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Page 1: 29P-0832 アミ レ リン を用いる の光線 学的療法 性と膜 …nenkai.pharm.or.jp/131abst/29P-0832.pdf本研究では、5-ALA-PDTに対する感受性規定因子としてペプチドトランスポーター

29P-08325-アミノレブリン酸を用いるがんの光線力学的療法感受性と膜輸送系の関連性◯遠藤 良夫1,小倉 俊一郎2,萩谷 祐一郎2,米村 豊3,石塚 昌宏 4,井上 克司 5,高橋 究 5,中島 元夫5(1金沢大・がん研・中研,2東工大・フロンティア研究機構・生体代謝工学(ALA)寄附研究部門,3腹膜播種治療支援機構,4コスモ石油・海外事業部,5SBIアラプロモ)

【目的】5-アミノレブリン酸(5-ALA)は、腫瘍細胞内でヘム生合成経路の酵素群によりプロトポルフィリン IX (PpIX) に代謝され、活性化される新世代の光増感剤として光線力学的治療(5-ALA-PDT)に応用が期待されている。しかし、5-ALA-PDT において治療の成否の鍵を握る感受性規定因子は未だ明らかではない。本研究では、5-ALA-PDT に対する感受性規定因子としてペプチドトランスポーターおよび ABC トランスポーターに着目し、9種のヒト胃がん細胞における PEPT1 ならびに BCRP1/ABCG2 mRNA の発現と 5-ALA-PDT 感受性との関連性を検討した。 【方法】ヒト胃がん細胞におけるmRNAの発現はRT-PCR法により解析した。感受性試験では、5-ALA添加培地で4-5時間培養した後、LEDモデュールを装着した照射装置を用いて5 minの光照射(630 nm、最大46.4 mW)をすることでPDTを施行した。なお、効果判定は照射72時間後にMTT法により生細胞を測定することにより行った。細胞内PpIX量の測定はHPLC法により行った。 【結果・考察】1)胃がん細胞の5-ALA-PDT感受性は、5-ALA処理後の細胞内PpIX蓄積量と相関した。2)胃がん細胞におけるPEPT1 mRNAの発現は、細胞内PpIX蓄積量と高い相関性を示した。3)ABCG2 mRNAを強発現する胃がん細胞は5-ALA-PDT感受性に低感受性を示した。以上の結果から、胃がん細胞における5-ALA-PDT感受性はPEPT1とABCG2の機能的発現のバランスにより規定され、効果を予測する上で有用なマーカーとなることが示唆された。

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