乾癬におけるil-23p19阻害薬 の作用機序を理解する...a. oderham mj et al j eur acad...
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乾癬におけるIL-23p19阻害薬の作用機序を理解する www.medscape.org/interview/psoriasis-il-23p19-japanese
Kristian Reich, MD: 皆さん、こんにちは。Kristian Reichです。ハンブルクエッペンドルフ大学病院皮膚科にて教授を務めております。また、同市のSkinflammationという炎症性皮膚疾患センターのセンター長も務めております。本日のプログラムのタイトルは「乾癬におけるIL-23p19阻害薬の作用 機序を理解する」です。
ご一緒いただくのはLuis Puig教授です。教授は、バルセロナ自治大学のサンタ・クレウ・イ ・サン・パウ病院の皮膚科部長でいらっしゃ います。スペインはバルセロナよりお越しい ただきました。病院名を正しく発音できてい るか自信ありませんが、ご容赦ください。 ようこそいらっしゃいました、Puig先生。
Dr Reich:本プログラムでは公開されたデータだけでなく、現段階では抄録形式でしか発表されていないデータについても考察します。科学的な適正さの ために、そのようなデータは査読制度のある雑誌で発表されるまで仮データとみなされるべきものであることをご了承ください。
乾癬におけるIL-23p19阻害薬の作用機序を理解する
モデレータ
Kristian K. Reich, MD, PhDドイツ、ハンブルク
Skinflammation®センターハンブルクエッペンドルフ大学病院
皮膚科学教授
講師陣
Luis Puig, MD, PhDスペイン、バルセロナ
バルセロナ自治大学
皮膚科学教授
サンタ・クレウ・イ・サン・パウ病院
皮膚科部長
本プログラムには、抄録の
形で発表されたデータについ
ての考察が含まれます。
そのようなデータは、査読制度
のある雑誌で発表されるまでは
仮データとみなします。
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Dr Reich:Puig先生、なぜこれが重要なのでし ょう?多くの先生方がますます混乱しています。 抗TNF抗体があり、IL-17阻害薬があり、さらに新しいクラスのIL-23阻害薬が登場しました。すべての薬剤に効果がみられています。では最初に免疫に関する大きな質問です。なぜこういった薬剤はすべて効果があるのでしょう?これら標的は病 態生理で同じ役割を担っているのでしょうか? そして、効果が発現した場合、違いは何でしょ うか?これらの薬剤を日々の診療で使用する先 生方にガイダンスを提供できるよう、その点に ついて少し詳しく議論したいと思います。
Dr Reich:IL-23阻害薬に関して何を知っておくべきなのでしょう?
Puig先生、最初は病態生理について質問したいと思います。このサイトカイン23の働きは何でしょうか?乾癬の病態カスケードではどこに存在するのでしょうか?
Luis Puig Sanz, MD:現在の乾癬の生物学的遺伝モデルでは、IL-23が主な調節サイトカインになっています。少なくとも、TH-17細胞が部分的に病原性の表現型に分化することを維持します。こういった細胞は一連のサイトカインを産生し、中でも最も重要なのはIL-17です。IL-17はケラチノサイトに働きかけ、免疫細胞としての活性化を誘導する非常に重要な役割を担います。さらにIL-22と共に 増殖を促進し、TNF-αそして担体細胞を誘導し、 多くのケモカインやサイトカイン、インターロ イキンなどを産出させ、炎症モデルを進行させ ます。
Dr Reich:きちんと理解できたか確認させてく ださい。まず樹状細胞があって、それが活性さ れてIL-23を産生する。23がTH-17細胞をはじめ とする複数の細胞を活性化させ、IL-17はケラチ ノサイトを活性化し、表現型が獲得される。
Luis Puig Sanz, MD:その通りです。
Tonini A, et al. Expert Opin Biol Ther. 2018;18:135-148.
はじめに
• 乾癬の病態生理がさらに解明され、以下のようなより特異的な標的療法の開発が実現した:
– TNF阻害薬– IL-12/IL-23阻害薬– IL-17阻害薬– IL-23阻害薬
• いまだ完全に解明されていないこと:– 発症機序における異なるサイトカインそれぞれの役割
– 上記薬剤の作用機序
• 活性化された樹状細胞がIL-23を放出し、それがとりわけTh17細胞を活性化してIL-17が放出される
• IL-17がケラチノサイトを活性化し乾癬の皮膚病変を形成Hawkes JE, et al. J Allergy Clin Immunol. 2017;140:645-653.
乾癬の病態カスケードにおけるIL-23の役割
先天性
免疫↑
相乗的に
炎症誘発する作用↑
LL-37ADAMTSL5
TNF
TNF
IL-23
IL-22
IL-17
IL-17+TNFIL-26
IL-29
IL-19IL-36 AMP
hbD2, S100A7, LL37
CXCケモカインCXCL1/2/3/5/8(IL-8)
CCL20TNF、IL-1β、
IL-6、IL-8
CXCL9/10/11
TNFIFN
KC
ケラチノサイト
T17
T22
Th1↑
PMN ↑mDC
pDC
LL-37
IL-12
ケラチノサイト増殖
mDCT17
CCR6+ 細胞↑
IL-23
© WebMD Global, LLC
Luis Puig Sanz, MD:IL-23はほかの複数細胞の相対機能を変化させることもできます。さらに、おそらくマスト細胞や多形核からのIL-17の放出を促進することもできます。そういう意味で非常に重要な調節機能を担っているのです。
Dr Reich:あとで詳しく議論する件ですが、ここ でも質問させてください。すでにご存じとは思いますが、IL-17阻害薬投与下ではカンジダ感染症を発症しうる。これは既知の副作用です。IL-17阻害薬はまたIBDを増悪させたり、投与中にIBDを発症することもある。IL-23阻害薬にはカンジダの徴候は認められておらず、IBDに関してももちろん確 認し、そこはある程度クリアできている。シンプルな上流・下流モデルと現実の間のどこに相違が存在するのでしょうか?
Dr Puig Sanz:複数の因子が関与しています。ひとつは病原体から防衛するという面で、重複する経路が多く存在します。最も重要なのは、先天的に非IL-23依存のIL-17の放出があり、それがとくに腸管の上皮バリアの完全性維持の面で保護を提供するということです。
Dr Reich:なんだか私が考えすぎなのかやりす ぎなのか、白なのか黒なのかよくわかりません。 IL-17阻害薬に関してはもう、何が良いIL-17なのか、必要なIL-17なのか、悪いIL-17なのかわからなく なる。さらにIL-23阻害薬では、とりわけ免疫系
の病的な過剰反応を抑制できるというのですか?
Dr Puig Sanz:そうです。IL-17が提供する生理的レベルの保護が存在します。それは非IL-23依存の調節機構による産生です。また、病原性のTh17細胞があって、それが乾癬のみならず、IL-23阻害で抑制できる炎症性腸疾患でも同様に主犯です。
Dr Reich:理論はそうなのですね。臨床の場合そ れがどうなるか、このあとお話しましょう。いったんここで簡単にまとめます。
a. Gooderham MJ, et al. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2018;32:1111-1119.b. Tonini A, et al. Expert Opin Biol Ther. 2018;18:135-148.
乾癬の病態カスケードにおけるIL-23の役割(続き)
• IL-23はTh17の細胞系譜の維持と拡大に必要[a]
• さらに、IL-23は次のようなほかの細胞を刺激してIL-17Aの分泌を促すことができる:[b]
– 先天性のリンパ球 (ILC3)– 好中球
– マスト細胞
乾癬の治療戦略―上流阻害と下流阻害の違い
a. Hueber W, et al. Gut. 2012;61:1693-1700; b. Targan SR, et al. Am J Gastroenterol 2016;111:1599-1607; c. Saunte DM, et al. Br J Dermatol. 2017;177:47-62; d. Reich K, et al. EMJ Dermatol. 2018;6:53-61.
• IL-17阻害はカンジダ感染とクローン病の悪化に関連していた[a-c]
• 誘導性Th17細胞の分化はIL-23により誘導される[d]
– IL-23高濃度では、誘導性Th17細胞の病原性Th17細胞への分化が誘導される
– IL-23低濃度では、Th17細胞の非病原性Th17細胞への成熟が誘導される
IL-6とTGF-β
IL-12IL-4
↑IL-23 IL-23なし IFN-𝛄𝛄TNF-𝛂𝛂
IL-4 IL-5
IL-13
ナイーブ
T細胞樹状
細胞
IL-10 IL-17
IL-17 IL-22 IFN-𝛄𝛄
Th2 Th1
誘導性
Th17
© WebMD Global, LLC
病原性
Th17
非病原性
Th17
Dr Reich:言うまでもなくIL-23は、乾癬治療において非常に魅力的な標的です。複数の企業がIL-23p19阻害薬の開発に勤しんでいるのも不思議ではありません。それがどのような意味をもつか、このあとお話していきましょう。ウステキヌマブはすでに使用されてきた薬剤で、これはIL-23も阻害し ます。ところがIL-12も阻害するのです。理由は 分子を、つまりこの2つのサイトカインが共有す るサブユニットをブロックするからです。
Dr Reich:グセルクマブはすでに臨床で使用さ れています。IL-23p19阻害薬の最初のクラス です。さらにtildrakizumabが最近上市されま した。そしてrisankizumabが間もなく登場し ます。この後にはmirikizumabとほかにもいく つか登場するでしょう。臨床開発の各段階に あるIL-23阻害薬は非常に多くあります。
Dr Reich:この点に少し話を戻してもいいでしょ うか。ウステキヌマブはIL-23のみの阻害薬と比べ てどう違うのでしょう?IL-12とIL-23はサブユニッ ト2つからなる2つのサイトカインです。1つの サブユニットはサイトカイン2つによって共有 され、p40と呼ばれます。それがウステキヌマブ が阻害するものなのです。少なくとも理論的には、 ウステキヌマブはIL-12とIL-23を阻害できます。 IL-23に特有のサブユニットはp19といい、それ こそIL-23阻害薬が、よく言われるように「特異 的に阻害」する部分になります。ウステキヌ マブが理論的にはIL-23に加えてIL-12も阻害する 一方で、IL-23p19阻害薬はIL-23のみを阻害する
というわけです。
a. Tonini A, et al. Expert Opin Biol Ther. 2018;18:135-148; b. Clinicaltrials.gov: NCT03482011; c. Rich P, et al. AAD 2018. Poster 6131.
中等症〜重症乾癬に対するIL-23阻害薬―既承認薬と最新の開発段階の薬剤
薬剤名[a] 作用機序 用法・用量[b] EMA承認
ウステキヌマブIL-12/IL-23p40阻害薬
週、 週時に 体重 ≤ 100
投与。その後 週間隔既承認
グセルクマブ IL-23p19阻害薬 週、 週時に 投与。
その後 週間隔既承認
tildrakizumab IL-23p19阻害薬週、 週時に あるいは
体重 ≤ 90 kgあるいは 投与。
その後 週間隔
既承認
risankizumab IL-23p19阻害薬 週、 週時に を投与。
その後 週間隔未承認
mirikizumab[b] IL-23p19阻害薬 週、 週時に 投与 第 相
Machado A, et al. Psoriasis (Auckl). 2018;8:83-92.
ウステキヌマブ (IL-12/IL-23p40阻害薬) とIL-23p19阻害薬の違い
IL-12/23p40阻害薬
ウステキヌマブ
p40
p35
IL-12
p40
p19
IL-23
IL-23p19阻害薬
グセルクマブ
tildrakizumabrisankizumabmirikizumab
© WebMD Global, LLC
Dr Reich:臨床試験でのIL-23阻害薬の成績はどうでしょう?
Dr Puig Sanz:多くの例で非常に優れた効果を示 しています。例えばグセルクマブでは、PASI 90 の反応割合は12〜16週時点でだいたい75%あ たりになり、その後80%あたりで推移します。 PASI 100においては、45%から始まり50%あた りをうろうろします。それは本当にレベルが高 いですね。IL-17阻害薬のときと同等です。
Dr Reich:私の記憶が確かなら、グセルクマブ はアダリムマブとの直接比較試験が行われてい ます。結果はどうでしたか?
Dr Puig Sanz:アダリムマブの奏効率のほぼ2倍を示しました。優越性が完全に示されたわけです。
Dr Puig Sanz:実際、セクキヌマブとの直接比較試験の結果が公開されたばかりなのですが、48週時点でPASI 90に関しては優越性が示されました。
Dr Reich:セクキヌマブよりも後の時点で、
より多くがPASI 90を達成していますね。
*グセルクマブはどの時点においても、プラセボとアダリムマブよりも有意に優れていることが示された (P <.001)a. Blauvelt A, et al. J Am Acad Dermatol. 2017;76:405-417; b. Reich K, et al. J Am Acad Dermatol. 2017;76:418-431.
グセルクマブとアダリムマブの比較:
VOYAGE-1試験およびVOYAGE-2試験より
VOYAGE-1[a]
グセルクマブとアダリムマブとの比較 ー
中等症〜重症乾癬への継続
投与試験
VOYAGE-2[b]
グセルクマブとアダリムマブとの比較 ー
中等症〜重症乾癬の治療。再投与
および休薬に無作為に割り付りけ
グセルクマブ*
(n = 329)プラセボ(n=174)
アダリムマブ(n = 334)
グセルクマブ*
(n = 496)プラセボ(n = 248)
アダリムマブ(n = 248)
PASI 90 (%)
16週 73.3 2.9 49.7 70.0 2.4 46.8
24週 80.2 - 53.0 75.2 - 54.8
PASI 100 (%)
16週 37.4 0.6 17.1 34.1 0.8 20.6
24週 44.4 - 24.9 44.2 - 26.6
PASI 90およびPASI 100を達成した患者の割合
Langley R, et al. ISDS 2018:LB4.
グセルクマブとセクキヌマブとの比較:ECLIPSE試験より
• N = 1048人 (中等症〜重症乾癬)• グセルクマブは、中等症〜重症乾癬治療の主要評価項目において、セクキヌマブよりも優れていた (48週時のPASI 90)
84.5
70
0
20
40
60
80
100
PASI
90を達成した患者の割合
(48週
時)
グセルクマブ100 mgを0週、4週、12週時に投与。その後8週間隔
セクキヌマブ300 mgを0週、1週、2週、3週、4週時に投与。その後4週間隔
P < .001
Dr Reich:tildrakizumabはどうですか?Puig先生からご覧になって同様ですか?それとも何か違いますか?
Dr Puig Sanz:tildrakizumabはグセルクマブとは異なる用法・用量で、3ヵ月間隔つまり12週間隔で投与されています。
Dr Reich:グセルクマブは確か、0週、4週時に投与した後は8週間隔でしたよね?
Dr Puig Sanz:8週間隔です。はい。
Dr Reich:tildrakizumabは0週、4週時に投与した 後は12週間隔でしたね?
Dr Puig Sanz:その通りです。tildrakizumabの薬物動態特性は違っているかもしれません。最終的にどうなるかというと、PASI 90に関してはぐっと低くなります。PASI 75などでは60〜70%といった具
合になります。
Dr Reich:Puig先生、グセルクマブについては、 tildrakizumabと比較、そしてウステキヌマブと比較してどのようにご覧になりますか?とくにtildrakizumabとウステキヌマブについてはどう でしょう?同じ?それとも相違はありますか?
Dr Puig Sanz:グセルクマブは明らかに、現在上市されているIL-23p19阻害薬のなかで最も高い奏効 率を有する薬剤です。tildrakizumabについては、 PASI 90およびPASI 100の反応割合がグセルクマブよりも低くなっています。tildrakizumabの奏効率はウステキヌマブのそれとよく似ています。それが用法のためか、薬物動態の問題かはわかっていません。維持期に3ヵ月間隔と12週間隔で投与され ました。ウステキヌマブの場合と同様です。奏効率はPASI 75に関してはおよそ65〜70%です。
Dr Reich:奏効はウステキヌマブのほうにより近いと?
Dr Puig Sanz:はい、よく似ています。
Dr Reich:グセルクマブでは少し相違する部分があります。
Dr Puig Sanz: 高いですね。
tildrakizumabは、パート1では0週および4週時に、パート2では16週時に皮下投与された。Reich K, et al. Lancet. 2017;390:276-288.
tildrakizumabとエタネルセプトの比較:reSURFACE-1試験、reSURFACE-2試験より
0
20
40
60
80
100
reSURFACE-1 reSURFACE-2
患者
(%)
PASI 75
0
20
40
60
80
100
reSURFACE-1 reSURFACE-2
PASI 90
0
20
40
60
80
100
reSURFACE-1 reSURFACE-2
PASI 100 T 200 mg
T 100 mg
0
20
40
60
80
100
reSURFACE-1 reSURFACE-2
患者
(%)
PASI 75
0
20
40
60
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100
reSURFACE-1 reSURFACE-2
PASI 90
0
20
40
60
80
100
reSURFACE-1 reSURFACE-2
PASI 100
12 週目
28週目
グセルクマブ、tildrakizumab、ウステキヌマブを相対比較― 専門家の見解
• 現時点で上市されている薬剤の中では、グセルクマブのPASI 90、PASI 100反応がトップ
• tildrakizumabのPASI 90、PASI 100反応はグセルクマブよりも低い (直接比較試験なし)
– tildrakizumabの奏効率はウステキヌマブと類似
• この薬剤間で奏効度合いが違う理由として考えられるのは…– 異なる用法・用量
– 異なる薬物動態
– 異なる薬剤親和性
Dr Reich:今度はrisankizumabの番でしょうか。 このIL-23p19阻害薬はどうでしょう?データは すでに公表されていますので、総説していただ けますか?
Dr Puig Sanz:はい。risankizumabの用法・用量 はウステキヌマブと非常によく似ています。0週、 4週時に投与し、その後は12週間隔です。奏効率 はグセルクマブと同様です。
Dr Reich:PASI 90が70〜80%、PASI 100が50〜60%?
Dr Puig Sanz:その通りです。およそ75%がPASI 90を達成し、およそ50%がPASI 100を達成しました。
Dr Reich:グセルクマブとアダリムマブの直接比較についてはすでにお話しましたね。risankizumabについては直接比較試験が2件行われました。その試験では、ウステキヌマブと比較するプログラムとアダリムマブと比較するプログラムが用意されていました。簡単にコメントいただけますか? 結果はどうでした?
Dr Puig Sanz:アダリムマブに関しては奏効率は ほぼ2倍、アダリムマブよりもおよそ40%高い値 を示しました。ウステキヌマブとの直接比較 では、毎回優越性が示されました。
Dr Reich:ウステキヌマブやアダリムマブのことは忘れないようにしたいものです。私の若いころはヒーロー的な薬でした。まさにチャンピオン格の薬でした。今ではIL-17阻害薬とIL-23阻害薬もあります。20〜30%増の患者さんをPASI 90に導き、 そしてPASI 100も20〜30%増の患者さんが達成。 そうでしたね?
Dr Puig Sanz:今では、大半の患者さんがPASI 100反応の達成が可能です。これは非常に重要な違いです。PASI 90では70〜75%、いや長期の患者さんの80%もがPASI 90反応の達成が可能で、さらにそれが投与期間中維持されるのです。
*対プラセボでP < .0001; Ɨ対USTでP < .001; ǂ対ADAでP < .001。a. Gordon KB, et al. Lancet.2018;392:650-661; b. Machado A, et al. Psoriasis (Auckl). 2018;8:83-92.
risankizumabとウステキヌマブの比較― ultIMMa試験よりrisankizumabとアダリムマブの比較― IMMvent試験より
4.90
*Ɨ75.3
*Ɨ35.9
42
12
0
10
20
30
40
50
60
70
80
PASI 90 PASI 100
患者
(%)
ultlMMa-1[a]
プラセボ (n=102)RZB (n=304)UST (n=100)
2 2
*Ɨ74.8
*Ɨ50.7
47.5
24.2
0
10
20
30
40
50
60
70
80
PASI 90 PASI 100
ultlMMa-2[a]
プラセボ (n=98)RZB (n=294)UST (n=99)
ǂ72
ǂ40
47
23
0
10
20
30
40
50
60
70
80
PASI 90 PASI 100
IMMvent[b]
RZB (n=301) ADA (n=304)
• 今ではより多くの患者がPASI 90/100 (完全消失) を達成可能[a,b]
• 今ではPASI 90は長期的には患者のおよそ80%が達成可能で、安定した奏効を示している[c]
評価項目としてのPASI 90/100 ―専門家の見解
a. Manalo IF, et al. J Drugs Dermatol. 2015;14:1086-1088; b. Reich K, et al. EMJ Dermatol. 2018;6:53-61; c. Gordon KB, et al. Lancet. 2018;392:650-661.
• IL-17およびIL-23を標的とした治療薬の開発により、
PASI 90およびPASI 100を達成する患者の割合が
およそ20〜30%増加した[a,b]
82
5644
21
0
20
40
60
80
100
PASI 90 PASI 100
患者
(%)
ultlMMa-1 (52週)
RZB (n = 304) UST (n = 100)
81
6051
30
0
20
40
60
80
100
PASI 90 PASI 100
患者
(%)
ultlMMa-2 (52週)
RZB (n = 294) UST (n = 99)
Dr Reich:mirikizumabについて少しお話します。 データは少なく、示されているのは第II相試験の データだけです。この薬剤に関する見解はどう ですか?
Dr Puig Sanz:データによるとPASI 90に関しては奏効率はおよそ60%です。これは第II相試験のデータです。
Dr Reich:注射スケジュールが確か変わったものだったと記憶しています。0週、8週時点の投与で、 負荷用量はありません。
Dr Puig Sanz:そうです。負荷は少し必要になる かと思われます。
Dr Reich:先生はしないのでしょうけれど、私は まだ負荷を行っています。もし順位を付けるなら グセルクマブ、次にrisankizumabでしょうかね、 もしもIL-23p19阻害薬をトップにもってくるなら。その次にmirikizumabがきて、最後にtildrakizumab といった具合でしょうか。とはいえ、これについては様子見です。とくにmirikizumabの第III相試験 の結果は注目です。
ƗP < .01, ǂ対プラセボでP < .001、モデル内で治療・地域・生物学的製剤治療経験でロジスティック回帰分析。欠測値の補完にはNRIを用いた。Rich P, et al. AAD 2018. Poster 6131; ClinicalTrials.gov: NCT02899988.
mirikizumab:16週時点のPASI 90第II相試験
• 主要目的:mirikizumabのプラセボに対する優越性を16週時点のPASI 90反応達成の度合いで評価すること
• mirikizumabの用法・用量:0週および8週時に30、100、300 mg投与
ǂ67 ǂ
59
Ɨ29
00
10
20
30
40
50
60
70
80
Week 16
95%
CI患者
(%)
PASI 90MKZ 300 mg q8w (n = 51)MKZ 100 mg q8w (n = 51)MKZ 30 mg q8w (n = 51)プラセボ (n = 52)
*ランキングは専門家の見解と各薬剤の第III相試験の有効性データ (mirikizumabに関しては第II相) に基づいて算出。これら薬剤の直接比較データはなし。
IL-23p19阻害薬ランキング―専門家の見解
• 有効性に基づき、あえてランキングするなら…*
• グセルクマブ = risankizumab
• mirikizumab (第III相試験の結果待ち)
• tildrakizumab
Dr Reich:ではここで、まとめです。まず、各種IL-23阻害薬についてわかりやすくご説明いただきました。IL-17阻害薬に関しては、これも最近登場した新しいクラスで、さらにIL-23の特異的阻害薬もあります。これらの違いはどこにあるのでし ょう?また、同じ点は?IL-17阻害薬はたぶん少 し効果発現が速いでしょうか?
Dr Puig Sanz:IL-17阻害薬のほうが、最初の 12週に関して言えばわずかに速いでしょうね。 とくにbrodalumabは。ただIL-17阻害薬は安全 性プロファイルの点で少し異なるかと思いま すが。
Dr Reich:カンジダについてはすでに議論しま した。
Dr Puig Sanz:はい。カンジダと、IBDの再燃。
Dr Reich:IBDがおそらく回避すべきところだと お話しました。
Dr Puig Sanz:はい。それが今の状況です。自殺 に関してはそこまでは問題ではないと思います。とくにヨーロッパでは。
Dr Puig Sanz:最も重要な因子は、IL-17阻害薬は 効果の維持ということにおいてははそれほど優れていないということでしょう。
Dr Reich:長期的な奏効は、情報を共有する必要のある部分です。
Dr Puig Sanz:そうですね。必要です。
Dr Reich:忘れてはならないのが、ウステキヌ マブとIL-23阻害薬では注射間隔が長いというこ とで、維持期間では8週ないし12週間隔の投与 です。一方IL-17阻害薬については、brodalumab では2週間隔、イクセキズマブとセクキヌマブでは1ヵ月間隔になります。また、それぞれの役割から説明できるであろう違いも若干あります。先生のご説明にあったように、IL-17がより効果を追求する分子なら、IL-23はより教育重視のサイトカインと言えます。
a. Papp K, et al. J Drugs Dermatol. 2017;17:247-250; b. Krueger JG, et al. J Allergy Clin Immunol. 2015;136:116-124.e7; c. Machado A, et al. Psoriasis (Auckl). 2018;8:83-92; d. Tonini A, et al. Expert Opin Biol Ther. 2018;18:135-148; e. Langley R, et al. ISDS 2018:LB4; f. Gooderham MJ, et al. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2018;32:1111-1119.
IL-23p19阻害薬とIL-17阻害薬の違いとは?
IL-17阻害薬 IL-23p19阻害薬
効果発現
ブロダルマブは、患者の25%がPASI 75を達成する時間が最小 (2.1週) であると示された (抗TNFs、ウステキヌマブ、IL-17阻害薬と比較して)[a]
PASIスコアの改善は早く、risankizumab投与2週時点で確認された[b,c]
臨床効果エタネルセプトおよびウステキヌマブ
よりも良好な臨床効果[c]アダリムマブ、エタネルセプト、ウステキヌマブ、
セクキヌマブよりも良好な臨床効果[c-e]
安全性
臨床試験に参加した2〜4%の患者にカンジダ感染症の発症、IBD再燃またはIBD発症、自殺企図が報告された[f]
新しい徴候は認めず
その他
薬剤効果を維持
安定した効果
長期の病勢コントロール
低い投与頻度
Dr Puig Sanz:グセルクマブには非常に興味深い 特徴があります。そしておそらくrisankizumab もそうなのですが、奏効が認められた場合に投与を中止しても、PASI 90反応が維持された期間はかなり長いということです。もうそれは寛解と言えます。この点はこの薬の興味深い特徴だと思い ます。この部分に関してはさらに調査が必要で はありますが。
Dr Reich:IL-23特異的阻害薬のこの現象についてですが、もしこの薬を非常に高い奏効がみられた例で中止にしたとします。それでも多くの例で奏効が維持されます。何人かの専門家の間ではすでに議論が始まっていますが、これは疾患修飾なのでしょうか?このタイプの薬は皮膚内に存在す る可能性のある炎症記憶を消去できるのでしょ うか?
最終的に年に2回の注射でコントロールできる ようになれば、私もうれしいし、患者さんもう れしい。ひいては保険支払者にとっても良いで しょう。それは非常に重要なポイントです。
IL-23、IL-17阻害薬の効果のレベルについて他に 何かありますか?
私は本当に有意な差があるとは言えないと思い ます。とは言え、実際の最終的な答えは直接比 較試験で明らかにされると思いますが。IL-23p19 阻害薬とIL-17阻害薬の直接比較試験はいくつかあって、ちょうど先に始まった試験いくつかの結果が出たようです。
Dr Reich:もし自分がIL-17阻害薬の会社なら、 主要評価項目は早期に設定します。IL-23阻害薬 の会社だったら、主要評価項目は遅めにします。違いを解明するには実臨床データがもっと必要 になると思いますが。
• VOYAGE-2試験では、投与中止群の37%が48週時点でPASI 90反応を達成 (最終のグセルクマブ投与後28週経過)[a,b]
* P < .001a. Reich K, et al. J Am Acad Dermatol. 2017;76:418-431; b. Reich K, et al. EMJ Dermatol. 2018;6:62-70.
IL-23p19阻害薬―寛解と疾患修飾
効果について
28 32 36 40 44 48
PASI 90
20
0
40
60
80
100
患者割合
(%)
期間 (週)
*
継続群休薬群(28週時点でGUSまたはPBOに無作為化)
55
39.330.3
0102030405060708090
100
RSB 180mg
RSB 90mg
RSB 180mg
PASI 100
• IMMhanceの第III相試験の第2期では、休薬群の61%が52週時点でsPGA 0/1を維持していた(risankizumabに無作為割付されて28週時点でsPGA 0/1を達成した患者は、risankizumab (継続群) またはプラセボ (休薬群) に再無作為割付された)[c]
IL-23p19阻害薬―寛解と疾患修飾効果につ
いて (続き)• risankizumabの第II相試験の非盲検延長にて、
risankizumab治療歴がある患者のおよそ50%は16週時点でのPASI 90反応を維持、およそ40%は48週時点 (risankizumab最終投与からおよそ32週経過) でのPASI 100反応を維持した[a,b]
80
53.6 51.5
0102030405060708090
100 PASI 9016週 (二重盲検期間)48週 (OLE試験登録)
a. Papp K, et al. Fall Clinical Dermatology Conference. 2017; b. Papp K, et al. N Engl J Med. 2017;376:1551-1560; c. AbbVie Inc. (2017). [プレスリリース]
87
61
0102030405060708090
100
継続群 (n = 111) 休薬群 (n = 225)
sPGA 0/1P < .001
患者割合
(%)
Dr Reich:あとは、Puig教授が先ほどお話されたこともありますね。IL-23阻害薬の耐久性、つまり効果の持続ですが、非常に優れているようであるということです。
グセルクマブの3年という長期データを検証し、 そして不応例は補完すると、それでも10例中7例はPASI 90反応を維持していました。risankizumabも同様に優れた成績になるのではないかと思います。奏効の持続はIL-23特異的阻害薬の1つのアドバン テージのようです。
Dr Reich:では治療困難な部位についてはどうで しょうか?頭皮、典型的な掌蹠、性器など。
Dr Puig Sanz:一般的には、ベストなのは薬剤がPASIに関して作用し、治療が奏効し難い部位にも効果を発揮することになるでしょう。もちろん 疾患特有の治験も行われましたが。爪乾癬と、 例えば乾癬性関節炎では違いがあるのでしょう けれど、それに関してはあまり多くの情報はあ りません。
Dr Reich:それを私も言いたかったのです。爪への効果についてはイクセキズマブをウステキヌマブと比較した試験があり、12週以降の爪部分の 症状消失の度合いについて曲線は非常に異なり ます。そしてイクセキズマブはウステキヌマブ よりも成績がいいようです。
a. Griffith CEM, et al. Fall Clinical Dermatology Conference. 2018; b. Gordon KB, et al. Lancet. 2018;392:650-661.
IL-23p19阻害薬の効果の持続性
グセルクマブ
(VOYAGE-1)[a]
•患者のおよそ83%がPASI 90反応を3年時点でも維持
risankizumab (ultIMMa-1および
ultIMMa-2)[b]
•患者のおよそ82%がPASI 90反応を1年時点でも維持
Wasel N, et al. EADV 2018. Poster FC04.05.
治療が困難な乾癬―爪乾癬患者対象の
イクセキズマブのIXORA-S試験
•イクセキズマブおよびウステキヌマブで徐々に多くの患者がNAPSI = 0 (爪乾癬の完全消失) を達成
15.5
48.8
61.9
14.321.9
28.6
0
10
20
30
40
50
60
70
12週 24週 52週
患者
(%)
維持用量期間
IXE q2w/q4w (n = 84) UST (n = 105)
Dr Reich:グセルクマブは、アダリムマブと比較され、そして局面を減少させることについては明らかに優れていますが、爪への効果についてみてみると、グセルクマブはアダリムマブとよく似ています。爪、そして関節炎の乾癬の場合は局面型とは効果の出方が違うのかもしれません。
Dr Puig Sanz:そうかもしれません。患者さんの 表現型、そして体軸性と末梢性の関節炎を比較した情報がもっと必要で、乾癬性関節炎の臨床試験からのデータももっと必要です。爪への効果と関節炎への効果の間に何らかの因果関係があるかもしれません。
Reich K, et al. J Am Acad Dermatol. 2017;76:418-431.
治療が困難な乾癬―グセルクマブ
NAPSIおよびf-PGA (VOYAGE-2試験)
グセルクマブ(n = 280)
アダリムマブ(n = 140)
NAPSI (24週時点での平均改善率、%) 55.0 ± 46.8 53.7 ± 49.5
グセルクマブ(n = 246)
アダリムマブ(n = 124)
(24週時のベースラインのf-PGAスコア≥2の患者の中での) f-PGAが0/1の患者の割合 (%)
62.6% 66.9%
*対プラセボでP < .001。NAPSIは爪病変がみられる乾癬患者で報告Bachelez H, et al. EADV 2018. Poster 1865.
治療が困難な乾癬― risankizumab
• 患者の表現型に関する情報と乾癬性関節炎患者に
関するデータがさらに必要
-8*
2.6
-10
-8
-6
-4
-2
0
2
4△NAPSI
ベースラインからの平均変化量
16週でのNAPSIの変化 (LOCF)
RZB (n = 1005) プラセボ (n = 300)
Dr Reich:セクキヌマブについても忘れてはいけません。2015年に乾癬、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎の治療薬として上市されました。また最近のrisankizumabの第II相試験では強直性脊椎炎に対する効果は残念ながら認められず、なにか微妙な違いがあるのかもしれません。第II相試験のプログラ ムに、グセルクマブとrisankizumabの両方を使用した乾癬性関節炎についてのデータがあります。 見たところ有望で、他にもまだいろいろとある ようです。
イクセキズマブには、乾癬性関節炎も効能として記載されています。私はそれこそ、この乾癬性関節炎への効果というのがIL-17阻害薬の強みではないかと思っています。ちょうど、抗TNF抗体製剤が活動性関節炎のゴールドスタンダードとして隆盛をふるったのと同じように優れていると言えるように私は思います。とても興味深いと思います。
Dr Reich:Puig先生、この高い奏効率についてで すが、PASI 90およびPASI 100の若干の、いや若干ではなく20〜30%増の達成に関する件すべてについてですが、この20〜30%増のPASI 90/PASI 100というのは、患者さんにとって価値のあることなのでしょうか?何か、さらなる恩恵のようなものはあるのでしょうか?
Dr Puig Sanz:その件に関しては2点あります。 1つは、PASI 90にはDLQIの0/1との高い因果関係 が示されていることです。
Dr Reich:それは患者さんが疾患の影響を受け ずに日常生活を送れるということになりますね。
Dr Puig Sanz:2つ目はPASI 100については、さら に高い可能性があることです。これは非常に重要 な違いです。私個人としては、何とかして再燃を 予防でき、効果の持続性を維持させることができ ることがより重要なことだと思っています。再燃 が患者さんのQOLに及ぼす影響は、治療中の患者さんにそれが起こるよりもはるかに大きいのです。
Dr Reich:今後の課題はそこですね。さらにデータが必要になります。とは言え、とくにIL-23阻害 薬に関しては明らかに希望があります。これ から、低用量で、そしてより少ない薬の数で、 または一定期間でも服薬を中止しても疾患コン トロールの維持が可能な奏効がきわめて良好な サブグループを同定していきたいです。
Dr Puig Sanz:効果の維持は非常に重要です。
Dr Reich:それは非常に重要です。
検証中のIL-23p19阻害薬の追加適応症
グセルクマブ
• CD: NCT03466411 (第III相)
• UC: NCT03662542 (第II相)
• PsA:NCT02319759(第II相), NCT03158285,
NCT03162796 (第III相)• RA/AS: -
tildrakizumab• CD/UC: -• PsA: NCT03552276
(第II相/第III相), NCT02980692 (第II相)
• RA: -• AS: NCT03552276
(第II相、第III相)、NCT02980705 (第II相)
risankizumab• CD: NCT02513459
(第II相), NCT03105102,NCT03105128, NCT03104413 (第III相)
• UC: NCT03398148 (第II相/第III相), NCT03398135 (第III相)
• PsA: NCT02986373 (第II相), NCT03671148, NCT03675308 (第III相)
• RA: -• AS: 1例がPOC試験を完遂
(結果はネガティブ)
mirikizumab• CD: NCT02891226
(第II相)• UC: NCT02589665
(第II相), NCT03524092, NCT03518086, NCT03519945 (第III相)
• PsA: -• RA/AS: -
a. Blauvelt A, et al. J Am Acad Dermatol. 2017;76:405-417; b. Gordon KB, et al. Lancet.2018;392:650-661.
PASI 90/PASI 100およびQOL-患者にとっての
価値は何か?
抗IL-23p19抗体による治療の臨床的利点はQOLの改善に反映されると考えられる
61 63
40 39
0
10
20
30
40
50
60
70
80
24週 48週
DLQIが
0または
1の患者
(%)
VOYAGE-1[a]
グセルクマブ アダリムマブ
6675
4347
0
10
20
30
40
50
60
70
80
16週 52週
UltiMMa1[b]
risankizumabウステキヌマブ
6771
46 44
0
10
20
30
40
50
60
70
80
16週 52週
UltiMMa2[b]
risankizumabウステキヌマブ
P < .001 P < .001 P < .001
Dr Reich:個人的な経験ではありますが、これまでの診療経験から、グセルクマブについては何ヵ月も使用可能だと言えますね。臨床試験でもすばらしい成績を示していましたし。確かにグセルクマブは世界最速の作用をもつ薬ではありません。速さが本当に本当に必要な場合は、私はイクセキズマブかbrodalumab、またはIL-17阻害薬にするでしょう。しかしグセルクマブの奏効率はすばらしく高い。また非常に安定している。つまり安定した効果が期待できます。確かに使用され始めて時間はあまり経っていませんが、安全性の問題には遭遇したことはありません。他のIL-23阻害薬にも同様のことを期待しますね。tildrakizumabなどはちょうど最近上市されましたね。私も一部の患者さんに使用しましたし、同僚の医師も使用しま した。他のIL-23阻害薬と同じように効果の安定性は良好です。risankizumabについてですが、先生は臨床試験で示されたこと以外に何か起こると思われますか?
Dr Puig Sanz:いえ、とくには。大半の患者さんにとって、2週間と3週間の差はさほど大きくない。もちろん例外はあります。しかし大半の方にとって本当に大事なのは、疾患をコントロールすることです。だいたい16週あたりでできるだけ高いレベルのコントロール状態にもっていく。そのようなシナリオと、治療中のそのレベルのコントロールの維持は期待していいと思います。
Dr Reich:皮膚科医であることに感謝しなければいけませんね。抗TNF阻害薬もあり、IL-17阻害薬 もあり、さらにIL-23阻害薬もあります。1つです べてを解決できる万能薬はないでしょう。それ でも、こうして幅広い選択肢があるのは良かっ たと思います。それに、IL-23p19阻害薬の上市 は私たち2人ともが心待ちにしているほどです。 ではナンバー1について繰り返します。IL-23は乾癬のマスタースイッチの1つであるだろうということ。つまりは、生理的な皮膚免疫応答に影響を及ぼさずに疾患のコントロールが可能ということです。
結論
• 中等症〜重症乾癬の管理の治療選択肢は拡大してきている:
– TNF阻害薬、IL-17阻害薬、IL-12/23p40阻害薬、IL-23p19特異的阻害薬
• IL-23が乾癬の発症機序におけるマスタースイッチの1つであると思われる
– IL-23を特異的に標的にすることで、生理的な皮膚免疫応答に影響を及ぼさずに疾患のコントロールが可能
IL-23p19阻害薬を使用してみて―専門家の
見解
• 奏効の度合いは非常に高い• IL-23p19阻害薬は安定した奏効を示す• 安全性に関する懸念がない• 大半の患者にとって最も重要なのは、疾患を安定してコントロールできること、治療16週時点までに最高レベルを達成し、効果を維持させることである
Dr Reich:それが秘められたすばらしさだと思います。臨床試験ではそれは、優れた有効性とし て示されました。PASI 90では10中7または8、 PASI 100では10中5または6、そして8週ないし 12週という長い注射間隔での効果の耐久性。 Puig先生、乾癬について、他にありますか?
Dr Puig Sanz:このように安全性プロファイルが 良好ですから、おそらく今後は経口薬も必要になるでしょう。同時に、早期介入によって疾患の 進展、つまり乾癬性関節炎の出現自体が起こらないようにすることが可能になるかもしれない患者グループの特定については、継続して努力が必要です。解明すべきこと、研究すべきことはとてもたくさんあります。
Dr Reich:解明すべきことはまだたくさんありますね。本日のプログラムが皆さんのお役に立てればと思います。
Dr Reich:ご参加ありがとうございます。充実 した内容にすることができました。改めて、 ありがとうございました。
結論 (続き)
• IL-23p19阻害薬の使用で期待できること– 複数の臨床試験で高い有効性 -- PASI 90達成70〜80%、
PASI 100達成50〜60%– 長い注射投与間隔 (8ないし12週間隔) で奏効を持続– 好ましい安全性プロファイル
本アクティビティにご参加いただき、
ありがとうございました。
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略語ADA = adalimumab (アダリムマブ)
AMP = antimicrobial peptide(抗菌ペプチド)
AS = ankylosing spondylitis (強直性脊椎炎)
CCL = chemokine ligand (ケモカインリガンド)
CCR = chemokine receptor (ケモカインレセプター)
CD = Crohn disease (クローン病)
CI = confidence interval(信頼区間)
CXCL9 = chemokine (C-X-C motif) ligand 9 (ケモカイン(CXCモチーフ)リガンド9)
DLQI = Dermatology Life Quality Index (仮称:皮膚科関連QOL評価指標)
EMA = European Medicines Agency (欧州医薬品庁)
f-PGA = fingernail Physician Global Assessment score (医師による手指爪の全般的評価)
GUS = guselkumab (グセルクマブ)
hBD2 = human-beta defensin 2 (ヒトβ-ディフェンシン2)
IBD = inflammatory bowel disease (炎症性腸疾患)
IFN = interferone (インターフェロン)
IL = interleukin(インターロイキン)
ILC3 = type 3 innate lymphoid cell (先天性3型リンパ球)
IXE = ixekizumab (イクセキズマブ)
KC = keratinocyte(ケラチノサイト)
LL-37 = cathelicidin (カテリシジン)
mDC = myeloid dendritic cell (骨髄樹状細胞)
MKZ = mirikizumab
NAPSI = Nail Psoriasis Severity Index (爪乾癬重症度指標)
NRI = non-responder imputation (非奏効者として補完)
OLE = open-label extension (非盲検継続投与)
PASI = Psoriasis Area Severity Index (乾癬の面積と重症度の指標)
PBO = placebo (プラセボ)
pDC = plasmacytoid dendritic cell (形質細胞様樹状細胞)
PMN = polymorph nuclear leukocyte (多形核白血球)
POC = proof-of-concept (概念実証)
PsA = psoriatic arthritis(乾癬性関節炎)
q2w = every 2 weeks (2週間毎)
q4w = every 4 weeks (4週間毎)
QoL = quality of life(クオリティ・オブ・ライフ)
RA = rheumatoid arthritis(関節リウマチ)
RZB = risankizumab
sPGA = static Physician Global Assessment (医師による静的全体評価)
T = tildrakizumab
T17 = type 17 T-cell (タイプ17T細胞)
Th17 = T-helper 17 (17型ヘルパーT細胞)
TNF = tumor necrosis factor (腫瘍壊死因子)
UC = ulcerative colitis (潰瘍性大腸炎)
UST = ustekinumab (ウステキヌマブ)
免責事項
本文書は教育を唯一の目的として作成されたものです。本文書を読むことで医学生涯教育(CME)の単位を取得することはできません。
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本アクティビティの内容に関するご質問は、アクティビティ提供者[email protected]までお問い合わせください。
技術的なサポートについては[email protected]までお問い合わせください。
上記の教育アクティビティには、症例に基づいた模擬的シナリオが含まれる場合があります。これらのシナリオにおいて描写される患者 は架空のものであって、実際の患者との関連性を意味するものでも、ほのめかすものでもありません。
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