いま物流に求められる 放射線管理の基礎知識!...いま物流に求められる...

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いま物流に求められる 放射線管理の基礎知識! (知っておきたい放射線の基礎知識!) 平成25年12月2日(月) 公益社団法人全日本トラック協会 輸送事業部長 司郎(放射線取扱主任者) 放射線講習資料ver6-1312 1-1.放射能と放射線 たき火に例えると火が「放射能」熱が「放射線」です。 病院などで受けるエックス線検査のように、目に見えない放射 線発生装置(線源)から照射されて人体などを透視し、特殊フィ ルムの上に影をつくるのが放射線の力です。 つまり、透視する線のことを「放射線」といい、その発生源の ことを「放射能」と理解してください。ちょうど「火」が「放射 能」にあたり、それから放射される「熱 」が「放射線」にあた ります。 出典:長崎大学医学部 1

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いま物流に求められる放射線管理の基礎知識!(知っておきたい放射線の基礎知識!)

平成25年12月2日(月)

公益社団法人全日本トラック協会

輸送事業部長 礎 司郎(放射線取扱主任者)

放射線講習資料ver6-1312

1-1.放射能と放射線たき火に例えると火が「放射能」熱が「放射線」です。

病院などで受けるエックス線検査のように、目に見えない放射線発生装置(線源)から照射されて人体などを透視し、特殊フィル ム の 上 に 影 を つ く る の が 放 射 線 の 力 で す 。

つまり、透視する線のことを「放射線」といい、その発生源のことを「放射能」と理解してください。ちょうど「火」が「放射能」にあたり、それから放射される「熱 」が「放射線」にあたります。

※出典:長崎大学医学部 1

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1-2.放射能と放射線、半減期

※出典:(社)日本アイソトープ協会

放射能(ほうしゃのう、Radioactivity)とは

物理学的な定義では、放射線(radioactive ray, radiation)を出す活性力(放射性,放

射活性、放射線を放射する程度)を言う。放射能と放射線とが混同され誤った意味で使われることがあるが、その定義は明確に異なる。日本の媒体等においては「放射能を浴びる(又は、飛散する)」などと誤用が見受けられ、誤用そのままが一般に定着して常用されている。放射能の強さは、1秒間に崩壊する原子核の数で表され、ベクレル(記号Bq)という単位で表す。原子核が崩壊する時に放射線を放射する。 かつては、1グラムのラジウムが持つ放射能を単位とし、これを1キュリー(記号Ci)としていた。1グラムのラジウムは毎秒3.7×1010個のα線を放射しているので、1キュリーは 3.7×1010ベクレルということになる。

半減期

放射性同位体は、崩壊にともない指数関数にしたがって量が減っていく。そしてその同位体由来の放射能は減衰していく。ある放射性同位体の量が半分に減るまでにかかる時間は核種ごとに常に一定であり、これを半減期という。半減期は物質によって異なり、1秒以下から数百億年以上のものまでさまざまである。半減期の短い放射性同位体は早く壊変するため、質量あたりの放射能である比放射能は高くなる。

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2.放射線の単位と種類

※出典:東京電力・(独)科学技術振興機構

単位 説明

ベクレルBq

放射線を出す能力を表す単位(1Bqは1秒間に1個の原子核が崩壊すること)

吸収線量グレイ

Gy

放射線のエネルギーが物質にどれだけ吸収されたかを表す単位(1Gyは物体1㎏あたり、1ジュールのエネルギー吸収があるときの線量)

線量当量シーベルト  Sv

人が放射線を受けたときの影響の程度を表す単位(SvはGyに放射線の種類や人体の性質ごとの係数をかけたもの)

放射能の単位

放射線の量に関する単位

3

1Sv(シーベルト)=1,000mSv=1,000,000μSv

1KBq(キロベクレル)=1,000Bq(ベクレル)1TBq(テラベクレル)=1,000,000Bq

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3-1.放射線被ばく

※出典:放射線医学総合研究所

放射線に暴露されることを被ばくといいます。人間は日常生活の中で、宇宙、大地、食物を通じて放射線を受けています。また医療の現場や工業分野でも放射線が利用されています。これら日常生活においてうける放射線は微量で、健康に影響することはありません。

一方、「放射線事故・災害」とは、不慮の被ばくや、予定以上の線量の被ばくを言います。健康に影響の受ける線量の被ばくを被る可能性があります。高線量の被ばくをした場合、血液障害、消化管障害などの急性放射線症になることがあります。これは、被ばく後、数日から数週間で発症します。また、比較的低線量の被ばくでも、被ばく後、数年以降、発ガンや白内障などの晩発障害がおこる危険性もあります。また、放射線の被ばく様式には、離れた線源による外部被ばく、放射性物質が体表面に付着する体表面汚染、放射性物質の体内への取り込みによる体内汚染に分けられます。

物理的半減期放射性物質の半数が崩壊

乳児 11日

5歳児 23日

成人 80日

0~1歳児 9日

2~9歳児 38日

10~30歳 70日

31~50歳 90日

8日

30年

生物学的半減期

半量が対外に出る期間

放射性ヨウ素131

放射性セシウム

137

4

約12μSv:セシウム1000Bqを体内に摂取した場合の被ばく量

3-2.放射線の電離作用

※出典:Science Portal

放射線が当たって原子から電子が外にはじき飛ばされれば、残った原子は出ていった電子の分プラスの電荷をもち、陽イオンになります。放射線の電離作用は、このように原子をイオン化するはたらきです。

放射線は、私たちの体をつくる分子から電子をはじき飛ばし、壊したりします。その結果、細胞、組織などを壊す急性障害がおこったりします。

また、DNAの鎖をちょん切ったりするなど、DNAの構造をおかしくすることでガンができ

るなどの障害をおこすこともあります。だから放射線は生体に対して強力な破壊的作用をもっています。

放射線を浴びると(被曝)、さまざまな障害をもたらすので、できるだけ避けたほうがよいということになります。

アルファ線、ベータ線、ガンマ線の中では、アルファ線がいちばん電離作用が強いのですが、透過力は弱く、紙1枚でも(空中では数センチメートル)ストップしています。ベータ線は、透過力(空中を数メートル)、電離作用ともに中くらいです。数ミリメートルの厚さの

アルミ板でストップします。ガンマ線は、透過力がもっとも大きく、電離作用はもっとも小さいです。

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4-1.線量のスケール

※出典:放射線医学総合研究所

50mSv

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4-2.地域別自然放射線の量

宇宙や大地からの放射線の量は地域によって異なります。

たとえば、マグマが冷えて固まった花崗岩が多い地域は、放射線量が高くなり、関東では関東ローム層が被っているので放射線量は関西より低めです。ちなみに日本の中でラドンなどの吸入分を除く、自然放射線の平均値が一番高い場所は岐阜県で、1.19ミリシーベルト/

年す。逆に一番低いのは神奈川県で0.81ミリシーベルト/年です。

世界に目を向けてみると、ブラジルのガラパリでは、大地から受ける放射線は10ミリシーベルト/年にもなります。

※ラドン:ラドンはウラン系列、トリウム系列から生じる気体状の放射性物質。空気中に混じっていて、呼吸によって体内に取り込まれるため、私たちは身体の内部で放射線を受けています。

※出典:東京電力 7

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4-3.放射線の被ばく線量限度について

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放射線作業者の年間線量限度:20mSv/年(100mSv/5年、50mSv/年)

4-4.放射線の人体影響について

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※出典:放射線医学総合研究所 10

4-5.放射線の人体影響について(がん・白血病)

※出典:(社)日本アイソトープ協会

5.放射線防護の3原則

●放射線の量と健康への影響放射線は一度に大量にあびると人体に影響が出てきます。これまでの調査研究から

数百ミリシーベルト以上を受けた場合に影響が出ることがわかっています。しかし100ミリシーベルト以下では、影響は確認されていません。もちろん自然界の程度であれば全く心配はありません。

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※出典:原子力安全委員会(ICRP勧告)

6.放射線防護の線量の基準の考え方

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<参考> 福島県内の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方について(通知)

1-20mSv/年の適用(平成23年4月19日文部科学省通知)・当初はICRP Publ.109(緊急時被ばく状況)で示された参考レベルの状況20-100mSv/年の下限値の適用との説明、

途中からICRP Publ.103の復興期(事故終息後の汚染による被ばく)で島された1-20mSv/年の上限値に変更・3.8μSv/時(滞在時間を入れ20mSv/年)未満で定常とおり利用可能

※出典:(社)日本アイソトープ協会

7.輸送物運搬車両

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8-1.制限区域※1内で運搬・作業を行う際の被ばく防止・管理用具

被爆測定用具①ポケット線量計(計画的避難区域・居住制限区域一時立入者・常時立入者)②ガラスバッジ(警戒区域・帰宅困難区域常時立入者)

体内被曝防止用具

③マスク※2

④手袋⑤防護めがね⑥放射線防護スーツ(タイベックススーツ等)⑦シューズカバー(土、草の上を多く歩くことが予想される場合)

※①ポケット線量計と③マスクは警戒区域、計画的避難区域、帰宅困難区域、居住制限区域に立ち入る場合は、必ず着用願います。

※運行経路内の 大空間線量率が2.5μSV/hを超えないことが確認され、1運行当たりの被ばく線量が3μSv/運行以下となる場合には、ポケット線量計無しで運行を行っても問題はないものと考えます。(毎日運行しても年間の被ばく線量が1mSv以下と想定されるため)

※1福島第一原発事故に伴い設定された区域全体の総称を制限区域と称します。(警戒区域、計画的避難区域、居住制限区域、帰宅困難地域、避難指示解除準備区域)

※2マスク等体内被曝用具については花粉対策用等市販のものを各自用意願います。 14

8-2.制限区域内で物資輸送を行う際の注意事項(運搬・作業中)

運搬中は、①窓を閉め、換気を止めてください、②エアコン使用時は内気循環にしてください。③屋外では放射性物質を体内に吸い込まないために、マスクを着用してください。④走行中及び作業中は、できるだけ肌を出さないようにしてください。⑤現地での飲食物はなるべく控え、飲料等は屋外に置かないようにしてください。(避難指示解除準備区域除く)

核燃料物質等車両運搬規則及び放射線同位元素等車両運搬規則によれば、運搬に従事する者が通常乗車する場所での放射線の 大線量当量率は1時間あたり20マイクロシーベルト(μSv/h)以下と規定されていますので同規定を基本として準用いたします。

制限区域内輸送従事者・引越作業従事者運搬・引越従事者の年間線量限度1,000μSv(1mSV 一般公衆の線量限度と同じ)を超えないようにしてください。特に2.5μSv/h以上の地域で積卸作業・引越作業を行う場合は必ず被ばく測定用具とマスク等の体内被曝防止用具を着用してください。往路で500μSvを超える恐れがある場合は速やかに引き返してください。

※警戒区域等線量の高い地域で運搬を行う従事者は別途電離則に定める基準に従ってください。

※放射線の線量限度には自然放射線被ばくと医療被曝は含みません。※被ばく線量の合計が5mSv/年を超えた場合は、県の指定医箇所で被ばくスクリー

ニングを受けて、その後の処置について指示に従ってください。(指定箇所一覧は17頁参照)

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8-3.制限区域内に物資輸送を行う際の注意事項(帰還後)

被ばく防止・管理用具について

帰還後は、①放射線線量計の値を確認し、被曝量を記録してください。②時間当たりの被ばく量が2.5μSv/hを超えていた場合には県の指定箇所でスクリーニングを受けてください。

除染

帰還後は、①速やかに、入浴・洗髪し、②着衣を交換することをお勧めします4月1日現在の放射線の量では、特に入浴、洗濯の注意点はありません。

帰還後、体調に異変を生じた際は、直ちに、医師の診断を受け、指示に従ってください。

スクリーニング(検査)の基準

全身除染を行う場合のスクリーニングレベル 100,000cpm(約400Bq セシウム換算)部分的拭き取り除染のスクリーニングレベル 13,000~100,000cpm

※被ばく医療の専門家(広島大学谷川教授、福井大学寺沢教授等)及び放射線医学総合研究所員の意見、さらに福島県立医科大学の取り扱いを踏まえ設定された数値

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9-1.緊急被ばくスクリーニング

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国による被ばくスクリーニング実施場所(運用開始平成25年7月1日)

※水や野菜等の安全性についての検査は出来ません。

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9-2.緊急被ばくスクリーニング実施状況

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日程 スクリーニングした人数10万cpm以上の

値を示した人数

平成23年3月13日(日)~31日(木) 114,488人 102人4月1日(金)~30日(土) 63,352人 0人

5月1日(日)~31日(火) 17,514人 0人

6月1日(水)~30日(木) 12,162人 0人

7月1日(金)~31日(日) 8,235人 0人

8月1日(月)~31日(水) 6,343人 0人

9月1日(木)~30日(金) 5,904人 0人

10月1日(土)~31日(月) 4,843人 0人

11月1日(火)~30日(水) 4,706人 0人

12月1日(木)~28日(水) 3,796人 0人

平成24年1月4日(水)~31日(火) 2,160人 0人

2月1日(水)~29日(水) 1,961人 0人

3月1日(木)~31日(土) 3,394人 0人

4月1日(日)~30日(月) 2,733人 0人

5月1日(火)~31日(木) 2,013人 0人

6月1日(金)~30日(土) 1,324人 0人

7月1日(日)~31日(火) 1,415人 0人

8月1日(水)~ 7日(火) 241人 0人

8月8日(水)~31日(火) 1,390人 0人

9月1日(土)~30日(日) 1,020人 0人

10月1日(月)~31日(水) 1,240人 0人

11月1日(木)~30日(金) 1,226人 0人

12月1日(土)~28日(金) 958人 0人

平成25年1月4日(金)~31日(木) 606人 0人

2月1日(金)~28日(木) 981人 0人

3月1日(金)~31日(日) 1,214人 0人

平成23年3月13日~平成25年3月31日の計 264,978人 102人

福島県災害対策本部では3月13日(日)から県外医療チーム等の応援を得て、各保健所を始めとしたチームにより、県内各地域で緊急被ばくスクリーニングを行っています。平成25年3月までに実施したスクリーニングの活動状況は以下のとおりですが、健康に影響を及ぼす事例は見られていません。

9-3.線量の測定(電離放射線障害防止規則抜粋)平成24年1月1日 除染電離則施工平成25年7月1日省令一部改正施工

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被ばく実効線量の測定(除染等業務従事者、特定線量下業務従事者)

(1)作業場所の平均空間線量率が2.5μSv/h(週40時間、52週換算で5mSv/年相当)を超える場所に於いて作業を行わせる場合(特定線量下業務、除染等業務)

・外部被ばく線量:個人線量計による測定・内部被ばく線量測定:作業内容及び取り扱う汚染土壌等の放射性物質の濃度等

に応じた測定(除染等業務従事者のみ)

(2)作業場所の平均空間線量率が2.5μSv/h以下の場合・個人線量計による外部被ばく線量測定によるほか、空間線量からの評価、作業に

より受ける外部被ばくの線量が平均的な数値であると見込まれる代表者による測定のいずれかとすること

除染等業務:土壌等の除染等の業務、特定土壌汚染等取扱業務又は廃棄物収集等業務

特定汚染土壌等取扱業務:汚染土壌等であってセシウム134,137の放射能濃度が1万Bq/Kgを超えるものを取扱う業務

特定線量下業務:平均空間線量率は2.5μSv/hを超える場所で行う除染等業務以外の業務

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9-4.労働者教育(電離放射線障害防止規則抜粋)

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作業場所の平均空間線量率が2.5μSv/hを超える場合に必要となる教育

除染等事業者が行うべき教育(1)作業指揮者に対する教育

ア.作業の方法の決定及び除染等業務従事者の配置に関することイ.除染等業務従事者に対する指揮の方法に関することウ.異常時の措置に関すること

(2)除染等業務従事者に対する特別の教育ア.学科教育

①電離放射線の生体に与える影響及び被ばく線量の方法に関する知識②除染等作業の方法に関する知識③除染作業に使用する機械等の構造及び取扱いの方法に関する知識(特定汚染

土壌等取扱業務を除く)④除染作業に使用する機械等の概要に関する知識(特定汚染土壌取扱に限る)⑤関係法令

イ.実技教育①除染等作業の方法及び使用する機械の取扱い(特定汚染土壌取扱を除く)②除染等作業の方法(特定汚染土壌取扱に限る)

特定線量下業務従事者に対する特別の教育①電離放射線の生体に与える影響及び被ばく線量の方法に関する知識②放射線測定の方法等に関する知識③関係法令

9-5.健康管理の為の措置(電離放射線障害防止規則抜粋)

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作業場所の平均空間線量率が2.5μSv/hを超える場合に必要となる健康診断(抜粋)

(1)特殊健康診断(除染等業務事業者)ア.被ばく歴の有無の調査及びその評価イ.白血球数の検査及び白血球百分率の検査ウ.赤血球数の検査及び血色素量又はヘマトクリット値の検査エ.白内障に関する眼の検査オ.皮膚の検査

(2)一般健康診断(除染等業務従事者及び特定線量下業務従事者)ア.既往歴及び業務歴の調査イ.自覚症状及び他覚症状の有無の検査ウ.身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査エ.胸部エックス線検査及び喀痰検査オ.血圧の検査カ.貧血検査キ.肝機能検査ク.血中脂質検査ケ.血糖検査コ.尿検査サ.心電図検査

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10-1.特定避難勧奨地点

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10-2.特定避難勧奨地点の説明

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10-3.避難指示解除準備区域等におけるトラックの運行

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10-4.避難指示解除準備区域等における物流(要請)

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10-5.避難指示解除準備区域等の基本的考え方及び今後の検討課題について

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10-6.居住制限区域等における物流(要請)

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10-7.居住制限区域における物流について(要請)

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10-8.警戒区域とその他区域の概念図(平成25年5月7日現在)

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10-9.見直し後の避難指示区域について

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10-10.各区域共通の留意点

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10-11.避難指示解除準備区域の留意点

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10-20.居住制限区域の留意点

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10-21.帰宅困難区域の留意点

10-22.福島県内放射線量の推移単位:μSv/h

単位:μSv/h

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3月17日 3月20日 3月23日 3月26日 3月29日 4月1日 4月4日 4月10日 4月17日 4月21日 4月28日 5月23日 6月2日 6月29日 7月18日 8月18日 9月8日 9月29日 10月13日 11月13日 1月9日 2月18日 3月18日

伊達市月舘公民館 2.78 2.09 2.23 2.33 2.24 2.12 2.12 2.09 1.98 1.68 1.54川俣町山木屋郵便局 12.2 6.57 5.16 3.87 4.37 3.45 3.3 2.93 1.89福島市役所 8.96 7.26 4.82 3.37 2.77 2.31 1.97 1.72 1.62 1.57 1.42 1.35 1.17 1.02 1.02 0.96 0.97 0.99 1.11 1.17 1.08 1.02 1.01郡山市役所 2.98 2.57 2.14 1.73 1.69 1.46 1.45 1.22 1.09 1.21 0.97 0.95 0.85 0.86 1.05 1.02 0.96 0.83 0.65 0.61川俣町役場 4.93 3.89 2.83 1.99 1.7 1.56 1.39 1.3 1.11 0.8 0.7 0.65 0.68 0.60 0.55 0.51 0.55 0.54 0.71 0.69 0.66 0.58 0.58

0

2

4

6

8

10

12

14

伊達市月舘公民館

川俣町山木屋郵便局

福島市役所

郡山市役所

川俣町役場

平成24年12月4日現在

0.76μSv/h(10/2)0.44μSv/h0.24μSv/h

0.76μSv/h

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10-12.Jビレッジ・飯舘村周辺放射線量の推移

単位:μSv/h

単位:μSv/h

3月17日 3月20日 3月23日 3月26日 3月29日 4月1日 4月7日 4月10日 4月21日 4月28日 5月23日 5月30日 6月3日 6月9日 6月23日 7月21日 7月28日 8月11日 8月18日 8月25日 9月8日 9月29日 10月13日 11月13日 1月4日

相馬郡飯舘村長泥 35.0 21.0 18.9 18.2 19.5 18.7 13.5 13.5 14.8 13.0 15.2 13.9 15.7 16.2 16.7 15.1 14.4 13.0 14.6 12.5 11.1 10.7 10.0

Jビレッジ周辺 18.8 3.8 5.9 2.9 2.5 2.2 1.5 1.1 0.8 0.7 0.6 0.5 0.6 0.6 0.5 0.5 0.6 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.4 0.4 0.4

広野町下北迫苗代替 2.8 3.6 3.2 2.9 2.0 1.0 1.8 1.7 0.7 0.4 0.6 0.5 0.4 0.2 0.4 0.4 0.3 0.4 0.4 0.4 0.4 0.3 0.4 0.3

0.0 

5.0 

10.0 

15.0 

20.0 

25.0 

30.0 

35.0 

40.0 

03月17日 04月17日 05月17日 06月17日 07月17日 08月17日 09月17日 10月17日 11月17日 12月17日

相馬郡飯舘村長泥

Jビレッジ周辺

広野町下北迫苗代替

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平成24年10月2日現在

0.14μSv/h

0.16μSv/h

※出典:文部科学省

10-13.セシウムの蓄積量

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※出典:asahi.Com

10-14.セシウムの蓄積量(全国)

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名古屋大推計米科学アカデミー推計

10-15.福島県ホームページ放射線関連情報

放射線モニタリング

放射線関連情報福島県環境放射能測定マップ農林水産物の緊急モニタリング検査結果及び出荷制限等米の放射性物質調査について野生鳥獣の放射線モニタリング調査結果について加工食品等の放射性物質検査結果について国、県、市町村以外の団体が独自に行っている検査結果

39

クリック

福島県のホームページより東日本大震災関連情報をクリック

http://wwwcms.pref.fukushima.jp

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11-1.放射線測定器と取り扱いについて(PDM-112)

40

11-2.放射線測定器と取り扱いについて(GⅢ)

41

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11-3.記録用紙(PDM-112・DMC2000S他)

ポケット線量計記録簿 γ線用(PDM-112・DMC2000S他) 年 月

日付 時間 日付 時間 持出時数値 返却時数値 被ばく線量性別

線量値 (μSv/h)車番 会社電話番号 携帯電話番号

貸 出 返 却No. 製造番号 会社名 氏名

42

12-1.代表的なサーベイメータの種類と一般的特性

電離箱式 GM計数管式 ZnSシンチレーション式

型式 ICS-321 TGS-146 TCS-222

測定方式 電離電流 放電パルスの測定 発光パルスの測定

測定可能放射線 β線、γ線 β線、γ線 α線

測定範囲 1μSv/h~10mSv/h 0~100kcpm 0~100kcpm

使用用途 空間線量率(低線量~高線量)

表面汚染検査(β崩壊を行う放射性物質の測定に使用)

・放射性ヨウ素・セシウム137 等

表面汚染検査(α崩壊を行う放射性物質の測定に使用)

・プルトニウム239 241・ウラン235 238 等

43

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12-2.簡易サーベイメータ(十条電子 J-Ray2)

44

ガイガーカウンター約40,000円

特徴①電離箱やシンチレー

ション式に比べて精度は落ちるが取り扱いが簡単で安価である

②積算ひばく測定器として使用可

10mSv/h以下の現場用測定器

12-3.簡易サーベイメータ(ECOTEST MKS-05)

45

ガイガーカウンター約40,000円

特徴①電離箱やシンチレーション式に比べて精度

は落ちるが取り扱いが簡単で安価である②積算ひばく測定器として使用可

10mSv/h以下の現場用測定器

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12-4.簡易サーベイメータ(堀場PA1000)

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シンチレーション式サーベイメータ約100,000円

特徴①ガイガーカウンターに

比べて精度が高い②簡易的に食品・土壌・

汚泥の測定が可能(次頁参照)

10μSv/h以下の低線量地域用測定器※警戒区域内等線量の高い地域の測定には向きません。

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12-5.簡易サーベイメータ比較表

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放射線測定機 比較表

V1.2十条電子㈱ 十条電子㈱ Mirion Technologies 堀場製作所

日立アロカメディカル

エステー日本科学技術

振興財団Sparing-Vist

CenterMediqutous Polimaster

J-Ray J-Ray 2 RDS-30 PA-1000 PDM-122 エアカウンターはかるくんメモリー

TERRA-P CK-3S PM1610

家庭用を含む多様な測定現場向け

家庭用を含む多様な測定現場向け

現場向け防水

研究室など限定現場向け

病院等高線量向け 簡易型学校教育用貸出専用

家庭用単純なシンチレー

ションカウンタ現場向け

超小型防水

ガラス管ガイガ‐ミュラ‐管φ10×80mm

ガラス管ガイガ‐ミュラ‐管φ10×80mm

ガイガ‐ミュラ‐管 シンチレーション

計数管シリコン半導体検

出器フォトダイオード

CsI(TI)シンチレーション計数器

ガイガ‐ミュラ‐管CsI(TI) + SiPhoto-Diode

ガイガ‐ミュラ‐管

X線・γ線200keV以上のβ線

X線・γ線 γ線 γ線 X線・γ線 γ線(Cs137基準) γ線X線・γ線

β線γ線 γ線

50~1200keV 50~1200keV 48~1300keV 150~1250keV 50~1500keV不明(Cs137のみ

記述)150~3000keV

γ:50~3000keVβ:500~3000keV

150keV~1250keV

20~10,000keV

○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

○ ○ ○ 無し ○ 無し 無し ○ 無し ○

0.001~10,000μSv/h 0.001~10,000μSv/h0.01μ~100m

Sv/h0.001~10

μSv/h1μSv/h~1Sv/h

0.05~10μSv/h

0.001~10μSv/h

0.1~1000μSv/h

0.001~500μSv/h

0.01μ~12Sv/h

0.00μSv~10Sv 0.00μSv~10Sv 0.01~1Sv 無し 1μSv~10Sv 無し 無し 1μSv~10Sv 無し 0.05μ~10Sv

1、60.180、300秒から選択可

1、60.180、300秒から選択可

不明 10秒固定 不明 自動( 長5分) 10秒固定5~70秒自動選択

30秒 不明

表示更新頻度1秒の時300、150、60秒から

選択可

表示更新頻度1秒の時300、150、60秒から

選択可不明

60秒間の移動平均を10秒毎に表示

不明 無し60秒間の移動平

均を10秒毎に表示低線量時約5分自動(設定不可)

不明 不明

○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

○ ○ ○ 不明 無し 無し 不明 ○ 無し ○

○間隔固定3分×3500個≒1週間

○間隔固定3分×3500個≒1週間

○間隔可変(ヒストグラム可)

無し 無し 無し○

600個無し 無し

○4000組

USBなどを通じて、PCに時刻と測定値を送る機能

Windows PCへUSB経由でData送信、保存、グラフ表示、エクセル計算可能。

Windows PCへUSB経由でData送信、保存、グラフ表示、エクセル計算可能。

赤外線通信にてデータ伝送可能。

無し 無し 無し 無し 無し 無しWindows PCへ

USB経由でData送信可能。

○ ○ ○ 無し 無し 無し 無し ○ ○ ○

○ ○ ○ 無し 無し 無し 無し 無し 無し ○

測定単位 μSv/h、μSv μR/h、μR

 CPM

 μSv/h、μSv μR/h、μR

 CPM

 μSv/h、μSv μRem/h、μ

RemμSv/h固定

μSv/hおよびSv固定

μSv/hのみ μSv/hのみμSv/h

mSv μSv/h

CPM Sv/h

Sv

0.001μSv/h0.01μSv

0.001μSv/h0.01μSv

0.01μSv/h0.01μSv

0.001μSv/h 1μSv/h 0.05μSv/h 0.001μSv/h 0.01μSv/h 0.001μSv/h 0.01μSv/h

:被曝量瞬時値 ±20%以内 ±20%以内 ±15%以内 ±10%以内 ±10%以内 ±20% ±10%以内 ±25% ±20%以内 ±15%以内

:被曝量累積値 ±15%以内 ±15%以内 ±15%以内 無し ±20%以内 無し 無し ±25% 無し ±20%以内

単4乾電池2本消費電力5mWMax

連続運転1.5ヶ月以上

単4乾電池2本消費電力5mWMax

連続運転1.5ヶ月以上単3乾電池 2本 単3乾電池 2本

コイン形リチウム電池 約700時間

単4乾電池2本2か月

リチウムイオン電池100時間

単4乾電池×2本8ヶ月(表示OFF)

単3乾電池 3本内蔵充電池

30日

-10℃~40℃相対湿度90%以内

-10℃~40℃相対湿度90%以内

-25℃~55℃IP67準拠の防水

不明-10~+50℃90%RH以下

不明 不明 -10℃~50℃ 不明-20℃~50℃

IP65

61W×117D×22Hmm以内85g以内

61W×117D×22Hmm以内85g以内

78 x 126 x 32mm

170g

68× 28×121mm175g

30x11x108mm40g

約82×62×34mm110g

150×55×26mm重量不明

120×52×26mm150g

76 x 135 x 27mm

170g

58 x 58 x 18 mm70g

プロ向け放射線測定器を

ご家庭でも

(茶色字は出荷時設定)

J-RayのGM管を、β線遮断型に換えたものです。

(茶色字は出荷時設定)

原子力事故を想定した線量計。広い測定範囲、線源探索など必要な機能性能があります。

累積値測定無し警報無し

測定時間固定使用できる現場が

限定されます。

測定精度悪く、0μSv/hの次は1μSv/hです。避難地域など以外では0μSv/hと表示します。

検出器の感度が悪く、短時間で正確な測定はできません。

累積値測定無し警報無し

測定時間固定使用できる現場が

限定されます。

工場出荷のままで安定に測定可能。ただし測定時間など各種設定、変更は出来ません。

累積値無し。

この出張、大丈夫?という用途には使えません。

線量測定範囲が広く、小型軽量です。

共通事項:結露せぬ事。(RDS-30を除く)

充電池は含み、乾電池は除く。

主な用途

夜間や照明が切れた所での観測が可能

測定できるγ線のエネルギー

γ線は波長の短い電波で、核種によって放出する波長が異なる。波長が短いとγ線1粒子当りのエネルギーが高くなるので、通常γ線の波長はエネルギー(eV、エレクトロンボルト)で表す。この範囲が狭いと、色々な核種が検出できない。

測定値を0にクリアしてから今までに受けた被曝量の積算値

測定範囲

測定時間(表示更新頻度)

移動平均機能

放射線粒子放出のランダムさを平均する時間。測定時間を長くしつつ表示更新頻度を速くできる。これが長いと測定値が安定するが、急な線量変化に追いつけなくなる。

放射線検出パルスをカウントする時間、低線量時は長く、高線量時は短くできる。

コンピュータへのData送信

被曝量瞬時値の警報しきい値を設定できる。

被曝量累積値の警報しきい値を設定できる。

センサー

機能・仕様 説明

放射線検出器の種類

測定線種

相対誤差

:被曝量累積値測定モード

:被曝量瞬時値測定モード

パラメー

タの設定

測定値の記憶

被曝量瞬時値測定モード

現在の被曝を1時間受続けたら何シーベルトになるか、という被曝瞬時値

被曝量累積値測定モード

表示バックライト

数字で、測定値を表示。デジタル表示

CPS:Count per Sec.CPM:Count per minute

警報 しきい値

測定時刻とその時の測定値を記憶

動作環境湿度

外形寸法・重量

表示の細かさ。(確かさは下記「誤差」の項目参照)

総評

精度

電源

表示値の 大何%程度の誤差があるか?

13-1.警戒区域持ち出し時の除染レベルについて

1.警戒区域一時帰宅者の除染スクリーニングレベルについて政府の原子力災害対策本部は、放射性物質除染スクリーニングレベルについて、平

成23年3月20日の指示により、当面、1マイクロシーベルト/時(10cm離れた場所での線量率)またはこれに相当する100,000cpmを基準として実施しておりましたが、原子力安全委員会による8月29日付けの助言等を踏まえ、9月16日以降13,000cpmを新

しい基準として実施することとなりました。ついては今後一次帰宅者で身体や持ち出した荷物をスクリーニングし、13,000cpmを超えた場合は除染を行うこととなります。また、基準値を超え、除染出来ないものは持ち出しができませんので注意願います。※これらの計測値はTGS-136(146)型GMサーベイメータ(5㎝口径)を基準としています。

2.放射線管理区域から持ち出し時の表面汚染密度放射線管理区域から放射性同位体を持ち出す際の基準はα線を放出核種

0.4Bq/cm2、α線を放出しない核種※4Bq/cm2と電離放射線障害防止規則で定められています。

※Cs137はα線を放出しない核種

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13-2.車両等の除染レベル及び除染方法について

1.警戒区域から退出する際の適切な除染について

原子力安全委員会では平成23年8月29日付けで原子力災害対策本部宛に警戒区域から退出する際の適切な除染について助言をしています。

それを受けて原子力災害対策本部では汚染拡大の防止を目的として、区域から退出する際には、全ての者の身体及び物品・車両等について、スクリーニングを適切に実施するとともに、スクリーニングレベル以下の場合であっても、出来る限りの除染を行い、汚染拡大を防止することが必要であるとしております。

2.警戒区域から退出する際の車両等の除染レベルについて一時帰宅者の除染スクリーニングレベル、及び電離則に定められている放射性同位

体の表面密度をもとに全日本トラック協会としての放射性セシウムの除染の目安は4Bq/cm2とする。車両表面で7,000cpmを超えた場合はスクリーニングを行い、4Bq/cm2以下となるように除染を行う。※これらの計測値はTGS-136型GMサーベイメータ(5㎝口径)を基準としています。

3.車両等の除染方法について

車両については水で洗い流してください。水で洗い流すことの難しいラジエータ等は高圧洗浄等を施し、フィルター等除染が困難な部位については取り替えをお願いします。なお除染レベル以上の値のフィルター等はビニール袋に入れ処理については原子力災害対策本部等に相談願います。

50

13-3.災害廃棄物の処理処分について

51

原子力安全委員会による当面の考え(平成23年6月3日)・リサイクル再利用品は10 μSv/年・処理・輸送・保管に伴い周辺住民が受ける線量は1 mSv/年・処理等を行う作業者が受ける線量は1 mSv/年・処分の安全性は、処分施設の管理期間終了以後、周辺住民の受

ける線量が、基本シナリオでは10 μSv/年、変動シナリオでは0.3 mSv/年の「めやす」に基づき判断

環境省「福島県内の災害廃棄物の処理の方針」基本的な考え方(平成23年6月23日)・焼却施設や 終処分場の周辺住民や作業者の安全確保が大前提・原子力安全委員会が定める「めやす」を満足できない場合、適切な

方法で一時保管を行いつつ、国において速やかに安全な処分方法を検討する

※出典:東京大学大学院 小佐古教授放射線防護に関する資料

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14-1.放射能汚染された食品の新基準値(放射性セシウム)

平成24年4月1日都道府県知事 、保健所設置市長、特別区長 殿

厚生労働省医薬食品局食品安全部長

52

平成23年3月17日暫定規制値単位:ベクレル

放射性セシウム 3.39

放射性カリウム 83.77

放射性セシウム 3.11

放射性カリウム 92.04

放射性セシウム 0.45

放射性カリウム 78.92東京都

1日の食事から体内に入る放射性物質の推定量

福島県

宮城県

国立医薬品食品衛生研究所が平成23年9月、11月に3都県で食品を購入し測定した結果を基に計算。放射性カリウムは食品に元々含まれている自然由来の放射性物質

(食品1㎏あたり、単位:ベクレル)

一般食品 野菜類 500(野菜類、穀類、 穀類 500肉・卵・魚・その他) 肉・卵・魚・その他 500飲料水 10 飲料水 200 飲料水 1000牛乳・乳製品 50 牛乳・乳製品 200 乳製品 1000乳児用食品 50 乳児用食品 - 乳幼児用食品 400 乳幼児用食品 1000

※1:コーデックス委員会  食品の国際規格などをつくるために設立された世界保健機構と国連食糧農業機関による政府間機構

EUの規制値 米国の規制値 コーデックス委員会※1

一般食品

全て 12001000一般食品

1250100

日本の新基準(H24.4.1) 旧暫定規制値(H23.3.17)

14-2.日本産農林水産物・食品への安全性検査等の規制(抜粋)

※出典:日本貿易振興機構(JETRO) 2011年5月16日更新

国・地域名 数値基準

中国

穀類 (ヨウ素131 190ベクレル/㎏)(セシウム137 260ベクレル/㎏)いも類 (ヨウ素131 89ベクレル/㎏)(セシウム137 90ベクレル/㎏)野菜・果物類 (ヨウ素131 160ベクレル/㎏)(セシウム137 210ベクレル/㎏)肉・魚類 (ヨウ素131 470ベクレル/㎏)(セシウム137 800ベクレル/㎏)生乳 (ヨウ素131 33ベクレル/㎏)(セシウム137 330ベクレル/㎏)※詳細は以下を参照食品中の放射性物質制限濃度標準(GB14882-94)

タイ・ヨウ素131 (100ベクレル/㎏もしくはリットル)・セシウム134とセシウム137の合計(500ベクレル/㎏もしくはリットル)

韓国

・ヨウ素131 (150ベクレル/㎏):生乳および乳製品(ただし、今後100ベクレル/㎏に変更される可能性がある(政府予告中))・ヨウ素131 (300ベクレル/㎏):その他の食品(ただし、嬰児、幼児用食品については、今後100ベクレル/㎏に変更される可能性がある(政府予告中))・セシウム134、137(300ベクレル/㎏):すべての食品

オーストラリア(1)ヨウ素131 100ベクレル/㎏、セシウム134、137 1,000ベクレル/㎏(2)ヨウ素131 100ベクレル/㎏※基準値は、CODEX食品規格に基づく。

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※出典:日本貿易振興機構(JETRO) 2011年5月16日更新

国・地域名 数値基準

米国

ストロンチウム90 (160ベクレル/㎏)ヨウ素131 (170ベクレル/㎏)セシウム134+セシウム137 (1,200ベクレル/㎏)プルトニウム238+プルトニウム239+アメリシウム241 (2ベクレル/㎏)ルテニウム103+ルテニウム106c〔(C3/6,800)+(C6/450)<1〕(C3はルテニウム103、C6はルテニウム106cそれぞれの測定時の濃度)

ブラジル

CODEX食品規格に準ずるヨウ素131 (100ベクレル/㎏)セシウム134とセシウム137 (1,000ベクレル/㎏)(CODEX委員会のSTANDARD193-1995に準ずるもの)

EU

EU基準(ベクレル/㎏)放射線ストロンチウム(Sr-90)の基準値は幼児用食品(75)、乳製品(125)、その他食品(750)、液体食料品※(125)放射線ヨウ素(I-131)は幼児用食品(100)、乳製品(300)、その他食品(2,000)、液体食料品※(300)、飼料(2,000)プルトニウムとアメリシウム(Pu-239、Am-241)は幼児用食品(1)、乳製品(1)、その他食品(10)、液体食料品※(1)その他放射性核種で半減期が10日間以上のセシウム(Cs-134、Cs-137)は幼児用食品(200)、乳製品(200)、その他食品(500)、液体食料品※(200)、飼料(500)※CNコードの2009類と22類。

ロシア

・牛乳・乳製品セシウム137:100Bq/㎏、ストロンチウム90:25Bq/㎏・鮮魚・魚加工品(乾燥品除く)セシウム137 130Bq/㎏、ストロンチウム90:100Bq/㎏・野菜・うりなど(生鮮)セシウム137:80Bq/㎏、ストロンチウム90:40Bq/㎏・果物(生鮮) 規定なし

子供向け食品の基準値は、これよりも低くなる。数値基準の根拠は、衛生免学規則・基準第2.3.2.1078-01号および関税同盟委員会決定第299号(2010年5月28日付)

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15.放射性セシウムを含む肥料・土壌改良資材・培土及び資料の暫定許容値の設定(抜粋)

平成23年8月1日都道府県知事 殿 平成24年4月1日(改訂)

農林水産省消費・安全局長生産局長

林野庁長官水産庁長官

(1)肥料・土壌改良資材・培土中の放射性セシウムの暫定許容値肥料・土壌改良資材・培土中に含まれることが許容される 大値は、

400ベクレル/kg(製品重量)(肥料等を長期間施用しても、原発事故前の農地土壌の放射性セシウム濃度の範囲に収まる水準。この水準であれば、農地への施用作業時の外部被曝が廃棄物再利用のクリアランスレベル(10 µSv/年。平成23年6月3日原子力安全委員会決定)を下回る。)

(2)飼料中の放射性セシウムの暫定許容値1)豚用飼料中に含まれることが許容される 大値

80ベクレル/kg(製品重量、粗飼料は水分含有量8割ベース)2)牛及び馬用飼料中に含まれることが許容される 大値

100ベクレル/kg(粗飼料は水分含有量8割ベース、その他飼料は製品重量)(祖飼料は水分含有量8割ベース、その他飼料は製品重量)

3)家きん用飼料中に含まれることが許容される 大値

160ベクレル/kg(製品重量、粗飼料は水分含有量8割ベース)4)養殖魚用飼料中に含まれることが許容される 大値

40ベクレル/kg(製品重量)(飼料から水産物への移行係数、食品中の基準値(放射性セシウムについては、一般食品100ベクレル/kg、乳50ベクレル/kg)及び飼料の給与量から算出。)

※製品重量とは、配合飼料等、家畜に給与される製品段階の重量とする

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16.港湾における輸出コンテナの放射線測定のためのガイドライン(抜粋)

平成23年4月22日(一部改正)平成23年8月3日

港湾局総務課危機管理室1.測定機器測定に用いる機器は次の仕様を満たしていること。方式:GM 式、シンチレーター式、電離箱式及び半導体式サーベイメーター検出対象:γ(ガンマ)線を計測できること検出範囲:γ線の検出範囲として、下限150keV 以下、上限1.25MeV 以上少なくとも0.1μSv/h~10μSv/h の範囲の1cm線量当量率を検出できること

2.測定方法(1)トラクターヘッドがついているシャーシ上のコンテナについては、標準としてコンテナの左右側面と後面の計3 面で、地上1.5m 以上の高さで出来る限りコンテナ表面に測定機器を近づけて

(機器を直接コンテナ表面に当てないように注意すること。)測定値が安定するまで測定(仕様機器時定数の約3 倍程度)し、各箇所の放射線量率の 大値と 小値をそれぞれ記録する。

(2)トラクターヘッドがついていないコンテナについては、標準としてコンテナの左右側面と前面及び後面の計4 面で(1)と同様の測定及び記録を行う。

3.基準値コンテナの除染が必要であると判断する基準値( 除染基準値) は、IAEA の報告文書IAEA-TECDOC-1162 に準拠しコンテナ測定場所のバックグラウンド放射線量率の値の3倍の値とする。

コンテナの除染を行う前に、関係機関へ通報し対応方法について指示を仰ぐ基準値(通報基準

値)は、IMDG コード7.1.14.12 に準拠し、5μSv/h とする。

56

17.除染等業務に従事する労働者の放射線障害防止のためのガイドラインの改正等について

(除染電離則施工)平成24年1月1日(一部省令改正施工)平成24年7月1日

厚生労働省労働基準局

57

ガイドラインの詳細については全ト協ホームページに掲載しておりますので参照願います。

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※出典:放射線医学総合研究所

18.放射線被ばくに関する基礎知識(放射線医学総合研究所公表)

【放射線被ばくの影響】

大気中の放射性物質は、人にどのような影響がありますか。被ばくした量との関係、特に100ミリシーベルト(mSv)の意味について教えてください。

大気中の放射性物質は、地表面や建物などに沈着して、環境中にとどまることがあります。この場合、放射性物質の沈着した飲料水や農作物を摂取することにより、放射性物質を体内に取り込む場合があります。放射線に被ばくすると健康に影響を及ぼすことがありますが、その影響の有無と種類は被ばくした量で違います。長期的な影響として、被ばくした放射線量が高いほど数年後から数十年後にがんになる危険性が高まると考えられています。次の頁の図をごらんください。被ばくした放射線量が、例えばおよそ100ミリ

シーベルト未満では、放射線ががんを引き起こすという科学的な証拠はありません。また100ミリシーベルトの放射線量では、わずかにがんで死亡する人の割合を高めると考えられています。日本人は元々約30%ががんで亡くなっています。仮に1000名の方が100ミリシーベルトの被ばくを受けたとすると、がんで亡くなる方が300名から305名に増加する可能性があります。

放射線による影響は、喫煙や食事などの生活習慣を原因とするがんの危険性の数十分の一と言う低い値で、過度に心配する必要はありません。さらに、原子力発電所周辺の避難地域以外では、普通に生活をしている限り 100ミリシーベルトを超えることは無いと考えられ、普段どおりの生活をしていただいて何ら問題はありません。

58

※出典:放射線医学総合研究所

首都圏に住んでいますが、事故から数日後に雨に濡れました。健康に影響はないでしょうか?

雨の中にも事故によって放出された放射性物質が含まれていると考えられますが、その量はわずかです。これまで報告されている空気中の濃度から計算すると、雨に濡れて放射性物質が皮膚についたとしても、健康に影響を与えるような量ではありませんので、心配する必要はありません。

私は妊婦です。放射線の影響はありませんか?

妊婦の方におかれましても、他のみなさま方と同じ対応で問題ありません。放射線量として、100ミリシーベルト以下※では胎児への影響(奇形、精神遅滞など)は起こらないと考えられています。また、胎児へのその他の影響(小児期や成人期のがん)については、生

活習慣など放射線以外のものを原因として生じる危険性と比べて、現在の状況で住民の方が受ける可能性のある少量の放射線から予測される危険性は遥かに小さいと考えられるため、過度に心配する必要はありません。また、安定ヨウ素剤は、薬の一種です。アレルギーなど副作用を起こす可能性がありますので、服用には注意が必要です。妊娠中の方はご自分の判断で、ヨウ素剤を飲んだり、ヨウ素を含むうがい薬や消毒薬などを飲んだりなさらないようにして下さい。その他、妊婦さんの注意点は、厚生労働省のホームページをご参考ください

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※出典:放射線医学総合研究所

大気中の放射性物質は、人にどのような影響がありますか。被ばくした量との関係についても、教えてください。

大気中の放射性物質は、地表面や建物などに沈着して、環境中にとどまることがあります。この場合、放射性物質の沈着した飲料水や農作物を摂取することにより、放射性物質を体内に取り込む場合があります。

また、大気中の放射性物質は、直接吸入することもありますので、外出するときには、直接吸入しないように口や鼻を保護してください。

放射線に被ばくすると健康に影響を及ぼすことがありますが、その影響の有無と種類は被ばくした量で違います。被ばくした放射線量が、例えば100mSv(ミリシーベルト)以下では、

ただちに健康に影響を及ぼすことはありません。また、被ばくした放射線量が高いほど数年後から数十年後にがんになる危険性が高まると考えられますが、その危険性は、例えば100mSv(ミリシーベルト)の放射線量で0.5%程度です。これは喫煙や食事などの生活

習慣を原因とするがんの危険性よりも数十分の一程度の低い値で、過度に心配する必要はありません。

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放射性物質の除染とは、どのようなことを行うのですか?家でもできますか?

衣服や髪の毛、皮膚などに付着した放射性物質を取り除くことです。衣服を洗濯したり、お風呂に入る、髪や体を洗うことで放射性物質は取り除くこと、すなわち除染ができます。家庭でも十分に行うことが出来ます。なお、洗濯やお風呂などに使ったお湯や水は、そのまま捨てて頂いて結構です。

※出典:放射線医学総合研究所

【飲用水、生活水】

東京都の金町浄水場の水道水に、1リットルあたり210ベクレルの放射性ヨウ素

が含まれていると報道がありましたが、大人は飲んでも大丈夫ですか?料理に使えますか?

大人が飲んでも、健康への影響を心配する必要はありません。金町浄水場の水道水の放射性ヨウ素については、その後濃度が低下し、平成24月6日時点で不検出(1リットルあたり20ベクレル以下)となっています。放射性ヨウ素に関する国の安全基準値は、水1リットルあたり※300ベクレルです。この基準は、放射性ヨウ素を含む水を長期間摂取し続けた場合でも甲状腺が受ける放射線量が1年当り50ミリシーベルト以下となるように決められています。現時点ではあまり想定されませんが、例えば、300ベクレル/1リットルの水を大人が毎日2リットル、1ヶ月間飲み続けた場合、約400マイクロシーベルトの被ばくを受ける計算になります。この値は日本人が自然界から1年間に受ける放射線の量のおよそ4分の1程

度で、健康への影響を心配する必要はありません。また、料理に使っても、健康への影響を心配する必要はありません。安全基準は、料理で使うことも考慮して、健康影響の現れる可能性が小さくなるよう決められています。

※平成24年4月1日より飲料水等の放射性セシウムの暫定規制値が200ベクレルから10ベクレルに改訂されています。

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※出典:原子力災害時における安定ヨウ素剤予防服用の考え方について」平成14年4月 原子力安全委員会原子力施設等防災専門部会

【安定ヨウ素剤とヨウ素】

安定ヨウ素剤とは何ですか?

原子力災害が発生した場合、放射性物質として気体状のクリプトン、キセノン等の希ガスとともに、揮発性の「放射性ヨウ素」が周辺環境に放出されることが考えられます。「放射性ヨウ素」を吸入などによって身体に取り込むと「放射性ヨウ素」は甲状腺に選択的に集積するため、放射線の内部被ばくによる甲状腺ガンなどを発生させる可能性が出て来ます。

この内部被ばくに対しては、安定な(非放射性の)「ヨウ素剤」を予防的に服用することで、

「放射性ヨウ素」の甲状腺への集積を防ぐことができるため、甲状腺への放射線被ばくを低減する効果があることがわかっています。

しかし「ヨウ素剤」は甲状腺以外の臓器への内部被ばくや希ガスなどによる外部被ばくに対してはその放射線影響を低減する効果はありません。

「安定ヨウ素剤」は原子力災害発生時に周辺地域の住人らが「災害対策本部」の指示に従い、屋内退避や避難といった他の防護策とともに迅速かつ的確に服用するもので、甲状腺ガンなどの発生を予防するために用いられます。

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※出典:環境省 広域処理情報サイトより

【災害廃棄物の処理について】

広域処理の対象は?

広域処理をお願いする災害廃棄物は放射性セシウム濃度が不検出又は低く※、岩手県と宮城県の沿岸部の安全性が確認されたものに限ります。可燃物の場合は、対象とする災害廃棄物の放射性セシウム濃度の目安を焼却炉の型式に応じて240ベクレル/kg以下又は480ベクレル/kg以下のものとしています。

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放射性物質は一か所にまとめての処理が原則では?

広域処理のご協力をお願いする岩手県と宮城県の沿岸部の災害廃棄物は、処理の過程で健康に影響を及ぼさないという安全性が確認されたものだけが対象となっています。これらの災害廃棄物は、法律※に基づいて特別な管理が求められる放射性物質に汚染された廃棄物とは異なるものですので、両者を混同しないようにする必要があります。

被災地の一刻も早い復旧・復興を実現するため、災害廃棄物の迅速な撤去・処理が求められていますので、全国の自治体に広域処理へのご協力をお願いしています。

※平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質により環境の汚染への対処に関する特別措置法

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※出典:環境省 広域処理情報サイトより

災害廃棄物の一部を測定しても安全だとは言えないのでは?

放射性物質の拡散は、原発からの距離に応じて一様ではなく、地域差が大きいことから、搬出側の自治体の一次仮置場において災害廃棄物の放射能濃度の確認をすることを基本としています。具体的には、あらかじめ重機等で攪拌をした災害廃棄物の山の中でなるべく均一に分散するように選定した10カ所以上の採取位置からサンプルを採取し、

災害廃棄物の平均的な放射能濃度を測定し、安全に処理可能であるか確認します。さらに、二次仮置場から災害廃棄物を県外に搬出する際に、線量計で当該廃棄物全体を対象に周辺の空間線量率を測定し、バックグラウンドの空間線量率より有意に高くなるものがないことを確認します。このように災害廃棄物のサンプルの放射能濃度測定に加え、当該災害廃棄物全体の空間線量率も測定することにより、二重に安全性の確認を行います。

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広域処理が知らないところで行われることはありますか?

災害廃棄物が発生した市町村以外で処分される場合には、搬出側の市町村は受入側市町村へ事前に通知を行うことが法律※で定められています。このため、自治体が把握していないところで広域処理が行われることはありません。

※廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令第4条第9号イ

※出典:環境省 広域処理情報サイトより

セシウム以外の放射性核種については安全なのですか?

福島県内の一般廃棄物焼却施設において、生活ごみのみの焼却を行っている状態、及び生活ごみと災害廃棄物を混焼した状態で、γ線スペクトロメトリーにより、焼却灰・排ガス等の放射能濃度を測定した結果、ヨウ素131、ヨウ素132、テルル129m、銀110mについては、セシウム134、セシウム137に比べ安全面での影響が十分に小さいものでした(「IAEA安全指針RS-G-1.7」から、銀110mは同じ濃度の放射性セシウムと同程度の影響があると考えられ、テルル129mは同じ濃度の放射性セシウムよりも2桁程度影響が小さいと考えられます。)。

また、文部科学省によるプルトニウム、ストロンチウムの核種分析によれば、「セシウム134、137の50年間積算実効線量に比べて、プルトニウムや放射性ストロンチウムの50年間積算実効線量は非常に小さいことから、今後の被ばく線量評価や除染対策においては、セシウム134、137の沈着量に着目していくことが適切であると考える。」とされています。

以上を踏まえ、事故由来放射性物質に汚染された廃棄物の処理については、セシウム134及びセシウム137を支配的な核種と考え、放射性セシウムの影響に着目して安全評価を行っており、災害廃棄物の処理に当たっては、セシウム134及びセシウム137をモニタリングすることとしています。

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※出典:環境省 広域処理情報サイトより

既存の焼却施設で災害廃棄物を燃やすとセシウムは気化して排ガスとともに漏れ出てしまいませんか?

ダイオキシン対策等のため、焼却施設には、排ガス中の微粒子の灰(ばいじん)を除去する高性能の排ガス処理装置(バグフィルター等)が備わっています。廃棄物の焼却に伴い発生する排ガスは、この排ガス処理装置の手前で200℃以下に冷やすことが法律

※1で決められています。焼却後の排ガスが冷却室で冷やされると、放射性セシウムは微粒子の灰に移行するので、このばいじんを排ガス処理装置で捕 獲することで、放射

性セシウムをほぼ100%除去し、大気中への放射性セシウムの放出を防ぐことができます。

実際に、廃棄物に含まれる放射性セシウム濃度が高く、広域処理の対象とはならない汚染廃棄物を焼却している施設においても、排ガス中の放射性セシウムの放射能濃度はほとんどの施設で不検出となっており、検出された場合でもモニタリングの目安としている濃度限度(134Csの濃度(Bq/m3)/20(Bq/m3)+137Csの濃度(Bq/m3)/30(Bq/m3)≦1)を大きく下回っている※2ことが確認されています。なお、モニタリング

の目安としている濃度限度は、その濃度のガスを0歳から70歳までの間吸い続けた時の被ばく線量が一般公衆の許容値(年間1mSv)以下となる濃度です。

※1 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則第4条第7号ニ廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則第4条の5第2号チ

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※出典:環境省 広域処理情報サイトより

広域処理を行うことで受ける周辺住民の放射線量はどのくらいなので しょうか?

広域処理の対象となる災害廃棄物については、広域処理のための保管から処分までを行う過程の間、周辺住民よりも被ばくしやすい作業従事者が受ける年間放射線量であっても、一般公衆の年間線量限度である1ミリシーベルトを下回ります。また、焼却灰の埋立終了後は、処分場の上部を50cm以上の土で覆うことにより、99.8%の放射線を遮蔽でき、周辺住民への健康に対する影響を無視できるレベル(年間0.01ミリシーベルト以下:日本の平均一人当たりの自然放射線量の100分の1以下)に抑えられます。

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放射性セシウムの濃度がいくら低くても大量に広域処理の対象とすれば放射能量は膨大になり、そこから生じる多量の焼却灰を埋めれば危険なのではないですか?

放射性セシウムを含む焼却灰の埋立を実施する場合の周辺住民や作業員への影響については、埋立容量が40万m3の処分場(200m×200m×10m)の処分場全体に焼却灰を55万トン埋め立てた場合を想定するなど、非常に安全側の評価を行っています。仮に8,000ベクレル/kgの焼却灰のみを55万トン埋め立てた場合であっても、17.の通

り埋立終了後は、周辺住民への健康に対する影響を無視できるレベルに抑えられます。実際は、広域処理により災害廃棄物を焼却した場合に発生する焼却灰は8,000ベクレル/kgを大きく下回ると考えられます。

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※出典:環境省 広域処理情報サイトより

処分場の周辺の地下水・河川等にセシウムが流出しませんか?

一般廃棄物の管理型 終処分場には、遮水工が設けられており、廃棄物から浸みだした水が地下水を汚染しない構造となっています。また、処分場に降った雨水は水処理施設を経て公共水域に放流される構造となっています。

さらに、埋立処分する際に焼却灰が水となるべく接触しないように、水がたまりやすい場所への埋立てを避けることや、放射性セシウムは土壌との吸着性が高いことから、土壌層の上に埋立てを行うことなどの工夫を行うことにより、より安全な埋立てが可能となります。

これらのことから、地下水や河川への放射性セシウムの流出を防ぎ、モニタリングの目安としている濃度限度(134Cs の濃度(Bq/m3)/60(Bq/m3)+137Cs の濃度(Bq/m3)/90(Bq/m3)≦1)を超えないよう管理することができます。なお、モニタリングの目安と

している濃度限度は、その濃度の水を0歳から70歳までの間飲み続けた時の被ばく線量が一般公衆の許容値(年間1mSv)以下となる濃度です。

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※出典:環境省 広域処理情報サイトより 69

8,000ベクレル/Kgという基準について教えてください。この基準は審議会等により認められているのですか?

法律※1では、指定基準である8,000ベクレル/kgを超える廃棄物は指定廃棄物として国が処理することとされています。8,000ベクレル/kg以下の廃棄物に関しては、放射性

物質に汚染されていない廃棄物と同じ方法又はほとんど変わらない方法で安全に分別、焼却、埋立処分等の処理を行うことが可能であるため、放射性物質に汚染されていない廃棄物と同様に市町村、事業者又は処理業者が処理することとされたものです。

廃棄物が焼却される場合は、焼却前の廃棄物よりも焼却後の灰の方が放射性セシウム濃度が高くなります。焼却前が8,000Bq/kg以下で焼却後の灰が8,000Bq/kgを超える場合は、焼却後の灰が指定廃棄物となります。なお、指定基準8,000ベクレル/kgは、原子力安全委員会及び放射線審議会の諮問・答申を経て策定されたものです。国際原子力機関(IAEA)からも、「放射性セシウム8,000ベクレル/kg以下の廃棄物を追加的な措置なく管理型処分場で埋立を実施することについて、既存の国際的な方法論と完全に整合性がとれている。」※2と評価されています。

※1 平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質により環境の汚染への対処に関する特別措置法※2 福島第一原子力発電所外の広範囲に汚染された地域の除染に関するIAEAミッション(2011年10月7日~15日)の 終報告書

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※出典:環境省 広域処理情報サイトより 70

8,000ベクレル/Kgという基準の根拠を教えてください。埋立処分場の作業者

の被ばく線量から定められたと聞きましたが、埋立処分以外の工程は安全なのですか?

(1) 評価の目安原子力安全委員会が平成23年6月3日にとりまとめた「東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の影

響を受けた廃棄物の処理処分等に関する安全確保の当面の考え方」に示された次の目安を評価の目安としました。①処理に伴って周辺住民の受ける追加的な線量が1mSv/年を超えないようにする。 ②処理を行う作業者が受ける追加的な線量が可能な限り1mSv/年を超えないことが望ましい。比較的高い放射能濃度の物を取

り扱う工程では、電離放射線障害防止規則を遵守する等により、適切に作業者の受ける放射線の量の管理を行う。 ③埋立処分場の管理期間終了後に周辺住民が受ける追加的な線量が0.01mSv/年を超えないようにする。

(2)処理に伴う被ばく線量の計算放射性セシウムを含む廃棄物について、運搬、分別、焼却、埋立処分等の通常の処理の条件を仮定し、作業者と周辺住民への追加的な被ばく線量を計算しました。その結果、①埋立処分場での作業者が も被ばく線量が多いこと ②8,000Bq/kgの廃棄物が200m四方の処分場の

全体に埋め立てられているような場合であっても、そのような埋立処分場における作業者の追加的被ばく線量は年間1mSv/年を下回ること との結果が得られました。このように、廃棄物の放射性セシウム濃度が8,000Bq/kg以下であれば、運搬、分別、焼却、埋立処分等の処理を行った場合の周辺住民、作業者に対する追加的被ばく線量は年間1mSv/年を下回り、(1)①②で示した目安を下回ります。

(3)埋立処分後の被ばく線量埋立処分場で埋立てが終了した後には50cmの厚さで覆土されることとなっています。8,000Bq/kgの廃棄物が200m四方の処分場の全体に埋め立てられた場合、埋立終了後に50cmの覆土があれば、そのすぐそばで居住しても年間の追加被ばく線量は0.01 mSv/年以下と計算され、(1)③で示した目安を下回ります。

※出典:Weblio辞書

放射性ヨウ素 I131

放射能をもつヨウ素で、数種類のものがある。特にヨウ素-131(半減期8.06日)、ヨウ素-133(半減期20.8時間)は、ウランの核分裂によって生成される。従って、原子力発電所の事故では、 も注目される放射性核種である。

チェルノブイル原子力発電所の事故では大気中に大量に放出され、幼児に大きな放射線障害(ヨウ素は、甲状腺に集まる特徴があるために、甲状腺被ばくによる甲状腺機能障害が発生)を引き起こした。

またこれとは反対に、ヨウ素-131は、医療用としても用いられ甲状腺機能検査、甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう;hyperthyroidism)や或る種の甲状腺ガンの治療に用いられる。

セシウム137 Cs137

セシウムの同位体で放射性物質。代表的なセシウムの放射性同位体である。質量数は137。原子炉などでウランから生成される。土壌になじみやすい性質があり、原発事故な

どにより大気中に飛散した場合などには、残留放射性物質となり内部被ばくを生じやすい。半減期は約30年である。

19.代表的な放射性物質の基礎知識

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※出典:Weblio辞書

ストロンチウム90 Sr90

ストロンチウムの放射性同位体。半減期は約29年。原子炉内の核分裂反応で副産物として生成される物質のひとつである。

ストロンチウムはカルシウムと同様に体内に取り込まれやすく、骨に蓄積されやすいという性質がある。その性質を生かして、半減期50日程度の人工放射性同位体である「ストロンチウム89」などは、骨転移した癌の放射線治療などにも用いられる。しかしストロンチウム90は半減期が長いため、体内に取り込まれると長期的に放射線を出し続け、骨髄細胞の破壊による白血病などの害をもたらす可能性が高い。

プルトニウム239 241 Pu239 Pu241

天然にはほとんど存在しない核分裂性物質。記号はPu、原子番号94。ピッチブレンド中に自発核分裂による中性子で微量ながら生成される。人類が初めて作り出した放射性各種であり、 1941年、U-238に重陽子を衝撃してPu―239を発見した。

半減期は2万4千年と非常に長く、プルトニウムを嚥下し消化管に入った場合、そのおよそ0.05%程度が吸収され、残りは排泄される。吸収された微量のプルトニウムは骨と肝臓に

ほぼ半々の割合で蓄積され、体外へは排出されにくい。生物学的半減期はウランやラジウムと比べても非常に長く、骨と肝臓でそれぞれ20年と50年である。微粒子は、大部分が気道の粘液によって食道へ送り出されるが、残り(4分の1程度)が肺に沈着する。

肺に沈着した粉塵は、アルファ線を放出するので極めて有害な物質である。プルトニウムの毒性は主に内部被爆によるものに注視すべきである。

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※出典:Weblio辞書&原子力資料情報室(CNIC)

ラジウム226 Ra226

ラジウムの放射性同位体で天然に存在する。半減期は約1600年と非常に長い。

19世紀にキュリー夫人によって発見された 初の放射性物質である。当初は発光塗料や医療用の放射線源などにも用いられており、比較的身近な物質だった。2011年10月、東京都世田谷区弦巻で局地的に高い放射線量が検出され、福島第一原発

から放出された放射線スポットかと騒ぎとなったが、その後の調査で、民家の床下に放置されていたラジウム226のためだと分った。

カルシウムと似た性質を持ち体内に入ると、骨内部に不均一に分布する。体内に取り込まれたものの中で、骨に集まる分の比率は低いが、骨に入れば長く残留する。骨内部のラジウム-226の崩壊で生じるラドン-222の70%が血液を通って体外に放出される。ラジウムは土壌から植物によって吸収され、生物の食物連鎖に入る。

生体に対する影響ラジウム-226・ラドン-222と崩壊生成物が放出するアルファ線による内部被曝が問題になる。10,000ベクレルを吸入した時の実効線量は22ミリシーベルト、経口摂取した時は2.8ミリシーベルトになる。また、1mの距離に100万ベクレルの小線源があると、ガンマ線によって1日に0.0054ミリシーベルトの外部被曝を受ける。

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