経営改革(イノベーション)を支える営業の役割...め、企業業績の向上をめざ...
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経営改革(イノベーション)を支える営業の役割
2015/10/28
㈱ほんま コンサルティング事業部 http://www.homma-consulting.jp/
E-Mail:m.homma@mbf.nifty.com
第3回 経営革新セミナー資料
■ 本間 峰一(ほんま みねかず)
株式会社ほんま コンサルティング事業部 経営コンサルタント
一般社団法人ICT経営パートナーズ協会 理事
電気通信大学電気通信学部卒業。日本電気(株)コンピュータシステムの営業および営業企画職(中部支社、製造システム
事業部)を経て、1994年富士総合研究所(みずほ総合研究所の前身)入社。
みずほ総合研究所㈱コンサルティング部上席主任コンサルタント(2012年6月退職し経営コンサルタントとして独立)
収益性向上、マーケティング強化、生産管理、SCM構築、情報化方針立案などを支援目的とした経営コンサルティ
ングを担当(約106社)。
中小企業診断士、情報処理技術者(システムアナリスト、システム監査技術者、プロジェクトマネージャ、アプリケーションエンジニア)、日本生産管理学会会
員、日本経営情報学会会員。
主な著書:
『受注生産に徹すれば利益はついてくる』(単著、日刊工業新聞社)
『コストダウンが会社をダメにする』(単著、日刊工業新聞社)
『超高速開発が企業システムに革命を起こす』(共著、日経BP社)
『SAP革命』(編著、日本能率協会マネジメントセンター)
『失敗しないERP導入ハンドブック』(編著、日本能率協会マネジメントセンター)
『サプライチェーンマネジメントがわかる本』(編著、日本能率協会マネジメントセンタ
『IT失敗学の研究』(共著、日経BP社)
『製造業の戦略的情報化マニュアル』(監修、通産資料調査会)ほか
自己紹介
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アプローチ名 概要 実現方法 営業力重要
アプローチ1
ICTビジネス・ イノベーション
ICTを活用した新しいビジネスや新しいサービスを創出して、販路拡大や売上拡大をめざします
IoT、ネットビジネス、クラウド活用、スマホ活用、AR、製品へのICTエンジン搭載など
大 小
アプローチ2 ICTソーシャル・ イノベーション
ICTを活用して顧客や取引先とのコミュニケーションを強化し、緊密な企業連携を実現します
ホームページ、SNS、CRM、ネット通販、IoT連携、セキュリティ対策など
アプローチ3
ICTインテリジェンス・ イノベーション
ICTを利用して集めた情報を駆使して経営の質を高め、企業業績の向上をめざします
BI、ERP、ビッグデータ、シミュレーションなど
アプローチ4 ICTプロセス・ イノベーション
ICTを駆使して経営や業務の効率化をはかり、生産性向上や、経営資源の活用推進をはかります
超高速開発、ERP、BPMS、既存システム(パッケージ)活用コンサル、IoTなど
アプローチ5 ICTコストリダクション・ イノベーション
ICT構築・維持に費やしているコストや内容を見直すことでムダをそぎ落とし、経費の削減を実現します
超高速開発、クラウド、マイグレーション、ベンダ交渉、OSS活用など
はじめに:5つのICTイノベーションと営業力
いくらイノベーションを提唱しても営業を強化しないと十分な経営効果は得られない ➡ 今回は営業の役割を取り上げました
営業の役割に関する意見対立
営業担当者からよく聞く声
当社のコスト構造では競争相手(海外製品)には所詮勝てない
競合商品に比べた優位性がほとんどないので、アピールできない
取引先と既存企業のつながりが強すぎて、入りこめない
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生産現場からよく聞く反論
売りにくいものを売るのがプロの営業の役割ではないのか
商品が優秀で安いのであれば、営業がいなくても売れる
接待費で飲み食いばかりしていないで、まともに仕事したらどうか
対立 ⇒ 相互不信 ⇒ 業績不振
そもそも営業の役割とは何だろうか?
1.売れるものをたくさん売るのが営業の役割だ
① 量販店や商社の営業(販売)担当者に求められる役割
② 売れないものを売ろうとするのは時間と工数のムダ
★メーカーが代理店と向き合う際に注意すべき視点
2.営業の役割は事業を営むこと (本来の営業)
① 製品ライフサイクルにあわせた顧客アプローチを企画する
② 営業が率先して、「売れる自社商品(ビジネス環境)」を育てる
③ 営業主導で生産稼働を平準化し、利益をしっかりと確保する
★イノベーション営業にはこの視点が求められる
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• ポイントその1:スループット
• ポイントその2:価格
• ポイントその3:ライフサイクル
• ポイントその4:競争
• ポイントその5:セールストーク
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イノベーション営業の役割を考えるためのポイント
基本
応用
製品単位の黒字、赤字を気にしすぎてはならない
これがプラスにならないと黒字にならない
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黒字の製品だけ受注すれば黒字になる
スループット総額 - 全体作業経費
営業の役割を考えるためのポイント(その1:スループット)
営業は「会社全体のスループット」をどう上げるかを考える必要がある
スループットとは?
• スループットとは製品の売価から資材費、外注費等の外部購入費を引いたもの
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利益
作業経費
(≒固定費)
外部購入費
(≒変動費)
スループット
商 社 で は “ 粗 利 ”
製 造 業 で は “ 付 加 価 値 ”
会 計 用 語 は “ 限 界 利 益 ”
売価
(外部購入費)
材料費+外注費
(作業経費)
人件費+固定経費(減価償却費、金利、光熱費など)
労働生産性=一人当たりスループット(付加価値)
労働分配率=各人の給与等÷労働生産性
スループットが増えないと給与も増えない
スループット スループット
作業経費
作業経費
利益 損失
作業経費以上のスループットが稼げれば利益はでる
大事なことは会社を上げてスループットを増やすこと
営業が主体になって動かないとスループットは増えない
① 営業が売上を増やすことでスループットが増える
② 営業が高く売ることができればスループットは増える
③ 営業が納期調整することで、スループットを減らさない
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生産量
期間
生産量
期間
平
準
化
残業や外注発生
によるコストアップ
潜在能力
生産能力
平準化生産による負荷調整をしないとスループットが減ってしまいやすい
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残業や外注
費発生の抑制
営業が納期調整や販売調整することで平準化は実現できる
平準化納期調整の重要性
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時間単価は販売量と反比例する
総直接労務時間(生産量=販売量)
時間単価
• 時間単価は相場で決まっているのではない。
• 実際に製品が売れなければ時間単価は安くならない
営業の役割を考えるためのポイント(その2:価格)
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• 製品ごとに使用された材料費・労務費などを積み上げて計算する
• 直接人件費や直接経費部分は個々の製品に配賦して計算する
• 上記経費の配賦には前期実績から計算した時間単価を用いる
• 操業度が変化すると時間単価が変化し、それに伴い原価も変化する
• 時間単価の変化は、期末に経理部門が原価差異調整で一括修正する
時間単価 = 前期の総直接人件費+前期の総直接経費
前期の総直接作業時間
労務費 = 時間単価 × 当該製品の直接作業時間
製品原価 = 労務費 材料費 + 間接経費 +
製造原価計算の考え方
営業の動き次第でコストダウンがどこまでできるくは決まる
現場が改善活動して工数を減らしても、製品が売れなければ作業員を遊ばせるだけで全体コストは変化しない
製品ライフサイクルによって売り方は異なる
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売上
時間 導入期 成長期 成熟期 衰退期
導入期:知名度向上アプローチ 成長期:競争に勝ち抜く差別化アプローチ 成熟期:競争激化の中での収益性確保アプローチ 衰退期:早期撤退もしくは残存者利益確保アプローチ
営業の役割を考えるためのポイント(その3:ライフサイクル)
営業がうまくリードしないと混乱だけが増幅する
イノベーション営業は導入・成長期が中心
イノベーション営業に付きまとうキャズム問題
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イノベータ
アーリー・アダプター
ラガード
レイト・ マジョリティ
アーリー・ マジョリティ
キャズム
キャズムをどう乗り越えるかがイノベーション普及むけた最大の課題
画期的 メリット 実績 安心 普及
彼を知りて己を知れば、百戦して殆(あや)うからず(孫子)
『この言葉を実践するためのツールがSWOT分析』
S:Strength(強み) W:Weakness(弱み)
O:Opportunity(機会) T:Threat(脅威)
⇒ あなたはSWOT分析をしたことがありますか?
強みを活かして機会をとらえ、脅威の中で弱みが致命傷にならないようにする
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営業の役割を考えるためのポイント(その4:競争)
落ちこぼれ営業がSWOT分析をすると
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強み(Strength)
・当社の製品には強みがほとんどな
い
弱み(Weakness)
・他社の製品に比べると当社製品は旧式だ
・当社は値引きができないので、価格競争に負ける
・工場が営業の要求に冷たすぎる
機会(Opportunity)
・過去からの延長で何とか取引しても
らえている
脅威(Threat)
・コストダウン要求が多発化している
・安い海外メーカが取引先にアプローチしている
・技術変化が起きる可能性がある
弱みばかりが愚痴となり、後ろ向きの思考に陥りやすい
⇒ イノベーション営業などとても無理
自社の強みは商品力や価格競争力だけない
自社の強みをみつける4つの秘訣
– なぜ当社は顧客に取引してもらえるのか
– 自分が相手のバイヤーになったら、自社に何を期待するのか
– ライバルのSWOT分析をしたらどうなるのか
– 受注生産企業という位置づけからみた強みはないか考える
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何らかの強みがあるから当社は今まで存続できたはず ⇒ イノベーションもこれがベースとなる
ブルーオーシャン症候群(闇雲に新規事業に取り組む)に注意する
イノベーションは新商品開発だけではない 日本の製造業者やSI会社の大半が受注生産企業だ
• 取引先からの注文を受けて設計し製造する(ETO、建設会社)
• 取引先からの注文により繰り返し製品を製造する(MTO)
• あらかじめ部品を用意しておき、注文に応じて組み立てて納品する(ATO)
• 取引先からの注文により準標準品を生産する(OEM、PB)
• 取引先からの注文によりシステムを開発する(SI業者)
• 取引先からの注文により役務(サービス)を提供する
• 取引先からの申し出により製品を開発する
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顧客と取引先を密接につなぐことも重要なイノベーション
➡ ICTソーシャルイノベーション
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イノベーションにより受注生産力を高める
受注
生産力
技術対応力
納期対応力
品質管理能力
アフターサービス力
業務処理能力
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受注生産企業の営業が提案書に盛り込む内容の例
要求内容を実現するにはいくら費用がかかるのか(算出根拠の妥当性は?)
要求内容に対して、どんなイノベーションを使って実現するのか
要求品質を達成するためにどういった製造方法や品質管理方法を使うのか
納期要求を達成するためにどういった対策をとるのか
トラブルが発生した時にはどういったリカバリーを考えているのか。
追加費用が発生するとしたらどういったケースか
営業マン自身には自らが信用を勝ち取ることが求められる
商品のアピールだけでなく イノベーションで取引先からの要求や悩みをいかに解決できるかといったアピールも重要
営業マンの売り込みは、漫才を見習おう
最強の営業はボケとツッコミ営業コンビ
ツッコミ担当に求められる役割(コンサルティング営業)
• 豊富な商品・業界・業務に関する知識
• イノベーションを活用した課題解決提案力
• 理路整然としたプレゼンテーション力
しかし、ツッコミ営業はなかなかクロージングできない
• 顧客の疑問にすべて応えようとする
• プライド的にライバルの動向を聞きにくい
• イノベーションに心酔しすぎて客観視点が弱体になりやすい
• これらの問題をカバーしてクロージングに持ち込むのがボケ営業の役割
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営業の役割を考えるためのポイント(その5:セールストーク)
イノベーション営業では顧客が新技術に不安を持ちやすいのでボケ役の存在は非常に大きい
蛇足ですが、ツッコミ役には知識習得が欠かせない 製造業システム営業は次のような専門用語を知らないとできません
• 工場用語
– 段取り替え、差立、おしゃか、三直、かんばん、ストア、有償(無償)支給
• 生産管理用語
– 山積み・山崩し、S&OP、MPS、MRP、ATO、ATP、ロット、リードタイム
• 販売・物流管理用語
– 在庫移動、安全在庫、VMI、複数単位変換、TC・DCセンター
• 会計用語
– 配賦、限界利益、出荷売上、原価差異、低価法
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DK40 「製造業の経営課題分析基礎」コースのご紹介
製造業を題材に、企業経営戦略からIT戦略を導く過程で欠かすことのできない 経営課題分析と課題解決策立案の進め方を修得していただくことを目的として実施します。
収益性改善や在庫削減といった製造業者の経営課題を見える化する際には、当該企業の経営数字を分析したうえでの経営実態把握が求められます。また、製造業の事業構造を理解するためには、生産管理、原価管理、在庫管理といった専門業務知識も必要です。 ところが、こういった知識や分析手法などを体系的に学ぶ場はほとんどありませんでした。
本コースでは、実際に多数の製造業者の収益性改善を支援してきた講師のコンサルティングの進め方を体系化し、そのポイントを具体的に解説いたします。
第1章 製造業者の収益性分析の進め方 第2章 適正在庫実現にむけた在庫分析の進め方 第3章 製造業の事業環境理解の進め方 第4章 製造業におけるIT活用の問題点
講義形態: 集合研修、講義と演習及び随時Q&Aの構成
コース時間:1日、 10:00-17:00(昼食1時間を含みます)
受講料:1名様当り 25,000円(外税)
開催日:11月17日、12月8日、1月14日
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ご清聴ありがとうございました
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