complex network-reading 7
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成長しないネットワークモデル
第6章では主にネットワークにエッジを持ったノードが逐次加入してくるようなモデルを考えた 例えばWWWにおいて新規にWebページが作成され既存のページにリンクを貼ったり、貼られたりといった関係を表している
本章ではネットワークのノードが固定されたモデルを考える
例えば学校のクラス内の人間関係のネットワークが相当する(転校などがなければ基本的にクラス内のノードは固定されたものになる)
本章で扱うモデルの仮定
ネットワークの枝の切り替えは考えない
例えばクラスの人間関係ネットワークでは新たに交友関係が生まれることも考えられるが、ここではこれは考慮しない
理由としては解析がしやすいというのがある
今日の話
7.1から7.3の3つのネットワークモデルについて紹介する
7.4は微妙に6章の話が入ってるので次回
7.1 コンフィグモデル
頂点数Nを固定する
次数分布𝑃 = 𝑝 𝑘 𝑘=0𝑁−1を考える
各ノードの次数を𝑃から発生させ、N個の次数𝑘1, … , 𝑘𝑁を得る
各頂点の次数が与えられた次数と一致するようにネットワークを作成する
次数からのネットワークの作成
例えばN=4のとき次数が(2,2,1,1)のネットワークは下のようなものが例として挙げられる
次数からのネットワークの作成
与えられた次数からネットワークを作成するにはHavel-Hakimiのアルゴリズムが利用できる
http://en.wikipedia.org/wiki/Degree_(graph_theor
y)
これは次数の大きいノードから次に次数が大きいノードに対して貪欲にエッジを貼っていくアルゴリズムである
このアルゴリズムにより与えられた次数を持つネットワークが存在する場合は必ず構成できる
コンフィグモデルの特徴
次数分布をべき則にすればスケールフリーネットワークを構成できる
ランダムグラフの拡張になっている
次数相関はない
次数分布を考慮した平均場近似があてはまる
コンフィグモデルの平均距離
𝑁 → ∞で< 𝑘2 >が存在するとき
𝐿 = 1 +log
𝑁
<𝑘>
log<𝑘2>−<𝑘>
<𝑘>
また次数分布がスケールフリーで𝑝 𝑘 ∝𝑘−𝛾のとき
𝐿 = log log 𝑁 (2 < 𝛾 < 3)
𝐿 = log 𝑁 / log log 𝑁 (𝛾 = 3)
𝐿 = log 𝑁 (𝛾 > 3)
コンフィグモデルのクラスタ係数
ランダムグラフと同様に頂点𝑣の2つの隣接点𝑣′, 𝑣′′を考えた時に2頂点の間に枝が張られる確率がクラスタ係数になる
今𝑣′の次数を𝑘′, 𝑣′′の次数を𝑘′′とすると𝑘′ − 1本の枝のう
ちどれか一本が𝑣′′につながる確率は約(𝑘′−1)𝑘′′−1
<𝑘>𝑁
また(2.7)式より𝑣′の次数が𝑘′である確率は 𝑘′𝑝 𝑘′
<𝑘>, 𝑣′′の次
数が𝑘′′である確率は 𝑘′′𝑝 𝑘′′
<𝑘>
これを𝑘′, 𝑘′′に渡って平均すると
𝐶 =<𝑘2>−<𝑘>
2
<𝑘>3𝑁
コンフィグモデルのクラスタ係数
次数分布がポアソン分布の場合𝐶 =<𝑘>
𝑁とな
りランダムグラフの結果と一致する
スケールフリーの場合はCはやや大きくなるが、𝑁−1の項があり小さいと思って良い
レギュラーランダムグラフ
コンフィグモデルで各点の次数が必ず𝑘0であるようなものをレギュラーランダムグラフと呼ぶ
これはランダムグラフに見られるような次数の散らばりがないため、次数が散らばることの影響を調べたい時に比較対象として用いられる
7.2 一般の次数分布を持つ木
コンフィグモデル同様に一般の次数分布を持つ木を作成できる
一般化ランダムグラフと呼ばれることがあるが、ランダムグラフの一般化にはなっていない
次数分布がべき則の場合はスケールフリー木と呼ばれることもある
作り方
次数分布{𝑝 0 , 𝑝 1 , … }を決める
孤立点は無いものとするので𝑝 0 = 0
頂点𝑣1をおき、 𝑣1の次数𝑘1を確率𝑝(𝑘1)で決める
𝑣1の頂点から𝑘1本の枝をつなぎ、それぞれの枝の先に新しい頂点をおく
それぞれの頂点の先に(決められた次数-1)本の枝をおき、再帰的に木を構成する
ゴルドンワトソン過程
個体の繁殖など表すモデルでゴルドンワトソン過程があり、これは一般の次数を持つ木とほぼ同じである
1. 1個体が何個体かの子を産んで死ぬ
2. 生まれた子は次世代の親となり、やはり何個体か産んで死ぬ
3. 次の世代が子を産み、同様の過程を繰り返す
これからでる系譜図が木に対応する
集団の発展
ゴルドンワトソン過程においての関心としては世代を経ていくうちに集団が生き残るかどうかである
∑ 𝑘 − 1 𝑝 𝑘 > 1となるときに限って集団は生き残りうる
ネットワークの話題に戻ると平均次数< 𝑘 >が2より大きければ一般の次数分布をもつ木は無限に遠くまで広がりうる
7.3 GohモデルとChung-Luモデル Gohモデルの作り方は以下のようになる
1. 頂点数𝑁と平均次数< 𝑘 >を決める
2. 頂点𝑣𝑖に重み𝑤𝑖 = 𝑖−𝛼(1 ≤ 𝑖 ≤ 𝑁)を割り当てる
3. 𝑁頂点の中から𝑤𝑖に比例する確率で頂点𝑣𝑖 , 𝑣𝑗
を選択する
4. 𝑣𝑖 , 𝑣𝑗がまだ隣接していないなら2つをつなげる
5. ステップ3,4を枝が合計< 𝑘 > 𝑁/2本になるまで繰り返す
Gohモデルの特徴
𝑣𝑖の次数𝑘𝑖 はステップ3で𝑣𝑖が選ばれる確率に比例し
𝑘𝑖 ∝ 𝑝𝑖 ∝ 𝑖−𝛼
これと(2.1.3)より次数分布はべき則
𝑝 𝑘 ∝ 𝑘−𝛾, 𝛾 = 1 +1
𝛼となる
Lは小さく、Cも小さい
また次数相関は負になる
これはハブに枝が集中しやすいことからである
Chung-Luモデル
Gohモデル同様に各頂点は𝑤𝑖をもち、𝑣𝑖 , 𝑣𝑗
を確率𝑤𝑖𝑤𝑗
∑ 𝑤𝑙𝑙でつなぐ
Gohモデルよりも数学的に解析しやすい
確率は1以下になると仮定する
Gohモデルでは約𝑤𝑖𝑤𝑗
∑ 𝑤𝑙𝑙2となっていた
Chung-LuモデルにおけるL
コンフィグモデルと同様に次数がべき分布のとき
𝐿 = log log 𝑁 (2 < 𝛾 < 3)
𝐿 = log 𝑁 / log log 𝑁 (𝛾 = 3)
𝐿 = log 𝑁 (𝛾 > 3)
隣接行列の固有値
Chung-Luモデルにおける固有値の分布もべき則に従うことが知られている
𝜌 𝜆 ∝ 𝜆−2𝛾−1
Gohモデルについても、レプリカ法という手法によって同様の式が成り立つことが知られている