有機物(doc・poc) poc(0.1) 2 銅 t-cu 1 0...

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図 4.2-16(2) 森林域、河川域、海域における水質調査結果(初冬調査) 有機物(DOC・POC) 0 0.5 1 1.5 2 2.5 (mg/L) POC(0.1) DOC 有機物(フミン酸・フルボ酸) 0 0.1 0.2 0.3 0.4 フミン酸(mg/L) 0 1 2 3 4 フルボ酸(mg/L) フミン酸(0.1) フルボ酸 窒素 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 (mg/L) その他のN NH4-N(0.01) NO3-N NO2-N(0.001) 珪酸 0 2 4 6 8 10 (mg/L) リン 0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 (mg/L) その他のP PO4-P(0.001) 0 0.5 1 1.5 2 (μg/L) T-Cu D-Cu XAD-Cu(0.5) 亜鉛 0 2 4 6 8 (μg/L) T-Zn D-Zn XAD-Zn(5) ニッケル 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 (μg/L) T-Ni D-Ni(0.1) XAD-Ni(0.5) コバルト 0 0.05 0.1 0.15 0.2 T-Co、D-Co (μg/L) 0.04 0.03 0.02 0.01 0.00 XAD-Co(μg/L) T-Co D-Co XAD-Co(0.01) 0 20 40 60 80 100 T-Fe(μg/L) 10 8 6 4 2 0 D-Fe、フルボ 酸鉄(μg/L) T-Fe D-Fe フルボ酸鉄(5) (数値)は検出下限値を示す。定量下限値以下の値は図中では定量下限値として表した。 ナトリウム 0 2 4 6 森・川(mg/L) 0 3 6 9 12 海x1000(mg/L) 森林・河川Na 海域Na カリウム 0 0.4 0.8 1.2 森・川(mg/L) 0 2 4 6 海x100(mg/L) 森林・河川K 海域K カルシウム 0 2 4 6 8 10 森・川(mg/L) 0 1 2 3 4 5 海x100(mg/L) 森林・河川Ca 海域Ca マグネシウム 0 0.5 1 1.5 森・川(mg/L) 0.0 0.5 1.0 1.5 海x1000(mg/L) 森林・河川Mg 海域Mg マンガン 0 10 20 30 40 森林-1 森林-2 森林-3 森林-4 五堂城森 豊間根 繋橋 稲荷橋 大川 小川 津軽石川河口(表) 津軽石川河口(底) 宮古湾央(表) 宮古湾央(底) 閉伊川河口(表) 閉伊川河口(底) 宮古湾口(表) 宮古湾口(底) 宮古湾外(表) T-Mn、D-Mn(μg/L) 0.8 0.6 0.4 0.2 0.0 XAD-Mn(μg/L) T-Mn D-Mn(0.1) XAD-Mn BOD(森林・河川のみ) ・COD(海域のみ) 0 0.5 1 1.5 2 (mg/L) COD BOD(0.5) SS・VSS 0 3 6 9 12 (mg/L) SS(1) VSS(1) クロロフィルa量(海域のみ) 0 2 4 6 8 10 (μg/L) 固形物質(森林・河川のみ) 0 0.1 0.2 0.3 0.4 2mm未満(mg/L) 4.0 3.0 2.0 1.0 0.0 2mm以上(mg/L) 0.25-0.5mm 0.5-1mm 1-2mm 2mm以上 POM(炭素換算、森林・河川のみ) 0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 森林-1 森林-2 森林-3 森林-4 五堂城森 豊間根 繋橋 稲荷橋 大川 小川 津軽石川河口(表) 津軽石川河口(底) 宮古湾央(表) 宮古湾央(底) 閉伊川河口(表) 閉伊川河口(底) 宮古湾口(表) 宮古湾口(底) 宮古湾外(表) 2mm未満(Cmg/L) 2.0 1.6 1.2 0.8 0.4 0.0 2mm以上(Cmg/L) 0.25-0.5mm 0.5-1mm 1-2mm 2mm以上 289

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図 4.2-16(2) 森林域、河川域、海域における水質調査結果(初冬調査)

有機物(DOC・POC)

0

0.5

1

1.5

2

2.5(m

g/L)

POC(0.1)

DOC

有機物(フミン酸・フルボ酸)

0

0.1

0.2

0.3

0.4

フミ

ン酸

(m

g/L)

0

1

2

3

4

フル

ボ酸

(m

g/L)

フミン酸(0.1)

フルボ酸

窒素

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

(m

g/L)

その他のN

NH4-N(0.01)

NO3-N

NO2-N(0.001)

珪酸

0

2

4

6

8

10

(m

g/L)

リン

0

0.02

0.04

0.06

0.08

0.1

(m

g/L)

その他のP

PO4-P(0.001)

0

0.5

1

1.5

2

(μ

g/L)

T-Cu

D-Cu

XAD-Cu(0.5)

亜鉛

0

2

4

6

8

(μ

g/L)

T-Zn D-Zn XAD-Zn(5)

ニッケル

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

(μ

g/L)

T-Ni

D-Ni(0.1)

XAD-Ni(0.5)

コバルト

0

0.05

0.1

0.15

0.2

T-C

o、

D-C

o(μ

g/L)

0.04

0.03

0.02

0.01

0.00

XA

D-C

o(μ

g/L)

T-CoD-CoXAD-Co(0.01)

0

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40

60

80

100

T-Fe(μ

g/L)

10

8

6

4

2

0

D-Fe、

フル

ボ酸

鉄(μ

g/L)

T-Fe D-Fe フルボ酸鉄(5)

(数値)は検出下限値を示す。定量下限値以下の値は図中では定量下限値として表した。

ナトリウム

0

2

4

6

森・川

(m

g/L)

0

3

6

9

12

海x1

000(m

g/L)

森林・河川Na 海域Na

カリウム

0

0.4

0.8

1.2

森・川

(m

g/L)

0

2

4

6

海x1

00(m

g/L)

森林・河川K 海域K

カルシウム

0

2

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6

8

10

森・川

(m

g/L)

0

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海x1

00(m

g/L)

森林・河川Ca 海域Ca

マグネシウム

0

0.5

1

1.5

森・川

(m

g/L)

0.0

0.5

1.0

1.5

海x1

000(m

g/L)

森林・河川Mg

海域Mg

マンガン

0

10

20

30

40

森林

-1

森林

-2

森林

-3

森林

-4

五堂

城森

豊間

根繋

橋稲

荷橋

大川

小川

津軽

石川

河口

(表

)津

軽石

川河

口(底

宮古

湾央

(表

)宮

古湾

央(底

閉伊

川河

口(表

)閉

伊川

河口

(底

宮古

湾口

(表

)宮

古湾

口(底

宮古

湾外

(表

T-M

n、

D-M

n(μ

g/L)

0.8

0.6

0.4

0.2

0.0

XA

D-M

n(μ

g/L)

T-Mn

D-Mn(0.1)

XAD-Mn

BOD(森林・河川のみ)・COD(海域のみ)

0

0.5

1

1.5

2

(m

g/L)

COD

BOD(0.5)

SS・VSS

0

3

6

9

12

(m

g/L)

SS(1)

VSS(1)

クロロフィルa量(海域のみ)

0

2

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6

8

10

(μ

g/L)

固形物質(森林・河川のみ)

0

0.1

0.2

0.3

0.4

2m

m未

満(m

g/L)

4.0

3.0

2.0

1.0

0.0

2m

m以

上(m

g/L)

0.25-0.5mm

0.5-1mm

1-2mm

2mm以上

POM(炭素換算、森林・河川のみ)

0

0.02

0.04

0.06

0.08

0.1

森林

-1

森林

-2

森林

-3

森林

-4

五堂

城森

豊間

根繋

橋稲

荷橋

大川

小川

津軽

石川

河口

(表

)津

軽石

川河

口(底

宮古

湾央

(表

)宮

古湾

央(底

閉伊

川河

口(表

)閉

伊川

河口

(底

宮古

湾口

(表

)宮

古湾

口(底

宮古

湾外

(表

2mm

未満

(Cm

g/L)

2.0

1.6

1.2

0.8

0.4

0.0

2mm

以上

(Cm

g/L)

0.25-0.5mm

0.5-1mm

1-2mm

2mm以上

289

290

② 海域の負荷量(ストック)と河川の負荷量(フラックス)の比較

物質の流れについて、森林と河川とのフラックス、海域における河川由来と海域由来との

ストックをそれぞれ比較する。

なお、本来は森・河・海の3点で比較することが理想であるが、現地調査結果等からは森

林と河川のフラックスと、海域のストックが求まることとなり、フラックスとストックの次

元が異なるため単純な比較を行えないため、両者を分けて検討した。

ただし、本検討では、森林供給量は実測値より求めた森林の原単位に各地点の流域森林面

積を乗じて算出しているのに対し、河川通過量は実測の水質に流量を乗じることにより算出

しており、両者の算出方法に違いがあることに十分留意する必要がある。

森林域、渓流域、河口域の有機物の動態を検討した研究例としては、北海道の濃昼川での

例1)があり長坂らはその中で、粗粒有機物のほとんどが渓床に貯留され沿岸域に流出するの

はわずかであること、沿岸域に流出する有機物のほとんどは溶存態と細粒であることを示し

ている。

<森林の負荷量と河川の流下量の比較(フラックスの比較)>

流下に伴う流量と森林供給水量の変化を図 4.2-17に、流量と森林供給水量の河川間比較

を図 4.2-18に示す。なお、図に示した森林供給水量は、森林から流出する単位面積当たり

の流量に各地点の流域森林面積を乗じたものである。

津軽石川の流量は、最下流の稲荷橋や大川を除き、森林供給水量と概ね一致している。大

川で河川流量より森林供給水量が少なく算定された原因としては、上流に大きな排水施設が

ないことから、森林供給水量を算定するための森林から流出する単位面積当たりの流量を少

なく見積もったためで、森林4地点で単位面積当たりの流量を比べると地点間で2倍以上異

なっていることから、本川上流や小川と森林からの流出特性が異なることが考えられる。

稲荷橋については、森林からの流出特性の違いのほか、取排水の影響も考えられる。また、

海面に近づくことから、地下水の伏流も原因としてあげられる。

河川間の比較では、閉伊川の冬季を除き、森林から供給される水量より順流末端の流量が

多い結果となっている。閉伊川の冬季だけ森林供給量が上回った原因としては、閉伊川の流

程が約100kmと他河川の5倍程度あり降雨時の流水の到達時間に遅れが生じたこと、人為的取

水により流量が減少したこと等が挙げられる。

流下に伴う森林供給量と河川通過量を図 4.2-19に、河川別の森林供給量と河川通過量と

の関係を図 4.2-20に示す。なお、図に示した森林供給量は、森林から流出する単位面積当

1) 長坂晶子、河内香織、柳井清治:北海道日本海沿岸の山地渓流における有機物の動態と源流域の果たす役割、

応用生態工学会第7回研究発表会講演集、VOL. 7 (2003)

291

たりの負荷量に各地点の流域森林面積を乗じたものである。

有機物質負荷量は、各地点とも河川通過量と森林供給量とが概ね一致している。森林から

流出する有機物質は大半が溶存態であり、河川では速やかに流下していると考えられる。

窒素負荷量は、津軽石川の流下過程をみると、本川上流や支川で森林供給量と河川通過量

とに大きな違いが見られないが、中流から下流の繋橋や稲荷橋で河川通過量が森林供給量に

対して大幅に増加している。これは、中流から下流にかけて増加する市街地や農地からの負

荷が影響していると考えられ、発生源としては生活排水、工場排水、農地で散布された肥料

等が挙げられる。津軽石川以外の河川の順流末端でも河川通過量は森林供給量に対していず

れも多く、下流にある市街地や農地からの負荷により濃度が増大する傾向が見られる。

リン負荷量は、津軽石川の流下過程をみると、窒素負荷量とは逆に中流から下流の繋橋や

稲荷橋で河川通過量が森林供給量よりも少なくなっていた。これは、森林から流出したリン

酸は流下過程で吸着・沈降したり、藻類等の生物により消費されたためと考えられる。中流

から下流における市街地や農地からの負荷については、窒素で影響が見られることから、リ

ンでも河川の負荷量に影響を及ぼす量が発生していると考えられる。しかし、平水時を対象

とした本調査結果で確認できないことから、河川での吸着・沈降や藻類等による消費などが

生じていることが想定され、今後森林以外の負荷を明らかにするためには出水時の挙動を把

握する必要があると考えられる。津軽石川以外の河川についても、河川通過量は森林供給量

と同程度か少なくなっており、両者の傾向は一致している。

珪酸は、津軽石川の流下過程をみると、下流の稲荷橋や大川で河川通過量が森林供給量と

比べて増加が見られる。ただし、水質濃度で述べたように、流下に伴う濃度変化はほとんど

なく流量の違いを反映したものだと考えられる。津軽石川以外の河川についても、順流末端

の河川通過量は森林供給量より多いが、これらも流量の違いを反映したものである。

292

0

0.5

1

1.5

2

2.5

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

流量

(m

3/s)

五堂城森 豊間根 繋橋 稲荷橋 大川 小川

津軽石川本川 津軽石川支川

0

1

2

3

4

5

6

7

8

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

流量

(m

3/s)

五堂城森 豊間根 繋橋 稲荷橋 大川 小川

津軽石川本川 津軽石川支川

0

5

10

15

20

25

30

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

流量

(m

3/s

宮古湾流入河川 大槌湾流入河川

閉伊川 津軽石川 大槌川 小鎚川 鵜住居川

0

5

10

15

20

25

30

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

流量

(m

3/s)

宮古湾流入河川 大槌湾流入河川

閉伊川 津軽石川 大槌川 小鎚川 鵜住居川

晩夏調査

初冬調査

注:森林供給量は、森林の比流量に各地点の流域森林面積を乗じることにより算出

図 4.2-17 流下に伴う流量と森林供給水量の変化

晩夏調査

初冬調査

注:森林供給量は、森林の比流量に各地点の流域森林面積を乗じることにより算出

図 4.2-18 流量と森林供給水量の河川間比較

293

0

100

200

300

400

500

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

有機

物負

荷量

(kg

/day)

POC

DOC

五堂城森 豊間根 繋橋 稲荷橋 大川 小川

津軽石川本川 津軽石川支川

0

100

200

300

400

500

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

窒素

負荷

量(kg

/day)

その他

NH4-N

NO2-N

NO3-N

五堂城森 豊間根 繋橋 稲荷橋 大川 小川

津軽石川本川 津軽石川支川

0

2

4

6

8

10

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

リン

負荷

量(kg

/day)

その他

PO4-P

五堂城森 豊間根 繋橋 稲荷橋 大川 小川

津軽石川本川 津軽石川支川

0

1000

2000

3000

4000

5000

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

五堂城森 豊間根 繋橋 稲荷橋 大川 小川

津軽石川本川 津軽石川支川

SiO

2負

荷量

(kg

/day)

注:森林供給量は、森林の原単位に各地点の流域森林面積を乗じることにより算出

  河川通過量は、水質に流量を乗じることにより算出

図 4.2-19(1) 流下に伴う森林供給量と河川通過量との関係(晩夏調査)

294

0

100

200

300

400

500

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

有機

物負

荷量

(kg

/day)

POC

DOC

五堂城森 豊間根 繋橋 稲荷橋 大川 小川

津軽石川本川 津軽石川支川

0

100

200

300

400

500

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

窒素

負荷

量(kg

/day)

その他

NH4-N

NO2-N

NO3-N

五堂城森 豊間根 繋橋 稲荷橋 大川 小川

津軽石川本川 津軽石川支川

0

2

4

6

8

10

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

リン

負荷

量(kg

/day)

その他

PO4-P

五堂城森 豊間根 繋橋 稲荷橋 大川 小川

津軽石川本川 津軽石川支川

0

1000

2000

3000

4000

5000

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

五堂城森 豊間根 繋橋 稲荷橋 大川 小川

津軽石川本川 津軽石川支川

SiO

2負

荷量

(kg

/day)

注:森林供給量は、森林の原単位に各地点の流域森林面積を乗じることにより算出

  河川通過量は、水質に流量を乗じることにより算出

図 4.2-19(2) 流下に伴う森林供給量と河川通過量との関係(初冬調査)

295

0

500

1000

1500

2000

2500

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

有機

物負

荷量

(kg

/day)

POC

DOC

宮古湾流入河川 大槌湾流入河川

閉伊川 津軽石川 大槌川 小鎚川 鵜住居川

0

200

400

600

800

1000

1200

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

窒素

負荷

量(kg

/day)

その他

NH4-N

NO2-N

NO3-N

宮古湾流入河川 大槌湾流入河川

閉伊川 津軽石川 大槌川 小鎚川 鵜住居川

0

10

20

30

40

50

60

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

リン

負荷

量(kg

/day)

その他

PO4-P

宮古湾流入河川 大槌湾流入河川

閉伊川 津軽石川 大槌川 小鎚川 鵜住居川

0

5000

10000

15000

20000

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

宮古湾流入河川 大槌湾流入河川

閉伊川 津軽石川 大槌川 小鎚川 鵜住居川

SiO

2負

荷量

(kg

/day)

注:森林供給量は、森林の原単位に各地点の流域森林面積を乗じることにより算出

  河川通過量は、水質に流量を乗じることにより算出

図 4.2-20(1) 河川別の森林供給量と河川通過量との関係(晩夏調査)

296

0

500

1000

1500

2000

2500

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

有機

物負

荷量

(kg

/day)

POC

DOC

宮古湾流入河川 大槌湾流入河川

閉伊川 津軽石川 大槌川 小鎚川 鵜住居川

0

200

400

600

800

1000

1200

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

窒素

負荷

量(kg

/day)

その他

NH4-N

NO2-N

NO3-N

宮古湾流入河川 大槌湾流入河川

閉伊川 津軽石川 大槌川 小鎚川 鵜住居川

0

10

20

30

40

50

60

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

リン

負荷

量(kg

/day)

その他

PO4-P

宮古湾流入河川 大槌湾流入河川

閉伊川 津軽石川 大槌川 小鎚川 鵜住居川

0

5000

10000

15000

20000

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

森林供給量

河川通過量

宮古湾流入河川 大槌湾流入河川

閉伊川 津軽石川 大槌川 小鎚川 鵜住居川

SiO

2負

荷量

(kg

/day)

注:森林供給量は、森林の原単位に各地点の流域森林面積を乗じることにより算出

  河川通過量は、水質に流量を乗じることにより算出

図 4.2-20(2) 河川別の森林供給量と河川通過量との関係(初冬調査)

297

<海域の現存量と河川及び外洋からの供給量の比較(ストックの比較)>

河川からの負荷は、水質に流量を乗じた単位時間当たりの物質量として算出される。一方、

海域での現存量は、水質に海水量を乗じることで算出され、時間に関する次元はない。この

ため、河川からの負荷と海域との現存量を比較するためには、河川負荷量に湾内での滞留時

間を乗じ、海域の現存量と次元を統一して比較するのが望ましいと考えられる。

河川水の湾内の滞留時間を正確に求めるためには、湾内の流動、塩分に基づく外洋水と河

川水との混合比、湾口での海水交換量に関するデータが必要となる。また、これらのデータ

は潮汐や気象、河川水量などによって時々刻々と変化することから、平均的な滞留時間を算

出するためには、長期にわたる観測データを用いることとなる。

本調査では、湾内の流動に関する調査は行っておらず、水質や河川水量についても二季の

瞬時値(晩夏、初冬の平水時)の調査であることから、平均的な滞留時間を算出することは

不可能である。このようにデータの少ない条件ではあるが、調査により得られた塩分のデー

タを案分(湾内の海水は河川から流下した河川水と外洋から流入した外洋水が混合したもの

であり、外洋水によりもたらされる塩分は一定であるとして対象海域の河川水量と外洋水量

を算出)し、海域の現存量と河川及び外洋からの供給量の算出を試みた。また、現存量と河

川及び外洋からの供給量の試算結果を比較することにより、陸域から海域への物質寄与や陸

域から流入した物質の海域における消費、蓄積、形態変化について検討した。

なお、今回の検討は以下に示す限定的な条件で試みたものであり、一般論としては扱うこ

とは困難で注意が必要である。

・ 河川の影響が大きい表層部分(0~1m)のみを対象とした。

・ 湾内の流動に関する調査は行っておらず、水質や河川水量についても調査を行った二

季の瞬時値(晩夏、初冬の平水時)のみを用いた。なお、二季とも河川水が海域で拡

散している状況を捉えるため、下げ潮時に測定を行った。

・ 平水時のみの調査であり、流出が大きい出水時のデータを用いていないため、河川か

らの供給量が過小評価となっている。

・ 海水を塩分で案分し河川水と外洋水に分けており、河川由来の物質であっても外洋に

でた時点で外洋からの供給とみなしている(元々河川由来の物質であっても、外洋由来

の物質として算出している)。

a) 試算方法

 水質濃度の単位は、1リットル中の物質重量を用いるが、負荷量は単位時間当たりに発生・

排出・流達・流出する物質重量を示している。例えば、河川を流下する負荷量は、水質濃度

に河川水量を乗じて算定することができる。本検討は、「河川汚濁のモデル解析」(國松孝男・

村岡浩爾 編著 技報堂出版)を参考に以下に示す供給量、現存量を算定した。

298

a-1 概要

宮古湾内を、水質を測定した地点毎に、5ブロックに区分し、湾内各地点の塩分を外洋水

の塩分と河川水の塩分(0‰と仮定)で案分することにより、外洋水由来の水量と河川水由

来の水量との割合を求めた。

なお、算定は、海域での生産が高く、河川水の寄与が大きいこと、水質分析のための採水

を表層では水深0.5mで行っていることから、海面から水深1mまでの表層を対象とした。

 物質の供給量は、河川の順流末端における水質と淡水量を乗じたものを河川からの供給量、

外洋の水質と塩水量を乗じたものを外洋からの供給量とした。

 また、水質調査結果にブロックの海水量を乗じたものを物質の現存量とした。

a-2 ブロック区分と海水量算出(表層0~1m)

現地調査実施区域である宮古湾を、水質調査5地点を中心に5つのブロックに分けた。ブロ

ックごとに水深0m及び1mの表面積を算出し、以下の式に基づき表層部分の容積を求めた。

海水量(表層0~1m)=水深0mの表面積×水深1mの表面積×水深(1m)×1/2

a-3 ブロック別の河川水量と外洋水量の算出

海面からの蒸発や海面への降水を無視すると、湾内の海水は河川から流下した河川水と外

洋から流入した外洋水とが混合したものである。塩分は、化学変化や生物化学変化による影

響はほとんどなく、混合による物理変化によって値を変化させる。このため、湾内の塩分を

外洋水の塩分と河川水の塩分(0‰と仮定)とで案分し海水量に乗じることで、河川水量と

外洋水量を算出した。算出例は以下の通りである。

 例:外洋の塩分:34‰、対象海域の塩分:20‰、海水量:1000千m3

   外洋水量 = 20‰ / 34‰ × 1000千m3 =588千m3

     河川水量 = (34-20‰) / 34‰ × 1000千m3 =412千m3

表層における対象海域の水量等を表 4.2-12に示す。

表 4.2-12 対象海域における水量および塩分

対象海域津軽石川河口 宮古湾央 閉伊川河口 宮古湾口 宮古湾外

2,319,044 4,683,004 5,504,721 7,409,730 2,485,510

塩分(‰) 33.0 32.9 30.3 33.5 33.4 河川水割合(%) 2.0 2.3 10.0 0.6 0.8 外洋水割合(%) 98.0 97.7 90.0 99.4 99.2塩分(‰) 20.1 28.7 26.7 31.6 33.5 河川水割合(%) 40.4 15.0 20.7 6.4 0.6 外洋水割合(%) 59.6 85.0 79.3 93.6 99.4

晩夏

初冬

海水量(m3)

299

a-4 ブロック別の河川供給量、概要供給量

外洋水量に外洋濃度を、河川水量に河川濃度をそれぞれ乗じることにより外洋供給量、川

供給量を算出した。算出例は以下の通りである。

 例:外洋濃度:2mg/L、河川濃度:5mg/L

   外洋供給量 = 588千m3 ×2mg/L =1176kg

   河川供給量 = 412千m3 ×5mg/L =2060kg

なお、宮古湾では、津軽石川と閉伊川の2河川が流入しているが、河川供給量を求めるた

めに用いる水質は、地形等を勘案し、表 4.2-13に示すデータとした。

表 4.2-13 河川供給量算出に用いる水質データ

対象海域 主に影響を受ける河川 使用する水質データ

津軽石川河口 津軽石川 津軽石川の水質値

宮古湾央 津軽石川と閉伊川 津軽石川、閉伊川双方の影響を受けると考えら

れるため、両河川の平均値

閉伊川河口 閉伊川 閉伊川の水質値

宮古湾口 閉伊川 閉伊川の水質値

宮古湾外 閉伊川 閉伊川の水質値

a-5 ブロック別の現存量

対象海域の海水量に各現地調査地点の水質結果値を乗じ現存量を求めた。

b) 算出結果

晩夏調査の各地点における物質の供給量および現存量を図 4.2-21に、初冬調査の各地点

における物質の供給量および現存量を図 4.2-22に示す。

一般的に植物プランクトン中での炭素・窒素・リン(C:N:P)比は106:16:1であり試算

したデータにおいて生物ストック分と考えられる有機態の炭素:窒素:リンの比は概ね上記

と同傾向を示した。調査地点(内湾であること)や留意点(水質の測定方法、条件等)があるこ

とを考えると今回の試算による値は概ね妥当であると考えられる。

晩夏調査と初冬調査とを比較すると、晩夏調査では、例年と比べ調査前の降雨が少ないた

め、河川からの供給量が少ない傾向にある。一方、初冬調査では例年と比べ調査前の降雨が

多く、平水時としては河川からの供給量が多い傾向にある。

 有機態炭素は溶存態、懸濁態を問わず海洋からの供給が大部分であった。現存量は供給量

を上回っており植物プランクトンの光合成により、二酸化炭素を取り込み有機物を生産して

いることが推察された。

 全窒素は晩夏調査では外洋水、初冬調査では河川水からの供給が多かった。内訳では津軽

石川河口や閉伊川河口などの河川の流入部では、硝酸態窒素の供給量が多くなっている。現

300

存量が供給量を概ね上回っているのは、アンモニア態窒素、硝酸態窒素が植物プランクトン

の生産に利用され、有機態窒素として系内にストックされるためと考えられる。

珪酸の供給量は、河川水の供給量が少なかった晩夏調査においては外洋からの供給が、河

川水の供給量が多かった初冬調査においては河川からの供給が多かった。なお、既存文献等

により海水中の珪酸は元々陸上から河川を通じて供給されたものがほとんどであると考えら

れる。本検討においては、塩分の高い海水に含まれる珪酸は外洋からの供給とみなしている

ため、一般的な認識よりも外洋由来の珪酸が多く算出されている。現存量と供給量との関係

は、晩夏調査では供給量が現存量よりやや少ないか同程度、初冬調査では供給量が現存量よ

り多いか同程度であった。一般に珪酸は海域で珪藻類に取り込まれると、再び海水中に溶出

する量が少ないことから、珪藻類が多い海域では珪酸としての現存量が供給量より少なくな

る傾向にある。本検討では現存量の大幅な減少はみられなかった。

全リンは主に外洋からの供給量が多い傾向がみられたが、リン酸態リンは河川からの供給

量が比較的多かった。全リンの現存量は供給量より多い傾向がみられたことから植物プラン

クトン等の生物に利用されていることが考えられる。また、リン酸態リンは現存量が供給量

を大きく上回っており、これは河口域で植物プランクトン等に取り込まれたリンが沈降し、

リン酸態リンの形で溶出したり、底泥の巻き上がりに伴って表層に回帰するなどの現象によ

るものと推察された。

301

SiO2

0

3000

6000

9000

12000

15000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

T-P

0

200

400

600

800

1000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

POC

0

2000

4000

6000

8000

10000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量

河川からの供給量現存量

T-N

0

500

1000

1500

2000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

NO2-N

0

100

200

300

400

500

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

NO3-N

0

200

400

600

800

1000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

NH4-N

0

200

400

600

800

1000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

PO4-P

0

20

40

60

80

100

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

TOC

0

2000

4000

6000

8000

10000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量

河川からの供給量現存量

DOC

0

2000

4000

6000

8000

10000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量

河川からの供給量現存量

図1 津軽石川河口表層(晩夏)における栄養塩等の供給量と現存量

津軽石川の河川流量:1.92m3/s(平成15年10月7日の現場観測結果 稲荷橋)閉伊川の河川流量:14.52m3/s(平成15年10月7日の現場観測結果 小山田橋)

図 4.2-21(1) 栄養塩等の供給量と現存量の比較

(晩夏調査、津軽石川河口、表層)

302

SiO2

0

3000

6000

9000

12000

15000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

T-P

0

200

400

600

800

1000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

POC

0

2000

4000

6000

8000

10000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量

河川からの供給量現存量

T-N

0

500

1000

1500

2000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

NO2-N

0

100

200

300

400

500

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

NO3-N

0

200

400

600

800

1000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

NH4-N

0

200

400

600

800

1000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

PO4-P

0

20

40

60

80

100

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

TOC

0

2000

4000

6000

8000

10000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量

河川からの供給量現存量

DOC

0

2000

4000

6000

8000

10000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量

河川からの供給量現存量

図2 宮古湾央表層(晩夏)における栄養塩等の供給量と現存量

津軽石川の河川流量:1.92m3/s(平成15年10月7日の現場観測結果 稲荷橋)閉伊川の河川流量:14.52m3/s(平成15年10月7日の現場観測結果 小山田橋)

図 4.2-21(2) 栄養塩等の供給量と現存量の比較

(晩夏調査、宮古湾中央、表層)

303

SiO2

0

3000

6000

9000

12000

15000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

T-P

0

200

400

600

800

1000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

POC

0

2000

4000

6000

8000

10000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量

河川からの供給量現存量

T-N

0

500

1000

1500

2000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

NO2-N

0

100

200

300

400

500

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

NO3-N

0

200

400

600

800

1000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

NH4-N

0

200

400

600

800

1000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

PO4-P

0

20

40

60

80

100

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

TOC

0

2000

4000

6000

8000

10000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量

河川からの供給量現存量

DOC

0

2000

4000

6000

8000

10000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量

河川からの供給量現存量

図3 閉伊川河口表層(晩夏)における栄養塩等の供給量と現存量

津軽石川の河川流量:1.92m3/s(平成15年10月7日の現場観測結果 稲荷橋)閉伊川の河川流量:14.52m3/s(平成15年10月7日の現場観測結果 小山田橋)

図 4.2-21(3) 栄養塩等の供給量と現存量の比較

(晩夏調査、宮古川河口、表層)

304

SiO2

0

3000

6000

9000

12000

15000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

T-P

0

200

400

600

800

1000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

POC

0

2000

4000

6000

8000

10000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量

河川からの供給量現存量

T-N

0

500

1000

1500

2000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

NO2-N

0

100

200

300

400

500

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

NO3-N

0

200

400

600

800

1000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

NH4-N

0

200

400

600

800

1000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

PO4-P

0

20

40

60

80

100

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

TOC

0

2000

4000

6000

8000

10000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量

河川からの供給量現存量

DOC

0

2000

4000

6000

8000

10000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量

河川からの供給量現存量

図4 宮古湾口(表層晩夏)における栄養塩等の供給量と現存量

津軽石川の河川流量:1.92m3/s(平成15年10月7日の現場観測結果 稲荷橋)閉伊川の河川流量:14.52m3/s(平成15年10月7日の現場観測結果 小山田橋)

図 4.2-21(4) 栄養塩等の供給量と現存量の比較

(晩夏調査、宮古湾口、表層)

305

SiO2

0

3000

6000

9000

12000

15000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

T-P

0

200

400

600

800

1000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

POC

0

2000

4000

6000

8000

10000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量

河川からの供給量現存量

T-N

0

500

1000

1500

2000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

NO2-N

0

100

200

300

400

500

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

NO3-N

0

200

400

600

800

1000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

NH4-N

0

200

400

600

800

1000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

PO4-P

0

20

40

60

80

100

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

TOC

0

2000

4000

6000

8000

10000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量

河川からの供給量現存量

DOC

0

2000

4000

6000

8000

10000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量

河川からの供給量現存量

図5 宮古湾外表層(晩夏)における栄養塩等の供給量と現存量

津軽石川の河川流量:1.92m3/s(平成15年10月7日の現場観測結果 稲荷橋)閉伊川の河川流量:14.52m3/s(平成15年10月7日の現場観測結果 小山田橋)

図 4.2-21(5) 栄養塩等の供給量と現存量の比較

(晩夏調査、宮古湾外、表層)

306

SiO2

0

3000

6000

9000

12000

15000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

T-P

0

200

400

600

800

1000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

POC

0

2000

4000

6000

8000

10000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量

河川からの供給量現存量

T-N

0

500

1000

1500

2000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

NO2-N

0

100

200

300

400

500

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

NO3-N

0

200

400

600

800

1000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

NH4-N

0

200

400

600

800

1000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

PO4-P

0

20

40

60

80

100

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

TOC

0

2000

4000

6000

8000

10000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量

河川からの供給量現存量

DOC

0

2000

4000

6000

8000

10000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量

河川からの供給量現存量

図6 津軽石川河口表層(初冬)における栄養塩等の供給量と現存量

津軽石川の河川流量:7.00m3/s(平成15年12月3日の現場観測結果 稲荷橋)閉伊川の河川流量:21.01m3/s(平成15年12月3日の現場観測結果 小山田橋)

図 4.2-22(1) 栄養塩等の供給量と現存量の比較

(初冬調査、津軽石川河口、表層)

307

SiO2

0

3000

6000

9000

12000

15000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

T-P

0

200

400

600

800

1000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

POC

0

2000

4000

6000

8000

10000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量

河川からの供給量現存量

T-N

0

500

1000

1500

2000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

NO2-N

0

100

200

300

400

500

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

NO3-N

0

200

400

600

800

1000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

NH4-N

0

200

400

600

800

1000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

PO4-P

0

20

40

60

80

100

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

TOC

0

2000

4000

6000

8000

10000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量

河川からの供給量現存量

DOC

0

2000

4000

6000

8000

10000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量

河川からの供給量現存量

図7 宮古湾央表層(初冬)における栄養塩等の供給量と現存量

津軽石川の河川流量:7.00m3/s(平成15年12月3日の現場観測結果 稲荷橋)閉伊川の河川流量:21.01m3/s(平成15年12月3日の現場観測結果 小山田橋)

図 4.2-22(2) 栄養塩等の供給量と現存量の比較

(初冬調査、宮古湾中央、表層)

308

SiO2

0

3000

6000

9000

12000

15000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

T-P

0

200

400

600

800

1000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

POC

0

2000

4000

6000

8000

10000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量

河川からの供給量現存量

T-N

0

500

1000

1500

2000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

NO2-N

0

100

200

300

400

500

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

NO3-N

0

200

400

600

800

1000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

NH4-N

0

200

400

600

800

1000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

PO4-P

0

20

40

60

80

100

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

TOC

0

2000

4000

6000

8000

10000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量

河川からの供給量現存量

DOC

0

2000

4000

6000

8000

10000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量

河川からの供給量現存量

図8 閉伊川河口表層(初冬)における栄養塩等の供給量と現存量

津軽石川の河川流量:7.00m3/s(平成15年12月3日の現場観測結果 稲荷橋)閉伊川の河川流量:21.01m3/s(平成15年12月3日の現場観測結果 小山田橋)

図 4.2-22(3) 栄養塩等の供給量と現存量の比較

(初冬調査、閉伊川河口、表層)

309

SiO2

0

3000

6000

9000

12000

15000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

T-P

0

200

400

600

800

1000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

POC

0

2000

4000

6000

8000

10000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量

河川からの供給量現存量

T-N

0

500

1000

1500

2000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

NO2-N

0

100

200

300

400

500

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

NO3-N

0

200

400

600

800

1000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

NH4-N

0

200

400

600

800

1000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

PO4-P

0

20

40

60

80

100

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

TOC

0

2000

4000

6000

8000

10000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量

河川からの供給量現存量

DOC

0

2000

4000

6000

8000

10000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量

河川からの供給量現存量

2,564 1,080

図9 宮古湾口表層(初冬)における栄養塩等の供給量と現存量

津軽石川の河川流量:7.00m3/s(平成15年12月3日の現場観測結果 稲荷橋)閉伊川の河川流量:21.01m3/s(平成15年12月3日の現場観測結果 小山田橋)

図 4.2-22(4) 栄養塩等の供給量と現存量の比較

(初冬調査、宮古湾口、表層)

310

SiO2

0

3000

6000

9000

12000

15000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

T-P

0

200

400

600

800

1000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

POC

0

2000

4000

6000

8000

10000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量

河川からの供給量現存量

T-N

0

500

1000

1500

2000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

NO2-N

0

100

200

300

400

500

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

NO3-N

0

200

400

600

800

1000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

NH4-N

0

200

400

600

800

1000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

PO4-P

0

20

40

60

80

100

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量河川からの供給量現存量

TOC

0

2000

4000

6000

8000

10000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量

河川からの供給量現存量

DOC

0

2000

4000

6000

8000

10000

1 2供給量       現存量

kg

外洋からの供給量

河川からの供給量現存量

図10 宮古湾外表層(初冬)における栄養塩等の供給量と現存量

津軽石川の河川流量:7.00m3/s(平成15年12月3日の現場観測結果 稲荷橋)閉伊川の河川流量:21.01m3/s(平成15年12月3日の現場観測結果 小山田橋)

図 4.2-22(5) 栄養塩等の供給量と現存量の比較

(初冬調査、宮古湾外、表層)

311

3) 底質調査結果

 晩夏調査時に行った底質調査結果を表 4.2-14、図 4.2-23に示す。

(1) 河川域底質調査結果

 有機物濃度は、大川が小川や本川より高い。水質の有機物濃度は、底質ほどの変化が見ら

れないが、負荷量でみると大川は小川や本川上流の五堂城森や豊間根より高く、上流部で比

較した傾向は一致しており、大川では有機物堆積の堆積が生じやすいか、有機物の分解が遅

いと考えられる。

 T-N濃度は、有機物濃度と同様の傾向を示していた。また、内訳のほとんどはその他(NH4-N、

NO2-N、NO3-N以外)であった。有機物との濃度比が5:1~10:1程度であり、生物の構成比に

近いことから、堆積している有機物及び窒素の大半は生物由来であると考えられる。

 T-P濃度は、上流や支川で高く、中流や下流で低くなる傾向が得られ、PO4-Pが大半を占め

ている。この傾向は水質と一致しており、リンについては河川水からの吸着や沈降と底質か

らの溶出や流出がいずれの地点においても同様なバランスで保たれていると考えられる。

 SiO2濃度も、水質と同様の傾向で、本川より支川で若干低いものの、ほぼ一定であった。

珪素についてもリン同様、河川水からの吸着や沈降と底質からの溶出や流出がいずれの地点

においても同様なバランスで保たれていると考えられる。

 粒度組成は、最上流の五堂城森で中礫や細礫の占める割合が高い。また、支川については、

中礫からシルト・粘土までの比較的広い粒径分布を示している。豊間根から稲荷橋までは、

砂礫から中砂までが大半を占め狭い範囲の粒径分布となっている。

(2) 海域底質調査結果

 TOC濃度は、津軽石川河口では12.2mg/L、宮古湾央では7.5mg/Lと津軽石川河口で高かった。

また、両地点とも河川におけるTOC濃度よりも高かった。

 T-N濃度は、津軽石川河口では0.97mg/L、宮古湾央では0.65mg/Lと津軽石川河口で高かっ

た。内訳は両地点とも窒素分のほとんどがその他のN(有機態窒素等)であり、NO2-N、NO3-N、

NH4-Nの濃度は低かった。また、両地点とも河川における窒素濃度よりも高かった。

 T-P濃度は、津軽石川河口では0.61 mg/L、宮古湾央では0.51 mg/Lと津軽石川河口でやや

高かった。内訳は両地点ともPO4-Pの占める割合が高かったが、津軽石川河口ではその他のP

(有機リン等)も1/3程度あった。両地点とも河川におけるリン濃度よりもやや高かった。

 SiO2濃度は、両地点とも60mg/L程度とほぼ同じ値であった。河川における珪酸濃度よりも

やや低かった。

 津軽石川河口では中砂、細砂、シルト、粘土の4区分でほとんどを占めていた。宮古湾央

では細砂、シルト、粘土の3区分でほとんどを占めており、特にシルトが59%と多かった。

礫や中砂が多い河川の底質に比べ、細かい区分の底質が多く、汽水域において細かい粒径の

底質が沈殿したことがデータから示された。

312

表 4.2-14 底質調査結果(河川域、海域)地点 河川域 海域

津軽石川本川 津軽石川支川五堂城森 豊間根 繋橋 稲荷橋 大川 小川 川河口 湾央

区分 項目(略) 単位 底層 底層有機物 TOC mg/g 1.0 1.2 0.9 0.6 3.9 1.6 12.2 7.5金属元素 Na mg/g 0.16 0.19 0.17 0.15 0.29 0.17 5.60 5.20(主要) K mg/g 4.9 5.2 3.9 3.2 6.4 4.6 4.9 4.9

Ca mg/g 1.2 1.7 1.1 0.71 2.4 2.3 2.6 2.9Mg mg/g 8.2 9.2 6.1 4.5 11.0 11.0 10.0 12.0

有機物 フミン酸 mg/kg 0.5 0.5 0.6 0.5 1.6 0.8 5.8 2.9フルボ酸 mg/kg 9.9 2.5 9.9 6.0 21.0 10.0 59.0 26.0

N類 T-N mg/g 0.09 0.19 0.20 0.13 0.41 0.25 0.97 0.65NO2-N mg/g <0.001 <0.001 <0.001 <0.001 <0.001 <0.001 <0.001 <0.001

NO3-N mg/g 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.002 0.001

NH4-N mg/g <0.001 <0.001 <0.001 <0.001 0.002 <0.001 0.002 0.008

珪酸 SiO2 % 72.8 70.8 74.0 75.2 66.3 67.5 64.4 63.1P類 T-P mg/g 0.46 0.49 0.37 0.25 0.49 0.53 0.61 0.51

PO4-P mg/g 0.36 0.32 0.23 0.19 0.37 0.40 0.39 0.48金属元素 Mn mg/g 2.70 1.50 0.72 0.50 2.00 1.10 0.54 0.53(微量) Cu mg/g 0.029 0.038 0.019 0.016 0.038 0.032 0.028 0.025

Zn mg/g 0.059 0.083 0.046 0.042 0.087 0.071 0.081 0.082Ni mg/g 0.015 0.027 0.012 0.010 0.031 0.030 0.025 0.033Co mg/g 0.0058 0.0091 0.0041 0.0036 0.0099 0.0100 0.0081 0.0086Fe mg/g 29 33 22 17 38 36 28 30

粒度組成 粗礫(19-75mm) % 0 0 0 0 0 0 0 0中礫(4.75-19mm) % 29 2 1 0 12 5 0 0細礫(2-4.75mm) % 33 0 7 0 12 5 0 0粗砂(0.85-2mm) % 27 31 39 17 15 25 3 0中砂(0.25-0.85mm) % 8 66 49 80 43 54 17 2細砂(0.075-0.25mm) % 0 0 1 1 14 7 37 28シルト(0.005-0.075mm) % 3 1 3 2 4 4 26 59粘土(0.005mm以下) % - - - - - - 17 11

注) 河川域においてはシルト、粘土の合計量をシルトの欄に示し、粘土の欄を-とした。

津軽石 宮古

313

図 4.2-23 河川域、海域における底質調査結果

窒素濃度

リン濃度

珪素濃度

粒度組成

有機物濃度

0369

1215

五堂

城森

豊間

繋橋

稲荷

大川

小川

津軽

石川

河口

宮古

湾央

TO

C濃

度(m

g/L) 下流上流

海域津軽石川本川 津軽石川支流

00.20.40.60.8

1

五堂

城森

豊間

繋橋

稲荷

大川

小川

津軽

石川

河口

宮古

湾央

窒素

濃度

(m

g/L)

NO3-N NO2-N NH4-N その他

下流上流

海域津軽石川本川 津軽石川支流

0

0.2

0.4

0.6

0.8

五堂

城森

豊間

繋橋

稲荷

大川

小川

津軽

石川

河口

宮古

湾央

リン

濃度

(m

g/L)

PO4-P その他

下流上流

海域津軽石川本川 津軽石川支流

0

20

40

60

80

五堂

城森

豊間

繋橋

稲荷

大川

小川

津軽

石川

河口

宮古

湾央

SiO

2濃

度(m

g/L) 下流上流

海域津軽石川本川 津軽石川支流

0%

20%

40%

60%

80%

100%

五堂

城森

豊間

繋橋

稲荷

大川

小川

津軽

石川

河口

宮古

湾央

粗礫(19-75mm) 中礫(4.75-19mm) 細礫(2-4.75mm)

粗砂(0.85-2mm) 中砂(0.25-0.85mm) 細砂(0.075-0.25mm)

シルト(0.005-0.075mm) 粘土(0.005mm以下)

下流上流

海域津軽石川本川 津軽石川支流

珪酸濃度

314

4) 森林土壌調査結果

 森林の調査地点は岩手県東部に位置し、津軽石川本流の上流部豊間根川流域にある山田町内国有林4箇所を

選定した。当該4箇所は津軽石川河口の宮古湾から約 12 km、太平洋岸に最も近い山田湾から約 6 km離れて

いる。山田町の森林面積は、23,741haで町の行政面積の90%を占め、民有林が42.5%、国有林が57.5%を占め

る人工林率は46.8%である。宮古測候所の10年間の観測によると、当地区の年平均気温は10.7℃、最高気温

35.7℃、最低気温-11.5℃、年間降水量は1,333mmとなっている。当地域の森林は冷温帯林に位置し、天然林

はブナ、イタヤカエデ、ミズナラ、トチノキ、コナラ、アカマツ等が茂り、人工林はスギ、カラマツ、アカ

マツなどが植栽されている。人工林は沢沿い、尾根筋や台風被害などから生ずるギャップなどには植栽木以

外の広葉樹が混じって生育し、また、下層には多くの種類からなる広葉樹低木層やシダなどの草本類、コケ

類などが生育している。地質はいずれも古生代後期から中生代の堆積岩からなり、森林-1、森林-2、森林-3

は粘板岩、森林-4はチャートである。

 森林-1、森林-2、森林-3、森林-4について国有林の森林調査簿等の資料とそれぞれ代表的な箇所2~3ヶ所

を選び標準地をとって調査した結果は、以下のとおりである。

 森林-1はスギとアカマツなどからなる人工林率が85%の森林で、林齢は40年生前後の壮齢林が多い。林齢

が高いこともあってヘクタール当たりの材積が400m3/ha~830m3/haと成長が良く、収量比数が0.92と密度が

高いことから、下層の植生はやや疎の森林である。崩壊地等はない。山腹の傾斜は25°~38°である。土壌

のF層は1cmあり、A層も10cmから16cmある。沢沿いの渓畔林について標準値をとり調査した結果出現種類数

は17種、高木層はスギなど、亜高木層はイヌシデなど、低木層はヤマモミジ、オオバクロモジなど、草本層

はスズタケ、チゴユリなどである。

 森林-2はクリ、コナラなどからなる天然林100%の森林で、林齢は20年生前後の若齢林である。ヘクタール

当たりの材積が156m3/ha~271m3/haであり、収量比数が0.66~0.82と密度が比較的低いが、平成14年に間伐

を行ったばかりであり、下層の植生はやや疎の森林である。崩壊地等はない。山腹の傾斜は15°~38°であ

る。土壌のF層は1cmから2cmあり、A層も4cmから25cmある。沢沿いの渓畔林について標準値をとり調査した

結果、出現種類数は26種と最も多く、高木層はクリなど、亜高木層はウリハダカエデなど、低木層はイヌシ

デ、アオダモなど、草本層はゼンマイ、イワガラミなどである。

 森林-3はスギ、アカマツなどからなる人工林率76%の森林で、林齢が25年生前後の若齢林が多い。ヘクタ

ール当たりの材積が320m3/ha~500m3/haであり、アカマツ林と広葉樹林は収量比数が0.78~0.82と密度が比

較的低いが、スギ林は1.00と密度が高い。スギ人工林については間伐が必要と考えられる。なお、2003年3月

の大雪により渓流沿いに雪折れ木が発生している。下層の植生は疎から中の森林である。崩壊地等はない。

山腹の傾斜は38°~41°と比較的急である。土壌のF層は1cmありA層も8cmから18cmある。沢沿いの渓畔林に

ついて標準値をとり調査した結果、出現種類数は20種、高木層はスギなど、亜高木層はオオバクロモジ、ミ

ツバツツジなど、低木層はイヌシデ、アオダモなど、草本層はジュウモンジシダ、モミジガサなどである。

 森林-4はブナ、イヌシデ、ウリハダカエデなどの広葉樹などからなる天然林100%の森林である。ヘクター

ル当たりの材積が290m3/ha~380m3/haであり、収量比数が0.63~0.65と密度が低く、下層の植生はやや疎か

ら中の森林である。山腹の傾斜は38°~40°と比較的急である。土壌のF層は林齢が120年と高いこともあり2cm

315

から4cmあるが、A層は3cmから8cmと比較的薄い。なお、A層が薄いのは他の3箇所が粘板岩を母岩としている

のに対し森林-4はチャートが母岩であることが影響していると考えられる。崩壊地等はない。沢沿いの渓畔

林について標準値をとり調査した結果、出現種類数は14種と最も少なく、高木層はイヌシデなど、亜高木層

はなく、低木層はイヌブナなど、草本層はジュウモンジシダ、スズタケ、フタリシズカなどである。

316

表 4.2-15 森林調査結果のとりまとめ一覧表(その1)

1-1 スギ林 190 スギ 30 25 1,100 830.0 0.92 18.8 やや疎

クロモジ、ヤブレガサ、ウリカエデ、チゴユリ、サンショウ、コアジサイ

1-2 アカマツ林 190

アカマツ・コナラ・シナノキ・ウリハダカエデ

12 16 1,900 400.7 0.92 46.9 やや疎

コナラ、イヌツゲ、ウリハダカエデ、ヤマモミジ、ミツバツツジ、ガマズミ、シダ、イヌシデ

2-1 クリ林 150クリ・アカマツ

13 14 1,200 156.4 0.66 36.5 やや疎

ミズナラ、ヤマモミジ、ササ、クリ、ハクウンボク、イヌシデ、イヌツゲ、クロモミジ

2-2 アカマツ林 220アカマツ・コナラ・クリ

11 13 1,800 271.3 0.82 24.0 やや疎コナラ、イヌツゲ、シダ、ヤマウルシ、オオカメノキ

2-3 コナラ林 170 コナラ 14 13 1,700 238.1 0.71 38.8 やや疎

コナラ、イヌシデ、アカマツ、ササ、シダ、チゴユリ、アオダモ、オオカメノキ

3-1 広葉樹林 300

コナラ・イヌブナ・ウリハダカエデ・ミズメ

14 20 1,100 325.8 0.82 27.5 疎

ミツバツツジ、コナラ、イヌシデ、イヌブナ、ウリハダカエデ、  コマユミ、オレオノカンバ

3-2 アカマツ林 290 アカマツ 9 14 1,400 363.1 0.78 60.9 中

オオカメノキ、ヤマモミジ、イヌシデ、クロモジ、シダ、ウリハダカエデ、コシアブラ

3-3 スギ林 190 スギ 17 15 3,400 503.9 1.00 10.1 疎タンナサワフタギ、ミツバツツジ、シダ

4-1 広葉樹林 280ブナ・イヌシデ・ホオノキ

25 23 400 377.2 0.63 33.9 やや疎

クロモジ、ウリハダカエデ、シダ、リュウノヒゲ、シナノキ、ヤマモミジ、オオモミジ、イヌブナ、コアジサイ、ウルシ、イヌシデ

4-2 広葉樹林 300

イヌシデ・コシアブラ・ウリハダカエデ

16 17 800 287.2 0.65 76.7 中

ウリハダカエデ、クロモジ、ミツバツツジ、コアジサイ、イヌシデ、リュウノヒゲ、ヤマモミジ

収量比数:一定面積内に最大限生育するときの全材積を1とし、これに対し対象とする森林の全材積の比。林内相対照度:林外の照度を100%としたときの林内の照度(%)

No 区分標準地名

平均胸高直径( cm )

林  相

1

針葉樹の壮齢林

2

広葉樹の若齢林

4

広葉樹の原生的天然林

3

針葉樹の若齢林

下層植生

下層植生の種類

林内相対照度(%)

標 高( m )

主な樹種上層樹高( m )

上層木のha当り本数(本/ha)

ha当り材積

(m3)

収量比数

317

表 4.2-16 森林調査結果のとりまとめ一覧表(その2)

F層 A層 B層

1-1 密H7年間伐済み林分であるが、林冠がうっ閉し始めており、下層植生も減少している。

斜面下部 25°褐色森林土壌

1-0 0-10 10-

1-2 やや密林内は過密により枯損・二股木等の劣勢木が多く目立つ。

斜面上部 38°乾性褐色森林土壌

1-0 0-16 16-

2-1 中林内は林冠がやや空いており、下層植生もあって適切な状態にある。

斜面下部 38°褐色森林土壌

1-0 0-25 25-

2-2 やや密上層木が競合状態にあり、林冠がうっ閉し枯損木・先折れ等の劣勢木が多く見られる。

尾根部 30°乾性褐色森林土壌

2-0 0-4 4-

2-3 中林内は林冠がやや空いており、下層植生もあって適切な状態にある。

尾根部 15°乾性褐色森林土壌

1-0 0-10 10-

3-1 中コナラ・イヌシデを主体とした広葉樹林である。上層がうっ閉し下層の植生は少ない。

斜面上部 40°乾性褐色森林土壌

1-0 0-17 17-

3-2 やや密上層がうっ閉しており、林内は過密となり優勢木・劣勢木が明確となっている。枯損木が多く目立つ。

斜面中部 38°褐色森林土壌

1-0 0-18B1,18-38B2,38-

3-3 密

林冠がうっ閉しており、林内陽光量が不足し下層植生が、殆どない状態にある。また傾斜が急峻なため表土の流出も見られる。

斜面下部 41°褐色森林土壌

1-0 0-8 8-

4-1 中

コナラ・イヌシデを主体とした広葉樹林である。下層には高木性の稚樹もみられ、現在適切な林分状態にある。

斜面中部 38°褐色森林土壌

4-0 0-5B1,5-40B2,40-

4-2 中下層には高木性の稚樹も見られ現在のところ適切な林分状態にある。

斜面中部 40°褐色森林土壌

2-0 0-3 3-

F層:表層土のうち、粗腐植層。植物葉は細かく破砕されているが、肉眼で組織が判別できる。A層:表層土のうち、腐植の混入した層

4

広葉樹の原生的天然林

土壌断面( cm )

土 壌地 形 傾 斜林 内 状 況樹冠

粗密度

2

広葉樹の若齢林

標準地名

1

針葉樹の壮齢林

3

針葉樹の若齢林

No 区分

318

表 4.2-17 森林調査地点資料(その1)

分収造林:契約により森林に木を植えて育て、木を販売した利益を森林所有者と造林者とで分収する仕組み

 

No 林小班 面積(ha) 人・天割合 樹種構成 林齢 ha当り材積 備考58い 16.39 100%人工林 スギ18%

アカマツ82%34 材積172m3/ha スギ間伐実施

アカマツ間伐未実施58ろ 6.19 100%人工林 アカマツ100% 40 材積217m3/ha 間伐実施h2

58は1 0.25 100%人工林 スギ100% 44 材積296m3/ha 間伐実施h7

58り 3.90 100%天然林 アカマツ60%他広葉樹40%

85 材積178m3/ha

計 26.73 人工林率85%

スギ10%アカマツ85%他広葉樹5%

沢名:七日畑沢

56と2 0.94 100%人工林 コナラ100% 22 材積199m3/ha 分収造林、間伐実施

56と3 5.42 100%人工林 クリ100% 22 材積282m3/ha 分収造林、間伐実施

56と4 1.02 100%人工林 アカマツ100% 21 材積79m3/ha 分収造林、間伐実施

56と5 9.05 100%人工林 クリ100% 21 材積398m3/ha 分収造林、間伐実施

56と6 5.33 100%人工林 コナラ100% 21 材積235m3/ha 分収造林、間伐実施

56ち1 0.50 100%人工林 クリ100% 20 材積298m3/ha 分収造林、間伐実施

計 22.26 人工林率100%

広葉樹林率95%アカマツ5%

50に2 6.50 100%人工林 スギ35%アカマツ65%

26 材積103m3/ha 間伐未実施

50に3 5.37 100%人工林 スギ25%アカマツ75%

26 材積103m3/ha 間伐未実施

50に4 7.23 100%人工林 スギ5%アカマツ95%

25 材積85m3/ha 間伐未実施

50に5 6.63 100%人工林 スギ25%アカマツ75%

25 材積85m3/ha 間伐未実施

50に6 4.86 100%人工林 スギ20%アカマツ80%

25 材積85m3/ha 間伐未実施

50ぬ 9.72 100%天然林 アカマツ40%他広葉樹60%

75 材積262m3/ha

計 40.31 人工林率約76%

スギ19%アカマツ74%他広葉樹7%

沢名:ナシロナイ沢

4

広葉樹の

原生的天然林

51い 35.00 100%天然林 アカマツ5%他広葉樹95%

120 材積183m3/ha 伐採の記録不明イヌシデの北限原生林的な森林

1

2

3

注:森林調査簿による。

針葉樹の壮齢林

広葉樹の若齢林

針葉樹の若齢林

319

表 4.2-18 森林調査地点資料(その2)

No   林小班面積

(ha) 施業区分等 伐期齢施業方法の

区分伐採方法 更新方法 新植年度

58い 16.39 アカマツ

分散伐区50 育成単層林

皆伐

(母樹保残) 天然下種 S44.4~5

58ろ 6.19 アカマツ

分散伐区50 育成単層林

皆伐

(母樹保残) 天然下種 S38.4~5

58は1 0.25スギ・

カラマツ等

分散伐区

50 育成単層林 皆伐 新植 S34.4~5

58り 3.90 保護樹帯アカマツは

  100 天然生林原則択伐

(30%以内) 天然下種 -

1

針葉樹の壮齢林

計 26.73            

56と2 0.94 分収造林 65 育成単層林 皆伐 未定 S5656と3 5.42 分収造林 60 育成単層林 皆伐 未定 S5656と4 1.02 分収造林 45 育成単層林 皆伐 未定 S5756と5 9.05 分収造林 60 育成単層林 皆伐 未定 S5756と6 5.33 分収造林 65 育成単層林 皆伐 未定 S5756ち1 0.50 分収造林 60 育成単層林 皆伐 未定 S53

2

広葉樹の若齢林

計 22.26            

50に2 6.50 アカマツ

長伐期100 育成単層林

皆伐

(母樹保残) 天然下種 S52.4~5

50に3 5.37 アカマツ

長伐期100 育成単層林

皆伐

(母樹保残) 天然下種 S52.4~5

50に4 7.23 アカマツ

長伐期100 育成単層林

皆伐

(母樹保残) 天然下種 S53.5

50に5 6.63 アカマツ

長伐期100 育成単層林

皆伐

(母樹保残) 天然下種 S53.5

50に6 4.86 アカマツ長

伐期100 育成単層林

皆伐

(母樹保残) 天然下種 S53.5

50ぬ 9.72 保護樹帯アカマツは

  100 天然生林原則択伐

(30%以内) 天然下種 -

3

針葉樹の若齢林

計 40.31            

4

広葉樹の

原生的天然林

51い 35.00 水源かん養

保安林- 禁伐 なし 天然下種 -

資料:森林調査簿(東北森林管理局 三陸北部森林管理署)、管理経営の指針(東北森林管理局 青森分局)

320

表 4.2-19 生産目標別の主伐の時期

標準的な施業体型地区 樹種

生産目標 仕立方法 期待径級

主伐の

時期

中径材 中仕立 24cm 50年スギ

大径材 中仕立 34cm 100年

中径材 中仕立 24cm 50年カラマツ

大径材 中仕立 30cm 80年

中径材 中仕立 24cm 50年

全域

アカマツ大径材 中仕立 34cm 100年

     資料:久慈・閉伊川国有林の地域別の森林計画書(久慈・閉伊川森林計画区)

表 4.2-20 保育の作業時期、回数

保育作業計画 (年)樹種 作業別 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 備考

下刈 △ ○ ○ ○ ○ △                  スギ

つる切・除伐           ←○→ ←○→     

人工林 ○ ○ ○ ○ △                    下刈 天然林 ◎ ◎ ○ ○ ○                    

アカマツ  

クロマツつる切・除伐         ←○→ ←○→      

 

下刈 ○ ○ ○ △                      カラマツ

つる切・除伐       ←○→ ←○→         

注)◎は2回刈り、△は必要に応じて実施することを示す。

資料:久慈・閉伊川国有林の地域別の森林計画書(久慈・閉伊川森林計画区)

 森林内の水温の状況

今回の森林調査地の水温は、次のとおりである。調査場所により調査時間が異なるが、1日の

うちの同じ時間帯ではないにもかかわらず、気温、水温とも安定して低く保たれている。

表 4.2-21  森林調査地の水温の測定結果

測定時間

調査日 水温

森林1針葉樹壮齢林

森林2広葉樹若齢林

森林3針葉樹若齢林

森林4広葉樹天然林

測定時間 10:00 12:00 13:30 15:30気温℃ 13.2 14.0 12.0 12.0H15.10.6水温℃ 12.2 12.6 11.8 11.2測定時間 13:00 11:10 10:00 8:30気温℃ 5.0 6.0 3.8 1.4H15.12.4水温℃ 7.3 7.6 6.4 6.1

    注:調査時間はおおよその時間である。

321

(イ)渓流における植生調査結果

 下記の調査方法で調査した。

322

5) 底生動物調査結果

 底生動物の調査結果は、表 4.2-22に示す摂食機能群と摂食型とに区分し、とりまとめた。森林域及び河川

域の底生動物調査結果を表 4.2-23、表 4.2-24、図 4.2-24、図 4.2-25、図 4.2-26に示す。なお、生活型に

ついては資料編に示した調査結果一覧に記載した。

表 4.2-22 底生動物の区分

(1) 森林域底生動物調査結果

 渓流の底生動物の生息数については、晩夏調査では生息数の多い順に見ると、森林-4(原

生的広葉樹天然林)が3,972個体/m2、森林-3(若齢針葉樹人工林)が1,736個体/m2と多く、

森林-2(若齢広葉樹人工林)と森林-1(壮齢針葉樹人工林)とはほぼ同数でそれぞれ500個

体/m2、476個体/m2である。湿重量ではカゲロウ目が重く、その他森林-2ではトンボ目が重

く確認された。

 初冬調査では生息数の多い順に見ると、森林-3(若齢針葉樹人工林)と森林-1(壮齢針

葉樹人工林)とがほぼ同数でそれぞれ2,240個体/m2、2,236個体/m2と多く、森林-4(原生的

広葉樹天然林)と森林-2(若齢広葉樹人工林)がほぼ同数でそれぞれ1,672個体/m2、1,400

個体/m2である。湿重量は全体に晩夏調査よりも重い傾向があった。晩夏調査と同様にカゲ

ロウ目の重量が重く、森林-3ではハエ目、森林-4ではアミメカゲロウ目も重かった。

 底生生物の生息数については、晩夏調査結果と初冬調査結果とでは森林タイプの順位も異

なり、複数の要因が関係していることが考えられる。年間を通じて調査していないこと、調

摂食機能群(餌の食べ方に着目して分類したグループ)の説明

分類 略号 区分 解説

摂食 SH 破砕食者 shredder 落葉等を細かくかみ砕いて摂食する.

機能群 FF 濾過食者 filter-feeder 網を張り有機物を集めて摂食する.

GC 堆積物収集者 deposit-collector/collector-gather 堆積物を集めて摂食する.

GR 剥ぎ取り食者 grazer 基質上の藻類を剥ぎ取る様に摂食する.

PR 捕食者 predator 動物(死体も含む)を捕食する.

PA 寄生者 parasite 宿主に寄生するもの。または自由生活で体液、血液を吸うもの。

摂食型(食性に着目して分類したグループ)の説明分類 略号 区分 解説

摂食型 H 植食者 herbivora 植物を摂食する.A 藻類食者 algivora 藻類を摂食する.D デトリタス食者 detritivora CPOM、FPOM等を摂食する.P 動物食者 predator 動物を摂食する、宿主に寄生する.O 雑食者 omnivor 様々なものを摂食する.

生活型の説明分類 区分 解説

生活型 造網型 net-spinning type 分泌絹糸を用いて捕獲網を作るもの.

固着型 attaching type 強い吸着器官または鈎着器官をもって他物に固着するもの.

匍匐型 creeping type 匍匐するもの.

携巣型 case-bearing type 筒巣をもつ多くのトビケラ目の幼虫.

遊泳型 swimming type 移動の際は主として遊泳するもの.

掘潜型 burrowing type 砂または泥の中に潜っていることが多いもの.

※)摂食機能群・摂食型・生活型は「R.W.MERRITT,K.W.CUMMINS(1996):Aquatic insects of North America」及び、「太田猛彦・高橋剛一郎(1999)渓流生態砂防学」等を参考とした。

323

査数が少ないことから更にデータを蓄積する必要がある。

(2) 河川域底生動物調査結果

<晩夏調査>

 晩夏における底生動物調査の結果概要を表 4.2-23に、摂食型、摂食機能型別の種類数と

個体数の変化を図 4.2-24に、分類群別質重量を図 4.2-26に示す。

 河川域の底生動物の定量調査と定性調査をあわせた種類数を摂食機能群別にみると、破砕

食者4種、濾過食者15種、堆積物収集者48種、剥ぎ取り食者15種、捕食者40種、捕食・寄生

者1種、その他6種の合計129種であった。地点別に種類数をみると50(稲荷橋)~73(小川)

種類であった。個体数を地点別にみると2412(大川)~9760(豊間根)個体/m2であった。

個体数の多かった豊間根では、摂食機能群別にみると剥ぎ取り食者および堆積物食者が多く、

摂食型別にみるとデトリタス食および藻類食の食性をもった昆虫綱のシロハラコカゲロウが

多かった。

 森林と比較すると、豊間根以外の調査点では、森林域より個体数が少ない傾向にあった。

豊間根は、種類数やその構成分類は他の地点と同様であったが、上流において、用水路への

分流で瀬切れ等が生じやすい地点であったため、種類数に関しては流下してきたものが調査

地点に留まる等、他の地点とは異なる特異な環境であったと考えられる。

 湿重量では晩夏調査ではいずれの地点でもカゲロウ目が重く、豊間根、繋橋、稲荷橋では

トビケラ目も重かった。支川の小川ではアミメカゲロウ目が重かった。森林との比較では、

いずれの地点でも森林域よりも湿重量が重い傾向があった。

<初冬調査>

 初冬における底生動物調査の結果概要を表 4.2-24に、摂食機能型、摂食型別の種類数と

個体数の変化を図 4.2-25に、分類群別質重量を図 4.2-26に示す。

 底生動物の定量調査と定性調査をあわせた種類数を摂食機能群別にみると、破砕食者12種、

濾過食者13種、堆積物収集者43種、剥ぎ取り食者16種、捕食者44種、捕食・寄生者1種、寄

生者1種、その他8種の合計138種であった。地点別に種類数をみると55(稲荷橋)~73(五

堂城森)種類であった。個体数を地点別にみると1264(小川)~8276(繋橋)個体/m2であ

った。個体数の多かった繋橋では、接食機能群別にみると堆積物食者および破砕食者、濾過

食者が多く、摂食型別にみるとデトリタス食および雑食の食性をもった昆虫綱のウルマーシ

マトビケラ、コカクツツトビケラ属が多かった。

 森林と比較すると、河川域の小川を除く各地点で森林域より個体数が多いく、晩夏調査と

は森林と河川との数量関係が逆転していた。

夏季と冬季の状況を比較すると、冬季は夏季より全体的に確認種類数が増加したが、個体

数では小川で約1/3以下、繋橋で約2倍と増減の傾向は地点間で大きく異なっていた。摂食機

324

能群でみた内訳では、破砕食者が種類数、個体数とも増加しており、森林から供給される落

葉等の供給量が増加したことが一因と考えられる。

湿重量は、初冬調査では全体に晩夏調査よりも重い傾向があった。特に繋橋で主にトビケ

ラ目の増加により、65.3g/m2と他の地点に比べて非常に重いことが特徴的であった。種ごと

の湿重量の計測は行っていないが、個体数ではウルマーシマトビケラ(1416個体/m2)及び

コカクツツトビケラ属(1072個体/m2)が多く確認されていた。その他の地点では、五堂城

森、豊間根ではカゲロウ目、トビケラ目、ハエ目が、稲荷橋や支川の大川、小川ではハエ目

が重く確認された。森林との比較では、いずれの地点でも森林域よりも湿重量が重い傾向が

あり、特にトビケラ目やハエ目の重量が重いために大きく差が見られるケースがみられた。

晩夏及び初冬の底生動物の調査結果を既往文献調査で示した北上川と比較すると、津軽石

川の種類数はいずれの調査地点も、北上川で種類数が多かった上流地点と同程度かそれ以上

であった。個体数に至っては、津軽石川では数倍から数十倍の量が存在している。また、津

軽石川では、地点間の差異が北上川より少なく、上流から下流にかけて連続した底生動物の

分布が形成されていると考えられる。

325

 表 4.2-23 底生動物調査の結果概要(晩夏調査)

森林

項   目森林-1

(針葉樹壮齢林)森林-2

(広葉樹若齢林)森林-3

(針葉樹若齢林)森林-4

(広葉樹天然林)

種類数 種類数 種類数 種類数

区   分 定量

定性

合計

定量

定性

合計

定量

定性

合計

定量

定性

合計

破砕食者 植物食者 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

植物食,デトリタス食者 1 0 1 4 0 1 1 0 1 0 1 12 2 0 2 136

雑食者 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 1 4

合  計 1 1 2 4 0 1 1 0 1 0 1 12 3 1 3 140

濾過食者 藻類食,デトリタス食者 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 4 0 0 0 0

デトリタス食者 1 0 1 4 1 0 1 12 2 0 2 24 1 0 1 16

動物食,デトリタス食者 1 0 1 44 1 0 1 12 2 0 2 40 1 0 1 112

動物食者 0 0 0 0 0 1 1 0 0 1 1 0 0 2 2 0

雑食者 1 0 1 8 0 1 1 0 1 0 1 12 0 0 0 0

合  計 3 0 3 56 2 2 4 24 6 1 7 80 2 2 4 128

堆積物 植物食,デトリタス食者 0 1 1 0 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0

収集者 藻類食,デトリタス食者 3 2 3 76 1 1 2 172 3 1 3 484 1 0 1 412

デトリタス食者 6 1 6 40 9 8 13 120 9 2 9 324 9 1 10 868

動物食,デトリタス食者 1 0 1 4 2 1 2 12 2 1 2 24 1 1 1 4

雑食者 1 0 1 12 1 2 2 8 2 1 2 12 0 1 1 0

合  計 11 4 12 132 13 13 20 312 16 5 16 844 11 3 13 1284

剥ぎ取り 藻類食者 2 0 2 40 2 3 4 8 1 0 1 4 3 0 3 56

食者 藻類食,デトリタス食者 2 0 2 24 1 2 3 4 3 1 4 328 2 1 2 240

合  計 4 0 4 64 3 5 7 12 4 1 5 332 5 1 5 296

捕食者 動物食,デトリタス食者 1 0 1 60 1 0 1 20 1 0 1 76 1 0 1 496

動物食者 8 4 12 148 11 9 14 124 12 4 13 192 11 9 18 1488

雑食者 0 1 1 0 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0

合  計 9 5 14 208 12 10 16 144 13 4 14 268 12 9 19 1984

捕食・ 動物食者 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

寄生者 合  計 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

その他 - 2 0 2 12 1 0 1 8 3 1 3 200 3 0 3 140

合   計 30 10 37 1904 31 31 49 2000 43 12 46 6944 36 16 47 15888

注)主な種類は、各調査地点における個体数の上位5種(ただし個体数合計に対する比率10%以上)とした。

 主な出現種

 個体数n/m2(個体数比率:%)

モンユスリカ亜科1200 (30.2)

ヒメフタオカゲロウ属 356 (20.5)

タニガワカゲロウ属228 (13.1)

ヒメフタオカゲロウ属172 (34.4)

ヒメフタオカゲロウ属 412 (10.4)

トゲマダラカゲロウ属 496 (12.5)

トビイロカゲロウ属 692 (17.4)

トゲマダラカゲロウ属 60 (12.6)

個体数

(n/m2)

個体数

(n/m2)

個体数

(n/m2)

個体数

(n/m2)

河川(津軽石川)

五堂城森 豊間根① 豊間根(10月) 繋橋 稲荷橋 大川 小川

種類数 種類数 種類数 種類数 種類数 種類数 種類数

定量

定性

合計

定量

定性

合計

定量

定性

合計

定量

定性

合計

定量

定性

合計

定量

定性

合計

定量

定性

合計

0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 4 0 0 0 0 0 0 0 0

1 2 2 140 0 2 2 0 1 0 1 352 0 1 1 0 1 1 1 20 0 1 1 0 1 1 1 100

0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

1 2 2 140 0 2 2 0 1 0 1 352 0 1 1 0 2 1 2 24 0 1 1 0 1 1 1 100

1 1 1 32 1 1 1 268 1 0 1 4 1 1 1 12 1 0 1 24 1 1 1 48 1 1 1 176

0 1 1 0 0 1 1 0 0 0 0 0 1 1 2 4 1 0 1 32 2 1 2 64 2 2 2 20

0 1 1 0 1 1 1 24 1 0 1 8 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 0 1 0 1 92

0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

2 4 4 156 5 4 5 444 3 3 5 196 5 4 6 156 5 2 6 132 6 3 8 284 6 6 7 76

3 8 8 188 7 7 8 736 5 3 7 208 7 6 9 172 7 2 8 188 9 6 12 396 10 9 11 364

0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 4 0 0 0 0 0 0 0 0

1 2 2 196 1 1 1 4816 1 1 1 4028 1 2 2 2712 1 0 1 268 2 1 2 812 3 1 3 1260

5 10 11 216 3 16 17 28 7 7 10 256 6 10 14 148 14 4 15 1236 7 11 13 256 21 12 24 660

1 1 1 8 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 20

2 1 2 24 3 1 3 268 1 2 2 132 1 1 1 8 1 0 1 132 1 2 2 8 1 2 2 32

9 14 16 444 7 18 21 5112 9 10 13 4416 8 14 18 2868 17 4 18 1640 10 14 17 1076 26 15 30 1972

3 4 5 56 1 1 2 64 1 2 2 32 3 1 3 432 3 2 3 292 3 2 3 84 5 3 5 296

4 5 5 972 4 4 4 1624 3 2 4 5736 4 6 7 360 4 4 5 264 6 4 6 560 5 5 5 524

7 9 10 1028 5 5 6 1688 4 4 6 5768 7 7 10 792 7 6 8 556 9 6 9 644 10 8 10 820

1 1 1 356 2 2 2 1288 1 1 1 364 2 1 2 140 2 1 2 28 1 0 1 4 1 1 1 180

8 14 15 348 10 11 14 672 13 12 21 576 8 8 10 188 6 4 8 364 8 11 13 160 13 7 13 564

0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 4

9 15 16 704 12 13 16 1960 14 13 22 940 10 9 12 328 8 5 10 392 9 11 14 164 15 8 15 748

0 1 1 0 0 1 1 0 0 1 1 0 1 0 1 4 1 1 1 28 0 1 1 0 1 1 1 36

0 1 1 0 0 1 1 0 0 1 1 0 1 0 1 4 1 1 1 28 0 1 1 0 1 1 1 36

4 4 4 40 3 5 5 264 3 3 4 52 3 2 3 220 3 0 3 1004 3 4 4 132 5 3 5 140

33 53 57 10176 34 51 59 39040 36 34 54 46944 36 39 54 17536 45 19 50 15328 40 43 58 9648 68 45 73 16720

シロハラコカゲロウ   306 (29.3)

個体数

(n/m2)

ヒラタカゲロウ属 1020 (10.5)

ハモンユスリカ属 600 (15.7)

ヒラタカゲロウ属  332 (13.1)

シロハラコカゲロウ 4816 (49.3)

トゲマダラカゲロウ属 1248 (13.2)

ヒメヒラタカゲロウ属    63 (10.4)

シロハラコカゲロウ   199 (33.0)

シロハラコカゲロウ 4028 (34.3)

エルモンヒラタカゲロウ 4576 (39.0)

ヒメヒラタカゲロウ属  612 (24.1)

トゲマダラカゲロウ属  356 (14.0)

個体数

(n/m2)

個体数

(n/m2)

個体数

(n/m2)

個体数

(n/m2)

個体数

(n/m2)

個体数

(n/m2)

コカゲロウ属 384 (10.0)

シロハラコカゲロウ2712 (61.9)

326

 表 4.2-24 底生動物調査の結果概要(初冬調査)

森林

項   目森林-1

(針葉樹壮齢林)森林-2

(広葉樹若齢林)森林-3

(針葉樹若齢林)森林-4

(広葉樹天然林)

種類数 種類数 種類数 種類数

区   分 定量

定性

合計

定量

定性

合計

定量

定性

合計

定量

定性

合計

破砕食者 植物食,デトリタス食者 2 1 2 128 1 2 3 8 3 2 4 124 1 0 1 132

デトリタス食者 4 1 5 184 3 4 5 32 5 0 5 140 4 3 5 136

雑食者 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 0

合  計 6 3 8 312 4 6 8 40 8 2 9 264 5 4 7 268

濾過食者 藻類食者,デトリタス食者 1 0 1 16 1 0 1 4 1 1 2 16 1 1 1 8

デトリタス食者 1 1 2 28 1 1 1 12 1 0 1 4 0 1 1 0

動物食,デトリタス食者 1 0 1 104 1 1 1 20 1 1 1 68 1 1 1 24

動物食者 0 0 0 0 0 2 2 0 0 0 0 0 0 2 2 0

雑食者 0 2 2 0 0 2 2 0 1 2 2 16 1 0 1 28

合  計 3 3 6 148 3 6 7 36 4 4 6 104 3 5 6 60

堆積物 藻類食者,デトリタス食者 3 1 3 248 2 3 3 192 2 2 3 140 2 2 2 224

収集者 デトリタス食者 8 2 8 132 12 7 15 296 12 2 12 460 5 2 6 216

動物食,デトリタス食者 2 1 2 56 0 2 2 0 1 1 2 12 1 0 1 24

雑食者 2 1 2 20 2 1 2 40 1 1 1 36 1 1 1 52

合  計 15 5 15 456 16 13 22 528 16 6 18 648 9 5 10 516

剥ぎ取り 藻類食者 5 0 5 152 5 0 5 56 4 0 4 60 1 0 1 4

食者 藻類食,デトリタス食者 2 3 3 476 5 4 5 192 4 4 4 356 3 2 4 180

雑食者 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

合  計 7 3 8 628 10 4 10 248 8 4 8 416 4 2 5 184

捕食者 動物食,デトリタス食者 1 0 1 12 1 1 1 72 1 0 1 44 1 1 1 28

動物食者 13 10 19 636 16 7 18 464 13 11 17 676 12 7 14 536

雑食者 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

合  計 14 10 20 648 17 8 19 536 14 11 18 720 13 8 15 564

捕食・ 動物食者 1 0 1 8 1 1 1 4 1 0 1 8 1 0 1 4

寄生者 合  計 1 0 1 8 1 1 1 4 1 0 1 8 1 0 1 4

寄生者 藻類食者 1 0 1 12 0 1 1 0 0 1 1 0 0 0 0 0

動物食者 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

合  計 1 0 1 12 0 1 1 0 0 1 1 0 0 0 0 0

その他 - 4 1 4 24 2 0 2 8 2 1 2 80 4 1 4 76

合   計 51 25 63 2236 53 39 70 1400 53 29 63 2240 39 25 48 1672

注)主な種類は、各調査地点における個体数の上位5種(ただし個体数合計に対する比率10%以上)とした。

モンユスリカ亜科   340 (20.3)

ヒメフタオカゲロウ属   208 (12.4)

モンユスリカ亜科   256 (11.4)

 主な出現種

 個体数n/m2(個体数比率:%)

個体数

(n/m2)

個体数

(n/m2)

個体数

(n/m2)

個体数

(n/m2)

シロハラコカゲロウ   156 (11.1)

ミドリカワゲラ科   164 (11.7)

タニガワカゲロウ属   460 (20.6)

ミドリカワゲラ科   304 (13.6)

河川(津軽石川)

五堂城森 豊間根 繋橋 稲荷橋 大川 小川

種類数 種類数 種類数 種類数 種類数 種類数

定量

定性

合計

定量

定性

合計

定量

定性

合計

定量

定性

合計

定量

定性

合計

定量

定性

合計

3 2 3 596 3 2 3 372 1 3 3 1072 1 3 3 28 2 1 2 188 2 2 2 36

2 4 4 36 4 2 4 300 2 3 4 228 3 2 3 20 4 2 5 72 2 3 3 52

0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

5 6 7 632 7 4 7 672 3 6 7 1300 4 5 6 48 6 3 7 260 4 5 5 88

1 2 2 24 1 0 1 44 1 0 1 64 0 0 0 0 1 1 1 12 1 0 1 48

0 2 2 0 1 0 1 28 0 1 1 0 1 1 1 36 1 1 1 12 1 1 1 44

0 1 1 0 1 1 1 8 1 1 1 4 0 1 1 0 1 1 1 28 1 1 1 16

0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

3 4 5 80 3 3 4 364 6 5 6 1996 1 1 2 4 5 5 6 64 4 4 6 140

4 9 10 104 6 4 7 444 8 7 9 2064 2 3 4 40 8 8 9 116 7 6 9 248

2 2 2 172 1 2 2 1092 3 3 3 228 2 2 2 152 2 2 2 220 2 3 3 140

7 8 12 908 10 6 13 1636 10 12 14 2916 13 9 16 3560 18 9 19 1392 6 10 13 236

1 1 1 8 0 0 0 0 1 2 2 8 0 2 2 0 1 1 2 24 0 1 1 0

1 1 1 40 1 1 1 32 1 1 1 8 1 1 1 208 1 1 1 124 0 0 0 0

11 12 16 1128 12 9 16 2760 15 18 20 3160 16 14 21 3920 22 13 24 1760 8 14 17 376

1 1 2 4 0 0 0 0 3 2 3 376 3 3 4 236 2 1 2 2944 3 2 3 60

4 5 6 1340 4 3 4 956 5 4 6 452 1 2 3 8 5 4 5 572 6 4 6 168

0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 0 1 1 1 8 0 0 0 0 0 0 0 0

5 6 8 1344 4 3 4 956 8 7 10 828 5 6 8 252 7 5 7 3516 9 6 9 228

1 2 2 296 1 0 1 284 1 1 1 48 1 1 1 4 1 1 1 24 1 1 1 28

11 16 23 624 12 13 16 924 13 10 16 664 5 10 10 320 15 13 20 472 14 18 23 204

0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

12 19 26 920 13 13 17 1208 14 11 17 712 6 11 11 324 16 14 21 496 15 19 24 232

1 1 1 12 1 0 1 4 1 1 1 64 1 1 1 80 1 0 1 16 1 0 1 12

1 1 1 12 1 0 1 4 1 1 1 64 1 1 1 80 1 0 1 16 1 0 1 12

0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

0 0 0 0 1 0 1 4 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

0 0 0 0 1 0 1 4 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

3 4 5 92 2 3 3 336 1 2 2 148 1 4 4 24 3 2 3 112 4 2 4 80

41 57 73 4232 46 36 56 6384 50 52 66 8276 35 44 55 4688 63 45 72 6276 48 52 69 1264

コカクツツトビケラ属  1072 (13.0)

エリユスリカ属  1112 (13.4)

シロハラコカゲロウ  136 (10.8)

ヒラタカゲロウ属   608 (14.4)

トウヨウマダラカゲロウ属   592 (14.0)

ヒメヒラタカゲロウ属   524 (12.4)

グマガトビケラ属   424 (10.0)

マルツツトビケラ属  2932 (46.7)

ヒメトビイロカゲロウ   656 (10.5)

シロハラコカゲロウ   1092 (17.1)

トウヨウマダラカゲロウ属   872 (13.7)

ウスバヒメガガンボ属  2596 (55.4)

エリユスリカ属   796 (17.0)

ウルマーシマトビケラ  1416 (17.1)

個体数

(n/m2)

個体数

(n/m2)

個体数

(n/m2)

個体数

(n/m2)

個体数

(n/m2)

個体数

(n/m2)

327

図 4.2-24 底生動物の摂食機能型、摂食型別の種類数、個体数(晩夏調査)

注)摂食機能群に並んだ摂食型が、摂食機能型の内訳(摂食型)を示している。

底生動物種類数(晩夏調査)

0

10

20

30

40

50

60

70

80

森林-1

(摂食機能群)

(摂食型)

森林-2

(摂食機能群)

(摂食型)

森林-3

(摂食機能群)

(摂食型)

森林-4

(摂食機能群)

(摂食型)

五堂城森

(摂食機能群)

(摂食型)

豊間根

(摂食機能群)

(摂食型)

繋橋

(摂食機能群)

(摂食型)

稲荷橋

(摂食機能群)

(摂食型)

支川・大川

(摂食機能群)

(摂食型)

支川・小川

(摂食機能群)

(摂食型)

種類数

底生動物個体数(晩夏調査)

0

2000

4000

6000

8000

10000

森林-1

(摂食機能群)

(摂食型)

森林-2

(摂食機能群)

(摂食型)

森林-3

(摂食機能群)

(摂食型)

森林-4

(摂食機能群)

(摂食型)

五堂城森

(摂食機能群)

(摂食型)

豊間根

(摂食機能群)

(摂食型)

繋橋

(摂食機能群)

(摂食型)

稲荷橋

(摂食機能群)

(摂食型)

支川・大川

(摂食機能群)

(摂食型)

支川・小川

(摂食機能群)

(摂食型)

個体

数/m2

摂食機能群

その他

捕食,寄生者

捕食者

剥ぎ取り食者

堆積物収集者

濾過食者

破砕食者

摂食型

その他

雑食者

動物食者

動物,デトリタス食者

デトリタス食者

藻類,デトリタス食者

藻類食者

植物,デトリタス食者

植物食者

摂食機能群

その他

捕食,寄生者

捕食者

剥ぎ取り食者

堆積物収集者

濾過食者

破砕食者

摂食型

その他

雑食者

動物食者

動物,デトリタス食者

デトリタス食者

藻類,デトリタス食者

藻類食者

植物,デトリタス食者

植物食者

328

図 4.2-25 底生動物の摂食機能型、摂食型別の種類数、個体数(初冬調査)

注)摂食機能群に並んだ摂食型が、摂食機能型の内訳(摂食型)を示している。

底生動物種類数(初冬調査)

0

10

20

30

40

50

60

70

80

森林-1

(摂食機能群)

(摂食型)

森林-2

(摂食機能群)

(摂食型)

森林-3

(摂食機能群)

(摂食型)

森林-4

(摂食機能群)

(摂食型)

五堂城森

(摂食機能群)

(摂食型)

豊間根

(摂食機能群)

(摂食型)

繋橋

(摂食機能群)

(摂食型)

稲荷橋

(摂食機能群)

(摂食型)

支川・大川

(摂食機能群)

(摂食型)

支川・小川

(摂食機能群)

(摂食型)

種類数

底生動物個体数(初冬調査)

0

2000

4000

6000

8000

10000

森林-1

(摂食機能群)

(摂食型)

森林-2

(摂食機能群)

(摂食型)

森林-3

(摂食機能群)

(摂食型)

森林-4

(摂食機能群)

(摂食型)

五堂城森

(摂食機能群)

(摂食型)

豊間根

(摂食機能群)

(摂食型)

繋橋

(摂食機能群)

(摂食型)

稲荷橋

(摂食機能群)

(摂食型)

支川・大川

(摂食機能群)

(摂食型)

支川・小川

(摂食機能群)

(摂食型)

個体

数/m2

摂食機能群

その他

寄生者

捕食,寄生者

捕食者

剥ぎ取り食者

堆積物収集者

濾過食者

破砕食者

摂食型

その他

雑食者

動物食者

動物,デトリタス食者

デトリタス食者

藻類,デトリタス食者

藻類食者

植物,デトリタス食者

摂食機能群

その他

寄生者

捕食,寄生者

捕食者

剥ぎ取り食者

堆積物収集者

濾過食者

破砕食者

摂食型

その他

雑食者

動物食者

動物,デトリタス食者

デトリタス食者

藻類,デトリタス食者

藻類食者

植物,デトリタス食者

329

図 4.2-26 底生動物の分類群別湿重量

晩夏調査

010203040506070

森林

-1

森林

-2

森林

-3

森林

-4

五堂

城森

豊間

繋橋

稲荷

大川

小川

湿重量(g/m2)

カゲロウ目 トンボ目カワゲラ目 アミメカゲロウ目トビケラ目 ハエ目その他の昆虫 ウズムシ綱ミミズ綱 その他の動物

初冬調査

010203040506070

森林

-1

森林

-2

森林

-3

森林

-4

五堂

城森

豊間

繋橋

稲荷

大川

小川

湿重量(g/m2)

カゲロウ目 トンボ目カワゲラ目 アミメカゲロウ目トビケラ目 ハエ目その他の昆虫 ウズムシ綱ミミズ綱 その他の動物

330

6) 付着藻類調査結果

(1) 森林域付着藻類調査結果

 森林域における付着藻類調査結果の概要を表 4.2-25に示す。

 森林では全般に種類数、細胞数ともに河川に比較し少ない。晩夏調査と初冬調査の結果は、

いずれの時期も森林-2(若齢広葉樹人工林)の細胞数がそれぞれ1,824細胞/mm2、1,864細胞

/mm2と他の森林よりも多い結果となった。

 晩夏調査の場合は森林-1(壮齢針葉樹人工林)、森林-3(若齢針葉樹人工林)、森林-4(原

生的広葉樹天然林)は極めて少ない。

 初冬調査の場合は森林-1(壮齢針葉樹人工林)、森林-4(原生的広葉樹天然林)は極めて

少ない。

表 4.2-25(1) 森林域における付着藻類調査結果概要(晩夏調査)

採集面積: 2,500m㎡単  位:細胞/m㎡

森林-1 森林-2 森林-3 森林-4針葉樹壮齢林 広葉樹若齢林 針葉樹若齢林 広葉樹天然林

藍藻 0 1 1 2種類数 紅藻 0 1 1 1

珪藻 12 13 7 7(定量) 緑藻 0 0 0 0

合計 12 15 9 10藍藻 0 1 1 2

種類数 紅藻 0 1 1 1珪藻 13 14 11 10

(定量+定性) 緑藻 0 0 0 0合計 13 16 13 13藍藻 0 38 21 10紅藻 0 28 179 148

細胞数 珪藻 87 1,758 139 127(細胞/mm2) 緑藻 0 0 0 0

合計 87 1,824 339 285

Cocconeis placentula 42 (48.3)

Achnanthes japonica 653 (35.8)

Porphyridiales 179 (52.8)

Porphyridiales 148 (51.9)

Achnanthes subhudsonis 13 (14.9)

Cocconeis placentula 548 (30.0)

Achnanthes japonica 88 (26.0)

Cocconeis placentula 96 (33.7)

Achnanthes lanceolata 293 (16.1)

主な出現種(細胞/mm2・(%))

項目

331

表 4.2-25(2) 森林域における付着藻類調査結果概要(初冬調査)

(2) 河川域付着藻類調査結果

<晩夏調査>

 晩夏における付着藻類調査の結果概要を表 4.2-26に、付着藻類の種類数と細胞数を図

4.2-27に示す。

 河川における付着藻類の種類数は、調査全体で藍藻綱4種類、紅藻綱2種類、珪藻綱38種類、

緑藻綱5種類の合計49種類が確認された。調査地点別にみると、種類数は9(五堂城森)~28

(小川)種類であった。細胞数は6(豊間根)~61,639(繋橋)細胞/mm2であった。津軽石

川では、下流に向かうほど、細胞数は多くなり、同時に珪藻類の比率が低下して、藍藻類の

比率が上昇していた。なお、豊間根については、他地点と傾向が大きく異なり、種類数、細

胞数とも極端に少ないが、これは豊間根上流において、用水路への分流で瀬切れ等が生じや

すい地点であったためと考えられる。

 森林、河川を通してみると、津軽石川上流部の五堂城森は森林と同様、種類数、細胞数と

もに少なく、下流に向かうほど、細胞数が多くなった。また、支川の大川、小川は五堂城森

採集面積: 2,500m㎡単  位:細胞/m㎡

森林-1 森林-2 森林-3 森林-4針葉樹壮齢林 広葉樹若齢林 針葉樹若齢林 広葉樹天然林

藍藻 1 3 2 1種類数 紅藻 1 1 1 0

珪藻 4 13 12 7(定量) 緑藻 0 0 0 0

合計 6 17 15 8藍藻 1 4 2 1

種類数 紅藻 1 1 1 0珪藻 4 15 18 8

(定量+定性) 緑藻 0 0 0 0合計 6 20 21 9藍藻 14 625 251 4紅藻 58 780 369 0

細胞数 珪藻 174 459 874 73(細胞/mm2) 緑藻 0 0 0 0

合計 246 1,864 1,494 77

Cocconeis placentula 168 (68.3)

Porphyridiales

780 (41.8)

Porphyridiales

369 (24.7)

Cocconeis placentula 48 (62.3)

Porphyridiales

58 (23.6)

Homoeothrix janthina 441 (23.7)

Cocconeis placentula 345 (23.1)

Achnanthes lanceolata 11 (14.3)

Cocconeis placentula 285 (15.3)

Homoeothrix janthina 297 (19.9)

Achnanthes japonica 8 (10.4)

Achnanthes subhudsonis 251 (16.8)

主な出現種(細胞/mm2・(%))

項目

332

採集面積:2,500m㎡単  位:細胞/m㎡

津軽石川五堂城森 豊間根 豊間根(参考値) 繋橋 稲荷橋 大川 小川

藍藻 2 0 0 4 4 4 4種類数 紅藻 0 0 0 0 0 0 0

珪藻 5 3 11 12 15 15 20(定量) 緑藻 0 0 0 1 1 1 0

合計 7 3 11 17 20 20 24藍藻 2 0 1 4 4 4 4

種類数 紅藻 0 0 0 0 1 0 1珪藻 7 10 17 17 16 19 22

(定量+定性) 緑藻 0 0 1 3 4 1 1合計 9 10 19 24 25 24 28藍藻 116 0 0 61,228 40,353 27,134 8,457紅藻 0 0 0 0 0 0 0

細胞数 珪藻 4,446 6 55 355 5,646 14,157 24,409(細胞/mm2) 緑藻 0 0 0 56 193 12 0

合計 4,562 6 55 61,639 46,192 41,303 32,866

Achnanthes japonica 3,920(85.9)

Achnanthes lanceolata 3(50.0)

Achnanthes lanceolata 27(49.1)

Homoeothrix janthina * 47,100(76.4)

Homoeothrix janthina * 31,900(69.1)

Homoeothrix janthina * 23,300(56.4)

Achnanthes japonica 18,500(56.3)

Navicula atomus 2(33.3)

Melosira varians 6(10.9)

Entophysalis sp. 12,300(20.0)

Entophysalis sp. 6,830(14.8)

Achnanthes japonica 12,300(29.8)

Homoeothrix janthina * 4,550(13.8)

Cymbella minuta 1(16.7)

Achnanthes japonica 5,030(10.9)

注)1.*は、糸状体数で計数。  2.採集年月日:豊間根、五堂城森、大川、小川は平成15年9月26日、稲荷橋、繋橋は9月28日、    なお、豊間根は他地点と傾向が大きく異なることから、10月7日に調査を再度行い参考値として示した。  3.主な出現種として、各調査点の細胞数の上位5種(ただし、種別組成比が10%以上)を示す。

主な出現種(細胞/mm2・

(%))

項目

と比べ種類数、細胞数が多く、流下する水中のPOM濃度と傾向が概ね一致している。細胞

数及び種類数の違いは、大川、小川が本川最上流の五堂城森より、カバー率(河畔林によっ

て水面が覆われる率)が低かったことが要因としてあげられる。

表 4.2-26 付着藻類調査の結果概要(晩夏調査)

333

図 4.2-27 森林域、河川域における付着藻類の種類数、細胞数(晩夏調査)

<初冬調査>

 初冬における付着藻類調査の結果概要を表 4.2-27に、付着藻類の種類数と細胞数を図

4.2-28に示す。

 河川における付着藻類の種類数は、調査全体で藍藻綱4種類、紅藻綱2種類、珪藻綱44種類、

緑藻綱5種類の合計55種類が確認され、夏季に比べると紅藻綱が確認され、珪藻綱が増加し

た。調査地点別にみると、種類数は8(豊間根)~35(稲荷橋)種類であり、夏季に比べる

と全体的に増加した。細胞数は1,301(繋橋)~23,739(大川)細胞/mm2であり、夏季に比

べると本川中流から下流の繋橋や稲荷橋で大幅な減少が見られた。支川の大川、小川は本川

と比べ細胞密度は著しく高く、珪藻綱の比率も著しく高かった。また、豊間根は晩夏調査で

付着藻類種類数(晩夏調査・定量調査)

0

5

10

15

20

25

30

35

森林

-1

森林

-2

森林

-3

森林

-4

五堂

城森

豊間

繋橋

稲荷

支川

・大

支川

・小

種類

数緑藻

珪藻

紅藻

藍藻

付着藻類細胞数(晩夏調査・定量調査)

0

10

20

30

40

50

60

70

森林

-1

森林

-2

森林

-3

森林

-4

五堂

城森

豊間

繋橋

稲荷

支川

・大

支川

・小

細胞

数(

×1,000細

胞/mm2)

緑藻

珪藻

紅藻

藍藻

334

採集面積:2,500m㎡単  位:細胞/m㎡

津軽石川五堂城森 豊間根 繋橋 稲荷橋 大川 小川

藍藻 3 2 3 2 3 4種類数 紅藻 0 0 0 0 0 1

珪藻 7 5 25 28 21 17(定量) 緑藻 0 0 1 1 0 1

合計 10 7 29 31 24 23藍藻 3 2 3 2 3 4

種類数 紅藻 0 1 0 0 0 2珪藻 10 5 25 30 23 20

(定量+定性) 緑藻 0 0 3 3 0 1合計 13 8 31 35 26 27藍藻 2,866 11,203 717 2,427 15,090 1,733紅藻 0 0 0 0 0 32

細胞数 珪藻 424 194 561 523 8,649 18,854(細胞/mm2) 緑藻 0 0 23 72 0 88

合計 3,290 11,397 1,301 3,022 23,739 20,707

Homoeothrix janthina * 2680 (81.5)

Homoeothrix janthina * 10900 (95.6)

Homoeothrix janthina * 402 (30.9)

Homoeothrix janthina * 2400 (79.4)

Homoeothrix janthina * 15000 (63.2)

Achnanthes japonica * 18300 (88.4)

Achnanthes japonica 352 (10.7)

Chamaesiphon sp. 282 (21.7)

Achnanthes japonica 7200 (30.3)

Hannaea arcus var.recta 227 (17.4)

注)1.*は、糸状体数で計数。  2.採集年月日:稲荷橋、繋橋は平成15年12月1日、大川、小川森林(森林1~4)は12月2日、          豊間根、五堂城森は年12月3日。  3.主な出現種として、各調査点の細胞数の上位5種(ただし、種別組成比が10%以上)を示す。

主な出現種(細胞/mm2・

(%))

項目

は瀬切れ等の影響により他地点と比べて極端に少なかったが、初冬調査では流量が回復した

ことなどにより藍藻綱のHomoeothrix janthinaが繁茂したため細胞数が大幅に増加している。

森林、河川を通してみると、初冬調査でも、大川および小川で種類数、細胞数が本川上流の

五堂城森や森林より多いことが目立つ。

表 4.2-27 付着藻類調査の結果概要(初冬調査)

335

図 4.2-28 森林域、河川域における付着藻類の種類数、細胞数(初冬調査)

付着藻類種類数(初冬調査・定量調査)

0

5

10

15

20

25

30

35

森林

-1

森林

-2

森林

-3

森林

-4

五堂

城森

豊間

繋橋

稲荷

支川

・大

支川

・小

種類

緑藻

珪藻

紅藻

藍藻

付着藻類細胞数(初冬調査・定量調査)

0

10

20

30

40

50

60

70

森林

-1

森林

-2

森林

-3

森林

-4

五堂

城森

豊間

繋橋

稲荷

支川

・大

支川

・小

細胞

数(

×1,000細

胞/mm2)

緑藻

珪藻

紅藻

藍藻

336

7) 藻場等目視観察調査結果

 宮古湾及び大槌湾の調査地点において、潜水による目視観察を実施し、大型海藻草類、大型底生動物、魚

類等の生息状況をベルトトランセクト法により確認した。

(1)現地観測結果

 藻場等目視観察調査時における現地観測結果を表 4.2-28、図 4.2-29に示す。

表 4.2-28 藻場等目視観察調査現地観測結果

注)観測はラインエンドで実施した。

図 4.2-29 藻場等目視観察調査地点における水温、塩分、DOの鉛直分布

25

20

15

10

5

0

17 18 19 20水温(℃)水深

(m)

25

20

15

10

5

0

20 25 30 35塩分水深

(m)

25

20

15

10

5

0

4 6 8 10DO(mg/L)水深

(m)

宮古① 宮古② 宮古③ 宮古④ 宮古⑤

宮古⑥ 大槌① 大槌② 大槌③

宮古湾 大槌湾宮古① 宮古② 宮古③ 宮古④ 宮古⑤ 宮古⑥ 大槌① 大槌② 大槌③

調査日 H15.9.25 H15.9.25 H15.9.25 H15.9.28 H15.9.28 H15.9.28 H15.9.27 H15.9.27 H15.9.27調査時間 9:15 11:10 13:20 8:33 9:45 11:20 9:20 10:55 13:35

~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~10:55 12:30 14:55 9:35 11:00 12:40 10:20 12:20 15:20

天候 雨 雨 雨 雨 曇 曇 晴 晴 晴気温(℃) 17.3 19.8 20.4 15.4 16.8 17.0 18.4 21.3 21.3水深(m) 3.9 9.1 12.5 18.2 22.5 22.2 12.5 12.8 12.4色相 5GY3/3 5GY3/3 10GY3/4 10GY3/4 10GY3/4 5G2.4/3 5BG3.5/7 10GY3/4 5BG2.4/3透明度(m) 2.2 2.7 4.7 3.5 3.6 5.3 5.6 8.3 10.7

調査地点

337

(2)目視観察結果

 藻場等の目視確認調査結果を図 4.2-30、表 4.2-29に示す。

 宮古湾における調査全体の種類数は、植物では藍藻植物門1種、緑藻植物門4種、褐藻植物

門14種、紅藻植物門37種、種子植物門1種の合計57種が確認された。大型底生生物では、海

綿動物門1種、刺胞動物門2種、軟体動物門21種、環形動物門2種、節足動物門7種、触手動物

門2種、棘皮動物門14種、原索動物門2種の合計51種が確認された。また、魚類では軟骨魚綱

エイ目1種、硬骨魚綱タラ目1種、カサゴ目4種、スズキ目6種の合計12種が確認された。

 調査地点別にみると植物では24(宮古①、②)~31(宮古⑤)種、大型底生生物では13(宮

古①)~28(宮古④)種、魚類では1(宮古②)~7(宮古⑦)であった。

 確認された主な生物として、植物では宮古湾奥部の宮古①及び宮古②では、水深3m以浅

の岩盤にスガモが、すべての側線の水深4~5m以浅にコンブ属が確認された。無節サンゴモ

類は宮古③~⑥において確認され、特に湾口よりの宮古⑤及び宮古⑥では、70~95%以上も

の高い被度を示す箇所もみられた。大型底生生物では、キタムラサキウニやエゾバフンウニ、

エゾアワビなどの水産資源生物の他、タテスジホウズキガイやクボガイなどが確認された。

魚類では宮古①でスズメダイとアサヒアナハゼが、宮古⑥でウミタナゴとリュウグウハゼが

頻繁に確認された。

 大槌湾における調査全体の種類数は、植物では藍藻植物門2種、緑藻植物門1種、褐藻植物

門13種、紅藻植物門35種、種子植物門1種の合計52種が確認された。付着生物・底生動物で

は、海綿動物門1種、刺胞動物門2種、軟体動物門20種、環形動物門2種、節足動物門4種、触

手動物門1種、棘皮動物門9種、原索動物門1種の合計51種が確認された。また、魚類では硬

骨魚綱カサゴ目3種、スズキ目6種の合計9種が確認された。

 調査地点別にみると植物では30(大槌①)~38(大槌③)種、大型底生生物では25(大槌

②)~31(大槌③)種、魚類では4(大槌①)~5(大槌②、③)であった。

 確認された主な生物として、植物では大槌①では浅場でアカバやカイノリ等が、大槌②で

は水深8m以浅でハリガネやコンブ属が確認された。大槌③では、水深4m以浅にスガモが、

水深6m以浅にコンブ属が、水深9m以浅にマクサが確認された。動物はヤドカリ亜目、キタ

ムラサキウニ、コシダカガンガラ等が確認された。魚類では、リュウグウハゼとカマス科が

大槌②で頻繁に観察された。

 他の地域の藻場調査では、アマモ場における小型底曳網による魚類調査で、岡山県瀬戸内

海では年間で約60種類、長崎県志々伎湾では約90種類もの魚類が捕獲された(東 1980)。

東北地方や瀬戸内海のアマモ場に比べて関東以南の太平洋岸および九州沿岸のアマモ場では

魚類相が豊富で多様度も高くなる傾向にあると言われている(東 1980)。

 コンブ場については水産的有用資源の観点から研究されており、宮城県女川町沿岸の海藻

群落(2.3ha)再生後の漁獲量はアワビ3.1t、ウニ6.6tと推定されている(菊池、浮 1980)。

338

図 4.2-30(1) 藻場等目視観察調査結果(宮古湾①)

宮古湾① 水深岩盤

注)水深は平均海面下88cmを0とした。 水平距離調査年月日:平成15年9月25日調査方法:ベルトトランセクト法(1m×10m)

枠  番  号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20側線距離(m) 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~ 100~ 110~ 120~ 130~ 140~ 150~ 160~ 170~ 180~ 190~

種 名 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 160 170 180 190 200全体被度 40 90 90 80 80 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0無節サンゴモ類 + 5 5 10 10スガモ 10 70 80 40コンブ属 40ウミトラノオ + +ホソジュズモ + 20 5 + +ツノマタ属 10 20 5 + +スジウスバノリ + 5 + + +イワノカワ科 + + + + +アナアオサ + + + + +アカバ + 5 + + +ムカデノリ属 5 10マツノリ 5 5フシツナギ + +ピリヒバ + +ジュズモ属 10藍藻綱 +フクロフノリ +ヒラムカデ +キントキ属 + + +ハリガネ 5 +オバクサ +カニノテ属 +オキツノリ 10ヤドカリ亜目 ◆ 2 8 6 10 18マガキ + +エゾイソニナ ◆ 12ベッコウガサガイ ◆ 2イワフジツボ +エゾカサネカンザシ + + + +イソギンチャク目 + +コシダカガンガラ ◆ 1 1タモトガイ科 ◆ 20ヒレガイ ◆ 1 4ホヤ綱(単体性) ◆ 2海綿動物門 +アズマニシキガイ ◆ 2

注1)表中の数値は1m×10m枠内における被度(%)、◆印は個体数を示す。

注2)+は被度5%未満の出現を示す。

注3)全体被度は海藻草類における無節サンゴモ類を除いた被度を示す。注4)        は藻場を形成する大型海藻草類を示す。

大型底生生物

 海藻草類

0(m)

-2

-4

-6

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 160 170 180 190 200 (m)

339

図 4.2-30(2) 藻場等目視観察調査結果(宮古湾②)

宮古湾② 水深

注)水深は平均海面下88cmを0とした。 水平距離

調査年月日:平成15年9月25日調査方法:ベルトトランセクト法(1m×10m)

枠  番  号 1 2 3 4 5 6 7 8側線距離(m) 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~

種 名 10 20 30 40 50 60 70 80全体被度 90 40 10 +無節サンゴモ類 5 + + +スガモ 70コンブ属 50 20 +ウミトラノオ 5キントキ属 20 10 + +マクサ + + +ツノマタ属 10 + +カニノテ属 + + +ユカリ + +ハイウスバノリ属 + +アナアオサ + +ユナ +ムカデノリ属 +ホソジュズモ 5フクロフノリ +ハリガネ 30スジウスバノリ 5ジュズモ属 +オキツノリ +イワノカワ科 20イソダンツウ +イソガワラ属 +アカバ + +タテスジホオズキガイ ◆ 96 8 37 98 126エゾカサネカンザシ 20 + + + +マナマコ ◆ 1 1 1フジツボ亜目 + +クボガイ ◆ 1クモガニ科 ◆ 1ヒトデ ◆ 1マガキ +コシダカガンガラ ◆ 1ヤドカリ亜目 ◆ 4ヒレガイ ◆ 1海綿動物門 + + +アズマニシキガイ ◆ 4 16 5イソギンチャク目 + +マボヤ ◆ 1注1)表中の数値は1m×10m枠内における被度(%)、◆印は個体数を示す。注2)+は被度5%未満の出現を示す。注3)全体被度は海藻草類における無節サンゴモ類を除いた被度を示す。注4)        は藻場を形成する大型海藻草類を示す。

 海藻草類

大型底生生物

0(m)

-2

-4

-6

-8

-10

0 10 20 30 40 50 60 70 80 (m)

岩盤

岩盤

340

図 4.2-30(3) 藻場等目視観察調査結果(宮古湾③)

宮古湾③ 水深

岩盤

  砂・礫

礫砂・礫

注)水深は平均海面下88cmを0とした。 水平距離

調査年月日:平成15年9月25日調査方法:ベルトトランセクト法(1m×10m)

枠  番  号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17側線距離(m) 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~ 100~ 110~ 120~ 130~ 140~ 150~ 160~

種 名 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 160 170全体被度 70 40 30 60 30 10 + +無節サンゴモ類 20 10 10 40 20 10 +コンブ属 35 +ツルモ 5 30 5ウミトラノオ 5イワノカワ科 10 5 5 20 5 5 + +イギス科 + + + + + +コザネモ + + + 5 5ソゾ属 + 5 10 +ムカデノリ属 10 15 15 +アナアオサ 5 + +イソガワラ属 + + +ナガマツモ科 5 40 +ベニスナゴ 5 + +ツノマタ属 5 +ハリガネ + +イソダンツウ +オキツノリ +エゾヤハズ + 5 40 + + +タオヤギソウ + + + +イソキリ + 5 + +ベニヒバ + + +フクリンアミジ + +スズシロノリ 5 20 + + +アカバ +ヘリトリカニノテ属 +フシツナギ +ヤドカリ亜目 ◆ 4 8 9 4 2 2コシダカガンガラ ◆ 31 29 14フジツボ亜目 + + +ムラサキインコガイ +イガイ科 5レイシガイ ◆ 6クボガイ ◆ 12タテスジホオズキガイ ◆ 19 18 55 82 2エゾバフンウニ ◆ 3 3ウミウシ目 ◆ 1アズマニシキガイ ◆ 1 2 1 1ヒザラガイ綱 ◆ 3 1エゾキンチャクガイ ◆ 1ヒトデ ◆ 2タテスジチョウチンガイ ◆ 8キンコ科 ◆ 8キタムラサキウニ ◆ 2 1 2エゾカサネカンザシ + + +マナマコ ◆ 1クモガニ科 ◆ 2 1海綿動物門 + +イソギンチャク目 + +マボヤ ◆ 1 1ヒメエゾボラ ◆ 1注1)表中の数値は1m×10m枠内における被度(%)、◆印は個体数を示す。注2)+は被度5%未満の出現を示す。注3)全体被度は海藻草類における無節サンゴモ類を除いた被度を示す。注4)        は藻場を形成する大型海藻草類を示す。

 海藻草類

大型底生生物

0

2(m)

-2

-4

-6

-8

-10

-12

-14

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 160 170 (m)

岩盤・礫

341

図 4.2-30(4) 藻場等目視観察調査結果(宮古湾④)

宮古湾④水深

注)水深は平均海面下88cmを0とした。 水平距離調査年月日:平成15年9月28日調査方法:ベルトトランセクト法(1m×10m)

枠  番  号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20側線距離(m) 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~ 100~ 110~ 120~ 130~ 140~ 150~ 160~ 170~ 180~ 190~

種 名 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 160 170 180 190 200全体被度 90 70 60 60 40 5無節サンゴモ類 50 20 50 60 40 +コンブ属 50 25ワカメ + +アカモク + +ハイウスバノリ属 + + + + + +イワノカワ科 20 60 30 30 30 +イソキリ + 5 10 + +コザネモ 5 5 + + +ソゾ属 + 5 + +イギス科 + + + +イソガワラ属 10 15 5アミジグサ + + +マクサ + + +ベニスナゴ + +ヒラムカデ + +ハリガネ 15 +ハネイギス + +ヌメハノリ + +ツノマタ属 20 +カイノリ + +オバクサ + +アナアオサ + +アカバ 20 15藍藻綱 +ユナ +ミチガエソウ +エゾヤハズ + 5スズシロノリ 5カニノテ属 +ヤドカリ亜目 ◆ 16 19 18 11 21 6 1フジツボ亜目 + + + +コシダカガンガラ ◆ 4 10 21 1エゾアワビ ◆ 4 3 4 1イトマキヒトデ ◆ 4 4 1クボガイ ◆ 99 61ヒレガイ ◆ 1 1ヨメガカサガイ ◆ 4 6マガキ +エゾカサネカンザシ +ユキノカサガイ ◆ 1 4 3 1イソギンチャク目 + + +海綿動物門 + +コイチョウガニ ◆ 1エゾヒトデ ◆ 1マボヤ ◆ 6 3 2キタムラサキウニ ◆ 18 28 21エゾバフンウニ ◆ 1 1 2ヒザラガイ綱 ◆ 1ニッポンヒトデ ◆ 1 2 5 1 2 1 1ヒメヒトデ ◆ 1 1アズマニシキガイ ◆ 2テナガエビ科 ◆ 4キンコ科 ◆ 1フトウミエラ + + + + + + + + + + + +スナヒトデ ◆ 1モミジガイ ◆ 1シャコ科 ◆ 2注1)表中の数値は1m×10m枠内における被度(%)、◆印は個体数を示す。注2)+は被度5%未満の出現を示す。注3)全体被度は海藻草類における無節サンゴモ類を除いた被度を示す。注4)        は藻場を形成する大型海藻草類を示す。

 海藻草類

大型底生生物

0

2(m)

-2

-4

-6

-8

-10

-12

-14

-16

-18

-20

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 160 170 180 190 200 (m)

泥・礫

転石・礫

岩盤

342

図 4.2-30(5) 藻場等目視観察調査結果(宮古湾⑤)

宮古湾⑤水深

注)水深は平均海面下88cmを0とした。 水平距離調査年月日:平成15年9月28日調査方法:ベルトトランセクト法(1m×10m)

枠  番  号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18側線距離(m) 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~ 100~ 110~ 120~ 130~ 140~ 150~ 160~ 170~

種 名 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 160 170 180全体被度 80 90 80 40 + + 10 5 5 + 20 20 5 +無節サンゴモ類 30 30 60 80 95 80 60 15 15 10 20 15 10 +スガモ 10コンブ属 85 70ワカメ + + + +ウガノモク +コザネモ + + + 5 + + + + + + + + + +イワノカワ科 20 5 + 5 + + 5 + + + + + + +イギス科 + + + + + +ソゾ属 + + + + + +アナアオサ + + + +イソガワラ属 15 20 20 20ベニスナゴ + + + +マクサ + + + +アカバ 20 15 +ツノマタ属 40 15 +ハリガネ 15 30 +ヒラムカデ + +ムカデノリ属 + +フクロフノリ +マツノリ +ユナ +藍藻綱 +スジウスバノリ + + +イソキリ + 5 + + + + + + + + +ハイウスバノリ属 + + + + + +ハネイギス + +ヌメハノリ + +エゾヤハズ + +スズシロノリ + 5 5 5 + 15 15 5 +コノハノリ科 + + + + + +ユキノカサガイ ◆ 1 7 6 10 14 17 6 1 2エゾアワビ ◆ 1 8 18 15 4 2クボガイ ◆ 31 96 140 7イトマキヒトデ ◆ 1 2 4 1フジツボ亜目 + + +エラコ + +海綿動物門 + + +イソギンチャク目 + + +ムラサキインコガイ +イガイ科 +エゾバフンウニ ◆ 1 2 4 1 4 2 4 1 2 2 2ヤドカリ亜目 ◆ 65 7 8 10 7 6 5 4 9 9 4 6キタムラサキウニ ◆ 20 32 39 14 4 2 3 2 1マボヤ ◆ 4 1 1ヒメヒトデ ◆ 1 1 1コシダカガンガラ ◆ 2マナマコ ◆ 1 1 1 1 1アズマニシキガイ ◆ 1 1エゾヒトデ ◆ 1 1ウミウシ目 ◆ 1 1サルアワビ ◆ 1ニッポンヒトデ ◆ 2 2 2 2 5 2 4 11 2 1 1ハリサンショウウニ ◆ 1 1ツガルウニ ◆ 1 4 2 1エゾキンチャクガイ ◆ 1ニチリンヒトデ ◆ 1 1注1)表中の数値は1m×10m枠内における被度(%)、◆印は個体数を示す。注2)+は被度5%未満の出現を示す。注3)全体被度は海藻草類における無節サンゴモ類を除いた被度を示す。注4)        は藻場を形成する大型海藻草類を示す。

 海藻草類

大型底生生物

0

2(m)

-2

-4

-6

-8

-10

-12

-14

-16

-18

-20

-22

-24

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 160 170 180 (m)

転石

砂・礫

泥・礫

343

図 4.2-30(6) 藻場等目視観察調査結果(宮古湾⑥)

宮古湾⑥ 水深

注)水深は平均海面下88cmを0とした。 水平距離調査年月日:平成15年9月28日調査方法:ベルトトランセクト法(1m×10m)

枠  番  号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13側線距離(m) 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~ 100~ 110~ 120~

種 名 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130全体被度 95 10 5 + + 5 5 10 5 5 20 20 20無節サンゴモ類 20 70 70 30 20 20 30 20 20 20 60 50 20コンブ属 90 +ワカメ +チガイソ +アナメ + 5 + +コザネモ + 5 + + + + + + 5 + 5 5 5イワノカワ科 10 5 5 + + + + + + + 5 5 5イギス科 + + + + + + + + + +ソゾ属 + + + + +イソキリ + + + + + + + + + +藍藻綱 +ユナ +ヤハズシコロ 5ミヤヒバ +ホソジュズモ +フクロフノリ +フクリンアミジ +ピリヒバ +ハリガネ +ハイウスバノリ属 +シオグサ属 +イソダンツウ +イソガワラ属 15アナアオサ +アカバ +スズシロノリ + + + + + + 5 + + 5 5 5フクロノリ +エゾヒトデ ◆ 6 1 2 1 1 1エゾアワビ ◆ 37 4サルアワビ ◆ 1 1コシダカガンガラ ◆ 1 1アメフラシ ◆ 2 1フジツボ亜目 + + + +イガイ科 +ババガセ ◆ 2レイシガイ ◆ 6ヤドカリ亜目 ◆ 6 4 2 4 7 4 5 5 6 16 10 7キタムラサキウニ ◆ 48 67 15 11 37 4 8 8 4 11 8 4ニッポンヒトデ ◆ 4 6 5 2 9 1 2 4 2 2海綿動物門 + + + +ユキノカサガイ ◆ 4 4 7マナマコ ◆ 1 1イソギンチャク目 + + +ヒトデ ◆ 1 1ニチリンヒトデ ◆ 1イトマキヒトデ ◆ 1ヒメヒトデ ◆ 1 1キンコ科 ◆ 1 1注1)表中の数値は1m×10m枠内における被度(%)、◆印は個体数を示す。注2)+は被度5%未満の出現を示す。注3)全体被度は海藻草類における無節サンゴモ類を除いた被度を示す。注4)        は藻場を形成する大型海藻草類を示す。

 海藻草類

大型底生生物

0

2(m)

-2

-4

-6

-8

-10

-12

-14

-16

-18

-20

-22

-24

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 (m)

転石・礫

岩盤

344

図 4.2-30(7) 藻場等目視観察調査結果(大槌湾①)

大槌湾① 水深

注)水深は平均海面下86cmを0とした。 水平距離

調査年月日:平成15年9月27日調査方法:ベルトトランセクト法(1m×10m)

枠  番  号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10側線距離(m) 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~

種 名 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100全体被度 70 50 50 40 30 +無節サンゴモ類 5 20 40 20 20 +コンブ属 +ワカメ 5 +アカモク +イワノカワ科 5 10 15 10 5 +アカバ 40 + + + +ツノマタ属 10 + + +ムカデノリ属 + + + +カイノリ 10 5 +タオヤギソウ + + +フシツナギ + + +イソガワラ属 + 20フクリンアミジ + 15藍藻綱 +フクロフノリ +ハリガネ 5オキツノリ + +スジウスバノリ + + + + +コザネモ + + + + +ベニヒバ + +ソゾ属 + +イソキリ 5 +イギス科 + + + +アミジグサ + 5 5 5不明紅藻 + + +スズシロノリ 5 10 + +エゾヤハズ + +アミジグサ属 5 +カニノテ属 + +ヤレウスバノリ +コシダカガンガラ ◆ 18 4 2 1 4ヤドカリ亜目 ◆ 48 112 96 12 1エゾアワビ ◆ 21 18 4クボガイ ◆ 101 92 34フジツボ亜目 + + +イソギンチャク目 + + + +海綿動物門 + +マガキ +ムラサキインコガイ +イガイ科 +エラコ +カンザシゴカイ科 20エゾカサネカンザシ + + +ユキノカサガイ ◆ 4 6 2アズマニシキガイ ◆ 1 2ヒレガイ ◆ 2イトマキヒトデ ◆ 1エゾバフンウニ ◆ 1アメフラシ ◆ 1キタムラサキウニ ◆ 1マボヤ ◆ 1タテスジホオズキガイ ◆ 2ヒトデ ◆ 1クモガニ科 ◆ 2 1エゾヒトデ ◆ 1ウミサボテン +マナマコ ◆ 1注1)表中の数値は1m×10m枠内における被度(%)、◆印は個体数を示す。注2)+は被度5%未満の出現を示す。注3)全体被度は海藻草類における無節サンゴモ類を除いた被度を示す。注4)        は藻場を形成する大型海藻草類を示す。

 海藻草類

大型底生生物

0

2(m)

-2

-4

-6

-8

-10

-12

-14

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 (m)

泥泥・礫

砂・礫

岩盤

345

図 4.2-30(8) 藻場等目視観察調査結果(大槌湾②)

大槌湾② 水 深

注)水深は平均海面下86cmを0とした。 水平距離調査年月日:平成15年9月27日調査方法:ベルトトランセクト法(1m×10m)

枠  番  号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20側線距離(m) 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~ 100~ 110~ 120~ 130~ 140~ 150~ 160~ 170~ 180~ 190~

種 名 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 160 170 180 190 200全体被度 100 95 80 80 80 80 70 70 50 30 60 50無節サンゴモ類 10 20 20 10 10 20 30 40 20 20 5 5スガモ + 5 + +コンブ属 20 30 15 10 5 + 10 5 +ウガノモク + + 5 + 5 + + + +ヒジキ +フシスジモク + 10 5 + +ミヤベモク + +フシツナギ + + 5 + 5 5 5 10 5 + 5 5ムカデノリ属 + + + + + + + + + 5 10 20アカバ 20 20 + + 5 10 + 15 + + + +アミジグサ + + + + + + + + + + + +イギス科 + + + + + + + + + + + +イソガワラ属 + + + + + + + + + + + +イワノカワ科 15 30 15 5 5 5 10 10 10 5 + +ツノマタ属 30 20 20 20 20 30 5 5 5 5 30 20ハイウスバノリ属 + + + + + + + + + + + +コザネモ + + + + + 5 5 5 5 +ハリガネ 40 30 20 40 40 30 5 + 5 5 10オキツノリ + + + + + + +ヒラムカデ + + + + + +マツノリ 10 + + + + +ピリヒバ + + + + + + + +マクサ + + + + + + + + +ミチガエソウ + + + + + 5 5 +藍藻綱 +ホソコザネモ + + + + + + + + +カイノリ + + + 5 5 5ソゾ属 + + + + + +アミジグサ属 + + + + + + + +イソキリ + + + + + +スジウスバノリ + + + +ミヤヒバ + + +スズシロノリ +コシダカガンガラ ◆ 1 2 2 1 1 16 11 4 8 6ヤドカリ亜目 ◆ 1 1 1 16 21 19 12 1 2 1 1 2 1 1クボガイ ◆ 8 4 2エラコ + +海綿動物門 + + + + +フジツボ亜目 + + + +イソギンチャク目 +イガイ科 +ヨメガカサガイ ◆ 8レイシガイ ◆ 6イトマキヒトデ ◆ 1 2 9 8 1 1 6 4 4 2 11エゾアワビ ◆ 1 2 1 4 2 2エゾバフンウニ ◆ 1 1 1 1 1 1コイチョウガニ ◆ 2ユキノカサガイ ◆ 2 1 1 1 2 2キタムラサキウニ ◆ 2 1 11 8 7クモガニ科 ◆ 2マボヤ ◆ 16 16 2ニチリンヒトデ ◆ 1エゾヒトデ ◆ 1ヒトデ ◆ 1 1ヒレガイ ◆ 2ハスノハカシパン科 ◆ 1モミジガイ ◆ 3 1マナマコ ◆ 1注1)表中の数値は1m×10m枠内における被度(%)、◆印は個体数を示す。注2)+は被度5%未満の出現を示す。注3)全体被度は海藻草類における無節サンゴモ類を除いた被度を示す。注4)        は藻場を形成する大型海藻草類を示す。

 海藻草類

大型底生生物

-16

(m)

0

2(m)

-2

-4

-6

-8

-10

-12

-14

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 160 170 180 190 200

砂・礫砂

転石・砂・礫

岩盤

人工構造物

346

図 4.2-30(9) 藻場等目視観察調査結果(大槌湾③)

大槌湾③ 水 深

注)水深は平均海面下86cmを0とした。 水平距離調査年月日:平成15年9月27日調査方法:ベルトトランセクト法(1m×10m)

枠  番  号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20側線距離(m) 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~ 100~ 110~ 120~ 130~ 140~ 150~ 160~ 170~ 180~ 190~

種 名 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 160 170 180 190 200全体被度 40 80 100 100 95 95 95 95 90 80 80 70 70 80 50 60 + +無節サンゴモ類 + 5 10 10 10 20 25 20 20 30 30 40 20 30 60 40 +スガモ 20 40 10 30 10フシスジモク 5 15 5 + +コンブ属 + 20 + + + +エゾノネジモク +ワカメ +イワノカワ科 30 + + + + + 5 5 5 5 5 15 5 5 + + +藍藻綱 + +フクリンアミジ 5 10 20 5 5 10 + 5 10 5 10 25 40 40 50 +イギス科 + + + + + + + + + + + + + + + +ツノマタ属 5 5 5 30 20 20 40 10 10 20 10 10 + +ヤナギノリ属 + + + + + + + + + + + + + +イソガワラ属 + + 5 10 5 5 + + + + +アカバ + + + + + + + + + +ダジア属 5 10 15 20 30 30 + + +ムカデノリ属 10 20 20 10 + + 5 + + + +ソゾ属 10 30 35 10 + + + + +ヒラムカデ + + + + + +オキツノリ 5 5 + + + + + + +イソキリ + + + + + + + + + +アミジグサ + + 5 + +ユナ 30アミジグサ属 + + + + + + + + + 5 + + 5ハイウスバノリ属 + + + + + + + + + + +ハリガネ + + + + + 40 10 5 10 10 20マクサ + 20 20 20 30 20 40 50 40 20 10 +ベニヒバ + + + + + + + +イバラノリ属 10 5 + 5 +コザネモ + + 5 5 + 5 20 10 10 + +オバクサ + + 5スジウスバノリ + + + + + + + + + +タオヤギソウ + 5 + + + +アナアオサ +エゾヤハズ 5 5 10 5 + +フシツナギ + + + + + +カイノリ + + + +マツノリ +ホソバナミノハナ +ヤドカリ亜目 ◆ 12 28 10 14 16 18 21 17 11 14 10 19 14 21 16 6 1イトマキヒトデ ◆ 1 1 2 2 14 18 16 29 19 17 9 7 8 4 1 7 16 2 4クボガイ ◆ 98 51 61 19 41 6レイシガイ ◆ 21 14 4フジツボ亜目 + + + +海綿動物門 + + + + +ムラサキインコガイ + +ヨメガカサガイ ◆ 7 6ケハダヒザラガイ科 ◆ 6 6イソギンチャク目 + + +イシダタミガイ ◆ 12タマキビガイ ◆ 18フネガイ科 ◆ 1イボニシ ◆ 1カンザシゴカイ科 +アメフラシ ◆ 1ユキノカサガイ ◆ 1 1コシダカガンガラ ◆ 2 7 7 12 10 8 6 9 4 16 2 6キタムラサキウニ ◆ 3 11 7 2 2 1 11 26 7 8 13 1エゾバフンウニ ◆ 2 4 8 5 1 1 6 4 9 6 4 1マボヤ ◆ 1 2 2 2 9 6 4 1クモガニ科 ◆ 1 1 1ヒトデ ◆ 1 1エゾヒトデ ◆ 1 2エゾアワビ ◆ 2 1 1 1 1アヤボラ ◆ 1 1ヒメエゾボラ ◆ 1エゾバイ科 ◆ 3マナマコ ◆ 1ハスノハカシパン科 ◆ 1モミジガイ ◆ 1注1)表中の数値は1m×10m枠内における被度(%)、◆印は個体数を示す。注2)+は被度5%未満の出現を示す。注3)全体被度は海藻草類における無節サンゴモ類を除いた被度を示す。注4)        は藻場を形成する大型海藻草類を示す。

 海藻草類

大型底生生物

0

2(m)

-2

-4

-6

-8

-10

-12

-14

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 160 170 180 190 200 (m)

岩盤・砂

転石・礫

岩盤

岩盤・転石

岩盤砂

転石・礫

347

表 4.2-29 藻場等目視観察調査で確認された魚類

                          調査方法:ベルトトランセクト法(各側線を1枠とした)

宮古湾 大槌湾    地点

種名 宮古① 宮古② 宮古③ 宮古④ 宮古⑤ 宮古⑥ 大槌① 大槌② 大槌③

スズメダイ c

アサヒアナハゼ c r r r r r

ギンポ科 + r +

ウミタナゴ + r r c + +

クジメ r r r

アイナメ r r r r r + +

リュウグウハゼ r + r c + c

ダンゴウオ科 r

キヌバリ r + +

アカオビシマハゼ r

エゾイソアイナメ r r

ガンギエイ科 r

カレイ科 r

カマス科 c

   r:5尾以下

   +:6尾~19尾

   c:20尾~99尾

   cc:100尾以上の特に大きな群れを形成

348

8) AGP試験

(1)試験方法

 本試験は、藻類研究法(西澤・千原1992)に準拠して実施した。また、魚介類水質環境基

準検討調査総合報告書(海産生物毒性試験指針)(水産庁2000) 、ASTM international のAGP

標準手順(Designation: D 3978 – 80 [Reapproved 1998])を参考にした。

(2)試験条件

 試験方式 :開放系(通気性シリコン栓)

 試験期間 :供試藻の増殖が定常期に達するまで

 試験液量 :30mL/試験容器

 連  数 :3容器/試験区

 培養温度 :22±2℃

 照度、照明:試験容器表面付近で4,000 lux±20% 12時間明/12時間暗

(3)試水

 海水として宮古湾外の河川水の影響を受けていない地点、河川域の水として津軽石川順流

末端及び大槌川順流末端、森林域の水として津軽石川上流の森林調査地点(森林-1:針葉樹

壮齢林、森林-2:広葉樹若齢林、森林-3:針葉樹若齢林、森林-4:広葉樹天然林)から平成

15年10月6~9日に採水し、試水とした。

 試水は試験室に搬入した後速やかに孔径0.2μmPVDFフィルターでろ過し、試験まで冷凍庫

内に凍結保存し、試験直前に解凍して試験に供した。

(4)供試藻類

 試験には、国立環境研究所微生物系統保存施設より入手し、f/2培地(表 4.2-30)を用い

て無菌的に継代培養している珪藻類Skeletonema costatum(NIES-324)を使用した。

表 4.2-30  f/2培地

f/2培地 f/2 metals*NaNO3 75mg Na2EDTA・2H2O 440mgNaH2PO4・2H2O 6mg FeCl3・6H2O 316mgVitamin B12 0.5µg CoSO4・7H2O 1.2mgBiotin 0.5µg ZnSO4・7H2O 2.1mgThiamine HCl 100µg MnCl2・4H2O 18mgNa2SiO3・9H20 10mg CuSO4・5H2O 0.7mgf/2 metals* 1mL Na2MoO4・2H2O 0.7mgSeawater 1000mL Purified water 100mL

f/2 metals*出典:西澤一俊, 千原光雄編 (1992) 藻類研究法.

349

(5)試験容器、試験装置及び機器

 試験容器、試験装置及び機器について表 4.2-31に示す。容器等の洗浄や、試薬の選択に

当たっては、沿岸環境調査マニュアルⅡ(日本海洋学会編)に示されている重金属の測定に

際して使用する器具の洗浄方法や試薬の選択方法を参考とし、微量金属の汚染を最小限に抑

えて試験を行った。

表 4.2-31 試験に使用した機器等

機器等 摘要

試験容器 50mL容ガラス製試験管(通気性シリコン栓付)

藻類培養試験装置 伊藤製作所製往復振盪機(型式:AGP-30)

光学顕微鏡 オリンパス製生物顕微鏡(型式:BH2)

蛍光光度計 アムコ社製ターナーデザインデジタルフルオロメーター

(型式:TD-700R)

蛍光光度計用スタンダード ソリッド・セカンダリ・スタンダード

分光光度計 日立分光光度計U-2000(クロロフィルa測定用)

温 度 計 水銀棒状温度計(測定範囲:0~50℃、最小目盛:0.1℃)

照 度 計 東京硝子器械製デジタル照度計(型式:FLX-1332)

塩 分 計 YSI社製ハンディSCTメーター(Model30)

(6)試験区の設定

 試験区は、宮古湾外の海水に河川水(津軽石川順流末端、大槌川順流末端)を5%、10%、25%

の割合で混合した6ケース及び海水に森林水(森林-1、森林-2、森林-3、森林-4)を10%の割

合で混合した4ケース、さらに有機物を吸着させるために森林水をPSⅡ樹脂でろ過した後、

同様に10%の割合で混合した4ケースを設定した。また、対照区として海水のみのケースを実

施し、合計15ケースを設定した。試験液は混合後、塩化ナトリウムを用いて海水と同程度に

塩分調整し、0.2μmPVDFフィルターでろ過滅菌した。

 連数は各試験区につき3連を設定した。

(7)供試藻類の前培養

 供試藻類を、宮古湾外の海水を用い、試験と同一条件下で増殖速度(倍加数:µ2、式1)

が0.1以下になるまで飢餓培養を行った上で試験に供した。

(8)試験操作

 各試験液を30mLずつ試験容器に分注し、試験液中の細胞密度が一定となるよう藻類を試験

容器に接種した。試水の分注及び藻類の接種は、クリーンベンチ内で無菌的に行った。

 各試験容器を恒温室内(22℃設定)に設置し、この時点を試験開始時とした。

 藻類の現存量は、予めターナー型蛍光光度計によるin vivo蛍光値と、定常期(安定期)

350

にある供試藻類の細胞密度との関係式を求め、試験期間中に測定したin vivo蛍光値を細胞

密度に変換して算出した。算出された細胞密度の内、最大値を最大増殖量とした。

 in vivo蛍光値の測定は、試験期間中毎日行った。試験は、増殖速度(倍加数:µ2、式1)

が0.05を下回った時点をもって定常期に達したと判断し終了とした。

 試験期間中、培養装置内の温度、照度を1日1回測定した。

 試験時における細胞内のクロロフィルa量は、予め求めたターナー型蛍光光度計による蛍

光値と供試藻類のクロロフィルa量の関係式から算出した。クロロフィルa量は、供試藻類を

上水試験法(2001)に従いアセトン抽出し、分光光度計により測定した。

 in vivo蛍光値と細胞密度、クロロフィルaとの関係式を表 4.2-32、図 4.2-31に示す。

表 4.2-32 in vivo蛍光値と細胞数、クロロフィルaとの関係式

項 目 クロロフィルa 細胞密度

相関式 y=0.6255x y=1488.9x

相関係数 1.00 0.99

図 4.2-31 in vivo蛍光値と細胞数、クロロフィルaとの検量線

(9)増殖速度

 増殖速度(µ2;倍加数)は式1より算出した。なお最大増殖速度の算出には細胞密度をク

ロロフィルa量に置き換えて使用した。

   

−×−+

×−

=++

+ n

nnnnn

nn NNNttN

tt)()(log1 11

21

2μ    式1

 Nn :tn日の実測細胞密度(cells/mL)

 Nn+1 :tn+1日の実測細胞密度(cells/mL)

 tn :試験開始後n日目

 tn+1 :試験開始後n+1日目

0

200000

400000

600000

800000

1000000

0 100 200 300 400 500 600

in vivo蛍光値

細胞密度(cells/mL)

0

50

100

150

200

250

300

0 100 200 300 400 500

in vivo蛍光値

クロロフ

ィルa(

µg/L

351

(10)結果

 試験結果を表 4.2-33、図 4.2-32に示す。

 最大増殖時におけるクロロフィルa量は、11~27µg/Lの範囲であり、大槌川25%区で最も多

く、森林-4区で最も少なかった。

 河川別にみると、大槌川河川水を混合した試験区では、いずれも海水区に比べ最大増殖量

が高くなり、特に25%区の最大増殖量は海水区の約2.1倍に達した。最大増殖速度については、

5%区で海水区と同程度であり、10%区で約1.2倍、25%区で約1.6倍と、混合比の増加に伴い

増殖速度が高くなる傾向がみられた。

 津軽石川河川水を混合した試験区でも海水区に比べ最大増殖量が高くなり、特に10%区と

25%区で高く、海水区の約1.8倍であった。最大増殖速度については、いずれも海水区に比べ

高く、混合比の違いによる差はみられなかった。

 津軽石川上流の森林水を混合した試験区では、その最大増殖量は海水区と同程度であった。

また、最大増殖量は、有機物を吸着するPSⅡ樹脂で森林水をろ過処理した試験区と、未処理

の試験区との間に明瞭な差はみられなかった。最大増殖速度については、森林-1区、森林-2

区で海水区よりもやや高い傾向がみられたが、森林-1及び森林-2をPSⅡ樹脂でろ過した試験

区では無処理の区と比べて低くなり、海水と同じ程度になった。森林-3、森林-4ではPSⅡ処

理区、無処理区とも海水区と同程度であった。

表 4.2-33 AGP試験結果

最大増殖量(クロロフィルa:µg/L)

最大増殖速度(μ2:倍加数)

海水区 13 0.75

大槌川 5% 16 0.71

大槌川 10% 17 0.92

大槌川 25% 27 1.19

津軽石川 5% 17 1.25

津軽石川 10% 24 1.26

津軽石川 25% 23 1.22

森林1 15 1.07

森林2 13 0.90

森林3 14 0.69

森林4 11 0.69

森林1(PSⅡ) 14 0.75

森林2(PSⅡ) 12 0.59

森林3(PSⅡ) 16 0.70

森林4(PSⅡ) 12 0.61

試験区

352

図 4.2-32 最大増殖量(クロロフィルa量)と最大増殖速度(μ2:倍加数)

                         [図中のⅠは最大と最小を示す]

0

5

10

15

20

25

30

35

海水区

大槌川5%

大槌川10%

大槌川25%

津軽石川5%

津軽石川10%

津軽石川25%

森林1

森林2

森林3

森林4

森林1

(PSⅡ

森林2

(PSⅡ

森林3

(PSⅡ

森林4

(PSⅡ

クロ

ロフ

ィル

a (µg

/L)

0.000.200.400.600.801.001.201.401.60

海水区

大槌川5%

大槌川10%

大槌川25%

津軽石川5%

津軽石川10%

津軽石川25%

森林1

森林2

森林3

森林4

森林1

(PSⅡ

森林2

(PSⅡ

森林3

(PSⅡ

森林4

(PSⅡ

増殖

速度

µ2

353

第4章 総合考察

1. 森・川・海の役割・機能、つながりに係る総合考察 ・・・・ 354

2. 今後の検討課題等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 366

目  次

354

1. 森・川・海の役割、機能、つながりに係る総合考察

 第2章において整理した既往知見・ヒアリング調査結果から得られた「森・川・海の役割、

機能、つながり」に係る論点の整理結果と、第3章で得られたモデル地域における現地調査結

果とを比較することにより、総合考察を行った。

1)森林・河川からの物質の供給による海域生産への寄与について

①森林域

 現地調査により、森林から窒素やリンが比較的低濃度ながらも流出していることが明らかとな

り、これは森林内では物質循環がほぼ完結しており、降雨による森林への流入量に比べて森林外

への流出量はわずかである等の既往知見を裏付けているとともに、森林からの窒素やリンの流出

に係る調節機能が働いていることが示唆された。

 また、森林の皆伐等により窒素濃度が上昇する等の森林施業と栄養塩類濃度との関係が示唆さ

れているが、今回の調査では、窒素・リンとも森林-1(針葉樹壮齢林)では若干高く、森林-4(広

葉樹の原生的天然林)では若干低いという傾向は認められたものの、森林施業あるいは林種・林

齢の相違等による栄養塩類濃度の明らかな相違は確認できなかった。

 渓流水中のリンについては、森林へのリンの流入量、森林生態系内での循環量が少ない上、土

壌に吸着されるため一般に濃度は低く、今回の調査でも同様な結果が得られている。

 森林を構成する樹種や林齢が水質にどの程度の影響を与えているかについては明確なものがな

い。これは、均質でない自然条件下では精度の高い調査ができず、わずかな差異は計測できない

ことに起因している。逆にいえば、森林の樹種や林齢の違いは、地質、降水量、気温等の自然条

件の違いや、森林と森林でない場合との違いに比べ、影響が大きくないためと考えられる。森林

施業や、樹種、林齢による違いを把握するためには、密度の濃い調査を広域で行う必要があると

考えられる。

珪藻にとって不可欠な物質である珪素については、森林-4(原生的な広葉樹天然林)で若干低

い濃度となっており、地質の影響等が示唆されるが、そのメカニズムについては明らかにできて

いない。

<既往知見等と現地調査結果との具体的な比較結果>

・ 総窒素の濃度については、晩夏調査が0.09~0.22mg/L、初冬調査が0.06~0.64mg/Lであっ

た。この数値は、一般的な森林からの流出濃度の範囲である。これまでの調査で、窒素は

降水により年間10kg~15kg/haが森林に供給され大部分が吸収されていることが知られてお

り、降水量の少ない地方の濃度が高く、地質の影響として石灰岩流域でやや高い値を示す

ことが認められているが、今回の調査では樹種、林齢による影響については有意な差が確

認できなかった。更にデータを蓄積する必要がある。

・ 全リンの濃度については、晩夏調査が0.026~0.069mg/L、初冬調査が0.021~0.035mg/Lで

論点1 森林・河川から供給された栄養塩類は、海域の生産に寄与しているか?

355

あった。森林-1以外の数値は、一般的な森林からの流出濃度の範囲である。森林-1の数値

が晩夏調査、初冬調査とも0.069mg/L、0.035mg/Lと一般的な森林の数値より高く、何らか

の原因があると考えられるが、原因は特定できない。リンは降水により森林に供給される

量が流出量より多いことが知られている。樹種、林齢による影響については有意な差が認

められていないことから、更にデータを蓄積する必要がある。

・珪酸の濃度については、晩夏調査が 7.6~10.4mg/L、初冬調査が 6.0~8.5mg/L であった。

我が国の河川の濃度(平均 19.0mg/L)は世界の平均(11.7mg/L)より高いが、本調査の数値

は我が国の数値としては低いほうであるものの、一般的な森林からの流出濃度の範囲であ

る。地質による影響が大きいとされており、樹種、林齢による影響については有意な差が

認められていないことから、更にデータを蓄積する必要がある。

②河川域

 既往知見によると、河川は森林からの窒素やリンを海域に供給するとともに、その流下に伴い

化学的、生物化学的に物質形態を変化させていくことが示唆されている。一方、一般に森林から

の流出量に比べ、流域から河川に流入する人為起源の窒素・リンの量の方が大きい場合が多いこ

とが知られている。

 モデル地域における現地調査では、窒素及びリンが海域に供給されていることが明らかとなっ

たが、流下に伴う濃度及び単位面積当たりの負荷量変化については、窒素濃度・負荷量は流下に

伴い上昇し、リン濃度・負荷量はほぼ同レベルか若干の低下傾向がみられた。窒素は既往知見の

とおり、流域からの人為起源の高濃度の窒素の流入によるものと考えられたが、リンについては

人為起源からの流入が少なかったことや、流下過程での沈降・吸着等、付着藻類等への取り込み

等の影響が示唆された。

 窒素の内訳では、硝酸態窒素の割合が高く、リンではリン酸態リンの割合が高いまま、上流か

ら下流までいずれの物質も大きな組成変化はなく流下していた。一般に藻類はアンモニア態窒素

や硝酸態窒素、あるいはリン酸態リンなどの無機態を摂取することから、結果的には藻類に利用

されやすい形態のままで河川を流下したことが推察された。

また、珪藻にとって不可欠な物質である珪素に関する既往知見によると、河川上流部では高濃

度で、流下に伴い濃度が低下すること等が報告されているが、今回の調査では流下に伴う顕著な

濃度の変化傾向は認められなかったとともに、森林からの供給量に比べ河川通過量の方が多い傾

向がみられており、流下過程において流域から新たに供給された可能性や、生物による取り込み

量が少なかった可能性等が示唆されたが、今回得られたデータだけではこれ以上の考察は難しい

ものと判断された。

<既往知見等と現地調査結果との具体的な比較結果>

・窒素濃度は、流下に伴い上昇していたが、形態変化はほとんど生じていない。

→既往知見のとおり、人為起源による影響が大きいと考えられる。津軽石川では農地や市

街地がある中流域から窒素濃度が上昇している。

・リン濃度は、上流から下流までほぼ同レベルか若干低下傾向であり、形態変化もほとんど生

じていない。

・ 珪酸は比較的高い濃度を示しており、河川を通じて海域に供給されていた。また、今回の

356

調査結果では流下に伴う顕著な濃度変化は認められず、流下に伴い濃度が低下するという

既往知見を裏付けることはできなかった。

③海域

 既往知見では、河川水に含まれて供給される窒素・リンが海域の一次生産に寄与していること

が報告されているが、一方で、沖合からの栄養塩類の供給の方が大きく寄与している場合がある

こと、栄養塩類過多の場合には富栄養化等が生じること等が言われている。

 モデル地域における現地調査では、窒素、リンは津軽石川河口域で高く、湾口に向かって減少

しており、また、いずれの地点も有機態の窒素・リン等の占める割合が高く、さらに河口域・宮

古湾央ではクロロフィルa濃度及び植物プランクトンの細胞数が最も多いことからも、河川から

栄養塩類が供給され、これが生産に寄与していることが推定された。

 一方、塩分の値から推定を行った河川からの栄養塩類供給量及び外洋からの栄養塩類供給量に

ついては、流量の多かった初冬調査では特に河口域で河川起源の栄養塩類が大部分を占めていた

が、晩夏調査では多くを外洋起源の栄養塩類が占めていた。しかし、これら供給量の合計と栄養

塩類現存量とを比較すると、全般的に河口部に近いところでは栄養塩類現存量が河川及び外洋か

らの栄養塩類供給量より多くなっており、河口部において栄養塩類が植物プランクトンに取り込

まれ蓄積している可能性が示唆された。

 さらには、以上の観点から、河口域の存在が海域の生産に大きな影響を与えていることが示唆

されており、河川と海域の中間に位置する河口域が重要な役割を果たしていることが推察された。

 また、AGP試験結果からも、河川順流末端の水を混ぜたケースは、海水そのものや森林水を

混ぜたケースよりも最大増殖量、最大増殖速度が大きくなり、さらに、河川水の混合率が高いほ

ど最大増殖量、最大増殖速度が大きくなる傾向にあった。これは河川水に藻類の増殖に必要な何

らかの成分が多く含まれていることを示しており、内湾等における基礎生産は河川水から供給さ

れる成分の影響が大きいという既往知見を裏付けている。これらの成分は森林から河川に流下す

る過程でその成分が加わったか、または森林から流出した物質が流下に伴い植物プランクトンの

増殖に利用されやすい形に変化した可能性が考えられるが、今回の調査結果ではその詳細は明ら

かとなっていない。ただし、森林水と河川水を単純に比較すると、河川水に多く含まれているの

は窒素であり、この影響が大きい可能性が考えられた。

 珪素については、晩夏調査では全般的に珪酸濃度が低く、初冬調査では晩夏よりも濃度が高く、

湾奥から湾口、湾外に向けて濃度が低下していく傾向がみられた。

 晩夏には河口域で珪藻綱を含む植物プランクトンの生産が盛んであったことから、河川から供

給された珪酸を珪藻が盛んに取り込んだために水中の珪酸濃度が低下したことが想像された(珪

藻に取り込まれた珪酸は本調査で実施した分析方法では測定されない)。

珪藻の細胞数が少ない初冬調査では、湾奥から湾外に向けて濃度が低下しており、河川から供

給された珪酸が海中で拡散していくことが推察された。

357

<既往知見等と現地調査結果との具体的な比較結果>

・ 窒素、リンは津軽石川河口(表層)で高く、湾口に向かって徐々に減少しており、河川か

ら栄養塩類が供給されるとする既存文献と合致していた。いずれの地点も有機態窒素・リ

ンが高いが、津軽石川河口のみNH4-Nも高かった。河川では窒素の内訳のほとんどが無機態

窒素であったが、海域では植物プランクトンに吸収されて減少するものと考えられる。

・ クロロフィルa濃度や植物プランクトンは晩夏調査時の、特に津軽石川河口、宮古湾央で

細胞数が多かった。晩夏の津軽石川河口では渦鞭毛藻綱の割合が高かったが、その他の場

所では珪藻綱の割合が高かった。晩夏の津軽石川河口では珪素の濃度が低く、窒素やリン

の濃度が高かったことから、珪素を必要としない渦鞭毛藻類が増殖したものと考えられる。

・ AGP試験において、河川順流末端の水を混ぜた場合に海水よりも最大増殖量、最大増殖

速度が大きくなり、さらに、河川水の混合率が高いほど最大増殖量、最大増殖速度が大き

くなる傾向にあった。河川水に藻類の増殖に必要な成分が多く含まれていることを示して

おり、沿岸域における基礎生産は河川水から供給される成分の影響が大きいという既存文

献を裏付けている。

・ AGP試験に供した河川水と森林水を比較すると、河川水のほうが最大増殖量、増殖速度

ともに大きい結果が得られ、森林の採水地点から河川の採水地点に流下する過程でその成

分が加わったか、または森林の採水地点で存在していた物質が流下に伴い植物プランクト

ンの増殖に利用されやすい形に変化した可能性が考えられる。なお、河川水は森林水と比

べ窒素、特に硝酸態窒素が多く、この影響が大きいことが推察された。

・ 津軽石川河口の珪酸は晩夏には他の地点とほぼ同じ濃度であり、初冬には他の地点より高

かった。晩夏に植物プランクトンの生産が盛んであったことから、珪藻に取り込まれるこ

とで珪酸が減少しているものと考えられる。

・ プランクトンは晩夏調査時に津軽石川河口付近で細胞数が多かった。晩夏の津軽石川河口

では渦鞭毛藻綱の割合が高かったが、その他の場所では珪藻綱の割合が高かった。晩夏の

津軽石川河口では珪藻の盛んな取り込みにより珪酸の濃度が低くなり、窒素やリン濃度が

高かったことから、珪酸を必要としない渦鞭毛藻類が増殖したものと考えられる。珪酸濃

度が低く、窒素やリンの濃度が高いときに渦鞭毛藻が増殖するという傾向は既存文献と合

致していた。

・ 底質の珪酸濃度は河川底質よりも低い値を示した。底生や浮遊性の珪藻に利用されて、濃

度が低くなったものと考えられる。

④森・川・海のつながりの視点から

既往知見によると、降水により森林に供給された窒素やリンは、森林生態系の物質循環の中で

利用され、この循環過程において一部の窒素やリンは系外に流出し河川に流入するとともに、河

川に流入した窒素やリンは、流下に伴ってその形態を変えながら海域に供給され、海域の生産に

寄与しているとの示唆がある。また、珪素は森林土壌から多く流出し、海域の生産(特に珪藻の

増殖)に寄与していると言われている。

モデル地域における現地調査では、森林から窒素及びリンが低濃度ながら流出していること、

その後、河川流下に伴い主に人為起源による高濃度・高負荷の窒素が河川流下に伴い新たに流入

していること、河川の流下に伴うリン濃度の変化はほとんど無いことが明らかになった。既往知

見では森林以外からの主に人為起源による窒素・リンの流出の影響が大きいと言われており、今

後、人為起源からの流出形態やその量等を明らかにするとともに、今回得られた森林からの流出

量との関係についても検証が必要と考えられる。

358

海域における窒素及びリン濃度については河口域が最も高く、湾口に向かって減少しているこ

と、いずれの地点でも有機態の窒素、リンの占める割合が高いこと、クロロフィルa濃度が高く、

植物プランクトンの増殖等が確認されていることから、河川から河口域に供給された栄養塩類が

海域の生産に寄与していることが推定された。

さらには、河口域の栄養塩類現存量は河川と外洋からの供給量より多くなっていることから、

河口域表層において植物プランクトンが栄養塩類を取り込み生体内に蓄積している可能性が示唆

されるとともに、河口域の存在が海域の生産に重要な役割を果たしていることが推察された。

珪酸濃度については、森林・河川で高い濃度を示し、海域流入後、濃度が低下する傾向がみら

れた。これは主に海域で珪藻類に摂取されたことに起因しているものと考えられ、森林・河川か

ら供給された珪酸が海域の生産に寄与していることが示唆された。

①森林域

 森林域からの微量元素類の流出については従来から多くの調査・研究がなされてデータも比較

的豊富である。微量元素類の多くはもともと岩石起源のものであり、その濃度は地質等との関係

が大きく、森林施業等とは関係が薄いとの指摘がある。一方で、フルボ酸鉄等の有機結合した微

量元素類については、森林土壌がその有機結合に大きく関与しているとの指摘もある。

モデル地域における現地調査では、陸域の岩石等から各種微量元素類の流出が認められ、これ

ら微量元素類の多くは既往知見の濃度の範囲と同様なレベルであった。また、調査地点間の違い

では、マンガン、銅、コバルト、鉄等を除きどの地点もほぼ同じレベルの濃度を示しており、こ

れは、今回の調査では調査地点間の地質等に大きな差異は無かったことが大きな要因と考えられ、

結果的には森林施業あるいは林種・林齢の相違等による差異については明らかにできなかった。

森林施業や、樹種、林齢による違いを把握するためには、密度の濃い調査を広域で行う必要があ

ると考えられる。また、フルボ酸鉄については、分析精度等の問題もあったが、基本的には低濃

度であったため、今回の調査では定量的な知見は得られなかった。

調査地点間で濃度の違いがみられたマンガンについては、マンガン鉱の影響が示唆され、また、

鉄については、森林-1(針葉樹壮齢林)及び森林-2(広葉樹若齢林)で高い濃度を示す傾向がみ

られたものの、その要因を明らかにするだけの情報が不足している状況である。銅、コバルトに

ついては既往知見が乏しい状況であるため、森林域での一般的な挙動等について不明であること、

及び調査地点間の相違はみられたが、その法則性は認められなかった。

<既往知見等と現地調査結果との具体的な比較結果>

・マンガンの濃度については、晩夏調査が 0.9~7.2μg/L、初冬調査が 0.3~3.6μg/L であっ

た。マンガンは地質の影響を大きく受けるが、渓流の水質として森林-2 の数値 7.2μg/L は

比較的大きい値である。これは付近にあるマンガン鉱の影響が出ていると考えられる。但

論点2 森林・河川から供給された微量元素類は、海域の生産に寄与しているか?

359

し鉱脈があるというほど大きい値ではない。他の 3 つの地点については、一般的な森林か

らの流出濃度の範囲である。

・Na+、Cl-濃度については、海の近くでは海塩の影響で数値が大きくなるが、今回の調査地

点は海から直線で約6km あり、数値から考えても海の影響は少ないと考えられる。今回の

調査結果は一般的な森林からの流出濃度の範囲である。

・K+、Ca+、Mg+などの濃度については、降雨による流入もあるが、多くは岩石の風化によって

供給される。今回の調査結果は、一般的な森林からの流出濃度の範囲である。

・Cu、Zn、Ni、Co については、既往知見が不足している元素である。地質による影響が大き

いと考えられるが更にデータを蓄積する必要がある。

②河川域

 既往知見によると、森林域から流出した微量元素類は河川を流下し海域に供給され、海域生産

に何らかの影響を与えていることが示唆されている一方で、その流出量の定量的評価やメカニズ

ム等についての知見は乏しい状況である。

モデル地域における現地調査により、各種微量元素類の河川を通じた海域への供給が明らかと

なったが、微量元素類について河川の流下に伴う顕著な濃度変化や組成変化等はほとんど確認で

きず、また、定量限界以下の濃度を示した物質も多く、定量的評価が困難な結果となった。

<既往知見等と現地調査結果との具体的な比較結果>

・ 微量元素類については明らかな傾向は認められなかった。

③海域

 既往知見によると、各種微量元素類は海域の生産に何らかの影響を与えていること、及びこれ

ら微量元素類は主に河川水から供給されるとともに、河川水と海水とが混合する河口域において

沈降・堆積し、再び海中に回帰する等の研究成果が示されているが、これら微量元素類の生物摂

取機構や定量的知見は乏しい状況にある。また、これら微量元素類の濃度は、沿岸から外洋に向

かって低下する傾向があることが示唆されている。

 モデル地域における現地調査によると、マンガン、銅、コバルト、鉄等の微量元素類について

は、湾口に向かって濃度が低下していること及び河口域底層で高い濃度を示していることが明ら

かとなった。これは、陸域から河川を通じて運ばれてきたこれらの微量元素類が河口域に供給さ

れ、植物プランクトン等に利用されるという既往知見や、河口域で沈降・堆積・溶出等のメカニ

ズムが働いているという既往知見等を裏付ける現象として理解される。また、このような物質挙

動をもたらす河口域という場が海域の生産に大きく関与している可能性も示唆された。

<既往知見等と現地調査結果との具体的な比較結果>

・ マンガン、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、鉄のいずれも津軽石川河口の底層で高い値を

示しており、陸域から運ばれてきたこれらの元素が河口域で沈殿・回帰したものと考えら

れた。また、湾奥に比べ湾口や湾外では多くの元素等の濃度が低下していたが、これらは

既往文献と合致していた。また、溶存態鉄、フルボ酸鉄は5μg/L以下と非常に低い濃度で

あった。

360

・ AGP試験における森林水の4地点間を比較すると、最大増殖量では大きな差はないが、

最大増殖速度では森林-1、-2のPSⅡ樹脂無処理区において他の試験区よりも大きくなって

いた。森林-1、森林-2では水質中に全鉄が多かったこと、また有機物を吸着するPSⅡ樹脂

で森林水をろ過処理した試験区では最大増殖速度が抑えられていたことから、有機態の鉄

が増殖速度に関連している可能性も考えられた。

④森・川・海のつながりの視点から

 既往知見によると、微量元素類の多くは海域生物の生体に含まれていること及びその供給源は

岩石等であることから、陸域から供給される微量元素類が海域での生産に何らかの影響を与えて

いると考えられている。一方で、フルボ酸鉄のような有機結合している微量元素類については、

森林土壌がその有機結合に大きな影響を及ぼしているとの知見がある。

 モデル地域における現地調査では、森林域の岩石等から各種微量元素類の流出が認められ、河

川を通じた海域への供給が明らかになった。しかし、森林からの供給メカニズムや河川での流下

形態等及びその定量的な評価は明らかにできなかった。

 濃度測定を実施した各種微量元素類のうち、マンガン、コバルト、鉄については、森林や河川

ではそれぞれの元素ごとにほぼ同レベルの濃度であったが、河口域流入後、表層・底層とも懸濁

態の濃度が大幅に上昇し、湾口に向けて濃度が徐々に低下する傾向がみられた。文献資料等から

判断し、これは河口域においてこれらの微量元素類を植物プランクトンが生体内に取り込み蓄積

していることや、コロイド状に沈降・堆積していた微量元素類が河口域特有の巻き上がり等で海

中に浮遊していること、また、このような物質の挙動をもたらす河口域の存在が、海域の生産に

大きく関与していることが推察された。

 上記以外の微量元素類については渓流、河川、海域間で顕著な差違は認められず、これら元素

類の海域の生産性への影響を判断するデータは得られなかった。フルボ酸鉄については、分析精

度等の問題もあったが、全般的に低濃度であったため、今回の調査では定量的な知見は得られな

かった。

①森林域

 既往知見によると、森林は落ち葉等の有機物を供給し、渓流には渓畔林から供給されたこれら

の有機物を餌等として多くの底生動物が利用していることが示唆されており、モデル地域におけ

る現地調査においても、森林から渓流に落下した落ち葉等を摂食する破砕食者が確認され、さら

に落ち葉の多かったと推定される初冬調査では破砕食者の種類数が増加しており、多様な底生動

物相が確認されている。

 しかしながら、広葉樹の落葉が底生動物の餌となっていることは報告があるものの、針葉樹の

落葉が底生動物の餌となっているかどうか等についての知見は乏しいなど、未解明の部分が多く、

論点3 森林・河川から供給された有機物は、海域の生産に寄与しているか?

361

今回の調査結果においても、林種・林齢による底生動物相の相違について明らかな傾向はみられ

なかった。森林施業や、樹種、林齢による違いを把握するためには、密度の濃い調査を広域で行

う必要があると考えられる。なお、林種、林齢に由来する生物の多様性の違いが、物質挙動に関

連する可能性もある。

 また、固形物質濃度の調査結果でも、森林タイプによる違いは明らかとはならなかったが、初

冬調査では落ち葉等の影響により 2mm 以上の固形物質が多く確認されている。

 フミン酸、フルボ酸については地点間、季節的な変化等について顕著な傾向は明らかとなって

いない。

森林内の上木及び下木の植生、地質、土壌、地形・傾斜、渓畔の植生、渓流の日射量等が複合

的に影響している可能性があり、年間を通じて調査していないこと、調査数が少ないことから更

にデータを蓄積する必要がある。

<既往知見等と現地調査結果との具体的な比較結果>

・ 渓流の底生動物の種類数及び個体数については、森林タイプによる顕著な傾向は認められ

なかったが、摂食機能群による分類では、晩夏調査に比べ落ち葉の多かった時期と考えら

れる初冬調査において破砕食者や捕食者の種類数が増加していた。

・ 固形物質調査結果によると、いずれの地点においても2mm以上の粒径の固形物質が多くを占

めていた。また、初冬調査の森林-4(原生的な広葉樹天然林)では、2mm以上の固形物質が

高濃度で確認されている。

②河川域

 既往知見によると、河川ではその流下過程において、森林から流出してきた落ち葉等を水生昆

虫等が利用することにより有機物の形態変化(細粒化、溶存化)が生じ、海域の生物にとって利

用しやすい形態となって供給されること、また、河川の付着藻類等も剥離して、海域生物の餌料

となっていることが報告されている。

 モデル地域における現地調査によると、落ち葉等の多かった初冬調査においては、河川での固

形物質濃度は流下に伴い低下していること、及び粒径2mm未満の固形物質濃度の割合も増加して

いる傾向がみられており、細粒化・溶存化の可能性が示唆されたが、一方で有機炭素濃度は懸濁

態・溶存態とも低下しており、これは河床への沈降や底生動物による摂食の可能性が考えられた。

 なお、河川での底生動物調査結果によると、流下に伴う顕著な変化傾向は認められなかったが、

晩夏調査に比べ落ち葉等の供給の多かったと想定される初冬調査では破砕食者及び捕食者の種類

数・個体数とも増加しており、落ち葉等の供給にあわせて底生動物相が変化した可能性が示唆さ

れた。

 フミン酸、フルボ酸については地点間、季節的な変化等について顕著な傾向は明らかとなって

いない。

<既往知見等と現地調査結果との具体的な比較結果>

・ 有機炭素濃度については、特に初冬調査において流下に伴いやや減少する傾向がみられ、

362

懸濁態有機炭素(POC)及び溶存態有機炭素(DOC)とも減少傾向を示した。

・ 落ち葉等の多かった初冬調査においては、河川での固形物質濃度は流下に伴い低下してい

ること、及び粒径2mm未満の固形物質濃度の割合も若干増加している傾向がみられたが、一

方で有機炭素濃度は懸濁態・溶存態とも減少傾向にあり、河床への沈降や底生動物による

摂食の可能性が考えられた。

・ 晩夏調査に比べ初冬調査では、底生動物の破砕食者の種類数・個体数が大幅に増加してお

り、これは落ち葉等の供給に関係があるものと考えられた。

③海域

 既往知見によると、落ち葉、付着藻類の破片や細胞、水生昆虫類の死骸等は、主に河川出水時

に流送され、デトリタス食の海域生物に摂食されると言われている。

 今回の現地調査は平常時の調査として実施したものであるが、晩夏調査の津軽石川河口の懸濁

態有機炭素(POC)濃度は沖合の地点よりも高くなっており、これは河川から何らかの懸濁有機

物が供給されたこと又は植物プランクトンが増殖したこと等の可能性が考えられたが、一方で、

河川での有機炭素濃度が低いこと及び溶存態の有機炭素が多くの割合を占めていること等を勘案

すると、河川以外の起源の可能性も否定できない。

 フミン酸、フルボ酸については地点間、季節的な変化等について顕著な傾向は明らかとなって

いない。

 なお、海域に供給された懸濁有機物がデトリタス食の海域生物に摂食されたことを示す調査は

今回実施しておらず、今後これらの機構を明らかにする調査が必要と考える。

<既往知見等と現地調査結果との具体的な比較結果>

・ 有機物の内訳として、津軽石川河口では沖合の地点に比べてPOCの割合が高かったが、これ

が河川からの落ち葉や付着藻類の破片等の有機物に由来するものか、植物プランクトンへ

の取り込みにより生じたものなのか等については明瞭な判断はできなかった。

・ フミン酸、フルボ酸の挙動については、明瞭な傾向は明らかとなっていない。

④森・川・海のつながりの視点から

既往知見によると、森林は落ち葉等の有機物を供給し、渓流・河川にはこれらを餌等として多

くの底生動物が利用していること、また、これらの底生動物が落ち葉等を利用することにより有

機物の形態変化(細粒化・溶存化)が生じ、海域の生物にとって利用しやすい形態となって供給

されることが言われている。また、河川の付着藻類の破片や細胞、水生昆虫類の死骸等は、主に

出水時に流送され、デトリタス食の海域生物に摂食されることが知られている。

 モデル地域における現地調査においても、森林が供給した落ち葉等の有機物を餌として渓流・

河川には多様な底生動物が生息していることが明らかになった。また、落ち葉等の供給の多かっ

たと想定される初冬調査時に、晩夏調査時よりも破砕食者や捕食者の種類数・個体数が増加する

傾向が認められたことなどから、落ち葉等の供給にあわせて渓流・河川の底生動物相が変化した

可能性が推察された。しかしながら、樹種ごとの落ち葉の違いがどの程度底生動物に影響を及ぼ

363

しているかなど、未解明な部分も多く、今後研究成果の蓄積が必要とされる分野である。

 落ち葉等の多かった初冬調査においては、河川での固形物質濃度は流下に伴い低下し、粒径2mm

未満の固形物質濃度の割合が増加していることから、有機物の細粒化・溶存化の可能性が示唆さ

れたが、一方で有機炭素濃度も低下しており、河床への沈降や底生動物による摂食の可能性も考

えられ、明瞭な結果は得られなかった。

 海域では、晩夏調査の津軽石川河口の懸濁態有機炭素(POC)濃度は沖合の地点よりも高く、

河川から懸濁有機物が供給されたこと又は植物プランクトンが増殖したこと等の可能性が考えら

れた。しかしながら、河川の有機炭素濃度は低く、また、多くの割合で有機炭素のうち溶存態が

占めていることから、河川以外の起源の可能性も否定できない。

2)森林・河川の水量・土砂の調節機能による健全な海域生態系の維持について

既往知見によると、洪水などにより大量の淡水が一挙に海域に流入することは、淡水に弱い海

域生物等の死滅やストレスの蓄積等を引き起こすとの研究者の指摘がある。一方で、適度な出水

が海域に良い影響を与えているとの指摘もある。

また、森林では、林齢の高いところほど土壌への浸透能が高く、また、裸地は森林に比べて降

雨に対する流出量の反応が敏感であり、ピーク時流量が増加することなどが既往知見として得ら

れている。河川においては、河川改修等による河道の貯留効果の減少等が指摘されており、森林

や河川による水量の安定化機能の発揮は、健全な海域生態系の維持に寄与しているとの指摘があ

る。

 しかしながら、今回の現地調査は、平水時相当における物質の供給を明らかにすることを主要

な目的の一つとして実施したものであり、融雪時や洪水時等の流量等の連続観測や、このような

イベント時における海域生物の生息状況調査等を実施しておらず、海域生態系と森林・河川によ

る流量の安定化機能との関連について検証できていない。今後、これらの機能に着目した調査を

実施し、知見を蓄積していくことが必要である。

 既往知見によると、森林は土砂流出防止機能を有しており、この機能は海域での濁りの発生抑

制に寄与し、健全な海域生態系の維持や光合成が確保されることで、ひいては海域の生産に寄与

しているとの指摘が多い。特に森林が裸地化した場合や土木工事が適切に実施されなかった場合

論点4 森林・河川から流出する水量が安定することは、健全な海域生態系の維持に寄

与しているか?

論点5 森林による土砂流出防止機能は、濁りの発生を抑制し、健全な海域生態系の維

持に寄与しているか? また流域からの土砂の適度な供給は健全な海域生態系

の維持に寄与しているか?

364

は、土砂流出防止機能を低下させ、海域等で濁りを生じさせる大きな要因となっている等の指摘

が得られている。

 一方、森林・河川からの適度な土砂の供給は、河川・沿岸域の地形や底質の粒径を保ち、河川

生態系や海域生態系の維持に寄与することを示唆している研究者も多い。特に河川改修による河

床材料の変化や河川での砂利採取等は、土砂供給量に大きな影響を与えるばかりでなく、土砂の

粒径分布の変化にも影響を及ぼすことが示唆されている。

 しかし、今回の現地調査は平水時相当における物質の供給を明らかにすることを主要な目的の

一つとして実施したものであり、融雪時や洪水時等の濁度等の連続観測、土砂供給量の把握、河

床や海底地形の変化状況調査、このようなイベント時における海域生物の生息状況調査等を実施

しておらず、海域生態系と森林・河川による土砂流出調節機能との関連について検証できていな

い。今後、これらの機能に着目した調査を実施し、知見を蓄積していくことが必要である。

3)森林・河川生態系が適切に維持されることによる海域の生産への寄与について

 既往知見によると、渓流の樹木等の存在による日陰効果が水温を低下させ、イワナ、ヤマメ

をはじめとする渓流における魚類の生息環境の維持に貢献していること、また、渓流や河川に

おける落ち葉等の供給も、水生昆虫等の餌の供給に貢献していること、渓流の陽光によって藻

類が繁殖し、これは底生動物等の餌となっていること、森林から供給される倒流木が、渓流、

河川に淵、瀬を作り、隠れ家等を供給し生物相を豊かにしていることなどの報告がある。

 しかしながら森林整備や林種・林齢の違いによる生物相の違いや、渓畔林・河畔林による落

ち葉等の供給機能と海域生態系との関係については不明な部分が多く、今後、研究成果を蓄積

していくことが必要である。

 森林では、渓畔林・河畔林等の樹冠による木陰の存在により高水温に弱いサケ科魚類等の生

息を可能としているとともに、河川そのものは回遊魚の生息場や産卵場としての役割を果たし

ているとの指摘があり、これら回遊魚の遡河に伴う陸域への物質環流機能によって、栄養塩類

等が再度森林・河川から海域に供給されることにより、海域の生産に寄与しているとの指摘が

多い。この物質環流の過程においては、熊や大型鳥類等による遡河してきた回遊魚の陸上への

持ち込み、回遊魚に含まれる成分等のヤナギ等の植物体による固定など、多様な動植物が関与

しているとの研究成果が示されている。

また、海域で採餌した水鳥等の移動や沿岸漁業による陸域への物質環流機能に関しても多く

論点6 森林・河川生態系が適切に維持されることは、海域の生産に寄与しているか?

論点7 動植物の存在や水産資源の収穫は、海域の生産に寄与しているか?

365

の研究成果が示されており、特に沿岸域に蓄積し飽和状態となった栄養塩類等の物質を除去す

ることは新たな海域生産の促進に寄与できるとの指摘がある。

 今回の現地調査では、回遊魚等の生息場・産卵場としての調査・評価は実施しておらず、こ

れら回遊魚等をはじめとする動植物の生息と海域の生産との関係について定量的な評価はでき

ていない。さらには、回遊魚等をはじめとする動植物や沿岸漁業による物質循環量等の評価や、

これによる海域生産への寄与程度も明らかとなっていないことから、今後、定量的な知見を蓄

積していく必要がある。

366

2. 今後の検討課題

 以上の検証結果を踏まえ、今後、森・川・海の役割・機能及びつながりをより詳細に明らか

にしていくための検討課題を整理した。

1)物質の供給に関して

・ 出水時・融雪時の調査や1年を通じた物質収支を考慮した調査等を実施する必要がある。

・ 森林を皆伐した場合等における渓流水質の変化等の知見は比較的存在しているとともに、

その変化状況は明らかであることに対して、渓流水質と森林施業との関わり、あるいは森

林施業と水生生物との関係については未知の部分が多く、今後知見を蓄積する必要がある。

・ 各種元素(特に微量金属)については仮説を支持する結果が得られていないが、調査時期、

項目、地点、分析手法などについて多くの知見を蓄積する必要がある。

・ 河川での流下に伴う物質形態の変化が、物理的な変化(沈降、吸着等)か、化学的・生物

化学的変化(酸化、分解、消費、溶出)なのか把握できていない状況があり、この変化に

焦点をあてた知見の蓄積が必要である。

2)水量・土砂の調節機能に関して

・ 今回のモデル地域での現地調査は、平水時相当における物質の供給を明らかにすることを

主要な目的の一つとして実施したものであるが、既往文献やヒアリング調査結果では、森

林・河川の水量の安定化又は土砂の適度な流出機能(調節機能)等が海域の生産に極めて

重要な役割を果たしていることが示唆されており、今後、流量・土砂の調節機能と海域生

産との関係を結びつけていく調査が必要となっている。

・ 土砂の調節機能に関しては、現在、河川を中心として様々な調査が実施されており、これ

らの知見等を活用するとともに、海域生産にプラスに働く適度な土砂量の見極め、及び土

砂の質(粒径)について調査・検討が必要となっている。

3)その他

・ 森林生態系及び河川生態系が適切に維持されることが海域生態系を豊かにすることにつな

がると示唆されていることから、森林・河川生態系と海域生態系とのつながりを具体的に

明らかにする調査が必要となっている。

・ 今回のモデル地域は、森・川・海のつながりを明確にしやすい地域として、森林・河川と

海域との関係が把握しやすく、また、人為影響の少ない三陸沿岸地域を選定したが、全国

的にみた場合は、このような流域特性を有する地域は少なく、オープンな海域に注ぐ河川

流域や人為的な影響を強く受けている流域が大部分を占めている状況がある。このため、

森・川・海のつながりを重視した豊かな漁場海域環境創出方策を全国展開していくために

は、今回のモデル地域と日本全国の多くを占める地域との相違点等を明らかにした上で、

森・川・海のつながりに係る知見を一般化していく調査・検討が必要である。

367

第5章 今後の事業展開に向けて

1. 整備の方向性の検討 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 368

2. 整備方策の具体的検討 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 376

目  次

368

1.漁場環境のための森・川・海の整備の方向性の検討

 4章までの調査・検討結果を踏まえ、森・川・海のつながりの視点から、「良好で豊かな漁場

海域環境」を創出するための今後の整備の方向性を検討した。

 検討にあたっては、森林域・河川域・海域それぞれの有する機能や役割に着目した方向性と、

森林域と河川域、河川域と海域とをつないでいる部分に着目した方向性とに分けて検討を行った。

1)森林域・河川域・海域それぞれにおける整備の方向性の検討

 森林域・河川域・海域それぞれで想定される整備の方向性としては、表-5.1に示す事項が挙

げられた。

 森林においては、珪酸塩珪素を含む栄養塩類や、微量元素類が安定的に供給されるとともに、

有機物が適度に供給される健全な森林生態系を維持することが必要となっている。河川において

は、食物連鎖等を通じた栄養塩類の適切な形態変化が維持されることや、海域に珪酸塩珪素を適

切に流下させる機能が重要となっている。また、有機物については食物連鎖を通じた付着藻類等

のバイオマスとしてのストックを適度に増加させるなどにより、有機物を適度に貯留・流下させ

ることが必要となっている。さらに海域では、河川から供給された珪酸塩珪素を含む栄養塩類や

微量元素類、有機物を海域生産に有効に利用できる環境を創出することが求められている。

 水・土砂の安定的供給については、森林や森林土壌が有する降水の流出調節機能や、森林によ

る土壌保全機能が発揮されることが必要となっており、また、河川では適切な流量の維持に資す

る河川・流域の貯水性・浸透性の確保や、森林域から供給された土砂を適切に流下させることが

求められている。海域では河川からの適度で安定的な淡水供給によって健全な海域生態系を維持

するとともに、河川からの適度な土砂量と適度な粒径による土砂供給を活かして、海域生態系の

良好な生育・生息基盤の維持・確保を図ることが必要となっている。

 生態系の適切な維持に関しては、森林及び渓流生物の生育・生息環境の保全を図るとともに、

河川では生物の生育・生息環境の保全と移動阻害を解消していくことが望まれる。海域において

は陸域への物質環流機能を確保するという観点から、生物の生育生息環境保全とその移動の確保、

沿岸漁業の振興等の方向性が挙げられる。

369

表-5.1 漁場環境のための森・川・海の整備の方向性の検討

今後の整備の方向性項 目 内 容

森林域 河川域 海域

森林・河川

からの栄養

塩類の供給

森林から流出す

る栄養塩類が河

川で形態を変え

ながら流下し、

海域の生産に寄

栄養塩類が安定的に

供給できる健全な森

林生態系を維持する

ことが必要

食物連鎖等を通じた

栄養塩類の適切な形

態変化が維持される

ことが必要

河川から供給される

栄養塩類が海域の生

産に有効に利用され

る環境を創出するこ

とが必要

森林・河川

からの微量

元素類の供

森林から流出す

る微量元素類が

河川を適切に流

下し、海域の生

産に寄与

微量元素類が安定的

に供給できる健全な

森林生態系を維持す

ることが必要

(その他は定量的な

知見を蓄積していく

ことが必要)

森林域から供給され

る微量元素類を適切

に海域へ流下させる

ことが必要

(その他は定量的な

知見を蓄積していく

ことが必要)

河川から供給される

微量元素類が海域の

生産に有効に利用さ

れる環境を創出する

ことが必要

(その他は定量的な

知見を蓄積していく

ことが必要)

森林・河川

からの有機

物の供給

森林から流出す

る有機物が河川

で形態を変えな

がら流下し、海

域の生産に寄与

森林から有機物が適

度に供給できる健全

な森林生態系を維持

することが必要

食物連鎖を通じたバ

イオマスとしてのス

トックを適度に増加

させ、有機物を適度

に貯留・流下させる

ことが必要

河川から供給される

有機物が海域の生産

に有効に利用される

環境を創出すること

が必要

森林・河川

による流量

の調節

森林の流出調節

機能や河川の流

下速度の調節機

能が健全な海域

生態系の維持に

寄与

森林や森林土壌が有

する降水の流出調節

機能を発揮させるこ

とが必要

適切な流量の維持に

資する河川や流域の

貯水性・浸透性の確

保が必要

河川からの適度で安

定的な淡水供給を活

かして、健全な海域

生態系を維持するこ

とが必要

森林による

濁り発生抑

制と適度な

土砂供給

流域からの適度

な土砂供給が健

全な海域生態系

の維持に寄与

森林による土壌保全

機能を発揮させるこ

とが必要

森林域から供給され

た土砂を適切に流下

させることが必要

適度な土砂量と適度

な粒径による土砂供

給を活かして、海域

生態系の良好な生

育・生息基盤の維

持・確保を図ること

が必要

森林・河川

生態系の適

切な維持

森林・河川生態

系の適切な維持

が健全な海域生

態系の維持に寄

動植物の存

在や水産資

源の収穫

動植物の存在や

水産資源の収穫

が健全な海域生

態系の維持に寄

森林及び渓流生物の

生育生息環境を保全

することが必要

河川生物の生育生息

環境の保全や河川生

物の移動阻害を解消

することが必要

生物の移動や沿岸漁

業による陸域への物

質環流機能を確保す

ることが必要

370

2)森林域・河川域・海域の連携方策に係る方向性の検討

 前項では、森林域・河川域・海域それぞれにおける整備の方向性を整理したが、ここでは、森

林域・河川域・海域の連携方策を考える上で最も重要な位置にあると考えられる「つながり」の

部分に着目し、これら「つながり」の持つ機能・役割を検討することにより、連携方策に係る方

向性について検討を行った。

 なお、今後、連携して整備・取り組みを進めていくべき個別的な事項等については、以下のと

おり整理される。

①森・川・海のつながりに係る調査の充実

今回の調査では、モデル地域において現地調査を2季実施し、既往知見と照らし合わせるこ

と等によりその解析を行ってきたが、その解析手法が確立されていないこと、人為起源からの

流出形態やその量等が明らかになっていないなど、各物質の挙動等には複数の影響要因が複雑

に関係していること等を理由として、森・川・海のつながりを十分に解明できたとは言えない。

また、出水時や融雪時における調査や年間を通した調査の必要性も示唆されており、基礎調査

やモニタリング調査の充実によるデータの蓄積が求められている。今後、既往知見の集約と合

わせて、森・川・海のつながりの視点に立って調査を継続していくとともに、調査内容の充実

を図った上でのデータの蓄積が重要となっている。

②森・川・海のつながりを意識した長期的視点に立った取り組みの展開

 今後、森林域・河川域・海域との連携の下、その整備・検討の方向性を考えるにあたっては、

森林域での施策・取り組みでは、その効果の発現までには長時間を要するものがあること、ま

た、森林・河川・海域生態系の維持・保全に関する施策・取り組みでは生物多様性を確保して

いくことが重要であること等が指摘されており、10年先、100年先を展望した長期的視点に立

った調査・研究計画を立て、これに基づいた知見の蓄積を図っていくことが重要となっている。

③森・川・海のつながりに係る知見等の情報の共有化

 今後、森・川・海のつながりを重視した事業展開を図っていくためには、既往知見を集約す

るとともに、知見の乏しい分野に焦点を当てたデータ等の更なる蓄積が重要となっており、各

種機関により得られたデータや知見等の情報を積極的に共有化していくことが重要である。

④森・川・海のつながりに係る調査・解析手法の検討・確立

 森・川・海のつながりの観点から調査を行い、得られたデータを解析した事例はほとんど皆

無であることから、その調査手法及び解析手法についての具体的な検討とその確立等に取り組

んでいくことが重要である。

371

 今回実施した調査は、既往知見から得られた情報を基に、網羅的に水質や生物相等の調査を

実施したものであるが、今後、森・川・海のつながりに係る調査を効果的かつ効率的に全国展

開していく場合には、森・川・海のつながりを解析するために必要となる調査内容、調査項目

の優先順位を設定・提示していく必要があり、これらの情報について早急に整理・検討するこ

とが求められている。今回の調査において得られた結果から提案される今後の現地調査指針

(案)は表-5.2に示すとおりであり、今後、これら調査内容について精査を行っていくこと

が重要である。

 なお、現地調査指針(案)の精査にあたっては、対象とする河川・海域等が、小河川・大河

川、内湾・外海、河口域の形状がどうなっているか等によっても森・川・海のつながりのあり

方は大きく変わってくることから、対象とする地域等の特性を明確に把握した上で検討を行う

ことが必要である。

 また、今回の調査では、森・川・海の調査結果データを横並びにすること等により解析を実

施したが、十分な成果が得られたとは言えない状況であった。これは既往知見が不足している

という要因の他に、森・川・海を通じたデータを横並びにするなどして解析した事例がほとん

どなく、試行錯誤による検討であったことに起因する部分が大きかった。

 このため、今後、森・川・海のつながりを重視した連携方策を広く展開していくためには、

前述の現地調査指針(案)のほか、解析手法を早期に検討・確立し、広く普及していくことが

重要である。

⑤森林域・河川域・海域の「接点」の健全化

 森・川・海の健全なつながりを確保していくためには、森・川・海それぞれの機能や役割が

十分発揮されることが必要であるが、一方「森林域と河川域との接点」や「河川域と海域との

接点」が不健全な場合には、森林域や河川域で整備を推進しても、十分な効果を期待すること

はできない。具体的には、森林域と河川域であれば渓畔域や河畔域等、河川域と海域であれば

河口域等について、今後、特に留意して整備方策を検討していくことが必要となっている。

森林域 河川域 海域

渓畔域、河畔域 河口域

つながり つながり

372

⑥連携体制の構築

 森・川・海のつながりに係る分野は多岐に渡っていることから、より広範な分野の行政・研

究に係る関係機関の密接な連携体制を構築するとともに、共通認識に立った目標等を掲げた上

で、それぞれの役割分担の下、調査研究・解析等を進めていくことが重要である。

 さらには、漁業者、林業従事者、地域住民、NPO等の多様な主体の参加・参画を推進して

いくとともに、地域住民等が森・川・海の環境保全活動に参画する際に参考となる手引き書的

な資料(パンフレットやリーフレット、小冊子等)の作成・配布等の取り組みの推進が重要と

なっている。

373

表-5.2 森・川・海のつながりに係る現地調査指針(案)

●調査の基本的考え方

 森・川・海のつながりを重視した連携方策を展開していくにあたっては、森林域・河

川域・海域及びそのつながりの状況等を把握する必要があり、この観点からは、次に示

すような現地での定点調査を実施するとともに、流域に関連するデータは既存資料調査

等により得ることが考えられる。

 なお、ここで提示した調査項目や手法については、地域特性により必要に応じて取捨

選択すべきであると考えられることから、適宜最適な項目及び手法を採用することが重

要である。

・ 渓流域・河川域・海域を通した水質調査(水質調査項目(案)は表-5.2.1参照)

・ 渓流域・河川域を通した水量調査

・ 河川域・海域の底質調査(底質調査項目(案)は表-5.2.2参照)

・ 渓流域・河川域の底生動物・付着藻類調査(定量・定性調査)

・ 河川域・海域の水草・海草(海藻)調査

・ 森林・渓畔林、河畔林調査(樹種、立木密度、蓄積、施業履歴等)

・ 土壌調査(理化学特性等)

・ AGP試験

●調査頻度・時期

 水質・水量調査は平水相当時として四季実施するとともに、出水時においても調査を

実施することが望ましい。なお、冬季に積雪のある地方においては、春先の融雪時にも

調査を実施することが好ましい。

 底生動物・付着藻類調査については四季実施することを基本とし、その他の調査につ

いては1回程度実施することが望ましい。

●調査地点

 渓流域では、流域の樹種や林齢、施業履歴等を考慮するとともに、森林を面的に捉え

る観点から数地点設定する。

 河川域では、流下に伴う変化が把握できるように、数地点設定する。

 海域では、河川水の拡散方向や外洋水との交換等を考慮し、数地点設定する。また、

表層と底層の2層程度設定する。

●解析手法

 水質分析結果のデータ解析にあたっては、濃度だけでなく、負荷量も対象として、森・

川・海のデータを比較する。なお、河川からの負荷量が海域にもたらす影響の定量化に

は塩分を指標とした解析手法が提案されている。また、平水時・出水時・融雪時等の負

荷量を算定し、海域への供給量を推定することが考えられる。

 その他の調査結果は、水質・水量調査結果との比較及び相互の比較等を行うことが考

えられる。

374

表-5.2.1 漁場環境のための森・川・海の整備で有効と考えられる水質調査項目(案)

分析項目調査項目の優先順位(案)

有効と考えられる調査項目の選定理由

全有機態炭素

溶存態有機態炭素○ 生物の現存量及び生産量を指標しているため。

フミン酸フルボ酸

○森林域で地点による差が確認された項目で、生物生産への関与について近年注目されている物質群であるため。

有機物

粒 子 状 有 機 物(POM) ○

森林域で地点による差が確認された項目で、河川や海域における生物生産に寄与していることが考えられるため。

総窒素

亜硝酸態窒素

硝酸態窒素

アンモニア態窒素

総リン

リン酸態リン

○河川内で地点による差が顕著にみられた項目であるため。また、AGP試験における増殖量・増殖速度の差が栄養塩類の差によると考えられるため。栄養塩類

珪酸 ○海域での植物プランクトンの取り込みに由来すると考えられる地点・季節間の差違が確認されたため。

全鉄 ○地点による差が確認された項目で、生物生産への関与について近年注目されている物質であるため。

溶存態鉄 ○鉄

フルボ酸鉄 ○地点による差はみられなかったが、生物生産への関与について近年注目されている物質であるため。

ナトリウムカリウムカルシウム

金属元素類(主要)

マグネシウム

河口域での沈降等の要因による濃度変化以外は、地点間で目立った差がみられず、これらの物質濃度の違いが生物生産の違いに大きく関与している可能性は低いと考えられるため。

マンガン ○ 地点による差が確認された項目であるため。銅亜鉛ニッケル

金属元素類(微量)

コバルト

河口域での沈降等の要因による濃度変化以外は、地点間で目立った差がみられず、これらの物質濃度の違いが生物生産の違いに大きく関与している可能性は低いと考えられるため。

塩化物イオン重炭酸イオン陰イオン硫酸イオン

△地点間で目立った差がみられず、森・川・海のつながりの観点からは必須の調査項目とは考えられないため。

pH ○水の基本的性質を指標する項目であり、また、pHが物質の形態変化に大きく影響を与える場合があるため。

電気伝導度 △水中に含まれる陽・陰イオン量の目安となるが、森・川・海のつながりの観点からは必須の調査項目とは考えられないため。

DO ○生物の生息環境の状況を指標する項目であり、また、河川から海域への溶存酸素の供給状況を把握するため。

塩分 ○海域水質の基礎的項目であり、河川水と外洋水との混合割合を推定するデータとして有効であるため。

基礎項目

透視度・透明度 ○ 濁りの状況等を把握するため

BOD又はCOD △水質汚濁の一般的指標であるが、森・川・海の関係を明らかにするためには、水質汚濁よりも有機物の量等の把握が重要であるため。

SSVSS

○ 河川から流出する濁り成分の状況を把握するため。一般項目

クロロフィルa ○ 海域における基礎生産の状況を把握するため。プランクトン 植物プランクトン ○ 海域における基礎生産の状況を把握するため。

<注> ○:優先的に調査を実施すべき項目  △:調査の実施が考えられる項目

375

表-5.2.2 漁場環境のための森・川・海の整備で有効と考えられる底質調査項目(案)

分析項目調査項目の優先順位(案)

有効と考えられる調査項目の選定理由

全有機態炭素 ○地点による差が確認された項目で、生物の現存量及び生産量の指標であるため。

フミン酸有機物

フルボ酸○

地点による差が確認された項目で、生物生産への関与について近年注目されている物質群であるため。

総窒素

亜硝酸態窒素

硝酸態窒素

アンモニア態窒素

総リン

リン酸態リン

○海域の生産に大きく関与している物質で、これらの物質の底泥での存在量を明らかにすることで、その沈降・堆積状況が把握できるため。

栄養塩類

珪酸 ○植物プランクトンによる生産に大きく関与している物質であり、底泥での存在量を明らかにすることで、その沈降・堆積状況が把握できるため。

鉄 全鉄 ○生物生産への関与について近年注目されている物質であるため。

ナトリウムカリウムカルシウム

金属元素類(主要)

マグネシウム

△地点間で目立った差がみられず、また、濃度の違いが生物生産の違いに大きく関与している可能性は低いと考えられるため。

マンガン ○ 地点による差が確認された項目であるため。銅亜鉛ニッケル

金属元素類(微量)

コバルト

△地点間で目立った差がみられず、また、濃度の違いが生物生産の違いに大きく関与している可能性は低いと考えられるため。

粒度組成 粒度組成 ○底質の性状を指標する基礎的項目で、各種物質の沈降・堆積のメカニズムと関連があると考えられるため。

<注> ○:優先的に調査を実施すべき項目  △:調査の実施が考えられる項目

376

2.整備方策の具体的検討

 森・川・海のつながりの視点から、「良好で豊かな漁場海域環境」を創出するための今後の整

備の方向性を検討するとともに、森林域・河川域・海域それぞれにおいて、現時点で想定される

具体的な整備方策や取り組み等について検討を行った結果は表-5.3に示すとおりである。今後、

各海域や流域の実態を踏まえ、必要に応じて森林域・河川域・海域の関係者が連携し整備や取り

組みを進めていくことが望ましい。その際、モデル地域を設定し効果の検証等を実施することが

考えられる。

377

表-5.3 現時点で想定される整備方策や取り組み等

項目 整備方策、取り組み等

基礎調査 ①地質や気象条件等が流出水に与える影響の把握

②森林整備、樹種・林齢等が流出水に与える影響の把握

モニタリング ①豪雨時や融雪時を含め、森林が水量・水質、土砂供給量等に与える影響のモニ

タリング

整備方策 ①濁水の発生防止等森林の水源かん養機能の維持・増進の観点から、山腹崩壊

の予防や山腹崩壊跡地等土砂供給源の早急な復旧、並びに伐採跡地への早

急な植栽の実施や人工林の適切な密度管理の実施、水質保全施設の設置等

②多様で健全な森林を維持・造成する観点から、生態系に配慮した森林の整備・

保全、渓畔林等の整備・保全

協 働 ①上下流の連携やボランティア活動等を通じた森林の整備・保全の一層の推進

基礎調査 ①栄養塩類濃度等に関する基礎調査

②河畔林等に関する基礎調査(樹種、現存量、落葉・落枝供給量、落葉分解速度

等)

モニタリング ①水質・水量等のモニタリング

②出水時や融雪時における流出水量、土砂供給量、河床の変化等のモニタリング

③河床材料のモニタリング

④河畔林等のモニタリング

整備方策 ①多自然型護岸等による瀬と淵、生物生息域の創出

②自然再生事業による本来の河川環境が有するバランスの復元、生物生息域の

復元

③河川内浄化施設による余剰な栄養塩類の除去又は形態変化の促進

④河畔林、水草・河畔植生等の適切な整備・保全

⑤貯水池等でのプランクトンの異常発生の抑制

⑥適切な魚道の設置及び維持管理

⑦河川管理施設における適切な土砂管理

⑧河道における砂利採取等の適切な規制

協 働 ①流域関係者と連携した、栄養塩類、有機物を適切に循環させるための取り組み

基礎調査 ①藻場等の形成や漁業生産に及ぼす河川水・流入土砂の影響の把握

②物質環流量と海域生産との関係の把握

③陸域起源物質の海域生物への摂取機構の調査と物質収支の把握

④出水時や融雪時等の大量の淡水流出が海域環境に及ぼす影響の把握

モニタリング ①河口域において河川水や物質挙動等を把握するためのモニタリング・観測体制

の充実

整備方策 ①沿岸域における適切な生態系を保全する観点から、藻場、干潟、砂浜、産卵場

等の保全、自然調和型防波堤等による生物生息域の創出

②栄養塩類、微量元素類、有機物、淡水、土砂等の作用を考慮した漁場環境の整

備・保全

協 働 ①漁業者、地域住民、NPO等多様な主体の参画による藻場の保全・創造等良好

な沿岸域環境を創出する取り組みの一層の推進

森・川・海の

つながり

協 働 ①森林・河川・海域の関係者間の連絡体制強化による意見交換と情報の共有化

②森林・河川・海域それぞれにおける施策を実施するにあたっての、他の施

策への円滑な情報提供

③調査手法及び解析手法の具体的な検討とその確立

④森・川・海のつながりの観点から、より広範な分野との連携調査の実施

378

委員会の開催

379

委員会の開催

 『森・川・海のつながりを重視した豊かな漁場環境創出方策検討調査委員会』を4回開催した。

委員の名簿を表-1に、委員会の開催状況を表-2に、委員会の状況(写真)を表-3に、委員

会の議事要旨を p385 以降に示す。なお、第2回委員会の開催後にモデル地域の現地視察を行っ

た。

表-1 森・川・海のつながりを重視した豊かな漁場環境創出方策検討調査委員会委員名簿

委員名 所属 備考

高橋正征 東京大学大学院総合文化研究科 委員長

西村修 東北大学大学院工学研究科

柳井清治 北海道工業大学工学部

沖野外輝夫 早稲田大学人間科学部

向井宏 北海道大学大学院理学研究科

植松光夫 東京大学海洋研究所

谷田一三 大阪府立大学総合科学部

肱黒直次 全国森林組合連合会組織部

前林篤 全国漁業協同組合連合会漁政部

                             (順不同 敬称略)

表-2 森・川・海のつながりを重視した豊かな漁場環境創出方策検討調査委員会開催状況

回数 日時 議事

第1回 平成15年10月30日

  13:30~16:30

・事業概要について

・現地調査計画について

・第1回現地調査の概要について

・研究者への聞き取り調査結果について

・総合討論

・その他、次回委員会について他

第2回 平成15年11月13日

  13:30~14:45

・第1回現地調査の状況について

・研究者への聞き取り調査結果(捕捉)について

・その他、次回委員会について他

(現地視察) 平成15年11月13日

  15:00~17:00

平成15年11月14日

   8:30~17:00

視察場所

 閉伊川、宮古湾のカキ養殖場、津軽石川(森林域を含む)、

 カキ加工場、大槌湾、大槌川、小鎚川、鵜住居川

第3回 平成16年2月16日

  13:30~16:30

・森・川・海のつながりに関する知見の整理について

・森・川・海のあるべき姿について

・モデル地域における実態調査結果について

・全体報告書のとりまとめ方針について

・総合討論

・その他、次回委員会他

第4回 平成16年3月9日

  13:30~16:30

・森・川・海のつながりに関する知見の整理について

・森・川・海のあるべき姿について

・モデル地域における実態調査結果について

・総合考察について

・今後の事業展開に向けて

・総合討論

380

表-3(1) 森・川・海のつながりを重視した豊かな漁場環境創出方策検討調査委員会の状況

第1回委員会 高橋委員長挨拶 第1回委員会

 左より植松委員、谷田委員、沖野委員

第1回委員会

 左より西村委員、柳井委員

第1回委員会

 左より肱黒委員、前林委員

第1回委員会 委員会全景 第1回委員会 委員会全景-2

381

表-3(2) 森・川・海のつながりを重視した豊かな漁場環境創出方策検討調査委員会の状況

第2回委員会

 左より沖野委員、高橋委員長

第2回委員会 向井委員

第2回委員会 植松委員 第2回委員会 谷田委員

第2回委員会 黒澤委員代理 第2回委員会 前林委員

382

表-3(3) 森・川・海のつながりを重視した豊かな漁場環境創出方策検討調査委員会の状況

第2回委員会(現地視察) 津軽石川繋橋 第2回委員会(現地視察) 津軽石川繋橋

第2回委員会(現地視察)

  津軽石川豊間根付近

第2回委員会(現地視察)

 森林域調査地点(森林-2)付近

第2回委員会(現地視察) 大槌湾付近 第2回委員会(現地視察) カキ加工場

383

表-3(4) 森・川・海のつながりを重視した豊かな漁場環境創出方策検討調査委員会の状況

第3回委員会 高橋委員長 第3回委員会 柳井委員

第3回委員会 沖野委員 第3回委員会 谷田委員

第3回委員会

 左から前林委員、肱黒委員、植松委員

第3回委員会 委員会全景

384

表-3(5) 森・川・海のつながりを重視した豊かな漁場環境創出方策検討調査委員会の状況

第4回委員会 高橋委員長 第4回委員会 西村委員

第4回委員会 柳井委員 第4回委員会 沖野委員

第4回委員会 向井委員 第4回委員会 谷田委員

第4回委員会 黒澤委員代理 第4回委員会 前林委員

385

第 1 回森・川・海のつながりを重視した豊かな漁場海域環境創出方策検討委員会

議事要旨

1.日 時 平成 15 年 10 月 30 日(木) 13:30~16:30

2.場 所 メルパルク東京 会議室「白鳥の間」

3.出席者

 出席者名簿のとおり

4.要 旨

 協会原総括参与、水産庁田中漁港漁場整備部長、林野庁花岡水源地治山対策室長、国土交

通省河川局河瀬流域治水調整官からあいさつの後、高橋委員長を座長として議事を進めた。

なお、委員会設置要領(案)に関連して、事務局から本委員会は、原則として一般公開と

し、本委員会の配布資料は公表扱いとする。また、希望者には傍聴を認める旨の補足説明を

行い了解を得た。

1)事業概要及び現地計画

 事務局から事業概要(資料1)及び現地調査計画(資料2)について説明、原案どおりで了承

された。

2)第 1 回現地調査概要

各事業実施団体担当者から第1回現地調査の概要(資料3、4、5)について説明し、意

見交換を行った。主な意見は以下のとおりであり、今後、これらの意見を踏まえて、調査及

びとりまとめを行うこととした。

① 河川水の NP 濃度

資料 4 の p.4 にある閉伊川(宮古橋)の T-P 値が高い原因について確認しておく必要がある。

② 河畔林

森林域での調査にあたっては、水辺の森林の状況を調査しておく必要がある。また、川との

つながりで落葉がどの程度供給されるか(林相による物質供給)のデータも必要となる。他の

地域での既往データは存在するが、モデル地域でのデータが必要である。

③ 調査時期の統一

森・川・海で採水時期を統一するべきである。サンプリング前の気象条件(降雨等)も考慮

する必要がある。

④ カキ等の成分分析

386

海域の魚介類(特にカキ)の成分分析を実施してはどうか。また、基礎データがあるかない

かなど調査しておく必要がある。

⑤ 宮古湾内の流況

海域の採水地点は、湾の流れを考慮した地点設定が必要ではないか。また、カキ棚が水質に

影響を与えているのではないか。カキ棚の前後での水質把握が必要であり、既往知見の収集も

含めて、データ処理時にカキ棚の影響等を考慮して検討する必要がある。

⑥伏流水

富山湾の例で N、P の負荷量が表流水と伏流水とで同程度であった。伏流水についても

考慮する必要がある。

3)研究者への聞き取り調査結果

事務局から研究者への聞き取り調査結果について(資料6)説明し意見交換を行った。主

な意見は以下のとおりであり、今後、これらの意見を踏まえて対応することとした。

① 研究者以外の意見

実際にカキの養殖をしている畠山重篤さん(牡蠣の森を思う会代表)、北海道での活動の指

導的立場の柳沼武彦さん(北海道指導漁業協同組合連合会)等の意見も聞いておく必要がある。

② 工学的分野の研究者の意見

既にヒアリングした研究者は生物分野に偏っているので、工学的分野(海岸の土木工学など)

の研究者の意見を聞いておく必要がある。河口域の地形は、物質や魚のたまり場として重要と

考えており、地形変形等の研究者がよいのではないか。大槌湾については、東京大学の大槌沿

岸研究センターの乙部弘隆さん、河川では、九州大学の楠田哲也さんがよいのではないか。

③ ヒアリング結果のとりまとめ

ヒアリング結果を1枚にまとめようとした時に、全体の関連が分かるものとして、相互関連

図をKJ法により作成してはどうか。その際には森・川・海といった空間ごとに整理を行えば、

それぞれの課題といったものが見えてくるのではないか。

4)総合討論

 全体を通して総合討論を行った結果、主な意見は以下のとおりであり、今後、これらの意見を

踏まえて、とりまとめ作業を行うこととした。

① 物質循環のモデル化

季節変化と生物生産の関連が大変重要である。今回の調査では難しいが、N,Pなどの収支

について、マクロレベルでよいのでモデル等で季節的な計算ができれば良い。

387

② 現地調査時期

森林の植物生産は春から夏にかけて最大となり、渓流・河川の水生昆虫などでは秋から春が

最大で、海では春から夏にかけての基礎生産、藻類生産が最大となる。そういう意味では、今

回の遅れた夏と冬の調査だけでは片手落ちであり、時空間(場)の中での循環や分解等をダイ

ナミックに捉える必要がある。

③ 生物の生活史

生物のライフサイクルを考慮しなければいけない。ターゲットとする種を定めて、年間のい

つ頃に生産が最大になるかなどを考慮する必要がある。この場合、水産生物(例えばカキなど)

を対象にしてはどうか。

④ 森林施業

森林については、季節変化だけを把握するのでは不十分である。森林施業などの時間軸を明

らかにしておく必要がある。

5)その他

① 現地調査結果報告

現地調査結果を急いで出してほしい旨の要望があり、今回は、調査時期から時間的に間に合

わなかったが、次回委員会ではできるだけ結果が報告できるよう対応することとした。

② 次回委員会及び現地視察

第 2 回委員会は、予定どおり平成 15 年 11 月 13 日 13:30~14:45 に開催、また、現地視察

は 13 日 15:00 から 14 日にかけて実施することとした。

③ プレスリリース

プレスリリースは、委員会の内容を委員長と審議してまとめていくこととした。

④ 委員会の通称

委員会名が長いので「森・川・海検討委員会」を通称とすることとした。

以 上

388

名 前 所 属 役 職委員長 高橋 正征 東京大学大学院総合文化研究科広域システム科学系 教授

委 員 西村 修 東北大学大学院工学研究科土木工学専攻 教授

柳井 清治 北海道工業大学 教授

沖野外輝夫 信州大学 名誉教授早稲田大学総合人間科学部 教授

(欠 席) 向井 宏 北海道大学大学院理学研究科生物科学専攻海洋生物学講座 教授

植松 光夫 東京大学海洋研究所海洋科学国際共同研究センター 助教授

谷田 一三 大阪府立大学総合科学部 教授

肱黒 直次 全国森林組合連合会組織部 部長

前林  篤 全国漁業協同組合連合会漁政部 次長

国土交通省 河川局 河川環境課河瀬 芳邦 流域治水調整官宮藤 秀之 課長補佐小野寺秀明 企画調整係 係長

林野庁 森林整備部 治山課 花岡 千草 水源地治山対策室  室長箕輪 昌男 水源地治山対策室 水源地治山企画班 課長補佐川口 大ニ 水源地治山対策室 水源地治山企画班 企画係 係長

田中 潤兒 漁港漁場整備部 部長内海 和彦 総括課長補佐田中 郁也 計画班 課長補佐高原 裕一 計画班  水産土木専門官

井上 清和 海洋保全班 課長補佐梅津 啓史 海洋保全班 廃棄物係 係長

(財)河川環境管理財団岸田 弘之 河川環境総合研究所 研究第ニ部 部長大野 幸正 河川環境総合研究所 研究第ニ部 主任研究員

(財)水利科学研究所渡邊 悟 常務理事

(社)日本水産資源保護協会原 武史 総括参与田森日出春 調査部 部長藤澤 善之 調査部 専門員佐藤 隆 調査部 専門員福原富士美 調査部 専門員

第1回森・川・海のつながりを重視した豊かな漁場環境創出方策検討調査委員会出席者

順不同・敬称略平成15年10月30日

水産庁 増殖推進部 漁場資源課

水産庁 漁港漁場整備部 計画課

389

第 2 回森・川・海のつながりを重視した豊かな漁場海域環境創出方策検討委員会

議事要旨

1.日 時 平成 15 年 11 月 13 日(木) 13:30~15:00

2.場 所 ホテルメトロポリタン盛岡 本館 4F 会議室「はやちね」

3.出席者

 出席者名簿のとおり

4.要 旨

 第 1 回委員会に引き続き高橋委員長を座長として議事を進めた。

1)第 1 回現地調査概要

事務局から第1回現地調査の速報(資料 1)について説明し、意見交換を行った。主な意

見は以下のとおりであり、今後、これらの意見を踏まえて、調査及びとりまとめを行うこと

とした。

⑥ 分析方法

金属元素の分析方法は複数の方法があるため、分析方法を明記しておく必要がある。

⑦ 若齢林

本調査で“若齢林”と呼んでいるのは、林齢の幅がやや広く、いわゆる若齢林(10 年以下)とは異なることを考慮して整理する必要がある。

⑧ 河川の代表性

調査時の河川の状況(平水時、低水時など)を考慮してとりまとめること。調査を実施してい

ない時期については、既存のデータを活用する。

⑨ 評価の方法

水質について、河川ではフラックスで、海ではストックでとりまとめているが、この評価方

法を整理する必要がある。河川でストックをみるには生物データを用いる方法が使えるかもし

れない。

⑩ 人為的影響

河川に入る水は森林起源のみではなく、農地や都市起源のものもある。Si は人為の影響を

無視できるので、N、P と Si を比べることで人為の影響をみることができるのではないか。

390

2)研究者への聞き取り調査結果

事務局から研究者への聞き取り調査結果について(参考資料 A3 版)説明し意見交換を行

った。主な意見は以下のとおりであり、今後、これらの意見を踏まえて対応することとした。

④ とりまとめの視点

森がなかった時の川と海、川がコンクリートだった時の森・海という視点でまとめると違

ったことがみえてくる。

人の影響について取り入れること。

項目ごとに濃度をかえた表現が必要。信頼性がある概念や疑わしい概念が混在している。

森と川のつながりでは落ち葉が重要だが、フローではぼけてしまっている。

栄養塩の供給は、人為の影響が圧倒的に多く森林の機能としてはそぐわない。森林はむし

ろ栄養塩や流量の調節機能が重要である。

森は場所によっては N の供給源として重要である。人為の影響の少ない河川の上流域な

どにおいて落ち葉という形で N を供給している。

水質浄化の話をしているわけではないので、森の役割機能Ⅲの“浄化”を“調節”に、川

の役割・機能Ⅲの“浄化”を“形態に変える”に修正してはどうか。

⑤ とりまとめの目的

とりまとめの目的として以下のものがあげられる。

問題点を抽出して今後の調査に反映させる。

木を植える漁業者の活動に、科学的なスポットをあてることができる。

委員会としての理解を整理するガイドライン。

矛盾している箇所の抽出。

3)その他

 次回の現地調査は 12 月の初旬を予定し、また、第 3 回委員会は 1 月下旬から 2 月上旬に、第

4 回委員会は 3 月頃に開催を予定することとした。

以 上

391

名 前 所 属 役 職委員長 高橋 正征 東京大学大学院総合文化研究科広域システム科学系 教授

委 員欠席 西村 修 東北大学大学院工学研究科土木工学専攻 教授

欠席 柳井 清治 北海道工業大学 教授

沖野外輝夫 信州大学 名誉教授早稲田大学総合人間科学部 教授

向井 宏 北海道大学大学院理学研究科生物科学専攻海洋生物学講座 教授

植松 光夫 東京大学海洋研究所海洋科学国際共同研究センター 助教授

谷田 一三 大阪府立大学総合科学部 教授

(代理) 黒澤 徹 全国森林組合連合会組織部 組織グループ

前林  篤 全国漁業協同組合連合会漁政部 次長

国土交通省 河川局 河川環境課宮藤 秀之 課長補佐小野寺秀明 企画調整係 係長

林野庁 森林整備部 治山課 川口 大ニ 水源地治山対策室 水源地治山企画班 企画係 係長

田中 郁也 計画班 課長補佐高原 裕一 計画班  水産土木専門官

梅津 啓史 海洋保全班 廃棄物係 係長(財)河川環境管理財団

大野 幸正 河川環境総合研究所 研究第ニ部 主任研究員(財)水利科学研究所

渡邊 悟 常務理事(社)日本水産資源保護協会

原 武史 総括参与田森日出春 調査部 部長藤澤 善之 調査部 専門員佐藤 隆 調査部 専門員福原富士美 調査部 専門員

水産庁 増殖推進部 漁場資源課

第2回森・川・海のつながりを重視した豊かな漁場環境創出方策検討調査委員会出席者

順不同・敬称略平成15年11月13日

水産庁 漁港漁場整備部 計画課

392

第 3 回森・川・海のつながりを重視した豊かな漁場海域環境創出方策検討委員会

議事要旨

1.日 時 平成 16 年 2 月 16 日(月) 13:30~16:30

2.場 所 全国町村会館 本館 2F ホール B

3.出席者

 出席者名簿のとおり

4.要 旨

 第 1、2 回委員会に引き続き高橋委員長を座長として議事を進めた。

事務局が資料 1~4 ついて説明し、その後意見交換を行った。主な意見は以下のとおりで

あり、今後、これらの意見を踏まえてとりまとめを行うこととした。

1)資料 1(森・川・海のつながりに関する知見の整理)について

①既往知見の整理に使用した文献のリストを作成・添付すること

②瀬戸内海の水揚げ高の変化(p1.4-30 の表 1.4-10)について、灘ごとの森林域の面積や土地利用

データを整理し、これらの変遷と水揚げ量の変遷を比較すること。

③流域面積/内湾面積などの指標を設け、流域の影響の大きさについて整理すること。

④北日本はミネラルが低いという知見があり、これらに関連する情報について調査すること。

2)資料 2(森・川・海のあるべき姿)について

 表現等について精査すること。

3)資料 3(モデル地域における実態調査結果)について

①森林域の水質結果について、4地点間で違いがみられる項目もあると考えられるため、再検討

すること。

②今後、森・川・海の検討を行うにあたって分析が必要となる項目と不必要な項目をふるい分け

しておく必要がある。地点によって違いが生じている項目はもちろんだが、違いが見られない

項目でも注目されている物質などは対象とすべきであろう。

③森・川・海を通じた水質変化については、単純に濃度だけで比較するのではなく、森林域や河

川のフラックスと海域のストックとを比較できるような形でとりまとめること。また、将来的

に森・川・海の水質を比較・検討する上でどのような解析を行うのかといった方法論の雛形を

検討しておくことも重要である。

④河川の取水堰、構造物等について整理を行うこと。また、森林域では調査地点の勾配等を

分かりやすく示すこと。

⑤落ち葉等について、津軽石川のような短い河川では分解しきれない落葉等が海に流出している

393

ことについて言及すること。

⑥水質の一覧表で珪素 SiO2 となっているので、「珪素」を「珪酸」と改めること。また、岩

手県の他の地域と比べて値が低くなっているが、データを再確認すること。

⑦底生動物について、現存量のデータを測定していれば追加すること。

4)資料 4(全体報告書のとりまとめ方針)について

①論点に関する変更点

 論点 1:「窒素、リン」を「栄養塩」に変更する。

 論点 2:「元素」を「微量元素(珪素を含む)」等に変更する。珪素は通常栄養塩として扱うが、

今回は微量元素に入れることを明記する。

 論点 3:有機物については、DOM が再び凝集してコロイド状になったものなども含めて考え

るべきなので、「落ち葉等に代表される」という言葉は削除する。

 論点 4:「河川への」を「河川からの」に変更する。

 論点 8:わかりやすい表現で整理する。4行目以降文章が練れてない。

②“一次生産”と“生物生産”等、言葉が混乱している。また、それぞれの項目について、森、

川、海のつながりのプロセス(平衡を保つのか、促進させるのか等)が整理できていない。こ

れらの関係を整理して、“良好で豊かな漁場海域環境”とはどのような姿なのかをチャートや

模式図にとりまとめること。

③土壌から溶出する元素が多い(特に珪酸などは森よりも裸地からの供給量が多い)ので「陸域」

や「流域」からの流出とし、「森林からの流出」とはしない。

④河川の曝気作用についてはもう少し詳しく記述すること。

⑤河口域の存在はきわめて重要である。津軽石川河口の地点を河口域として位置づけ、この地点

の調査結果が他の海域の地点と異なる傾向にあることをとりまとめの論点として加え、調査に

よって河口域が重要であることがわかったというストーリーにする。

⑥森林域の施策を考える際には、100 年単位といった長期的視野で物事を考える必要がある旨を、

とりまとめに付け加えておく。

⑦全国の湾と比較して、共通の項目等を明らかにしておく必要がある。今後水質調査などですべ

ての項目を分析しなければならなくなる。既往知見から共通項目を明らかにして要点を抽出し

ていくのが良い。

5)その他

水質調査について、1地点の調査で1回の採水のみでは、統計処理が行えない。今後の調査で

は複数回採水するべきといった方法論も課題としてあげておく。

6)今後の予定

 第 4 回委員会は 3 月 9 日(火)13:30~16:30 に開催するものとする。

以上

394

名 前 所 属 役 職委員長 高橋 正征 東京大学大学院総合文化研究科広域システム科学系 教授

委 員欠席 西村 修 東北大学大学院工学研究科土木工学専攻 教授

柳井 清治 北海道工業大学 教授

沖野外輝夫信州大学 名誉教授早稲田大学人間科学部 教授

欠席 向井 宏 北海道大学大学院理学研究科生物科学専攻海洋生物学講座 教授

植松 光夫 東京大学海洋研究所海洋科学国際共同研究センター 助教授

谷田 一三 大阪府立大学総合科学部 教授

肘黒 直次 全国森林組合連合会組織部 部長

前林  篤 全国漁業協同組合連合会漁政部 次長

国土交通省 河川局 河川環境課河瀬 芳邦 流域治水調整官宮藤 秀之 課長補佐小野寺秀明流域管理室企画調整係 係長

林野庁 森林整備部 治山課 箕輪 富男 水源地治山対策室 課長補佐

田中 郁也 課長補佐中津 達也 課長補佐高原 裕一 水産土木専門官

(財)河川環境管理財団大野 幸正 河川環境総合研究所 研究第ニ部 主任研究員

(財)水利科学研究所渡邊 悟 常務理事

(社)日本水産資源保護協会原 武史 総括参与田森日出春調査部 部長藤澤 善之 調査部 専門員佐藤 隆 調査部 専門員福原富士美調査部 専門員

第3回森・川・海のつながりを重視した豊かな漁場環境創出方策検討調査委員会出席者

順不同・敬称略平成16年2月16日

水産庁 漁港漁場整備部 計画課

395

第 4 回森・川・海のつながりを重視した豊かな漁場海域環境創出方策検討委員会

議事要旨

1.日 時 平成 16 年 3 月 9 日(月) 13:30~16:30

2.場 所 都道府県会館 4F 会議室

3.出席者

 出席者名簿のとおり

4.要 旨

 高橋委員長を座長として議事を進めた。

事務局から第 3 回委員会における指摘事項に対する対応及び資料 5 について説明し、その

後意見交換を行った。主な意見は以下のとおり。

1)資料 2(森・川・海のあるべき姿の検討)について

① 漁場海域環境についての姿①(フロー図)について、溶存物質と懸濁物質を合わせて「物質」

として記載してあるが、懸濁物質と溶存物質とでは、海域内での挙動が異なるため、分けて

考えた方がよい。

② 漁場海域環境についての姿②(フロー図)について、影響にはプラスとマイナスの側面がある

ためわかりやすく工夫する。

③ 生物と周辺環境という視点でまとめなおす。

2)資料 3(モデル地域における実態調査)について

① 森林の供給量と河川の通過量の比較(フラックスの比較)に関して、河川通過量が森林からの

供給量を下回っている(初冬調査 閉伊川)ことについて、流水の到達時間のギャップや取水に

よる影響等の考えられる要因を言及すること。

② 海域の現存量と河川及び外洋からの供給量の比較(ストックの比較)は、調査時の限定された

条件下でのものであるため、一般論として扱われないよう留意してまとめること。なお、CN比や他の文献等によるデータのチェックを行うこと。

③ ストックの比較で河川の影響が小さく見えるのは平水時を想定していることにも由来する。

洪水時のインパクトについて既往知見を追加する。

④ フラックスの比較、ストックの比較については全体に説明や考察を丁寧に記載すること。

⑤ 今回の調査では森林施業や林齢・林種と物質挙動との関係については関連が見られなかった

が、林齢・林種に由来する生物の多様性の違いが物質挙動に関連する可能性があることにつ

いて言及すること。また、渓畔林の作用についても言及すること。

3)資料 4(総合考察)について

396

① 今回の調査では林種ごとの違いがみられなかった。樹種や林齢ごとの差を把握するためには、

広域の密度の濃い調査を行う必要がある旨、記載すること。漁業者が植林を行う際の参考と

なるような記載が望ましい。

4)資料 5(今後の事業展開に向けて)について

① 方向性の検討の際に、森、河川、海の間に、森と河川のエコトーンである河畔林、川と海の

エコトーンである河口域という考え方をいれて、そのつながりを強調すること。エコトーン

を含む各場所で調査結果を並べて課題を提示すること。

② 生物等も含めた今後の調査の手法についても整理すること。この際、調査手法案が一人歩き

しないよう留意すること。また、対象地域の特性や目的によって検討の方向も異なることに

ついても言及すること。

③ 今後の施策の方向性として、「調査」、「施策」、「共働」のカテゴリーで整理を行う。施策に

ついては今回の議論を踏まえてとりまとめの前に改めて委員に提示する。具体的な施策が必

要なのは、つながりが遮断されているためであり、つながりを遮断する要因を探るという視

点から課題も見えてくると考えられる。

④ 洪水時の物質挙動、河口域の地形、今回議論していない点についても今後の検討課題として

まとめに加える。また森林と流量の安定性については最新のデータを加えて慎重に記載する

必要がある。

5)報告書のとりまとめについて

 最終報告書のとりまとめについては、今後、委員からいただいた意見を踏まえてとりまとめる

ことで事務局、委員長に一任することとした。

以上

397

名 前 所 属 役 職委員長 高橋 正征 東京大学大学院総合文化研究科広域システム科学系 教授

委 員西村 修 東北大学大学院工学研究科土木工学専攻 教授

柳井 清治 北海道工業大学 教授

沖野外輝夫 信州大学 名誉教授早稲田大学人間科学部 教授

向井 宏 北海道大学大学院理学研究科生物科学専攻海洋生物学講座 教授

(欠席) 植松 光夫 東京大学海洋研究所海洋科学国際共同研究センター 助教授

谷田 一三 大阪府立大学総合科学部 教授

(代理) 黒澤  徹 全国森林組合連合会組織部 組織グループ

前林  篤 全国漁業協同組合連合会漁政部 次長

国土交通省 河川局 河川環境課河瀬 芳邦 流域治水調整官宮藤 秀之 課長補佐小野寺秀明 流域管理室企画調整係 係長

林野庁 森林整備部 治山課 箕輪 富男 水源地治山対策室 課長補佐川口 大二 水源地治山対策室 係長

鹿田 正一 計画課 課長田中 郁也 計画課 課長補佐高原 裕一 計画課 水産土木専門官

(財)河川環境管理財団裵  義光 河川環境総合研究所 研究第ニ部 主任研究員

(財)水利科学研究所渡邊 悟 常務理事

(社)日本水産資源保護協会原 武史 総括参与田森日出春 調査部 部長藤澤 善之 調査部 専門員福原富士美 調査部 専門員

第4回森・川・海のつながりを重視した豊かな漁場環境創出方策検討調査委員会出席者

順不同・敬称略平成16年3月9日

水産庁 漁港漁場整備部 計画課

398

森・川・海のつながりを重視した

豊かな漁場海域環境創出方策検討調査

フォローアップ計画書

399

国土総合開発事業調整費(調査の部) 調査結果フォローアップ計画書

1)調査結果フォローアップの実施期間

 平成20年度(調査完了5年後)

2)評価指標等

1) 評価指標

 森・川・海のつながりを重視した豊かな漁場海域環境を創出していくため、各地におい

て下記の方策を推進する。

 

① 森・川・海のつながりに係る調査の充実

② 森・川・海のつながりを意識した長期的視点に立った取り組みの展開

③ 森・川・海のつながりに係る知見等の情報の共有化

④ 森・川・海のつながりに係る調査・解析手法の検討・確立

⑤ 森林域・河川域・海域の「接点」の健全化

⑥ 連携体制の構築

【指標が妥当なものである理由】

 本指標は、森・川・海を通じた栄養分の供給機構とそれが漁場海域の生物の生息・生育

環境へ与える影響等を調査し、有識者等により構成された「森・川・海のつながりを重視

した豊かな漁場海域環境創出方策検討委員会(委員長:高橋正征教授)」において、検討さ

れた方策をもとに設定しており、本調査の結果を評価する項目として適切である。

2) 目標年次

 平成20年度(調査完了5年後)

3) 目標値

上記の評価指標に掲げた、推進方策を構成する各種取り組みの着手・推進を目標とする。

備 考