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中学からの勉強
ポートフォリオ学習のススメ
中学以降の勉強で重要なこと
全方位学習からポートフォリオ学習への転換
国
数 英
理
社国
数 英
社
理
全方位学習 ポートフォリオ学習
主要科目を満遍なく学習(低効果、低効率、高負担 )
重要科目を重点的に学習(高効果、高効率、低負担 )
全方位学習がはらむ問題
● 中学後半~高校前半での成績の急落
● 高校・大学受験での不利
● 実社会での有用性の欠如
問題が生まれる仕組み
成績の急落
受験での不利
有用性の欠如
Ⅰ 学習コストの増大
Ⅱ 垂直科目と水平科目の違い
Ⅲ 傾斜配点
Ⅳ 知識と論理・言語の違い
Ⅴ 理系科目と年収の関係
なぜ?
なぜ?
なぜ?
Ⅰ 学習コストの増大
数学は質が、国語・理科・社会は量が、
英語はその両方が急速に大変になる
科目 小学校 中学校 高等学校
国語 基礎的な文章理解力を身につける
現代文に加え、古文・漢文への接触が始まる
難解な現代文、古文・漢文の本格的な読解を行う
英語 あいさつ+α程度の例文に触れる
本格的な文法・単語学習が始まる 読解・作文において実用レベルの英語力を養う
数学 日常生活で必須となるレベルの計算能力を養う(算数)
代数(x,y)の導入など、抽象思考の訓練が始まる
微積分や複素数、三角関数など高度に抽象的な理論を学ぶ
理科 身の回りの物事について自然科学的な興味を養う
事象自体ではなく、事象を生む仕組みの学習が始まる
事象発生の仕組みについて、詳細な背景・理論を学ぶ
社会 常識レベルの社会的事実に触れ、興味を養う
いわゆる「物識り」レベルの社会事実について学習する
マニアックな知識だけでなく、歴史・社会的背景をも学ぶ
Ⅱ 垂直科目と水平科目の違い ①
垂直科目 水平科目
数学・英語・理科 (物理) 社会・理科(物理以外)・国語
過去の段階をきちんと理解していないと、現在の学習内容もきちんと理解できない科目
過去の学習内容の理解が不完全でも、現在の学習内容は問題なく理解できる科目
微積分
乗法公式・因数分解
高次方程式
鎌倉時代 室町時代 戦国時代
垂直科目は時間のかかる積み上げが重要
点数UPに時間がかかる すぐに点数UPできる
科目 ありがちな例
垂直科目
水平科目
Ⅱ 垂直科目と水平科目の違い ②
垂直科目の点数は急落する上に取り戻しにくい
乗法公式・因数分解
高次方程式 微積分
80点 60点 20点
不完全だが大体は理解 前段階での貯金と問題への一時的な慣れでまだ何とかなる段階
前提としている部分すら完全に理解できておらず、勉強しようにも「何が分からないか分からない」状態に
鎌倉時代 室町時代 戦国時代
80点 20点 100点
不完全だが大体は理解 忙しくて勉強をさぼってしまった
心を入れ替えて勉強をすると前段階とは関係なく点数が上がる
Ⅱ 垂直科目と水平科目の違い ③
水平科目の内容は時間が経つと忘れる
科目 特徴
垂直科目
水平科目
乗法公式・因数分解
高次方程式 微積分
乗法公式・因数分解の応用
鎌倉時代 室町時代 戦国時代
対象として高次方程式を扱う
鎌倉時代の学習内容を振り返る機会は乏しい
室町時代の学習内容を振り返る機会は乏しい
現在段階の学習は過去段階の学習の応用 (=復習を兼ねている )
現在段階の学習と過去段階の学習の関連が薄い (=時間が経つと忘れる )
全方位学習の問題点
急速に増大する学習コストで不足しがちな勉強時間を社会などの水平科目(=穴の空いたバケツ)にまで過剰に割いてしまうこと
社会・理科(物理以外)・国語などの水平科目は、大きな蛇口の下に置かれた穴空きのバケツのようなもの。
水(知識)は溜まりやすいが、その水は時間と共に抜けていく。
Ⅲ 傾斜配点
● 垂直科目をより高配点とする入試が多い● 水平科目は将来的に入試で使えない場合も多い
学校例(進学偏差値) 数学:英語:国語:社会:理科の配点比率 (-は該当試験なし )
慶應義塾高校普通科 (73) 数学 1:英語 1:国語 1:社会 -:理科 -
聖和学院 (51) 数学 1:英語 1:国語 1:社会 -(0.5)*1:理科 -(0.5)*1
東京大学 文系センター試験 (75) 数学 1:英語 1:国語 1:社会 0.5*2:理科 0.5
慶應義塾大学 理工学部(64) 数学 1.5:英語 1.5:国語 -:社会 -:理科 1*2
明治大学 (58) 数学 -:英語 2:国語 1.5:社会 1:理科 -
*1: 英国数の3科目のみでの受験と、数学の代わりに社会/理科を選択して4科目での受験と、どちらかを選択可能*2: 社会なら社会、理科なら理科の中で2科目を選択して受験(配点はどちらも表に記載した点数分与えられる)
全方位学習の問題点
時間をかけても低い配点 / 入試で使えない
水平科目にまで過剰に時間を割いてしまうこと
一部の職業(例:医者や弁護士、研究者など)では、対応する大学学部への入学が就職に事実上必須となる。
全方位学習で水平科目に過剰な時間を割きすぎると、将来の可能性を狭めることにつながってしまう。
Ⅳ 知識と論理・言語の違い
仕事で必要な知識は業務内容によって異なるが、論理や語学(特に英語)のスキルは幅広く通用する
知識 / 論理・言語 性質 対応科目
知識 特定の分野で役に立つ情報・技術 水平科目
論理・言語色々な分野の知識を学習・応用するために必要な技術
垂直科目
Ⅴ 理系科目と年収の関係 ①
文系の場合、大学入試で数学を用いた人の方が、
年収も正規雇用率も高い
大学入試で数学科目を受験したか否か (対 文学部出身者 ) 平均年収
1回も数学科目を受験しなかった 443万円
少なくとも1回以上、数学科目を受験した 532万円
大学入試で数学科目を受験したか否か (対 ゆとり教育世代 ) 正規雇用率
1回も数学科目を受験しなかった 77%
少なくとも1回以上、数学科目を受験した 84%
いずれも同志社大学 八木匡(公共経済学教授) 2011年時のインターネット調査より (2012年4月12日 朝日新聞 報)。24~74歳の大卒者 約1万3千人から回答を得た。
Ⅴ 理系科目と年収の関係 ②
理系の場合、得意科目が生物の人と物理の人では、
物理を得意とする人の方が高い年収を得ている
得意科目(対 理系学部出身者 ) 平均年収
生物を得意としていた人 577万円
物理を得意としていた人 661万円
同志社大学 八木匡(公共経済学教授) 2011年時のインターネット調査より (2012年4月12日 朝日新聞 報)。24~74歳の大卒者 約1万3千人から回答を得た。
全方位学習の問題点
時間をかけても将来的に応用が利かず、
経済的メリットにも乏しい水平科目にまで、
過剰な時間をかけてしまうこと
金銭は人生のすべてではないが、なるべくなら悩みの少ない人生の方が良い。
過剰な時間を割いてしまう理由 ①
水平科目は垂直科目より学習が楽(ラク)
科目区分 学習の特徴
垂直科目● 記憶に加えて、理解と応用が重要となる● 一定のペースで勉強していても点数が急落しやすい● 一度落ちた点数を取り戻すことが難しい
水平科目● 記憶が主で、理解・応用はそこまで必要ない● 一定のペースで勉強していれば点数の急落は起きにくい● 一度点数が落ちても取り戻し易い
多くの子供は放っておくと
水平科目に流れやすい
過剰な時間を割いてしまう理由 ②
親は「勉強すること自体」を喜ぶ& 「直近の点数」を重視しがち
放任または全方位学習になりがちしかし、水平科目の学習内容は時間が経つと忘れてしまう。つまり、水平科目と垂直科目に同じように時間をかけること自体がすでに「過剰 (=非効率的)」であると認識すべき。
国
数 英
理
社
どうすればいいのか
ポートフォリオ学習への転換特に数学と英語を重視した学習スタンス
(物理は進路によっては用いないこともあるため )
国
数 英
社
理
全方位学習 ポートフォリオ学習
満遍なくと言えば聞こえはいいが、どれも中途半端になりがちな学習法
水平科目は赤点ぎりぎりでも許容し、代わりに垂直科目に重点的に時間を割く、
学習スケジュールの配分
定期試験
入学試験
垂直科目のみを重点的に勉強
赤点を取らない程度に水平科目を勉強
垂直科目のみを重点的に勉強
水平科目を重点的に勉強して点数を急上昇させる
普段の勉強:垂直科目のみを勉強
試験が近い時:水平科目を補う
時間
日常生活でできる水平科目への補完
漫画、雑誌、テレビなどを有効活用楽しみながら基礎が自然と頭に入る
ポートフォリオ学習の利点
高効果・高効率・低負担
学習方法 学習効果・効率 子供の負担
全方位学習×
時間が経つと忘れてしまう水平科目にまで、時間を過剰に割くため、勉強量の割に垂直科目への学習が弱く、やがて点数が急落する
×日常から全ての科目を学習するため、学年が進んで勉強難易度が上がるにつれ、子供の負担がどんどんと増えていく
ポートフォリオ学習
○日ごろから水平科目を重点的に学ぶため、学年が進んでも点数の急落が起きにくい。また、直前には取り返しの効きやすい水平科目も学習するため、総合点を上げやすい。
○日ごろの勉強は科目が絞られているため、子供の負担が少ない。また、水平科目の取り返しも、日ごろから娯楽として基礎に触れているため、案外容易。
低負担で余った時間は…
子どもらしい豊かな時間へ!