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平成29年度石油産業体制等調査研究 (我が国の自動車部門におけるエネルギー供給構造等の在り方に関する調査) 調査報告書 2018330経済産業省 資源エネルギー庁

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Page 1: 経済産業省資源エネルギー庁 - Minister of Economy, …2-4.バス単体のCO2排出量分析 3.バイオ燃料・合成燃料の諸外国の方向性 3-1.調査の背景・目的・概要

平成29年度石油産業体制等調査研究(我が国の自動車部門におけるエネルギー供給構造等の在り方に関する調査)調査報告書

2018年3月30日

経済産業省 資源エネルギー庁

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目次

2

1.自動車部門の地球温暖化対策に関する世界と日本の主な潮流

1-1.調査の背景・目的・概要

1-2.気候変動に対する自動車部門の取組

1-3.自動車部門を取り巻くエネルギーインフラの状況

1-4.技術開発、並びに社会情勢の変化の潮流

2.2050年を踏まえた自動車単体CO2排出量分析

2-1.分析の背景・目的・概要

2-2.乗用車単体のCO2排出量分析

2-3.トラック単体のCO2排出量分析

2-4.バス単体のCO2排出量分析

3.バイオ燃料・合成燃料の諸外国の方向性

3-1.調査の背景・目的・概要

3-2.再エネ由来合成燃料

3-3.バイオ燃料

4.自動車部門におけるエネルギー供給構造等の在り方に関するシナリオと要検討事項

4-1.シナリオの検討

4-2.KPIの検討

4-3.シナリオ別KPI評価

4-4.要検討事項の整理

5.2030年までには達成する必要がある共通項目・課題・対応策

5-1.2030年までには達成する必要がある共通項目

5-2.課題と対応策

参考1.自動車部門の地球温暖化対策に関する各国政府の動向

参考2.海外ヒアリング結果概要

8

8

11

25

34

43

43

46

58

70

85

85

89

94

110

110

120

122

142

144

144

146

169

209

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事業目的と事業内容

【事業目的と事業内容】

我が国の自動車部門におけるエネルギー供給構造等の在り方について検討

事業目的

2050年を見据えて、自動車部門におけるCO2排出量削減のための国内外の動向等を調査・分析することで、我が国の自動車部門におけるエネルギー供給構造等の在り方について検討することを目的とする

事業内容

次世代自動車の導入等に関する動向調査

各国の政策、自動車業界の目標値等の動向調査

自動車部門に対するエネルギー供給事業者の動向調査

海外のエネルギー供給事業者や低炭素燃料の動向調査

次世代自動車のLCA

車両構成シナリオ毎にCO2排出量削減効果を算定・比較

自動車部門におけるCO2排出量の大幅削減に向けたエネルギー供給構造等の在り方に関する論点を整理

2050年までに自動車部門でCO2排出量を80%削減する目標を立てた場合、目標達成に必要なシナリオを複数検討し、達成必要がある共通項目を抽出

自動車業界や石油事業者等が取り得る方策や課題などの論点整理

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検討ステップと資料の全体像

【検討ステップと資料の全体像】

地球温暖化対策動向調査・CO2排出量分析を元に、シナリオ・課題・対応策を検討

参考1.自動車部門の地球温暖化対策に関する各国政府の動向

CO2算定の参考値として、各国の次世代自動車導入目標や燃費目標等を整理

1.自動車部門の地球温暖化対策に関する世界と日本の主な潮流 自動車部門における将来のエネルギー供給構造の在り方を検討する前提として、世界の気候変動対策動向を

把握する為に、自動車部門の気候変動に係る取組、エネルギーインフラの状況、技術開発や社会情勢潮流等を整理

4.自動車部門におけるエネルギー供給構造等の在り方に関するシナリオと課題の方向性

自動車業界と石油事業者が協力し合えるシナリオを検討する為に、自動車部門の気候変動対策・低炭素燃料の動向やCO2排出量分析をもとに、シナリオ種類の検討、シナリオ別のKPI評価、要検討事項の整理を実施

5. 2030年までには達成する必要がある共通項目・課題・対応策 自動車業界と石油事業者が協力し合えるシナリオを達成する為に、2030年までには達成する必要がある共通項目を

抽出し、両業界における課題や対応策を整理

2. 2050年を踏まえた自動車単体CO2排出量分析 次世代自動車におけるCO2削減効果を検証する為

に、WtW・LCAの視点に基づき、車両のCO2排出量を分析

参考2.海外ヒアリング結果概要

日本国内での次世代バイオ燃料と合成燃料の適用可能性を探る為、欧州の事業者や政府機関にヒアリングを実施

3.バイオ燃料・合成燃料の諸外国の方向性

日本国内での次世代バイオ燃料と合成燃料の適用可能性を判断する為、海外の先進的取組や政策を調査

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エグゼクティブサマリ 1/3

自動車部門の気候変動対策の潮流は?

2050年を踏まえた自動車単体のCO2排出量は?

気候変動対策としての次世代自動車導入や規制、人口動態の変化により、日本の自動車用燃料需要は減少するとともに、自動車技術の進展により自動車の産業構造も変革期に

地球温暖化に対する世界的な危機感の高まりを受け、パリ協定をはじめ、各国では温室効果ガス削減目標を設定しており、自動車部門でも内燃機関の効率改善を含めた自動車全体の低燃費化とともに、次世代自動車の目標設定・導入や規制等が進んでいる

各国・企業の低炭素化へのシフトや人口動態の変化に伴い、日本でも自動車用燃料需要は減少が予想される。また、既存の自動車用燃料供給インフラも減少が予想される一方で、次世代自動車向けインフラに関しては、普及に向けて目標値の設定並びに導入支援が行われている

上述した気候変動対策に伴う技術開発に加え、AI・IoT技術の普及、サーキュラーエコノミーへのシフトといった自動車技術の進展を巡る状況の変化は目覚ましく、自動車の産業構造が大きな変革期にさしかかっている

次世代自動車を含めた、自動車単体のCO2排出量を推計。LCAでは、HVもEV並みのCO2削減効果が推計されるが、2050年にCO2削減率80%の達成は困難と推計。WtWではEVでのみ80%の削減率を達成できる可能性があると推計

乗用車LCA:HVもEV並みの削減効果を有するが80%の削減率には未達。(2050年の低~高位ケースのLCAでは、HV(E10)が60~68%、EVが60~74%、FCVが48~67%の削減率を持つ(従来GV比) )WtW:EVで80%以上の削減率が見込まれる

トラックLCA:ゼロエミッション電源比率が低いケースでのみEVよりHVの方が削減効果が高く成り得るが、 80%の削減目標達成は内燃機関の高効率化だけでは困難で、EV・FCVの活用が必要不可欠(2050年の低~高位ケースのLCAでは、 HV(B10)が51~58%、EVが47~80%、FCVが41~75%の削減率を持つ(従来DV比))

バスLCA:内燃機関は80%の削減率に及ばず、EV・FCVの活用が必要不可欠(2050年の低~高位ケースのLCAでは、 HV(B10)が54~61% 、EVが66~88%、 FCVが9~72%の削減率を持つ(従来DV比))

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エグゼクティブサマリ 2/3

日本でのバイオ・合成燃料の適用可能性は?

自動車部門におけるエネルギー供給構造等の在り方に関するシナリオと要検

討事項は?

合成燃料は、今後バイオ燃料の需要がひっ迫しない限り日本では適用の意義はさほど無い

ドイツを含む欧州各国は、REDの輸送用燃料に占める再エネ割合義務を果たすためにPower-to-Gasに関する取組を進めているが、Power-to-Gas-to-Liquid(合成燃料)に関する政策は存在しない

合成燃料は、商用化時期が未定で、合成燃料の製造過程で生産される水素を直接燃料として利用すれば良いため、今後バイオ燃料の需要が相当ひっ迫しない限り、可能性は日本では限りなく低い

国産次世代バイオ燃料は、廃棄物系は製造可能量が少ないため日本での導入が難しく、技術的にセルロース系が最も早期に実現可能。藻類系は中長期的な実現可能性を思慮

次世代バイオ燃料は、現在は、欧州を中心に研究開発・商業化が進んでおり、特に、廃棄物系由来が進んでいるが、欧州でも補助金なしでの黒字化は難しい

国産次世代バイオ燃料のうち、欧州で商用化されている廃棄物系の製造可能量は少ない

国産次世代バイオ燃料を活用する場合、技術的にはセルロース系が最も早く可能性があり、藻類系は中長期的には可能性があるが、現状ではセルロース系・藻類系からでも製造可能量が限定的である点に留意が必要である

バイオ燃料の大量導入により、シナリオ②④に低炭素の意義も出てくるが、バイオ燃料供給量不足、トレードオフ関係、稼働率低下、 LCA非スタンダードといった要検討事項も存在する

将来のシナリオとして、車両構成・バイオ燃料活用パターンをもとに①再エネ大量導入(xEV約100%)②ポートフォリオ(xEV比率>HV比率+バイオ燃料等)③環境中位(IEAと同等)④燃費改善・バイオ燃料導入(xEV比率<HV比率+バイオ燃料等)⑤成行き(現状からの成行き)の計5パターンを想定

シナリオをCO2、GDP、エネルギーセキュリティの観点で評価した結果、シナリオ⑤の成行ではCO2削減は50%にも届かない中、燃料需要量は50%以上減少、製油所稼働率も50%程度まで減少してしまう

xEVを大量導入する場合をシナリオ①で想定しており、CO2でのみ意義が大きい(80%削減可能)が、現在の日本の内燃機関に係る技術的な強みを活かせない

他方、バイオ燃料を大量導入する場合は、シナリオ②④に総合的な意義(CO2に加え、GDP)が出てくる

よって、気候変動対策を確実に進めていくためには、将来の内燃機関に対するCO2削減対策としてバイオ燃料の導入も重要となり得る

一方で、バイオ燃料の供給量が限定的な場合には、CO2やDGPへの影響を踏まえ、バイオエタノールとバイオディーゼルへのバイオ燃料の導入優先度の検討が必要(トレードオフが生まれる)

また、CO2削減効果の算定方法でLCAがスタンダードではない場合、xEVと内燃機関の公平な評価が困難

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エグゼクティブサマリ 3/3

2030年までには達成する必要がある共通項目・課

題・対応策は?

バイオ燃料供給量の不足、バイオエタノール、バイオディーゼルの導入優先順位によるCO2

削減と車両競争力のトレードオフ関係、精油所稼働率の低下、 LCA非スタンダードという課題に対し、それぞれ複数の対応策が考えられる

2030年までには達成する必要がある共通項目として、バイオ燃料の大量導入に向けて供給量に関する問題の解決、CO2排出削減率とGDP(車両競争力)のトレードオフ関係の解消、稼働率の低下の解決、LCA非スタンダードが挙げられる

バイオ燃料供給量不足・ CO2排出削減率とGDP(車両競争力)のトレードオフ関係・製油所稼働率低下という課題に対して、対応策はそれぞれ複数考えられる

• バイオ燃料供給量の不足への対応策:バイオ燃料の開発輸入や海外プラントの活用検討、藻類由来バイオの製造効率向上に向けた技術開発、バックアップ燃料としての合成燃料の開発、バイオ燃料事業への投資、xEVの技術開発

• CO2排出削減率と車両競争力のトレードオフ関係への対応策:「バイオ燃料供給量の不足」「製油所稼働率の低下」課題への対応策

• 製油所稼働率の低下への対応策:石化シフト、処理原油・装置構成の変更、再エネ事業への投資、新規ビジネスモデルの構築

xEV比率が高いほど、石油業界としては、石化シフト、処理原油・設備構成の変更、再エネ事業への投資、新規ビジネスモデルの構築の必要性が高まり、自動車業界としては、xEVの技術開発の必要性が高まる

• 一方、xEVの比率が低いシナリオでは、石油業界としては、バイオ燃料の開発輸入検討、藻類の技術開発、合成燃料開発の必要性が高まり、自動車業界としても、バイオ燃料事業への投資が必要となり得る

また、CO2削減効果の算定方法においてLCAのスタンダード化は、xEV,と内燃機関の公平な評価につながるため、段階的な導入なども考慮しつつ継続した検討・対話が必要と考えられる

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1.自動車部門の地球温暖化対策に関する世界と日本の主な潮流

1-1.調査の背景・目的・概要

1-2.気候変動に対する自動車部門の取組

1-3.自動車部門を取り巻くエネルギーインフラの状況

1-4.技術開発、並びに社会情勢の変化の潮流

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調査の背景・目的・概要

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調査の背景・目的・概要

【調査の背景・目的・概要】

エネルギー供給構造の在り方検討に向けた前提として世界の気候変動対策動向を調査

調査の背景・目的

自動車部門における将来のエネルギー供給構造の在り方を検討する前提として、自動車部門の気候変動に係る取組、エネルギーインフラの状況、技術開発や社会情勢潮流等、世界の気候変動対策動向を把握することを目的とする

調査の概要

気候変動に対する自動車部門の取組• 各国の温室効果ガス削減目標• 温室効果ガス削減に向けた自動車部門の

取組

自動車部門を取り巻くエネルギーインフラの状況• 日本の人口動態と化石燃料需要• 次世代自動車向けインフラを含む世界の低炭

素化シフト状況

技術開発、並びに社会情勢の変化の潮流• AI・IOT化に向けた取組状況• 気候変動対応に伴う技術開発状況• サーキュラーエコノミーに向けた取組状況

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自動車部門の地球温暖化対策に関する世界と日本の主な潮流のまとめ

日本は人口動態変化により化石燃料需要が減少することが予想され、金融機関も低炭素化に舵取りしていることから、ガソリンスタンドや石油精製設備は減少していく

一方で、次世代自動車向けインフラ普及に向けて目標設定・導入が進む

2.自動車部門を取り巻くエネルギーインフラの状況

1.気候変動に対する自動車部門の取組

自動車技術は、 ”AI・IoT””気候変動対応に伴う技術開発””サーキュラーエコノミー”等、進展のサイクルが目覚ましく、自動車の産業構造が変革期を迎えている

3.技術開発、並びに社会情勢の変化の潮流

地球温暖化に対する世界的な危機感の高まりを受け、各国にて温室効果ガス削減目標を設定

主要な温室効果ガス排出源である自動車部門において、温室効果ガス削減に向けた規制や、次世代自動車の目標設定・導入が進む

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1.自動車部門の地球温暖化対策に関する世界と日本の主な潮流

1-1.調査の背景・目的・概要

1-2.気候変動に対する自動車部門の取組

1-3.自動車部門を取り巻くエネルギーインフラの状況

1-4.技術開発、並びに社会情勢の変化の潮流

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世界の潮流:パリ協定の概要

【気候変動に対する自動車部門の取組 –世界全体– 】

COP21で「パリ協定」が採択され、CO2排出量の大幅削減が国際的なアジェンダへ

背景・目的

先進国のみに削減目標に基づく削減義務を課すこととしていた「京都議定書(COP3)」の採択以降、新興国を中心とした開発途上国の温室効果ガス排出量が急増したことから、途上国を含む全ての参加国に削減義務を負わせることが必要となり、「パリ協定(COP21)」が採択された

世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つ(今世紀後半に実質ゼロ・エミッションにする)とともに、1.5℃に抑える努力を追求すること、適応能力を向上させること、資金の流れを低排出で気候に強靱な発展に向けた道筋に適合させること等によって、気候変動の脅威への世界的な対応を強化することが狙い

主な内容

削減目標策定

主要排出国・途上国を含む全ての国が、削減目標を策定し国内措置を遂行、その後5年ごとに削減目標を提出

実施状況の確認

協定の目的及び長期目標の達成に向けた全体的な進捗を評価するため、協定の実施を5

年毎に確認

報告・レビュー

自国の取組状況を定期的に報告し、専門家によるレビューを受ける

出所:環境省「パリ協定の概要」 (2018年3月末時点)

発効要件

国数:55か国以上 温室効果ガス排出量:全排出量の55%以上を占める国

発効要件上の各国の排出量割合(2016年1月)

中国, 20.1%

米国, 17.9%

EU(28か国),

12.1%

ロシア, 7.5%インド, 4.1%

日本, 3.8%

ブラジル, 2.5%

カナダ, 2.0%

韓国, 1.9%

メキシコ, 1.7%

インドネシ

ア, 1.5%

オーストラリ

ア, 1.5% その他, 23.4%

図 1-1

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日本の取組:地球温暖化対策計画の概要

【気候変動に対する自動車部門の取組 –日本– 】

パリ協定を踏まえ、日本は長期目標として2050年GHG排出量の80%削減を設定

背景・目的

フランス・パリで開催されたCOP21で、全ての国が参加する公平で実効的な2020年以降の法的枠組みとして「パリ協定」が採択されたことを受けて、地球温暖化対策推進本部において「パリ協定を踏まえた地球温暖化対策の取組方針について」を決定し、「地球温暖化対策計画」を策定

気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準で大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させ、地球温暖化を防止することが狙い

出所:環境省「地球温暖化対策計画」 (2018年3月末時点)

目標 目標達成のための対策・施策

地球温暖化対策・施策

温室効果ガス排出削減、吸収源対策

分野横断的施策

目標達成のため施策:J-クレジット制度の推進、国民運動の展開等

その他関連施策:水素社会の実現、温室効果ガス排出抑制等指針に基づく取組、二国間オフセット・クレジット制度(JCM) 等

基盤的施策

気候変動枠組条約に基づくCO2排出・吸収量の算定のための国内体制の整J-クレジット制度の推進、地球温暖化対策技術開発と社会実装 等

温室効果ガスの排出削減対策:エネルギー起源二酸化炭素、非エネルギー起源二酸化炭素、メタン等

温室効果ガス吸収源対策:森林吸収源・農地土壌炭素吸収源対策等

自動車関連施策自動車単体対策 次世代自動車の普及、燃費改善 バイオ燃料の供給体制整備促進 等道路交通流対策 ETC2.0を活用したビッグデータ等の科学的な分

析に基づく渋滞ボトルネック箇所へのピンポイント対策 等

環境に配慮した自動車使用等の促進による自動車運送事業等のグリーン化 運送事業者等を対象とした、エコドライブ管理シ

ステム(EMS:Eco-drive Management System)の普及・促進 等

公共交通機関及び自転車の利用促進 鉄道新線、LRT、BRT等の公共交通機関の整備

や、交通結節点の官民連携整備等による交通モード間の接続(モーダルコネクト)の強化 等

低炭素物流の推進 トラック輸送の効率化、共同輸配送の推進 等

温室効果ガス削減中期目標:2030年度26.0%減( 2013年度比)長期目標:2050年までに80%削減を目指す

温室効果ガス吸収源2030年度約2,780万t-CO2

吸収量、農地土壌炭素吸収源対策及び都市緑化等の推進により約910万t-CO2吸収量確保

図 1-2

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各国の取組:温室効果ガス削減目標

【気候変動に対する自動車部門の取組 –諸外国– 】

また、各国でも大幅な温室効果ガス削減に向けた長期戦略が策定された

2030年 2050年

温室効果ガス排出量の削減目標

50%

80%

30%

ドイツ 温室効果ガス排出

量を80~95%削減(1990年比)

イギリス 温室効果ガス排出

量を80%削減(1990年比)フランス

温室効果ガス排出量を75%削減(1990年比)

ノルウェー 温室効果ガス排出

量を国内で少なくとも40%削減(1990

年比)

中国 GDP当たりのCO2

排出量を、60~65%削減(2005年比)

韓国 温室効果ガス排出

量を37%削減(BAU比)

インド GDP当たりのCO2

排出量を33~35%削減(2005年比)

米国 温室効果ガス排出

量を80%削減(2005年比)

出所:INCD「 INDCs as communicated by Parties」、経産省「パリ協定における長期目標と各国の長期戦略の位置付け」 (2018年3月末時点)

図 1-3

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自動車CO2排出量削減に関する規制や取組概要

【気候変動に対する自動車部門の取組 –諸外国– 】

温室効果ガス削減に向けて、各国では、自動車に関する規制や取組が進んでいる

自動車CO2排出量(t-CO2)

車両台数(台)

燃料消費量(ℓ/台)

排出係数(t-CO2/ℓ)

ZEV規制

ガソリン・ディーゼル車規制

燃費規制 燃料の品質改善

バイオ燃料活用

・・・

・・・

・・・

1

2

3 4

5

水素活用

6

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各国の取組:ZEV規制

【気候変動に対する自動車部門の取組 –諸外国– 】

各国でZEV規制が進み、次世代自動車の普及を後押し

概要

CO2排出規制主要OEMに、平均排出量を一定値以下に抑えることを要請。’93年から実施しており、’21、’25年に基準値が厳格化見込み。基準未達の場合は罰金を支払う必要がある

• ‘15年:130 ⇒ ’21年:95

⇒‘25年:68~78(g-

CO2/km)

• EU全域で規制が適用

• 超過排出量×販売台数×95€を支払う必要がある

規制なし現時点では罰金を伴う規制はない。ただし、政府目標として、‘30

年にFCVを80万台普及し、PHV/EVで保有比率16%を目標に掲げている。さらに、ICCTは、排出目標値として‘20年:114g-CO2/km

(20.3km/l相当)を目指すべきと主張している

ZEV規制主要OEMに対し、一定割合のZEV販売を要請。’05年から加州にて実施しており、‘18年以降は、規制対象OEMが拡大見込み。 クレジット*1購入での対応も可

• ’18年:4.5%⇒‘25年:22%

• 現状加州のみだが、ZEV

賛同州は加州を含め10州存在

• 罰金は1クレジット5千ドル。‘14年には2百ドルで取引されている

NEV規制主要OEMに対し、一定割合のNEV販売を要請。‘18年から導入予定。基準未達の場合は罰金を支払うか、他社からクレジットを購入する必要がある。

• ‘18年:7%(北京市案)。以後段階的に比率が引き上げ見込み

• 現状では適用地域の規定なし

• 罰金は過去1年の平均クレジット売買価格の3~5倍になる見込み

*ZEV(Zero Emission Vehicle):排出ガスを一切出さない自動車

1

出所: 欧州委員会、ジェトロ、経済産業省、FOURIN (2018年3月末時点)

図 1-4

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各国の取組:ガソリン・ディーゼル車販売規制

【気候変動に対する自動車部門の取組 –諸外国– 】

排ガス低減等から各国で車両販売規制が進み、ガソリン・ディーゼル車比率の低下を後押し

中国 産業情報技術省副大臣

は、ガソリン車およびディーゼル車の生産・販売を禁止する検討を開始

フランス 環境・エネルギー・海

洋省大臣は、2040年からガソリン車とディーゼル車の販売を禁止する方針を発表

イギリス 環境・食糧・農村地域省大

臣は、2040年からガソリン車とディーゼル車の販売を禁止する方針を発表

オランダ 労働党は、25年以

降のディーゼル車やガソリン車の販売禁止を検討

ノルウェー ノルウェー議会は、25

年以降のディーゼル車やガソリン車の販売禁止を検討

ドイツ メルケル首相が、ディー

ゼル車の改良と電気自動車(EV)への投資を同時に進める「二正面作戦」が必要と発言

インド 電力省大臣は、30年まで

に販売する車をすべてEVにする」との目標を表明

2

出所:Reuters、日本経済新聞、BBC (2018年3月末時点)

図 1-5

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各国の取組:燃費規制

【気候変動に対する自動車部門の取組 –諸外国– 】

各国で燃費規制が進み、自動車の低燃費化を後押し

規制目標値実績値

(年)

(g/km)

Renault 110

Peugeot 115

Fiat 116

Toyota Europe 116

Citroen 116

Seat 119

Ford-Werke GmbH 122

Skoda 125

Dacia 127

VW 127

Kia 128

Volvo Car 131

Nissan 131

<参考:2013年欧州OEMの乗用車平均CO2排出量(g/km)>

60

80

100

120

140

160

180

200

220

240

2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030

米国 EU 日本 中国 韓国 インド ブラジル

※ ICCTの資料には中国は117g/kmとされていたが、2014年2月中国政府機関(MIIT)より2020年の規制値を120g/kmとする意見徴収案が発表された為、120g/kmを採用

韓国:2020年97g/km

米国:2020年125g/km

ブラジル:2017年138g/km

中国:2020年120g/km

インド:2021年113g/km

欧州:2025年(proposal)81/km(21年の-15%)

欧州:2021年95g/km

3

欧州:2030年(proposal)67/km(21年の-30%)

日本:2020年122g/km

出所:The International Council On Clean Transportation資料、環境省資料、欧州委員会公開資料をもとにデロイト作成 (2018年3月末時点)

図 1-6

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輸送用燃料とバイオ燃料への温室効果ガス(GHG)削減義務

【気候変動に対する自動車部門の取組 –諸外国– 】

欧州で燃料の品質改善が進み、自動車の排出係数低下を後押し

Fuel Quality

Directive

&Renewable

Energy

Directive

(輸送用燃料GHG

削減義務)

Fuel Quality

Directive

&Renewable

Energy

Directive

(バイオ燃料GHG

削減義務*2)

2011年

• 輸送用燃料には、ガソリン、ディーゼル、バイオ燃料やガスオイルが含まれる

• 削減義務の対象はライフサイクル全体

• バイオ燃料の原料は、生物多様性保護に準拠して製造されたものを対象とする

• 削減義務の対象はライフサイクル全体

2020年

*1RED = Renewable Energy Directive (再生可能エネルギー指令) *2 =代替する化石燃料比

2016年 2017年

-6%(2010年比:

94.1g-CO2/MJ)

-35%

(ガソリン比)

-6% (2010年比:

94.1g-CO2/MJ)

※2020年以降はFQDの継続としてRED*1がGHG

削減義務を続行

4

出所: 欧州委員会 「Fuel Quality」 (2018年3月末時点)

-50%

(ガソリン比)※2015年以前運転開始設備

-60%

(ガソリン比)※2015年以降運転開始設備

図 1-7

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各国の取組:バイオ燃料の活用状況

【気候変動に対する自動車部門の取組 –諸外国– 】

各国でバイオ燃料活用に向けた取組が進み、自動車の排出係数低下を後押し

出所;経済産業省「平成28年度石油産業体制等調査研究バイオ燃料を中心とした我が国の燃料政策のあり方に関する調査)(バイオエタノール関連)報告書」

5

国名 導入目標 導入形態 支援措置第一世代バイオ燃料の

位置付け日本への供給可

2017 年度に50 万Kl(輸送用燃料に限らず)対象:石油精製業者

ETBE、E3

(対応車はE10まで可)

揮発油税の免税措置あり 導入目標達成に際し、削減量算定時、第二世代バイオ燃料は2 倍カウント

2020 年に輸送用燃料の10%(バイオ燃料以外の再生可能エネルギーを含む。)対象:加盟国政府を通じて目標を達成

E5/E85/ET

BE など、

国により異なる

各国にて税制優遇措置等あり 導入目標達成に際し、セルロース系は2/4 倍カウント

輸出余力無し

2013/14 年以降、輸送用燃料の 5%対象:年間450kL 以上の輸送用燃料供給事業者

E5/B7 RTFO 開始に伴い、減税措置は廃止

RED に準じる 輸出余力無し

2020 年までに、 GHG 排出量削減率を6%

対象:石油供給事業者

E5/B7 現在では代替燃料による削減しか認められていないが、2017 年

以降は石油製油所における効率改善も認められる

RED に準じる 輸出余力無し

2020 年に輸送燃料の 20%対象:燃料供給事業者

E10、一部E15

B2/B5/B20

先進型バイオ燃料や航空用バイオ燃料に対する助成あり

導入義務としてセルロース系バイオ燃料枠あり

トウモロコシ由来エタノールの輸出可能性あり

2018 年度以降、輸送用燃料に占めるバイオディーゼルの混合比率3.0%とする目標を設定対象:石油精製業者又は石油輸出入業者

B2

次世代バイオ燃料の開発を推進

輸出余力無し

日本

イギリス

米国

ドイツ

EU

韓国

表 1-1

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各国の取組:水素の活用状況

【気候変動に対する自動車部門の取組 –諸外国– 】

各国で水素活用に向けた取組も進み、自動車の排出係数低下を後押し6

Step1:FY2017~2020 Step2:FY2020~2030

米国

Step3:FY2030~

日本

欧州

*1: 民間企業6社が2014年に立ち上げた水素ステーション整備等を目指すコンソーシアムであり、 BMVI(German Federal Ministry of Transport and Digital Infrastructure)やFCH2JUからの支援を受ける出所:各国公式発表資料、FCHJU公式ウェブサイト、「Fuel Cell Electric Vehicle Deployment and Hydrogen Fuel Station Network Development」(CalEPA、2014/6)、H2 Mobility公式ウェブサイト、

German Renewable Energy Act (EEG 2017)、「CALIFORNIA’S 2030 CLIMATE COMMITMENT」(Cal/EPA、2015)

ドイツの普及目標

官民コンソーシアムH2 Mobility*1が発表

水素ST : 約400箇所程度(~2023年度)

FCH2JUにおいて、水素製造・流通・利用といった幅広い領域で実証実験を展開

カリフォルニア州の普及目標

FCV : 約1.8万台(~2020年)

水素ST : 約100箇所(~2020年)

計画・戦略立案/研究開発・実証推進

水素エネルギーソリューション展開

水素・燃料電池普及に向けた導入・開発目標を設定、順次実行

「水素・燃料電池戦略ロードマップ」を策定、順次実行

※「水素供給国との戦略的協力関係」構築を目指すFCV : 約20万台(~2025年)

約80万台(~2030年)

水素ST : 約160箇所(~2020年度)約320箇所(~2025年度)

取組み・普及目標

日本の普及目標

図 1-8

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各国の取組:次世代自動車導入の現状と目標

【気候変動に対する自動車部門の取組 –諸外国– 】

温室効果ガス削減に向けて、次世代自動車の普及に向けて目標設定・導入が進む

国名全自動車台数

(2016年)

EV・PHV定量台数の現状と目標

2016(現状) 2020(目標) 2030(目標) 2040(目標)

8,000万台 15万台(累計) 100万台(累計)20~30%

(新車販売)

4,000万台 9万台(累計) 150万台(累計)ガソリン・ディーゼル販売終了

4,000万台 8万台(累計) 200万台(累計)ガソリン・ディーゼル販売終了

5,000万台 7万台(累計) 100万台(累計) 600万台(累計)

1億6,000万台 65万台(累計) 500万台(累計) 8,000万台(累計)

2,500万台 56万台(累計)150万台(累計)

(2025年目標)米国

フランス

中国

イギリス

ドイツ

日本

出所:経済産業省「地球温暖化について」 (2018年3月末時点)

表 1-2

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次世代自動車*1の市場普及率予測(2DS)

【気候変動に対する自動車部門の取組 –国際機関– 】

IEAでは、2050年に向けて次世代自動車が全世界で主流になると予測

出所:IEA/ ETP「Energy Technology Perspectives2012」 (2018年3月末時点)

*1 FCV,EV,PHV,HVのことを指す

図 1-9

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民間企業の取組:主要な自動車メーカーの次世代自動車化目標

【気候変動に対する自動車部門の取組 –自動車関連事業者– 】

主要な自動車関連事業者も、次世代自動車の導入目標を設定

2020年 2030年2025年2017年

HV

EV

FCV

• HVの累計販売台数目標を1500万台と設定(2020年)

• FCVを市場投入予定(2020年)

• EVの販売目標を2

~300百万台(20%

~25%)と設定(2025年)

• 販売車両数の2/3を電動化車両への転換を設定(2030年)

• PHEV/BEVの比率目標を販売台数の15%と設定(2025年)

• BEVの販売目標を10万台/年と設定(2020年)

2050年

• 2050年における販

売台数の大部分を次世代自動車にすることを目指す(2050年)

想定販売割合推移

―【EV or HV】

販売台数の15%~25%

【EV or HV】販売台数の60%(2/3)程度

【EV or HV】販売台数の大部分

出所:TOYOTA HP、HONDA HP、Daimler HP、BMW GROUP、Volkswagen HP (2018年3月末時点)

図 1-10

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1.自動車部門の地球温暖化対策に関する世界と日本の主な潮流

1-1.調査の背景・目的・概要

1-2.気候変動に対する自動車部門の取組

1-3.自動車部門を取り巻くエネルギーインフラの状況

1-4.技術開発、並びに社会情勢の変化の潮流

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日本の人口動態変化によるガソリン需要に与える影響

【自動車部門を取り巻くエネルギーインフラの状況 –日本– 】

日本は、人口動態変化により、今後の自動車用燃料需要の減少が想定される

93.5%

95.3%

96.3%96.9%

90%

91%

92%

93%

94%

95%

96%

97%

98%

99%

100%

2015 2020 2025 2030

127,975

126,496

124,310

121,581

118,000

120,000

122,000

124,000

126,000

128,000

130,000

2015 2020 2025 2030

出所:UNITED NATIONS 「World Population Prospects 2017」、UNITED NATIONS 「World Urbanization Prospects」 (2018年3月末時点)

(千人)

人口の減少により車両台数が減少 都市化率の増加による走行距離が減少

次世代自動車の普及、燃費向上も合いまって、自動車用燃料需要が減少していくことが想定される

人口推移 都市化率推移 図 1-12図 1-11

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【自動車部門を取り巻くエネルギーインフラの状況 –日本– 】

IEAでも、日本の石油需要が減少することを予測

出所:IEA「World Energy Outlook 2016」 (2018年3月末時点)

617

492

418

336

278

250

300

350

400

450

500

550

600

650

1990 2014 2020 2030 2040

(百万トン)

日本の石油需要予測(Current Policies)

図 1-13

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産油国(サウジアラビア)の非石油化シフト

【自動車部門を取り巻くエネルギーインフラの状況 –諸外国– 】

産油国も非石油化にシフトしており、世界の石油生産量も減少する可能性

2030年までに再生可能エネルギー発電量9.5GWを目指す

2017年初頭、2023年までに当該領域に300億~500億USDの投資を呼び込む計画であることを発表

“Saudi Energy Efficiency

Program”を通じてエネルギー利用効率化方針明確化

エネルギー需要の90%を占めるBuilding、Transport、 Industryの3分野に焦点を絞り、基本戦略立案

複数プログラム推進中

産業振興 石油依存からの脱却と

経済の多様化を目指す

GDPにおける非石油製品の輸出割合を16%から50%に引き上げることを目指す

製造分野での産業機器部門国内化や、旅行分野での観光ビザ申請プロセス改善等、有望な分野の開発推進

パリ協定に批准

2030年までにCO2排出量を1.3億t

削減すると表明

2015年から、発電所等から大規模に排出されたCO2を回収・貯蔵するプロジェクトを開始

環境負荷低減

省エネルギー

エネルギーセキュリティ

出所;Kingdom of Saudi Arabia 「Saudi Vision 2030」、 SASO(Saudi Standards, Metrology and Quality Organization)公式ウェブサイト、「Saudi Arabia Says It’s About to Launch a

$30-$50 Billion Renewable Energy Program」(Fortune、2017/1/16)、Saudi Energy Efficiency Program 「 Saudi Energy Efficiency Program 」、Global CCS Institute (2018年3月末時点)

図 1-14

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金融機関のダイベストメント例(投資撤退)

【自動車部門を取り巻くエネルギーインフラの状況 –諸外国– 】

金融機関も低炭素化に舵取りしており、石油精製設備への再投資が進まない恐れ有

金融機関のダイベストメントの呼びかけ

年 国名 組織名 概要 説明

2015年モルガンスタンレーウェルズ・ファーゴ

石炭からの投融資引揚げ

米金融機関大手のモルガン・スタンレーおよびウェルズ・ファーゴは12月1日、世界の石炭関連産業に対する投融資を削減・打ち切りする新方針を公表

2015年 バンクオブアメリカ 石炭分野融資の中止石炭関連融資削減の方針を公表:石炭産業への資金提供を大幅に減らす新方針「コール・ポリシー」を採択し、国際的金融機関としては最初の「脱化石燃料銀行」へ

2016年 JPモルガン・チェース新たな炭鉱への融資をやめる

米銀JPモルガン・チェースは全世界の新たな炭鉱には融資せず、経済協力開発機構(OECD)加盟の「高所得」国で開発中の新規の石炭火力発電所に対する支援中止を決定

2017年 ドイツ銀行石炭火力発電所建設及び石

炭鉱山開発への融資を中止

ドイツ銀行は、パリ協定の趣旨に沿う金融機関の温暖化対応策として、新規の石炭火力発電所の建設と新規の石炭鉱山開発への融資を中止を決定

2017年 アクサ生命石炭関連企業と

損害保険サービス停止

保険世界大手フランスのアクサの運用子会社アクサ・インベストメント・マネジャーズは、石炭関連事業が売上の50%以上を占める企業から投資引揚げ(ダイベストメント)を実施することを発表

2017年 アクサ生命石炭ダイベストメント対象を約

3200億円に拡大

ダイベストメント額を約3,200億円に引き上げ、オイルサンド事業からのダイベストメントも実施。さらに、石炭火力発電プロジェクトとオイルサンド事業への保険サービスも停止。新たなダイベストメント対象企業としてすでに日本企業含む113社が選定

2017年ロイズ・

コーポレーション石炭関連銘柄を除外する石

炭ダイベストメントを採用同社の中核ファンド「セントラル・ファンド」の約75%で、石炭関連銘柄を除外する石炭ダイベストメントを採用すると発表

2017年 チューリッヒ保険石炭関連企業からのダイベス

トメントと保険引受停止売上の半分以上を石炭関連事業から得ている企業からの投資引揚げ(ダイベストメント)と保険引受停止を発表

米国

フランス

ドイツ

米国

フランス

イギリス

米国

スイス出所:CommonDreams、Bank of America、Bloomberg,、The New York Times、AXA、Sustainable Japan

(2018年3月末時点)

表 1-3

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日本の原油処理能力と製油所数の推移

【自動車部門を取り巻くエネルギーインフラの状況 –日本– 】

日本の原油処理能力・製油所数は、需要減少にともない、減少傾向

出所:石油連盟「製油所の所在地と原油処理能力」「今日の石油産業2017」 (2018年3月末時点)

4,455,924 3,916,700

3,518,800

27

2322

0

5

10

15

20

25

30

0

1,000,000

2,000,000

3,000,000

4,000,000

5,000,000

6,000,000

2011 2015 2017

蒸留塔処理能力 製油所数

蒸留塔処理能力

製油所数

(バレル/日) (箇所)

図 1-15

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日本のガソリンスタンドの推移

【自動車部門を取り巻くエネルギーインフラの状況 –日本– 】

日本のガソリンスタンド数は、ガソリン等需要の減少、後継者難等により減少傾向

<商用水素> 燃料電池実用化推進協議会「商用水素ステーションの普及状況」「次世代自動車ガイドブック2014、2015」より引用。<急速充電器> チャデモ協議会、急速充電器設置箇所の<天然ガススタンド> (一社)日本ガス協会、天然ガス自動車普及状況<LPガススタンド> (株)石油化学新聞社 「LPガス資料年報 」各年版<ガソリンスタンド> 資源エネルギー庁「揮発油販売業者及び給油所数の遷移(登録ベース)H28」(2018年3月末時点)

(設置箇所数)

6,469

3,087

1,8821,677

848

1,8501,8761,8981,8741,867

79322

37,000

34,000

6,000

2,000

4,000

3,000

36,000

35,000

33,000

32,000

1,000

0

5,000

31,467

2016

34,706

2015

36,439

321

2014

290314

2013

282

32,333

2012

300

33,510

天然ガススタンド

急速充電器

商用水素ステーション

ガソリンスタンド

LPガススタンド

ガソリン等需要の減少、後継者難等により減少

図 1-16

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次世代自動車向けインフラ普及目標

【自動車部門を取り巻くエネルギーインフラの状況 –諸外国– 】

一方、各国では、次世代自動車向けインフラ普及に向けて目標設定・導入が進む

国名 インフラ普及目標

経産省はEV・PHVロードマップにて、2020年までに約2.8

万基公共用充電器を追加で設置する方針を公言

連邦政府が48の州間高速道路をEV充電回廊に指定し、約50マイル間隔で充電ステーションを設置するべく、最高45億ドルのローン保証を提供することを2016年に公表※いつまでの設置を目標とした予算なのかは不明

2020年までに、7,100基の急速充電器を設置する予定※普通充電も1万箇所に設置予定

2020年までの充電スタンド整備に42億円を投資することを決定

2030年までに700万基の充電器設置を計画

2030年までに全国で8,000万基の充電スタンドを目指すと発表

明確なインフラ目標は公言されていない

• 「FAMEインディア計画」において技術開発、需要創出、パイロットプロジェクト、充電インフラ整備を支援すると発表されたのみ

0

50,000

100,000

150,000

200,000

250,000

2012 2013 2014 2015 2016

日本 米国 ドイツ イギリス フランス 中国 インド

EV用充電器の普及状況

(箇所)

出所:経済産業省「EV・PHV ロードマップ検討会 報告書」、The White House「Obama Administration Announces New Actions To Accelerate The Deployment of Electrical Vehicles and

Charging Infrastructure」、Nationale Plattform Elektromobilitaet「Charging Infrastructure for Electric Vehicles in Germany – Status Report and Recommendations 2015」、IEA「United

Kingdom-charging Infrastructure」、Marklines「中国の技術ロードマップ:2030年に向けた省エネルギー/新エネルギー車の数値目標と方向性」、IEA 「Global EV outlook 2017」、Department

of Heavy Industry Ministry of Heavy & Public Enterprises Government of India「FAME India Scheme

Overview」 (2018年3月末時点)

米国

フランス

インド

中国

イギリス

ドイツ

日本

図 1-17表 1-4

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海外のエネルギー供給事業者等10傑*のCO2削減シナリオ

【自動車部門を取り巻くエネルギーインフラの状況 –石油関連事業者– 】

主要な石油関連事業者も、内燃機関向け燃料対策を主にしたCO2削減目標を設定

*SPEDA業界分類「石油・ガスメジャー」の上場企業売上高TOP10企業を抽出

売上高

1位

2位

3位

4位

5位

6位

7位

8位

9位

10位

企業名

China Petroleum &

Chemical Corporation

PETROCHINA COMPANY

LIMITED

ROYAL DUTCH SHELL

PLC

Exxon Mobil Corp

BP PLC

Total SA

Chevron Corp

PUBLIC JOINT STOCK

COMPANY GAZPROM

PETROLEO BRASILEIRO

SA - PETROBRAS

Eni SpA

CO2削減シナリオの有無

有(2℃シナリオと整合)

有(2025年GHG43%減)

次世代自動車向け燃料の対策

天然ガス車

FCV向け

バイオ燃料

EV向け

内燃機関向け燃料の対策

次項で企業の認識を紹介

次項で企業の認識を紹介

出所:SPEEDA、 China SINOPEC HP、 Petro China「 Sustainability Report 2016」、 Shell Global HP、ExxonMobil HP、 BP「Sustainability Report 2016」、 TOTAL HP、 Chevron HP、 Gazprom「 Sustainability Report 2014-15 」、 Petrobras HP、 Eni HP (2018年3月末時点)

表 1-5

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1.自動車部門の地球温暖化対策に関する世界と日本の主な潮流

1-1.調査の背景・目的・概要

1-2.気候変動に対する自動車部門の取組

1-3.自動車部門を取り巻くエネルギーインフラの状況

1-4.技術開発、並びに社会情勢の変化の潮流

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その他技術・社会情勢の変化の潮流サマリ

【技術開発、並びに社会情勢の変化の潮流-サマリ-】

”AI・IoT””気候変動対応に伴う技術開発””サーキュラーエコノミー”も今後進んでいく

AI・IoT

気候変動対応に伴う技術開発(技術革新)

サーキュラーエコノミー

WP29やISOでは、AI・IOT、次世代自動車について標準化を進めており、今後普及が予想される

次世代自動車が主流になるのを見越し、USでは蓄電池の改良を推進しているなど、今後取組が進むことが予想される

サーキュラーエコノミーの一環として、シェアリングが増加しており、今後も普及が予想される

概要

1

2

3

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自動運転、次世代自動車に係る標準化の議論

【技術開発、並びに社会情勢の変化の潮流-AI・IoT- 】

AI・IOT、次世代自動車について標準化を推進しており普及が予想される

技術基準:WP29

自動運転、次世代自動車(EV,HV,FCV)における安全性・環境性能の技術基準と相互認証を議論 サイバーセキュリティとデータ保護に関するガイドラインを発

行 自動運転においてgoogleX等の民間企業もプレゼンテーショ

ンを実施

国際標準:ISO

パワートレインや、IOTといった分野において国際規格の標準化を実施 ISO/TC22 :自動車

主に電動化について。また、非接触充電等のインフラも規格化(ISO/PAS 19363:2017)

ISO/TC204 :IOT関係 自動運転標準化委員会も設置

国際基準・標準化

日本の基準・標準化

自動走行における基準・標準化の日本の体制

自動走行に対して国際標準化を推進する体系化

一方で他の領域(サイバーセキュリティ、パワトレ等)は未知数

標準化を推進しその結果を踏まえ、新興国に対しては、以下の対応方針を経済産業省は掲げている。

日本の車検制度や安全基準(WP29ベース)、充電インフラ等のシステムの海外展開、 相手国政府

による自動車産業政策の採択の働きかけ等を推進

出所:WP29 ホームページ、ISO ホームページ、経済産業省「自動車産業を巡る構造変化とその対応について」

(2018年3月末時点)

1

図 1-18

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バッテリーのエネルギー密度とコストの進化

【技術開発、並びに社会情勢の変化の潮流-気候変動対応に伴う技術開発- 】

USでは蓄電池の改良を推進しており、蓄電池の効率化が予想される

0

100

200

300

400

500

600

0

200

400

600

800

1,000

1,200

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2020 2022

US DOE battery cost(PHEV) US DOE enelgy density(PHEV)

Ba

tte

ryco

st (U

SD

/kW

h)

エネルギー密度4倍

Ba

tte

rye

ne

rgy d

en

sity (W

h/L

)

コスト1/4

//

//

2022 DOE target

(36%改善/7年)

2020 DOE target

(BEV)

2022 DOE target

(PHEV)

2022 GM社target(BEV)

出所:IEA「 Global EV Outlook 2016 」 (2018年3月末時点)

2

図 1-19

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カーシェアリング市場の市場規模予測(世界)

【技術開発、並びに社会情勢の変化の潮流-サーキュラーエコノミー- 】

サーキュラーエコノミーの一環でカーシェアリングが増加しており、普及が予想される

*1: 2014年までの「Strategic Insight of the Global Carsharing Market.」 (Frost and Sullivan)よりデロイト作成。2015年以降の数値はデロイト試算。「会員人数=会員世帯数」と仮定*2:中近東アフリカは、現在でカーシェアリング市場はほとんど存在せず、2030年時点でも少規模であるため試算値から外している

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

2006 2008 2010 2012 2014 2015 2020 2025 2030

会員世帯数*

1

カーシェリング車両数*

1

(千台)

(千世帯) 実績値 予測値

実績値 予測値

日本

北米

欧州

中国ASEAN

インド計

凡例*2

中南米

その他

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

2006 2008 2010 2012 2014 2015 2020 2025 2030

推計の前提• 2030年の会員数・車両数は、2014年の会員

数・車両に対して、2006~2010年のCAGRを掛け合わせ、更にカーシェアリング先進国のスイスのCAGRにて補正を行い算定

3

図 1-20

図 1-21

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カーシェアリングによる効果

【技術開発、並びに社会情勢の変化の潮流-サーキュラーエコノミー- 】

カーシェアリングにより、保有台数・走行距離が減少し、燃料消費量が削減3

出所:公益財団法人 交通エコロジー・モビリティ財団「カーシェアリングによる環境負荷低減効果の検証報告書」(2018年3月末時点)

保有台数の減少

走行距離の減少

燃料消費量が削減

0.45

0.17

0

0.2

0.4

0.6

カーシェアリング加入前 カーシェアリング加入後

1世帯当たり平均保有台数

カーシェアリングの加入により、1世帯当たり平均保有台数は、0.28台/

世帯減少(アンケート結果、N=491)

198.74

125.86

0

100

200

300

カーシェアリング加入前 カーシェアリング加入後

年間累積走行距離

カーシェアリングの加入により、年間累積走行距離は、72.88万km/

年減少(アンケート結果、N=491)

(台/世帯)

(万km/年)

図 1-22

図 1-23

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カーシェアリングによる燃料消費量*とCO2排出量の推計

(参考)

カーシェアリング利用により、燃料消費量・CO2削減効果は45%になる推計も存在

* 年間燃料消費量 = (保有車)+(レンタカー)+(カーシェアリング:カーシェアリング加入後のみ)出所:公益財団法人 交通エコロジー・モビリティ財団「カーシェアリングによる環境負荷低減効果の検証報告書」(2018年3月末時点)

160,363

88,402

373.16

206.22

0

50

100

150

200

250

300

350

400

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

140,000

160,000

180,000

カーシェアリング加入前 カーシェアリング加入後

燃料消費量 CO2排出量

燃料消費量

CO

2排出量

(ℓ/年) (t-CO2/年)

3

推計の前提• カーシェアリングに加入する

491世帯へ利用距離・車種等のアンケートを実施し、燃料消費量を推計したのち、CO2排出量を推計

図 1-24

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(参考)

「サーキュラー・エコノミー(循環型経済)」が世界経済フォーラムで提唱されている

出所: Intelligent Assets Unlocking the Circular Economy Potential(世界経済フォーラム、2015年)(2018年3月末時点)41

サーキュラーエコノミーの概念

3

サーキュラーエコノミーのコンセプト資源の有効利用や廃棄物削減と経済成長を両立

図 1-25

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(参考)

新たなサステナビリティ戦略として、欧州委員会は「サーキュラー・エコノミー・パッケージ」を採択

出所:欧州委員会プレスリリース http://europa.eu/rapid/press-release_IP-15-6203_en.htm

(2018年3月末時点)42

サーキュラー・エコノミー・パッケージの概要

目的

製品、材料及び資源の価値を可能な限り永く保持し、他方廃棄物の発生を最小化すること

新たなビジネス機会と革新的製品及びサービスによって経済と競争力を強化すること

経済的、社会的及び環境的利益を目的とすること

行動計画

Horizon2020から6億5千万€、構造化基金から55億€を資金提供

食品廃棄物について、共通的計測手法、賞味期限表示の改善、SDGsへの適合(食品廃棄物

を2030年までに半減)

二次材料(SRM)の信頼確保に向けた品質基準の策定

2015-17エコデザイン指令によるリペア性、耐久性、リサイクル性、エネルギー効率の向上

肥料に関する規制の見直しによる、有機肥料や廃棄物由来肥料の承認の促進、バイオ・

ニュートリエンツの普及支援

プラスチックについて、リサイクル性、生分解性、有害物質の含有、SDGsへの適合(海洋廃棄

物の大幅な削減)

水の再利用について、排水再利用の最低利用率の設定を法制化

目標

2030年までに都市廃棄物の65%をリサイクル

2030年までに包装廃棄物の75%をリサイクル

2030年までに都市廃棄物の埋立処分量を最大10%削減

3

表 1-6

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2.2050年を踏まえた自動車単体CO2排出量分析

2-1. 分析の背景・目的・概要

2-2.乗用車単体のCO2排出量分析

2-3.トラック単体のCO2排出量分析

2-4.バス単体のCO2排出量分析

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自動車単体CO2排出量分析の背景・目的・概要

【分析の背景・目的・概要】

包括的なCO2削減対策の検討に向け、ライフサイクルの視点での車両CO2排出量を分析

背景

目的

第1回勉強会において、CO2排出量を考慮する場合、Well to Wheelによる評価等の走行部分以外のCO2排出量も踏まえた評価が必要との意見をいただいたところ

そこで、将来における包括的なCO2削減対策を検討するために、ライフサイクルの視点に基づく車両のCO2排出量を検討することとする

具体的には、車両に係る素材製造段階、車両の製造段階、車両の走行段階及び車両の廃棄段階を考慮することとし、各段階で投入される資源、エネルギー又は排出物に係るCO2排出量についてもライフサイクル視点で評価することとする

評価範囲のイメージ 車両に係る素材製造

(鉄やゴム等)

車両の製造(工場でのエネルギー

投入)

車両の利用(ガソリン等の消費)

車両の廃棄(処理工場でのエネル

ギー投入)

資源

エネルギー

廃棄物

資源

エネルギー

廃棄物

資源

エネルギー

廃棄物

資源

エネルギー

廃棄物

評価対象*1

乗用車: ガソリン自動車(GV)、HV、EV、PHV、FCV

トラック: ディーゼル車(DV)、HV、EV、FCV

バス: ディーゼル車(DV)、HV、EV、FCV

*1: HV = Hybrid Vehicle(ハイブリッド車)、EV = Electric Vehicle(電気自動車)、FCV = Fuel Cell Vehicle(燃料電池自動車)、PHV = Plug-in Hybrid Vehicle(プラグインハイブリッドカー)

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2050年を踏まえた自動車単体CO2排出量分析結果のまとめ

評価対象

乗用車

トラック

バス

削減効果が高い車両

検証内容

80%削減の達成可能性

削減効果が高い車両

80%削減の達成可能性

削減効果が高い車両

80%削減の達成可能性

LCAでの評価(2050年)WtWでの評価(2050年)

低位では、HV

中位・高位では、EV

いずれのケースにおいても、EV→FCV→HV

80%削減は困難

高位かつEVが最大で、74%削減

EVは、いずれケースでも達成する可能性(FCVは、中位・高位で達成)

低位では、HV

中位・高位では、EV又はFCV

低位では、EV→HV→FCV

中位・高位では、EV→FCV→HV

高位かつEVで、80%以上の削減

内燃機関も50~60%削減する可能性

高位では、EV又はFCVで達成する可能性

いずれのケースでもEV

2番目は、低位・中位でHV、高位でFCV

低位・中位では、EV→HV→FCV

高位では、EV→FCV→HV

高位かつEVで、80%以上の削減

内燃機関も50~60%削減する可能性

高位・中位でのEVで達成可能性

WtWの評価の場合、EVの方が削減効果が高く、80%削減の可能性がある。他方、LCAでの評価の場合、場合によっては、HVが最も削減効果の高い車両となり得る。

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2.2050年を踏まえた自動車単体CO2排出量分析

2-1. 分析の背景・目的・概要

2-2.乗用車単体のCO2排出量分析

2-3.トラック単体のCO2排出量分析

2-4.バス単体のCO2排出量分析

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乗用車単体CO2排出量分析方法の概要

【乗用車単体のCO2排出量分析-分析方法-】

乗用車に対して、内燃機関と次世代自動車のLCAを実施

素材・製造・廃棄段階の

データ

出典:「Ahmad Mayyas at el, Vehicle’s lightweight design vs. electrification from life cycle

assessment perspective」を基にデータを加工素材、エネルギー等の原単位については、LCIデータベース「IDEAv2」の値を利用

燃料種GV、HV向け:ガソリンとし、参考値としてバイオ燃料の値を算出 EV向け:電気(各時代の電源構成を想定) FCV向け:水素(各時代の再生可能エネルギー比率に整合的な水素源を設定)

走行段階のデータ

燃費は、車両の実燃費で評価現在の燃費:GV:18 km/L、HV:25 km/L、EV:7.9 km/kWh、PHV:30 km/L(電費8.62 km/kWh、燃費30.41 km/Lを使用)、FCV:119 km/kg-H2

車両の走行距離は12,216km/年×10年を想定*3

バイオ燃料*1,*2

E3、E10、(参考)E100

(バイオ燃料のCO2排出量はガソリンの熱量ベースで45%と想定。ガソリンのCO2排出量:84.1g-CO2/MJ、バイオ燃料の排出量:37.8 g-CO2/MJ)

電源構成

2030年:”経済産業省「長期エネルギー需給見通し」”による電源構成を想定(再生可能エネルギー比率22%~24%、原子力比率22~20%を想定)

2050年:(感度分析)

評価対象車種

一般的な5人乗りのセダンタイプの車両を評価対象として設定

トラック

バス

乗用車

2030年

2050年

現在

*1: E3 =バイオエタノール3%混合ガソリン、 E10 =バイオエタノール10%混合ガソリン、 E100 =バイオエタノール100%混合ガソリン *2:経済産業省「我が国のバイオ燃料の導入に向けた技術検討委員会(第1

回) 」‐配布資料より *3:自動車部品工業会「JAPIA LCI算出ガイドライン付則2 平成28年4月より (2018年3月末時点)

表 2-1

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乗用車単体のCO2排出量分析結果(現在)

【乗用車単体のCO2排出量分析-現在-】

バイオ燃料活用のHV・PHVが最も良く、従来GVから約20%CO2削減量が見込める

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

20

22

24

26

HV(E10)GV(E3)GV GV(E10) (参考)GV(E100)

HV(E3)HV FCV(参考)HV(E100)

PHVEV

走行製造 廃棄素材

凡例

ライフサイクルCO2排出量[t-CO2/台]

トラック

バス

乗用車

現在のGVの排出量25.4

t-CO2/台

80%削減5.1

t-CO2/台

1st2nd

-21% -21%

2030年

2050年

現在

※EV、FCVは技術成熟度や生産国によってCO2

排出量が変わってくるが、ここでは加味していない

図 2-1

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CO2削減対策の内容とその効果の整理案

【乗用車単体のCO2排出量分析-CO2削減対策内容・効果- 】

単体対策・エコドライブ等によりエネルギー利用効率や原単位が改善していくと想定

対策名 対策の概要 影響するパラメータパラメタ―の改善効果

2030年 2050年

車両の単体対策

内燃機関の熱効率改善車体の軽量化

エネルギー利用効率 年3.45%改善(2015~2030年)

(感度分析)

エコドライブエコドライブをアシストするナビシステム

の導入により燃料消費量を削減エネルギー利用効率 2.5% 4.7%

自動運転接近信号情報の共有後方車の車頭間隔情報の共有

エネルギー利用効率 18% 23%

カーシェアリング

カーシェアリングによる保有台数の減少 製造・廃棄物の原単位 0.9% 1.6%

素材のリサイクル

素材のリサイクルによる製造及び廃棄に係る環境負荷を削減

製造・廃棄物の原単位 10.0% 20.0%

素材の原単位の改善

鉄の製造に係るエネルギーの削減 鉄の製造原単位*1 15.0% 30.0%

トラック

バス

乗用車

1

2

3

4

5

6

*1: 鉄の製造に投入されるエネルギーが2030年に15%、2050年に30%削減されると想定

2030年

2050年

現在

表 2-2

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乗用車単体のCO2排出量分析結果(2030年)

【乗用車単体のCO2排出量分析-2030年-】

バイオ燃料活用のHVとEVが最も良く、従来GVから約50%のCO2削減量が見込める

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

20

22

24

26

(参考)HV(E100)

EVHV(E10) PHVHV FCV(参考)GV(E100)

GV(E10) HV(E3)GV(E3)GV

廃棄走行製造素材

凡例

ライフサイクルCO2排出量[t-CO2/台]

トラック

バス

乗用車

現在のGVの排出量25.4

t-CO2/台

80%削減5.1

t-CO2/台

1st2nd

-52% -53%

2030年

2050年

現在

※EV、FCVは技術成熟度や生産国によってCO2

排出量が変わってくるが、ここでは加味していない

図 2-2

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2050年におけるCO2削減対策の感度分析内容

【乗用車単体のCO2排出量分析-2050年における感度分析内容- 】

2050年の対策は、燃費の改善、電源・水素の低炭素化について感度分析を行う

パラメータ 影響する車両2050年のシナリオ

低位 中位 高位

燃費の改善率(%/年)

(2030~2050年)

GV, HV,

EV, FCV

0.5 %/年(OECDの2014-2015の

燃費改善率*1)

1.0 %/年(低位の2倍改善すると

仮定)

1.6 %/年(非OECDの2014-2015

の燃費改善率*1)

電源の低炭素化(kg-CO2/kWh)

EV0.37 kg-CO2/kWh

(2030年の電源構成)0.26 kg-CO2/kWh

(低位と高位の中間)0.08 kg-CO2/kWh

(9割がゼロエミッション)

水素の低炭素化(kg-CO2/kg-H2)

FCV

10.67 kg-CO2/kg-H2

(24%がゼロエミッションと仮定)

6.97 kg-CO2/kg-H2

(低位と高位の中間)3.27 kg-CO2/kg-H2

(9割がゼロエミッション)

トラック

バス

乗用車

*1: 出所 IEA, Energy Technology Perspectives 2017 (2018年3月末時点)

1

7

8

2030年

2050年

現在

表 2-3

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乗用車単体のCO2排出量分析結果(2050年:低位)

【乗用車単体のCO2排出量分析-2050年・低位-】

バイオ燃料活用のHVとEVが最も良く、従来GVから約60%のCO2削減量が見込める

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

20

22

24

26

(参考)HV(E100)

HV(E10)HV HV(E3)GV(E10)GV GV(E3) (参考)GV(E100)

PHV FCVEV

素材 製造 走行 廃棄

凡例

ライフサイクルCO2排出量[t-CO2/台]

トラック

バス

乗用車

現在のGVの排出量25.4

t-CO2/台

80%削減5.1

t-CO2/台

2nd1st

-60% -60%

2030年

2050年

現在

中位

高位

低位

※EV、FCVは技術成熟度や生産国によってCO2

排出量が変わってくるが、ここでは加味していない

図 2-3

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乗用車単体のCO2排出量分析結果(2050年:中位)

【乗用車単体のCO2排出量分析-2050年・中位-】

バイオ燃料活用のHVとEVが最も良く、従来GVから約60%のCO2削減量が見込める

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

20

22

24

26

(参考)HV(E100)

PHV FCV(参考)GV(E100)

HV(E3)HVGV(E10)GV GV(E3) EVHV(E10)

製造 走行素材 廃棄

凡例

ライフサイクルCO2排出量[t-CO2/台]

トラック

バス

乗用車

現在のGVの排出量25.4

t-CO2/台

80%削減5.1

t-CO2/台

1st2nd

-64% -66%

2030年

2050年

現在

中位

高位

低位

※EV、FCVは技術成熟度や生産国によってCO2

排出量が変わってくるが、ここでは加味していない

図 2-4

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乗用車単体のCO2排出量分析結果(2050年:高位)

【乗用車単体のCO2排出量分析-2050年・高位- 】

バイオ燃料活用のHVとEVが最も良く、従来GVから約70%のCO2削減量が見込める

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

20

22

24

26

FCVPHVEVGV GV(E10)GV(E3) (参考)HV(E100)

HV(E10)(参考)GV(E100)

HV(E3)HV

製造素材 廃棄走行

凡例

ライフサイクルCO2排出量[t-CO2/台]

トラック

バス

乗用車

現在のGVの排出量25.4

t-CO2/台

80%削減5.1

t-CO2/台

1st2nd

-68% -74%

2030年

2050年

現在

中位

高位

低位

※EV、FCVは技術成熟度や生産国によってCO2

排出量が変わってくるが、ここでは加味していない

図 2-5

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乗用車単体のCO2排出量分析結果(サマリ)

【乗用車単体のCO2排出量分析-サマリ-】 LCAでは内燃機関もEV並の削減効果を持つが80%削減には達せず。WtWではEV採用で80%以上削減が見込める

[t-CO2/台]

トラック

バス

乗用車

LCAでの評価 WtWでの評価

0

5

10

15

20

-98%-59%

-91%

HVGV PHVEV FCV

2050_低位2015 2050_高位2050_中位2030

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

20

22

24

26

-21%

-74%

-1%

PHV FCVEVHVGV

[t-CO2/台]

2030年

2050年

現在

凡例

高位ケースと低位ケースの

HVとEVの差分

高位ケースと低位ケースの

HVとEVの差分

従来からの最大の削減率

従来からの最大の削減率

※EV、FCVは技術成熟度や生産国によってCO2

排出量が変わってくるが、ここでは加味していない

図 2-6 図 2-7

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乗用車単体のCO2削減効果(2050年想定:燃費改善率×電力の排出係数)

【乗用車単体のCO2排出量分析-排出係数・燃費改善率別CO2削減効果- 】

電力排出係数が2030年の水準の場合、燃費改善により内燃機関が優位

0.37 0.35 0.33 0.31 0.29 0.27 0.25 0.23 0.21 0.19 0.17 0.15 0.13 0.11 0.09 0.07

0.0% 59% 60% 61% 62% 63% 64% 65% 66% 67% 68% 69% 70% 71% 72% 73% 74%

0.2% 60% 61% 62% 63% 64% 65% 65% 66% 67% 68% 69% 70% 71% 72% 73% 74%

0.4% 60% 61% 62% 63% 64% 65% 66% 67% 68% 69% 69% 70% 71% 72% 73% 74%

0.6% 60% 61% 62% 63% 64% 65% 66% 67% 68% 69% 70% 71% 72% 72% 73% 74%

0.8% 61% 62% 62% 63% 64% 65% 66% 67% 68% 69% 70% 71% 72% 73% 73% 74%

1.0% 62% 62% 63% 64% 65% 65% 66% 67% 68% 69% 70% 71% 72% 73% 74% 74%

1.2% 62% 63% 63% 64% 65% 66% 67% 67% 68% 69% 70% 71% 72% 73% 74% 74%

1.4% 63% 63% 63% 64% 65% 66% 67% 68% 68% 69% 70% 71% 72% 73% 74% 75%

1.6% 64% 64% 64% 64% 65% 66% 67% 68% 69% 69% 70% 71% 72% 73% 74% 75%

1.8% 64% 65% 65% 65% 65% 66% 67% 68% 69% 70% 70% 71% 72% 73% 74% 75%

2.0% 65% 65% 65% 66% 66% 66% 67% 68% 69% 70% 71% 71% 72% 73% 74% 75%

2.2% 66% 66% 66% 66% 67% 67% 67% 68% 69% 70% 71% 71% 72% 73% 74% 75%

2.4% 66% 66% 67% 67% 67% 67% 68% 68% 69% 70% 71% 72% 72% 73% 74% 75%

2.6% 67% 67% 67% 67% 68% 68% 68% 69% 69% 70% 71% 72% 72% 73% 74% 75%

2.8% 67% 68% 68% 68% 68% 68% 69% 69% 69% 70% 71% 72% 73% 73% 74% 75%

3.0% 68% 68% 68% 69% 69% 69% 69% 70% 70% 70% 71% 72% 73% 73% 74% 75%

GV

凡例

電力の排出係数[kg-CO2/kWh]

燃費改善率

(2030~2050年)

[CA

GR

]

燃費改善率(CAGR)と電力の排出係数(kg-CO2/kWh)で感度分析を実施 CO2削減率が最も高い値とその車種を以下のグラフで表示

HV FCVEVPHV

2030年水準 9割ゼロエミッション中位ケース

低位ケース

中位ケース

高位ケース

トラックバス

乗用車

2030年2050年

現在

緑字は:FCV < GV or HV or PHVになるケース

表 2-4

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燃費と電力の排出係数の推移(乗用車)

(参考)

試算に用いた電力の排出係数と各車両の燃費は以下の通り

0.00

100.00

200.00

300.00

5.00

15.00

25.00

35.00

0

0.2

0.4

0.6

2015年 2030年 2050年

電力

の排

出係

数[k

g-C

O2/k

Wh]

低位 中位 低位

10.00

30.00

50.00

70.00

90.00

電費

[km

/kW

h]

燃費

[km

/L]

水素

燃費

[km

/kg

-H2]

トラック

バス

乗用車

2030年

2050年

現在

GV

凡例

HV FCVEVPHV電力

(高位)

(中位)

(低位)

(高位)

(中位)(低位)

(高位)(中位)(低位)(高位)(中位)(低位)(高位)(中位)(低位)

図 2-8

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2.2050年を踏まえた自動車単体CO2排出量分析

2-1. 分析の背景・目的・概要

2-2.乗用車単体のCO2排出量分析

2-3.トラック単体のCO2排出量分析

2-4.バス単体のCO2排出量分析

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トラック単体CO2排出量分析方法の概要

【トラック単体のCO2排出量分析-分析方法- 】

トラックに対して、内燃機関と次世代自動車のLCAを実施

素材・製造・廃棄段階の

データ

出典:「Life Cycle Inventory Analysis for a Truck」を基にデータを加工素材、エネルギー等の原単位については、LCIデータベース「IDEAv2」の値を利用

燃料種 DV、HV向け:軽油とし、参考値としてバイオ燃料の値を算出 EV向け:電気(各時代の電源構成を想定) FCV向け:水素(各時代の再生可能エネルギー比率に整合的な水素源を設定)

走行段階のデータ

燃費は、車両の実燃費で評価現在の燃費:DV:7.4 km/L、HV:8.6 km/L、EV:1.2 km/kWh、FCV:30 km/kg-H2(仮定)*3

車両の走行距離は23,664km/年×10.8年を想定*4

バイオ燃料*1,*2

B5、B10、(参考)B100

(バイオ燃料のCO2排出量は軽油の熱量ベースで45%と想定。軽油のCO2排出量:77.4 g-CO2/MJ、バイオ燃料の排出量:34.8 g-CO2/MJ)

電源構成

2030年:”経済産業省「長期エネルギー需給見通し」”による電源構成を想定(再生可能エネルギー比率22%~24%、原子力比率22~20%を想定)

2050年:(感度分析)

評価対象車種

新車製造及び保有台数が多い4tトラックを評価対象と設定

トラック

バス

乗用車

2030年

2050年

現在

*1: B5 =バイオディーゼル5%混合軽油、 B10 =バイオディーゼル10%混合軽油、 B100 =バイオディーゼル100%混合軽油 *2: 経済産業省「平成28年度石油産業体制等調査研究(バイオ燃料を中心とした我が国の燃料政策のあり方に関する調査)(バイオエタノール関連)報告書より 」 *3:国土交通省「トラック輸送の実態に関する調査報告書平成23年9月」の全体平均値の使用年数及び日本自動車工業会の年間平均走行距離を用いて算出 *4 乗用車のガソリン自動車の燃費と燃料電池自動車の燃費及びバスのガソリン自動車の燃費と燃料電池自動車の燃費比率を用いて推定 (2018年3月末時点)

表 2-5

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現在のDVの排出量117

t-CO2/台

80%削減23

t-CO2/台0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

110

120

130

140

150

160

(参考)DV(B100)

DV (参考)HV(B100)

EV FCVHV(B5) HV(B10)DV(B10) HVDV(B5)

廃棄走行製造素材

60

トラック単体のCO2排出量分析結果(現在)

【トラック単体のCO2排出量分析-現在-】

バイオ燃料活用のHVが最も良く、従来トラックから13%のCO2削減量が見込める

凡例

ライフサイクルCO2排出量[t-CO2/台]

2nd 1st

トラック

バス

乗用車

-2%

-14%

2030年

2050年

現在

※EV、FCVは技術成熟度や生産国によってCO2

排出量が変わってくるが、ここでは加味していない

図 2-9

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CO2削減対策の内容とその効果の整理案

【トラック単体のCO2排出量分析-CO2削減対策内容・効果-】

単体対策・エコドライブ等によりエネルギー利用効率や原単位が改善していくと想定

対策名 対策の概要 影響するパラメータパラメタ―の改善効果

2030年 2050年

車両の単体対策

内燃機関の熱効率改善車体の軽量化

エネルギー利用効率 年1.75%改善(2015~2030年)

(感度分析)

エコドライブエコドライブをアシストするナビシステム

の導入により燃料消費量を削減エネルギー利用効率 3.5% 6.6%

自動運転接近信号情報の共有後方車の車頭間隔情報の共有

エネルギー利用効率 18% 23%

素材のリサイクル

素材のリサイクルによる製造及び廃棄に係る環境負荷を削減

製造・廃棄物の原単位 10.0% 20.0%

素材の原単位の改善

鉄の製造に係るエネルギーの削減 鉄の製造原単位*1 15.0% 30.0%

1

2

3

5

6

*1: 鉄の製造に投入されるエネルギーが2030年に15%、2050年に30%削減されると想定

トラック

バス

乗用車

2030年

2050年

現在

表 2-6

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現在のDVの排出量117

t-CO2/台

80%削減23

t-CO2/台0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

110

120

130

140

150

160

HV(B5)HVDV(B10)DV(B5) (参考)DV(B100)

DV FCVEV(参考)HV(B100)

HV(B10)

走行 廃棄製造素材

62

トラック単体のCO2排出量分析結果(2030年)

【トラック単体のCO2排出量分析-2030年-】

バイオ燃料活用のHVが最も良く、従来トラックから約50%のCO2削減量が見込める

凡例

ライフサイクルCO2排出量[t-CO2/台]

2nd1st

トラック

バス

乗用車

-45% -38%

2030年

2050年

現在

※EV、FCVは技術成熟度や生産国によってCO2

排出量が変わってくるが、ここでは加味していない

図 2-10

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2050年におけるCO2削減対策の感度分析内容

【トラック単体のCO2排出量分析-2050年における感度分析内容- 】

2050年の対策は、燃費の改善、電源・水素の低炭素化について感度分析を行う

パラメータ 影響する車両2050年のシナリオ

低位 中位 高位

燃費の改善率(%/年)

(2030~2050年)

GV, HV,

EV, FCV

0.5 %/年(OECDの2014-2015の

燃費改善率*1)

1.0 %/年(低位の2倍改善すると

仮定)

1.6 %/年(非OECDの2014-2015

の燃費改善率*1)

電源の低炭素化(kg-CO2/kWh)

EV0.37 kg-CO2/kWh

(2030年の電源構成)0.26 kg-CO2/kWh

(低位と高位の中間)0.08 kg-CO2/kWh

(9割がゼロエミッション)

水素の低炭素化(kg-CO2/kg-H2)

FCV

10.67 kg-CO2/kg-H2

(24%がゼロエミッションと仮定)

6.97 kg-CO2/kg-H2

(低位と高位の中間)3.27 kg-CO2/kg-H2

(9割がゼロエミッション)

*1: 出所 IEA, Energy Technology Perspectives 2017 (2018年3月末時点)

1

7

8

トラック

バス

乗用車

2030年

2050年

現在

表 2-7

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0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

110

120

130

140

150

160

DV(B10) (参考)DV(B100)

DV(B5)DV (参考)HV(B100)

EV FCVHV(B10)HV(B5)HV

走行製造素材 廃棄

64

トラック単体のCO2排出量分析結果(2050年:低位)

【トラック単体のCO2排出量分析-2050年・低位-】

バイオ燃料活用のHVが最も良く、従来トラックから約50%のCO2削減量が見込める

凡例

ライフサイクルCO2排出量[t-CO2/台]

現在のDVの排出量117

t-CO2/台

80%削減23

t-CO2/台

1st

トラック

バス

乗用車

-47%-51%

2nd

2030年

2050年

現在

中位

高位

低位

※EV、FCVは技術成熟度や生産国によってCO2

排出量が変わってくるが、ここでは加味していない

図 2-11

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0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

110

120

130

140

150

160

DV(B10) HV(B5)(参考)DV(B100)

HVDV(B5)DV FCV(参考)HV(B100)

EVHV(B10)

素材 走行 廃棄製造

65

トラック単体のCO2排出量分析結果(2050年:中位)

【トラック単体のCO2排出量分析-2050年・中位-】

EVが最も良く、従来トラックから約60%のCO2削減量が見込める

凡例

ライフサイクルCO2排出量[t-CO2/台]

現在のDVの排出量117

t-CO2/台

80%削減23

t-CO2/台

2nd

トラック

バス

乗用車

-61% -59%

1st

2030年

2050年

現在

中位

高位

低位

※EV、FCVは技術成熟度や生産国によってCO2

排出量が変わってくるが、ここでは加味していない

図 2-12

Page 66: 経済産業省資源エネルギー庁 - Minister of Economy, …2-4.バス単体のCO2排出量分析 3.バイオ燃料・合成燃料の諸外国の方向性 3-1.調査の背景・目的・概要

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0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

110

120

130

140

150

160

HV(B10) (参考)HV(B100)

HV(B5)HV(参考)DV(B100)

DV(B5) DV(B10)DV FCVEV

廃棄製造 走行素材

66

トラック単体のCO2排出量分析結果(2050年:高位)

【トラック単体のCO2排出量分析-2050年・高位-】

EVが最も良く、従来トラックから約80%のCO2削減量が見込める

凡例

ライフサイクルCO2排出量[t-CO2/台]

現在のDVの排出量117

t-CO2/台

80%削減23

t-CO2/台

2nd

トラック

バス

乗用車

-80% -75%

1st

2030年

2050年

現在

中位

高位

低位

※EV、FCVは技術成熟度や生産国によってCO2

排出量が変わってくるが、ここでは加味していない

図 2-13

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トラック単体のCO2排出量分析結果(サマリ)

【トラック単体のCO2排出量分析-サマリ-】 LCAでは、場合により内燃機関の方が削減効果が高いが、80%目標を達成するためにはEV/FCVの活用が必要

[t-CO2/台]

LCAでの評価 WtWでの評価

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

110

120

FCVEVHV

-81%

-10%

-92%

DV

2050_低位 2050_中位 2050_高位2015 2030

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

110

120

130

140

150

EVHVDV FCV

+3%

-53%

-80%

[t-CO2/台]高位ケースと低位ケースの

HVとEVの差分

2030年

2050年

現在

凡例

トラック

バス

乗用車

高位ケースと低位ケースの

HVとEVの差分

従来からの最大の削減率従来からの

最大の削減率

※EV、FCVは技術成熟度や生産国によってCO2

排出量が変わってくるが、ここでは加味していない

図 2-14 図 2-15

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トラック単体のCO2削減効果(2050年想定:燃費改善率×電力の排出係数)

【トラック単体のCO2排出量分析-排出係数・燃費改善率別CO2削減効果-】

電力排出係数が2030年水準の場合は内燃機関、0.3を下回る場合EVが優位

0.37 0.35 0.33 0.31 0.29 0.27 0.25 0.23 0.21 0.19 0.17 0.15 0.13 0.11 0.09 0.07

0.0% 46% 47% 49% 51% 54% 56% 58% 61% 63% 65% 68% 70% 72% 75% 77% 79%

0.2% 47% 48% 50% 52% 55% 57% 59% 61% 64% 66% 68% 70% 73% 75% 77% 79%

0.4% 48% 49% 51% 53% 56% 58% 60% 62% 64% 67% 69% 71% 73% 75% 77% 80%

0.6% 50% 50% 52% 54% 57% 59% 61% 63% 65% 67% 69% 71% 74% 76% 78% 80%

0.8% 51% 51% 53% 55% 57% 59% 62% 64% 66% 68% 70% 72% 74% 76% 78% 80%

1.0% 52% 52% 54% 56% 58% 60% 62% 64% 66% 68% 70% 72% 74% 76% 78% 80%

1.2% 53% 53% 55% 57% 59% 61% 63% 65% 67% 69% 71% 73% 75% 77% 79% 80%

1.4% 54% 55% 56% 58% 60% 62% 64% 66% 67% 69% 71% 73% 75% 77% 79% 81%

1.6% 56% 56% 57% 59% 61% 63% 64% 66% 68% 70% 72% 74% 75% 77% 79% 81%

1.8% 57% 57% 58% 60% 61% 63% 65% 67% 69% 70% 72% 74% 76% 78% 79% 81%

2.0% 58% 58% 59% 61% 62% 64% 66% 67% 69% 71% 73% 74% 76% 78% 80% 81%

2.2% 59% 59% 60% 61% 63% 65% 66% 68% 70% 71% 73% 75% 76% 78% 80% 81%

2.4% 60% 60% 60% 62% 64% 65% 67% 69% 70% 72% 73% 75% 77% 78% 80% 82%

2.6% 61% 61% 61% 63% 64% 66% 68% 69% 71% 72% 74% 75% 77% 79% 80% 82%

2.8% 62% 62% 62% 63% 65% 67% 68% 70% 71% 73% 74% 76% 77% 79% 80% 82%

3.0% 63% 63% 63% 64% 66% 67% 69% 70% 72% 73% 75% 76% 78% 79% 81% 82%

DV

凡例

電力の排出係数[kg-CO2/kWh]

燃費改善率

(2030~2050年)

[CA

GR

]

燃費改善率(CAGR)と電力の排出係数(kg-CO2/kWh)で感度分析を実施 CO2削減率が最も高い値とその車種を以下のグラフで表示

HV FCVEV

2030年水準 9割ゼロエミッション中位ケース

低位ケース

中位ケース

高位ケース

2030年

2050年

現在

トラック

バス

乗用車

緑字は:FCV < DV or HVになるケース表 2-8

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燃費と電力の排出係数の推移(トラック)

(参考)

試算に用いた電力の排出係数と各車両の燃費は以下の通り

0.00

20.00

40.00

60.00

0.00

2.00

4.00

6.00

0

0.2

0.4

0.6

2015年 2030年 2050年

電力

の排

出係

数[k

g-C

O2/k

Wh]

低位 中位 低位

5.00

10.00

15.00

20.00

電費

[km

/kW

h]

燃費

[km

/L]

水素

燃費

[km

/kg

-H2]

2030年

2050年

現在

DV

凡例

HV FCVEV電力

トラック

バス

乗用車

(高位)(中位)

(低位)

(高位)(中位)(低位)

(高位)

(中位)(低位)(高位)(中位)(低位)

図 2-16

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2.2050年を踏まえた自動車単体CO2排出量分析

2-1. 分析の背景・目的・概要

2-2.乗用車単体のCO2排出量分析

2-3.トラック単体のCO2排出量分析

2-4.バス単体のCO2排出量分析

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バス単体CO2排出量分析方法の概要

【バス単体のCO2排出量分析-分析方法-】

バスに対して、内燃機関と次世代自動車のLCAを実施

素材・製造・廃棄段階の

データ

出典:「Carbon footprint of the raw materials of an urban transit bus」を基にデータを加工素材、エネルギー等の原単位については、LCIデータベース「IDEAv2」の値を利用

燃料種 DV、HV向け:軽油とし、参考値としてバイオ燃料の値を算出 EV向け:電気(各時代の電源構成を想定) FCV向け:水素(各時代の再生可能エネルギー比率に整合的な水素源を設定)

走行段階のデータ

燃費は、車両の実燃費で評価現在の燃費:DV:4.1 km/L、HV:4.9 km/L、EV:1.0 km/kWh、FCV:9.1 km/kg-H2

車両の走行距離は51,310km/年×17年を想定*3

バイオ燃料*1,*2

B3、B10、(参考)B100

(バイオ燃料のCO2排出量は軽油の熱量ベースで45%と想定。軽油のCO2排出量:77.4 g-CO2/MJ、バイオ燃料の排出量:34.8 g-CO2/MJ)

電源構成

2030年:”経済産業省「長期エネルギー需給見通し」”による電源構成を想定(再生可能エネルギー比率22%~24%、原子力比率22~20%を想定)

2050年:(感度分析)

評価対象車種 新車製造及び保有台数が多い34シートクラスの路線バスを評価対象と設定

トラック

バス

乗用車

2030年

2050年

現在

*1: B3 =バイオディーゼル3%混合軽油、 B10 =バイオディーゼル10%混合軽油、 B100 =バイオディーゼル100%混合軽油 *2: 経済産業省「平成28年度石油産業体制等調査研究(バイオ燃料を中心とした我が国の燃料政策のあり方に関する調査)(バイオエタノール関連)報告書より 」 *3:国土交通省発表資料(平成28年2月19日)のバス平均使用年数及び、日本バス協会発表の4tトラックの月平均走行距離を用いて算出 (2018年3月末時点)

表 2-9

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現在のDVの排出量680

t-CO2/台

80%削減136

t-CO2/台

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1,000

1,100

1,200

1,300

1,400

FCVEV(参考)HV(B100)

HV(B10)DV(B10) HV(B3)HVDV(B3)DV (参考)DV(B100)

走行素材 廃棄製造

72

バス単体のCO2排出量分析結果(現在)

【バス単体のCO2排出量分析-現在-】

バイオ燃料活用のHVとEVが最も良く、従来バスから約20%のCO2削減量が見込める

凡例

ライフサイクルCO2排出量[t-CO2/台]

1st2nd

-18%

トラック

バス

乗用車

-19%

2030年

2050年

現在

※EV、FCVは技術成熟度や生産国によってCO2

排出量が変わってくるが、ここでは加味していない

図 2-17

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CO2削減対策の内容とその効果の整理案

【バス単体のCO2排出量分析-CO2削減対策内容・効果-】

単体対策・エコドライブ等によりエネルギー利用効率や原単位が改善していくと想定

対策名 対策の概要 影響するパラメータパラメタ―の改善効果

2030年 2050年

車両の単体対策

内燃機関の熱効率改善車体の軽量化

エネルギー利用効率 年1.75%改善(2015~2030年)

(感度分析)

エコドライブエコドライブをアシストするナビシステム

の導入により燃料消費量を削減エネルギー利用効率 3.5% 6.6%

自動運転接近信号情報の共有後方車の車頭間隔情報の共有

エネルギー利用効率 18% 23%

素材のリサイクル

素材のリサイクルによる製造及び廃棄に係る環境負荷を削減

製造・廃棄物の原単位 10.0% 20.0%

素材の原単位の改善

鉄の製造に係るエネルギーの削減 鉄の製造原単位*1 15.0% 30.0%

1

2

3

5

6

*1: 鉄の製造に投入されるエネルギーが2030年に15%、2050年に30%削減されると想定

トラック

バス

乗用車

2030年

2050年

現在

表 2-10

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現在のDVの排出量680

t-CO2/台

80%削減136

t-CO2/台

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1,000

1,100

1,200

1,300

1,400

(参考)HV(B100)

EVHV(B10)HV(B3)(参考)DV(B100)

DV(B10) HVDV DV(B3) FCV

走行製造素材 廃棄

74

バス単体のCO2排出量分析結果(2030年)

【バス単体のCO2排出量分析-2030年-】

EVが最も良く、従来バスから約60%のCO2削減量が見込める

凡例

ライフサイクルCO2排出量[t-CO2/台]

1st2nd

-45%

トラック

バス

乗用車

-60%

2030年

2050年

現在

※EV、FCVは技術成熟度や生産国によってCO2

排出量が変わってくるが、ここでは加味していない

図 2-18

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2050年におけるCO2削減対策の感度分析内容

【バス単体のCO2排出量分析-2050年における感度分析内容-】

2050年の対策は、燃費の改善、電源・水素の低炭素化について感度分析を行う

パラメータ 影響する車両2050年のシナリオ

低位 中位 高位

燃費の改善率(%/年)

(2030~2050年)

GV, HV,

EV, FCV

0.5 %/年(OECDの2014-2015の

燃費改善率*1)

1.0 %/年(低位の2倍改善すると

仮定)

1.6 %/年(非OECDの2014-2015

の燃費改善率*1)

電源の低炭素化(kg-CO2/kWh)

EV0.37 kg-CO2/kWh

(2030年の電源構成)0.26 kg-CO2/kWh

(低位と高位の中間)0.08 kg-CO2/kWh

(9割がゼロエミッション)

水素の低炭素化(kg-CO2/kg-H2)

FCV

10.67 kg-CO2/kg-H2

(24%がゼロエミッションと仮定)

6.97 kg-CO2/kg-H2

(低位と高位の中間)3.27 kg-CO2/kg-H2

(9割がゼロエミッション)

*1: 出所 IEA, Energy Technology Perspectives 2017 (2018年3月末時点)

1

7

8

トラック

バス

乗用車

2030年

2050年

現在

表 2-11

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現在のDVの排出量680

t-CO2/台

80%削減136

t-CO2/台

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

500

550

600

650

700

FCVEVHV(B10) (参考)HV(B100)

HV(B3)DV(B3) (参考)DV(B100)

HVDV(B10)DV

廃棄製造 走行素材

76

バス単体のCO2排出量分析結果(2050年:低位)

【バス単体のCO2排出量分析-2050年・低位-】

EVが最も良く、従来バスから約65%のCO2削減量が見込める

凡例

ライフサイクルCO2排出量[t-CO2/台]

1st

トラック

バス

乗用車

66%

2nd

-54%

2030年

2050年

現在

中位

高位

低位

※EV、FCVは技術成熟度や生産国によってCO2

排出量が変わってくるが、ここでは加味していない

図 2-19

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現在のDVの排出量680

t-CO2/台

80%削減136

t-CO2/台

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

500

550

600

650

700

HV(B10)HV HV(B3) EV FCVDV(B3) DV(B10)DV (参考)HV(B100)

(参考)DV(B100)

素材 製造 走行 廃棄

77

バス単体のCO2排出量分析結果(2050年:中位)

【バス単体のCO2排出量分析-2050年・中位-】

EVが最も良く、従来バスから約75%のCO2削減量が見込める

凡例

ライフサイクルCO2排出量[t-CO2/台]

1st

トラック

バス

乗用車

-76%

2nd

-57%

2030年

2050年

現在

中位

高位

低位

※EV、FCVは技術成熟度や生産国によってCO2

排出量が変わってくるが、ここでは加味していない

図 2-20

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現在のDVの排出量680

t-CO2/台

80%削減136

t-CO2/台

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

500

550

600

650

700

HV(参考)DV(B100)

HV(B3)DV(B3)DV DV(B10) FCV(参考)HV(B100)

HV(B10) EV

廃棄素材 走行製造

78

バス単体のCO2排出量分析結果(2050年:高位)

【バス単体のCO2排出量分析-2050年・高位-】

EVが最も良く、従来バスから約90%のCO2削減量が見込める

凡例

ライフサイクルCO2排出量[t-CO2/台]

1st

トラック

バス

乗用車

-88%

2nd

-72%

2030年

2050年

現在

中位

高位

低位

※EV、FCVは技術成熟度や生産国によってCO2

排出量が変わってくるが、ここでは加味していない

図 2-21

Page 79: 経済産業省資源エネルギー庁 - Minister of Economy, …2-4.バス単体のCO2排出量分析 3.バイオ燃料・合成燃料の諸外国の方向性 3-1.調査の背景・目的・概要

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バス単体のCO2排出量分析結果(サマリ)

【バス単体のCO2排出量分析-サマリ-】 LCAでは内燃機関は80%の削減率に及ばず、80%の削減目標にはEV・FCVの活用が必要不可欠

[t-CO2/台]

LCAでの評価 WtWでの評価

0

100

400

1.000

1.100

1.200

1.300

300

200

500

600

700

800

900

HV

-87%

-40%

FCVEVDV

-95%

2050_高位2050_低位 2050_中位20302015

500

800

1.100

1.300

700

300

600

900

1.000

400

200

1.200

100

0

-71%

-30%

FCV

-88%

EVDV HV

[t-CO2/台]

高位ケースと低位ケースの

HVとEVの差分

2030年

2050年

現在

凡例

高位ケースと低位ケースの

HVとEVの差分

従来からの最大の削減率

従来からの最大の削減率

トラック

バス

乗用車

※EV、FCVは技術成熟度や生産国によってCO2

排出量が変わってくるが、ここでは加味していない

図 2-22 図 2-23

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バス単体のCO2削減効果(2050年想定:燃費改善率×電力の排出係数)

【バス単体のCO2排出量分析-排出係数・燃費改善率別CO2削減効果-】

2030年水準の電力の排出係数の時点においてEVが優位になる

0.37 0.35 0.33 0.31 0.29 0.27 0.25 0.23 0.21 0.19 0.17 0.15 0.13 0.11 0.09 0.07

0.0% 64% 66% 67% 69% 70% 72% 74% 75% 77% 78% 80% 81% 83% 85% 86% 88%

0.2% 65% 67% 68% 70% 71% 73% 74% 76% 77% 79% 80% 82% 83% 85% 86% 88%

0.4% 66% 67% 69% 70% 72% 73% 75% 76% 78% 79% 81% 82% 84% 85% 86% 88%

0.6% 67% 68% 70% 71% 72% 74% 75% 77% 78% 80% 81% 82% 84% 85% 87% 88%

0.8% 67% 69% 70% 72% 73% 74% 76% 77% 79% 80% 81% 83% 84% 85% 87% 88%

1.0% 68% 70% 71% 72% 74% 75% 76% 78% 79% 80% 82% 83% 84% 86% 87% 88%

1.2% 69% 70% 72% 73% 74% 75% 77% 78% 79% 81% 82% 83% 85% 86% 87% 89%

1.4% 70% 71% 72% 73% 75% 76% 77% 79% 80% 81% 82% 84% 85% 86% 87% 89%

1.6% 70% 72% 73% 74% 75% 77% 78% 79% 80% 81% 83% 84% 85% 86% 88% 89%

1.8% 71% 72% 73% 75% 76% 77% 78% 79% 81% 82% 83% 84% 85% 87% 88% 89%

2.0% 72% 73% 74% 75% 76% 77% 79% 80% 81% 82% 83% 84% 86% 87% 88% 89%

2.2% 72% 73% 75% 76% 77% 78% 79% 80% 81% 82% 84% 85% 86% 87% 88% 89%

2.4% 73% 74% 75% 76% 77% 78% 80% 81% 82% 83% 84% 85% 86% 87% 88% 89%

2.6% 74% 75% 76% 77% 78% 79% 80% 81% 82% 83% 84% 85% 86% 87% 88% 89%

2.8% 74% 75% 76% 77% 78% 79% 80% 81% 82% 83% 84% 85% 86% 87% 89% 90%

3.0% 75% 76% 77% 78% 79% 80% 81% 82% 83% 84% 85% 86% 87% 88% 89% 90%

DV

凡例

電力の排出係数[kg-CO2/kWh]

燃費改善率

(2030~2050年)

[CA

GR

]

燃費改善率(CAGR)と電力の排出係数(kg-CO2/kWh)で感度分析を実施 CO2削減率が最も高い値とその車種を以下のグラフで表示

HV FCVEV

2030年水準 9割ゼロエミッション中位ケース

低位ケース

中位ケース

高位ケース

2030年

2050年

現在

トラック

バス

乗用車

緑字は:FCV < DV or HVになるケース表 2-12

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燃費と電力の排出係数の推移(バス)

(参考)

試算に用いた電力の排出係数と各車両の燃費は以下の通り

0.00

5.00

10.00

15.00

20.00

0.00

1.00

2.00

3.00

4.00

0

0.2

0.4

0.6

2015年 2030年 2050年

電力

の排

出係

数[k

g-C

O2/k

Wh]

低位 中位 低位

電費

[km

/kW

h]

燃費

[km

/L]

水素

燃費

[km

/kg

-H2]

2030年

2050年

現在

DV

凡例

HV FCVEV電力

2.00

4.00

6.00

8.00

10.00

12.00

トラック

バス

乗用車

(高位)(中位)

(低位)

(高位)(中位)(低位)

(高位)(中位)(低位)(高位)(中位)(低位)

図 2-24

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自動車・トラック・バスの平均燃費の推移

(参考)

自動車・トラック・バスのこれまでの推移と今回用いた値の位置づけ トラック

バス

乗用車

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050

乗用車*1 路線バス*3トラック*2

平均

燃費

[km

/l]

*1 ガソリン自動車の平均燃費、2000年/2005年/ 2010年の値は10・15モードの平均燃費(出所:国土交通省)に0.7を乗じ実燃費に補正、2015年/2030年/2050

年の値は今回用いた値で実燃費を想定(2050年の値は中位ケース)*2 ディーゼルトラックの平均燃費、2010年の値は重量車モードの平均燃費(出所:国土交通省)、2015年/2030年/2050年の値は今回用いた値で実燃費を想定

(2050年の値は中位ケース)*3 ディーゼルの路線バスの平均燃費、2010年の値は重量車モードの平均燃費(出所:国土交通省)、2015年/2030年/2050年の値は今回用いた値で

実燃費を想定(2050年の値は中位ケース)

2030年

2050年

現在

図 2-25

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自動車のライフサイクルコスト*

(参考)

現時点におけるライフサイクルコストの比較

* 製品製造は製品の販売価格を、製品資料は燃料費を、製品廃棄はリサイクルに係る必要を計上している。燃料費については、ガソリン価格:136.2円/L、電力価格:32円/kWh、水素価格:1,000円/kgとしている。

3.000

9.000

6.000

2.000

5.000

1.000

7.000

10.000

4.000

8.000

0

FCVEVHV PHVGV

製品製造

製品使用

製品廃棄

トラック

バス

乗用車

2030年

2050年

現在

ライフサイクルコスト[千円/台] 図 2-26

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(参考)

使用パラメーター値一覧対策名 車両 2030年

2050年備考

低位 中位 高位

車両の単体対策

乗用車3.45%*1改善/年(2015~2030)

0.5 %/年(OECDの2014-2015

の燃費改善率*2)

1.0 %/年(低位の2倍改善す

ると仮定)

1.6 %/年(非OECDの2014-

2015の燃費改善率*2)-

トラック・バス1.75%*2改善/年(2015~2030)

エコドライブ*3

乗用車 2.5% 4.7%

エコドライブの燃費改善率は10%で、実施率は2020年6%、2030年は25%、2050年は47.4%(2050年はCAGR推計)

トラック・バス 3.5% 6.6%

エコドライブの燃費改善率は10%で、実施率は2020年9%、2030年は35%、2050年は65.6%(2050年はCAGR推計)

自動運転*4 乗用車・トラック・バス

18% 23%

自動運転の普及率は2017年に0.9%、2030年に30%、2050年に100%で、CO2

原単位削減率は、2017年は18%、2030年は18%、2050年は23%

カーシェア*3

リング乗用車 0.9% 1.6%

カーシェア実施率は、2013年は0.2%、2030年は0.9%、2050年は1.6%(2050年はCAGR推計)

素材のリサイクル

乗用車・トラック・バス

10.0%*5 20.0% リサイクル目標は、2030年は10%、2050

年は20%(2050年は2倍で推計)素材の

原単位の改善乗用車・トラック・バス

15.0% 30.0%*6 素材の改善目標は、2030年は15%、2050

年は30%(2030年は半分で推計)

電源の低炭素化(kg-CO2/kWh)

乗用車・トラック・バス

0.37*7 kg-

CO2/kWh

0.37*7 kg-CO2/kWh

(2030年電源構成)0.26 kg-CO2/kWh

(低位と高位の中間)0.08 kg-CO2/kWh

(9割ゼロエミッション)

2015年値は0.56*7 kg-CO2/kWhを使用 2050年高位値は、LNG火力430*8,10 g-

CO2/kWhと太陽光発電(住宅用)38*8 g-

CO2/kWhの排出係数を使用

水素の低炭素化(kg-CO2/kg-

H2)

乗用車・トラック・バス

1,243*9 g/Nm3

10.67 kg-CO2/kg-H2

(24%ゼロエミッションと仮定)

6.97 kg-CO2/kg-H2

(低位と高位の中間)3.27 kg-CO2/kg-H2

(9割ゼロエミッション)

2015年、2030年は天然ガス由来のCO2

排出量を使用 2050年は、天然ガス由来のCO2排出量

1,200*9 g/Nm3と太陽光発電電力由来のCO2排出量193g/Nm3を使用

出所 * 1: International Council on Clean Transportation (ICCT) *2: IEA, Energy Technology Perspectives 2017 *3: 環境省「地球温暖化対策計画における対策の削減量の根拠」 *4:

野本、浜口「低炭素社会の実現に向けた車車間通信システムの取り組み」 *5: 欧州委員会プレスリリース *6: 出所 日本鉄鋼連盟 「 鉄鋼業の地球温暖化対策への取組」 *7: 電気事業連合会「環境行動計画」 *8: 電力中央研究所「日本における発電技術のライフサイクルCO2排出量総合評価」 *9:環境省「平成26年度水素利用の統合的システム確立に向けたFS調査委託業務」*10: 熱効率の向上を通じて、従来のLNG火力のものよりも10-15%小さい (2018年3月末時点)

1

2

3

4

5

6

7

8

表 2-13

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3.バイオ燃料・合成燃料の諸外国の方向性

3-1.調査の背景・目的・概要

3-2.再エネ由来合成燃料

3-3.バイオ燃料

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調査の背景・目的・概要

【調査の背景・目的・概要】

合成/バイオ燃料の国内での適用可能性を、文献・海外ヒアリング調査を踏まえ検討

調査の背景・目的

第1回勉強会で、日本国内のエネルギーセキュリティを確保しつつCO2削減効果のある組み合わせとして、再生エネルギー由来合成燃料・次世代バイオ燃料を活用した内燃機関の可能性について意見が示されたところ

本調査は、再生エネルギー由来合成燃料と次世代バイオ燃料が日本国内で適用される可能性がどの程度あるかについて、海外の先進的取組事例を調査することにより、判断することを目的とする

調査の概要

海外の先進的取組事例(量・ボリューム・時期)• 政策• 技術(プロジェクト)• 商用化タイミング• 生産量の想定• コスト想定

日本での適用可能性• 原料が確保できるか?• 技術の移転(日本企業ができるか?)• 日本企業と海外企業のリレーションがあるか?• 費用対効果があるか?(投資回収年数)• 燃料への混入率(何%)

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再エネ由来合成燃料・バイオ燃料の定義

【調査の背景・目的・概要–再エネ由来合成燃料・バイオ燃料の定義– 】

製造技術によって、再エネ由来合成燃料は1種類、バイオ燃料は9種類に分類される

燃料 技術分類 概要

再エネ由来

合成燃料

Power to Gas

to Liquid (Fuel)

余剰再エネ電力、CO2

電気分解により水素生成→CO2と合成→化成品、液体燃料

フィッシャー・トロプシュ(FT)合成

逆シフト反応から合成ガス(COとH2)を生成し、直鎖の炭化水素、オレフィン、アルコール類の合成炭化水素を生成

メタノール合成(参考)

合成ガスからメタノールを生成し、ホルマリン、MTBE*1 ガソリン、MTO*2 などに利用

Powerto Gas(参考)

余剰再エネ電力

電気分解により水素生成→定置用純水素型燃料電池で発電(コジェネ)→電力系統

水の電気分解によって水素を製造した後、定置用純水素型燃料電池に利用

余剰再エネ電力

電気分解により水素生成→FCV

水の電気分解によって水素を製造した後、FCVに利用

余剰再エネ電力、CO2

電気分解により水素生成→CO2と合成(メタン化)→

天然ガススタンドやCNGV

へ供給、または天然ガスパイプラインへ注入

電気分解で製造された水素とCO2からメタンを生成する反応でサバティエ反応と呼ばれる 都市ガスの原料になることから天然ガスに混合が可能で、天然ガス自動車への供給も可能 既存のインフラ活用が可能 製造物として合成メタンが得られる

次世代バイオ燃料

バイオエタノールセルロース系

糖化→発酵 バイオマスをほぐすための前処理を実施した後、糖化、発酵させて製造する方法ガス化→発酵 セルロースをガス化、発酵させて製造する方法ガス化→合成 セルロースをガス化した後、発酵ではなく合成によってバイオエタノールを製造する方法

微細藻類による光合成 微細藻類の光合成により直接バイオエタノールを生産し、太陽光エネルギーにより気化させて回収する方法

炭化水素(バイオジェット、

再生可能ディーゼルを含

む)

セルロース系

液化→精製 セルロース系バイオマスから物理化学的処理のみで炭化水素燃料を生産する方法ガス化→FT合成 バイオマスを熱又は触媒によりCOと水素に分解し、これを触媒反応を用いて液体炭化水素を合成する方法

動植物油脂(廃油脂含む)原料

水素化精製によって油脂を炭化水素化する方法

微細藻類光合成 微細藻類を光合成により培養し、微細藻類が生産した油脂等を精製して炭化水素燃料を得る方法

糖が原料 微細藻類を糖を餌に培養し、微細藻類が生産した油脂等を精製して炭化水素燃料を得る方法

調査対象

*1MTBE =メタノールとイソブチレンから合成される、メチル・ターシャリー・ブチル・エーテルの略 *2MTO = Methanol to Olefin

表 3-1

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再エネ由来合成燃料:

ドイツにてPower-to-Gasの活用に向けた政策は推進されているが、Power-to-Gas-to-Liquidの活用に向けた政策は存在しない状況

欧州各国も、REDの輸送用燃料に占める再エネ目標を果たすために、合成燃料に転換しうるPower-to-Gas

に関する取組を進めている

一方、AudiではSunfire等と共同で、Power-to-Gas-to-Liquidの開発を実施

しかし、欧州の合成燃料事業者や政府機関によると、合成燃料は研究開発中であり商用化の時期は未定

合成燃料は、商用化時期が未定で、合成燃料の製造過程で生産される水素を直接燃料として使用すれば良いため、今後バイオ燃料の需要が相当ひっ迫しない限り、可能性は日本では限りなく低いと想定

バイオ燃料:

各国の政策が進む中、輸送部門におけるバイオ燃料需要も増加が予測されている

また、国産での活用可能性のある次世代バイオ燃料は、欧州を中心に研究開発・商業化が進んでいる

次世代バイオジェットにおいても、米国・欧州を中心に少量だが生産が進んでいる

欧州のバイオ燃料事業者や政府機関によると、次世代バイオ燃料は廃棄物系で商用化しているが、補助金なしでの黒字化は難しい

さらに、国産次世代バイオ燃料の製造可能量について、廃棄物系の製造可能量は僅かであり、セルロース系・藻類系から製造が見込まれるバイオ燃料も限定的

国産次世代バイオ燃料を活用する場合、技術的にはセルロース系が最も早く可能性があり、藻類系は中長期的には可能性がある

バイオ燃料・合成燃料の諸外国の方向性のまとめ

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3.バイオ燃料・合成燃料の諸外国の方向性

3-1.調査の背景・目的・概要

3-2.再エネ由来合成燃料

3-3.バイオ燃料

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欧州各国のPower-to-Gasへの取り組み

【再エネ由来合成燃料 –欧州の取組背景– 】

欧州各国もRED目標達成の為、Power-to-Gasの取組までは進めている

国2020年の目標値

輸送用燃料に占める再エネ源割合 具体的取り組み

EU10%

輸送用燃料に占める再エネ源割合は、バイオ燃料だけでなく再エネ源電力や水素も含む

ドイツ10%* 2014年の再エネ源水素の寄与は小さく、検証データは無し

フランス10%

2013年に再エネ源水素や燃料電池を含む新エネルギー技術分野の研究開発に投資を行う(4.4億ユーロ)

イギリス10%

超低排出自動車燃料としての2030年水素ロードマップを作製。UKH2Mobilityは水素燃料インフラの評価・検討を継続

* ドイツ政府は2020年に、輸送用燃料に占める再エネ源割合13.2%(うち12%がバイオ燃料)到達を予測しているが国目標ではない

出所:欧州委員会「National action plans」、欧州委員会「Progress reports」、NEDO「Power to Gasに関する 取り組み状況」、ドイツ経済エネルギー省「Green light for the “energy

transition in the transport sector” funding initiative」、経済産業省「平成28年度石油産業体制等調査研究(バイオ燃料を中心とした我が国の燃料政策のあり方に関する調査)(バイオエタノール関連)報告書」 (2018年3月末時点)

表 3-2

国 導入目標 支援措置

ドイツ

2012-2015: Power-to-Gasの技術研究2012-2020: Power-to-GasのR&Dと実証 大規模Power-to-Gasのシステム技術仕様確立 欧州電力市場における長期エネルギー貯蔵のフレームワーク構築2020~: 大規模Power-to-Gasの投資環境整備※Power to Gas to Liquidの政策は無く、Power to Gasの政策のみ存在

1.3億ユーロを投資し、R&Dをサポート 合成炭化水素、BTL 燃料、セルロース系

バイオ燃料に対し、化石燃料と混合された状態の燃料も含めて、2015 年末まで免税

Power-to-Gas-to-Liquid政策は存在せず

表 3-3

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Audiの開発技術

【再エネ由来合成燃料 –開発プロジェクト– 】

一方、AudiではSunfire等と共同で、Power-to-Gas-to-Liquidの開発を実施

91

技術種別 概要

Power-to-Gas-to-Liquid

再エネ電力⇒水を水素と酸素に電気分解⇒CO2

と水素から二段階プロセス*を通し原油に相当する「Blue Crude」を生成⇒「Blue Crude」を生成しe-dieselとして使用したり、用途により加工する*水素とCO2から一酸化炭素、水素、水を製造した後、CO2と水素からなる合成ガスが液体エネルギー担体(Blue Crude)を形成

e-diesel(ドレスデンプラント): 2015年4月に、ドレスデンのパイロットプラントで、水、CO2再エネ電力からの高品質

ディーゼル燃料e-dieselの製造を開始(Power-to-liquid)。プロジェクトパートナーのドレスデン、エネルギー技術会社Sunfireがプラントを運営する。世界初のPtL製造プラントとなる。

Power-to-Gas-to-Liquid

再エネ電力(風力)⇒水を水素と酸素に電気分解⇒フィッシャー・トロプシュ合成でCO2と水素を合成し炭化水素を生成⇒e-dieselまたは化粧品・食品・化学工業用の再生可能ワックスを製造

e-diesel(ラウフェンブルクプラント): IneratecとEnergiedienst AGをパートナーとして、2018年にラウフェンブルク(スイス)で

実証プラントを建設予定。計画年間製造容量は40万L。

*水素とCO2から一酸化炭素、水素、水を製造した後、CO2と水素からなる合成ガスが液体エネルギー担体(Blue Crude)を形成

出所:Audi MediaCenter「Fuel of the future: Research facility in Dresden produces first batch of Audi e-diesel」、 Audi MediaCenter「Audi steps up research into synthetic fuels」(2018年3月末時点)

表 3-4

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92

海外ヒアリングコメント*

【再エネ由来合成燃料 –合成燃料事業者・政府機関ヒアリング結果– 】

しかし、合成燃料は研究開発中であり商用化の時期は未定

Sunfire 合成燃料はまだ商用化はしておらず、スケールアップを図り商用化目指す

• まだ商用化はしていないが、2020年運転予定のスケールアッププロジェクトでは約8,000t/年のe-

Crude製造量の見込み

• MW規模は問題のない稼働率である。それより小さい規模になるとコスト的に厳しくなる

VROM

合成燃料はまだ初期段階

• 合成燃料はまだ初期段階だが、将来は航空・船舶で重要な役割を果たすかもしれない

Gasunie 電解装置はまだコスト高で、スケールアップで低コスト化目指す

• 再エネ電力由来水素製造は、電解装置のコスト高でまだ化石燃料価格と競争できていない

• スケールの大規模化と生産量の確保は不可欠であり、将来300MW規模の再エネ水素製造を計画している

NOW 合成燃料はほぼ供給されておらず、商用化の時期も不明

• 2016年のドイツのバイオディーゼル供給量は74,570TJ(輸送部門全体は2,500PJ)で、合成燃料の供給量はほぼ無し

• 合成燃料の明確な商用化の時期は不明

* 海外ヒアリングの詳細は「参考資料2海外ヒアリング結果概要」を参照

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国内

○ ×△△

93

日本での導入可能性*3

【再エネ由来合成燃料 –導入可能性– 】

今後バイオ燃料の需要が相当ひっ迫しない限り、可能性は日本では限りなく低い

燃料 分類

導入可能性

開発状況国産燃料の確保可否 課題 費用対効果

撤退研究開発段階

商業化段階

Power toGas to Liquid (Fuel)

余剰再エネ電力、CO2

再エネ→電

解装置で水素生成→CO2と合成→化成品、液体燃料

(商用化時期の目途は立っていな

い)

原料がCO2と水のため確保可否に問題はない CO2と水が原料であり、CO2

は石油精製プロセスや鉄鋼製造プロセスからきている

再エネ導入量は将来的に増加が予想される 再エネ導入ポテンシャル*1

太陽光:60,000MW

陸上風力:286,000MW

中小水力(河川部):9,000MW

地熱:486MW

現在の再エネ導入容量 太陽光:38,470MW

陸上風力:3,310MW

中小水力(河川部):450MW

地熱:15MW

合成プロセスの複雑さ、CO2回収の難しさ、が課題として残る Power to Gas後、Gas to

Liquidの合成プロセスが必要となり複雑化する

燃料であるCO2の回収が難しく、高コストである

独Chorenも事業撤退し、現

在は小規模のテストプラントのみ存在

電解プロセスの収益性は見込めており、再エネ電力コスト低下などからコスト減が予想されるが、水素として使用した方がコスト面で優位 水素生成の収益性指数(PI*2) アルカリ性固形酸化物電解

装置(PI=0.9):投資価値無し

高分子電解質膜電解装置(PI=1.5):投資価値有り

製造コストの低下が予想

再エネ電力(風力、太陽光)コストの低下製造効率向上(高温電解、CO2抽出等)スケールメリットや数の普及によるコスト低下

水素として使用した方がコスト面で優位で、水素から生成する意義が低い

国内海外 国内海外国内海外海外

○・・・日本での導入に疑義がない△・・・日本での導入に疑義がある×・・・日本での導入に大いに疑義がある

出所: 環境省「再生可能エネルギー導入ポテンシャルマップ」、経済産業省「固定価格買取制度情報公表用ウェブサイト」、FCH (Fuel Cells and Hydrogen) Commercialisation of

energy storage in Europe、ドイツ環境省「Power-to-Liquids -Potentials and Perspectives for the Future

Supply of Renewable Aviation Fuel」 (2018年3月末時点)

*1 複数のポテンシャルシナリオの中から、最も保守的な導入ポテンシャル数値を記載 *2 PI= Profitability Index. 投資判断に使われる指標で、投資から将来のキャッシュフローの現在価値と初期投資額を比べる。PI>1であれば投資価値がある *3 事業採算性は考慮していない点に注意

表 3-5

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3.バイオ燃料・合成燃料の諸外国の方向性

3-1.調査の背景・目的・概要

3-2.再エネ由来合成燃料

3-3.バイオ燃料

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バイオ燃料関連政策

【バイオ燃料 –日本・諸外国の政策– 】

各国では、バイオ燃料の活用に向けて政策を推し進めている

出所: 経済産業省「平成28年度石油産業体制等調査研究バイオ燃料を中心とした我が国の燃料政策のあり方に関する調査)(バイオエタノール関連)報告書」 (2018年3月末時点)

国名 導入目標消費実績(2015年)

支援措置第二世代バイオ燃料

の位置付けディーゼル エタノール

2017 年度に50 万Kl(輸送用燃料に限らず)対象:石油精製業者

- 63 万 kL 揮発油税の免税措置あり 導入目標達成に際し、削減量算定時、第二世代バイオ燃料は2

倍カウント

2020 年に輸送用燃料の10%(バイオ燃料以外の再生可能エネルギーを含む。)対象:加盟国政府を通じて目標を達成

1,429 万 kL 537 万 kL 各国にて税制優遇措置等あり 導入目標達成に際し、セルロース系は2/4

倍カウント

2013/14 年以降、輸送用燃料の 5%対象:年間450kL 以上の輸送用燃料供給事業者

67 万 kL 79 万 kL RTFO 開始に伴い、減税措置は廃止

RED に準じる

2020 年までに、 GHG 排出量削減率を 6%

対象:石油供給事業者228 万 kL 148 万 kL 現在では代替燃料による削減

しか認められていないが、2017 年以降は石油製油所における効率改善も認められる

RED に準じる

2020 年に輸送燃料の 20%対象:燃料供給事業者

566 万 kL 5,154 万 kL 先進型バイオ燃料や航空用バイオ燃料に対する助成あり

導入義務としてセルロース系バイオ燃料枠あり

2018 年度以降、輸送用燃料に占めるバイオディーゼルの混合比率を3.0%

対象:石油精製業者又は石油輸出入業者

49万kl -

次世代バイオ燃料の開発を推進

日本

イギリス

米国

ドイツ

EU

韓国

表 3-6

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世界のバイオ燃料生産量

【バイオ燃料 –世界の需要予測– 】

各国の政策が進む中、輸送部門におけるバイオ燃料需要も増加が予測されている

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

2014 2040

陸上輸送エタノール 陸上輸送バイオディーゼル 航海輸送 航空輸送

主要需要国は米国、中国、ブラジルになると予想されている

主要需要国は、米国とEUになると予想されている

(百万boe*/d)

出所:石油エネルギー技術センター「石油精製技術と石油需給動向」 (2018年3月末時点)

*Barrel of oil equivalent(石油換算バレル)

1.6

9

図 3-1

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バイオ燃料の輸入率*(2015年)

【バイオ燃料 –日本・諸外国の輸入状況– 】

だが、バイオ燃料輸入状況をみると、日本では第1世代国産バイオ燃料の活用が難しい

80%

59%

42%

100%

2%

20%

41%

58%

0%

98%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

欧州 ドイツ イギリス 米国 日本

国産 輸入

• 国内の工場が少なく、大半をブラジルからの輸入に依存

*次世代バイオ燃料も一部含まれるが大半が第一世代バイオ燃料である

出所: 経済産業省「平成28年度石油産業体制等調査研究バイオ燃料を中心とした我が国の燃料政策のあり方に関する調査)(バイオエタノール関連)報告書」 (2018年3月末時点)

図 3-2

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次世代バイオ燃料の技術種類と概要

【バイオ燃料 –技術概要・開発状況– 】

また、国産での活用可能性のある次世代バイオ燃料も研究開発・商業化が進んでいる

燃料 分類開発状況

概要撤退

研究開発段階

商業化段階

バイオエタノール

セルロース系

糖化→

発酵● ● バイオマスをほぐすための前処理を実施した後、糖化、発酵させて製造する方法

ガス化→

発酵● セルロースをガス化、発酵させて製造する方法

ガス化→

合成● セルロースをガス化した後、発酵ではなく合成によってバイオエタノールを製造する方法

微細藻類による光合成

● 微細藻類の光合成により直接バイオエタノールを生産し、太陽光エネルギーにより気化させ

て回収する方法

炭化水素(バイオジェット、

再生可能ディーゼルを含む)

セルロース系

液化→

精製● セルロース系バイオマスから物理化学的処理のみで炭化水素燃料を生産する方法

ガス化→FT

合成●

バイオマスを熱又は触媒によりCOと水素に分解し、これを触媒反応を用いて液体炭化水素を合成する方法(フィッシャートロプス合成)

動植物油脂(廃油脂含む)原料

● 水素化精製によって油脂を炭化水素化する方法

微細藻類

光合成 ● 微細藻類を光合成により培養し、微細藻類が生産した油脂等を精製して炭化水素燃料を得

る方法

糖が原料 ● 微細藻類を糖を餌に培養し、微細藻類が生産した油脂等を精製して炭化水素燃料を得る方

出所: 経済産業省「平成28年度石油産業体制等調査研究バイオ燃料を中心とした我が国の燃料政策のあり方に関する調査)(バイオエタノール関連)報告書」 (2018年3月末時点)

表 3-7

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EUにおける次世代バイオ燃料製造プラント

【バイオ燃料 –次世代バイオ燃料製造プラント– 】

欧州においても次世代バイオ燃料の生産が進んでいる

燃料 原料 企業名 プラント所在国 生産能力 稼働年

バイオエタノール セルロース系

麦かん Beta Renewables イタリア 75百万ℓ/年 2013年~

おがくず St1 Biofuels Oy フィンランド 10百万ℓ/年 2021年~(予定)

炭化水素(バイオジェット、再生可能ディーゼルを含む)

動植物油脂(廃油脂含む)原料

油脂 Neste Oil フィンランド 430百万ℓ/年 2007年~

油脂 CEPSA,REPSOL スペイン 700百万ℓ/年 2011年~

油脂 Neste Oil オランダ 1,280百万ℓ/年 2011年~

油脂 Eni SpA イタリア 680百万ℓ/年 2017年~(予定)

油脂 Total フランス 570百万ℓ/年 2017年~(予定)

パーム油 Eni SpA イタリア 465百万ℓ/年 2014年~

トールオイ ル UPM フィンランド 115百万ℓ/年 2015年~

出所:経済産業省「平成28年度石油産業体制等調査研究バイオ燃料を中心とした我が国の燃料政策のあり方に関する調査)(バイオエタノール関連)報告書」、St1 News release、Beta Renewables HP (2018年3月末時点)

表 3-8

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次世代バイオジェット製造プラント

【バイオ燃料 –次世代バイオジェット製造プラント– 】

次世代バイオジェットにおいても、米国・欧州を中心に少量だが生産が進んでいる

100

燃料 原料 企業名 企業国 生産量 稼働年

Annex1

(FT合成)都市ゴミ

Fulcrum

BioEnergy米国

FT合成原油ベースで4.56万kL/年(Sierra

BioFuels Plant) 9,000万ガロン/年(United Airlinesに供給予定)

2020年~(予定) 未定

Annex2

(水素化精製)

廃⾷⽤油、廃獣脂、 農業残渣 等

AltAir Fuels 米国 ジェット燃料向けにNEATバイオ燃料ベースで

14.5万kL/年(⽶国カリフォルニア州) 2015年~

Diamond

Green Diesel米国

HEFA*燃料ベースで62万kL/年(⽶国ルイジアナ州)

稼働中

Neste Oil フィンランド

HVO燃料ベースで:

約40万kL/年(フィンランド) 約160万kL/年(オランダ、シンガポール)

2007年・ 2009年~(フィンランド) 2010年~(シンガポール) 2011年~(オランダ)

Preem スウェーデン - 稼働中

Sinopec 中国 北米に3万t 輸出(2013) ヨーロッパに9.6万t 輸出(2015)

-

Annex5

(Alcohol to

Jet)

製鉄所排ガス等

Lanza Tech 米国 4,000ガロン(中国) 2012年~

⾮⾷⽤植物Byogy

Renewab les米国 - -

出所:経済産業省「平成28年度石油産業体制等調査研究(バイオ燃料を中心とした我が国の燃料政策のあり方に関する調査)(バイオジェット燃料関連)報告書」、Fulcrum BioEnergy

HP、Preem HP、Lanza Tech HP、SINOPEC News release (2018年3月末時点)

*HEFA:Hydroprocessed Esters and Fatty Acids。水素化処理後のNEATバイオ燃料

表 3-9

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第2世代バイオ燃料の市場成長予測

【バイオ燃料 –次世代バイオ燃料市場予測– 】

次世代バイオ燃料の市場は、2020年に50%の成長が予想されている

159

239

0

50

100

150

200

250

300

2014 2020

出所:UNCTAD「Second generation biofuel markets」 (2018年3月末時点)

(億USD)図 3-3

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【バイオ燃料 –次世代バイオ燃料コスト– 】

また、次世代バイオ燃料の製造コストも、将来的には低下が期待されている

バイオ燃料製造コスト

出所:UNCTAD「Second generation biofuel markets」、RFA (2018年3月末時点)

将来の第2世代バイオ燃料現状の従来バイオ燃料

バイオディーゼル バイオエタノール

(USDセント/L)

64

110115 117.5

87.5

106.5

80.5

27.7

0

20

40

60

80

100

120

140

大豆油

(アルゼンチン)

大豆油

(世界平均)

パームオイル

(インドネシア、

マレーシア他)

菜種油

(EU)

サトウキビ

(ブラジル)

コーン

(米国)

短期的*

コスト想定

長期的*

コスト想定

* 長期的、短期的の具体的な期間については不明

図 3-4

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【バイオ燃料 –セルロース系バイオエタノールの国内実証– 】

しかし、セルロース系バイオエタノールは高コストを理由に、多くが国内実証を終了

国内でのバイオ燃料関連実証

北海道十勝地区 (十勝圏振興機構等)【農林水産省、経済産業省、環境省】・規格外小麦、とうもろこし等からの燃料用エタノール製造とE3、E10実証。

北海道苫小牧(オエノンホールディングス)【農林水産省】・米等からの燃料用エタノール製造。

山形県新庄市(新庄市)【農林水産省】・ソルガム(こうりゃん)からの燃料用エタノール製造とE3実証。

福岡県北九州市(新日鐵エンジニアリング)【経済産業省、環境省】・食品廃棄物からの燃料用エタノール製造とE3実証。

新潟県新潟市(全国農業協同組合連合会)

・米からの燃料用エタノール製造とE3実証。

長野県信濃町(東京大学、総合環境研究所、信濃町)【文部科学省】・稲わら・もみ殻、飼料米からエタノール製造とE3等実証。

愛知県水田活用新作物研究会(愛知県・JA愛知中央会・JAあいち経済連)・ 多収量米の栽培試験とE3実証。

静岡県静岡市(静岡油化工業)【NEDO】・稲わら・もみ殻、飼料米からエタノール製造とE3等実証。

沖縄県宮古島(りゅうせき)【環境省】・サトウキビ(糖蜜)からの燃料用エタノール製造とE3、E10実証。

沖縄県伊江島(アサヒビール、九州沖縄農業研究センター)【農林水産省、経済産業省、環境省、内閣府】・サトウキビ(糖蜜)からの燃料用エタノール製造とE3実証。

熊本県人吉市(球磨焼酎リサイクリーン)【農林水産省】・焼酎粕からのエタノール抽出とボイラ燃料利用。

大阪府堺市(バイオエタノール・ジャパン・関西※、大阪府)【環境省】・建築廃材からの燃料用エタノール製造とE3、E10実証。

※ 現在は大栄環境 HDの関連会社

兵庫県明石市(ひょうご環境創造協会、三菱重工業、白鶴酒造、関西化学機械)【農林水産省】・稲わらからの燃料用エタノール製造。

北海道清水町(北海道バイオエタノール)【農林水産省】・甜菜、小麦等からの燃料用エタノール製造。

北海道恵庭市(大成建設、サッポロビール)【農林水産省】・稲わらからの燃料用エタノール製造。

秋田県北秋田市(森林総合研究所)【林野庁】・スギ林地残材、製材工場残材からの燃料用エタノール製造。

岩手県奥州市(東京農業大学、奥州市)・発酵バックによる米からの燃料用エタノール製造。

秋田県大潟村・潟上市(秋田県農業公社、カワサキプラントシステムズ)【農林水産省】・稲わらからの燃料用エタノール製造。

千葉県柏市(柏の葉バイオエタノール生産実証有限責任事業組合)【農林水産省】・稲わらからの燃料用エタノール製造。

岡山県真庭市(三井造船、岡山県、真庭市)【経済産業省】・製材所端材からの燃料用エタノール製造実証。

愛媛県(新日鉄エンジニアリング、えひめ飲料、愛媛県、愛媛大学)【環境省】・みかん搾汁残渣からの燃料用エタノール製造。 沖縄県(日伯エタノール)【環境省】

・サトウキビ(糖蜜)からの燃料用エタノール製造とE3実証。

首都圏(日伯エタノール)【環境省】・輸入エタノールを用いたE3の実証。

鹿児島県出水市(日本アルコール産業)【環境省】・糖蜜からエタノールを製造。

既に終了している事業平成29年現在まで継続している事業

図 3-5

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海外ヒアリングコメント*

【バイオ燃料 –バイオ燃料事業者・政府機関ヒアリング結果– 】

バイオ燃料は廃棄物系で商用化しているが、補助金なしでの黒字化は難しい

Neste廃棄物由来バイオ燃料は補助金・税制優遇が無いと事業性確保は難しく、その他未商用化の第二世代バイオの商用化も補助金による

• 廃棄物由来バイオ燃料は販売額の面では良いが、補助金などが無ければ競争的ではなくなる

• 研究開発段階のバイオ燃料の商用化は、補助金による。食用バイオか非食用バイオかの議論は政策的な決定でしかない。

VROM オランダのバイオ燃料の大半が廃棄物系第二世代であり、藻類・廃棄木質系はまだ商用化していない

• バイオ燃料の大半を占めるバイオディーゼルは、廃食用油や油脂由来の第二世代バイオ燃料で、バイオエタノールは第一世代が主である。藻類や廃棄木質系由来のバイオ燃料はまだ少ない

NOW

ドイツのバイオディーゼルの大半が廃棄物系第二世代であり、藻類・廃棄木質系の商用化時期は不明確

• 2016年のドイツのバイオディーゼル供給量は74,570TJ(輸送部門全体は2,500PJ)で、そのうち廃棄物・残渣由来は32,422TJ、植物油由来は32,154TJ。藻類や廃棄木質バイオ燃料の供給量はほぼ無し

• 商用化されていない次世代バイオ(藻類、廃棄木質)の明確な商用化の時期は不明

* 海外ヒアリングの詳細は「参考資料2海外ヒアリング結果概要」を参照

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× △ △

105

日本での導入可能性*

【バイオ燃料 –国産次世代バイオ燃料の導入可能性– 】

セルロース系が技術と製造量の観点で優位。藻類系は中長期的には可能性有

○・・・日本での導入に疑義がない△・・・日本での導入に疑義がある×・・・日本での導入に大いに疑義がある

△×

燃料 分類

導入可能性開発状況

国産燃料の確保可否 課題 費用対効果撤退

研究開発段階

商業化段階

バイオエタノール

セルロース系

糖化→

発酵● ●

海外 海外では研究開発段階にあり、不明国内 セルロース系(糖化→発酵)は267.1万kL/

年(推計)

海外・ 国内 前処理・糖化のコストダウン 発酵工程のキシロース利用率向上 ガス化技術の向上

海外 海外では研究開発段階にあり不明国内 高コストを理由に国内実証が終了

しているものが多く、費用対効果は低い

ガス化→

発酵●

ガス化→

合成●

微細藻類による光合成 ●

海外 藻類造効率が悪く大量確保が難しい国内 成分上はディーゼル系のためエタノール

にすると変換効率が下がるため、導入検討は難しい

海外 国内 商業規模での検証

海外 研究開発段階であり費用対効果は

不明

炭化水素(バイオジェット、再生可能ディーゼルを含む)

セルロース系

液化→

精製 ●海外 海外では研究開発段階にあり、不明国内 セルロース系(ガス化→FT合成)は263.2

万kL/年(推計)

海国内 商業化計画 未発表 ガス化技術の向上

海外 海外では研究開発段階にあり、不

明国内 国内ではセルロース系はエタノー

ル生産のみを実証しているため不明

ガス化→FT合

成●

動植物油脂(廃油脂含む)原料

海外 商用化レベルに耐えうる原料を確保でき

ている国内 廃油脂(HVO)は18.1万kL/年(推計)

多様な原料への対応 原料調達のサプライチェーン構築

海外 補助金や税制優遇を活用すれば費

用対効果あり国内 国内では研究開発段階のため費用

対効果は不明

微細藻類

光合成●

海外 藻類造効率が悪く大量確保が難しい国内 藻類は178万kL/年(バイオ原油量)(推

計)

増殖速度の向上 高濃度濃縮の実現

研究開発段階であり費用対効果は不明

糖が原料 ●

海外 国内

海外 国内

海外

海外 国内

海外

国内

海外

国内

海外

国内

海外

国内

海外

国内

海外

国内

海外

国内

海外

国内

海外 国内

海外 国内

海外 国内

海外 国内

海外 国内

海外 国内

海外 国内

海外 国内

出所:経済産業省「平成28年度石油産業体制等調査研究(バイオ燃料を中心とした我が国の燃料政策のあり方に関する調査)(バイオエタノール関連)報告書」、有識者ヒアリング、バイオ燃料製造可能量関連資料(次世代バイオ燃料製造可能量の推計に係る前提資料にて詳細) (2018年3月末時点)

*事業採算性は考慮していない点に注意

表 3-10

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国産次世代バイオ燃料製造可能量*1

【バイオ燃料 –国産次世代バイオ燃料の製造可能量– 】

廃棄物系の製造可能量は僅か。全体の製造可能量も燃料油需用に比して限定的

0 200 400 600 800 1,000

藻類系(バイオ原油)

セルロース系(ガス化FT合成バイオ燃料)

廃棄物系(HVO)*4

廃棄物系(FAME)*3

(万kL)バイオディーゼル製造量(未利用量)*2 バイオディーゼル製造量(賦存量)

*1: セルロース系(ガス化BTLバイオ燃料)は液体燃料量、藻類系(バイオ原油)は原油量 2: バイオマス未利用量は国内で発生するバイオマス量(賦存量)から利用されている量を差し引いたもの 3: 脂肪酸メチルエステルバイオディーゼル 4:水素化バイオディーゼル

バイオエタノール

バイオディーゼル

0 200 400 600 800 1,000

セルロース系(糖化→発酵)

(万kL)バイオエタノール製造量(未利用量)*2 バイオエタノール製造量(賦存量)

図 3-6

図 3-7

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次世代バイオ燃料製造量の推計に係る前提

(参考)

国内の原料別賦存量と製造効率から、バイオエタノール製造可能量を推計

燃料 分類バイオマス原料

製造効率賦存量・製造量

(kl)未利用量・製造

量(kl)備考

種類賦存量(万t)

未利用量(万t)

バイオエタノー

セルロース系*1

(賦存量は炭素換算

値)

糖化→発酵

紙 1,023 194

300

3,069,000 582,000

賦存量 or 未利用量(万t)×300L/t 廃材*2(エタノール収率(糖化→発酵))

製材工場等残材 320 10 960,000 30,000建設発生木材 220 13 660,000 39,000林地残材 400 364 1,200,000 1,092,000農作物非食用部 448 306 1,344,000 918,000

黒液 413 0 1,239,000 0※黒液の製造効率は不明の為、エタノール収率(糖化→発酵)のものを使用

廃棄パルプ、廃菌床、コーヒー粕

- 5 200 - 10,000(廃棄パルプ5,000t+廃菌床25,000t+コーヒー粕20,000t)×200L/t (NEDO研究開発プロジェクトの値)*6

ガス化→発酵、ガス化→合成

紙(木材) 1,023 194

200

2,046,000 388,000賦存量 or 未利用料(万t)×200L/t*3(100kgの木材から20 ℓの液体燃料製造)

※ガス化→発酵、ガス化→合成の製造効率は不明の為、ガス化FT合成 (BTL)のものを使用

製材工場等残材(木材) 320 10 640,000 20,000建設発生木材(木材) 220 13 440,000 26,000

林地残材(木材) 400 364 800,000 728,000

黒液 413 0 826,000 0※黒液の製造効率は不明の為、ガス化FT合成 (BTL)のものを使用

廃棄パルプ、廃菌床、コーヒー粕

- 5 200 - 10,000

(廃棄パルプ5,000t+廃菌床25,000t+コーヒー粕20,000t)×200L/t (NEDO研究開発プロジェクトの値)*6

※ガス化→発酵、ガス化→合成の製造効率は不明の為、糖化→発酵のものを使用

農作物非食用部(稲わら) 448 306 477 2,136,960 1,459,620賦存量 or 未利用料(万t)×477L/t*4(原料消費量1,000t(日)/プラント設備規模3,000バレル(日))

微細藻類

- - - - -

*1: 農林水産省「バイオマスの活用をめぐる状況」 2: 経済産業「平成28年度石油産業体制等調査研究(バイオ燃料を中心とした我が国の燃料政策のあり方に関する調査)(バイオエノール関連)報告書」 3: アジア・バイオマスエネルギー協力推進オフィス 4:NEDO「熱化学プロセスによるバイオ燃料製造技術開発の現状と今後の展望に関する研究」 5:経済産業省「平成28年度石油産業体制等調査研究(バイオ燃料を中心とした我が国の燃料政策のあり方に関する調査)(バイオジェット燃料関連)報告書」 6: NEDO「次世代バイオエタノールの研究開発の状況」 (2018年3月末時点)

表 3-11

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次世代バイオ燃料製造量の推計に係る前提

(参考)

国内の原料別賦存量と製造効率から、バイオディーゼル製造可能量を推計

燃料 分類バイオマス原料

製造効率賦存量・製造量

(kl)未利用量・製造

量(kl)備考

種類賦存量(万t)

未利用量(万t)

炭化水素(バイオジェット、再生

可能ディーゼルを含む)

セルロース系*1

(賦存量は炭素換算

値)

液化→精製、ガス化→FT合

紙(木材) 1,023 194

200

2,046,000 388,000賦存量 or 未利用料(万t)×200L/t*4(100kgの木材から20 ℓの液体燃料製造)

※液化→精製の製造効率は不明の為、ガス化FT合成 (BTL)のものを使用

製材工場等残材(木材) 320 10 640,000 20,000

建設発生木材(木材) 220 13 440,000 26,000

林地残材(木材) 400 364 800,000 728,000

黒液 413 0 826,000 0※黒液の製造効率は不明の為、ガス化FT合成 (BTL)のものを使用

廃棄パルプ、廃菌床、コーヒー粕

- 5 200 - 10,000(廃棄パルプ5,000t+廃菌床25,000t+コーヒー粕20,000t)×200L/t (NEDO研究開発プロジェクトの値)*7

農作物非食用部(稲わら) 448 306 477 2,136,960 1,459,620賦存量 or 未利用料(万t)×477L/t*5(原料消費量1,000t(日)/プラント設備規模3,000バレル(日))

動植物油脂(廃油脂含む)原

FAME

廃食用油・油脂 43.5*2 16.5*2

89.2% 440,932 167,250賦:事業系32-35万t+家庭系9-11万t or未:事業系6-8万t+家庭系9-10万t×89.2%*3(国内バイオディーゼル事業者の製造量/原料、n=65)

HVO 96.3% 476,010 180,556賦:事業系32-35万t+家庭系9-11万t or未:事業系6-8万t+家庭系9-10万t×96.3%(Nesteの年間製造量260万t/原料270万t)

微細藻類*6 - 耕作放棄地の面積120,094ha

3.5 g/m2/日

178 万kℓ/年(2020年には千数百klを想定)

①バイオ原油重量:3.5g/m2/日×365 日×(120,904×10,000)m2÷1,000,000≒約154 万t/年②バイオ原油容量:約154 万t/年÷0.87≒178 万kℓ/年

*1: 農林水産省「バイオマスの活用をめぐる状況」 2: 農林水産省「油脂・油脂製品化(廃食用油のリサイクル)の現状」 3: 国土交通省「バイオディーゼル燃料取組実態調査の概要(平成20

年度実績)」 4: : アジア・バイオマスエネルギー協力推進オフィス 5:NEDO「熱化学プロセスによるバイオ燃料製造技術開発の現状と今後 6: 経済産業省「平成28年度石油産業体制等調査研究(バイオ燃料を中心とした我が国の燃料政策のあり方に関する調査)(バイオジェット燃料関連)報告書」 7: IOWA State University「Liquid Fuel Measurements and Conversions」7: NEDO「次世代バイオエタノールの研究開発の状況」 (2018年3月末時点)

表 3-12

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各国のバイオ燃料混入率

【バイオ燃料 –諸外国のバイオ燃料混入率– 】

欧米では、E85、B100の導入実績有り

10%

従来のガソリン車には使用できず、対応車においてのみ利用可能

バイオエタノール

バイオディーゼ

5%2% 7%3%

※日本はETBE導入だが、ETBEの7%(体積量)はE3に相当し、ETBE22%はE10に相当する

バイオエタノール混合率の上限10%に対して、導入量が既にガソリン消費量の 10%弱に達しており導入量の更なる拡大が難しいという問題があるため、フレックス燃料車と2001 年以降に製造された自動車に対してE15の使用を承認

米国は州ごとに異なる

米国は州ごとに異なる

出所 経済産業省「平成28年度石油産業体制等調査研究バイオ燃料を中心とした我が国の燃料政策のあり方に関する調査)(バイオエタノール関連)報告書」,ドイツ連邦経済技術省「German Biofuels Policy

and Bioethanol Market」,AGQM「Biodiesel in Germany」、農林水産省「バイオ燃料をめぐる情勢」、国立環境研究所,ETIP

Bioenergy、AFDC, EPA (2018年3月末時点)

図 3-8

100%85%15% 20%

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4.自動車部門におけるエネルギー供給構造等の在り方に関するシナリオと要検討事項

4-1.シナリオの検討

4-2.KPIの検討

4-3.シナリオ別KPI評価

4-4.要検討事項の整理

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検討のステップ

【シナリオの検討 –検討のステップ– 】

シナリオとKPIを検討した後、シナリオ別KPIを評価し、要検討事項の整理を実施

シナリオの検討 KPIの検討 シナリオ別KPI評価 要検討事項の整理

xEV比率、内燃機関の燃費向上、バイオ燃料等の活用による熱効率改善有無から、シナリオの検討を実施

シナリオを検討するためのKPIの検討を実施

検討したシナリオに対して、シナリオ別に検討したKPIで評価を実施

シナリオ達成に向けて考えられる要検討事項の整理を実施

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IEAの車両構成予測(2DS)

【シナリオの検討 –将来の車両構成パターン– 】

将来の車両構成パターンは、IEA想定を中心にEV・HV寄りで5種類が考えられる

0%

100%

0%0%0%0%0%

2050年車両構成比率

IEA

想定

ノルウェー・IEA

の中間想定

現状成行想定

(内燃機関比率高)

IEA・現状成行の中間想定

ノルウェー想定

(EV/FCV比率高)

3%

34%

10%27%

0%6%

20%

2%25%

32%15%

6%4%

20%

0%1%1%

72%

0%6%

20%

0%1%1%

60%0%1%

39%

IEAが想定するxEV・PHV

中心となる

IEA想定とノルウェー想定の中間であり、xEVとHV

が半々となる

現状の日本の車両構成が成り行きで進む

IEA想定と現状成行想定の中間であり、HVが中心となる

ノルウェーが想定するEV/FCV(xEV)100%となる

シナリオの検討

KPIの検討シナリオ別KPI評価

要検討事項の整理

将来(2050年)の車両構成パターン

出所:IEA/ ETP「Energy Technology Perspectives 2012」 (2018年3月末時点)

図 1-9 図 4-1

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シナリオ案

【シナリオの検討 –シナリオ– 】

将来の車両構成パターンをもとにシナリオを検討すると、5パターンが考えられる

詳細内容

【環境中位シナリオ(IEAと同等)】

xEV*比率がIEA想定程度(2℃シナリオで乗用車27%、バス20%、トラック3%)となり、かつ燃費改善も同時に進むシナリオ

【ポートフォリオシナリオ(xEV比率>HV比率+バイオ燃料等)】

xEV*比率がHV比率よりも高く、かつ燃費改善、バイオ燃料等の活用も同時に進むシナリオ

【成行シナリオ(現状からの成行

き)】

車両構成が現状からの成行きで進み、かつ燃費改善も同時に進むシナリオ

【燃費改善・バイオ燃料導入シナリオ( xEV比率<

HV比率+バイオ燃料等)】

HV比率がxEV*比率よりも高く、かつ燃費

改善、バイオ燃料等の活用も同時に進むシナリオ

【再エネ大量導入シナリオ(xEV約

100%)】

ほぼ100%xEV*となり、かつ燃費改善も同時に進むシナリオ

1

2

4

5

3

HV比率大+バイオ燃料等

EV比率大

バイオ・合成燃料可能性大

バイオ・合成燃料可能性小

1

2

3

4

5

*EV・FCVのことを指しておりPHVは含まない

シナリオの検討

KPIの検討シナリオ別KPI評価

要検討事項の整理

図 4-2

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【シナリオの検討 –シナリオにおける将来像– 】

どのシナリオにおいても、ベスト・ワーストケースが存在し、ベストにする努力が必要

車両種別将来像

再エネ大量導入シナリオ

ポートフォリオシナリオ

環境中位シナリオ

燃費改善・バイオ燃料導入シナリオ

現状成行シナリオ

想定される絵姿

前提

電源構成が低炭素化する

電源の低炭素化がある程度進む

燃費規制が進み、燃費改善がある程度進む

低炭素燃料としてバイオ燃料の技術革新がある程度進む

電源の低炭素化が多少進む

燃費規制が進み、燃費改善が多少進む

燃費規制が進み、燃費改善が進む

低炭素燃料としてバイオ燃料の技術革新が進む

燃費規制が進み、燃費改善が進む

ベストケース

(環境先進国) 日本自動車会社の

xEV優位性が確保 xEVインフラが整備 日本燃料供給会社の

化学製品シフト 等

(xEV・HV技術優位) 日本自動車会社の

xEV・HV優位性がある程度確保

日本燃料供給会社の一部化学製品シフト等

(通常・成行き) 日本自動車会社の

PHV優位性確保によりxEV・HVの両方にシフトが可能 等

(HV市場席巻) 内燃機関のルールメイ

キング成功 HV技術による日本自

動車会社のグローバルシェア確保

日本燃料供給会社の既存事業における業績が維持 等

(内燃機関の地位確保) 内燃機関のルールメイ

キング成功 日本自動車会社の途

上国向けGV優位性が確保

日本燃料供給会社の既存事業における業績が維持 等

ワーストケース

(産業の空洞化) 日本自動車会社の

xEV優位性が低い xEVインフラ整備が不

十分 日本燃料供給会社が

化学製品シフトできず業績悪化 等

(技術力の低下) 日本自動車会社の

xEV・HVどちらの優位性も低い

xEVインフラ整備が不十分で、既存スタンドも減少

日本燃料供給会社が化学製品シフトできず業績悪化 等

(優位性の喪失) 日本自動車会社の全

車種の優位性が低い等

(ガラパゴス化) 内燃機関のルールメイ

キング失敗 HV技術がガラパゴス

化 日本燃料供給会社の

既存事業における業績が徐々に減少 等

(環境後進国) 内燃機関のルールメイ

キング失敗 日本自動車会社のグ

ローバルシェアが悪化 日本燃料供給会社の

既存事業における業績が徐々に減少

国内外からの投資額が減少 等

1 2 4 53

シナリオにおける将来像

シナリオの検討

KPIの検討シナリオ別KPI評価

要検討事項の整理

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再エネ大量導入シナリオ

ポートフォリオシナリオ

環境中位シナリオ

燃費改善・バイオ燃料導入シナリオ

現状成行シナリオ

IEA数値を採用ストック数を2014~2016年の車

両構成比率実績にもとづき直接推計するため、推計なし

推計の前提 2050年に向けてEV・FCVの新

車販売比率が100%となることとして推計(EV・FCVの割合は、EV・PHVロードマップ2030年

目標から推計)

推計の前提 2050年に向けて、EV・FCVの

新車販売比率がEV・PHVロードマップの2015・2030年新車

販売比率の伸び率で進むこととして推計

-

推計の前提 2030年以降の全車種新車販

売比率がEV・PHVロードマップ2030年目標と同様になることとして推計

-

0

1

2

3

4

5

6

2030 2040 2050

百万

GV・DV HV PHV EV FCV

0

1

2

3

4

5

6

2030 2040 2050

GV・DV HV PHV EV FCV

0

1

2

3

4

5

6

2030 2040 2050

GV・DV HV PHV EV FCV

(百万台) (百万台) (百万台)

115

シナリオ別車両フロー数推計(乗用車)

【シナリオの検討 –シナリオ別車両フロー数の推計– 】

車両構成比率の設定にあたって、まずシナリオ別に乗用車フロー数を推計

1 2 4 53

シナリオの検討

KPIの検討シナリオ別KPI評価

要検討事項の整理

・・・xEVフロー数

表 4-1

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再エネ大量導入シナリオ

ポートフォリオシナリオ

環境中位シナリオ

燃費改善・バイオ燃料導入シナリオ

成行シナリオ

IEA数値を採用

推計の前提 耐用年数10年として、過去10

年のフロー数の合計で推計

推計の前提 耐用年数10年として、過去10

年のフロー数の合計で推計-

推計の前提 耐用年数10年として、過去10

年のフロー数の合計で推計

推計の前提 2050年に向けて、HV・PHV・

EV・FCV構成比率が2014~2016年の車両構成比率実績の伸び率で進むこととして推計

0

10

20

30

40

50

60

70

2030 2040 2050

百万

GV・DV HV PHV EV FCV

0

10

20

30

40

50

60

70

2030 2040 2050

GV・DV HV PHV EV FCV

0

10

20

30

40

50

60

70

2030 2040 2050

GV・DV HV PHV EV FCV

(百万台) (百万台) (百万台) (百万台)

0

10

20

30

40

50

60

70

2030 2040 2050

GV・DV HV PHV EV FCV

116

シナリオ別車両ストック数推計(乗用車)

【シナリオの検討 –シナリオ別車両ストック数の推計– 】

次に、シナリオ別乗用車フロー数をもとに、乗用車ストック数を推計

1 2 4 53

シナリオの検討

KPIの検討シナリオ別KPI評価

要検討事項の整理

・・・xEVストック数

表 4-2

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乗用車/バス・トラックのxEV比率(乗用車保有台数ベース)

【シナリオの検討 –シナリオ別EV・FCV比率の推計– 】

バス・トラックのxEV比率は、技術熟度の違いから、乗用車の2040年時点の比率を採用

0.0%

10.0%

20.0%

30.0%

40.0%

50.0%

60.0%

70.0%

80.0%

90.0%

100.0%

2015 2030 2040 2050

再エネ大量導入

シナリオ(乗用車)

ポートフォリオ

シナリオ(乗用車)

燃費改善・バイオ燃料導入

シナリオ(乗用車)

現状成行

シナリオ(乗用車)

現状成行

シナリオ(バス)

現状成行

シナリオ(トラック)

環境中立国シナリオ IEA数値を採用

3

1 2 4 5 55

乗用車のxEV比率

バス・トラックのxEV比率

乗用車/バス・トラックのxEV比率

バス・トラックは、乗用車に比べ技術熟度進展速度が遅いため、xEV比率は乗用車の2040年時点のxEV比率を採用

シナリオの検討

KPIの検討シナリオ別KPI評価

要検討事項の整理

図 4-3

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乗用車/バス・トラックのEV・FCV領域の違い

【シナリオの検討 –シナリオ別EV・FCV比率の推計– 】

バス・トラックのFCV・EV比率は、2015年の大型・小型の保有割合で推計

シナリオの検討

KPIの検討シナリオ別KPI評価

要検討事項の整理

HV・PHV領域

乗用車

FCV領域

大型バス

大型トラック 等

EV領域

小型乗用車

小型バス

小型トラック

パーソナルモビリティ 等

移動距離

車両サイズ

中長距離用途

短距離用途

短 長

大型バス・トラックは、車両サイズが大きく長距離移動がメインとなり、EVよりもFCVが中心となるため、 FCV比率については乗用車2040年のxEV比率の中で2015年大型バス・トラック割合(大型バス:48.1%、大型トラック:17.1%)で推計

小型バス・トラックは、車両サイズが小さく短距離移動がメインとなり、FCVよりもEVが中心となるため、 EV比率については乗用車2040年のxEV比率の中で2015年小型バス・トラック割合(小型バス:51.9%、小型トラック:82.9%)で推計

図 4-4

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シナリオ別次世代自動車構成比率(保有台数ベース)

【シナリオの検討 –シナリオ別次世代自動車構成比率の設定– 】

乗用車フロー・ストック数推計と乗用車/バス・トラックの違いを鑑みて、車両構成比率を設定

車両種別車両需要(2050年)

構成比率(2050年)

再エネ大量導入シナリオ

ポートフォリオシナリオ

環境中位シナリオ

燃費改善・バイオ燃料導入シナリオ

成行シナリオ

乗用車

HV

5,810万台*1

0.0% 19.2% 15.0% 35.0% 59.9%

PHV 0.0% 21.7% 32.0% 12.5% 0.8%

EV 80.6% 31.3% 25.0% 12.5% 0.7%

FCV 19.4% 7.6% 2.0% 3.0% 0.0%

ガソリン車 0.0% 20.3% 20.0% 37.0% 38.6%

ディーゼル車 0.0% 0.0% 6.0% 0.0% 0.0%

バス

HV

135百億人km

(25万台*2)

15.1% 26.2% 12.2% 35.0% 1.3%

PHV 5.4% 14.2% 18.9% 12.5% 0.0%

EV 33.0% 16.6% 18.2% 8.0% 0.0%

FCV 30.6% 15.3% 2.0% 7.4% 0.0%

ガソリン車 0.0% 0.0% 20.3% 0.0% 0.0%

ディーゼル車 15.9% 27.7% 28.4% 37.1% 98.7%

トラック

HV

67百億トンkm

(1,560万台*3)

15.1% 26.2% 57.1% 35.0% 0.2%

PHV 5.4% 14.2% 17.1% 12.5% 0.0%

EV 52.7% 26.4% 2.9% 12.8% 0.2%

FCV 10.8% 5.4% 0.0% 2.6% 0.0%

ガソリン車 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0%

ディーゼル車 15.9% 27.7% 22.9% 37.1% 99.6%

*1:国土交通省 乗用車保有台数の推計値を利用、 *2:貨物車の保有台数CAGR(2015年~2030年、2030年~2050年)を使用して推計、 *3:国土交通省 貨物車保有台数の推計値を利用

1 2 4 53

出所:資源エネルギー庁「エネルギー需要見通しについて」 (2018年3月末時点)

シナリオの検討

KPIの検討シナリオ別KPI評価

要検討事項の整理

表 4-3

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4.自動車部門におけるエネルギー供給構造等の在り方に関するシナリオと要検討事項

4-1.シナリオの検討

4-2.KPIの検討

4-3.シナリオ別KPI評価

4-4.要検討事項の整理

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KPI案

【KPIの検討 –シナリオを検討する際のKPI– 】

シナリオを検討する際にKPIとして3点を設定

環境(CO2排出量)

安定供給

経済性(GDPの向上)

将来における燃料のLCA(Well to Wheelでの利用時に加え、車両の製造時・廃棄時のCO2排出量を考慮)により判断

• 将来における検討可能な対策の幅を広げるためLCAで算定を実施• LCAでは削減効果に部門間の重複が出てしまうが、サプライチェーン全

体でのCO2削減量を達成することにより、関連業界の削減ができるため、重複自体は重要ではない

燃料の生産・供給能力から、エネルギーの安定供給の可能性を判断• 自給率や燃料源の多様性については、運輸部門に限定して評価するこ

との意義がさほどないためKPIとしては未考慮

自動車業界における車両のコスト・性能競争力を高めることが可能かどうか、石油業界における石油精製所の稼働率、といった日本のGDP向上に寄与するかの経済性を判断

判断内容

シナリオの検討

KPIの検討シナリオ別KPI評価

要検討事項の整理

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4.自動車部門におけるエネルギー供給構造等の在り方に関するシナリオと要検討事項

4-1.シナリオの検討

4-2.KPIの検討

4-3.シナリオ別KPI評価

4-4.要検討事項の整理

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2050年シナリオ別CO2排出削減率(高位ケース)

【シナリオ別KPI評価 –シナリオ別CO2排出量(高位ケース)– 】

バイオ燃料の軽微導入の場合、80%は達成不可。 WtWでは内燃機関評価が不利

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

シナリオ⑤(成行)

シナリオ④(燃費改善

+バイオ:E3/B5)

シナリオ③(環境中位)

-64%

シナリオ②(ポートフォリオ:E3/B5)

シナリオ①(再エネ大量導入)

現状

凡例

シナリオの検討

KPIの検討シナリオ別KPI評価

要検討事項の整理

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

シナリオ②(ポートフォリオ:E3/B5)

シナリオ③(環境中位)

-83%

シナリオ⑤(成行)

シナリオ④(燃費改善

+バイオ:E3/B5)

シナリオ①(再エネ大量導入)

現状

乗用車 バストラック

LCA視点でのCO2削減効果

1st 2nd

WtWでのCO2削減効果

1st 2nd

成行レベルでは、CO2

排出量削減率は、現状から50%程度しか見込めない

図 4-5 図 4-6

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高位ケースにおけるバイオ燃料の効果

【シナリオ別KPI評価 –シナリオ別CO2排出量(高位ケース)– 】

バイオ燃料の大量導入により、LCAにてシナリオ②④が再エネシナリオを下回る

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

50

55

60

65

70

シナリオ④(燃費改善+バイオ:

E90/B5)

シナリオ②(ポートフォリ

オ:E100/B100)

シナリオ②(ポートフォリ

オ:E3/B90)

シナリオ②(ポートフォリ

オ:E90/B5)

シナリオ②(ポートフォリ

オ:E3/B100)

36

シナリオ④(燃費改善+バイオ:

E3/B100)

シナリオ④(ポートフォリ

オ:E3/B90)

シナリオ④(燃費改善+

バイオ:

E100/B100)

凡例

シナリオの検討

KPIの検討シナリオ別KPI評価

要検討事項の整理

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

50

55

60

65

70

シナリオ④(ポートフォリ

オ:E3/B90)

シナリオ④(燃費改善+バイオ:

E3/B100)

シナリオ②(ポートフォリ

オ:E100/B100)

シナリオ④(燃費改善+バイオ:

E90/B5)

17

シナリオ④(燃費改善+

バイオ:

E100/B100)

シナリオ②(ポートフォリ

オ:E3/B90)

シナリオ②(ポートフォリ

オ:E3/B100)

シナリオ②(ポートフォリ

オ:E90/B5)

シナリオ①の値 トラック バス乗用車

LCA視点でのCO2削減効果WtWでのCO2削減効果

「揮発油等の品質の確保に関する法律」で、エタノールは3%まで、ディーゼルは5%まで通常車両への混入が認められているためE3、B5を設定

現状のE3を前提とした場合、B90以上で、再エネシナリオを下回る

一方で、B5を前提とした場合、E100やE90 においても再エネシナリオを下回ることは難しい

出所:経済産業省「揮発油等の品質の確保等に関する法律の改正について」(2018年3月末時点)

図 4-8図 4-7

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2050年シナリオ別燃料需要量(高位ケース)

【シナリオ別KPI評価 –シナリオ別燃料需要量(高位ケース)– 】

高位の場合、バイオ燃料需要量に対して供給可能量が大幅に不足

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

4,500

5,000

シナリオ①

再エネ大量導入

シナリオ

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E3、B5)

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E90、B5)

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E3、B90)

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E3、B100)

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E100、B100)

シナリオ③

環境中位

シナリオ

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E3、B5)

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E90、B5)

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E3、B90)

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E3、B100)

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E100、B100)

シナリオ⑤

成行

シナリオ

バイオエタノール バイオディーゼル ガソリン ディーゼル

2013年燃料需要量: 8,114万kl

出所:経済産業省「総合エネルギー統計」(2018年3月末時点)

シナリオの検討

KPIの検討シナリオ別KPI評価

要検討事項の整理

(万kl)

製造可能量

成行レベルですら、燃料需要量は50%以上減少

図 4-9

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バイオ燃料の優先順位による影響

【シナリオ別KPI評価 -バイオ燃料の優先順位による影響-】

バイオ燃料が一方のみ供給される場合は、産業とCO2でトレードオフが生まれてしまう

現状のシナリオで、バイオ燃料が限定的な場合は、①バイオエタノールから導入する: 産業を優先、②バイオディーゼルを導入する:CO2目標達成を優先

することになるため、産業とCO2削減でトレードオフが生まれてしまう

×

×

○×

×

×

GDPへの影響 CO2排出量への影響

自動車業界(乗用車)

自動車業界(商用車)

石油業界自動車業界(乗用車)

自動車業界(商用車)

バイオエタノール

優先(E90,B5)

バイオエタノールを使用しCO2削減効果のある内燃機関の比率を維持可能

バイオディーゼルを使用しない場合、CO2削減に向けて、xEVの普及は限定的ながらも最大限導入される(xEVの競争力が高まれば優位性確保が可能)

乗用車ではガソリンは売れなくなる一方、軽油は引き続き販売可能になる

製油所の製造バランスが崩れる

xEV比率の向上・バイオエタノールの活用により、CO2大幅削減が可能

現状シナリオでは、バイオディーゼルが無い場合は、xEVの普及開始を想定すると導入が限定的となり、CO2大幅削減が難しい

バイオディーゼ

ル優先

(E3,B90)

バイオエタノールを使用しない場合、CO2削減に向けて、xEV比率が高くなる可能性(xEVの競争力が高まれば優位性確保が可能)

バイオディーゼルを使用しCO2削減効果のある内燃機関の比率を維持可能

乗用車xEV比率が高くなる可能性があり、乗用車ではガソリンは売れなくなり、軽油の販売量も10%以下に減少

製油所の製造バランスは維持

xEV比率の向上により、CO2大幅削減が可能

バイオディーゼルの活用により、CO2大幅削減が可能

○・・・日本での導入においてリスクが低い△・・・日本での導入においてリスクが少し高い×・・・日本での導入においてリスクが高い

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2050年シナリオ別製油所稼働率(高位ケース・稼働率減少パターン)

【シナリオ別KPI評価 –シナリオ別製油所稼働率(高位ケース・稼働率減少パターン)– 】

特段の対策を講じない場合、精油所稼働率は現状よりも大幅に低下する

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

18,000

20,000

シナリオ①

再エネ大量導入

シナリオ

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E3、B5)

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E90、B5)*

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E3、B90)

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E3、B100)

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E100、B100)

シナリオ③

環境中位

シナリオ*

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E3、B5)*

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E90、B5)*

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E3、B90)

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E3、B100)

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E100、B100)

シナリオ⑤

成行

シナリオ*

ガソリン・実需用 ガソリン・輸出用 ディーゼル・実需用 ディーゼル・輸出用 ナ フ サ ジェット燃料油

灯 油 A 重 油 B・C重油 LPガス 稼働率

(万kl) (稼働率)

*ガソリン実需用+ナフサに対しディーゼル量が多すぎるため、ディーゼル量からガソリン輸出を計算出所: 石油連盟 石油製品バランス、石油連盟 液化石油(LP)ガス需給、石油連盟 精油所装置能力、日本LPガス協会 LPガス単位換算表 (2018年3月末時点)

シナリオの検討

KPIの検討シナリオ別KPI評価

要検討事項の整理

成行レベルですら、稼働率は50%程度まで低下

図 4-10

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2050年シナリオ別CO2排出削減率(中位ケース)

【シナリオ別KPI評価 –シナリオ別CO2排出量(中位ケース)– 】

バイオ燃料の軽微導入の場合、80%は達成不可。 WtWでは内燃機関評価が不利

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

シナリオ③(環境中位)

シナリオ②(ポートフォリオ:E3/B5)

シナリオ①(再エネ大量導入)

現状 シナリオ④(燃費改善

+バイオ:E3/B5)

-51%

シナリオ⑤(成行)

凡例

シナリオの検討

KPIの検討シナリオ別KPI評価

要検討事項の整理

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

シナリオ④(燃費改善

+バイオ:E3/B5)

シナリオ②(ポートフォリオ:E3/B5)

シナリオ①(再エネ大量導入)

シナリオ③(環境中位)

現状 シナリオ⑤(成行)

-71%

トラック乗用車 バス

LCA視点でのCO2削減効果

1st 2nd

WtWでのCO2削減効果

1st 2nd

成行レベルでは、CO2

排出量削減率は、現状から40%程度しか見込めない

図 4-12図 4-11

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中位ケースにおけるバイオ燃料の効果

【シナリオ別KPI評価 –シナリオ別CO2排出量(中位ケース)– 】

バイオ燃料の大量導入により、LCAにてシナリオ②④が再エネシナリオを下回る

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

50

55

60

65

70

シナリオ④(燃費改善+バイオ:

E3/B100)

シナリオ④(燃費改善+

バイオ:

E100/B100)

シナリオ②(ポートフォリ

オ:E3/B90)

シナリオ②(ポートフォリ

オ:E3/B100)

シナリオ④(燃費改善+バイオ:

E90/B5)

シナリオ②(ポートフォリ

オ:E90/B5)

49

シナリオ④(燃費改善+バイオ:

E3/B90)

シナリオ②(ポートフォリ

オ:E100/B100)

凡例

シナリオの検討

KPIの検討シナリオ別KPI評価

要検討事項の整理

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

50

55

60

65

70

シナリオ②(ポートフォリ

オ:E3/B100)

シナリオ④(燃費改善+バイオ:

E3/B100)

シナリオ④(燃費改善+バイオ:

E90/B5)

シナリオ②(ポートフォリ

オ:E90/B5)

29

シナリオ②(ポートフォリ

オ:E100/B100)

シナリオ④(燃費改善+バイオ:

E3/B90)

シナリオ④(燃費改善+

バイオ:

E100/B100)

シナリオ②(ポートフォリ

オ:E3/B90)

シナリオ①の値 バストラック乗用車

LCA視点でのCO2削減効果WtWでのCO2削減効果

「揮発油等の品質の確保に関する法律」で、エタノールは3%まで、ディーゼルは5%まで通常車両への混入が認められているためE3、B5を設定

現状のE3を前提とした場合、B90以上で、再エネシナリオを下回る

B5を前提とした場合でも中位ケースであれば、E100やE90 においても再エネシナリオを下回る

出所:経済産業省「揮発油等の品質の確保等に関する法律の改正について」 (2018年3月末時点)

図 4-14図 4-13

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2050年シナリオ別燃料需要量(中位ケース)

【シナリオ別KPI評価 –シナリオ別燃料需要量(中位ケース)– 】

中位の場合、バイオ燃料需要量に対して供給可能量が大幅に不足

出所:経済産業省「総合エネルギー統計」 (2018年3月末時点)

シナリオの検討

KPIの検討シナリオ別KPI評価

要検討事項の整理

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

4,500

5,000

シナリオ①

再エネ大量導入

シナリオ

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E3、B5)

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E90、B5)

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E3、B90)

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E3、B100)

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E100、B100)

シナリオ③

環境中位

シナリオ

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E3、B5)

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E90、B5)

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E3、B90)

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E3、B100)

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E100、B100)

シナリオ⑤

成行

シナリオ

バイオエタノール バイオディーゼル ガソリン ディーゼル

2013年燃料需要量: 8,114万kl(万kl)

製造可能量

成行レベルですら、燃料需要量は50%以上減少

図 4-15

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2050年シナリオ別製油所稼働率(中位ケース・稼働率減少パターン)

【シナリオ別KPI評価 –シナリオ別製油所稼働率(中位ケース・稼働率減少パターン)– 】

特段の対策を講じない場合、精油所稼働率は現状よりも大幅に低下する

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

18,000

20,000

シナリオ①

再エネ大量導入

シナリオ

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E3、B5)*

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E90、B5)*

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E3、B90)

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E3、B100)

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E100、B100)

シナリオ③

環境中位

シナリオ*

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E3、B5)*

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E90、B5)*

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E3、B90)

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E3、B100)

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E100、B100)

シナリオ⑤

成行

シナリオ*

ガソリン・実需用 ガソリン・輸出用 ディーゼル・実需用 ディーゼル・輸出用 ナ フ サ ジェット燃料油

灯 油 A 重 油 B・C重油 LPガス 稼働率

(万kl) (稼働率)

*ガソリン実需用+ナフサに対しディーゼル量が多すぎるため、ディーゼル量からガソリン輸出を計算

シナリオの検討

KPIの検討シナリオ別KPI評価

要検討事項の整理

出所: 石油連盟 石油製品バランス、石油連盟 液化石油(LP)ガス需給、石油連盟 精油所装置能力、日本LPガス協会 LPガス単位換算表 (2018年3月末時点)

成行レベルですら、稼働率は50%程度まで低下

図 4-16

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2050年シナリオ別CO2排出削減率(低位ケース)

【シナリオ別KPI評価 –シナリオ別CO2排出量(低位ケース)– 】

バイオ燃料の軽微導入の場合、80%は達成不可。 WtWでは内燃機関評価が不利

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

シナリオ③(環境中位)

シナリオ④(燃費改善

+バイオ:E3/B5)

シナリオ②(ポートフォリオ:E3/B5)

現状 シナリオ①(再エネ大量導入)

-40%

シナリオ⑤(成行)

凡例

シナリオの検討

KPIの検討シナリオ別KPI評価

要検討事項の整理

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

-59%

シナリオ③(環境中位)

シナリオ①(再エネ大量導入)

シナリオ⑤(成行)

シナリオ②(ポートフォリオ:E3/B5)

シナリオ④(燃費改善

+バイオ:E3/B5)

現状

トラック バス乗用車

LCA視点でのCO2削減効果

2nd 1st

WtWでのCO2削減効果

1st 2nd

成行レベルでは、CO2

排出量削減率は、現状から40%程度しか見込めない

図 4-18図 4-17

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低位ケースにおけるバイオ燃料の効果

【シナリオ別KPI評価 –シナリオ別CO2排出量(低位ケース)– 】

バイオ燃料の大量導入により、LCAにてシナリオ②④が再エネシナリオを下回る

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

50

55

60

65

70

シナリオ②(ポートフォリ

オ:E90/B5)

シナリオ④(燃費改善+バイオ:

E3/B90)

60

シナリオ②(ポートフォリ

オ:E100/B100)

シナリオ②(ポートフォリ

オ:E3/B100)

シナリオ④(燃費改善+バイオ:

E90/B5)

シナリオ②(ポートフォリ

オ:E3/B90)

シナリオ④(燃費改善+バイオ:

E3/B100)

シナリオ④(燃費改善+

バイオ:

E100/B100)

凡例

シナリオの検討

KPIの検討シナリオ別KPI評価

要検討事項の整理

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

50

55

60

65

70

41

シナリオ④(燃費改善+バイオ:

E3/B90)

シナリオ②(ポートフォリ

オ:E100/B100)

シナリオ②(ポートフォリ

オ:E3/B100)

シナリオ②(ポートフォリ

オ:E3/B90)

シナリオ④(燃費改善+

バイオ:

E100/B100)

シナリオ④(燃費改善+バイオ:

E3/B100)

シナリオ④(燃費改善+バイオ:

E90/B5)

シナリオ②(ポートフォリ

オ:E90/B5)

シナリオ①の値 トラック バス乗用車

WtWでのCO2削減効果 LCA視点でのCO2削減効果

「揮発油等の品質の確保に関する法律」で、エタノールは3%まで、ディーゼルは5%まで通常車両への混入が認められているためE3、B5を設定

現状のE3を前提とした場合、B90以上で、再エネシナリオを下回る

B5を前提とした場合でも低位ケースであれば、E100やE90 においても再エネシナリオを下回る

出所:経済産業省「揮発油等の品質の確保等に関する法律の改正について」 (2018年3月末時点)

図 4-20図 4-19

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2050年シナリオ別燃料需要量(低位ケース)

【シナリオ別KPI評価 –シナリオ別燃料需要量(低位ケース)– 】

低位の場合、バイオ燃料需要量に対して供給可能量が大幅に不足

出所:経済産業省「総合エネルギー統計」 (2018年3月末時点)

シナリオの検討

KPIの検討シナリオ別KPI評価

要検討事項の整理

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

4,500

5,000

シナリオ①

再エネ大量導入

シナリオ

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E3、B5)

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E90、B5)

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E3、B90)

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E3、B100)

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E100、B100)

シナリオ③

環境中位

シナリオ

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E3、B5)

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E90、B5)

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E3、B90)

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E3、B100)

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E100、B100)

シナリオ⑤

成行

シナリオ

バイオエタノール バイオディーゼル ガソリン ディーゼル

2013年燃料需要量: 8,114万kl(万kl)

製造可能量

成行レベルですら、燃料需要量は50%程度減少

図 4-21

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2050年シナリオ別製油所稼働率(低位ケース・稼働率減少パターン)

【シナリオ別KPI評価 –シナリオ別製油所稼働率(低位ケース・稼働率減少パターン)– 】

特段の対策を講じない場合、精油所稼働率は現状よりも大幅に低下する

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

18,000

20,000

シナリオ①

再エネ大量導入

シナリオ

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E3、B5)*

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E90、B5)*

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E3、B90)

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E3、B100)

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E100、B100)

シナリオ③

環境中位

シナリオ*

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E3、B5)*

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E90、B5)*

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E3、B90)

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E3、B100)

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E100、B100)

シナリオ⑤

成行

シナリオ*

ガソリン・実需用 ガソリン・輸出用 ディーゼル・実需用 ディーゼル・輸出用 ナ フ サ ジェット燃料油

灯 油 A 重 油 B・C重油 LPガス 稼働率

(万kl) (稼働率)

*ガソリン実需用+ナフサに対しディーゼル量が多すぎるため、ディーゼル量からガソリン輸出を計算

シナリオの検討

KPIの検討シナリオ別KPI評価

要検討事項の整理

出所: 石油連盟 石油製品バランス、石油連盟 液化石油(LP)ガス需給、石油連盟 精油所装置能力、日本LPガス協会 LPガス単位換算表 (2018年3月末時点)

成行レベルですら、稼働率は60%程度まで低下

図 4-22

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自動車部門全体のCO2排出量削減率・燃料需要量の算定方法

(参考)

自動車単体CO2排出量分析結果を踏まえ、CO2排出量削減率・燃料需要量を推計

基本パラメーター 詳細数値

CO2排出量削減率(%)

=現在のCO2排出量

(t-CO2)

活動量の減少率(%)

自動車単体のCO2

削減率(%)

×

乗用車:103,191,000t-CO2

バス:4,308,000t-CO2

トラック:76,276,000t-CO2

乗用車:4% バス:7% トラック:-59%

資料4_2050年を踏まえた自動車単体CO2排出量分析にて詳細説明

×

燃料需要量( kl /年)

=車両需要

(台)

車両構成比率(%)

平均走行距離(km)

×

乗用車:5,810万台(国土交通省「保有台数の推計」数値を採用) バス:25万台(貨物車の保有台数CAGR(2015年~2030年、2030年~2050年)を使用して推計) トラック:1,560万台(国土交通省「保有台数の推計」数値を採用)

各車種:シナリオ毎に個別設定

資料4_2050年を踏まえた自動車単体CO2排出量分析にて詳細説明

×

燃費(km/l)

÷ 資料4_2050年を踏まえた自動車単体CO2排出量分析にて詳細説明

シナリオの検討

KPIの検討シナリオ別KPI評価

要検討事項の整理

バイオ燃料混入率or化石燃料混入率

(%)

× E3、B5

E90、B5

E3、B90

調整係数 化石燃料発熱量÷((化石燃料発熱量×化石燃料混入率)+(バイオ燃料発熱量×バイオ燃料混入率))

• ガソリン31.3MJ/L、軽油35.8MJ/L、バイオエタノール21.3MJ/L、バイオディーゼル32.7MJ/L

(経済産業研究所「エネルギー源別標準発熱量・炭素排出係数の改訂案について)

×

E3、B100

E100、B100

図 4-23

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精油所稼働率の算定方法

(参考)

石油製品生産量から精油所稼働率を推計-稼働率減少パターン-

基本パラメーター 詳細数値

精油所稼働率(%)

=バイオエタノール

(kL)

バイオディーゼル(kL)

ガソリン・実需用(kL)

前頁の燃料需要量の算定方法にて詳細説明

前頁の燃料需要量の算定方法にて詳細説明

前頁の燃料需要量の算定方法にて詳細説明

ガソリン・輸出用(kL)

ディーゼル・実需用(kL)

ディーゼル・輸出用(kL)

ディーゼル需要量に対してガソリン実需用が少ない場合は、ディーゼル・実需用×1.73(2017年の実数値から得た、軽油に対するガソリン・ナフサ収率)−ガソリン実需用−ナフサ

前頁の燃料需要量の算定方法にて詳細説明

(ガソリン・実需用+ガソリン・輸出用+ナフサ)÷1.73(2017年の石油製品生産量から得た、軽油に対するガソリン・ナフサ収率)−ディーゼル・実需用

ナフサ、ジェット燃料油、灯油、A重油、B・C重油、LPガス

(kL)

÷

ナフサは18,790,748 kL(2017年実数値)

ジェット燃料油、灯油、A重油、B・C重油、LPガスは、2017年の実数値のガソリン・ナフサに対する各石油製品

収率を乗じて計算

シナリオの検討

KPIの検討シナリオ別KPI評価

要検討事項の整理

精油所処理能力(kL)

204,197,240 kL/年: 2017年時の石油精製処理能力を使用

出所: 石油連盟 石油製品バランス (2018年3月末時点)

図 4-24

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シナリオ別KPI評価サマリ

【シナリオ別KPI評価-サマリ-】

バイオ燃料を大量導入する場合において、シナリオ②④に意義が出てくるが、課題も存在

KPIxEV大量導入(E3,B5) バイオエタノール大量導入(E90、B5) バイオディーゼル大量導入(E3、B90)

再エネ大量導入シナリオ

ポートフォリオシナリオ

燃費改善・バイオ燃料導入シナリオ

再エネ大量導入シナリオ

ポートフォリオシナリオ

燃費改善・バイオ燃料導入シナリオ

再エネ大量導入シナリオ

ポートフォリオシナリオ

燃費改善・バイオ燃料導入シナリオ

CO2

排出量

WtW LCA WtW LCA WtW LCA WtW LCA WtW LCA WtW LCA WtW LCA WtW LCA WtW LCA

×~◎低位:59%中位:71%高位:83%

×低位:40%中位:51%高位:64%

×低位:53%中位:60%高位:68%

×低位:40%中位:48%高位:57%

×低位:48%中位:54%高位:61%

×低位:40%中位:46%高位:53%

×~◎低位:59%中位:71%高位:83%

×低位:40%中位:51%高位:64%

×~△低位:58%中位:65%高位:73%

×低位:44%中位:52%高位:60%

×低位:56%中位:62%高位:67%

×低位:46%中位:51%高位:58%

×~◎低位:59%中位:71%高位:83%

×低位:40%中位:51%高位:64%

×~○低位:63%中位:70%高位:77%

×低位:49%中位:56%高位:64%

×~△低位:61%中位:66%高位:71%

×低位:51%中位:56%高位:62%

車両の

コスト・性能競争力

△ ○ ○ △

○→○(更なるCO2削減に向けて、バイオエタノールを使用する乗用車HVの比率を高くで

きる)

○→○(更なるCO2削減に向けて、バイオエタノールを使用する乗用車HVの比率を高くで

きる)

○→△(更なるCO2削減に向けて、バイオエタノールを使用しないxEV比率を高くしなけれ

ばならない)

○→△(更なるCO2削減に向けて、バイオエタノールを使用しないxEV比率を高くしなけれ

ばならない)

石油精製所稼働率

×低位:23%中位:23%高位:23%

△低位:37%中位:34%高位:31%

△低位:46%中位:42%高位:38%

×低位:23%中位:23%高位:23%

△低位:37%中位:34%高位:31%

△低位:46%中位:42%高位:38%

×低位:23%中位:23%高位:23%

△低位:33%中位:32%高位:31%

△低位:38%中位:36%高位:35%

xEVを大量導入する場合、CO2排出量で再エネシナリオの意義が大きいが、車両

競争力、稼働率にも課題有

バイオエタノールを大量導入する場合、CO2排出量でシナリオ②の意義が出るが、CO2評

価方法・トレードオフ・稼働率に課題有

バイオディーゼルを大量導入する場合、CO2

排出量でシナリオ②④の意義が出るが、CO2評価方法・トレードオフ・稼働率に課題有

1 2 4 1 2 4 1 2 4

・・・WtW評価した場合、xEVと内燃機関の評価が公平でなく内燃機関が不利・・・製造可能量の不足により、バイオ燃料が一方のみ供給される場合はCO2排出削減率と車両競争力でトレードオフの関係・・・製油所稼働率が現状から大幅に低下

・・・現在の日本の内燃機関に係る技術的な強みを活かせない

シナリオの検討

KPIの検討シナリオ別KPI評価

要検討事項の整理

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【シナリオ別KPI評価-シナリオ②④E3、B5ケース-】

CO2排出量でのみ再エネシナリオの意義が大きいが、 車両競争力・稼働率に課題有

KPI 評価方法

シナリオ別KPI評価

再エネ大量導入シナリオ(xEV100%)

ポートフォリオシナリオ(xEV50%+

バイオ燃料等)

環境中位シナリオ

(IEAと同等)

燃費改善・バイオ燃料導入シナリオ

(xEV成行き+残りHV+バイオ燃料等)

成行シナリオ(現状からの成行き)

メリットxEVの優位性が高い

メリットxEV・HVの優位性が高

メリットxEV・HVの両方にシフト

が可能なPHVの優位性が高い

メリット既存インフラが活用可

能HVの優位性が高い

メリット既存インフラが活用可

能HVの優位性が高い

デメリット再エネ率大幅向上が必

要xEV向けインフラの大

幅拡充が必要

デメリット再エネ率向上が必要燃費の改善が必要xEV・バイオ燃料向けイ

ンフラの拡充が必要

デメリット再エネ率向上が必要燃費の改善が必要xEV向けインフラの拡

充が必要

デメリット燃費の大幅改善が必

要バイオ燃料向けインフ

ラの拡充が必要

デメリット燃費の大幅改善が必

環境(CO2

排出量)

CO2排出量

◎:CO2排出量削減量が非常に多い(削減量80%以上)○:CO2排出量削減量が多い(削減量75%~79%)△:CO2排出量削減量が少ない(削減量70%~74%)×:CO2排出量削減量が非常に少ない(削減量70%未満)

WtW LCA WtW LCA WtW LCA WtW LCA WtW LCA

×~◎低位:59%中位:71%高位:83%

×低位:40%中位:51%高位:64%

×低位:53%中位:60%高位:68%

×低位:40%中位:48%高位:57%

×低位:51%中位:57%高位:64%

×低位:40%中位:46%高位:54%

×低位:48%中位:54%高位:61%

×低位:40%中位:46%高位:53%

×低位:43%中位:48%高位:53%

×低位:38%中位:42%高位:48%

経済性(GDPの向上)

車両のコスト・性能競争力

◎:-○:国内GDP向上が現状より多く見込まれる(xEV比率<内燃機関比率)△:国内GDP向上が高くとも現状と同程度と想定される(xEV比率≧内燃機関比率)×:-

△ ○ ○ ○ ○

石油精製所稼働率

◎:石油精製所稼働率が非常に高い(石油精製所稼働率89%(現状)以上)○:石油精製所稼働率が高い(石油精製所稼働率50%~88%)△:石油精製所稼働率が低い(石油精製所稼働率30%~49%)×:石油精製所稼働率が非常に低い(石油精製所稼働率30%未満)

×低位:23%中位:23%高位:23%

△低位:37%中位:34%高位:31%

△~○低位:55%中位:51%高位:46%

△低位:46%中位:42%高位:38%

○低位:62%中位:57%高位:52%

安定供給

生産・供給能

◎:-○:生産・供給能力の高い燃料使用が多い(xEV+内燃機関+バイオ燃料活用)△:生産・供給能力の高い燃料使用が少ない(xEV+内燃機関)×:-

△ ○ △ ○ △

1 2 4 53

・・・WtW評価した場合、xEVと内燃機関の評価が公平でなく内燃機関が不利・・・製造可能量の不足により、バイオ燃料が一方のみ供給される場合はCO2排出削減率と車両競争力でトレードオフの関係・・・製油所稼働率が現状から大幅に低下

・・・現在の日本の内燃機関に係る技術的な強みを活かせない

シナリオの検討

KPIの検討シナリオ別KPI評価

要検討事項の整理

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【シナリオ別KPI評価-シナリオ②④E90、B5ケース-】

CO2排出量でシナリオ②の意義が出るが、CO2評価方法・トレードオフ・稼働率に課題有

KPI 評価方法

シナリオ別KPI評価

再エネ大量導入シナリオ(xEV100%)

ポートフォリオシナリオ(xEV50%+

バイオ燃料等)

環境中位シナリオ

(IEAと同等)

燃費改善・バイオ燃料導入シナリオ

(xEV成行き+残りHV+バイオ燃料等)

成行シナリオ(現状からの成行き)

メリットxEVの優位性が高い

メリットxEV・HVの優位性が高

メリットxEV・HVの両方にシフト

が可能なPHVの優位性が高い

メリット既存インフラが活用可

能HVの優位性が高い

メリット既存インフラが活用可

能HVの優位性が高い

デメリット再エネ率大幅向上が必

要xEV向けインフラの大

幅拡充が必要

デメリット再エネ率向上が必要燃費の改善が必要xEV・バイオ燃料向けイ

ンフラの拡充が必要

デメリット再エネ率向上が必要燃費の改善が必要xEV向けインフラの拡

充が必要

デメリット燃費の大幅改善が必

要バイオ燃料向けインフ

ラの拡充が必要

デメリット燃費の大幅改善が必

環境(CO2

排出量)

CO2排出量

◎:CO2排出量削減量が非常に多い(削減量80%以上)○:CO2排出量削減量が多い(削減量75%~79%)△:CO2排出量削減量が少ない(削減量70%~74%)×:CO2排出量削減量が非常に少ない(削減量70%未満)

WtW LCA WtW LCA WtW LCA WtW LCA WtW LCA

×~◎低位:59%中位:71%高位:83%

×低位:40%中位:51%高位:64%

×~△低位:58%中位:65%高位:73%

×低位:44%中位:52%高位:60%

×低位:51%中位:57%高位:64%

×低位:40%中位:46%高位:54%

×低位:56%中位:62%高位:67%

×低位:46%中位:51%高位:58%

×低位:43%中位:48%高位:53%

×低位:38%中位:42%高位:48%

経済性(GDPの向上)

車両のコスト・性能競争力

◎:-○:国内GDP向上が現状より多く見込まれる(xEV比率<内燃機関比率)△:国内GDP向上が高くとも現状と同程度と想定される(xEV比率≧内燃機関比率)×:-

△○→○

(更なるCO2削減に向けて、バイオエタノールを使用する乗用車HVの比率を高

くできる)

○○→○

(更なるCO2削減に向けて、バイオエタノールを使用する乗用車HVの比率を高

くできる)

石油精製所稼働率

◎:石油精製所稼働率が非常に高い(石油精製所稼働率89%(現状)以上)○:石油精製所稼働率が高い(石油精製所稼働率50%~88%)△:石油精製所稼働率が低い(石油精製所稼働率30%~49%)×:石油精製所稼働率が非常に低い(石油精製所稼働率30%未満)

×低位:23%中位:23%高位:23%

△低位:37%中位:34%高位:31%

△~○低位:55%中位:51%高位:46%

△低位:46%中位:42%高位:38%

○低位:62%中位:57%高位:52%

安定供給

生産・供給能

◎:-○:生産・供給能力の高い燃料使用が多い(xEV+内燃機関+バイオ燃料活用)△:生産・供給能力の高い燃料使用が少ない(xEV+内燃機関)×:-

△ ○ △ ○ △

1 2 4 53

・・・WtW評価した場合、xEVと内燃機関の評価が公平でなく内燃機関が不利・・・製造可能量の不足により、バイオ燃料が一方のみ供給される場合はCO2排出削減率と車両競争力でトレードオフの関係・・・製油所稼働率が現状から大幅に低下

・・・現在の日本の内燃機関に係る技術的な強みを活かせない

シナリオの検討

KPIの検討シナリオ別KPI評価

要検討事項の整理

Page 141: 経済産業省資源エネルギー庁 - Minister of Economy, …2-4.バス単体のCO2排出量分析 3.バイオ燃料・合成燃料の諸外国の方向性 3-1.調査の背景・目的・概要

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【シナリオ別KPI評価-シナリオ②④E3、B90ケース-】

CO2排出量でシナリオ②④の意義が出るが、CO2評価方法・トレードオフ・稼働率に課題有

KPI 評価方法

シナリオ別KPI評価

再エネ大量導入シナリオ(xEV100%)

ポートフォリオシナリオ(xEV50%+

バイオ燃料等)

環境中位シナリオ

(IEAと同等)

燃費改善・バイオ燃料導入シナリオ

(xEV成行き+残りHV+バイオ燃料等)

成行シナリオ(現状からの成行き)

メリットxEVの優位性が高い

メリットxEV・HVの優位性が高

メリットxEV・HVの両方にシフト

が可能なPHVの優位性が高い

メリット既存インフラが活用可

能HVの優位性が高い

メリット既存インフラが活用可

能HVの優位性が高い

デメリット再エネ率大幅向上が必

要xEV向けインフラの大

幅拡充が必要

デメリット再エネ率向上が必要燃費の改善が必要xEV・バイオ燃料向けイ

ンフラの拡充が必要

デメリット再エネ率向上が必要燃費の改善が必要xEV向けインフラの拡

充が必要

デメリット燃費の大幅改善が必

要バイオ燃料向けインフ

ラの拡充が必要

デメリット燃費の大幅改善が必

環境(CO2

排出量)

CO2排出量

◎:CO2排出量削減量が非常に多い(削減量80%以上)○:CO2排出量削減量が多い(削減量75%~79%)△:CO2排出量削減量が少ない(削減量70%~74%)×:CO2排出量削減量が非常に少ない(削減量70%未満)

WtW LCA WtW LCA WtW LCA WtW LCA WtW LCA

×~◎低位:59%中位:71%高位:83%

×低位:40%中位:51%高位:64%

×~○低位:63%中位:70%高位:77%

×低位:49%中位:56%高位:64%

×低位:51%中位:57%高位:64%

×低位:40%中位:46%高位:54%

×~△低位:61%中位:66%高位:71%

×低位:51%中位:56%高位:62%

×低位:43%中位:48%高位:53%

×低位:38%中位:42%高位:48%

経済性(GDPの向上)

車両のコスト・性能競争力

◎:-○:国内GDP向上が現状より多く見込まれる(xEV比率<内燃機関比率)△:国内GDP向上が高くとも現状と同程度と想定される(xEV比率≧内燃機関比率)×:-

△○→△

(更なるCO2削減に向けて、バイオエタノールを使用しないxEV比率を高くしな

ければならない)

○○→△

(更なるCO2削減に向けて、バイオエタノールを使用しないxEV比率を高くしな

ければならない)

石油精製所稼働率

◎:石油精製所稼働率が非常に高い(石油精製所稼働率89%(現状)以上)○:石油精製所稼働率が高い(石油精製所稼働率50%~88%)△:石油精製所稼働率が低い(石油精製所稼働率30%~49%)×:石油精製所稼働率が非常に低い(石油精製所稼働率30%未満)

×低位:23%中位:23%高位:23%

△低位:33%中位:32%高位:31%

△~○低位:55%中位:51%高位:46%

△低位:38%中位:36%高位:35%

○低位:62%中位:57%高位:52%

安定供給

生産・供給能

◎:-○:生産・供給能力の高い燃料使用が多い(xEV+内燃機関+バイオ燃料活用)△:生産・供給能力の高い燃料使用が少ない(xEV+内燃機関)×:-

△ ○ △ ○ △

1 2 4 53

・・・WtW評価した場合、xEVと内燃機関の評価が公平でなく内燃機関が不利・・・製造可能量の不足により、バイオ燃料が一方のみ供給される場合はCO2排出削減率と車両競争力でトレードオフの関係・・・製油所稼働率が現状から大幅に低下

・・・現在の日本の内燃機関に係る技術的な強みを活かせない

シナリオの検討

KPIの検討シナリオ別KPI評価

要検討事項の整理

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4.自動車部門におけるエネルギー供給構造等の在り方に関するシナリオと要検討事項

4-1.シナリオの検討

4-2.KPIの検討

4-3.シナリオ別KPI評価

4-4.要検討事項の整理

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要検討事項の整理

【要検討事項の整理】

LCA非スタンダード、バイオ燃料供給量不足、トレードオフ関係、稼働率低下が要検討事項

シナリオの検討

KPIの検討シナリオ別KPI評価

要検討事項の整理

要検討事項シナリオ分析結果

xEVの導入が大量の場合

再エネシナリオは、CO2排出量において唯一80%削減が可能なため、CO2排出量でのみ再エネシナリオの意義が大きい

しかし、再エネシナリオでは現在の日本の内燃機関に係る技術的な強みを活かせず、製油所稼働率も現状から大幅に低下

バイオ燃料の導入が大量の場合

シナリオ②やシナリオ④もCO2排出量で意義が出てくる

製造可能量の不足により、バイオ燃料が一方のみ供給される場合はCO2排出削減率とGDP(車両競争力)においてトレードオフの関係が生まれてしまう

WtW評価した場合、xEVと内燃機関の評価が公平でなく内燃機関が不利

製油所稼働率が現状から大幅に低下

国産次世代バイオ燃料供給量の不足

バイオエタノール、バイオディーゼルの導入優先順位による、CO2排出削減率とGDP(車両競争力)の

トレードオフ関係

製油所稼働率の低下

LCA評価が非スタンダードのため内燃機関の評価が不利

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5. 2030年までには達成する必要がある共通項目・課題・対応策

5-1.2030年までには達成する必要がある共通項目

5-2.課題と対応策

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2030年までには達成する必要がある共通項目

【2030年までには達成する必要がある共通項目-シナリオ②④-】

LCAルールメイキング、バイオ燃料供給量確保、トレードオフの解消、稼働率維持が共通項目

政府計画における達成すべき共通項目

検討結果を踏まえ得られた達成すべき共通項目

xEV

内燃機関

EV/PHVロードマップに基づき、導入目標(EV:2030年新車販売の20~30%、FCV:2030年新車販売の~3%)を達成する必要がある

地球温暖化対策計画に基づき、現状の燃費から改善を継続し続ける必要がある

バイオ燃料の大量導入に向けて供給量に関する問題を解決する必要がある

CO2削減効果の算定方法においてLCAがスタンダードになるルール形成の検討をする必要がある(次世代車両の普及を阻害しないよう、段階的な導入なども考慮)

※政府全体で検討すべき項目であり関係者と引き続き対話が必要なため、本事業では深耕対象外

バイオエタノール・ディーゼルの導入優先順位による、CO2排出削減率とGDP(車両競争力)のトレードオフ関係を解決する必要がある

製油所稼働率の低下を解決する必要がある

1

2

3

・・・深耕が必要な共通項目

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5. 2030年までには達成する必要がある共通項目・課題・対応策

5-1.2030年までには達成する必要がある共通項目

5-2.課題と対応策

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【課題・対応策サマリ】

運輸部門における低炭素化と稼働率低下に向けた課題・対応策を深耕

共通項目

課題と対応策

2030年までに解決すべき課題 2050年までに解決すべき課題

課題 対応策 課題 対応策

シナリオ

①③⑤想定

xEV新車販売目標に向けた

対応

• 航続可能距離の不足

• 燃料供給インフラの不足

• 燃料供給インフラの収益力の向上

• 航続可能距離の長距離化に向けた技術開発(自動車業界)

• ユーザビリティの高い燃料供給インフラ整備(石油業界)

• 燃料供給インフラの収益改善に向けたビジネスモデルの構築(石油業界)

• 電源の低炭素化(ゼロエミッション電源比率9割)

• 電力の不足

• バッテリー製造資源の不足

• xEVの競争力が弱い

• 再生可能エネルギーの大量導入(石油業界)

• スマートグリッド等の活用による電力の確保(自動車、石油業界)

• 不足する資源使用量の少ないバッテリー製造技術開発(自動車業界)

• xEVの競争力強化に向けた技術開発(自動車業界)

燃費改善に向けた対応

• 燃料品質の向上• エンジン効率の向上

• 燃料品質向上に向けた技術開発(石油業界)• エンジンの効率向上に向けた技術開発(自動

車業界)

• 同左 • 同左

シナリオ②④想定

LCAルールメ

イキングに向けた対応

• CO2削減効果の評価がLCAがスタンダードでないため、内燃機関の評価が不利

• グローバルサプライチェーン貢献量検討会との連携(エネ庁) - -

国産次世代バイオ燃料の大量導入に向け

た対応

• バイオ燃料供給量の不足

• バイオエタノール、バイオディーゼルの導入優先順位による、CO2排出削減率とGDP(車両競争力)のトレードオフ関係

• バイオ燃料の開発輸入検討(石油業界)• 海外プラントの活用検討(石油業界)• 藻類の製造可能量増加に向けた技術開発

(石油業界)• 不足するバイオ燃料のバックアップとしての

合成燃料技術開発(石油業界)• 石油会社バイオ燃料事業への投資(自動車

業界)• xEVの技術開発による割合増加(自動車業

界)• 「バイオ燃料供給量の不足」課題への対応策• 「製油所稼働率の低下」課題への対応策• 商用車対策の精緻化に向けた他の研究会等

との連携(エネ庁)

• 同左 • 同左

製油所稼働率の低下に向け

た対応

• 製油所稼働率の低下 • 石化シフト(石油業界)• 処理原油・設備構成の変更(石油業界)• 再エネ事業への投資(石油業界)• 新規ビジネスモデルの構築(石油業界)

• 同左 • 同左

課題と対応策を深耕

2

1

3

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国産次世代バイオ燃料を大量導入する場合の課題・対応策

【バイオ燃料の大量導入により低炭素化を図る場合の課題・対応策】

バイオ燃料供給量不足・トレードオフ関係・製油所稼働率低下に対して、複数の対応策有

対応策課題

海外プラントの活用(開発輸入)検討(石油業界)

藻類の製造可能量増加に向けた技術開発(石油業界)

不足するバイオ燃料のバックアップとしての合成燃料技術開発(石油業界)

xEVの技術開発による割合増加(自動車業界)

「バイオ燃料供給量の不足」課題への対応策と同様

「製油所稼働率の低下」課題への対応策と同様

石油会社バイオ燃料事業への投資(自動車業界)

商用車対策の精緻化に向けた他の研究会等との連携(エネ庁)

石化シフト(石油業界)

処理原油・設備構成の変更(石油業界)

バイオ燃料供給量の不足

バイオエタノール・ディーゼルの導入優先順位による、CO2排出削減率と車両競争力のトレードオフ関係

製油所稼働率の低下※バイオ燃料を導入しない場合も同様

1

2

3

1-1

1-2

1-3

1-4

1-5

2-1

3-1

3-2

バイオ燃料供給量の不足に対して5つの

対応策が考えられる

トレードオフ関係に対して3

つの対応策が考えられる

製油所稼働率の低下に対して4つの対応策が考えられ

再エネ事業への投資(石油業界)3-3

新規ビジネスモデルの構築(石油業界)3-4

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【シナリオ別の対応策における必要性の度合い】

xEV比率によって、対策における必要性の度合いが異なる

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

シナリオ①

再エネ大量導入

シナリオ

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

シナリオ③

環境中位

シナリオ

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

シナリオ⑤

成行

シナリオ

E3,B5

E90,B5

E3,B90

E3,B100

E100,B100

xEV比率(乗用車)

バイオ燃料需要量(高位)

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

シナリオ①

再エネ大量導入

シナリオ

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

シナリオ③

環境中位

シナリオ

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

シナリオ⑤

成行

シナリオ

FCV

EV

xEVの比率が低いシナリオほど・・・ 石油業界としては、バイオ

燃料の輸入検討、藻類の技術開発、合成燃料開発の必要性が高まる

自動車業界としては、石油会社バイオ燃料事業への投資の必要性が高まる

xEV比率が高いシナリオほど・・・ 石油業界としては、石化シ

フト、処理原油・設備構成の変更、再エネ事業への投資、新規ビジネスモデルの構築の必要性が高まる

自動車業界としては、xEV

の技術開発の必要性が高まる

(万kl)

活用なし

活用なし

活用なし

シナリオ別の対応策における必要性の度合い

図 5-1

図 5-2

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バイオ燃料製造可能量*1

【課題:バイオ燃料供給量の不足】

国内原料バイオ燃料の製造可能量は限定的

*1: セルロース系(ガス化BTLバイオ燃料)は液体燃料量、藻類系(バイオ原油)は原油量 2: バイオマス未利用量は国内で発生するバイオマス量(賦存量)から利用されている量を差し引いたもの 3: 脂肪酸メチルエステルバイオディーゼル 4:水素化バイオディーゼル

1

0 200 400 600 800 1,000

藻類系(バイオ原油)

セルロース系(ガス化FT合成バイオ燃料)

廃棄物系(HVO)*4

廃棄物系(FAME)*3

(万kL)バイオディーゼル製造量(未利用量)*2 バイオディーゼル製造量(賦存量)

バイオエタノール

バイオディーゼル

0 200 400 600 800 1,000

セルロース系(糖化→発酵)

(万kL)バイオエタノール製造量(未利用量)*2 バイオエタノール製造量(賦存量)

図 3-6

図 3-7

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アジアにおけるバイオ燃料製造プラント実証概要

【対応策:海外プラントの活用検討】

バイオ燃料不足分に対して、海外プラントを活用し、開発輸入する必要も考えられる

アジアでのバイオ燃料生産について実証が行われていることから、石油業界として、バイオ燃料必要量に対して、製造可能量で不足する分について海外プラントを活用し開発輸入する必要も考えられる

事業者名サッポロホールディングスInnotech Green Energy Company Limited

場所 タイ

概要

キャッサバパルプ(キャッサバイモからタピオカを抽出した後に発生する残渣)を用いたバイオエタノール製造プラントの実用化に向けて、年産6万klのプラント建設に向けた事業性評価(FS)を2017年1月に開始

温室効果ガス削減効果は約12万トン/年と試算され、今後、タイ国内にとどまらず、キャッサバ栽培が盛んなASEAN諸国へのバイオ燃料製造技術の普及、エネルギー・環境問題の解決に貢献することを想定

バイオエタノール製造工程の概念図

出所:NEDO「世界初、キャッサバパルプを用いたバイオエタノール製造プラント実用化へ」(2018年3月末時点)

1-1

図 5-3

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藻類の大規模製造に係る実証概要

【対応策:藻類の製造可能量増加に向けた技術開発】

工場規模生産を想定した、藻類の製造効率向上等の技術開発する必要も考えられる

石油業界として、工場規模での生産を想定した、藻類の製造効率向上等の技術開発を実施するという対応策も考えられる

藻類の大規模製造装置

関連事業者名

Fraunhofer CBP

Fraunhofer IGB

Subitec GmbH(Fraunhoferのスピンオフ会社)

場所 ドイツ

概要

商業規模で微細藻類を生産するように設計されており、開池等よりも5倍も高い藻類の濃度を達成することが可能

地面に垂直に設置された3~5センチの厚さのパネルアレイから構成されており、地面にあるスロット付きチューブから、空気とCO2の混合物が、藻類が懸濁された栄養培地に吹き込まれる

各藻類は、規則的な間隔で設置され、藻類の成長に必要な光を取り入れる

出所:Fraunhofer「Microalgae – produced on a commercial scale」(2018年3月末時点)

1-2

図 5-4

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ゲノム編集に係る研究開発概要

【対応策:藻類の製造可能量増加に向けた技術開発】

藻の成長促進と油脂製造量を増加させるゲノム編集技術を開発する必要も考えられる

1-2

石油業界として、藻の成長促進と油脂製造量を増加させるゲノム編集技術を開発するという対応策も考えられる

関連事業者名

エクソンモービル社 シンセティック・ジェノミクス社

場所 米国

概要

微細藻類の一種であるナンノクロロプシスを用いて、通常条件下で藻類の生育を維持しながら、油脂含有量を野生型の20%から40-55%まで向上するゲノム編集技術の開発に成功

もともと、ナンノクロロプシスは、油脂生産性を高めるため変異育種などの手法を用いたいくつかの研究はあったが、「高増殖性」と「高油脂生産性」が両立する株開発の成功には至っていなかった

出所:ExxonMobil「ExxonMobil and Synthetic Genomics Report Breakthrough in Algae Biofuel Research」(2018年3月末時点)

藻類油脂イメージ

図 5-5

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【対応策:不足するバイオ燃料のバックアップとしての合成燃料技術開発】

バイオ燃料のバックアップとして、合成燃料の技術開発の必要も考えられる

Sunfire社の合成燃料製造技術概要

石油業界として、バックアップとしての合成燃料の技術開発を実施するという対応策も考えられる

アウディとのプロジェクトで、クオリティテストを行ったところハイオクの質が確認されており、最終的なe-dieselは100%車両に使用可能

電解装置は鋼鉄、ガラス、セラミックで構成されている 電解装置はCO2と水がインプットであり、CO2は石油精

製プロセスや鋼鉄製造プロセスから来ている 空気中からCO2をとるのは現状では高コスト

MW規模では問題のない稼働率だが、それより小さい規模になるとコスト的に厳しくなる

出所:Sunfire HP、有識者ヒアリング

1-3

図 5-6

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バイオ燃料製造プラント建設費用の推計

【対応策:石油会社バイオ燃料事業への投資】

プラント建設費用は莫大なため、自動車業界として投資の必要も考えられる

0

50

100

150

200

250

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E3、B5)

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E90、B5)

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E3、B90)

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E3、B100)

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E100、B100)

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E3、B5)

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E90、B5)

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E3、B90)

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E3、B100)

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E100、B100)

バイオ燃料の建設コストは莫大なため、自動車業界として、石油会社バイオ燃料事業への投資の必要も考えられる

(兆円) 推計の前提4.6千万円/kl

(ユーグレナのバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラント建設費58億円、製造量125kL/年)

×バイオ燃料需要量

×プラント費用効率化率

(プラント規模が10倍になればコストが70%減少)

1-4

出所:スマートジャパン(2018年3月末時点)

図 5-7

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車両構成比率・CO2排出削減率(xEV割合増加なし)

【対応策:xEV割合増加】

バイオ燃料供給が十分でない場合、xEV割合の増加で低炭素化を図る必要

バイオ燃料の供給が十分でない場合、自動車業界としてLCAベースでシナリオ①のCO2排出削減率と同等になるよう

xEV割合を増加(乗用車+30.5%、バス・トラック+27.7%)させるという対応策も考えられる

19.4%

80.6%

30.6%

33.0%

5.4%

15.1%

15.9%

10.8%

52.7%

5.4%

15.1%

15.9%

0

50

100

シナリオ②(ポートフォリオ:E3/B5)

シナリオ①(再エネ大量導入)

現状

15.3%

16.6%

14.2%26.2%

27.7%

5.4%

26.4%

14.2%26.2%

27.7%

車両構成比率

CO

2排出削減率(L

CA

0.1%

0.1% 10.6%

2.7%

86.5%

0.5%

98.5%

1.0%

0.1%

69.9%

30.0%

乗用車

バス

トラック

乗用車 トラック バス

7.6%

31.3%

21.7%

19.2%

20.3%

FCV EV PHV HV DV GV

19.4%

80.6%

30.6%

33.0%5.4%

15.1%

15.9%

10.8%

52.7%

5.4%

15.1%

15.9%

0

50

100

シナリオ②(ポートフォリオ:E3/B5)

シナリオ①(再エネ大量導入)

現状

28.6%

30.9%14.2%

26.2%

10.2%

49.4%

14.2%

26.2%

車両構成比率

CO

2排出削減率(L

CA

0.1%

0.1%10.6%

2.7%

86.5%

0.5%

98.5%

1.0%

0.1%

69.9%

30.0%

乗用車

バス

トラック

乗用車 トラック バス

7.6%

61.8%

21.7%

9.0%

FCV EV PHV HV DV GV

xEV+30.5%

xEV+27.7%

xEV+27.7%

車両構成比率・CO2排出削減率(xEV割合増加)

1-5

図 5-8 図 5-9

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2050年シナリオ別CO2排出削減率(高位ケース)

【課題-トレードオフ関係の前提-】

CO2大幅削減を前提とした場合、バイオ燃料の大量導入が有効だが、供給量が不足

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

シナリオ④(燃費改善

+バイオ:E3/B5)

シナリオ⑤(成行)

-64%

シナリオ③(環境中位)

シナリオ②(ポートフォリオ:E3/B5)

シナリオ①(再エネ大量導入)

現状

凡例

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

シナリオ①(再エネ大量導入)

現状 シナリオ⑤(成行)

シナリオ④(燃費改善

+バイオ:E3/B5)

-83%

シナリオ③(環境中位)

シナリオ②(ポートフォリオ:E3/B5)

トラック乗用車 バス

LCA視点でのCO2削減効果

1st 2nd

WtWでのCO2削減効果

1st 2nd

2

E3B5以上のバイオ燃料大量導入により、CO2の大幅削減

が可能だが、供給量が不足

E3B5以上のバイオ燃料大量導入により、CO2の大幅削減が可能だが、供給量が不足

図 4-5 図 4-6

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バイオ燃料の優先順位による影響

【課題:トレードオフ関係】

バイオ燃料が一方のみ供給される場合は、産業とCO2でトレードオフが生まれてしまう

2

○・・・日本での導入においてリスクが低い△・・・日本での導入においてリスクが少し高い×・・・日本での導入においてリスクが高い

現状のシナリオで、バイオ燃料が限定的な場合は、①バイオエタノールから導入する: 産業を優先、②バイオディーゼルを導入する:CO2目標達成を優先

することになるため、産業とCO2削減でトレードオフが生まれてしまう

×

×

○×

×

×

GDPへの影響 CO2排出量への影響

自動車業界(乗用車)

自動車業界(商用車)

石油業界自動車業界(乗用車)

自動車業界(商用車)

バイオエタノール

優先(E90,B5)

バイオエタノールを使用しCO2削減効果のある内燃機関の比率を維持可能

バイオディーゼルを使用しない場合、CO2削減に向けて、xEVの普及は限定的ながらも最大限導入される(xEVの競争力が高まれば優位性確保が可能)

乗用車ではガソリンは売れなくなる一方、軽油は引き続き販売可能になる

製油所の製造バランスが崩れる

xEV比率の向上・バイオエタノールの活用により、CO2大幅削減が可能

現状シナリオでは、バイオディーゼルが無い場合は、xEVの普及開始を想定すると導入が限定的となり、CO2大幅削減が難しい

バイオディーゼ

ル優先

(E3,B90)

バイオエタノールを使用しない場合、CO2削減に向けて、xEV比率が高くなる可能性(xEVの競争力が高まれば優位性確保が可能)

バイオディーゼルを使用しCO2削減効果のある内燃機関の比率を維持可能

乗用車xEV比率が高くなる可能性があり、乗用車ではガソリンは売れなくなり、軽油の販売量も10%以下に減少

製油所の製造バランスは維持

xEV比率の向上により、CO2大幅削減が可能

バイオディーゼルの活用により、CO2大幅削減が可能

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×

×

○×

×

×

159

バイオ燃料供給量・トレードオフ解消の可能性

【対応策:商用車対策の精緻化】

供給量増加・稼働率確保・商用車対策が有効な可能性

GDPへの影響 CO2排出量への影響

自動車業界(乗用車)

自動車業界(商用車)

石油業界自動車業界(乗用車)

自動車業界(商用車)

バイオエタノール優先(E90,B

5)

バイオエタノールを使用しCO2削減効果のある内燃機関の比率を維持可能

バイオディーゼルを使用しない場合、CO2削減に向けて、xEVの普及は限定的ながらも最大限導入される(xEV

の競争力が高まれば優位性確保が可能)

乗用車ではガソリンは売れなくなる一方、軽油は引き続き販売可能になる

製油所の製造バランスが崩れる

xEV比率の向上・バイオエタノールの活用により、CO2大幅削減が可能

現状シナリオでは、バイオディーゼルが無い場合は、xEVの普及開始を想定すると導入が限定的となり、CO2大幅削減が難しい

バイオディーゼ

ル優先

(E3,B9

0)

バイオエタノールを使用しない場合、CO2削減に向けて、xEV比率が高くなる可能性(xEVの競争力が高まれば優位性確保が可能)

バイオディーゼルを使用しCO2削減効果のある内燃機関の比率を維持可能

乗用車xEV比率が

高くなる可能性があり、乗用車ではガソリンは売れなくなり、軽油の販売量も10%以下に減少

製油所の製造バランスは維持

xEV比率の向上により、CO2大幅削減が可能

バイオディーゼルの活用により、CO2大幅削減が可能

バイオ燃料供給量の増加により、xEV割合を増加させる必要がなくなる

製油所稼働率の維持により、石油業界へのリス

クが低くなる

1 3

商用車対策の精緻化により、バイオディーゼルがない場合でもCO2大幅削減する可能性が出

てくる

○・・・日本での導入においてリスクが低い△・・・日本での導入においてリスクが少し高い×・・・日本での導入においてリスクが高い

2-1

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総合物流施策推進プログラムの概要

【対応策:他の研究会との連携による貨物対策の精緻化】

商用車対策の精緻化に向けた、他の研究会等との連携も考えられる

貨物需要の精緻化に向け、総合物流施策推進プログラム等、他の研究会との連携も考えられる

出所: 経済産業省「総合物流施策推進プログラム(概要)」(2018年3月末時点)

総合物流施策大綱で示された方向性に基づいて具体的な施策を計画的に実施

2-1

(1) 連携・協働による物流の効率化(2) 連携・協働を円滑化するための環境整備(3) アジアを中心としたサプライチェーンのシー

ムレス化 ・高付加価値化

(1) サービスと対価との関係の明確化(2) 透明性を高めるための環境整備を進める(3) 付加価値を生む業務への集中・誰もが活

躍できる物流への転換

(1) モーダルコネクトの強化等による輸送効率向上

(2) 道路・海上・航空・鉄道の機能強化(3) 物流施設の機能強化(4) 物流を考慮した地域づくり

(1) 災害等のリスクに備える(2) 地球環境問題に備える

(1) IoT、BD、AI 等の活用による サプライチェーン全体最適化 の促進等

(2) 隊列走行及び自動運転による 運送の効率化

(3) ドローンの活用(4) 物流施設の自動化・機械化(5) 船舶のIoT化・自動運航船

(1) 物流現場の多様な人材の確保や高度化する物流システムのマネジメントを行う人材の育成等

(2) 物流に対する理解を深めるための啓発活動

[1]サプライチェーン全体の効率化・価値創造に資するとともにそれ自体が高い付加価値を生み出す物流への変革~競争から共創へ~

[2]物流の透明化・効率化とそれを通じた働き方改革の実現

[3]ストック効果発現等のインフラの機能強化による効率的な物流の実現 ~ハードインフラ・

ソフトインフラ一体となった社会インフラとしての機能向上~

[4]災害等のリスク・地球環境問題に対応するサステイナブルな物流の構築

[5]新技術(IoT、BD、AI等)の活用による“物流革命”物流分野での新技術を活用した新規

産業の創出

[6]人材の確保・育成+物流への理解を深めるための国民への啓発

活動等

図 5-10

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2050年シナリオ別製油所稼働率(高位ケース・対策無しパターン)

【課題:製油所稼働率の低下】

特段の対策を講じない場合、精油所稼働率は現状よりも大幅に低下する

*ガソリン実需用+ナフサに対しディーゼル量が多すぎるため、ディーゼル量からガソリン輸出を計算

3

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

18,000

20,000

シナリオ①

再エネ大量導入

シナリオ

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E3、B5)

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E90、B5)*

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E3、B90)

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E3、B100)

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E100、B100)

シナリオ③

環境中位

シナリオ*

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E3、B5)*

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E90、B5)*

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E3、B90)

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E3、B100)

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E100、B100)

シナリオ⑤

成行

シナリオ*

ガソリン・実需用 ガソリン・輸出用 ディーゼル・実需用 ディーゼル・輸出用 ナ フ サ ジェット燃料油

灯 油 A 重 油 B・C重油 LPガス 稼働率

(万kl) (稼働率)

現状稼働率:89.3%

出所: 石油連盟 石油製品バランス、石油連盟 液化石油(LP)ガス需給、石油連盟 精油所装置能力、日本LPガス協会 LPガス単位換算表(2018年3月末時点)

図 4-10

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製油所稼働率維持の可能性

【対応策:石化シフト、処理原油・装置構成の変更】

石化シフトや処理原油・装置構成の変更が有効な可能性

考え方 イメージ(シナリオ②E3,B5の場合)

ガソリン・実需用 ガソリン・輸出用 ディーゼル・実需用 ディーゼル・輸出用

ナフサ その他石油製品 稼働率

石化シフト

処理原油・装置構成の変更

石化シフトや処理原油・装置構成の変更

により、現状の稼働率を維持

が可能

現状の処理原油・装置構成は変更せず(製品収率を変更せず)に、ガソリン需要が減少する分ナフサを増産する

現状の処理原油・装置構成から、ガソリン・ディーゼル以外の製品収率が高い処理原油・装置構成に変更し、かつ、ガソリン・ディーゼルの需要分より多く精製されたガソリン・ディーゼルは輸出する

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

18,000

20,000

対策前 対策後

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

18,000

20,000

対策前 対策後

3-1

3-2

図 5-11

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2050年シナリオ別製油所稼働率(高位ケース・石化シフトパターン)

【対応策:石化シフト】

燃料需要が減少する分ナフサ増産することで、現状の稼働率を維持することが可能

89.3% 89.3% 89.3% 89.3% 89.3% 89.3% 89.3% 89.3% 89.3% 89.3% 89.3% 89.3% 89.3%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

18,000

20,000

シナリオ①

再エネ大量導入

シナリオ

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E3、B5)

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E90、B5)

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E3、B90)

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E3、B100)

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E100、B100)

シナリオ③

環境中位

シナリオ

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E3、B5)

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E90、B5)

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E3、B90)

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E3、B100)

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E100、B100)

シナリオ⑤

成行

シナリオ

ガソリン・実需用 ガソリン・輸出用 ディーゼル・実需用 ディーゼル・輸出用 ナ フ サ ジェット燃料油

灯 油 A 重 油 B・C重油 LPガス 稼働率

(万kl) (稼働率)

自動車燃料需要の減少に伴う製油所稼働率の低下への対応として、石油業界として、燃料需要が減少する分ナフサを増産する必要も考えられる

3-1

出所: 石油連盟 石油製品バランス、石油連盟 液化石油(LP)ガス需給、石油連盟 精油所装置能力、日本LPガス協会 LPガス単位換算表(2018年3月末時点)

図 5-12

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精油所稼働率の算定方法

(参考)石油製品生産量から稼働率を推計-石化シフトパターン-

基本パラメーター 詳細数値

精油所稼働率(%)

=バイオエタノール

(kL)

バイオディーゼル(kL)

ガソリン・実需用(kL)

前頁の燃料需要量の算定方法にて詳細説明

前頁の燃料需要量の算定方法にて詳細説明

前頁の燃料需要量の算定方法にて詳細説明

ディーゼル・実需用(kL)

ディーゼル・輸出用(kL)

前頁の燃料需要量の算定方法にて詳細説明

(ガソリン・実需用+ガソリン・輸出用+ナフサ)÷1.73(2017年の実数値の軽油に対するガソリン・ナフサ収率)−ディーゼル・実需用

ジェット燃料油、灯油、A重油、B・C重

油、LPガス(kL)

÷

ジェット燃料油、灯油、A重油、B・C重油、LPガスは、2017年の実数値のガソリン・ナフサに対する各石油製品

収率を乗じて計算

精油所処理能力(kL)

204,197,240 kL/年: 2017年時の石油精製処理能力を使用

ナフサ(kL)

現在の稼働率に達するナフサの量を設定

3-1

出所: 石油連盟 石油製品バランス、石油連盟 液化石油(LP)ガス需給、石油連盟 精油所装置能力、日本LPガス協会 LPガス単位換算表(2018年3月末時点)

図 5-13

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2050年シナリオ別製油所稼働率(高位ケース・製油所の装置構成変更パターン(Murban) )

【対応策:処理原油・装置構成の変更】

処理原油・装置構成を変更することで、現状の稼働率を維持することが可能

89.3% 89.3% 89.3% 89.3% 89.3% 89.3% 89.3% 89.3% 89.3% 89.3% 89.3% 89.3% 89.3%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

18,000

20,000

シナリオ①

再エネ大量導入

シナリオ

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E3、B5)

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E90、B5)

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E3、B90)

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E3、B100)

シナリオ②

ポートフォリオ

シナリオ

(E100、B100)

シナリオ③

環境中位

シナリオ

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E3、B5)

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E90、B5)

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E3、B90)

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E3、B100)

シナリオ④

燃費改善・

バイオ燃料導入

シナリオ

(E100、B100)

シナリオ⑤

成行

シナリオ

ガソリン・実需用 ガソリン・輸出用 ディーゼル・実需用 ディーゼル・輸出用 ナ フ サ ジェット燃料油

灯 油 A 重 油 B・C重油 LPガス 稼働率

(万kl) (稼働率)

自動車燃料需要の減少に伴う製油所稼働率の低下への対応として、石油業界として、処理原油・装置構成を変更する必要も考えられる

3-2

出所: 石油連盟 石油製品バランス、石油連盟 液化石油(LP)ガス需給、石油連盟 精油所装置能力、日本LPガス協会 LPガス単位換算表、 JPEC「石油精製技術と石油需給動向」(2018年3月末時点)

図 5-14

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精油所稼働率の算定方法

(参考)石油製品生産量から稼働率を推計-処理原油・装置構成変更パターン-

基本パラメーター 詳細数値

精油所稼働率(%)

=バイオエタノール

(kL)

バイオディーゼル(kL)

ガソリン・実需用(kL)

前頁の燃料需要量の算定方法にて詳細説明

前頁の燃料需要量の算定方法にて詳細説明

前頁の燃料需要量の算定方法にて詳細説明

ガソリン・輸出用(kL)

ディーゼル・実需用(kL)

ディーゼル・輸出用(kL)

2017年の石油製品総量の実数値に、Murbanのガソリン収率を乗じ、ガソリン・実需用を差し引いたもの

前頁の燃料需要量の算定方法にて詳細説明

2017年の石油製品総量の実数値に、Murbanのディーゼル収率を乗じ、ディーゼル・実需用を差し引いたもの

ナフサ、ジェット燃料油、灯油、A重油、B・C重油、LPガス

(kL)

÷

2017年の石油製品総量の実数値に、Murbanの各石油製品収率を乗じて計算

精油所処理能力(kL)

204,197,240 kL/年: 2017年時の石油精製処理能力を使用

3-2

出所: 石油連盟 石油製品バランス、石油連盟 液化石油(LP)ガス需給、石油連盟 精油所装置能力、日本LPガス協会 LPガス単位換算表、 JPEC「石油精製技術と石油需給動向」(2018年3月末時点)

図 5-15

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BPの再エネ事業投資事例

【対応策:再エネ事業への投資】

再エネ事業への投資等の必要も考えられる

3-3

自動車燃料需要の減少に伴う製油所稼働率の低下への対応として、石油業界として、再エネ事業への投資等の必要も考えられる

出所: BP社 HP、Sustainable Japan「BP、太陽光発電欧州最大手Lightsourceに43%出資。再エネ事業を増強」(2018年3月末時点)

バイオ燃料

風力発電

太陽光発電

事業者名 BP

場所 イギリス

概要

2017年12月、太陽光発電開発欧州最大手Lightsourceの株式43%を2億米ドル(約230億円)で買収すると発表

Lightsourceは、主に大規模太陽光発電やスマートエネルギー・ソリューション関連プロジェクトを手掛け、過去7年間で急成長しており、これまでに締結した太陽光発電契約は合計1.3GW

Lightsourceが発電管理している発電所は約2GWで、現在合計6GWの電源開発が、米国、インド、欧州、中東で進行

今回の発表により、既存の太陽光発電事業を強化

BP社再生可能

エネルギー事業

図 5-16

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給油オンデマンドサービス事例

【対応策:新規ビジネスモデルの構築】

オンデマンド販売等の新規ビジネスモデル構築の必要も考えられる

3-4

自動車燃料需要の減少に伴う製油所稼働率の低下への対応として、石油業界として、オンデマンド販売等の新規ビジネスモデル構築の必要も考えられる

事業者名 Booster Fuels

場所 米国

概要

利用者は専用アプリから注文が可能 アプリからの注文を受けた後、指定された駐車

場に給油車両で訪問し給油を実施 車両のガスタンクのみ開けて、車両のカギは閉

めておくことで、利用者の立ち合いは不要 給油のほか、タイヤの空気圧調整、窓掃除、ワ

イパー交換等も実施が可能

給油車両

出所: Booster Fuels社 HP (2018年3月末時点)

アプリイメージ

図 5-17

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参考1.自動車部門の地球温暖化対策に関する各国政府の動向

参考1-1.調査の全体像

参考1-2.各国の技術目標に係る背景

参考1-3.自動車保有台数

参考1-4.車両構成比率

参考1-5.燃費

参考1-6.低炭素燃料混合比率

参考1-7.インフラ

参考1-8.走行距離

参考1-9.排出係数

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調査の全体像

【調査の全体像】

シナリオの検討に向けて、各国政府の技術目標と背景を調査

各国の技術目標値 各国の技術目標の背景

車両構成比率

燃費(自動車単体技術)

低炭素燃料混合比率

インフラ

技術目標に係る背景

• GDPにおける石油の輸入・輸出割合

• GDPにおける自動車の輸入・輸出割合

• GDPにおける自動車製造業割合

• エネルギー自給率• 石油の輸入依存度• エネルギー政策

・・・自動車のCO2排出量算定要素

・・・自動車技術に付随する要素

・・・技術目標の背景

シナリオ検討時のCO2排出量算定材料

シナリオ検討時に特に参考とすべき国(日本と背景が似ている国)の抽出

推計値

自動車保有台数

走行距離

排出係数(電源構成、 、カーシェア、自動運転、素材リサイクル、鉄

原単位削減)

燃費(エコドライブ)

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2050年を踏まえた自動車単体CO2排出量分析に係るパラメーターまとめ

パラメーター 目標値 使用値

車両/対策名 2020年 2030年 2030年 2050年

各国の技術目標値

車両構成比率

乗用ドイツはPHV・EV100万台

韓国はEV20万台、FCV1万台ドイツはPHV・EV600万台 (シナリオ別に設定)

大型中国はバス・特殊車両でEV40万台ノルウェーは全ての公共バスでEV・

FCV100%

ノルウェーはバス、小型商用車の販売台数100%がEV・FCV(2025年)、新車の重量トラック100%、長距離バス75%、トラック50%がEV・FCV(2030年)

(シナリオ別に設定)

低炭素燃料混合比率

ドイツはE5、D7

(米国はE15、D20)(感度分析実施)

燃費(自動車単体

技術)

乗用韓国は年に5.83%改善

(2015-2020)(米国は年に3.82%改善

(2016-2025))年3.45%の改善率

(2015-2030)(感度分析実施)

大型米国の年に0.5-4.0%改善

(2014-2017年)米国の年に0.9-2.8%改善

(2018-2027年)年1.75%の改善率

(2015-2030)(感度分析実施)

推計値

燃費(エコドラ

イブ)

乗用-

2.5%の燃費改善率 4.7%の燃費改善率

大型 3.5%の燃費改善率 6.6%の燃費改善率

排出係数

自動運転 - 18%のCO2原単位削減率 23%のCO2原単位削減率

カーシェア -0.9%のカーシェア普及率(製造・廃棄物原単位)

1.6%のカーシェア普及率(製造・廃棄物原単位)

素材リサイクル - 10%の素材・廃棄原単位削減率 20%の素材廃棄原単位削減率

鉄製造原単位 - 15%の鉄の製造原単位削減率 30%の鉄の製造原単位削減率

電源構成 -電力:0.37 kg-CO2/kWh

水素:10.67 kg-CO2/kg-H2

電力:0.37-0.08 kg-CO2/kWh

水素:10.67-3.27 kg-CO2/kg-H2

車両需要 -乗用車:6,470万台

旅客需要:1.41兆人km

貨物需要:5,200億トンkm

乗用車:5,810万台旅客需要:1.353兆人km

貨物需要:6,685億トンkm

走行距離 -乗用車:12,216km/年

バス:26,668km/年、トラック:24,078km/年

1

1

2

2

3

4

5

78

6

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参考1.自動車部門の地球温暖化対策に関する各国政府の動向

参考1-1.調査の全体像

参考1-2.各国の技術目標に係る背景

参考1-3.自動車保有台数

参考1-4.車両構成比率

参考1-5.燃費

参考1-6.低炭素燃料混合比率

参考1-7.インフラ

参考1-8.走行距離

参考1-9.排出係数

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技術目標に係る背景サマリ

【各国の技術目標に係る背景 –サマリ– 】

各国の掲げる技術目標に係る背景で、日本に似ている国はドイツ、韓国である

国名

技術目標に係る背景GDPにおけ

る石油の輸入・輸出割

GDPにおけ

る自動車の輸入・輸出

割合

GDPにおけ

る自動車製造業の付加

価値額

エネルギー自給率 石油の輸入依存度 エネルギー政策

日本

輸入:3.1%

輸出:0.2%

輸入:0.0%

輸出:2.3%3% 7%

輸入割合:100%

中東依存度:82%

①3E(Energy security, Economic efficiency, Environment)+S(Safety)②多層化、多様化した柔軟なエネルギー需給構造の構築

米国

輸入:1.0%

輸出:0.4%

輸入:0.9%

輸出:0.3%0.7% 93%

輸入割合:25%

中東依存度:20.2%

①エネルギー供給源・ルートの多様化②GHG 削減③需給両面におけるエネルギー効

率の改善④クリーン且つ持続可能なエネルギー技術の普及⑤エネルギーシステムのresilienceの強化⑥緊急時対応策等を再検討

ドイツ

輸入:2.6%

輸出:0.4%

輸入:1.4%

輸出:4.5%2.7% 39%

輸入割合:97%

中東依存度:4.2%

①再生可能エネルギー②エネルギー効率③持続可能な発展

イギリス

輸入:1.3%

輸出:1.0%

輸入:1.7%

輸出:1.4%0.5% 65%

石油の輸入割合:21%

中東依存度:4.1%

①電力市場改革②エネルギー競争市場の実現③エネルギー供給途絶対策④エネルギー効率向上⑤競争力のある国産石油ガス資源産出⑥国際協力推進⑦供給インフラ整備、⑧CO2 削減、低炭素エネルギー活用

フランス

輸入:2.7%

輸出:0.5%

輸入:1.3%

輸出:0.8%0.6% 56%

輸入割合:99%

中東依存度:25.2%

①エネルギー自給と供給保障②割安で競争力のあるエネルギー価格③地球温暖化対策④全国民に対する平等なエネルギー供給

ノルウェー

輸入:0.6%

輸出:15.7%

輸入:1.6%

輸出:0.0%― 681%

輸入割合:0%

中東依存度:0.0%

①自国の石油・天然ガス資源を長期的な視点で生産②その利益をもって国民の生活向上に貢献③資源管理は健康や安全、環境に配慮しつつ環境・気候変動対策と整合を取る

中国

輸入:1.2%

輸出:0.0%

輸入:0.4%

輸出:0.0%― 85%

輸入割合:58%

中東依存度:52.0%

①エネルギー自給率の強化②エネルギー効率の向上③石炭消費の抑制を含むエネルギー・ミックスの最適化④エネルギー分野の国際協力推進⑤エネルギー分野の科学技術イノベーションの推進

韓国

輸入:12.6%

輸出:3.6%

輸入:0.6%

輸出:3.3%3.5% 19%

輸入割合:99%

中東依存度:82.5%

①エネルギー需給の安定化②海外資源開発の拡大③低炭素化と高効率化社会の実現④気候変動への対応充実

インド

輸入:4.7%

輸出:1.5%

輸入:0.0%

輸出:0.3%0.5% 66%

輸入割合:77%

中東依存度:61.6%

①省エネルギーの推進②エネルギー価格の合理化③国内の石油・ガス開発促進④電力供給の確保⑤発電用石炭供給の確保⑥再生可能エネルギーの利用拡大

表 参考1-1

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GDPにおける石油の輸入・輸出額割合 (2015年)

【各国の技術目標に係る背景 –日本・諸外国のGDPにおける石油の輸入・輸出額割合– 】

GDPにおける石油の輸入・輸出額割合で、日本に近い国はドイツ、フランスである

3.1%

1.0%

2.6%

1.3%

2.7%

0.6%1.2%

12.6%

4.7%

0.2% 0.4% 0.4%1.0%

0.5%

15.7%

0.0%

3.6%

1.5%

0%

2%

4%

6%

8%

10%

12%

14%

16%

18%

日本 米国 ドイツ イギリス フランス ノルウェー 中国 韓国 インド

輸入割合 輸出割合

(%)

出所:一般財団法人日本エネルギー経済研究所「平成28年度国際石油需給体制等調査」、UN comtrade

(2018年3月末時点)

図 参考1-1

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GDPにおける自動車の輸入・輸出額割合 (2015年)

【各国の技術目標に係る背景 –日本・諸外国のGDPにおける自動車の輸入・輸出額割合– 】

GDPにおける自動車の輸入・輸出額割合で、日本に近い国は韓国、ドイツである

0.5%

0.9%

1.4%

1.7%

1.3%

1.6%

0.4%0.6%

0.0%

2.3%

0.3%

4.5%

1.4%

0.8%

0.0% 0.0%

3.3%

0.3%

0.0%

1.0%

2.0%

3.0%

4.0%

5.0%

日本 米国 ドイツ イギリス フランス ノルウェー 中国 韓国 インド

輸入割合 輸出割合

(%)

出所:一般財団法人日本エネルギー経済研究所「平成28年度国際石油需給体制等調査」、UN comtrade、日本自動車工業会 自動車の輸入額(C.I.F. 価格)推移(2018年3月末時点)

図 参考1-2

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GDPにおける自動車製造業の付加価値額*の割合 (2012年)

【各国の技術目標に係る背景 –日本・諸外国のGDPにおける自動車製造業の付加価値額割合– 】

日本に近い自動車製造産業の背景を持つ国は、ドイツと韓国である

3.0%

0.7%

2.7%

0.5%0.6%

3.5%

0.5%

0.0%

0.5%

1.0%

1.5%

2.0%

2.5%

3.0%

3.5%

4.0%

日本 米国 ドイツ イギリス フランス 韓国 インド

(%)

出所:一般財団法人日本エネルギー経済研究所「平成28年度国際石油需給体制等調査」、総務省統計局「世界の統計2017」(2018年3月末時点)

*事業活動によって新たに生み出された価値を表す数値

図 参考1-3

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エネルギー自給率

【各国の技術目標に係る背景 –日本・諸外国のエネルギー自給率– 】

エネルギー自給率で、日本に近い国は韓国、ドイツである

7%

93%

39%65% 56%

681%

85%

19%

66%

0%

100%

200%

300%

400%

500%

600%

700%

800%

日本

(2015年)

米国

(2015年)

ドイツ

(2015年)

イギリス

(2015年)

フランス

(2015年)

ノルウェー

(2015年)

中国

(2014年)

韓国

(2015年)

インド

(2014年)

(%)

出所:一般財団法人日本エネルギー経済研究所「平成28年度国際石油需給体制等調査」(2018年3月末時点)

図 参考1-4

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石油の輸入依存度

【各国の技術目標に係る背景 –日本・諸外国の石油の輸入依存度– 】

輸入石油割合で日本に近い国は、ドイツ、フランス、韓国である

100%

21%

58%

原油輸入先(2014年)1位 サウジアラビア2位 アンゴラ3位 ロシア

中東依存度:52%

25%

99% 99%

原油輸入先(2015年)1位 サウジアラビア2位 クウェート3位 イラク

中東依存度:82.5%

97%

0% 原油輸出先(2015年)1位 英国2位 オランダ3位 ドイツ

中東依存度:0%

77%

原油輸入先(2014年)1位 サウジアラビア2位 イラク3位 ベネズエラ

中東依存度:61.6%

出所:一般財団法人日本エネルギー経済研究所「平成28年度国際石油需給体制等調査」(2018年3月末時点)

原油輸入先(2015年)1位 サウジアラビア2位 UAE

3位 クウェート

中東依存度:82%

原油輸入先(2015年)1位 ノルウェー2位 アルジェリア3位 ナイジェリア

中東依存度:4.1%

原油輸入先(2015年)1位 カナダ2位 サウジアラビア3位 ベネズエラ

中東依存度:20.2%

原油輸入先(2015年)1位 ロシア2位 ノルウェー3位 英国

中東依存度:4.2%

原油輸入先(2015年)1位 サウジアラビア2位 カザフスタン3位 ナイジェリア

中東依存度:25.2%

輸入石油割合 国産石油割合

表 参考1-2

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エネルギー政策

【各国の技術目標に係る背景 –日本・諸外国のエネルギー政策– 】

燃料・運輸に係る政策としては、ノルウェーを除き各国で日本同様の政策を掲げている

基本的視点 ①3E(Energy security, Economic efficiency,

Environment)+S(Safety)②多層化、多様化した柔軟なエネルギー需給構造の構築

具体的実施事項 水素社会の実現に向け、戦略的に制度やインフラの整備

を進める 電気小売供給事業者等に対し非化石電源を、石油精製業

者に対しバイオ燃料利用を課す 運輸部門におけるエネルギー効率向上を目指す

基本的視点 ①電力市場改革②エネルギー競争市場の実現③エネル

ギー供給途絶対策④エネルギー効率向上⑤競争力のある国産石油ガス資源産出⑥国際協力推進⑦供給インフラ整備、⑧CO2 削減、低炭素エネルギー活用

具体的実施事項 運輸部門の燃費規制やEV導入などで省エネを推進 EU基準に準拠した輸送用燃料政策 CSS分野でのリーダーシップ、ビジネスチャンス、規則構

築を目指す

基本的視点 ①エネルギー自給率の強化②エネルギー効率の向上③

石炭消費の抑制を含むエネルギー・ミックスの最適化④エネルギー分野の国際協力推進⑤エネルギー分野の科学技術イノベーションの推進

具体的実施事項 中国最大手の国家電網公司は、EV充電設備整備に向け

た投資を民間資本に開放する計画

基本的視点 ①エネルギー供給源・ルートの多様化②GHG 削減③需

給両面におけるエネルギー効率の改善④クリーン且つ持続可能なエネルギー技術の普及⑤エネルギーシステムのresilienceの強化⑥緊急時対応策等を再検討

具体的実施事項 Obama政権時にEV充電設備の設置や投資を発表 CAFE規制で自動車燃費基準を規制 Trump大統領はパリ協定からの離脱表明

基本的視点 ①エネルギー自給と供給保障②割安で競争力のあるエネ

ルギー価格③地球温暖化対策④全国民に対する平等なエネルギー供給

具体的実施事項 燃料販売業者に汚染事業総合税を課しバイオ燃料導入を

促進

基本的視点 ①エネルギー需給の安定化②海外資源開発の拡大③低

炭素化と高効率化社会の実現④気候変動への対応充実具体的実施事項 欧州基準とカリフォルニア州の規制をベースにして排ガス

の規制を行う

基本的視点 ①再生可能エネルギー②エネルギー効率③持続可能な

発展具体的実施事項 運輸部門の最終エネルギー消費の削減を目指す 「エネルギー」「産業」「建物」「輸送」「農業土地利用」「廃棄

物処理・循環経済」の分野で排出削減の達成に向けた行動計画を示す

バイオ燃料に対する免税措置、販売者に一定量以上のバイオ燃料混合の義務付けを行う

基本的視点 ①自国の石油・天然ガス資源を長期的な視点で生産②そ

の利益をもって国民の生活向上に貢献③資源管理は健康や安全、環境に配慮しつつ環境・気候変動対策と整合を取る

具体的実施事項 都市交通における自動車から公共交通、自転車、徒歩へ

の転換、クリーン自動車へ誘導する税制改革、鉄道輸送の役割の強化を講じる

CSS分野でイニシアチブを握ることを目指す

基本的視点 ①省エネルギーの推進②エネルギー価格の合理化③国

内の石油・ガス開発促進④電力供給の確保⑤発電用石炭供給の確保⑥再生可能エネルギーの利用拡大

具体的実施事項 将来のエネルギー需要の増加において、運輸部門需要

(石油)が最も伸びる見通し 大気汚染対策としてPM、CO2の排出規制を行い、4 割を

占めるディーゼル車への規制も強まる予定

出所:一般財団法人日本エネルギー経済研究所「平成28年度国際石油需給体制等調査」(2018年3月末時点)

「エネルギー基本計画」 「Energy Security Strategy」 「エネルギー発展戦略(2014~2020 年)」

「Quadrennial Energy Review (QER) 1.1」 「エネルギー転換法」

「石油開発に関する白書」「Energy Concept」、「Energiewende(エネルギー転換)」 「第12 次5 ヵ年計画」

「国家エネルギー基本計画」

表 参考1-3

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自動車CO2排出量削減に係る欧州と日本の政策

(参考)

欧州REDでは再エネ全般に係る政策がとられ、日本の自動車政策とは構造が異なる

自動車CO2排出量 車両台数 燃料消費量 排出係数

RED (再エネ活用を前提としたEVシフト)

2020年の目標値

国 EV

-

100万台

200万台

-

*1: ドイツ政府は2020年に、最終エネルギー消費の再エネ割合19.6%、輸送用燃料に占める再エネ源割合13.2%(うち12%がバイオ燃料)到達を予測しているが国目標ではない*2: 10%は目標で6%は義務

CO2排出基準(燃費規制)

2021年:95gCO2/km

2025年:81gCO2/km(提案) 2030年:67gCO2/km (提案)

エネルギー供給構造高度化法

石油精製業者に対し2017年に50万kLのバイオ燃料導入量を目標

RED(再エネ、バイオ燃料の活用)

2020年の目標値

国最終エネル

ギー消費の再エネ割合

輸送用燃料に占める再エネ

源割合

輸送用燃料のGHG削減目標(2010比)

20% 10% 6%*2

18%*1 10%*1 7%

23% 10% 6%

15% 10% 6%

エネルギーの使用の合理化 に関する法律 燃費基準

2015年度基準平均値

2020年目標値

乗用車 17.0(km/L) 20.3(km/L)

2015年度基準平均値

2025年目標値

トラック 7.10(km/L) 8.13(km/L)

バス 5.71(km/L) 6.52(km/L)

出所:経済産業省「平成28度石油産業体制等調査研究 (バイオ燃料を中心とした我が国の燃料政策のあり 方に関する調査)(バイオエタノール関連) 報告書」、国土交通省(2018年3月末時点)

EUの自動車CO2排

出量削減に係る政策

EUの自動車CO2排

出量削減に係る政策

欧州はバイオ燃料を含む再エネ源輸送用燃料だが、日本はバイオ燃

料のみ

欧州はCO2排出ベースの燃費規制だが、日本は燃料ベースの燃費基

欧州は再エネ活用を前提としたEV

目標だが、日本は再エネ活用を前提としたEV目標がない

図 参考1-5

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REDを受けた各国の取り組みと目標の検証方法

(参考)

REDを受け、欧州各国では目標値に対して自動車・燃料関連で個別に政策を実施

国 政策種別政策の対象者

具体的取り組み 目標の検証方法

ドイツ

自動車関連政策

(再エネ活用を前提としたEVシフト、

再エネ)

-

2020年までにEVを100万台(経済技術、運輸建設・都市開発、環境・自然保護・原子炉安全、教育研究省)

現在、EV・電動鉄道車両に係る法的義務は存在しないが、「電気自動車普及促進に向けた国家計画」では将来的に含むことが記載(環境、経済技術、運輸建設、教育省)

2020年の輸送部門の再エネ電力量予測:667 ktoe(うち道路輸送は63 ktoe)

-

燃料関連政策

(バイオ燃料の活用)

燃料販売事業者

バイオ燃料クォータ法(BioKraftQuG)で、一定のバイオ燃料導入量を義務化。エネルギーベースのバイオ燃料義務導入割合は、ガソリンで2.8%、ディーゼルで4.4%(2010-2014)。2015年以降はバイオ燃料導入によるGHG削減量で算定され、3%(2015-2016)、4.5%(2017-2019)、7%(2020~)が設定(財務省)

バイオ燃料生産者に対する税優遇措置が2015年まで存在 2020年のBiomass-to-Liquid・植物油の予測:173-261ktoe

連邦財務省関税局により順守の監視が行われ、未達の場合は財務省・バイオ燃料クォータ局から課金(ガソリンで€43/GJ、ディーゼルで€19/GJ)

フランス

自動車関連政策

(再エネ活用を前提としたEVシフト、

再エネ)

-

2015年までにEV45万台、2020年までに200万台を目指す 自動車ストックの入替促進のために、廃車奨励金を導入(2009年は1,000ユーロで、2011年に終了)(ビ

ジネス・イノベーション・技能省) 低排出車の購入に対し奨励金を設定(排出量155 gCO2/km以下の車両で100-1,000ユーロ、60

gCO2/km2以下のHVやEVで最大5,000ユーロ)(エコロジー・持続可能開発・エネルギー省) Grenelle I法のもと、2020年までに運輸における非道路・空輸輸送割合を14%から25%に増やすことを

目指し、鉄道線路の建設や公共交通機関の強化を計画(2千kmのハイスピード鉄道線等) 2020年の輸送部門の再エネ電力量予測:402 ktoe(うち道路輸送は110 ktoe)

-

燃料関連政策

(バイオ燃料の活用)

燃料精製者、大型小売店

一定のバイオ燃料量を義務化し、未達の場合は汚染活動税として課税(経済・財務省) 国内消費税(TIC)が、バイオディーゼルとバイオエタノールに対し一部免税。農業・漁業で燃料として使

用される純植物油には完全免税 2009年にエタノール10%配合の「スーパーガソリン95-E10」の販売開始 E85やB30の高割合バイオ燃料の許可 2010年財政法のもと、廃油・動物脂バイオ燃料のダブルカウントとバイオディーゼル(非道路ディーゼル

を含む)のカウントを導入

2005年財政法で、未達の事業者に対し汚染活動税(TGAP)を設定

イギリス

自動車関連政策

(再エネ活用を前提としたEVシフト、

再エネ)

- 各種政府機関(低排出車両庁・自動車調査局)は低排出車に対する優遇措置や燃費、排出データベース

を開示(交通省&ビジネス・エネルギー・産業戦略省) 2020年の輸送部門の再エネ電力量予測:267 ktoe(うち道路輸送は29 ktoe)

-

燃料関連政策

(バイオ燃料の活用)

精製者、輸入事業者、道路輸送用化石燃料供給者(45

万L/年以上)

エネルギー法2004の再生可能輸送燃料導入義務(RTFO)法のもと、運輸部門の再生可能燃料割合の増加の為にバイオ燃料の導入を義務化(2013/14年以降は輸送燃料の5%)し、未達の場合は罰金(運輸省)

食廃油由来のバイオ燃料に税制措置

運輸省後援の非営利団体である再生可能燃料局(RFA)がRTFO順守監視を行い燃料持続可能性年次報告書の検証を行う

燃料供給者はRFAにバイオ燃料量の報告義務あり(義務を達成したバイオ燃料製造者は証拠として証書を獲得)

出所:欧州委員会「National action plans」、経済産業省「エネルギー白書2010」(2018年3月末時点)

表 参考1-4

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参考1.自動車部門の地球温暖化対策に関する各国政府の動向

参考1-1.調査の全体像

参考1-2.各国の技術目標に係る背景

参考1-3.自動車保有台数

参考1-4.車両構成比率

参考1-5.燃費

参考1-6.低炭素燃料混合比率

参考1-7.インフラ

参考1-8.走行距離

参考1-9.排出係数

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日本のGDP *1・人口・世帯数*2推移

【自動車保有台数 –日本のGDP・人口・世帯数予測– 】

将来、日本のGDPは増加し続け、人口・世帯数は減少することが予測される

531

719

1,027

127

119

102

53 51 51

0

20

40

60

80

100

120

140

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

2013 2030 2050

人口&世帯数(百万)GDP(兆円)

GDP 人口 世帯数

出所:国立社会保障・人口問題研究所(社人研)、「中長期の経済財政に関する試算」(内閣府)(2018年3月末時点)

*1経済再生ケースで想定している2013~25年度の実質経済成長年率の平均値1.8%使用し2030、2050年値を推計 *2 2010-2035年の公開推計値を使用しCAGRで2050年値を推計

図 参考1-6

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日本の乗用車保有台数予測

【自動車保有台数 –日本の乗用車保有台数予測– 】

保有台数は増加傾向にあるが、将来は人口減少などに伴い減少すると予測される

594 601 605 608 613 626 640 654 647 620

581

0

100

200

300

400

500

600

700

2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2030 2040 2050

(十万台)

保有台数実数 保有台数予測

14 出所:自動車検査登録情報協会「自動車保有台数の推移」、国土交通省「交通需要推計検討資料」(2018年3月末時点)

※保有台数予測は一人当たり免許保有率を説明要因として推計された世帯当たり乗用車保有率に将来世帯数を乗じて推計されている

将来の乗用車保有台数の減少要因・人口減少・免許保有者数減少・世帯数減少

図 参考1-7

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日本の旅客・貨物交通需要推移*1*2

【自動車保有台数 –日本の旅客・貨物需要予測– 】

将来、人口減少に伴い旅客需要は減少し、GDP増加に伴い貨物需要は増加の予測

1,460

1,410 1,353

420

520

669

0

100

200

300

400

500

600

700

800

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

2013 2030 2050

貨物需要(10億トンkm)旅客需要(10億人km)

旅客需要 貨物需要

*1: 2013,2030年は出所 資源エネルギー庁「エネルギー需要見通しについて」(2018年3月末時点)*2: 2050年はCAGRで推計

図 参考1-8

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参考1.自動車部門の地球温暖化対策に関する各国政府の動向

参考1-1.調査の全体像

参考1-2.各国の技術目標に係る背景

参考1-3.自動車保有台数

参考1-4.車両構成比率

参考1-5.燃費

参考1-6.低炭素燃料混合比率

参考1-7.インフラ

参考1-8.走行距離

参考1-9.排出係数

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車両構成目標:乗用車

【車両構成比率 –日本・諸外国の車両構成目標(乗用車)– 】

PHV・EVの普及目標を掲げている国が多く、また2050年の目標値を持つ国はない

出所:経済産業省「次世代自動車戦略」、経済産業省「EV・PHV ロードマップ検討会 報告書」、経済産業省「水素・燃料電池戦略ロードマップ(抜粋)~水素社会の実現に向けた取組の加速~」、資源エネルギー庁「地球温暖化について」、IPHE、IEA「Global EV outlook 2016」、Marklines、Autovista Group

(2018年3月末時点)

国名 車種車両構成比率

2020年 2030年 2040年

日本

HV - 新車販売台数の30-40% -PHV

保有台数最大100万台 新車販売台数20-30% (保有台数の16%) -EV

FCV 4万台(累計)(2020年) 20万台(累計)(2025年) 80万台(累計)(2017時累計1800台) -

米国

HV - - -PHV

- 150万台(累計)(2025年) -EV

FCV - - -

ドイツ

HV - -PHV

100万台(累計) 600万台(累計) -EV

FCV - - -

イギリス

HV - - -PHV

150万台(累計) - ガソリン・ディーゼル車販売終了(2040年)EV

FCV - - -

フランス

HV - - -PHV

200万台(累計) - ガソリン・ディーゼル車販売終了(2040年)EV

FCV 1000台(2017年時累計185台) - -

インド

HV - - -PHV - - -EV 2016-2020年の販売台数の2%(ストック30万台) - -

FCV - - -

中国

HV 市場私有率30%(2020年) 市場私有率40%(2025年) 市場私有率50% -PHV

500万台(累計) 8000万台(累計) -EV

FCV販売台数5000台(特定地域の公共サービス領域で)

(2017年時累計60台)販売台数5万台(都市部で個人使用も含めて)(2025年)

販売台数100万台(大型商用車も含めて)(2030年)-

韓国

HV - - -PHV - - -EV 2016-2020年販売台数の4%(ストック20万台) - -

FCV 1万台(2016年時累計100台) - -

ノルウェー

HV - - -PHV - - -EV 販売台数の100%(2025年) - -

FCV - - -

※中国のHVは、内燃機関を主な動力システムとし、総合燃費が次期燃費基準を超えた自動車。HV、代替燃料(天然ガス等)の低炭素燃料車を含む

表 参考1-5

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車両構成目標:トラック・バス

【車両構成比率 –日本・諸外国の車両構成目標(商用車)– 】

EV・FCVの普及目標を掲げる国が多く、日本を除き2050年の目標値を持つ国はない

出所:環境省「次世代自動車普及戦略」、経済産業省「燃料電池バスの普及及び導入支援策について」、IPHE,California Fuel Cell Partnership、FCHP、IEA「Global EV Outlook 2017」、IPHE、Hybridcars(2018年3月末時点)

国名 車種車両構成比率

2020年 2030年 2050年

日本

HV 販売台数5万台、保有台数14万台 販売台数5万台、保有台数46万台 販売台数7万台、保有台数77万台

PHV - - -

EV - - -

FCV2016年にFCバスを市場投入以降、東京都を中心に100

台以上の市場導入目指す(2017年時商用FCバス2台)- -

米国

HV - - -

PHV - - -

EV カリフォルニア州で公共輸送と貨物輸送でZEVの広い適用

- -

FCV - -

ドイツ

HV ハンブルグは2020年以降、ゼロ排出公共バスのみ購入 - -

PHV - - -

EV - - -

FCV - - -

フランス

HV - - -

PHV - - -

EVパリ公共輸送管理者は既存バスの80%(約4,000台)を電化することを目指す(2025年までに)

- -

FCV - - -

中国

HV - - -

PHV - - -

EV バス・特殊車両で累計40万台 - -

FCV - 販売台数100万台(大型商用車も含めて) -

韓国

HV - - -

PHV - - -

EV - - -

FCV - 2027年をめどにFCバスを導入 -

ノルウェー

HV - - -

PHV - - -

EV オスロ・アーケシュフース地域は全公共交通バスを再エネ源で運転することを目指す

バス、小型商用車の販売台数100%がゼロ排出車(2025年)新車の重量トラック100%、長距離バス75%、トラック50%がゼロ排出車(2030年)

-FCV

表 参考1-6

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次世代自動車*1の市場普及率予測(2DS)

【車両構成比率 –世界全体・IEAの車両構成予測– 】

IEAでは、2050年に向けて次世代自動車が全世界で主流になると予測

189 出所:IEA/ ETP「Energy Technology Perspectives2012」(2018年3月末時点)

*1 FCV,EV,PHV,HVのことを指す

図 1-9

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参考1.自動車部門の地球温暖化対策に関する各国政府の動向

参考1-1.調査の全体像

参考1-2.各国の技術目標に係る背景

参考1-3.自動車保有台数

参考1-4.車両構成比率

参考1-5.燃費

参考1-6.低炭素燃料混合比率

参考1-7.インフラ

参考1-8.走行距離

参考1-9.排出係数

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燃費目標:乗用車

【燃費 –日本・諸外国の燃費目標(乗用車)– 】

各国の乗用車燃費改善率目標は、年間3-5%台

出所:International Council on Clean Transportation (ICCT) (2018年3月末時点)

国名燃費 年間燃費改善率

(参考:年間燃費規制強化率)現状 将来

日本

16.8 km/L(2015年) 20.3 km/L(2020年) 3.45%(2015-2020年)

米国

36.2 mpg(2016年) 55.2 mpg(2025年) 3.82%(2016-2025年)

中国

6.9 L/100km(2015年)5 L/100km

(2020年)4.0 L/100km

(2025年)5.51%

(2015-2020年)4.20%

(2015-2025年)

韓国

17 km/L(2015年) 24 km/L(2020年) 5.83%(2015-2020年)

(参考)EU

130 gCO2/km(2015年)95 gCO2 /km

(2021年)81 gCO2 /km

(2025年)

67 gCO2 /km

(2030年(提案))

4.49%

(2015-2021

年)

3.77%

(2015-2025

年)

3.23%

(2015-2030年(提案))

(参考)インド

130 g/km(2017年) 113 g/km(2022年) 2.6%(2017-2022年)

「2.2050年を踏まえた自動車単体CO2排出量分析」では2030年に年3.45%の改善率を使用、2050年は感度分析を実施1

表 参考1-7

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燃費目標:商用車

【燃費 –日本・諸外国の燃費目標(商用車)– 】

各国の商用車燃費改善率目標は、年間0.5-4.9%

出所:環境省、IEA「Energy Efficiency 2017」、IEA「Energy Technology Perspectives 2017」(2018年3月末時点)

国名 年間燃費改善率

日本

【貨物車】0.6%-0.75%

(2000年-2020年)

米国

【トラック】0.5-4.0%

(2014-2017年)

【トラック】0.9-2.8%

(2018-2027年)

中国

【トラック】3.6-4.9%

(2014-2019年)

【トラック】2.4-4.4%

(2021年以降)

IEA

【トラック】1.75%

(2015-2025年)

「2.2050年を踏まえた自動車単体CO2排出量分析」では2030年に年1.75%の改善率を使用、2050年は感度分析を実施1

表 参考1-8

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将来のエコドライブの実施率と燃費改善率*

【燃費 –エコドライブ– 】

エコドライブにより、乗用車は2050年4.7%、貨物車は2050年6.6%、の燃費改善を想定

出所:環境省「地球温暖化対策計画における対策の削減量の根拠」(2018年3月末時点)

*: エコドライブの省エネ率は10%が前提とされている。 2050年の実施率は推計を行う

6.0%

25.0%

47.4%

9.0%

35.0%

65.6%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

エコドライブ実施率

(乗用車)

エコドライブ実施率

(自家用貨物車)

2020 2030 2050

「2.2050年を踏まえた自動車単体CO2排出量分析」では、2030年に2.5%、3.5%と2050年に4.7%、6.6%の燃費改善率をそれぞれ乗用車、貨物車に使用

2

エコドライブ実施率(%)

図 参考1-9

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参考1.自動車部門の地球温暖化対策に関する各国政府の動向

参考1-1.調査の全体像

参考1-2.各国の技術目標に係る背景

参考1-3.自動車保有台数

参考1-4.車両構成比率

参考1-5.燃費

参考1-6.低炭素燃料混合比率

参考1-7.インフラ

参考1-8.走行距離

参考1-9.排出係数

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100%85%

195

各国のバイオ燃料混入率

【低炭素燃料混合比率 –日本・諸外国のバイオ燃料混合率– 】

エタノールは85%、ディーゼルは100%までバイオ燃料混合率を設定している国がある

出所:経済産業省「平成28年度石油産業体制等調査研究バイオ燃料を中心とした我が国の燃料政策のあり方に関する調査)(バイオエタノール関連)報告書」,ドイツ連邦経済技術省「German Biofuels Policy and Bioethanol Market」,AGQM「Biodiesel in

Germany」、農林水産省「バイオ燃料をめぐる情勢」、国立環境研究所,ETIP Bioenergy、AFDC、EPA(2018年3月末時点)

10%

従来のガソリン車には使用できず、対応車においてのみ利用可能

バイオエタノール

バイオディーゼ

5%2% 7%3%

※日本はETBE導入だが、ETBEの7%(体積量)はE3に相当し、ETBE22%はE10に相当する

バイオエタノール混合率の上限10%に対して、導入量が既にガソリン消費量の 10%弱に達しており導入量の更なる拡大が難しいという問題があるため、フレックス燃料車と2001 年以降に製造された自動車に対してE15の使用を承認

米国は州ごとに異なる 15% 20%

図 3-8

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参考1.自動車部門の地球温暖化対策に関する各国政府の動向

参考1-1.調査の全体像

参考1-2.各国の技術目標に係る背景

参考1-3.自動車保有台数

参考1-4.車両構成比率

参考1-5.燃費

参考1-6.低炭素燃料混合比率

参考1-7.インフラ

参考1-8.走行距離

参考1-9.排出係数

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各国の次世代自動車向け充電STインフラ普及目標

【インフラ –日本・諸外国の充電ステーション目標– 】

各国、EVの普及に伴い充電ステーションの拡大を目指している

出所:経済産業省「EV・PHVロードマップ」、IEA「Global EV Outlook」(2018年3月末時点)

国目標

2020年 2025年 2030年

日本 約2.8万基公共用充電器追加設置 ― ―

米国 48の州間高速道路をEV充電回廊に指定し約50マイル間隔で充電STを設置するべく、最高45億ドルのローン保証提供を発表

ドイツ

7,100基(急速充電器) 1万箇所(普通充電)

― ―

イギリス

充電スタンド整備に42億円の投資を決定

― ―

フランス― ― 700万基

インド 充電インフラ整備を支援すると発表

中国― ― 8,000万基

韓国 3,000箇所(公共急速充電器) ― ―

ノルウェー 主要道路に平均50km毎に急速充電ステーションを設置できるよう公的資金を提供

表 参考1-9

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各国の次世代自動車向け水素STインフラ普及目標

【インフラ –日本・諸外国の水素ステーション目標– 】

各国、FCVの普及に伴い水素ステーションの拡大を目指している

国目標

2020年 2025年 2030年

日本

160箇所(70MPa*オンサイト製造と供給) 100箇所 (再エネ源からの35MPa*オンサイト製造) 140万箇所(<5kW(住宅用等備え付け)

320箇所(70MPa*オンサイト製造と供給) 530万箇所(<5kW(住宅用等備え付け)

アメリカ

約100箇所 ― ―

ドイツ

― 2023年までに約400箇所 ―

フランス

2019年までに100箇所(70MPa*・35MPa供給)

― ―

韓国

100箇所(70MPa*・35MPa*オンサイト製造と供給)

― 520箇所(70MPa*・35MPa*オンサイト製造と供給)

*メガパスカル、燃料補給時圧力

出所:IPHE、 California Environmental Protection Agency、 H2 Mobility(2018年3月末時点)

表 参考1-10

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参考1.自動車部門の地球温暖化対策に関する各国政府の動向

参考1-1.調査の全体像

参考1-2.各国の技術目標に係る背景

参考1-3.自動車保有台数

参考1-4.車両構成比率

参考1-5.燃費

参考1-6.低炭素燃料混合比率

参考1-7.インフラ

参考1-8.走行距離

参考1-9.排出係数

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車両種別の年間走行距離

【走行距離 –乗用車・バス・トラック– 】

車両種別に年間走行距離をそれぞれ設定し、CO2排出量分析で使用

車両種 年間走行距離

乗用車 12,216km/年*1

バス 26,668km/年*2

トラック 24,078km/年*2

*1: 出所 日本自動車部品工業会「JAPIA LCI算出ガイドライン」*2: 出所 経済産業省「運輸部門における燃料多様化」(2018年3月末時点)

表 参考1-11

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参考1.自動車部門の地球温暖化対策に関する各国政府の動向

参考1-1.調査の全体像

参考1-2.各国の技術目標に係る背景

参考1-3.自動車保有台数

参考1-4.車両構成比率

参考1-5.燃費

参考1-6.低炭素燃料混合比率

参考1-7.インフラ

参考1-8.走行距離

参考1-9.排出係数

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© 2018. For information, contact Deloitte Tohmatsu Consulting LLC.202 出所:環境省「平成26年度水素利用の統合的システム確立に向けたFS調査委託業務」(2018年3月末時点)

パラメータ影響する車両

2050年のシナリオ

低位 中位 高位

電源の低炭素化(kg-CO2/kWh)

EV0.37 kg-CO2/kWh

(2030年の電源構成)0.26 kg-CO2/kWh

(低位と高位の中間)0.08 kg-CO2/kWh

(9割がゼロエミッション)

水素の低炭素化(kg-CO2/kg-H2)

FCV

10.67* kg-CO2/kg-H2

(24%がゼロエミッションと仮定)

6.97* kg-CO2/kg-H2

(低位と高位の中間)3.27* kg-CO2/kg-H2

(9割がゼロエミッション)

(参考)ガソリン(g-CO2/MJ)

GV, HV 83.2g-CO2/MJ 83.2g-CO2/MJ 83.2g-CO2/MJ

(参考)ディーゼル(g-CO2/MJ)

GV, HV 78.4g-CO2/MJ 78.4g-CO2/MJ 78.4g-CO2/MJ

電源、水素の排出係数

【排出係数 –電源・水素– 】

2050年の燃料別排出係数を低・中・高位シナリオで設定し、CO2排出量分析で使用

*2030年の水素排出係数は天然ガス由来のCO2排出量1,243g/Nm3を使用。2050年の水素排出係数は、天然ガス由来のCO2排出量1,200g/Nm3と太陽光発電電力由来のCO2排出量193g/Nm3を使用。

7

8

表 参考1-12

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将来の電源構成と排出係数

(参考)

将来の電源構成見通し

2015年*1 2030年*2

2050年*2

(低位)

2050年

(中位)

2050年*3

(高位)

2050年高位シナリオのエネルギー源ごとの排出係数

再エネ22-24%

原子力22-20%

LNG27%

石炭26%

石油3%

再エネ22-24%

原子力22-20%

LNG27%

石炭26%

石油3%

ゼロエミッション電源90%

LNG10%

再エネ…%程度

原子力…%程度

LNG…%程度

石炭…%程度

石油…%程度

*1: 経済産業省「エネルギー白書2016」 *2: 経済産業省「長期エネルギー需給見通し」 *3: 環境省「長期低炭素ビジョン」 *4: 電気事業連合会「環境行動計画」*5: 電力中央研究所「日本における発電技術のライフサイクルCO2排出量総合評価」(2018年3月末時点)

排出

係数

0.56*4 kg-

CO2/kWh

0.37*4 kg-

CO2/kWh

0.37*4 kg-

CO2/kWh

0.26 kg-

CO2/kWh

0.08 kg-

CO2/kWh

2050年

(高位)の電源構成

エネルギー源 排出係数

LNG火力430*5

g-CO2/kWh

太陽光発電(住宅用)

38*5

g-CO2/kWh

再エネ12%

LNG46%

石炭31%

石油11%

図 参考1-10 表 参考1-13

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将来の自動運転によるCO2原単位*削減率

【排出係数 –自動運転– 】

自動運転の普及に伴い、CO2原単位は2030年に18%、2050年に23%減少と想定

204 出所:野本、浜口「低炭素社会の実現に向けた車車間通信システムの取り組み」(2018年3月末時点)

*1台の自動車が1km 走る際に排出するCO2

「2.2050年を踏まえた自動車単体CO2排出量分析」では2030年に18%、2050年に23%のCO2原単位削減率を使用3

18.0% 18.0%

23.0%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

CO2原単位削減率

2017 2030 2050

CO2原単位削減率(%)

図 参考1-11

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将来のカーシェア実施率*

【排出係数 –カーシェアリング– 】

カーシェア実施率は2030年に0.9%、2050年に1.6%と想定

「2.2050年を踏まえた自動車単体CO2排出量分析」では、2030年に0.9%、2050年に1.6%のカーシェア普及率(製造・廃棄物原単位)を使用

4

出所:環境省「地球温暖化対策計画における対策の削減量の根拠」(2018年3月末時点)

*: 2050年値は推計を行う

カーシェア実施率(%)

0.2%

0.9%

1.6%

0%

1%

2%

3%

4%

カーシェア実施率

2013 (実績値) 2030 2050

図 参考1-12

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将来の廃棄物削減率

【排出係数 –素材のリサイクル– 】

欧州の目標*を参考に、素材・廃棄原単位は2030年に10%、2050年に20%減少を想定

「2.2050年を踏まえた自動車単体CO2排出量分析」では2030年に10%、2050年に20%の素材・廃棄物の原単位削減率を使用5

206206

*欧州委員会は2030年までに都市廃棄物の埋立処分量を最大10%削減の目標を掲げている

出所:欧州委員会プレスリリース http://europa.eu/rapid/press-release_IP-15-6203_en.htm

(2018年3月末時点)

10%

20%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

2030 2050

廃棄物削減率

廃棄物削減率(%)

図 参考1-13

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国内鉄鋼生産におけるCO2排出量目標*

【排出係数 –鉄の原単位削減– 】

日本鉄鋼連盟は2030年に4.6%、2050年に8.1%の製鉄のCO2削減目標*を掲げる

19,675

19,175

18,775

18,085

17,000

17,500

18,000

18,500

19,000

19,500

20,000

BAU

(2005)

2020 2030 2050

国内鉄鋼生産におけるCO2排出量目標

CO2排出量(t-CO2)

出所: 日本鉄鋼連盟 「鉄鋼業の地球温暖化対策への取組」(2018年3月末時点)

*2020年に500万t-CO2、2030年に900万t-CO2のCO2排出量の削減を目指している。2050年値はCAGRで推計を行う

図 参考1-14

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革新的製鉄プロセス開発に係るCO2削減割合目標

【排出係数 –鉄の原単位削減– 】

鉄の製造原単位は2050年に30%削減されると想定

「2.2050年を踏まえた自動車単体CO2排出量分析」では2030年に15%、2050年に30%の鉄の製造原単位の削減率を使用6

0

20

40

60

80

100

BAU

(2005)2030 2050

100%

85%

70%

CO2排出量削減割合(%)

出所: 日本鉄鋼連盟 「鉄鋼業の地球温暖化対策への取組」(2018年3月末時点)

製鉄プロセス時の投入エネルギーの減少により、製造原単位が削減

図 参考1-15

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参考2.海外ヒアリング結果概要

参考2-1.ヒアリングの目的・対象・日程

参考2-2.ヒアリング結果

参考2-3.ヒアリング項目と回答一覧

参考2-4.調査対象の概要

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海外ヒアリング調査の目的及び対象

【ヒアリング目的・対象】

エネルギー供給構造等の在り方検討における参考情報を得るべくヒアリングを実施

海外ヒアリング調査の目

海外ヒアリング調査の実施により、自動車部門に対するエネルギー供給事業者の動向について詳細かつ最新の情報を入手し、我が国の自動車部門におけるエネルギー供給構造等の在り方について検討する際の参考とすることを目的とする。

具体的には、次世代自動車や低炭素燃料の導入が早期に見込まれる国において、有識者や関係事業者等へのヒアリングから以下の情報を収集する 政府機関

• 再生可能エネルギーの導入を促進する省庁や国立の研究機関 燃料供給事業者

• バイオ燃料の生産・供給プラントの設備構成・稼働状況• 合成燃料の研究開発状況

対象

オランダ

政府機関

事業者

ドイツ

政府機関

事業者

ガソリン・ディーゼル車の販売禁止規制が、最も直近に予定されているオランダを選定

欧州の中で主要な自動車メーカーを有するドイツを選定

VROM(オランダ住宅・国土計画・環境省):バイオ燃料の推進する政策を有することから選定

Neste社:オランダにおいて次世代バイオ燃料に取り組む企業のプラントがあることから選定 Gasunie社:オランダにおいて、再エネを水素に変換する工場を設立予定であることから選定

NOW社:ドイツの水素・燃料電池に関するナショナルプロジェクトをマネジメントしていることから選定(ドイツ政府から紹介)

Sunfire社:ドイツにおいて再エネからの合成燃料を生成する有望な企業であることから選定

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ヒアリング日程

【ヒアリング日程】

2018年1月24日~2月5日にわたってヒアリングを実施

1月31日訪問:Neste社

概要:廃棄物や残留物を原料とするバイオディーゼル又はバイオジェット燃料生産

場所:フィンランド、ヘルシンキ

1月25日訪問:Sunfire社

概要:CO2と水からクリーンなディーゼル燃料を生産

場所:ドイツ、ドレスデン

1月30日訪問:オランダ政府VROM

概要:2億1000万ユーロ以上を支出し、道路輸送燃料中のバイオ燃料割合の増加や持続可能な交通に取り組む

場所:オランダ、ハーグ

1月26日訪問:Gasunie社

概要:太陽光発電の電力を水素に変換し、地下に水素ガスを貯蔵用する設備を導入予定

場所:オランダ、フローニンゲン

2月5日電話ヒアリング:ドイツ政府NOW社

概要:ドイツの水素・燃料電池に関するナショナルプロジェクトをマネジメントしている

場所:日本(電話ヒアリング)

1 2 3

4 5

図 参考2-1

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参考2.海外ヒアリング結果概要

参考2-1.ヒアリングの目的・対象・日程

参考2-2.ヒアリング結果

参考2-3.ヒアリング項目と回答一覧

参考2-4.調査対象の概要

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機関・企業ヒアリング結果

①事業背景 ②生産・販売状況 ③生産技術 ④今後の方針 ⑤課題⑥海外への進出状況

⑦将来予測シナリオ

VROM -

• バイオ燃料の大半がバイオディーゼル

• バイオディーゼルは廃食用油や油脂の第二世代、バイオエタノールは第一世代バイオ燃料が主

• 製造コストは原料により異なる

• 含水エタノールは、現在継続していない

• 運輸燃料の再エネ比率16.4%を目指す。2020年以降は20%を検討

• 未商用化の次世代バイオは、企業が製造に取り組むように刺激していく

• 製造コストの低減、市場作り、政策・規制の取り決め、イノベーション促進

-

• 2030年までに新車販売車のゼロエミッション義務化

• 2020年後は第二世代バイオ燃料に集中。航空・船舶でのバイオ燃料や藻類・セルロース系の市場開拓目指す

NOW社 -

• 独バイオディーゼル供給量は74,570TJ、廃棄物由来バイオ32,422TJ、植物油由来32,154TJ

• 藻類・廃棄木質バイオの供給量はほぼ無し

-

• 藻類、廃棄木質バイオの明確な商用化の時期は不明

• 定量的な生産量・生産コスト目標はなく、GHG削減目標でしか測れない

• 未商用化バイオ燃料の課題はコスト、研究開発、初期基盤整備

-

• 全ての低炭素燃料の発展に備える

• バイオ燃料より再エネ電力ベース燃料のほうが効率が良い

Neste社(廃棄物由来バイオ

燃料)

• 1990年前半、燃料供給の安定を図る

• 当時は高価で市場性は無し

• 現在のバイオ燃料生産量は260万t/年

• 補助金や税制優遇により製造コスト高がカバー。補助金無しでは競争的でない

• 設備容量は200万tで現在の製造量は260万t。稼働率は100%超

• 2020年までに300万t、2022年までに400万tの再生可能燃料製造量を計画

• 未商用化の次世代バイオ燃料の商用化は補助金による

• 国により異なる原料・品質の品質分析が課題

• 以前シンガポールでディーゼル車両のHVO

テスト実施。他社とのコラボレーションは歓迎

-

213

【ヒアリング結果 –バイオ燃料関連のサマリー– 】

バイオ燃料は廃棄物系で商用化しているが、補助金なしでの黒字化は難しい

1

2

3

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機関・企業ヒアリング結果

①事業背景 ②生産・販売状況 ③生産技術 ④今後の方針 ⑤課題⑥海外への進出状況

⑦将来予測シナリオ

VROM -

• 合成燃料はまだ初期段階だが、将来航空・船舶で重要視 -

• 運輸燃料の再エネ比率16.4%を目指す。2020年以降は20%を検討

• 製造コストの低減、市場作り、政策・規制の取り決め、イノベーション促進

• FCV普及においては需要作りが課題

-

• 2030年までに新車販売車のゼロエミッション義務化

• 再エネ電力水素を含む再エネ電力ベース燃料に期待

NOW社 -

• 現在、ドイツで合成燃料の供給量はほぼ無し

-

• 合成燃料の明確な商用化時期は不明

• 定量的な生産量・生産コスト目標はなく、GHG削減目標でしか測れない

• 電解装置のコスト低減と製造規模の拡大、輸送部門全体を補う再エネ電力不足が課題

-

• 全ての低炭素燃料の発展に備える

• 2030年頃に合成燃料の市場が多少活発化していると予測

Sunfire社(合成燃

料)

• 燃料電池と電解装置を使ったビジネス展開が目的

• 現在、合成燃料はまだ商用化はしておらず、製造コストは低下と予測

• 石油精製プロセス・鋼鉄製造プロセスから出るCO2を使用

• 数MWスケールのパイロットプロジェクトで今後、事業性を証明

• どれだけ早く国民の理解が得られ、規制が作られ、電解装置の普及とともに合成燃料が低コスト化するかが課題

• 日本の規制などに適した技術移転のパイロットプロジェクトの構想有り

• 研究開発では、産業技術総合研究所と協力

-

Gasunie

社(合成燃

料)

• エネルギー貯蔵、需要供給面での系統の安定化で水素を重要視

• 天然ガスへ依存軽減、不使用の天然ガスパイプラインの水素化、新しいビジネスマーケット展開が目的

• 電解装置はまだコスト高で化石燃料価格と競争できない

• 再エネ由来水素製造量は400kg/日を計画。

• 水素を使った液体燃料製造は考えていない

• スケールの大規模化と生産量の確保で商用化目指す

• 将来300MW規模の再エネ水素製造を計画している

• 電解装置技術のさらなる発展とスケールアップ化

• ヒュンダイが、オランダでのFCV普及を計画

-

214

【ヒアリング結果 –合成燃料関連のサマリー– 】

合成燃料は研究開発中であり商用化の時期は未定

1

2

4

5

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参考2.海外ヒアリング結果概要

参考2-1.ヒアリングの目的・対象・日程

参考2-2.ヒアリング結果

参考2-3.ヒアリング項目と回答一覧

参考2-4.調査対象の概要

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企業別ヒアリング項目

【ヒアリング項目】

事業背景・生産販売状況・生産技術・今後の方針・課題等についてヒアリングを実施

ヒアリング項目

対象機関・企業バイオ燃料&合成燃料 バイオ燃料 合成燃料

VROM NOW社 Neste社 Sunfire社 Gasunie社

事業の背景 事業の開始時期・目的 ● ● ●

生産・販売状況

原料の調達先・調達方法 ●生産量・生産コスト ● ● ● ●主要販売先・販売量 ● ●費用対効果 ● ● ●

生産技術

生産技術ごとの原料 ●具体的な生産プロセス ● ● ●プラントの設備構成 ● ● ●プラントの稼働率 ● ● ●自動車燃料規格への適合状況 ●含水エタノールバイオ燃料の開発状況 ●

今後の方針

今後の取組目標・戦略 ● ● ●想定する燃料への混合率 ● ● ● ●商用化の時期 ● ● ● ● ●目標生産量・生産コスト ● ● ● ● ●

将来予測シナリオ2050年の自動車部門における将来予測シナリオ

● ●

自動車業界、石油精製業界への期待 ● ●課題 原料調達時・生産時・商用化時の課題 ● ● ● ● ●持続性基準 REDに対する持続性基準の認証方法 ●海外への進出状況アジアへの進出状況・日本への進出可能性 ● ● ●協力事業者 協力している事業者の種別 ●

表 参考2-1

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【ヒアリング回答一覧】

VROM 1/2 1

ヒアリング項目 回答結果

生産・販売状況

生産量・生産コスト

現在、バイオ燃料はほぼバイオディーゼルが占めており、バイオディーゼルの原料は第二世代の廃食用油や油脂で、バイオエタノールの原料は第一世代バイオ原料である。藻類や廃棄木質系原料はまだ少ない。また、オランダ国内で燃料供給会社に一定のバイオ燃料導入を義務化している。

60%のバイオ燃料を輸出しており、製造コストは原料によって異なる。

生産技術含水エタノールバイオ燃料の開発状況

含水量の多さがエンジンに負担をかけることから、自動車製造会社からクレームがあり、Blue-One 95

は現在継続していない。環境パフォーマンスは良かったが、FQDには準拠していなかった。

今後の方針

想定する燃料への混合率 現在、エネルギーベースで運輸燃料の約8.25%がバイオ燃料で、16.4%を将来目指している(どちらも

次世代バイオのダブルカウントを含める)。2020年以降の目標はRED2によるが、ダブルカウントを含めずに20%のバイオ燃料を目指したい。

商用化の時期 まだ商用化されていない藻類や廃棄木質由来のバイオ燃料については、企業が製造に取り組むように

刺激すべきだと感じている。

目標生産量・生産コスト

0.5%の次世代バイオエタノール(廃食用油由来等)が義務化されている(エネルギーベース)。 2030年から新車販売車のゼロエミッション義務化後も、航空や船舶、また重量車でバイオ燃料はまだ

使用されると考えている。現在はハイブリッド(電化&バイオ燃料)のフェリーにも取り組んでいる。将来、より多くの車両や輸送機関のゼロエミッション化を目指している。

将来予測シナリオ

2050年の自動車部門における将来予測シナリオ

2030年までに新車販売車をゼロエミッションにすることが、去年閣議決定された。現在の年間新車販売台数は約40万台で、8百万台のストック車数(FCV含むEVは20万台)である。将来の乗用車数シナリオとしては以下がある:①このまま乗用車は増加し、2050年にストック車数は1千万台となる②公共交通機関への移行が成功し、2050年にストック車数6百万台となる。

バス・トラックに関しては、乗用車よりも野心的な目標を掲げており、2030年までに公共バスのゼロエミッション化と、2020年までに50台のFC公共バス導入(現在は6-8台)を目指している。国内の公共バスは約5,000台あり、ベルギー・ルクセンブルクと共同で取り組み投資を行うことによってスケールアップ化とスピードアップ化を図っている。

EVバスに関しては、オーバーナイト充電や、電車のオーバーヘッド電線などのようにopportunity

chargingに取り組んでいる。FCV技術は、大きい車両や航続距離の長い車両向けなので、自然と乗用車はEV、商用車はFCVの取り組みになると感じる。

将来の車両構成は市場に任せる。国内に自動車産業が存在しないのでドイツやフランスなどのように自動車産業を考慮する必要などが無い。

EUは2050年までに60%のGHG削減目標を出しているが、私たちは80-95%まで目指すべきだと思っている。

表 参考2-2

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【ヒアリング回答一覧】

VROM 2/2 1

ヒアリング項目 回答結果

将来予測シナリオ

2050年の自動車部門における将来予測シナリオ

2020年後のRED2におけるオランダのバイオ燃料についての姿勢は、第二世代バイオ燃料にフォーカスし、航空・船舶でのバイオ燃料使用、また藻類・セルロース系バイオ燃料の市場開拓を目指したい。

合成燃料技術はまだ初期段階であるが、将来は航空や船舶などで需要な役割を果たすかもしれない。オランダ政府は天然ガス量削減を目指しており、Gasunieの、海上風力電力で水素製造とエネルギー貯蔵を行うTSO2020プロジェクトなどが必要になってくる。

自動車業界、石油精製業界への期待

2030年から新車販売がゼロエミッションになり、車両寿命が20年と仮定すると、2050年にはストックがゼロエミッションになる。自動車業界には2030年からのゼロエミッション車両販売義務に加え、NOx,SOxの大気汚染と騒音公害もゼロになるよう期待している。騒音公害については、オランダ国内の法令で定められており、EV, FCVは静かなので騒音低減にもつながる。

石油産業に期待することは、CO2削減と、バイオ燃料精製者や化学製品(プラスチック等)への移行である。航空・船舶用の石油需要は残るかもしれないが、2050年までに80-90%のGHG削減を目指したいので全セクターが協力しなければならない。

課題原料調達時・生産時・商用化時の課題

まずは企業が製造を開始する必要があり、製造コストの低減と市場を刺激することが課題である。自治体などと共に市場を作ったり、政策・規制の取り決め、またイノベーション促進したりすることが重要である。

例えば3,000万ユーロのバイオベース経済についてのイノベーションファンドに投資を行っている。 FCV普及における課題はニッチ市場を見つけ需要を作ることである。例えば廃棄物収集など、特定の

市場などで需要を作り集めることである。

表 参考2-3

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【ヒアリング回答一覧】

NOW 1/1 2

ヒアリング項目 回答結果

生産・販売状況

生産量・生産コスト

2016年のドイツのバイオディーゼル供給量は74,570TJ(輸送部門全体は2,500PJ)で、そのうち廃棄物・残渣由来バイオは32,422TJ、植物油由来は32,154TJ。

藻類や廃棄木質バイオ、合成燃料の供給量はほぼ無し。 再エネ由来水素の生産コストについては、技術、規模、再エネ電力の量や価格による。

今後の方針

想定する燃料への混合率 Power to Liquidの定量的目標は無いが、今年7月にドイツの再生可能エネルギーミックスや将来のエ

ネルギー構造について「Power Concept 2050」が発表される予定。商用化の時期 商用化されていない次世代バイオ(藻類、廃棄木質)や合成燃料の明確な商用化の時期は不明。

目標生産量・生産コスト 定量的な目標はなく、GHG削減目標でしか測れない。

将来予測シナリオ

2050年の自動車部門における将来予測シナリオ

全ての低炭素代替技術を重要視しており、全ての再エネ電力ベース燃料の基盤づくりと既存政策の変更を行っている。将来でも、輸送部門で液体燃料が残ると推測。

Power to Liquid技術は確立しているが産業がまだ追い付いていない状態。2030年頃になるともう少し市場が活発になるのではないか。Power to Liquidの発展は政策決定による。再エネ水素やPower to

Liquidの金銭的インセンディブは、CO2排出がより高コストになったり、グリーン水素の価格が上がることである。

我々はEV、水素、NLGの基盤整備に焦点を当てており、効率化とドライブトレインの電化(FCV含む)が

主な目的である。再エネ電力ベース燃料の中でも、水素ガスが最も効率の良いキャリアであるし、バイオ燃料の穀物生産時に投入されるエネルギーを考慮すると、バイオ燃料より再エネ電力のほうが効率が良い。

AFID (Alternative Fuels Infrastructure Directive)ではEU加盟国に電力、水素、LNGの代の替燃料の基盤整備を求めており、再エネ電力ベース燃料は輸送部門に水素を導入する良いチャンスである。

ショナルイノベーションプログラムで電解装置の普及に向け低コスト化や商用化をサポートしている。

自動車業界、石油精製業界への期待

両業界ともに、FQDなどのEUレベルの政策義務の遂行を果たすことを期待。 自動車業界にはEVの普及に努めるよう期待しており、石油業界には事業モデルを変更し、化石燃料か

ら水素などの低炭素燃料にシフトするよう期待する。

課題原料調達時・生産時・商用化時の課題

未商用化バイオ燃料と合成燃料の課題はコスト、研究開発、初期インフラである。

再エネ電力ベース燃料については、電解装置のコスト低減と製造規模の拡大、輸送部門全体を補う再エネ電力不足が課題である。

表 参考2-4

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【ヒアリング回答一覧】

Neste社 1/2

ヒアリング項目 回答結果

事業の背景 事業の開始時期・目的 1990年代前半、輸入原油が無くなった場合などに備え、国内原料で燃料生産を行い燃料供給を安定さ

せるためで、当時は高価で市場性は無かった。

生産・販売状況

原料の調達先・調達方法

原料は80%が廃棄物や残渣で20%が植物油である。前者は、食品産業廃棄物からの動物油脂、水産加工からの魚脂、植物油加工廃棄物や残渣、廃食用油、トウモロコシ油がある。後者は、粗パームオイル(持続性認定の)、菜種油、大豆油、アマナズナ油、ジャトロファ油がある。

ヨーロッパから廃食用油、菜種油、動物油脂、北米から動物油脂、東南アジアからパーム油残渣を調達。し、原料はほぼ購入する。

生産量・生産コスト

詳細は覚えていないが、Annual ReportかHPに記載されている。→2016年の精製所の製造コストは4.2USD/バレル HVO価格の70%が原料費、30%が資本費(Biomass to Liquidの場合は30%が原料費、70%が資本

費)。

主要販売先・販売量 HVOの主な販売先はスウェーデンとカリフォルニアで、商品の販売先は市場によって異なる。 販売先の企業は、石油小売会社やDHL等の輸送会社がある。 販売額の16%が再生可能燃料を占める。

費用対効果

再生可能燃料の製造コストは高価だが、補助金や税制優遇により販売額の面では良い。補助金などが無ければ競争的ではなくなるが、石油価格と比べるのではなく、他の低炭素燃料(FAME,エタノール、バイオガス)等の価格と比較されるべき。

補助金が無くなればその分消費者が支払うことになるので、消費者の選択による。 廃棄物由来バイオ燃料のCO2削減費用効果は、ハイブリッド(ディーゼル)、天然ガス、EVよりも高いと

いう研究がある(「Integrated Fuels and Vehicles Roadmap to 2030 by Roland Berger」)。

生産技術

具体的な生産プロセス Annual ReportかHPに記載されている。→集められた原料は、まず前処理過程で純化され、油から色素を除く吸着性の粘土(bleaching earch)などを使い加工、NEXBTL精製技術で生成を経てバイオディーゼルとなる。

プラントの設備構成 Annual ReportかHPに記載されている。→原料貯蔵タンク、前処理ユニット、前処理済原料貯蔵タンク、加工・生成ユニット、バイオディーゼル貯蔵タンクがある。

プラントの稼働率 フィンランドのPorvoo精油所#1と#2はそれぞれ20万tの設備容量を持ち、シンガポールとオランダ・ロッ

テルダムの精油所はそれぞれ80万tである。現在の製造量は260万tであるので稼働率は100%を超えている。

3

表 参考2-5

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【ヒアリング回答一覧】

Neste社 2/2

ヒアリング項目 回答結果

今後の方針

今後の取組目標・戦略

現在、原料の80%が廃棄物由来であるが、100%を目指している。またリサイクル化石燃料マテリアルの使用可能性も研究している。

航空のバイオ燃料市場は近年成長している。航空はモーターでは難しいので、液体燃料を代替することが唯一のCO2削減方法である。

想定する燃料への混合率 HVOはドロップイン燃料なので100%使用できる。去年、HVO用の規格ができた。 国の税制によって100%HVOの販売をした方が良いかどうか変わってくる。詳細は「Neste Renewable

Diesel Handbook」に記載している。

商用化の時期

まだ研究開発段階の藻類や微生物由来の再生可能燃料の商用化のタイミングはまだわからない。 藻類由来のバイオ燃料に関していえば、技術は確立している。微生物由来バイオ燃料はかなりコストが

かかる。製造コスト、特に精製プロセスがコスト高である。 その他の原料については、リグノセルロース系原料に注目している。だが、カスケード利用で残った木

質原料を使用することが大切。

目標生産量・生産コスト

将来の再生可能燃料製造量の目標は、2020年までに300万t、2022年までに400万t。 2020年の目標は、現在の精製所の効率向上を通して達成する予定である。2022年の世界のHVO供

給は700万tと言われているので、NesteはHVO市場の多くを占めている。 生産コストを下げるという目標は当然だが、詳細はなんとも言えない。

課題原料調達時・生産時・商用化時の課題

国によって原料・品質が異なるので、原料の品質分析が課題である。 研究開発段階のバイオ燃料の商用化は、補助金による。食用バイオか非食用バイオかの議論は政策

的な決定でしかかわらない。 動物油脂を調達する畜殺場は、廃棄物処理などに関して国や市で決まりがあり、元々オーガナイズさ

れている。しかし動物油脂のサプライチェーンは独自のもので、全てタンクに入れる必要がある等、物流に課題がある。

持続性基準REDに対する持続性基準の認証方法

ISCC認証で行われ、認証を実施するのは第三者機関である。その方が信頼を得やすく、顧客もそれを好むからである。

EU RED, US EPA, CARB (California Air Resources Board)の持続性基準に準拠しており第三者から認定されている。HPではパームオイルのトレーサビリティーも確認できる。

海外への進出状況

アジアへの進出状況・日本への進出可能性

シンガポールでディーゼル車両でのHVOテストを以前行った。まずはHVOがディーゼル車両で使用できることを示す必要がある。

10年ほど前にトヨタとも話をしたのでトヨタはHVOに興味を持っているはずである。 商用車会社も含めサンプルを自動車会社に送ったりしており、他社とのコラボレーションは常に歓迎。

3

表 参考2-6

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【ヒアリング回答一覧】

Sunfire社 1/2 4

ヒアリング項目 回答結果

事業の背景 事業の開始時期・目的 2008年にスタートし、燃料電池と電解装置を使ったビジネス展開をしていこうと思ったのが始まりである。

生産・販売状況

生産量・生産コスト E-Dieselの燃料価格(百万ユーロ/十億km)は50、e-Hydrogenは約46、次世代バイオ燃料は約52、電

池式モビリティー(BEV)は約41。

主要販売先・販売量

鋼鉄、ガソリン、石炭産業、化粧品会社などであり、エンドプロダクトの低炭素化につながっている。鋼鉄産業が一番高い価格がつく。また輸送会社なども、輸送商品の低炭素化などマーケティングの一部として利用したりする。

ドイツで自動車製造者に対しCO2規制を設ける議論が出ており、それが実現されれば私達のビジネスの需要はさらに高まっていく。

電解装置の供給先として最適なのは、CO2源が確保でき、再エネ電力が安く大量にある場所である。

費用対効果 再エネ電力が豊富で電力価格が安価な地域でのe-Fuel製造が重要で、e-Fuelは乗用車、商用車、航

空、船舶で利用可能。

生産技術

生産技術ごとの原料 電解装置は鋼鉄、ガラス、セラミックからできている。 電解装置はCO2と水がインプットであり、CO2は石油精製プロセスや鋼鉄製造プロセスから来ている。

空気中からCO2をとるのはコスト高である。

具体的な生産プロセス 普通のSOECモジュールの生産方法で電解装置は生産されている。

プラントの設備構成 電解装置の供給に関しては、ユニバーサルでスタンダードなアプリケーションができるのが理想である。 太陽光・風力発電で電力を製造し、電解装置で水素精製、合成ガス燃料やCO2と水素を合成し液体燃

料を製造。

プラントの稼働率 MW規模は問題のない稼働率である。それより小さい規模になるとコスト的に厳しくなる。

自動車燃料規格への適合状況 アウディとのプロジェクトで、クオリティテストを行ったところハイオクの質が確認された。最終的なe-

dieselは100%車両に使用できる。バイオマス燃料は使用量の面で限界があるが、e-dieselは限界がない。

表 参考2-7

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【ヒアリング回答一覧】

Sunfire社 2/2 4

ヒアリング項目 回答結果

今後の方針

今後の取組目標・戦略 将来のエネルギーランドスケープにおいて、私たちの装置で電力、モビリディー、熱のセクター統合を通

して、ドイツのエネルギー転換で大きな役割を負うことである。一つのセクターのみで低炭素化を達成することは不可能である。

想定する燃料への混合率 再エネ電力由来合成燃料は、バイオ燃料のように混入の上限制限などはない。

商用化の時期 まだ商用化はしていないが、2020年頃運転開始の数MWスケールの再エネ電力由来合成燃料のパイ

ロットプロジェクト(約8,000t/年のe-Crude製造量見込み、e-Diesel, e-Gasoline, e-Waxを製造)をノルウェーで計画しており、生産量の増加とコスト低下が期待される。そこで事業性を証明したい。

目標生産量・生産コスト

将来の我々のグリーン燃料の販売価格を考えると、製造コスト1ユーロ/L以下が実現できると予測している。また42-60セント/LのCO2原料のコストが将来予想される。

上記低コスト化の実現は時間というよりも生産量による。パリ協定の削減量や義務などを考えると、大事なのはどれくらい早いペースで国民の理解を得、生産量を確保しこの低コストを達成できるのかである。

課題原料調達時・生産時・商用化時の課題

課題は特にない。空気中からのCO2調達のコスト高は短期的な課題である。それよりも私たちの装置をたくさん供給することが大事。

またどれだけ早く国民の理解が得られ、規制が作られ、低炭素燃料生産が進むかが課題である。

海外への進出状況

アジアへの進出状況・日本への進出可能性

ドイツ政府からファンドを受けて、日本の規制などに適した技術移転のパイロットプロジェクトの構想がある。またAIST(産業技術総合研究所)の研究機関と研究開発において協力しており、他の日本の可能性のあるカウンターパートナーも探している。

また韓国や中国とも共同でプロジェクトを行っている。韓国は燃料電池へ注視しており、日本は電解装置に注視している。

協力事業者 協力している事業者の種別 技術開発については全て自社で行っており、わが社は約40ほどの特許を要している。

表 参考2-8

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【ヒアリング回答一覧】

Gasunie社 1/1 5

ヒアリング項目 回答結果

事業の背景 事業の開始時期・目的

電解装置を使った系統の安定化と、ストレージの面で、水素は将来的に重要な役割を負うと思っている。Hystockプロジェクトで、天然ガス貯蔵にとって代わる水素貯蔵で経験を積みたかったのが理由。

水素活用を通し、天然ガスへの依存軽減と、不使用の天然ガスパイプラインを水素パイプラインとして活用、そして新しいビジネスマーケット展開を目的としている。

背景は、パリ協定への対応と、天然ガス生産による地震誘発の軽減、天然ガス由来CO2の削減がある。

生産・販売状況

費用対効果 再エネ電力由来水素製造において、電解装置はまだコスト高である現状があり、化石燃料価格と競争

できていない。よって、電解装置のさらなる技術発展と、スケール拡大が費用対効果の重要な要素になってくる。

生産技術

具体的な生産プロセス Hystockパイロットプロジェクトにおいて、製造された水素の用途は以下がある;天然ガスネットワークで

使用、電力に再転換、または地下貯蔵後に産業用に使用・輸送用水素ステーションでの使用。

プラントの設備構成 「A hydrogen hub in the North Netherlands & HyStock pilot project」パンフレット参照→太陽光発電施設、水素精製用電解装置施設、圧縮施設、水素貯蔵施設

プラントの稼働率 電解装置の利用率は90-95%を目指しており、出力調整可能な電解装置を導入予定。

製造された水素から液体燃料製造の可能性

あくまでも弊社はガス会社であるので、今後製造された水素を使って液体燃料製造は考えていない。

今後の方針

今後の取組目標・戦略 天然ガスパイプラインの水素化とエネルギー貯蔵、需要供給面での系統安定である。 再エネ由来水素の使用用途の中で輸送用用途が最も事業性があるが、将来の輸送用マーケットは限

定的であると考えており、最も需要があるのは産業用であると考えている。

商用化の時期 Hystockパイロットプロジェクトは今年2018年9月に運転開始予定

目標生産量・生産コスト

Hystockパイロットプロジェクトの水素生産量は400kg/日で水素価格目標は10ユーロ/kg。現在大規模の天然ガス由来水素価格が1ユーロ/kgであるので、10年後くらいに水素価格3-4ユーロ/kgを目指したい。

水素需要は将来増加すると考えており、インフラ投資においてスケールの大きさと生産量の確保は不可欠である。Magnumプロジェクトでは300MWスケールの水素製造を計画している。

課題原料調達時・生産時・商用化時の課題

電解装置技術のさらなる発展とスケールアップ化である。

海外への進出状況

アジアへの進出状況・日本への進出可能性

ヨーロッパのエネルギーインフラを扱うのが弊社であり、あくまでも焦点はヨーロッパである。 ヒュンダイが、オランダでのFCV普及を計画しており、近々韓国のヒュンダイを訪問予定。

表 参考2-9

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参考2.海外ヒアリング結果概要

参考2-1.ヒアリングの目的・対象・日程

参考2-2.ヒアリング結果

参考2-3.ヒアリング項目と回答一覧

参考2-4.調査対象の概要

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Biomassa 2030の概要

【調査対象の概要 –VROM– 】

オランダはバイオマスの利用に積極的で、利用のインセンティブや価格等に課題意識

226 出所;VROM HP(2018年3月末時点)

バイオマスに対する認識バイオマスの利用は気候目標を達成するために不可欠

であると認識オランダは2023年までエネルギー協定(2023年再エネ

利用目標16%)に従って再生可能エネルギーのバイオマス利用を奨励

特に、カスケードバイオマスは非常に重要で、バイオマスの様々な用途に関わる分野横断的な連携が不可欠

バイオマスの課題現時点では、バイオマスを使用するインセンティブが市

場に存在しない市場が新製品になじみがなく、価格が高い短期的には、バイオマスのカスケードが不可欠であるた

め、オランダがバイオリファイニング技術を開発するためにかなりの努力をすることが重要

長期的には、動物飼料の土壌要求を大幅に低減するために、代替的なタンパク質生産(例えば、藻類および藻類の栽培による)が必要

1

図 参考2-2

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ドイツのバイオ燃料政策

【調査対象の概要 –NOW– 】

ドイツでは、2020年までにGHG 排出量削減率を 6%削減することを目標としている

227

導入目標消費実績(2015年)

支援措置第一世代バイオ燃料

の位置付けディーゼル エタノール

バイオ燃料割当法(Biofuel Quota Ordinance)

2020 年までに、 GHG 排出量削減率を 6%

対象:石油供給事業者

228 万 kL 148 万 kL 現在では代替燃料による削減しか認められていないが、2017

年以降は石油製油所における効率改善も認められる

RED に準じる

出所;経済産業省「平成28年度石油産業体制等調査研究バイオ燃料を中心とした我が国の燃料政策のあり方に関する調査)(バイオエタノール関連)報告書」(2018年3月末時点)

10% 15% 85%

バイオエタノール

バイオディーゼ

20%5%2% 7% ETBE

ドイツのバイオ燃料混入率

2

図 参考2-3

表 参考2-10

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輸送用燃料とバイオ燃料への温室効果ガス(GHG)削減義務

【調査対象の概要 –NOW– 】

欧州では、燃料の品質改善が進み、自動車の排出係数低下を後押し

2011年

• 輸送用燃料には、ガソリン、ディーゼル、バイオ燃料やガスオイルが含まれる

• 削減義務の対象はライフサイクル全体

• バイオ燃料の原料は、生物多様性保護に準拠して製造されたものを対象とする

• 削減義務の対象はライフサイクル全体

2020年

*1RED = Renewable Energy Directive (再生可能エネルギー指令) *2 =代替する化石燃料比

2016年 2017年

-6%(2010年比:

94.1g-CO2/MJ)

-35%

(ガソリン比)

-6% (2010年比:

94.1g-CO2/MJ)

※2020年以降はFQDの継続としてRED*1がGHG

削減義務を続行

出所: 欧州委員会「Fuel Quality」(2018年3月末時点)

2

Fuel Quality

Directive

&Renewable

Energy

Directive

(輸送用燃料GHG

削減義務)

Fuel Quality

Directive

&Renewable

Energy

Directive

(バイオ燃料GHG

削減義務*2)

-50%

(ガソリン比)※2015年以前運転開始設備

-60%

(ガソリン比)※2015年以降運転開始設備

図 1-7

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Nesteの会社・取組概要

【調査対象の概要 –Neste– 】

Nesteでは廃棄物系油脂を原料としたバイオ燃料製造を実施

229

会社概要

取組概要

石油精製、石油製品の生産・販売等の事業を行っているフィンランドの企業で、フィンランド・オランダ・シンガポールに製油所を持つ NExBTL という商品名で HVO(水素化植物油)を製造しており、車両用ド ロップイン燃料(車両のエンジンシステムの改変なく使用できる

燃料)及びバイオジェット 燃料として販売

国次世代

バイオ燃料製造容量

操業開始年 プロセス 燃料 原料

フィンランド20万t/年×2 ライン

2007年

水素化HVO

(水素化植物油)

油脂

オランダ 80万t/年 2011年

シンガポール

80万t/年 2010年 N/A N/A N/A

水素化精製によって油脂を炭化水素化するプロセスにてバイオディーゼル・バイオジェットを製造している

原料油脂として、バイオ燃料用に収穫したパーム油に加えて、廃食油の利用を積極的に進めている

• 2017 年には全ての原料を廃棄物系油脂とする予定であり、2015 年には、原料の 68%が廃棄物系油脂で構成

廃食油には種々の 不純物が混入しているので、これを事前に取り除いて水素化工程の障害にならないようにする対策が今後必要になると報告している

次世代バイオ燃料の製造能力出所;経済産業省「平成28年度石油産業体制等調査研究バイオ燃料を中心とした我が国の燃料政策のあり方に関する調査)(バイオエタノール関連)報告書」(2018年3月末時点)

3

表 参考2-11

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【調査対象の概要 –Sunfire– 】

Sunfireは再エネ由来燃料製造から発電システムまで事業を展開

230

Sunfire 企業情報

カテゴリ 企業情報

基礎情報

概要

• SOFC/SOECシステムの開発、製造を行う企業• 2010年:ブレーメンにて設立• 2011年:SOFCメーカであるStaxera社を買収• 2014年:Power to Liquidの実証プラント稼働を開始

所在地 • ドイツ ザクセン州 ドレスデン

売上高 • N/A

代表• カール・ベルニングハウゼン

(Carl Berninghausen, CEO)

事業情報

事業目的

• ビジョン「Make regenerative energy from sources such as wind farms, tidal power plants and photovoltaic systems

available wherever and whenever it is needed」

事業領域

• SOFC関連技術を軸とし、再生可能エネルギー由来の燃料製造から発電システムまで事業を展開- 水素製造:製造効率82%以上のSOECシステムを開発- 水素貯供給:CO2と水素を合成した液体燃料または合成ガス燃料の製造技術を開発 Power to Liquid:Audi/ClimeworksとCO2から液体燃料を作る「eディーゼル」を開発

事業/研究内

• 既存インフラを活用したCO2のクローズドサイクル実現にコミット- CO2からBlue Crude(合成液体燃料)やSyngas(合成ガス)を製造し、燃料として使用し排出されたCO2をSyngas、Blue Crude等の製造源とすることで、クローズドサイクルを作るというビジョンを保有

- 水素を燃料として使用するためには新規インフラが必要であるが、右記のようなサイクルであれば既存インフラが使用可能で、水素燃料と同様のCO2削減効果を図ることができるとしている

出所:Sunfire公式HP、Sunfire GmbH「Sunfire GmbH-Closing the Carbon Cycle」(2018年3月末時点)

SOEC SOFC

Sunfire社の技術領域

CO2クローズドサイクルの実現

Blue Crude

(原油代替)

Syngas

(天然ガス代替)

CO2

H2O

電力

ガソリン

軽油

ナフサ

ケロシン

CO2

・・・

化石燃料由来エネルギー

(CH2)

他社領域

ケミカル

プラント・精製

再エネ不足時には、Blue CrudeやSyngasとして貯蔵しているエネルギーを、電力として

一般家庭に供給することも可能

4

表 参考2-12

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Audiの実証事業一覧

【調査対象の概要 –Sunfire– 】

Audiはsunfire等と共同でバイオ燃料開発の実証を実施

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技術種別 実証概要

Power to Fuel (Liquid)

再エネ電力⇒水を水素と酸素に電気分解⇒CO2

と水素から二段階プロセス*を通し原油に相当する「Blue Crude」を生成⇒「Blue Crude」を生成しe-dieseltとして使用をしたり、用途により加工する*水素とCO2から一酸化炭素、水素、水を製造した後、CO2と水素からなる合成ガスが液体エネルギー担体(Blue Crude)を形成

e-diesel(ドレスデンプラント): 2015年4月に、ドレスデンのパイロットプラントで、水、CO2再エネ電力からの高品質

ディーゼル燃料e-dieselの製造を開始(Power-to-liquid)。プロジェクトパートナーのドレスデン、エネルギー技術会社Sunfireがプラントを運営する。世界初のPtL製造プラントとなる。

Power to Fuel (Liquid)

再エネ電力(風力)⇒水を水素と酸素に電気分解⇒フィッシャー・トロプシュ合成でCO2と水素を合成し炭化水素を生成⇒e-dieselまたは化粧品・食品・化学工業用の再生可能ワックス

e-diesel(ラウフェンブルクプラント): IneratecとEnergiedienst AGをパートナーとして、2018年にラウフェンブルク(スイス)で

実証プラントを建設予定。計画年間製造容量は40万L。

4

出所:Audi「 Fuel of the future: Research facility in Dresden produces first batch of Audi e-diesel」、Audi「Synthetic fuels / Audi e-fuels」 (2018年3月末時点)

表 3-4

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Gasunieの会社・取組概要

【調査対象の概要 –Gasunie– 】

Gasunieはガスインフラ企業であり、太陽光由来電力による水素製造を実施

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会社概要

取組概要

オランダ国所有の欧州ガスインフラ企業で、オランダとドイツ北部の天然ガスとグリーンガスの輸送を担当している 事業運営にあたって3つの柱をもとに活動を実施

• コアエリアで、安全で信頼性が高く、手頃な価格で持続可能なガスインフラを確保• 良好に機能する欧州の天然ガスおよびLNG市場向けの効率的なガスインフラおよびサービスに貢献• CO2中性エネルギー供給への移行の加速

出所: Gasunie HP(2018年3月末時点)

Gasunieは、オランダのGroningen州のZuidwending近くのガス貯蔵場所に、発電からガスへの設置に投資することを発表

Gasunieの子会社であるEnergyStockとNew Energyは、約5,000のソーラーパネルを使用して、地下ガス貯蔵用太陽光発電で持続可能な電力を水素に変換することを目指している

さらに、持続可能なエネルギーは、TenneTの高電圧電力網からプロジェクトに引き渡される予定

このパイロットプロジェクト(HyStock)は、1メガワットの容量を持つオランダの最初の発電施設となる(2018年9月に完了予定)

HyStock pilot Projectの概要

5

図 参考2-4

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デロイト トーマツ グループは日本におけるデロイト トウシュ トーマツ リミテッド(英国の法令に基づく保証有限責任会社)のメンバーファームであるデロイト トーマツ合

同会社およびそのグループ法人(有限責任監査法人トーマツ、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会

社、デロイト トーマツ税理士法人、DT弁護士法人およびデロイト トーマツ コーポレート ソリューション合同会社を含む)の総称です。デロイト トーマツ グループは日本

で最大級のビジネスプロフェッショナルグループのひとつであり、各法人がそれぞれの適用法令に従い、監査・保証業務、リスクアドバイザリー、コンサルティング、ファ

イナンシャルアドバイザリー、税務、法務等を提供しています。また、国内約40都市に約11,000名の専門家を擁し、多国籍企業や主要な日本企業をクライアントとして

います。詳細はデロイト トーマツ グループWebサイト( www.deloitte.com/jp )をご覧ください。

Deloitte(デロイト)は、監査・保証業務、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリーサービス、リスクアドバイザリー、税務およびこれらに関連するサービスを、

さまざまな業種にわたる上場・非上場のクライアントに提供しています。全世界150を超える国・地域のメンバーファームのネットワークを通じ、デロイトは、高度に複合

化されたビジネスに取り組むクライアントに向けて、深い洞察に基づき、世界最高水準の陣容をもって高品質なサービスをFortune Global 500® の8割の企業に提供

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