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定植とその後の管理萩農林事務所 農業部
(1) 苗木の植付け準備・植穴の作り方
植付は 3 月下旬から 4 月上旬に行うため、2月下旬には植穴を作っておく。
【 植え穴作りの手順 】
① 植付け位置
◇栽植間隔の基本は 2.7m × 2.7 m ◇間伐する場合は、2m × 4m
又は 3.0m × 3.0m 間伐後 4m × 4m にする。
○:永久樹 ●:間伐樹
② 植え穴作りと土壌改良資材の施用
・直径 1m 程度、深さ 50 ㎝程度の穴を掘る。
・掘り上げた土に、炭酸苦土石灰2 kg、ヨウリン 500g、完熟堆肥 30L を加え、
混ぜながら埋め戻す。
よく混ぜて埋め戻す。
この状態で 1 ヶ月以上おいて、土と馴染ませ
ておくことが大切。
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(2) 苗木の植え付け苗木の植え付けは、発芽直前から直後の3月下旬から4月上旬に行う。
① 苗木の根に付着している土の洗浄
水を張ったバケツの中で苗木を揺すって、土を落とす。
② 苗木の枝と根の整理
【根】巻き付いた根、太く真下に伸びた根、傷んだ根を切除す
る。また、根の先端も切り返すと、新しい根が出やすい。
【枝】1年生苗木では、台木から40cmぐらいの
ところで切り返す。
2年生苗木では、主枝を3本決める。主枝
は、外芽を残すように切り返す。
【接木部】台木部から発生した枝梢や突出部は切
除する。
以上の処理が済んだ苗木は、植え付けまで再びバケツに入れ吸水させる。根を乾
燥させない。
③ 植え付け
植え穴を少し掘り、根を丁寧に四方へ広
げる。
④ 覆土
根と土との間に空間ができないようにして、8分
目くらい覆土する。
植え付けたら、しっかり踏み固める。
接ぎ木部は、土中に埋めずに、地上に出しておく。
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⑤ 潅水
潅水しながら鎮圧し、根と土に隙間を作らない。
潅水効果を高めるため水がたまりやすいように、植
穴の周囲に土を盛る。
水を入れながら、再度踏み固める。根と土に隙間を
作らないことが、活着を良くする。
⑥ 土寄せ
土が沈むため、苗木周囲を10~20cm高くし、
最後にマルチが張りやすいように整える。
このとき、接ぎ木部が、地上に出ているようにして
おく。
⑦ 支柱立て
植え付けた苗木が風で動かないように、竹等の支柱を立て、ヒモで8の字
に結ぶ。
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⑧マルチ被覆
乾燥防止、雑草防止のため黒マルチ、ワラ等
で被覆し、土等で押さえておく。
株元は、雨水や肥料が入るように
開けておく。
(3) 定植後の管理
植え付け後は、以下の管理を行う。
① 芽かぎ:1カ所から数本出ている芽は、1本にするように芽かぎする。(強
い芽を残す)
② 摘 蕾:植え付け年は全ての蕾を除去する。
③ 摘 心:春芽(6月上旬)、夏芽(8月上旬)を摘心する。新葉を8枚程度
残して先端を切る。
10月2日での樹の状態(スダイダイ、1年生を3月に定植)
④ 施 肥:植え付け後から少量ずつ分肥する。マルチを被覆している場合は、
はぐるか株元からマルチの中に施用する。施用量は、1回に1樹
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当り2年生でN成分5g、3年生でN成分6gとする。
(春肥4月中旬→春肥追肥5月上旬→夏肥6月上旬→夏肥追肥7月
上旬→秋肥10月下旬)
⑤ 潅水:しばらくすると、マルチの下が乾燥してくるので、注意する。乾燥し
ていたら潅水する。
また、夏期(特に梅雨明け後)には乾燥が続くので潅水する。
施肥後に降雨が無い場合も潅水する。
⑥ 除草:マルチをすると除草の必要はないが、マルチと株の隙間に草が生えて
いれば除草する。株元に雑草が繁茂していると害虫(ゴマダラカミ
キリ)が発生しやすくなるので除草につとめる。
樹の周りの除草には、ラウンドアップ等の移行性除草剤は使わない。
樹の周りは、できるだけ手で除草する。
⑦ スカーティング:生育促進のため、ビニールで樹の周囲を覆う。
冷気抜きのため、下部を2~3cm開ける。
新梢が伸びてビニールに当たるようになったら(5月頃)、ビ
ニールを除ける。
⑦ 害虫対策
ゴマダラカミキリ
地際の幹につきやすい。幹か
ら木くずが出ていたら、中に
幼虫がおり、樹が枯れる恐れ
があるため、針金などで刺す
か、園芸用キンチョールE等
を噴射して防除する。 成 虫 幼虫による被害
モスピラン水溶剤 200 倍を樹幹部にたれる程散布。
散布時期は 6/下、8/上、9/上の3回。
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ミカンハモグリガ
新葉につき、葉の生育を悪くするため、6月~8月の夏枝展葉期に7~10日間
隔で防除する。薬剤は、モスピラン水溶剤(2,000-4,000倍、3回以内)やアドマ
イヤーフロアブル(2,000-5,000倍、3回以内)等を散布
する。果実を成らさない場合は、次の防除も省力的で
有効である。
・ダントツ水溶剤:20倍(10~100ml/樹)樹幹散布、
使用時期;苗木の春芽、夏芽、秋芽の発芽前、使用回
数;3回以内
・アクタラ顆粒水溶剤:10-25倍(10~100ml / 樹)を主
幹部吹きつける。使用時期;苗木の春芽、夏芽、秋芽の
発芽前、使用回数;3回以内
ミカンハモグリガによる被害