腕モデルを用いたトレーニングの アンケート結果から得られた
シミュレーション教育に対する知見
○淺田 義和 1、篠原 和子 2、久野 文人 1、
鈴木 義彦 1、河野 龍太郎 1
1 自治医科大学 医学部 メディカルシミュレーションセンター
2 自治医科大学 附属病院 看護部
目的 • 採血・血管確保手技に関する現状把握 – トレーニング経験の有無
– シミュレータ利用経験の有無
• 腕モデルを利用したシミュレーションに
関する意識調査
– シミュレーションを有用と考えているか否か
– 手技に対する自信が持てるか否か
腕モデルによるトレーニング
• 看護師対象 採血・血管確保トレーニング
– 1年目~22年目
• アンケート回答数
– 実施前:58
– 実施後:49
• Yes/Noの2択、および7件法で実施
全体としての流れ
1. 事前アンケートの実施
2. 簡単な講習・プレゼン
3. 小グループに分かれて実技訓練
4. 反省会
5. 事後アンケートの実施
質問項目:実施前 • 血管確保に関するトレーニング経験の有無
– 経験そのもの / シミュレータの利用経験
• シミュレーション教育の有用性
– 知識の強化 / 仮想体験 として
• 「これから実際に手技をする」なら…
– 正しく / 落ち着いて 実施できそうか
質問項目:実施後
• 実施前と同一の質問
– シミュレーションの有用性
– これから手技を行うとしたら…
• 他のシミュレーションも実施してみたいか
• フリーコメント
結果:シミュレーションの経験
採血トレーニングの経験有無
0
10
20
30
40
50
60
経験あり 経験なし
シミュレータの利用
0
5
10
15
20
25
30
35
40
利用した 利用していない
(参考)1回目の実習時
0
5
10
15
20
25
30
35
40
腕モデル利用 人体で練習
結果:シミュレーション教育の効果
シミュレーションの有用性
1
2
3
4
5
6
7
知識向上 仮想体験
実施前 実施後
シミュレーションの有用性
1
2
3
4
5
6
7
知識向上 仮想体験
実施前 実施後
有意差なし 有意差なし
手技に対する自信
1
2
3
4
5
6
7
正しい手技 落ち着いた手技
実施前 実施後
手技に対する自信
1
2
3
4
5
6
7
正しい手技 落ち着いた手技
実施前 実施後
有意差あり (有意水準 1%)
有意差あり (有意水準 5%)
フリーコメントより • 理解していても、思った通りに手が動かない
• 理解したつもりが、手順を忘れていて焦った
• 全く自信は無かったが、実際に行うことで手技を確認しながら実施できてよかった
• 実際に行う際は、落ち着いて声かけなども行いたい
• また繰り返しシミュレーションをしてみたい
• 怖かった
• 普段業務で行っていても、緊張すると手が震えて難しい
考察 • シミュレーション教育の有用性
– 参加した看護師は、既に「シミュレーションの有用性」に関しては理解があった
– 手順・知識の確認だけでなく、実践に対する自信をつける意味でも有用
• シミュレーション教育の必要性
– 約半数が、人に対してのみ訓練経験あり
– 勤務年数・経験年数には依存しない
今後の課題 • 追跡調査の実施
– 半年~1年後における知識やスキル、手技に対する
自信の確認(長期的なトレーニング効果)
– トレーニング実施の有無とスキル・意識の違い
• シミュレータの質と訓練効果の関連性
– 腕モデルの材質・触感
– 腕の動き・震えなどの再現
– 擬声の発生( 「痛っ!」 など)
結論
• 腕モデルを利用した訓練の際、その有用性などに
関するアンケートをトレーニング前後で実施
• 腕モデルを利用せず、人体で最初から訓練していた
看護師が半数近かった
• トレーニングの有用性に関して、「実践に対する
自信がつく」という意見(有意差あり)
• 追調査、およびシミュレータの改良などの発展性
ご静聴ありがとうございました
本資料は http://www.jichi.ac.jp/msc/ に
掲載予定です。