contrail enterprise multicloud...2 contrail enterprise multicloud データ シート...

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データ シート 1 製品概要 Contrail Enterprise Multicloud により、 独立した複数のクラウド インフラ ストラクチャがシームレスに管理で きるマルチクラウドに自動的に変換 されるため、すべてのサービスを完全 に制御し、可視化できるようになり ます。また、SDN およびネットワー オーバーレイの原則を利用するこ とで、管理対象のインフラストラク チャの範囲をプライベート クラウド からデータ センター内の物理的な ネットワーク デバイス、クラウドと の相互接続、WAN、パブリック クラ ウドまで拡張します。オープン API と標準プロトコルをベースに構築 された Contrail Enterprise Multicloud は、クラウド環境の運用を抽象化する ことで、ネットワーク構築と自動化 の複雑さを解消し、ユーザーが収益 性の高いサービスに取り組めるよう にします。 製品説明 企業の IT 部門では、マルチクラウド アーキテクチャを採用し、社内アプリケーションやお客様向け のアプリケーションを関係者に対して提供しなければいけないというプレッシャーが高まっています。 ほとんどの企業にとって、データや基幹業務アプリケーションは戦略的な資産とみなされているため、 プライベート クラウド インフラストラクチャの管理はビジネス要件になります。一方で、プライベート クラウドを利用したセキュアで適切に制御されたアプリケーション提供インフラストラクチャにかかる コストは、そのようなプライベート クラウドの構築、管理、自動化、運用に伴う運用上のオーバーヘッド となっています。 さらに、パブリック クラウドが成熟し、普及率が高まるにつれ、多くの企業は既存の IaaS Infrastructure as a Service)、 PaaS Platform as a Service)、 SaaS Software as a Service)サー ビスを利用して自社のプライベート クラウドを補完するようになっています。この結果、企業のデータ センターで実行されている自社所有の基幹業務の資産/アプリケーションと、社内の IT/クラウド部門 が関与せず、企業内の多くの事業部門がパブリック クラウド サービスを利用して構築した特定の アプリケーション専用の環境を分離する動きが強まっています。 企業ユーザーは、インフラストラクチャが物理か仮想か、ホストしているのが社内かサードパーティー 環境かを問わず、これらの異種混在環境のインフラストラクチャを完全に自動化することを望んでい ます。そうすることで、自社の基幹業務のアプリケーションやサービスに取り組むことが可能になり ます。その際、既存の物理インフラストラクチャを総入れ替えせずに、従来のクラウド環境の運用方法 から、ビジネスを中心に据えたマルチクラウドに移行することを目標としています。このような移行 では、機器およびビジネスクリティカルなアプリケーションはもちろん、運用上の専門知識が必要と なり、相当なコストが発生します。 Juniper ® Contrail ® Enterprise Multicloud は、さまざまなクラウド インフラストラクチャに対して プログラムによる包括的なアプローチを採用し、こうした課題に対処します。対象となるクラウド インフラストラクチャとして、データ センター デバイス、サーバー、物理/仮想コンピューティング プラットフォームのハイパーバイザーを備えたプライベート クラウド、クラウド プロバイダーが 管理するパブリック クラウド、プライベートおよびパブリックのクラウド環境同士を相互接続する WAN が挙げられます。 Contrail Enterprise Multicloud は、これらの異種混在型のインフラストラクチャを統合されたファ ブリックとして管理します。ユーザーはアプリケーション間のネットワーク サービス(オーバーレイ) を作成してすべてのサービスをシームレスな単一のクラウドとして管理することで、それぞれの パフォーマンスと動作を監視し、簡単なマウス操作でサービスの提供を自動化できます。 Contrail Enterprise Multicloud は、物理的なパブリック/プライベート クラウド インフラストラク チャから仮想的なパブリック/プライベート クラウド インフラストラクチャまでカバーする Software-Defined Approach(ソフトウェア定義のアプローチ)を採用し、あらゆるクラウド環境 の物理フォーム ファクター、または仮想化やコンテナ化済みのフォーム ファクターで実行されている ワークロード向けに NaaSNetwork as a Service)を提供します。また、OpenStackKubernetesMesosOpenShiftVMware クラウド管理システムといった、広く使用されている オーケストレーション ツール、Ansible Helm などの DevOps ツールとも統合できます。Contrail Enterprise Multicloud は、どのクラウド環境でも、オーバーレイ サービス/ポリシーの共通かつ Contrail Enterprise Multicloud

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Page 1: Contrail Enterprise Multicloud...2 Contrail Enterprise Multicloud データ シート 一貫したデータ モデルを使用し、アプリケーション間ネットワークの

データ シート

1

製品概要

Contrail Enterprise Multicloud により、独立した複数のクラウド インフラ

ストラクチャがシームレスに管理できるマルチクラウドに自動的に変換されるため、すべてのサービスを完全に制御し、可視化できるようになります。また、SDN およびネットワーク オーバーレイの原則を利用することで、管理対象のインフラストラクチャの範囲をプライベート クラウドからデータ センター内の物理的なネットワーク デバイス、クラウドとの相互接続、WAN、パブリック クラウドまで拡張します。オープン API

と標準プロトコルをベースに構築

された Contrail Enterprise Multicloud

は、クラウド環境の運用を抽象化することで、ネットワーク構築と自動化の複雑さを解消し、ユーザーが収益性の高いサービスに取り組めるようにします。

製品説明 企業の IT 部門では、マルチクラウド アーキテクチャを採用し、社内アプリケーションやお客様向け

のアプリケーションを関係者に対して提供しなければいけないというプレッシャーが高まっています。

ほとんどの企業にとって、データや基幹業務アプリケーションは戦略的な資産とみなされているため、

プライベート クラウド インフラストラクチャの管理はビジネス要件になります。一方で、プライベート

クラウドを利用したセキュアで適切に制御されたアプリケーション提供インフラストラクチャにかかる

コストは、そのようなプライベート クラウドの構築、管理、自動化、運用に伴う運用上のオーバーヘッド

となっています。

さらに、パブリック クラウドが成熟し、普及率が高まるにつれ、多くの企業は既存の IaaS

(Infrastructure as a Service)、PaaS(Platform as a Service)、SaaS(Software as a Service)サー

ビスを利用して自社のプライベート クラウドを補完するようになっています。この結果、企業のデータ

センターで実行されている自社所有の基幹業務の資産/アプリケーションと、社内の IT/クラウド部門

が関与せず、企業内の多くの事業部門がパブリック クラウド サービスを利用して構築した特定の

アプリケーション専用の環境を分離する動きが強まっています。

企業ユーザーは、インフラストラクチャが物理か仮想か、ホストしているのが社内かサードパーティー

環境かを問わず、これらの異種混在環境のインフラストラクチャを完全に自動化することを望んでい

ます。そうすることで、自社の基幹業務のアプリケーションやサービスに取り組むことが可能になり

ます。その際、既存の物理インフラストラクチャを総入れ替えせずに、従来のクラウド環境の運用方法

から、ビジネスを中心に据えたマルチクラウドに移行することを目標としています。このような移行

では、機器およびビジネスクリティカルなアプリケーションはもちろん、運用上の専門知識が必要と

なり、相当なコストが発生します。

Juniper® Contrail® Enterprise Multicloud は、さまざまなクラウド インフラストラクチャに対して

プログラムによる包括的なアプローチを採用し、こうした課題に対処します。対象となるクラウド

インフラストラクチャとして、データ センター デバイス、サーバー、物理/仮想コンピューティング

プラットフォームのハイパーバイザーを備えたプライベート クラウド、クラウド プロバイダーが

管理するパブリック クラウド、プライベートおよびパブリックのクラウド環境同士を相互接続する

WAN が挙げられます。

Contrail Enterprise Multicloud は、これらの異種混在型のインフラストラクチャを統合されたファ

ブリックとして管理します。ユーザーはアプリケーション間のネットワーク サービス(オーバーレイ)

を作成してすべてのサービスをシームレスな単一のクラウドとして管理することで、それぞれの

パフォーマンスと動作を監視し、簡単なマウス操作でサービスの提供を自動化できます。

Contrail Enterprise Multicloud は、物理的なパブリック/プライベート クラウド インフラストラク

チャから仮想的なパブリック/プライベート クラウド インフラストラクチャまでカバーする

Software-Defined Approach(ソフトウェア定義のアプローチ)を採用し、あらゆるクラウド環境

の物理フォーム ファクター、または仮想化やコンテナ化済みのフォーム ファクターで実行されている

ワークロード向けに NaaS(Network as a Service)を提供します。また、OpenStack、

Kubernetes、Mesos、OpenShift、VMware クラウド管理システムといった、広く使用されている

オーケストレーション ツール、Ansible や Helm などの DevOps ツールとも統合できます。Contrail

Enterprise Multicloud は、どのクラウド環境でも、オーバーレイ サービス/ポリシーの共通かつ

Contrail Enterprise Multicloud

Page 2: Contrail Enterprise Multicloud...2 Contrail Enterprise Multicloud データ シート 一貫したデータ モデルを使用し、アプリケーション間ネットワークの

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データ シートContrail Enterprise Multicloud

一貫したデータ モデルを使用し、アプリケーション間ネットワークの

セマンティックスとポリシーの自動化機能を統合します。また、クラウド

固有の言語を使用してネットワークをプログラミングし、制御します。

マルチクラウド環境では、アプリケーションの通信の制限や許可に使用

するポリシーを、ビジネス向けのわかりやすい言語で作成できます。

さらに、マルチクラウド全体のネットワーク デバイス、アプリケーション

ワークロード、ストレージ、コンピューティング リソースに関する

パフォーマンスと状態を表示できる共通のビューも用意されています。

データ センターの管理プライベート クラウド環境の場合、Contrail Enterprise Multicloud は、

データ センターのライフ サイクル全体を管理します。Day 0(データ

センター構築の当日)から、スケール アウト(デバイスまたはサーバー

用ラックの追加)、計画的な保守作業(ソフトウェアのアップグレード

やロールバック)、日々のテナント/サービスの運用(ベアメタル サーバー

(BMS)、アプライアンス、仮想マシン、コンテナ、パブリック クラウド

などのワークロード全般を対象にした 2 階層 Web アプリケーション

サービスの作成)までの運用業務を自動化します。Contrail Enterprise

Multicloud では、それぞれの仮想ネットワークや仮想ネットワーク全体

のトラフィック フローを制御するネットワーク ポリシーを管理すること

により、サービス チェイニング(特定のトラフィック フローが仮想ネッ

トワークの境界を越えるようにするなど)などの高度なサービスを導入

するほか、物理的なワークロードのライフ サイクル(BMS、PXE(Preboot

Execution Environment)の起動/再イメージング、アプライアンス

ソフトウェアのイメージングと設定など)を管理することができます。

データ センターの運用業務を自動化することにより、仮想ルーターを

導入するだけでデバイスやサーバーのラックなどの新しいインフラスト

ラクチャを追加できます。また、プライベート データ センター間、データ

センターとパブリック クラウド間の相互接続もプロビジョニングできます。

データ センターでは、Contrail Enterprise Multicloud はあらゆる標準

IP Clos アーキテクチャと連携し、NETCONF(Network Configuration

Protocol)やリモート プロシージャ コール(RPC)といった、拡張性

の高いオープンで標準化されたプロトコルを使用して設定操作(Day 0

の運用またはサービスの設定に関連)を行います。さらに、BGP EVPN

(Ethernet VPN)を利用して、データ センター デバイスとのピアリング

を行い、仮想ネットワークまたはワークロード/アプライアンス全体の

トラフィックの転送に影響を及ぼすルートの受信とアドバタイズを行い

ます。データ センターの管理ネットワークに存在する一元化された

Contrail Controller は、次の機能を提供します。

a. NETCONF/RPC を使用した設定、TFTP(Trivial File Transfer

Protocol)/SFTP(Secure File Transfer Protocol)を使用した

ゼロ タッチ プロビジョニング/イメージ転送の設定、BGP(EVPN、

IP-VPN)を使用したルート漏えいの設定、Junos Telemetry

Interface(JTI)、OpenConfig ま た は SNMP、Juniper Flow

Monitoring(J-Flow)/sFlow(Traffic Analyzer) お よ び gRPC

(デバイス向け)を使用した分析データの収集

b. XMPP(Extensible Messaging and Presence Protocol)を使用

した設定とルート漏えい、Contrail Sandesh を使用した分析

(vRouter コンピューティング用)

Contrail Enterprise Multicloud では Ansible Playbook をすべてのデバ

イスの設定と運用プロセスに利用しているため、ユーザーは設定テンプ

レートを簡単にカスタマイズしてあらゆる運用業務に対応させることが

可能です。また、MX203、MX10003、MX2008、MX2010、MX2020

などのジュニパーネットワークス MX シリーズ 3D ユニバーサル エッジ

ルーターの既成の設定テンプレート、および QFX5100、QFX5110、

QFX5200、QFX10002、QFX10008、QFX10016 スイッチなどのジュ

ニパーネットワークス QFX シリーズ固定構成型およびモジュラー型

図 1:データ センター インフラストラクチャでファブリック管理および SDN オーバーレイとして機能する Contrail Networking

VM

vRouter

vRouter

QFX5100/QFX5200

QFX5100/QFX5200

QFX10008

SRX5400 SRX5400MX480MX480

QFX10008

QFX5100/QFX5200

MP-BGP EVPN、 IP-VPN

XMPP(MP-BGP EVPN/IP-VPN、

NETCONF)、Sandesh

NETCONFsFlow、gRPC

DHCP、TFTPNeutron/Kubectl

コンテナOVS 搭載サーバー

EVPN/VXLAN、MPLSOGRE、MPLSOUDP

ベアメタル サーバーBMS、SRIOV 搭載 BMS

SDN ゲートウェイ レイヤー

データ センター スパイン レイヤー - QFX シリーズ スイッチ

データ センター リーフ レイヤー - QFX シリーズ スイッチ

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データ シートContrail Enterprise Multicloud

スイッチング プラットフォームに対応しています。今後、ジュニパーネット

ワークス SRX シリーズ サービス ゲートウェイ、ジュニパーネットワー

クス EX シリーズ イーサネット スイッチ、ジュニパーネットワークス

vMX 仮想ルーターおよびジュニパーネットワークス vSRX 仮想ファイア

ウォールの既成テンプレートのほか、Arista 7K や Cisco Nexus 5K/9K

製品シリーズなどのサードパーティー製デバイスについても、既成のテン

プレート(Day 0 設定およびサービス管理用)が追加される予定です。

また Contrail Enterprise Multicloud では、デバイスを 1 つ以上の有効な

ロールに関連付けることで、さまざまなネットワーク仮想化オーバーレイ

アーキテクチャを導入する際に、設定テンプレートを適用することも

できます。デバイスには、通常、Day 0 に必要な幅広い設定を定義したり、

Contrail から特定のテナントにプッシュする必要があるオーバーレイ

操作を定義する 1 つ以上のロールが関連付けられています。これにより、

リーフ スイッチの一部での一元化されたルーティング(リーフでの一元

的なルーテッド ブリッジング)、スパイン内での一元化されたテナント

間のルーティング(スパインでの一元的なルーテッド ブリッジング)、

または、リーフ内での分散したテナント間のルーティング(リーフでの

エッジ ルーティングとブリッジング)を実装するかどうかをデバイスの

機能に基づいて指定できます。ファイアウォール、VPN ゲートウェイ、

ロード バランサーなどのネットワーク機能(仮想ネットワーク機能また

は物理ネットワーク機能)として使用される物理デバイスと仮想デバイス

についても同様です。カスタマイズ可能で有効なロール セットを使用し、

それらのロールを Day 0 と Day 1 の運用プレイブックのセットに関連

付けることで、幅広いアーキテクチャや使用例に対応できます。

クラウド間の相互接続の管理ネットワーク データ モデルの観点から見ると、データ センター間の相互

接続や、データ センターとパブリック クラウド間の相互接続は、単なる

別のファブリックにすぎません。Contrail Enterprise Multicloud では、

データ センターのエッジに配置されているデバイス間の相互接続設定が

自動化されるため、1 つのクラウド インフラストラクチャ内のテナント

ネットワークや仮想ネットワークを複数のデータ センターやパブリック

クラウドまで拡張できるようになります。ロールを物理デバイスや仮想

デバイスに柔軟に割り当てられるため、Contrail Enterprise Multicloud

では、クラウド間のアンダーレイ トランスポート設定を自動化し、それ

を使用してクラウド全体にテナントを拡張できます。

クラウド環境の相互接続に使用する複数のオプションが用意されています。

そのオプションとして、IP/IPsec(プライベート クラウドとパブリック

クラウドの相互接続向け)、タイプ 5 のルートを使用する IP-VPN/

EVPN(L3 DCI 向け)などがあり、将来的にはデータ センターのポッド

間で L2 延伸を可能にする EVPN がサポートされます。

パブリック クラウドの管理パブリック クラウドの場合、Contrail Enterprise Multicloud はテナント/

仮想プライベート クラウド(VPC)を「使用可能な」ファブリックとして

管理します。ここでは、アンダーレイ インフラストラクチャはサード

パーティ製品によって管理されています。パブリック クラウドをリモート

クラウド インフラストラクチャとして活用する方法は数多くあります

が、Contrail Enterprise Multicloud はそのすべてに対応しています。

Contrail はインフラストラクチャ(転送とルーティング)とオーバーレイ

(ワークロードとサービス)の両方を自動化します。パブリック クラウド

は、Contrail ソフトウェア コンポーネントを含まない「シンプルな」

VPC としても構成できます。また、パブリック クラウドでジュニパー

ネットワークスのソフトウェア(Contrail vRouter、vSRX または vMX)

を仮想ゲートウェイとして利用することもできます。さらに、パブリッ

ク クラウドをクラウドホスト型のインフラストラクチャとして利用し、

Contrail Enterprise Multicloud クラスターからパブリック クラウド イン

スタンス間にオーバーレイ ネットワーク サービスを提供することもでき

ます。

図 2:クラウド相互接続の自動化

仮想マシンコンテナ

vRouter コンピューティング

Contrail

OVS コンピューティングBMS SRIOV

ヒューストン データ センター シアトル データ センターBMS

Contrail

マイアミ データ センター

ポートランド データ センター

Contrail1

2 2

21

1

1

1アンダーレイおよびオーバーレイ用に DCI

リーチャビリティを自動化する2

BGP フェデレーションを制御してオーバーレイ ルート情報を交換し、クラウド全体でサービスを有効にする

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データ シートContrail Enterprise Multicloud

表 1. Contrail Enterprise Multicloud でパブリック クラウドの VPC を管理する方法

リモート「インフラストラクチャ」 ポッドとしての VPC のライフサイクル管理

クラウド間の転送および ルーティング プロセスの自動化

クラウド全体におよぶワークロードとテナントのライフサイクル管理

ネイティブ VPC(VPC 内にジュニパー製ソフトウェアは含まれない) Contrail からパブリック クラウドにパブリック クラウドのネイティブ REST API を使用

Contrail vRouter を 仮想ゲートウェイとしてのみ使用

Contrail からパブリック クラウドに パブリック クラウドのネイティブ REST API

を使用

Contrail から XMPP を使用 パブリック クラウドのネイティブ REST API を使用。パブリック クラウドはリモート「テナント」

として管理vSRX/vMX を仮想ゲートウェイと して使用

Contrail から仮想ゲートウェイとなる vMX/vSRX に

NETCONF/RPC を使用

VPC 内の Contrail Enterprise Multicloud クラスター:パブリック クラウド内の vRouter 上で実行されるワークロード

Contrail から vRouter 仮想ゲートウェイに XMPP を使用

VPC 内の Contrail(およびその オーケストレータ)を利用

アーキテクチャと主要コンポーネント

図 3:Contrail Enterprise Multicloud によるデータ センター ファブリックのプロビジョニングと管理

Contrail Controller

あらゆるワークロードを備えたプライベート

クラウド

データ センター 1 ファブリック(Contrail による管理)

データ センター 3 ファブリック(Contrail による管理)

DCI ファブリック(Contrail による管理)

データ センター 2 ファブリック(Contrail による管理)

管理されていない要素

Contrail Enterprise Multicloud は次のコンポーネントで構築されています。

• Juniper Contrail Networking™:コンピューティング環境で仮想化/

コンテナ化されたワークロードを実行する Contrail vRouter、

デバイス上のファブリックおよびオーバーレイ構成に基づくファ

ブリック管理機能(デバイス、物理ネットワーク機能および仮想

ネットワーク機能の管理)、VPC 仮想ゲートウェイまたは Amazon

Machine Interface(AMI)のコンピューティング プラットフォーム

として Contrail vRouter を導入/管理するパブリック クラウドの

管理機能を備えています。

• Juniper AppFormix® 分析パッケージ:個別またはクラウド環境全体

のインフラストラクチャとオーバーレイの使用率に関するデータ

の収集、関連付け、可視化を行います。

• Contrail Command:クラスター、インフラストラクチャ、パブリック

クラウド、オーバーレイの管理、分析とトラブルシューティング

を直感的かつ容易にするシンプルな UI です。

• Kubernetes、OpenShift、Mesos、OpenStack、VMware

vSphere/vRealize オペレーションなどのオーケストレーション

プラットフォームとの互換性。Red Hat、Mirantis、Canonical、

NEC などの技術アライアンス パートナーとともに、統合の構築、

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データ シートContrail Enterprise Multicloud

認証、テスト検証を実施しています。Contrail Networking はこれら

のオーケストレーション システムの下位に配置され、公開された

REST API を介してノースバウンドを統合します。

特長とメリット主な特長

• 導入が容易:Contrail Enterprise Multicloud のインストールは

簡単なマウス操作で、わずか数分で終了します。

• 操作が簡単:Contrail Command と呼ばれる統合されたシンプルな

インターフェイスにより、一貫性のある安定したユーザー エクス

ペリエンスを実現します。ユーザーは最小限のデータを入力し、

マウスを数回クリックするだけで 90% の運用タスクを完了でき

ます。直感的なトップダウン表示により、ユーザーは適切な場所

に表示を移動できます。ユーザーは、この一元的なダッシュボード

を使用してマルチクラウドのインフラストラクチャやサービスの

ステータス/稼働状況を確認できます。

• オープンでカスタマイズ可能:Contrail Enterprise Multicloud は、

オープンで実績のある標準プロトコルとデータ モデルを使用して

います。デバイスの運用は Ansible Playbook に基づいて行われま

すが、ユーザーは必要に応じてこのプレイブックをコピーするか

カスタマイズできます。カスタマイズを活用するために、リリース

アップグレードを待つ必要はありません。デバイスやネットワーク

機能にロールを割り当てることができるため、Contrail はどのような

導入シナリオやアーキテクチャにも適しています。

• 標準ベースのファブリック管理:Contrail Enterprise Multicloud

は、BGP EVPN/VXLAN などの実績のある標準やプロトコルを活用

してデータ センターやファブリックの運用プロセスを標準化します。

ユーザーは、カスタマイズ可能なロールを利用して異なるネット

ワーク仮想化オーバーレイ アーキテクチャ(CRB、ERB、イーサ

ネット、IP)を導入する場所や時期を指定できます。

• Day 0 の運用に対応:Contrail Enterprise Multicloud は、データ

センターのデバイス、サーバー、アプライアンス、パブリック

クラウドのテナントを検出してインポートします。新規デバイス

や既存デバイスのライフ サイクルにも対応しています。

• 単一画面から実行するデータ センターのソフトウェア アップ

グレード:Contrail Enterprise Multicloud では、単一画面からアッ

プグレードのロールアウトを管理できるため、ソフトウェア アッ

プグレードに伴うデータ センター デバイスの停止が減少します。

• サーバーのライフ サイクル管理:Contrail Enterprise Multicloud

は、Ironic、Glance、サーバーの PXE ブート用スイッチ、イメージ

管理などのコンポーネントを統合することで、サーバーのライフ

サイクル管理に対応します。

• ワークロード全般にわたるマルチテナント ネットワーク サービスの管理:Contrail Enterprise Multicloud は、vRouter上で実行され

ている仮想マシンやコンテナ、ベアメタル サーバー、その他の

ハイパーバイザー プラットフォームのいずれかを問わず、あらゆる

タイプのワークロードに対して EVPN および仮想拡張 LAN

(VXLAN)(L2、L2/L3、L3)を使用して、一貫性のあるオーバー

レイ サービスをサポートします。Contrail は、クラウド インフラ

ストラクチャやワークロードのタイプに基づいて、設定の適用や、

オーバーレイを使用した一貫したルート漏えいを実行することに

より、ネットワーク サービスの提供を自動化します。

• 高可用性:Contrail コンポーネントは可用性に優れ、アクティブ/

アクティブの冗長性を提供します。アクティブ/アクティブのサー

バー マルチホーミングを活用すると、高い可用性をデータ セン

ターのワークロードにまで拡張できます。

• 分析サービス:仮想オーバーレイと物理アンダーレイ ネットワーク

に関する有用な情報を提供する可視化と診断機能により、REST

API や Apache Kafka を使用したインフラストラクチャのリアル

タイム分析や履歴分析を実行できます。ユーザーはまた、搭載され

た GUI 機能を利用して、仮想ネットワーク間にトラフィックの

ライブ パケット キャプチャを簡単に設定できます。

• API サービス:設定、運用、分析に対応する REST API は、一般

的なオーケストレーション システムやカスタマイズされたオーケ

ストレーション システムとシームレスに連携します。AWS VPC

API との互換性があるため、ハイブリッド クラウド プラット

フォームにアプリケーションをシームレスに導入できます。

主なメリット• シンプル:Contrail Enterprise Multicloud はシンプルさを念頭に

置いて構築されています。操作方法が分かりやすく直感的に使用

でき、Day 0 のシンプルな設定作業の自動化にも対応しています。

• オープン:Contrail Enterprise Multicloud は、オープンソース

プロジェクトとして開発者とユーザーのコミュニティにより開発

されており、長年にわたって実績のある業界標準を活用している

ため、ベンダーやプラットフォームの囲い込みによるリスクを

排除できます。

• パフォーマンスと拡張性:Contrail は、現場での実績があり、

世界最大規模のデータ センター クラウドのいくつかで導入されて

います。

• 統一されたマルチクラウド ポリシー:1 つの IT プラットフォーム

を実現するには、機能面および機能以外の面でもプライベート

クラウドとパブリック クラウドのアプリケーション プラット

フォーム間に類似性があることが求められます。Contrail

Networking は、Software-Defined Infrastructure を使用して

プライベート クラウドを導入する場合のマルチクラウド自動化

ソリューションとして最適です。プライベートかパブリックかを

問わず、あらゆるクラウド上に導入して同等の環境を構築すると

ともに、ハイブリッド クラウド プラットフォーム内で DevOps

の自動化とアプリケーションの移植性を最大限に活用することも

できます。

• シームレスな統合:Contrail は、オーケストレ-ション、自動化、

オペレーティング システム、仮想化、コンテナ化のいずれに関しても、

さまざまなソフトウェアを使用して統合、検証、認定が行われて

います。さらに、Contrail は業界標準のルーティングとスイッチ

ング システムとの相互運用性もあるため、オーバーレイ仮想ネット

ワークと既存の他のシステム間をブリッジ接続できます。

主な機能• シームレスな相互運用性を実現するオープン ソース、オープン標準:

Contrail Enterprise Multicloud は、標準ベースのプロトコルを

サポートすることで総入れ替えの必要性をなくし、マルチベンダーの

物理インフラストラクチャにおける相互運用を可能にします。した

がって、投資を最大限に保護します。また、設定の制御と

管理に使用される、オープン標準のインターフェイス(NETCONF/

RPC) に 対 応 し、Ansible Playbook、REST/HTTPS API、XMPP、

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データ シートContrail Enterprise Multicloud

ルーティング機能(ルーティング制御用の BGP、BGP IP-VPN、

BGP EVPN)、転送機能(EVPN 制御プレーンを備えた VXLAN、

MPLSoUDP、MPLSoGRE、プレーン IP、IP over IPsec)、分析機能(JTI、

OpenConfig、SNMP、sFlow、J-Flow、gRPC、システム ロギング)

を使用します。

• ネットワークの仮想化:Contrail Enterprise Multicloud は、イー

サネット/IP オーバーレイに対応する EVPN/VXLAN および

L3VPN 標準を活用することで、堅牢なネットワーク仮想化

ソリューションを提供します。仮想ネットワークのセグメントに

よりマイクロセグメンテーションやマルチテナントに適した方法

が提供されるため、VLAN ベースや L2 ベースのセグメンテーション

アプローチに関する課題が解消されます。Contrail では、すべて

のクラウド環境(vRouter コンピューティング セット上のデータ

センター ファブリックか、パブリック クラウド内かを問わない)

のオーバーレイに対応する共通した一貫性のあるネットワーク モデル

を使用することにより、ネットワーク仮想化オーバーレイをクラ

ウド インフラストラクチャ全体に拡張できます。

• ネットワークのプログラマビリティと自動化:Contrail Networking

は「インテント コンパイラ」をコンセプトとして導入しています。

抽象的な高レベルのワークフローを具体的なルール/ポリシーに変

換し、ワークロードのプロビジョニングの自動化やネットワーク/

セキュリティ サービスのチェイニングに対応します。例えば、ポート、

VLAN、サブネット、スイッチ、ルーターなどの基本的な要素の

詳細を取得せずに、ユーザーはワークロード間の接続を要求する

ことができます。さらに、構成、運用および分析に関する統一

モデルは、各種プログラミング言語(Python、Go、JavaScript、

Ansible など)のライブラリと同様に、REST API からも表示され

ます。

• インフラストラクチャの分析と仮想化:Contrail Enterprise

Multicloud は、AppFormix を活用してさまざまなクラウド イン

フラストラクチャやクラウド間で実行中のオーバーレイ サービス

に対するインサイトを提供し、事前計画と予測診断によって運用

や意思決定のプロセスを簡素化します。分析エンジンは、大規模

なデータの取り込みや、構造化データ/非構造化データのクエリー

に対応するよう設計されています。データの表示には、REST API

と GUI ベースのクエリー エンジンを使用します。

Contrail Enterprise Multicloud の使用例Contrail Enterprise Multicloud により動的で使いやすいソリューション

が提供されるため、企業は自社のクラウド インフラストラクチャおよび

そのクラウド インフラストラクチャから提供されるサービスを自動化

できるようになります。もっとも一般的な使用例は次の通りです。

• 自動化により、わずか数分でデータ センターの構築または拡張を

実行:

- 新たに追加されたデバイスの検出、インポート、設定を行い、

新しいデバイスからサービスの提供を開始できるようにする

- データ センターのデバイス設定時に複雑でエラーが発生しやすい

操作を排除する

- データ センター インフラストラクチャのパフォーマンスと、

顧客に対するサービスの提供状況を可視化する

• クラウド全体にわたるサービスの自動化:

- 手動操作を行わずに、データ センター同士、またはデータ セン

ターとクラウドを接続する

- クラウド間でワークロードをシームレスに移動する(データ

センター間、データ センターからプライベート クラウド、また

その逆)

- 各インフラストラクチャの使用状況を可視化することによって、

運用コストの予測と見積りを行う

• BMSaaS サービスの高速化:

- BMS ライフサイクル管理(および関連デバイスの設定)を自動化

することによって、BMSaaS を効率的かつ迅速に提供する

- サーバーとネットワーク デバイスのトラフィックを可視化し、

拡張ニーズを予測して需要を見込む

仕様システムの最小推奨事項および動作環境次の表は、x86 サーバーに Contrail Enterprise Multicloud をインストールする際の要件を示しています。

デバイスの最大数 VN/インター フェイスの最大数

サーバー 1 台あたりの 最小コア数

最小コア数 (合計)

サーバー 1 台あたりの 最小 RAM(GB)

最小 RAM(GB)の合計

最小ディスク容量(GB)の合計

20 500/2000 8 24 16 48 628

50 1000/4000 12 36 24 72 756

200 4000/8000 12 36 32 96 1012

1000 16,000/16,000 16 48 48 144 1512

OS:Linux OS(CentOS、RHEL、Ubuntu)

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データ シートContrail Enterprise Multicloud

1000637-001-JP 2018 年 7 月

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