daughter mother - kasama · 2020. 9. 24. · daughter mother *日本ゴルフツアー選手権...

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14 15 使退( ) 思いきりのいいショットは、 何でもさせてくれた親からの賜物 最年少記録を更新し続ける日本ゴルフ界のホープは、伸びのいい爽快なショットと攻めのゴルフでファンを魅了する。 そのまっすぐなゴルフ人生のきっかけは母・博美さんだった。ともにゴルフ環境に恵まれたこの街で育ち、 この街の誉れとして活躍するふたり。奈紗さんの 10 代最後の誕生日に、母と娘の歩みについてたずねた。 畑岡奈紗 はたおか・なさ 1999 年笠間市生まれ。名前の奈紗は、アメリ カ航空宇宙局(NASA)に因み、「前人未到の ことをするように」と父が思いを込めて命名 した。ゴルフ場に勤務する母の影響で、11 歳 でゴルフを始めた。中学時代は陸上競技(200m 走)で県大会入賞の経験を持つ。中学 2 年次 にヒルズゴルフ・トミーアカデミー(中嶋常 幸主催)に入門。2015 年 IMGA 世界ジュニア ゴルフ選手権で、個人及び団体優勝。2016 年 日本女子オープンでプロツアー初優勝。同大 会でのアマチュア優勝は史上初、最年少大会 優勝も記録した。翌年 9 月、ミヤギテレビ杯 ダンロップ女子オープンゴルフトーナメント でプロ入り初優勝し、翌10月には日本女子オー プンで大会2連覇の偉業を達成した。 「活発に何かをしたいという子でしたから、そこを 活かしてほしいなと思っていました。」 (母・博美さん) 「やりたいことはやりなさい、と言ってくれる母な ので、何をやっても楽しかったです。」 (奈紗さん) PERSON Nasa & Hiromi Daughter Mother *日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ Shishido Hills  取材協力:宍戸ヒルズカントリークラブ 調使畑岡 奈紗 さん & 博美 さん プロゴルファー 2018 年日本女子オープンゴルフ選手権の 優勝トロフィーを手にする畑岡奈紗さん

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Page 1: Daughter Mother - Kasama · 2020. 9. 24. · Daughter Mother *日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ Shishido Hills 取材協力:宍戸ヒルズカントリークラブ

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プロ二年目を迎えるお正月。いかがお

過ごしになりましたか。

奈紗:久しぶりのお正月でした。二年

ぶりだったかな。

母:去年は一緒には過ごせなくて。

奈紗:お餅を食べて、お母さんの作っ

たお雑煮を食べて過ごしました。

母:なかなか手の込んだ物を作れなく

て。言い訳になっちゃいますが(笑)。

でも、家族水入らずのいいお正月でし

た。あとは、トレーニングだったね。

奈紗:特にシーズン中と変わりなく。

一月から今年のシーズンが始まるので、

少し身体を刺激してウエイトも重めに

して。今日はちょっと筋肉痛です(笑)。

オフも忙しかったでしょ。

奈紗:ありがたいことに、表彰式など

で、都内に出ていく機会が増えました

ね。歩いていたりすると、声をかけて

いただいたりして。嬉しい反面、あま

りラフな格好では歩けなくなっちゃい

ました(笑)。

母:応援は支えになりますね。その分、

頑張らないとと思っているようです。

奈紗:「いばらき大使」に任命され、英

語の名刺もいただいたので、ゴルファー

として世界で郷里の茨城や笠間の魅力

を伝えられるよう、頑張りたいです。

母:二年目は少し慣れもできたね。

奈紗:そう。今年は去年の経験でコー

スを知って臨むことになるので、ちょっ

と気持ちは楽になるかなと。一年目は、

一つの大会が終わると翌日には次の大

会の練習ラウンドに入らなければなら

なかったのですが、今年はある程度覚

えもあるので、少し余裕を持って臨め

ると思っています。

お母様がゴルフ場にお勤めになってお

られたことがゴルフを始めるきっかけ

になったとうかがっています。

母:高校を卒業してからずっとここで

(宍戸ヒルズカントリークラブ)お世話

になっていて。奈紗の出産で一度退職

したのですが、一歳三か月くらいになっ

た頃に復職して。奈紗が来るようになっ

たときには、すでにツアー選手権(

*)

が始まっていたので、おそらく幼稚園

くらいのときから奈紗も観戦などで来

ていたと思います。

奈紗:ここの託児所に来ていたんだよ

ね。土曜日とか日曜日にときどき。ゴ

ルフ場はスポーツの場というより、遊

び場のような感覚でしたね。七歳の時

にここで初めてクラブを握って、本格

的に自分のクラブを揃えてもらって練

習を始めたのは、十一歳の時でした。

母:もちろん、当時はプロを目指そう

なんて、ぜんぜん想像もしてなくて

(笑)。ちょうど、宮里藍さんなどが活

躍され始めた頃で、ジュニアのゴルフ

が活発になってきた時期でした。

奈紗:やっているうちに、だんだん楽

しくなってきて。ボールに当たること

自体、楽しかったし、まっすぐ遠くに

飛んだときが嬉しくて。

プロを意識したのは、いつ頃だったの

ですか。

奈紗:高校に入ってから。でも、あま

り意識しないうちに、なんとなく。ただ、

海外でやりたいという気持ちはありま

思いきりのいいショットは、何でもさせてくれた親からの賜物

最年少記録を更新し続ける日本ゴルフ界のホープは、伸びのいい爽快なショットと攻めのゴルフでファンを魅了する。そのまっすぐなゴルフ人生のきっかけは母・博美さんだった。ともにゴルフ環境に恵まれたこの街で育ち、この街の誉れとして活躍するふたり。奈紗さんの 10 代最後の誕生日に、母と娘の歩みについてたずねた。

畑岡奈紗 はたおか・なさ1999 年笠間市生まれ。名前の奈紗は、アメリカ航空宇宙局(NASA)に因み、「前人未到のことをするように」と父が思いを込めて命名した。ゴルフ場に勤務する母の影響で、11 歳でゴルフを始めた。中学時代は陸上競技(200m走)で県大会入賞の経験を持つ。中学 2 年次にヒルズゴルフ・トミーアカデミー(中嶋常幸主催)に入門。2015 年 IMGA 世界ジュニアゴルフ選手権で、個人及び団体優勝。2016 年日本女子オープンでプロツアー初優勝。同大会でのアマチュア優勝は史上初、最年少大会優勝も記録した。翌年 9 月、ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンゴルフトーナメントでプロ入り初優勝し、翌 10 月には日本女子オープンで大会2連覇の偉業を達成した。

「 活発に何かをしたいという子でしたから、そこを活かしてほしいなと思っていました。」(母・博美さん)

「 やりたいことはやりなさい、と言ってくれる母なので、何をやっても楽しかったです。」(奈紗さん)

PERSONNasa & HiromiDaughter Mother

*日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ Shishido Hills  取材協力:宍戸ヒルズカントリークラブ

したね。

母:幸い、順調に結果も出ていて、ま

わりの応援もありましたから。

海外となると、家族としてはやはり淋

しさもありましたか。

母:そうですね。いざ、海外を拠点に

となると、やはり、心配というか、淋

しい気はしますね。

奈紗:意外に、親が心配しているほど、

子どもは心配していないというか(笑)。

でも、時差など、米国だと本当に昼夜

真逆の生活になってしまったので、や

はり距離は感じましたね。

どんな時に故郷を感じたりされますか。

奈紗:自分の寝床で寝られるときです

ね(笑)。でも、本当に気持ちもから

だも休まるんですよ。この冬に運転免

許証を取ったんです。実際に自分で運

転してみて、今まで試合などで高速道

路を使って遠征するときに両親が車で

送ってくれたのが、とってもたいへん

だったことを実感しましたね。たいへ

んだったんだなと。プロになって、親

の有難味はつくづく感じますね。

奈紗さんにとって、お母さんって、ど

んな存在ですか。

奈紗:いつも笑顔の人ですね(笑)。人

に気を配ってくれる明るいところは、

私も見習っていきたいです。

母:照れますね(笑)。

お母さんにとっての奈紗さんは?

母:曲がったことが大嫌いな、まっす

ぐな子です。そこが自慢ですね。

奈紗:照れますね(笑)。

畑岡 奈紗さん & 博美さんプロゴルファー● 母●

2018 年日本女子オープンゴルフ選手権の優勝トロフィーを手にする畑岡奈紗さん