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モーションキャプチャを用いたアームカールのフォーム 指導自動化システムの開発 Development of Automated System for Teaching Arm Curl Using Motion Capture System 1W143095-9 ⻄⼭進 指導教員 坂井滋和 教授 NISHIYAMA Susumu Prof. SAKAI Sigekazu 概要:本研究では、2015 年頃から特に注⽬されているボディメイクに⽬をつけ、インストラクターの ような専⾨家がいない環境でも筋⼒トレーニングのフォーム修正が⾏えるシステムの開発を⽬指し た。対象の筋⼒トレーニングの種⽬は初⼼者でも取り組みやすいアームカールとし、理想的なアーム カールのフォームを定義した。対象者に⾐服の上からモーションキャプチャのセンサーを装着し、体 の動きを3次元 CG 画像としてスマートグラス上にリアルタイムで表⽰する。同時に定義した理想的 なフォームと対象者のフォームを⾃動的に⽐較しフォーム修正の指⽰をするシステムの開発をした。 キーワード:モーションキャプチャ、スマートグラス、アームカール、Unity keywords: motion capture, smart glass, arm curl, Unity 第1章.序論 近年ボディメイクを⾏なう⼈⼝が増えてい ることで、ボディメイクに関するアプリケーシ ョンも多様化している。専⾨家のサポートを受 けなくてもボディメイクを⾏える環境が整い つつあるが、トレーニングのフォーム修正をリ アルタイムで指⽰するアプリケーションは存 在していない。本研究では理想的なアームカー ルのフォームを定義し、モーションキャプチャ Perception Neuron で計測した動きを評価する システムを Unity で開発し、スマートグラス MOVERIO BT-300 の画⾯上で、⾃⾝のトレー ニングフォームの CG モデルとフォーム修正の 指⽰をリアルライムで表⽰するシステムの開 発を⾏った。 第2章.研究の背景と先⾏研究 モーションキャプチャ技術は、既にスポーツ 科学分野でも応⽤が進んでいるが、スポーツ分 野では主にアスリートの動きを記録・解析する ために⽤いられており、リアルタイムでフォー ムを修正するシステムは利⽤されていない。 「没⼊型 VR 環境における舞踊動作訓練シス テム」[1] では、舞踊動作において、熟練者の 動きと訓練者の動きを重ね合わせ動きのズレ を可視化するシステムが作られている。しかし、 トレーニングにおいて動作のスピードを合わ せる必要がないので、本研究では別の⽅法で理 想的なフォームとの違いを伝えるシステムを 開発することにした。 第3章.研究内容 本研究では、アームカールにおいて上腕⼆頭 筋を効率的に鍛えるフォームを理想とした。 効率的に上腕⼆頭筋を鍛えるためには、上腕 ⼆頭筋の関与を強め、他の筋⾁の関与を出来る だけ抑えるフォームが必要だと考えた。 アームカールの動作における伸展・屈曲によ る肘の⾓度は、0 度から 130 度が理想とされて いる[4]ため、130 度以上の屈曲は “腕曲げす ぎ“として指摘箇所に設定した。また、屈曲⾓ 0 度以下の肘の伸展に関しては“腕伸ばしすぎ” と指摘項⽬に設定した。 肘の前後へのぶれは上腕⼆頭筋への刺激が 弱まる[2]ので、⽮状⾯での肘関節の座標が腰 椎に対しマイナス⽅向に動くことも“肘固定”

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モーションキャプチャを用いたアームカールのフォーム

指導自動化システムの開発

Development of Automated System for Teaching Arm Curl Using Motion Capture System

1W143095-9 ⻄⼭進 指導教員 坂井滋和 教授 NISHIYAMA Susumu Prof. SAKAI Sigekazu

概要:本研究では、2015 年頃から特に注⽬されているボディメイクに⽬をつけ、インストラクターのような専⾨家がいない環境でも筋⼒トレーニングのフォーム修正が⾏えるシステムの開発を⽬指した。対象の筋⼒トレーニングの種⽬は初⼼者でも取り組みやすいアームカールとし、理想的なアームカールのフォームを定義した。対象者に⾐服の上からモーションキャプチャのセンサーを装着し、体の動きを3次元 CG 画像としてスマートグラス上にリアルタイムで表⽰する。同時に定義した理想的なフォームと対象者のフォームを⾃動的に⽐較しフォーム修正の指⽰をするシステムの開発をした。 キーワード:モーションキャプチャ、スマートグラス、アームカール、Unity keywords: motion capture, smart glass, arm curl, Unity

第1章.序論 近年ボディメイクを⾏なう⼈⼝が増えていることで、ボディメイクに関するアプリケーションも多様化している。専⾨家のサポートを受けなくてもボディメイクを⾏える環境が整いつつあるが、トレーニングのフォーム修正をリアルタイムで指⽰するアプリケーションは存在していない。本研究では理想的なアームカールのフォームを定義し、モーションキャプチャPerception Neuron で計測した動きを評価するシステムを Unity で開発し、スマートグラスMOVERIO BT-300 の画⾯上で、⾃⾝のトレーニングフォームの CG モデルとフォーム修正の指⽰をリアルライムで表⽰するシステムの開発を⾏った。 第2章.研究の背景と先⾏研究

モーションキャプチャ技術は、既にスポーツ科学分野でも応⽤が進んでいるが、スポーツ分野では主にアスリートの動きを記録・解析するために⽤いられており、リアルタイムでフォームを修正するシステムは利⽤されていない。「没⼊型 VR 環境における舞踊動作訓練シス

テム」[1] では、舞踊動作において、熟練者の動きと訓練者の動きを重ね合わせ動きのズレを可視化するシステムが作られている。しかし、トレーニングにおいて動作のスピードを合わせる必要がないので、本研究では別の⽅法で理想的なフォームとの違いを伝えるシステムを開発することにした。

第3章.研究内容

本研究では、アームカールにおいて上腕⼆頭筋を効率的に鍛えるフォームを理想とした。

効率的に上腕⼆頭筋を鍛えるためには、上腕⼆頭筋の関与を強め、他の筋⾁の関与を出来るだけ抑えるフォームが必要だと考えた。

アームカールの動作における伸展・屈曲による肘の⾓度は、0 度から 130 度が理想とされている[4]ため、130 度以上の屈曲は “腕曲げすぎ“として指摘箇所に設定した。また、屈曲⾓ 0度以下の肘の伸展に関しては“腕伸ばしすぎ”と指摘項⽬に設定した。

肘の前後へのぶれは上腕⼆頭筋への刺激が弱まる[2]ので、⽮状⾯での肘関節の座標が腰椎に対しマイナス⽅向に動くことも“肘固定”

と指摘項⽬に設定した。 30 度を超える肩関節の屈曲は三⾓筋前部も

強く作⽤する[3]ため上腕⼆頭筋の関与が弱まるので“肩あげない”と指摘項⽬に設定した。

C#を使⽤し、以上の指摘項⽬を Unity で判定するスクリプトと指摘の表⽰時間を 2 秒に設定するスクリプトを作成した。 第4章.結果

図 1.器材装着時の様⼦

図 1 の様に機材を装着し対象のトレーニングであるアームカールを⾏なった。

図 2.肘を必要以上に屈曲させた際の画⾯

図 2 は肘関節を 130 度以上曲げてアームカールを⾏った時のスマートグラスの表⽰画⾯である。他の項⽬も同様に、指摘項⽬に設定した動作を⾏うと⾃⾝のトレーニングフォームの CG モデルとともに指摘が 2 秒表⽰された。

モーションキャプチャは着⽤し続けていると、徐々に精度が落ち、特に⾜関節の精度が悪くなったが、アームカールのフォームにおいて⾜関節の重要度が低いため⾜関節の精度が落ちていくことは問題としなかった。

第5章.まとめと⾒通し

リアルタイムでフォームを指摘し修正を促すシステムを制作出来た。

本研究ではPerception Neuronによるモーションキャプチャを使⽤したが、装着に時間がかかることや、近くに電⼦機器等があると正確な動きを取ることができないこと、⻑時間着⽤していると精度が落ちること、何よりモーションキャプチャの普及率が低いことからスポーツクラブや家庭で運⽤するのは現在難しいと感じた。

モーションが現在よりも正確にとることが出来るようになれば、より多くの関節を動かす種⽬でもフォームの修正が⾏えるようになる。また⼿軽にモーションキャプチャが使えるようになれば、この技術を応⽤し、正しいトレーニングが専⾨家のサポートがなくても⾝につく環境が広がり、フィットネス業界がさらに発展すると考える。

参考⽂献

[1]脇⽥ 航、⿑藤 充⾏、⼩林 康秀(2016),『没⼊型

VR 環境における舞踊動作訓練システム』

[2]⽯井直⽅、岡⽥隆(2017),『筋⼒トレーニング・メ

ソッド 5つのコツでカラダが変わる!』⾼橋書店

[3]Frederic Delavier ( 1998 ) .GUIDE DES

MOUVEMENTS DE MUSCULATION APPROCHE

ANATOMIQUE.Editions Vigot Freres(フレデリック・

ドラヴィエ ⽩⽊仁・今井純⼦(訳)(2002),『⽬で⾒

る筋⼒トレーニングの解剖学』 ⼤修館書店)

[4]RONEI S. PINTO,NAIARA GOMES,RE ́ GIS

RADAELLI, CI ́NTIA E. BOTTON,LEE E. BROWN,

AND MARTIM BOTTARO(2012) “EFFECT OF

RANGE OF MOTION ON MUSCLE STRENGTH

AND THICKNESS ”