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iBeacon を用いた 大学図書館の利用者行動調査 ― 千葉大学附属図書館での実証実験 ―
千葉大学アカデミック・リンク・センター
特任助教 小野 永貴
Code4Lib JAPAN Conference 2015 2015/09/06
千葉大学 & コクヨファニチャー株式会社 & 株式会社ジェナ 協力実証実験
公開用抜粋版
1.自己紹介・本館の概要
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自己紹介
• 小野 永貴(おの はるき)
– 2005 ~ 筑波大学 図書館情報専門学群・図書館情報メディア研究科
• 貸出履歴や電子図書館に関する研究• 図書館キャラクターによる広報企画
– 2014 ~ 千葉大学アカデミック・リンク・センター
– 2011 ~ お茶の水女子大学附属高等学校 情報科教諭• 学校図書館担当• 学習指導案横断検索
千葉大学附属図書館/アカデミック・リンク・センター
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千葉大学附属図書館/アカデミック・リンク・センター
5http://www.g-mark.org/award/describe/39377http://www.iri-net.org/loy/loy2015.html#candidate
千葉大学附属図書館/アカデミック・リンク・センター
• アカデミック・リンク– 「考える学生」の創造を目指す千葉大学の新
しい学習環境コンセプト– 附属図書館・統合情報センター・普遍教育セ
ンターが協力して、 2011 年度から取り組み
• 「学習とコンテンツの近接」による能動的学習の実現– 学習空間・コンテンツ・人的支援の 3 つの軸
のなかで、多数のプロジェクトを実施– 実行部門:附属図書館,研究開発部門: ALC 6
学習空間
• 4 つの建物から成るシームレスなゾーニング
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N 棟:対話する図書館
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K 棟:知識が眠る図書館
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L 棟:黙考する図書館
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人的支援• 学習相談デスク(大学院生)• オフィスアワー@ AL (教員)
• 調べもの相談(図書館員)• PC サポートデスク(学部
生)
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コンテンツ形成
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2 .背景
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背景
• 「場としての図書館」への注目– インフォメーション・コモンズ– ラーニング・コモンズ
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レベル 集積され組織されている資源のタイプの具体例
物理的コモンズ
物理的資源ハードウェア,設備,スペース,コレクション
仮想的コモンズ
ディジタル資源ウェブサイト,ポータル,データベース,電子図書, CMS ,マルチメディア資源
文化的コモンズ
社会的資源学習グループ,学問コミュニティ,ライティング・ワークショップ,ティーチングセンター
[参考]インフォメーション・コモンズの各レベルと支援資源とその関係(抜粋) D.R.Beagle作,永田治樹訳
背景
• 大学や図書館の評価の重視– IR : Institutional Research–認証評価– 図書館の予算確保
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いかにして,複数の機能・空間やサービスで構成された大学図書館,およびラーニング・コモンズ を評価するか?
千葉大では多様な手法で試みて来た
• 多様な分析調査– アンケート– フォトボイス調査– フォーカス・グループ・インタビュー–赤外線センサー–定点カメラ– RFID 書架のログ– ブックトラック返本記録– 動画アクセスログ– 貸出履歴・入館記録・成績等との連動分析– etc... 16
しかし
これだけやっても取れない情報がある
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館内の移動経路の動線,空間利用パターンの実態
こう思ったことはありませんか…?
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館内のどのあたりがよく混雑しているのだろう?
新たに○棟がオープンしたが、学生は行ってくれているのだろうか?
こう思ったことはありませんか…?
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コミュニケーションエリアでグループ学習している学生は、個人学習席と行ったり来たりしている?
グループワークエリアのパソコンを利用している学生は、資料も利用しているのか?
こう思ったことはありませんか…?
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学生は座席や書架に何時間くらい滞在しているのだろうか?
授業期間と試験期間,平日と休日,昼と夜では、利用形態に差はあるのか?
こう思ったことはありませんか…?
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○○学部の学生は、○階の書架は利用しているのか?
1年生はやはり上手く資料を探せず館内で迷うことが多いのか?
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動線や空間利用パ
ターンがわかれば
サービス・空間の向
上につながる
不明点を、明
らかにできるのでは
3.調査方法
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iBeacon• 短距離での位置測定技術
– Bluetooth Low Energy の微弱電波を利用して、スマートフォン等の位置を測定
– Apple が開発, iPhone で利用可能
–衛星を利用する GPS や,広範に電波が及ぶWiFi よりも,屋内で高精度な位置測定が可能
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ビーコン端末
• 電池で駆動し,微弱な電波を発信し続ける
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コレ
iPhone で位置測定
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• ビーコン端末に接近すると、 iPhoneが電波を拾う– 電波を拾ったビーコ
ンの場所や時間の履歴を記録することができる
ビーコン端末
関連事例
• 近年急激に普及–工場での作業管理
• 在庫や作業員の移動を効率化–商業施設での顧客分析
• 例:大型ショッピングセンターでの動線調査–ピンポイントな情報サービス
• 例:タクシーでの乗客への情報推薦– タッチ型のサービス
• 例:本当に押す電子スタンプラリー– ナビゲーションサービス
• 例:名古屋大学附属図書館・鯖江市立図書館27
実証実験概要
• 図書館本館利用行動調査– 調査期間: 2015/05/18 ~ 08/09
• 土休日や試験期間も含む,閉館時間1時間前まで– 対象:千葉大学に所属する学生
• 実施体制:三者協力– 千葉大学附属図書館 / アカデミック・リンク・センター– コクヨファニチャー株式会社– 株式会社ジェナ
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学生に参加協力を依頼
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協力インセンティブ
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参加手順
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iPhone を学生に貸与
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• カウンター裏で充電&データ送信
学生はアンケート回答・条件に同意
• 図書館システムに登録されていない属性情報
• 回答後は、 iPhone を常時持ち歩きながらいつも通り図書館を利用
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エリアへの in/out 履歴が AWS に蓄積
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館内に大量のビーコン端末を設置
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館内に大量のビーコン端末を設置
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館内に大量のビーコン端末を設置
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館内に大量のビーコン端末を設置
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館内に大量のビーコン端末を設置
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館内に大量のビーコン端末を設置
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館内に大量のビーコン端末を設置
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館内に大量のビーコン端末を設置
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館内に大量のビーコン端末を設置
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合計296箇所に設置
( 参考 ) 設置数は国内最大級 ※現時点
名古屋 PARCO• 株式会社パルコ・シティ
名古屋大学附属図書館• 株式会社カーリル• 株式会社 NTT ドコモ
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http://internet.watch.impress.co.jp/docs/column/chizu/20140814_662154.html
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20140911_666331.html
ビーコン端末配置のノウハウ
• 3種類:トラッキングしたいエリアサイズに応じた出力の電波強度
• 設置場所–天井など手の届かないところに粘着
• 落下や盗難に注意を要する– それでも 2個紛失 ...
• しかし損失額自体はそこまで大きくない
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Apx 社製Beacon
Pinmicro 社製Beacon
3.調査結果(途中経過速報)
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8月 9日(日)調査終了
• 調査期間: 2015/05/18 ~ 08/09– その後、まさに現在、分析真最中–結果が出次第またご報告していきたい
• 調査参加人数
– のべ1650 名参加• ユニーク 955名参加
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( 参考 ) 1 人あたりの参加回数の統計
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参加回数 人数1回_ 743
2 ~ 9回_ 19510 ~ 19回
_ 1020 ~ 29回
_ 430回~ 3
参加者の学年の分布
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学生1年学生
2年学生
3年学生
4年医学部
1年医学部
2年
医薬学部 3年
医薬学部 6年院修士院博士聴講生研究生
等 職員
369
191 175 152
5 1 1 141
6 3 9 1
参加者の学年の分布
参加者の所属の分布
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文学
部教
育学
部法政経
学部
工学
部理
学部
園芸
学部
医学
部看護
学部
薬学
部
院
人文
社会
科学
研究
科
院教
育学
研究
科
院工
学研
究科
院融
合科
学研
究科
院
専門法務
研究
科
院理
学研
究科
院薬
学研
究院
院園芸
学研
究科
院医
学研
究院
国際
教育
セン
ター
言語
教育
セン
ター
事務局
,そ
の他
139166
195
258
59 48
7 11 20 11 13 11 4 2 4 1 2 1 0 0 0
参加者の所属の分布
分析方法
• データのクリーニング、および集計や可視化を協力企業側でも実施– 利用者 ID を、匿名化した利用者識別子(元
の ID と無関係なランダムな数字)に置換して、 iPhone 貸出者の所属等の情報を提供
–個人と結合可能な情報は提供しない
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4.今後の展望
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多様な観点から分析を進める
• 分析観点の例–移動経路の可視化– ゾーン別の利用状況の差異– ゾーン間の移動行動これらを、学部・学年・来館目的等の別で傾向を明らかにする
• 他の調査との連動分析– 貸出・入館履歴,アンケート, FGI ,赤外線等
• 移動行動の遷移モデル化• 展示やガイダンス等のサービス向上へ提言
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おわりに
• 最新の技術を用いた「サービス」も重要– 3D プリンタ– ロボット– 4K カメラ etc...
• 最新の技術を用いた精細な「評価」も必要では– 利用状況のデータを得る技術– 大量のデータを分析する技術
Conference 2016
ご清聴ありがとうございました
千葉大学アカデミック・リンク・センター
特任助教 小野 永貴
[謝辞]ご協力頂いたコクヨファニチャー株式会社の皆様,株式会社ジェナの皆様,ありがとうございました。