免疫ブi=1ツトによる類天庖盾抗体の表皮抽出液抗原および リコ...

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日皮会誌:101 (11), 1243―1251, 1991 (平3) 免疫ブi=1ツトによる類天庖盾抗体の表皮抽出液抗原および リコソビナソト基底膜抗原蛋白との反応性ならびに 臨床データとの関連 類天庖厨患者100人の血清のヒト表皮抽出液抗原お よび表皮基底膜部リコソビナソト蛋白抗原との反応性 を免疫ブロット法を用いて検討し,臨床データとの関 連性を統計的に検討した.表皮抽出抗原を用いた免疫 ブロット法で, 72%の血清が230kDの蛋白を認識し, 43%の血清が170kDの蛋白を認識した.また,2つの リコソビナント蛋白,すなわち, 230kDの類天庖厨抗 原の約半分をコードするマウスcDNAクローン BPMl全長を翻訳した120kDの蛋白およびそのC末 端側半分を翻訳した60kDの蛋白との反応性をウェス タソブロット法にて観察したところ, 230kDの蛋白を 認識する血清のうち, 84%が120kDのリコソビナント 蛋白と, 47%が60kDの蛋白とそれぞれ反応した.これ らの結果から, 230kDと170kDの蛋白が主要な類天庖 盾抗原であり, 230kD類天庖厨抗原はそのC末端側に 少なくとも2つの抗原決定基を有すること,さらにN 末端側にもいくっかの抗原決定基を有することが示唆 された.また, 230kDの蛋白は抗原決定基に関する限 り, 170kDの蛋白とは異なるものと考えられる.次に, 臨床的データを免疫ブロットの結果と合わせ,統計的 に解析したところ,白血球数,好酸球比率, IgE値がそ れぞれ重症度と相関した(p<0.05).χ2検定により, 粘膜疹と顔面病変が170kD類天庖厨抗原と,粘膜疹と 230kD抗体陰性が相関した. はじめに 水庖性類天庖塘(BP)は,臨床的には緊満性の水庖 の形成を,免疫学的には重層扁平上皮の抗基底膜部 (BMZ)抗体の存在を特徴とする自己免疫疾患であ 慶応義塾大学医学部皮膚科学教室(主任 西JII武二教 授) 平成3年4月12日受付,平成3年5月31日掲載決定 別刷請求先:(〒160)東京都新宿区信濃町35 慶応義 塾大学医学部皮膚科学教室 田中 る1)~3)実際に病因に直接関係する特異基底膜部抗原 は明らかにされていないが,この抗BMZ抗体の水庖 形成における役割はさまざまに論じられている. Stanleyらは初めて,BP抗原が分子量約230kDで 培養ヒトあるいはマウス表皮細胞の抽出液より, BP 患者血清によって免疫沈降することを記載した4)゛-6) 同様の免疫沈降法による結果はその後いくつか報告さ れている7)8)最近Stanleyらは,BP血清を用いてヒト BP抗原蛋白のcDNAを単離することに成功した9). そのcDNAを用いて合成したペプチド10)さらにそれ を用いて家兎を免疫することによって得られたポリク ローナル抗体”)を利用した一連の報告により,その cDNAがBP抗原あるいは患者血清中の抗BMZ抗体 の研究に非常に有用であることがわかった. 一方,間接蛍光抗体法(IIF)を用いた初期の報告12)13) はBP抗原の多様性を示唆しており,最近もBP抗原 の分子多様性を示唆する報告がある14)~18)免疫プロッ トを用いた多数の報告がなされているが,それらによ ると2種類の抗原蛋白,すなわち230kD (あるいは240 kD)と170kD (あるいは180kD)の蛋白がBP患者血 清によって表皮抽出液より検出される14)~23)これらの 抗原蛋白を両方認識する血清もあれば,どちらか一方 しか検出しない血清もある.これらの抗原蛋白の関係 は現在までのところ明らかではない. 今回これら2つのBP抗原蛋白の関係を,表皮抽出 液および2つのリゴソビナソト蛋白と多数のBP血清 との免疫ブロットによる反応性を比較検討することに より,2つの抗原蛋白が異なるものであることが示唆 され,抗原決定基の多様性を示した.さらに臨床デー タを含めた統計学的検討を行うことにより,興味深い 知見が得られたので報告した. 材料と方法 1)血清 慶応義塾大学病院皮膚科経験例及び全国の多施設よ り御供与頂いたBP患者血清の中から,臨床的,組織学

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日皮会誌:101 (11), 1243―1251, 1991 (平3)

免疫ブi=1ツトによる類天庖盾抗体の表皮抽出液抗原および

  リコソビナソト基底膜抗原蛋白との反応性ならびに

         臨床データとの関連

          田  中   勝

          要  旨

 類天庖厨患者100人の血清のヒト表皮抽出液抗原お

よび表皮基底膜部リコソビナソト蛋白抗原との反応性

を免疫ブロット法を用いて検討し,臨床データとの関

連性を統計的に検討した.表皮抽出抗原を用いた免疫

ブロット法で, 72%の血清が230kDの蛋白を認識し,

43%の血清が170kDの蛋白を認識した.また,2つの

リコソビナント蛋白,すなわち, 230kDの類天庖厨抗

原の約半分をコードするマウスcDNAクローン

BPMl全長を翻訳した120kDの蛋白およびそのC末

端側半分を翻訳した60kDの蛋白との反応性をウェス

タソブロット法にて観察したところ, 230kDの蛋白を

認識する血清のうち, 84%が120kDのリコソビナント

蛋白と, 47%が60kDの蛋白とそれぞれ反応した.これ

らの結果から, 230kDと170kDの蛋白が主要な類天庖

盾抗原であり, 230kD類天庖厨抗原はそのC末端側に

少なくとも2つの抗原決定基を有すること,さらにN

末端側にもいくっかの抗原決定基を有することが示唆

された.また, 230kDの蛋白は抗原決定基に関する限

り, 170kDの蛋白とは異なるものと考えられる.次に,

臨床的データを免疫ブロットの結果と合わせ,統計的

に解析したところ,白血球数,好酸球比率, IgE値がそ

れぞれ重症度と相関した(p<0.05).χ2検定により,

粘膜疹と顔面病変が170kD類天庖厨抗原と,粘膜疹と

230kD抗体陰性が相関した.

          はじめに

 水庖性類天庖塘(BP)は,臨床的には緊満性の水庖

の形成を,免疫学的には重層扁平上皮の抗基底膜部

(BMZ)抗体の存在を特徴とする自己免疫疾患であ

慶応義塾大学医学部皮膚科学教室(主任 西JII武二教

 授)

平成3年4月12日受付,平成3年5月31日掲載決定

別刷請求先:(〒160)東京都新宿区信濃町35 慶応義

 塾大学医学部皮膚科学教室 田中 勝

る1)~3)実際に病因に直接関係する特異基底膜部抗原

は明らかにされていないが,この抗BMZ抗体の水庖

形成における役割はさまざまに論じられている.

 Stanleyらは初めて,BP抗原が分子量約230kDで

培養ヒトあるいはマウス表皮細胞の抽出液より, BP

患者血清によって免疫沈降することを記載した4)゛-6)

同様の免疫沈降法による結果はその後いくつか報告さ

れている7)8)最近Stanleyらは,BP血清を用いてヒト

BP抗原蛋白のcDNAを単離することに成功した9).

そのcDNAを用いて合成したペプチド10)さらにそれ

を用いて家兎を免疫することによって得られたポリク

ローナル抗体”)を利用した一連の報告により,その

cDNAがBP抗原あるいは患者血清中の抗BMZ抗体

の研究に非常に有用であることがわかった.

 一方,間接蛍光抗体法(IIF)を用いた初期の報告12)13)

はBP抗原の多様性を示唆しており,最近もBP抗原

の分子多様性を示唆する報告がある14)~18)免疫プロッ

トを用いた多数の報告がなされているが,それらによ

ると2種類の抗原蛋白,すなわち230kD (あるいは240

kD)と170kD (あるいは180kD)の蛋白がBP患者血

清によって表皮抽出液より検出される14)~23)これらの

抗原蛋白を両方認識する血清もあれば,どちらか一方

しか検出しない血清もある.これらの抗原蛋白の関係

は現在までのところ明らかではない.

 今回これら2つのBP抗原蛋白の関係を,表皮抽出

液および2つのリゴソビナソト蛋白と多数のBP血清

との免疫ブロットによる反応性を比較検討することに

より,2つの抗原蛋白が異なるものであることが示唆

され,抗原決定基の多様性を示した.さらに臨床デー

タを含めた統計学的検討を行うことにより,興味深い

知見が得られたので報告した.

          材料と方法

 1)血清

 慶応義塾大学病院皮膚科経験例及び全国の多施設よ

り御供与頂いたBP患者血清の中から,臨床的,組織学

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1244 田中  勝

230 kD BP抗原 HzN        230 kD         COOH

cDNA BPMI

EcoRI M>*-和昌お4こぶ7-

  :    l     l

リコンビナント蛋白P0P-BP1 H2N   ; 120 kD!      COOH

    一一    17アミノ駿   !997アミノ酸 l     :     i

リコンビナント蛋白XE HN七COOH11芯ぷ兄ぶ

図1 リコソピナソト蛋白の概要:230kD類天庖癒抗原蛋白とcDNA BPMl,リコ

 ソビナント蛋白POP-BPl(120kD)およびXE(60kD)の相互関係を示す. POP-BPl

 は230kD BP抗原蛋白のC末端側半分に,XEはPOP-BP1のC末端側半分にそれ

 ぞれ相当する.これらのリコソビナソト蛋白には,各々17アミノ酸とnアミノ酸か

 らなるプラスミドベクター由来の小さなポリペプチドが含まれる.

的および免疫病理学的に典型例のBPlOO症例を用い

た.これらの血清はヒト表皮を基質としたIIFにて40

倍以上の抗BMZ抗体価を有している.また20例の天

庖膚血清,21例の健常人血清をコントロールとして用

いた.すべての血清は-20℃で保存した.

 2)抗BMZヒト単クローン抗体(MAb)

 抗BMZヒトMAb, MAb-5Eを用いた.この抗体

は,BP患者のBリンパ球を用いたEBウイルス形質

転換法により作製され, 230kD BP抗原のみと特異的

に反応する19).MAb・5Eは無血清培地より回収し,硫

酸アンモニウム塩沈により部分精製して,ウェスタン

ブロット法によりリコソビナソト蛋白の抗原性を確認

するのに用いた.

 3)ヒト表皮抽出液

 ヒト表皮抽出液は,Sugi19)らの方法に準じて,ヒト

包皮より得た.すなわち,包茎手術で得られた皮膚を

細切し, 2mM ethylenediaminetetraacetic acid

(EDTA,ナカライテスク,京都)および2mM phenyl・

methylsulfonyl fluoride (PMSF, Sigma, USA)を

含むリソ酸緩衝生理食塩水中に4℃で2日間イソキュ

ベートしたのち,摂子で表皮を剥離した.集めた表皮

を氷水中で, 1%SDS, O.OIM Tris-HCl, pH 6.8に

2mM EDTA, 2mM PMSF, 4種類の蛋白分解酵素阻

害剤各5mg// (leupeptin, antipain, chymostatinと

pepstatin A, Sigma, USA)および5% β-

mercaptoethanol (関東化学)を加えたものと共にホモ

ジェナイズした.それを5分間煮沸し, lO.OOOXgで30

分間遠心して,上清を分注,-70℃で凍結保存した.

 4)リコンビナント抗原蛋白

 2つの大きさの異なる少コンビナソト蛋白をマウス

CDNAクローソBPMlから作成した.このクローンは

230kD BP抗原のC末側の約半分をコードしてい

る24)まず, BPMlの全長をプラスミドベクターpUC9

にサブクローニソダし,E. coliPop2136にトランス

フェクトした. isopropyl-,β-D-thiogalactopyranoside

で誘導した後,菌溶解物を50mM Tris-HCl, pH 8.0,

lmM EDTA を含む25%ショ糖緩衝液,同条件での超

音波破砕さらに9M urea を用いて精製し,最終抽出物

をPOP-BP1とした.次に,BPMlのXhal-EcoRI断片

をイソサートとして,プラスミドベクターp AT 153に

サブクローニングした,E. coliHBlOlをこのプラスミ

ドでトラソスフォームし,β-indoleacetic acid でリコ

ソビナソト蛋白を誘導した.この蛋白は異なる濃度の

(0.5~9M)尿素緩衝液で連続して抽出することにより

精製し,XEと名付けた.これらのリコソビナソト蛋白

の分子量をMAb-5Eを使って免疫ブロットで確認し

たところ, POP-BPlが120kDであり,XEが60kDで

あった.これらのリコソビナソト蛋白と230kD BP抗

原との関係を図1に示した.リコソビナソト蛋白

POP-BP1とXEのうち,cDNA BPMlに由来する部分

は,各々997アミノ酸, 507アミノ酸である.

 5)免疫ブロット法

 免疫ブロットは常法に従って行った19)蛋白試料は

sodium dodecylsulfate-polyacrylamide gel electro-

phoresis (SDS-PAGE)で分離し25)電気泳動により

ニトロセルロース膜(Schleicher and Schnell, ドイツ)

に転写した26).BP抗原の検出は,3%スキムしレクト

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類天庖厨と抗表皮基底膜部抗体

リス塩酸緩衝生理食塩水(TBS)でブロックした後,

MAb-5Eあるいは40倍希釈したBP患者またはコソ

トロールの血清を一次抗体として反応させ,次いで100

倍希釈したペルオキシダーゼ結合抗ヒトlgG家兎血

清(DAK0,デンマーク)を二次抗体として反応させ,

4-クロロ↓ナフトールで発色させることによって行っ

た.

 6)臨床データ

 免疫ブロットを行った100例のBP患者の臨床デー

タをカルテあるいはアンケートによって収集した.項

目としては,性別,住所,発症時の年齢,皮疹の部位,

粘膜疹の有無,重症度,臨床病型27)ステロイド初回投

与量,ステロイドに対する反応性,その他の治療とそ

の効果,合併症,白血球数,好酸球比率,血清lgE値,

IIFによる抗BMZ抗体価を選んだ.このうち定性的

なデータは数量化分析の手法に従って,統計的に解析

しやすいように主治医の判断によって3段階に分類

し,それぞれに対するパラターターを与えた.性別,

皮疹の部位,粘膜疹の有無については,0または1で

表した.

 7)統計的分析

 パーソナルコソピュータPC9801 (NEC),データ

ベースソフトウェアdBASEII (Ashton Tate)および

統計分析用ソフトウェア(システムライソ)を使用し

た.まず定量的データのみを用いて重回帰分析を行い,

次に定性的データを含めて数量化分析を行った.偏相

関係数のt検定において有意の相関を認めたものにつ

いてはさらにχ2検定を行った.また必要に応じて,

データの形式により,2標本t検定, Mann-Whitney

(M-W)検定あるいはKruskall-Wallis (K・W)検定を

行い,各群間の比較を行った.

           結  果

 1)表皮抽出液を抗原とする免疫プロット

 表1および図2Aに示すごとく, 100例のBP患者血

清中,72例が表皮抽出液中の230kD BP抗原蛋白を認

識した.また,43例が170kD BP抗原蛋白を検出した.

正常血清および天庖盾患者血清はいずれの蛋白も検出

しなかった.表2に示すごとく,その反応性には4通

りあり,44例は230kDの蛋白のみを認識し,28例は両

方のバンドを検出,15例は170kDのみであったバ

13例はいずれの抗原蛋白とも反応しなかった.

 2)リコンビナント蛋白を抗原とする免疫プロット

 分子量120kDのリコソビナント蛋白POP-BP1を抗

原としてウェスタンブロットを行ったところ60例の

230 kD-

170 kD-

江~轡圀~に~突~~……

言祐}~一~謳言酉~~

表皮抽出液

`9

.。「万

||

|

 1 2 3456789

リコンビナント蛋白POP-BPl

120kD一一

60kD-

 2 3456789

リコンビナント蛋白XE

5 6 7 8 9

1245

図2 免疫ブロットの結果:各段において同一番号は

 同一血清を示す.1~8はBP血清で9はコント

 ロールの血清である.A:レーソ1~6の血清は表

 皮抽出液中の230kDの蛋白を認識し,レーソ1~3

 および7,8の血清は170kDの蛋白を認識した.B:

 レーソ1,2および4~6の血清が120kDのリコソ

 ビナソト蛋白を検出した.C:同じ血清が60kDのリ

 コソビナソト蛋白を認識した.各段ともコソトロー

 ルの血清はいずれの蛋白も検出しなかった.

BP患者血清がこの蛋白と反応した(表1および図2

B).しかしながら,コントp-ルの血清でこの蛋白と

反応するものはなかった.このリコソビナソト蛋白と

反応した60例の血清はすべて,表皮抽出液中の230kD

BP抗原蛋白を認識した.すなわち,表皮抽出液を抗原

とする免疫ブロットにおいて170kDのみ検出あるい

はいずれのバンドも検出しない血清はすべて,このリ

コソビナソト蛋白と反応しなかった(表2).230kD

BP抗原を認識する血清のうち12例はこのリコンビナ

ソト蛋白と反応しなかった.これらの血清の230kD蛋

白との反応性はいずれも弱いものであった.

 分子量60kDのリコソビナソト蛋白XEを用トだウ

ェスタソブロットでは,35例がこの蛋白と反応した(表

1および図2C).これらはすべて120kDのリコソビナ

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1246

表1 BP患者100例’の免疫ブロットにおけるヒト表

 皮抽出液抗原およびリコソビナソト抗原蛋白との反

 応性

抗原の種類 抗原の分子量 陽性数

表皮抽出液230kD 72

170kD 43

リコソビナソト蛋白

120kD 60

60kD 35

‘間接蛍光抗体法による抗基底膜抗体価

1:40以上の血清

      臨床病型        重症度

図3 臨床病型と重症度:BP 100症例におけるそれ

 ぞれの割合を%で表し,円グラフで示した.

田中  勝

ソト蛋白と反応した血清であった,しかし,明らかに

120kDの蛋白を認識するにもかかわらず60kDの蛋白

を検出しない血清も存在した.コソトロールの血清で

この蛋白を検出するものはなかった.

 3)臨床データの解析

 症例数は100例であるが,いくつか欠測値がみられた

ため,各々のデータの合計に若干の差を生じた.男性

48名,女性52名で男女比は,ほぼ1:1であった.発

症時の平均年齢は69歳で,35歳から97歳まで分布して

いた.大多数の患者は躯幹(94%)および四肢(100%)

に皮疹を有していたか,顔面の皮疹をみるものは39%

にすぎなかった.粘膜疹の頻度は20%であった.図3

に重症度と臨床病型をまとめた.重症度は主治医の判

断によって3段階に分けた.重症例が29%,中等症が

53%,軽症が18%であった.また,臨床病型では,通

常型がほとんどであったが,小水庖型12%でそれに次

ぎ,結節型(岸疹型)が4%,癩痕型が3%であった.

最も多い合併症は脳卒中(15例)で,糖尿病と悪性疾

患が3例でそれに続いた.また2例にパーキソソソ病,

1例に尋常性乾癖を認めた.先行する上気道感染は4

例に認められた.主な検査値の平均は,白血球数

i0,000/mm3,好酸球比率15%,血清lgE値2,800IU/

表2 表皮抽出液抗原との反応パターンと120kDリコ

 ンビナソト抗原蛋白POP-BP1との反応性

230kD計

+ -

170kD

+ 28・(19)

15㈲

43

- 44(41)

13(0)

57

計 72 28 100

’( )内の数字はリコンビナソト蛋白との反応

陽性数

ml,抗BMZ抗体価1,200倍であった.

 4)治療と有効性

 大多数の患者はステロイド内服のみで良くコント

ロールされたが, diaminodiphenyl-sulfone (DDS)や

免疫抑制剤をステロイドと組み合わせた症例もいくつ

かあった.ステロイドに反応しなかった症例は5例あ

り,そのうち1例は血漿交換に非常に良く反応したが,

4例は不幸の転帰をとった.これら5症例の血清は興

味深いことに,いずれも170kD BP抗原と反応した.

DDSの有効性はさまざまであった.すなわち有効か5

例,無効が6例であった.免疫抑制剤も同様で,有効

6例,無効5例であった.シクロスポリソとサイクロ

フォスフアミドは比較的有効であったが,アザチオプ

リンは今回の集計では有効例を認めなかった.

 5)臨床データ内の相関関係

 重回帰分析により,4つの組み合わせで有意の相関

を認めた.すなわち,白血球数,好酸球比率,血清IgE

値,抗BMZ抗体価がそれぞれ重症度と相関した(pく

0.05).年齢,性別,住所による偏りは認められなかっ

た.

 6)臨床データと免疫プロットの結果の相関関係

 数量化分析の結果, 170kD陽性と粘膜疹(pく0.05),

170kD陽性と顔面病変(p<0.01)が有意に相関し,さ

らに230kD陰性と粘膜疹(pく0.01)も相関した.また,

170kDのみ陽性の患者と230kDのみ陽性の患者とで

臨床データを比較したところ, 170kD単独陽性群で粘

膜疹とステロイド投与量が有意に多かった(表3).

 7)病型と臨床データの関係

 結節型の患者には顔面病変と粘膜疹は認められな

かった.反対に癩痕型の患者ではすべてに顔面病変と

粘膜疹を認めた.しかしながらこれらの病変の有無は,

K・W検定にて有意の病型間の差を認めなかった.ステ

ロイド投与量は結節型で多く,癩痕型で少なかった,

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類天庖癒と抗表皮基底膜部抗体

表3 類天庖唐抗原170kD単独陽性群と230kD単独

 陽性群の臨床データの比較

項    目平 均 値 2標本t検定

 のp値170kD+ 230kD+

粘膜疹

重症度

病変の範囲

ステロイド投与量(mg)

ステロイド反応性

WBC数(/mm3)

好酸球比率(%)

血清lgE値(IU/ml)

抗BMZ抗体価

予後

 0.3

 2.2

 2.6

50.0

 2.5

12900

 18.4

 2600

1/1950

 2.3

0.1

2.(〕

2.2

35.7

 2.6

9800

14.2

4400

1/1080

 2.3

0.0407

 NS

 NS

0.0110

 NS

 NS

 NS

 NS

 NS

 NS

これは,K-W検定にて有意の病型間の差を認めた(p=

0.033).

 8)病型とBP抗原の関係

 すべての結節型と癩痕型の患者血清は, 230kD BP

抗原を検出したが,通常型と小水庖型ではそれぞれ

70%および75%の検出率であった.しかしながら,こ

れらの差は統計学的には有意ではなかった. 170kD

BP抗原に関しては,癩痕型ではすべて陽性であった

が,結節型では1例も陽性はなかったレまた通常型で

の陽性率は49%であったが,小水庖型では19%であっ

た.これらは, K-W検定で有意の差を認めた(p=

0.035).

          考  按

 Amagaiら24)は,抗BMZヒトモノクローナル抗体5

E (MAb-5E)を用いて,マウスcDNAライブラリー

を免疫スクリーニングし, 230kD BP 抗原のC末端側

約半分をコードするcDNAクローンBPMlを得た.

このcDNAは3.2kbの大きさで約115kDのポリペプ

チドに翻訳される.そしてヒトcDNAライブラリーか

らBP患者血清を使用して作られた230kD BP抗原の

cDNAクローンと高い相同性を示していた.

 今回この230kD BP抗原の抗原性を調べるため,リ

コソビナソト蛋白を作成し,BP患者血清との反応性

をウェスタソブロット法にて分析した.リコソビナソ

ト蛋白としては, BPMlの全長をコードする120kDの

蛋白(POP・BP1)とC末端側半分をコードする60kD

の蛋白(XE)の2つを作成した.

 BP患者血清100例とこれらのリコソビナソト蛋白

および表皮抽出液との反応性を観察した.表皮抽出液

を用いた免疫プロットでは72例が230kDの蛋白を認

1247

識し,43例が170kDの蛋白を認識した.両方の蛋白を

認識する血清は28例で,44例は230kDのみ,15例は170

kDのみであった.13例は抗BMZ抗体価が40倍以上あ

るにもかかわらず,いずれの蛋白も検出しなかった.

このことは,立体的な抗原決定基の存在や,別のBP抗

原蛋白の存在の可能性を示唆する.同様の可能性はす

でに免疫ブロットで表皮抽出液と反応性を示さないモ

ノクローナル抗体MAb-lODの存在19)によっても示唆

されているか,これを別の面から支持する結果である

といえよう.

 リコソビナソト蛋白との反応性も加えて考察する

と,さらに抗原決定基の多様性がはっきりする.すな

わち, 230kD BP抗原を認識する血清がすべて120kD

リコソビナソト蛋白を認識するわけではなく,また120

kD蛋白を認識する血清がすべて60kDリコソビナソ

ト蛋白を認識するわけではない.このことは,反応性

の低下などの可能性を除外すれば, 230kD上に少なく

とも3つ以上の抗原決定基を有するということを意味

する.しかしそれでも, 230kD BP抗原を認識する血

清の56%はこの60kDのリコソビナソト蛋白と反応す

るわけで,しかもMAb・5Eの反応する抗原決定基もこ

の上に存在する.したがって,ここに主要な抗原性が

あると言える.

 また, 170kD BP抗原のみを認識する血清は,いず

れのリコソビナソト蛋白とも反応しなかった.このこ

とから,少なくとも抗原決定基に関する限り, 230kD

蛋白と170kD蛋白は別々の抗原蛋白である可能性が

高い.免疫沈降や免疫ブロットを用いた初期の報告で

は230kDの蛋白が唯一のBP抗原である4)~7)9)21)28)と

されていたが,最近の免疫プロットを用いた研究では,

220~240kDと165~180kDの2つかBPの特異抗原

である16)17)19)20)22〉とされるようになった.しかしなが

らこの2つの抗原の相互関係には若干の論争がある.

Mullerら8)は, 166kDの蛋白と反応する血清は常に

230kD蛋白と反応することから166kDの蛋白は230

kD蛋白の分解産物であると結論しているし, Robledo

ら18)は, 170kD抗原をブl=・ツトしたニトロセルロース

膜を用いてBP血清からアフィニティ精製した抗体は

230kD蛋白を免疫沈降することを示し,この2つの蛋

白の関係を示唆した.

 ごく最近, Diazら29)が180kDの蛋白をコードする

cDNAを単離した.それから作成した融合蛋白を用い

てBP血清からアフィニティ精製した抗体は230kD

蛋白とは反応しなかった.このcDNAはノーザンブ

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1248 田中  勝

ロットで6.0kbのmRNAとハイブリダイスし,それ

は230kD蛋白のmRNAとは異なるものであった.こ

れらの結果は170kDと230kDの蛋白が互いに異なる

ものであることを強く示唆している.さらに今回の

データもまた,2つの抗原がその抗原決定基に関する

限り違ったものであることを示唆する.しかしながら,

2つの蛋白が1つの遺伝子から異なるスプライシング

により産生され, 170kD蛋白の一部が230kD蛋白のN

末端とオーバーラップするという可能性も完全には否

定できない.これら2つの蛋白の関係についての結論

を引き出すためには,さらに研究が必要であり,特に

2つの蛋白の全cDNAの解析が必須であろう.

 230kDを認識するが120kDのリコソビナソト蛋白

を認識しない血清がいくつかみられたが,その原因と

しては, 230kD蛋白のN末端側に,少数の血清のみが

認識するようなマイナーな抗原決定基の存在やマウス

とヒトでのわずかな抗原決定基の差などの可能性が考

えられる.

 これまでに多くの研究者が,BP抗原の多様性につ

いて,免疫病理学的に12)13)19)あるいは生化学的

に14)~17)22)23)報告してきた.Sugiら19)は,30例のBP血

清を用いてブロッキング蛍光抗体法と免疫ブロット法

を行い,少なくとも3つの抗原決定基を有する可能性

を示した.さらにMAb・5Eが反応する抗原決定基と結

合する抗体はBP血清において高頻度に認められるこ

とも示した.本報告においても, 230kD BP抗原蛋白

上に少なくとも3つの抗原決定基があり,1つは60kD

リコソビナント蛋白に,1つは120kDリコソビナソト

蛋白のN末端側の半分に,もう1つは230kDのN末

端側の半分にあるということを示した.さらにMAb・5

Eと反応する抗原決定基は230kD蛋白のC末端側1/4

に相当する60kDリコソビナソト蛋白上に存在するこ

とを示した.さらにこのリコソビナソト蛋白とは全

BP血清の35%が反応することから,最も抗原性の高

い決定基の1つと言えよう.以上,BP抗原の多様性と

230kD蛋白と170kD蛋白の独立性を支持する結果を

得たが,病因に直接関わる抗原決定基や水庖発生機序

に関係する自己抗体についてさらに多くの情報を得る

には,より大きなcDNAの解析やより小さな合成ポリ

ペプチドを用いた検討か必要であろう.

 SLEやPSSなどの膠原病では,いくつかの自己抗

体と臨床症状の関連が良く知られているところであ

る.しかしながらBPにおいては今までのところその

ような報告はなされていない.多数例の免疫プロット

をしていくうちに170kDのみ陽性の症例が難治性で

あるような印象をもつに至った.そこでBPにおいて

も自己抗体の違いと臨床所見の間に何らかの相関があ

るのではないかと考え,ブロットを行った患者の臨床

的データをアソヶ-トによって収集した.

 今回の研究では,100例の臨床データを統計的に検討

した.すでにlgEとlgAが重症度と相関するという報

告3o)があるが,今回の集計では白血球数,好酸球比率,

血清lgE値および抗BMZ抗体価が主治医の判断によ

る重症度と相関した(p<0.05).従ってこれらが水庖

形成に深く関与していると考えられ,また重症度の判

定にも有用であると思われた.

 重症度を臨床的に表すものとしては,病変の範囲,

ステロイドの初回投与量などが挙げられるが,1つの

因子で規定するのはむずかしく主治医の主観的総合判

断も考慮されるべきであろう.これらの因子とBP抗

原の関係を調べるため,数量化分析およびM-W検定

を行った.その結果,ステロイド初回投与量は170kD

単独陽性群が230kD単独陽性群に比べて有意に高く

(p=0.0nO),170kD BP抗原に対する抗体を有するこ

とが,病気の重症度と相関する可能性が示唆された.

また,皮疹の範囲に関しても170kD陽性群に,顔面お

よび粘膜疹を含む広範な病変を認め,ステロイドに抵

抗する傾向があった.ステロイドの全身投与に抵抗す

る症例は5例あったが,それらのすべてが170kD陽性

群であったことは非常に興味深い.

 粘膜疹とBP抗原の関係については, 170kD陽性と

粘膜疹が相関し, 230kD陰性と粘膜疹が相関するとい

う結果が得られた.これらを説明する1つの仮定とし

て次のように考えた.すなわち,この2つの抗原蛋白

は正常組織において異なる分布と機能を有している可

能性がある.もう1つの可能性としては, 230kD蛋白

に対する抗体が170kD蛋白に対する抗体が粘膜疹を

おこすのを何らかの機序で抑制している可能性であ

る.これらを解明していくためには,今後も粘膜疹に

着目し,癩痕型の血清の免疫ブロット,また粘膜を用

いたIIFによる抗体価の検索などのデータを集積して

いくことが必要となろ‰

 臨床病型の違いによっても,若干の差を認めた.臨

床データではステロイドの初回投与量のみが,各病型

の患者群間で有意の差を認めた.すなわち,結節型で

多く,癩痕型で少なかった.免疫ブロットの結果を用

いたBP抗原と病型の相関も興味深い.結節型は全例

230kD単独陽性で,一方癩痕型では全例両方の抗原を

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類天庖庸と抗表皮基底膜部抗体

認識した.癩痕型では170kD陽性であるのにステロイ

ドの投与量が少なく, 170kDと重症度の相関に矛盾す

るようにみえるが, 230kD蛋白に対する抗体が170kD

蛋白に対する抗体の有害性を抑制すると仮定すれば説

明ができる.

 以上‥憲者血清が所有する抗体と臨床所見の若干の

関連が示唆される結果を得たが,さらにこれらの関連

をはっきりとさせるためには,特に癩痕型と結節型の

症例を集積して行くことが重要と思われる.

 本研究の一部は,第51回米国研究皮膚科学会(平成2年5

月2日-5日),第664回日本皮膚科学会研究東京地方会(平

成2年3月17日)において発表した.

                          文

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1249

 稿を終えるにあたり,御指導および御校閲を賜りました

慶応義塾大学医学部皮膚科学教室西川武二教授に深謝いた

します.また直接に細部にわたり実験の御指導を頂いた,橋

本 隆講師に深謝いたします.

 また,リコソビナソト蛋白作成にご協力くださいました

東燃基礎研究所所長三木敬三郎博士ならびに諸先生方に深

く感謝いたします.

 また,貴重な血清を御供与ならびにアンケートに御協力

くださいました厚生省特定疾患稀少難治性疾患調査研究班

班員の諸先生方に深く感謝致します.

 尚,本研究の一部は文部省科学研究費補助金(平成2年度

奨励研究費02770643)の援助により行った.

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1250                        田中  勝

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類天庖庸と抗表皮基底膜部抗体

The Relationshipbetween BuUous Pemphigoid Antigens

        andClinicalManifestations

           Masaru Tanaka

Department of Dermatology, Keio University School of Medicine

        (Director: Prof. T. Nishikawa)

(Received April, 12,1991; accepted for publication May 31,1991)

1251

  Immunoblot analysis of 100 patients with bullous pemphigoid (BP) was done using epidermal extracts・

Seventy-two% of the BP sera recognized a 230 kD protein band and 43% detected a 170 kD protein band. Two

recombinant proteins were also used as antigens in immunoblotting. One is the 120 kD polypeptide which

corresponds to the C-terminal half of the 230 kD BP antigen protein and was found to react with 60% of sera from

patients with BP. The other is 60 kD polypeptide which corresponds to the C・terminal half of the 120 kD

polypeptide and was shown to be detected by 35% of the BP sera. However, the sera which reacted only with the 170

kD protein or neither protein, showed no reactivity with these recombinant proteins. These results indicate that

there are two major BP antigens, the 230 kD and 170 kD proteins and that there are several patterns of sera which

have different kind of antibodies against different epitopes.

  Neχt, the correlation between clinical findings and BP antigens were statistically assessed. The severity

significantly correlated with each of WBC count, titerof anti-basement membrane zone antibody, serum IgE value

and percentage of eosinophils. 170 kD BP antigen seemed to correlate to the oral and facial lesions and the severity.

  Opn J Dermatol 101: 1243~1251,1991)

Key words: autoimmune bullous disease, buUous pemphigoid, buUous pemphigoid antigen, recombinant buUous

       pemphigoid autoantigen polypeptide, basement membrane zone autoantigen