 1998/01/08 約10年

22 TH19-L6VR 1997/02/03 約10年

23 TH19-L6VR 1996/09/30 約10年3月

手順1 経過年リストの作成ワイブル解析する場合、前ページの事故一覧表から、機種・事故発生日・製品の使用期間を抜き出す。(No.は事故一覧表と同じ)

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手順2 使用期間別の事故台数と残存台数の計算使用期間別の事故台数はNITE事故データの使用期間から算出。残存台数はまえがきの論文P197図5テレビの残存率曲線を引用して、計算した。スタート時は987,395台。

は、事故発生個所。

スタート時 987,395台使用期間(年) 事故台数 残存率 残存台数

1 0 0.92 908,4032 0 0.88 868,908

3 0 0.84 829,4124 0 0.81 799,790

5 0 0.75 740,5466 0 0.70 691,1777 0 0.64 631,933

8 0 0.56 552,9419 0 0.45 444,328

10 3 0.35 345,58811 1 0.28 276,471

12 0 0.21 207,35313 1 0.18 177,731

14 0 0.14 138,23515 3 0.12 118,487

16 3 0.09 88,86617 2 0.07 69,11818 1 0.06 59,244

19 3 0.05 49,37020 2 0.04 39,496

21 2 0.03 29,62222 2 0.015 14,811

23 0 0.010 9,87424 0 0.009 8,887

25 0 0.008 7,89926 0 0.007 6,912

27 0 0.006 5,92428 0 0.005 4,93729 0 0.004 3,950

30 0 0.003 2,96231 0 0.002 1,975

32 0 0.001 98733 0 0.0005 494

計 23

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手順3 累積型ハザード法による計算

順位 観測値 事故台数 稼働数 ハザード値 累積ハザード値 累積事故率 t lnH(t)年 =C4/D4=IF(C4="",F3,F3+E4)=1-EXP(-F4) =B4 =LN(F4)

1 10 3 345,588 0.00000868 0.00000868 0.00000868 10 -11.6542 11 1 276,471 0.00000362 0.00001230 0.00001230 11 -11.3063 13 1 177,731 0.00000563 0.00001792 0.00001792 13 -10.9294 15 3 118,487 0.00002532 0.00004324 0.00004324 15 -10.0495 16 3 88,866 0.00003376 0.00007700 0.00007700 16 -9.4726 17 2 69,118 0.00002894 0.00010594 0.00010593 17 -9.1537 18 1 59,244 0.00001688 0.00012282 0.00012281 18 -9.0058 19 3 49,370 0.00006077 0.00018358 0.00018357 19 -8.6039 20 2 39,496 0.00005064 0.00023422 0.00023419 20 -8.35910 21 2 29,622 0.00006752 0.00030174 0.00030169 21 -8.10611 22 2 14,811 0.00013503 0.00043677 0.00043668 22 -7.736

1~9年目は事故が発生していないので、事故発生した10年目から事故率を計算した。

この部分をハザード法により、ワイブルプロットする。

A B C D E F G H I1234・・

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手順4 累積型ハザード法によるワイブルプロット

・形状パラメータm(傾き)=5.0688

・Y軸と回帰直線の交点(切片)=-23.564⇒累積事故率を計算

する係数

y = 5.0688ln(x) - 23.564R² = 0.9839

-25.000

-20.000

-15.000

-10.000

-5.000

0.0001 10 100lnH(t)

X軸Y軸

経過年(年)

lnt1 2 3

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手順5 各経過年毎の事故率の計算  経過年                    時間累積事故率

5 2.03809E-076 5.13544E-07 3.0973E-077 1.12181E-06 6.0826E-078 2.20733E-06 1.0855E-069 4.01004E-06 1.8027E-06

10 6.84043E-06 2.8304E-0611 1.1089E-05 4.2486E-0612 1.72359E-05 6.1469E-0613 2.58604E-05 8.6245E-0614 3.76505E-05 1.179E-0515 5.34127E-05 1.5762E-0516 7.40819E-05 2.0669E-0517 0.000100731 2.6649E-0518 0.00013458 3.3849E-0519 0.000177008 4.2428E-0520 0.00022956 5.2552E-0521 0.000293959 6.4399E-0522 0.000372114 7.8155E-0523 0.000466133 9.4019E-0524 0.000578328 0.0001121925 0.000711228 0.000132926 0.000867587 0.0001563627 0.001050397 0.0001828128 0.001262889 0.0002124929 0.001508551 0.0002456630 0.001791133 0.0002825831 0.002114654 0.0003235232 0.002483415 0.0003687633 0.002902 0.00041859

当該年の事故率

日科技連2009年度信頼性通信教育テキスト1P2-64 表付2.1.1 Excelによるパラメータの推定のF(t)の式を利用して、累積事故率を計算した。Excelの式F(t)=1-1/(EXP(EXP(m*LN(t)-B2)))

B2は切片(=23.564)。

各経過年毎の事故率=(当該年+1年)の累積事故率-当該年の累積事故率⇒この式で計算。

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手順6ー1 事故台数の計算生産開始年 機種名 対象台数

試算上の

推定台数項目 年 1993

1983年 TH14-N9(N)

987,395台

100,000

経過年 10

TH19-L55GR 残存率 0.35

TH21-H55GR 残存台数 35,000

当該年の事故率 2.8E-06

事故台数(台/年) 0.09906

1984年 TH15-M3R

100,000

経過年 9

TH15-M4VR 残存率 0.45

TH19-L1VR 残存台数 45,000

当該年の事故率 1.8E-06

事故台数(台/年) 0.08112

1985年 TH11-S29

587,395

経過年 8

TH14-N39R 残存率 0.56

TH15-M15VR 残存台数 328,941

TH15-M5G 当該年の事故率 1.1E-06

TH15-M8VR 事故台数(台/年) 0.35707

TH15-M9VR

TH19-L6VR

TH19-L7VR

TH19-L10VR

TH21-H7VR

1986年 TH19-L9VR

150,000

経過年 7

TH19-L25AV 残存率 0.64

TH21-H25AV 残存台数 96,000

TH-29A1 当該年の事故率 6.1E-07

事故台数(台/年) 0.05839

1987年 TH-26A1

50,000

経過年 6

残存率 0.70

残存台数 35,000

当該年の事故率 3.1E-07

事故台数(台/年) 0.01084

987,395事故台数の合計(台/

年)0.60649

※1983年から1987年の5年間の各年は、リコール内容が同じである為、同じ母集団である。したがって、手順4のワイブル解析の値が、そのまま使用できる。

各生産開始年毎に、残存台数・当該年の事故率・事故台数を計算し、1993年から2016年迄の間、各生産年の5年分の値を加算し、表を作成する。

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22

手順6ー2 1993年から2016年迄の事故台数(推定)を計算する。

生産開始年 機種名 対象台数試算上の推定台数

項目年

1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016

1983年 TH14-N9(N)

987,395台

100,000

経過年 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33

TH19-L55GR 残存率 0.35 0.28 0.21 0.18 0.14 0.12 0.09 0.07 0.06 0.05 0.04 0.03 0.015 0.010 0.009 0.008 0.007 0.006 0.005 0.004 0.003 0.002 0.001 0.0005

TH21-H55GR 残存台数 35,000 28,000 21,000 18,000 14,000 12,000 9,000 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 1,500 1,000 900 800 700 600 500 400 300 200 100 50

当該年の事故率 2.8E-06 4.2E-06 6.1E-06 8.6E-06 1.2E-05 1.6E-05 2.1E-05 2.7E-05 3.4E-05 4.2E-05 5.3E-05 6.4E-05 7.8E-05 9.4E-05 0.00011 0.00013 0.00016 0.00018 0.00021 0.00025 0.00028 0.00032 0.00037 0.00042

事故台数(台/年) 0.09906 0.11896 0.12909 0.15524 0.16506 0.18915 0.18602 0.18654 0.2031 0.21214 0.21021 0.1932 0.11723 0.09402 0.10098 0.10632 0.10945 0.10969 0.10625 0.09826 0.08477 0.0647 0.03688 0.02093

1984年 TH15-M3R

100,000

経過年 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32

TH15-M4VR 残存率 0.45 0.35 0.28 0.21 0.18 0.14 0.12 0.09 0.07 0.06 0.05 0.04 0.03 0.015 0.01 0.009 0.008 0.007 0.006 0.005 0.004 0.003 0.002 0.001

TH19-L1VR 残存台数 45,000 35,000 28,000 21,000 18,000 14,000 12,000 9,000 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 1,500 1,000 900 800 700 600 500 400 300 200 100

当該年の事故率 1.8E-06 2.8E-06 4.2E-06 6.1E-06 8.6E-06 1.2E-05 1.6E-05 2.1E-05 2.7E-05 3.4E-05 4.2E-05 5.3E-05 6.4E-05 7.8E-05 9.4E-05 0.00011 0.00013 0.00016 0.00018 0.00021 0.00025 0.00028 0.00032 0.00037

事故台数(台/年) 0.08112 0.09906 0.11896 0.12909 0.15524 0.16506 0.18915 0.18602 0.18654 0.2031 0.21214 0.21021 0.1932 0.11723 0.09402 0.10098 0.10632 0.10945 0.10969 0.10625 0.09826 0.08477 0.0647 0.03688

1985年 TH11-S29

587,395

経過年 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31

TH14-N39R 残存率 0.56 0.45 0.35 0.28 0.21 0.18 0.14 0.12 0.09 0.07 0.06 0.05 0.04 0.03 0.015 0.01 0.009 0.008 0.007 0.006 0.005 0.004 0.003 0.002

TH15-M15VR 残存台数 328,941 264,328 205,588 164,471 123,353 105,731 82,235 70,487 52,866 41,118 35,244 29,370 23,496 17,622 8,811 5,874 5,287 4,699 4,112 3,524 2,937 2,350 1,762 1,175

TH15-M5G 当該年の事故率 1.1E-06 1.8E-06 2.8E-06 4.2E-06 6.1E-06 8.6E-06 1.2E-05 1.6E-05 2.1E-05 2.7E-05 3.4E-05 4.2E-05 5.3E-05 6.4E-05 7.8E-05 9.4E-05 0.00011 0.00013 0.00016 0.00018 0.00021 0.00025 0.00028 0.00032

TH15-M8VR 事故台数(台/年) 0.35707 0.47651 0.5819 0.69877 0.75824 0.91187 0.96956 1.11104 1.09269 1.09574 1.19297 1.24609 1.23475 1.13483 0.68862 0.55226 0.59312 0.62452 0.64291 0.64429 0.62408 0.5772 0.49796 0.38007

TH15-M9VR

TH19-L6VR

TH19-L7VR

TH19-L10VR

TH21-H7VR

1986年 TH19-L9VR

150,000

経過年 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30

TH19-L25AV 残存率 0.64 0.56 0.45 0.35 0.28 0.21 0.18 0.14 0.12 0.09 0.07 0.06 0.05 0.04 0.03 0.015 0.010 0.009 0.008 0.007 0.006 0.005 0.004 0.003

TH21-H25AV 残存台数 96,000 84,000 67,500 52,500 42,000 31,500 27,000 21,000 18,000 13,500 10,500 9,000 7,500 6,000 4,500 2,250 1,500 1,350 1,200 1,050 900 750 600 450

TH-29A1 当該年の事故率 6.1E-07 1.1E-06 1.8E-06 2.8E-06 4.2E-06 6.1E-06 8.6E-06 1.2E-05 1.6E-05 2.1E-05 2.7E-05 3.4E-05 4.2E-05 5.3E-05 6.4E-05 7.8E-05 9.4E-05 0.00011 0.00013 0.00016 0.00018 0.00021 0.00025 0.00028

事故台数(台/年) 0.05839 0.09118 0.12168 0.1486 0.17844 0.19363 0.23286 0.24759 0.28372 0.27903 0.27981 0.30464 0.31821 0.31531 0.28979 0.17585 0.14103 0.15146 0.15948 0.16418 0.16453 0.15937 0.1474 0.12716

1987年 TH-26A1

50,000

経過年 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29

残存率 0.70 0.64 0.56 0.45 0.35 0.28 0.21 0.18 0.14 0.12 0.09 0.07 0.06 0.05 0.04 0.03 0.015 0.010 0.009 0.008 0.007 0.006 0.005 0.004

残存台数 35,000 32,000 28,000 22,500 17,500 14,000 10,500 9,000 7,000 6,000 4,500 3,500 3,000 2,500 2,000 1,500 750 500 450 400 350 300 250 200

当該年の事故率 3.1E-07 6.1E-07 1.1E-06 1.8E-06 2.8E-06 4.2E-06 6.1E-06 8.6E-06 1.2E-05 1.6E-05 2.1E-05 2.7E-05 3.4E-05 4.2E-05 5.3E-05 6.4E-05 7.8E-05 9.4E-05 0.00011 0.00013 0.00016 0.00018 0.00021 0.00025

事故台数(台/年) 0.01084 0.01946 0.03039 0.04056 0.04953 0.05948 0.06454 0.07762 0.08253 0.09457 0.09301 0.09327 0.10155 0.10607 0.1051 0.0966 0.05862 0.04701 0.05049 0.05316 0.05473 0.05484 0.05312 0.04913

987,395事故台数の合計(台/年)

0.60649 0.80518 0.98202 1.17225 1.30651 1.51919 1.64213 1.80882 1.84858 1.88458 1.98815 2.04741 1.96493 1.76746 1.27851 1.032 1.00854 1.04213 1.06881 1.06614 1.02638 0.94089 0.80006 0.61417

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23

手順7 1993年から2016年迄の残存台数(推定)を確認する

0

100,000

200,000

300,000

400,000

500,000

600,000

1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016

残存台数(

台/年)

各年の残存台数の合計

西暦(年)

社告時(1998年)の推定残存台数=約17.7万台

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手順8 推定した事故台数の推移のグラフ化横軸を西暦年(1993年~2016年)、縦軸を事故台数(台/年)にして、事故台数(推定)の推移を折れ線グラフに表す。

社告年(1998年)

0

0.5

1

1.5

2

2.5

1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016

事故台数(

台/

年)

事故台数の年毎の推移

西暦(年)

※試算の結果、事故台数の最高は2004年で約2台/年、2008年以降は、約1台/年で推移している。2008年の推定残存台数は約1.1万台。また、1993年から2016年までの推定累積事故台数は31台。

2008年

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25

推定した計算結果の妥当性確認推定した事故台数は、2008年以降、約1台で一定化している。実際の事故台数は、手順1経過年リストより、2005年の7台をピークに2007年以降ゼロであり、推定台数と実際の事故台数の減少経緯は、ほぼ同じである。

ワイブル解析による1993年~2016年迄の推定累積事故台数は31台。実際は23台で、推定累積事故台数の74%であった。実際に事故が発生した2006年までの推定累積事故台数は21台で、ほぼ同じである。

西暦(年)

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0

6.0

7.0

8.0

事故台数(

台/年)

試算結果と実際の事故台数の比較

試算による事故台数

実際の事故台数

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補足資料)2005年初期、2006初期との比較

m=5.1、n=23

m=3.6、n=13m=4.8、n=20

形状パラメータ

サンプル数

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0

6.0

7.0

8.0

1993

1994

1995

1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

2011

2012

2013

2014

2015

2016

事故台数(

台/年)

2005年初期・2006年初期・2007初期と

実際との比較

2005年初期に試算

2006年初期に試算

2007年初期に試算

実際の事故台数

西暦(年)

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27

考察・まとめ1.試算した結果、重要なリコール終了判断の材料を得ることができ

た。

2.日本国内にあるブラウン管テレビを1つの母集団と考え、まえがきに記載した論文にある残存率を核に、リコール対象台数987,395台に当てはめて計算した今回の手順をリコール終了判断方法の一つとして提案したい。

3.今後、当該判断手法の妥当性をさらに検証する場合、(1)推定事故台数1台/年のリスクとリコール終了判断の関係を検証

する。この場合、リコールに関するコストの言及が欠かせない。

(2)TV以外の電気製品の検証を実施し、事故台数と本提案の妥当性の検討を行う。特に市場の事故台数との関連の研究である。

(3)回収された台数を考慮した解析が必要である。 以上

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御静聴ありがとうございました。

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