Download - ソーシャルメディアマーケティングのトリセツ
2010/03/18KOUNO Takeshi.
~企業がTwitterマーケティングを始める際の注意点~
ソーシャルメディア・マーケティングのトリセツソーシャルメディア・マーケティングのトリセツ
社団法人日本マーケティング協会セミナー
photo by Nathan Jongewaardphoto by Nathan Jongewaard
• 河野武 / KOUNO Takeshi– 1974年7月3⽇⽣まれ。⽴命館大学経済学部卒。
コミュニケーション・デザイナー。企画屋。– 1997年、ニフティ⼊社。2001年にニフティ退職後、
フリーランスとして数年過ごし、2004年から2005年までオンライン書店ビーケーワン専務取締役兼COOを務める。2005年から2007年までシックス・アパート株式会社マーケティング担当執⾏役員を務める。現在は、ブックオフオンライン株式会社取締役のほか、数社の顧問・アドバイザーを務める。
– 近著に「そんなんじゃクチコミしないよ。」がある。– 個人でもcrossreview、clipmailなどを運営。
自己紹介(有料セミナーですし簡潔に)
今⽇はこの⽴場でお話します
本日のメニュー
2
3
ぶっちゃけTwitterはマーケティングに使えるのかソーシャルメディアマーケティングのトリセツ
1 ブックオフオンラインがじっさいにやってきたこと
よろしくお付き合いください
でははじめます
ブックオフオンラインがじっさいにやってきたこと
1
ブックオフオンラインがじっさいにやってきたこと
• 2007年〜– オンラインモニタリング– 動画配信(ネットライブ)
• ブックオフまんがチャンネル• 2008年〜
– ブログ• ブログのコメント付け• スタッフブログ
• 2009年〜– 動画
• ブックオフオンライン倉庫探検隊– Twitter
ブックオフまんがチャンネル
ブックオフまんがチャンネル
2007年12月〜2008年3月に実施Bud.tvの影響リアルタイムの閲覧者数は300人程度Stickamで配信、1時間番組チャットルームは40〜50人くらいチャットの発言は2000⾏以上にMCのファンばかりが集まってしまう問題認知度向上を狙ったが、⼿応えはなし(売上には繋がらず、顧客増も??)投資⾦額は約400万円(いまならもっと安価にできるはず)
memo
スタッフブログ
ブックオフオンライン スタッフブログhttp://www.bookoff-online.jp/blog/
スタッフブログ
2009年3月〜継続中ブログポリシーをCCライセンスで公開これまでに230本以上の記事を公開運営は2名体制、執筆は社⻑含むスタッフ13人で分担キャンペーン結果などの実績も公開リニューアルの情報も事前開示倉庫⾒学会の募集をすると⼀週間で116名の応募があったこれまでのコメントは350件以上(うち約半数はスタッフ)月間41,257PV、11,687UU、RSS購読は100人(2月末時点)
memo
ブログのコメント付け
ブログのコメント付け
2008年7月〜継続中だいたいスタッフひとり体制(担当は何度か交代している)販促的なコメントは禁止ブログ検索で⾒つけているこれまでに340件以上のブログを訪問残したコメントに返事があった場合はさらにコメントするようにしているはてなブックマークで管理
memo
ブックオフオンライン倉庫探検隊
YouTube - bookoffonline さんのチャンネルhttp://www.youtube.com/user/bookoffonline
ブックオフオンライン倉庫探検隊
2009年3月〜2009年11月に実施「Will It Blend?」の影響再⽣回数は17,739回10分程度の倉庫内の映像を毎週アップ(合計30本アップ)あえてブログやメルマガで告知せず、独自で集客できるかを試してみた視聴者⽐率は男性が8割、30代中心認知度向上と販売促進を狙ったが、⼿応えはほとんどなし(社内の話題作りにはなった)最終回はスタッフ40人が登場投資⾦額は約160万円
memo
「ブックオフオンライン倉庫探検隊」をやってわかったこと | ブックオフオンライン スタッフブログhttp://www.bookoff-online.jp/blog/archives/4459
ブックオフオンライン (bookoffonline) on Twitterhttp://twitter.com/bookoffonline
2009年11月〜継続中約2,400人がフォローこれまでに450人以上とやり取り365⽇できる範囲でひとりで対応(とはいえ社内と連携してます)基本は顧客にお礼を伝えたり、質問に答えたりしている(何度かやり取りが続くことも多い)ブログの新着も自動ポスト販促の実験も過去にやっているが、原則的には販促禁止CoTweetを利用
memo
具体的な事例はあとで話します
アカウントは他にも持ってます
• Ustream• Flickr• Tumblr• FriendFeed• etc.
わかったこと
いろいろやってみてわかったこと
• 実験の域を出ない– 販促効果はない
• ぜんぜん売れない– 海外事例のマネをしてもうまくいかない
• よほどの「バカ」か「エロ」でもないと⾒られない– 運用がかなり大変
• 誰がやるのか?(できるのか?)• 会社でやる以上、個人への依存はNG
• 可能性も感じる– お客さんの「⽣」で「今」の声がそこにある
• 名ばかりでない本当の顧客志向が実現できるかも– 自己満足になってないかのセルフチェック
ぶっちゃけTwitterは
マーケティングに使えるのか
2
使える39%
わからない21%
ダメ36%
不明4%
ブログで聞いてみた
• 300件以上の回答が集まった
ぶっちゃけTwitterでマーケティングってどう思います?(アンケート結果) | smashmediahttp://smashmedia.jp/blog/2009/10/003123.html
コメント(抜粋)•CRMとして使えば良いと思うけど、どうみても「費用を安く、ユーザの⼿を借りて宣伝」しようとしているように思えて嫌ですね•リアルタイム性をうまく価値につなげることができれば、いけると思います。•「そこに人がいること」が大切。•まだまだ•これだけ話題になっても盛り上がってるのはユーザだけな印象なので、企業の⼿垢で汚されたイメージがつかないかが心配です。ブームだからという理由ではなくて、もうちっとスマートな理由でやってほしいですね。•Twitterに限らず「ゆるめの」つながりで顧客とつながる環境は今企業に求められていると思います。SNSはハードすぎて、メルマガはライトすぎると。•広告色の強いつぶやきがあったらやだな…•「セカンドライフよりはマシだと思うけど、今の盛り上がり方は異常なので惑わされないように。」に同意。•まゆつば•すごくセグメントされたところでなら、なくはないんじゃないでしょうか。好感度は上がるとか、そういうのはあるでしょうね。•うんこ•リアルタイム性が⽣み出す近距離間はすごいけど、運用を考えると難しい。電話やメール対応と位置づけられるかどうか。•可能性はあると思いますが、まだ黎明期でこれからだと思います。
コメントを読んで河野が分類(可能性がありそう、も「使える」に分類)
N=312(2009年10月20⽇〜2010年3月9⽇)
photo by S x 2photo by S x 2
よくある勧誘トーク
よくあるTwitterマーケティングの勧誘(脅迫?)トーク
140文字なのでブログより簡単
いま始めないと後れを取りますよ
Dellは3億円稼いでます
よくあるTwitterマーケティングの勧誘(脅迫?)トーク
140文字なのでブログより簡単
140文字で伝える大変さわかってる?
いま始めないと後れを取りますよ
来月じゃダメなの? なぜTwitterなの?
Dellは3億円稼いでます
どうやってフォロアー数を増やすの?
こんな代理店はダメだ
• Twitterについての知識と経験が足りない– 140文字で伝える難しさをわかってない– 知っている事例が圧倒的に少ない
• 本質的な成功の理由を理解しているか?– ブログとのちがいを指摘できない
• ブログが続かないのになぜTwitterならできるの?• 炎上が怖くてブログのコメントは閉じてるのに?
• 組織についての理解が足りない– 社内調整の大切さを指摘しない– 緊急時の対応を想定していない
• 障害やリコールがあれば問い合わせが殺到するそもそも代理店なんて必要なの?
日本の事例
Twitter企業利用実態調査
Twitter企業活用調査の更新 | smashmediahttp://smashmedia.jp/blog/2010/02/003290.html
Twitter企業利用実態調査
Twitter企業活用調査の更新 | smashmediahttp://smashmedia.jp/blog/2010/02/003290.html
•2009年に⼊ってから取得したアカウントがほとんど•アカウントに大文字を使ってる企業がけっこうある•フォロー数は0もしくはフォロアー数と同じというのが大半•RTはほとんど使われていない•半分くらいは別サイトへの誘導を目的にしている
企業のTwitterの利用目的(暫定版)
ブログ型
アクティブサポート型
販促型
イベント型
宣伝・PR型
社⻑や担当者の人間味を伝えるために利用独り言以外にもリプライやRTなども使う軟式アカウントと呼ばれているものの大半はこれ
CRMの⼀環自社ブランドについて不満をつぶやいているユーザーに対して問題解決を⾏なうツイートの大半がリプライ
在庫処分目当てのタイムセールなどに利用クーポンの発⾏とか、ホテルの空室情報を配信フォロアー数が相当数いないと難しい
記者発表会やセミナーの実況など担当者がつぶやいているイベント連動なので期間限定的な使い方が多いハッシュタグを活用したコミュニティ的な利用も
別名メルマガ型。メルマガと同じで⼀方通⾏的ニュースリリースのRSSやブログ等からの垂れ流しが中心サイトへの送客目的
企業のTwitter利用目的(暫定版) | smashmediahttp://smashmedia.jp/blog/2009/12/003176.html
ブックオフオンラインの体験談
• フォロアーを増やす– どうすればフォロアーが増えるのか
• プレゼントキャンペーン– 応募が殺到するのか
• バーゲンセール– Dellみたいに売れるのか
• ユーザーとの対話– バグ発⾒– 袋の改良– プレゼント再送
CoTweetというツールを利用
フォロアーを増やす
• 実験的にいくつかやってみた– メルマガ(30万通)の効果がいちばん大きい– 広告はやってない– そもそもお得な情報が流れるわけでもないので
このあたりが限界か11/16
メルマガ掲載11/13
ブログ掲載
10/22twinavi掲載
Twitterのフォロアー数の増加について | ブックオフオンライン スタッフブログhttp://www.bookoff-online.jp/blog/archives/4205
現在は2,351人
2009年9月〜11月の推移
プレゼントキャンペーン
• ブックカバーを3名にプレゼント– 告知はブログとTwitterのみ
• この時点のTwitterのフォロアー数は1,400人– 最終的に47名の応募
• 予想よりはるかに少なかった• 住所氏名を聞いたりハードルが高すぎたのも原因か
今回のブックカバープレゼントでわかった(わからなかった)Twitterの告知効果 | ブックオフオンライン スタッフブログhttp://www.bookoff-online.jp/blog/archives/4430
バーゲンセール
• ストラップを98%OFFで販売– 定価500円の商品を10円に– 告知はTwitterのみ
• Twitterからの誘導数(クリック数)は263回– 在庫1,152個のうち、1,109個を販売– もっと瞬殺レベルかと思ってた
• 送料無料ラインの問題などもある
キュージョン特売キャンペーン振り返り | ブックオフオンライン スタッフブログhttp://www.bookoff-online.jp/blog/archives/4908
ユーザーとの対話
• バグの指摘– 2年間放置されていた
• 袋の改良• プレゼント再送
Twitterのおかげで2年間放置されていたバグが発覚した件 | smashmediahttp://smashmedia.jp/blog/2009/09/003042.html
どの商品をカートに⼊れても「在庫不足」? | ブックオフオンライン スタッフブログhttp://www.bookoff-online.jp/blog/archives/2538
袋の水濡れについて | ブックオフオンライン スタッフブログhttp://www.bookoff-online.jp/blog/archives/5605
わかったこと
いろいろやってみてわかったこと
• フォロアーを増やすのは簡単ではない– そもそも増やしたいかは別として
• 販売への貢献は難しい– Dellのケースは特殊
• ユーザーとの対話チャネルには使えるかも– 全員が話しかけられたいわけではない
• お礼に感謝されることも、ウザがられることも– 認知度が低いことがよくわかる
• 社内連携は必須– サポートやシステムとの連携
ソーシャルメディアマーケティングのトリセツ
3
ソーシャルメディアの3D構造
photo by Cremophoto by Cremo
ソーシャルメディアの3D構造
Dynamic動的な関係
Diversity多様性
Direct直接対話
ソーシャルメディアの3D構造 - Direct
• Direct 直接対話– ひとり⼀人のユーザーと直接繋がる
• 怒られるとマジ凹む• みんなが話しかけられることを期待していない
– 万人に愛されることはムリ• ものすごく喜ばれることもある
– 衆人環視下でのコミュニケーション• やり取りが衆人環視のもとで⾏なわれるのが
メールや電話との大きなちがい– その⼀部始終を⾒ていた他のユーザーの印象も変えられる
– サイレントクレームの把握• 離反直前顧客へのアクティブサポート
– 「困ったら電話してこい(メールしてこい)」でいいの?
ソーシャルメディアの3D構造 - Dynamic
• Dynamic 動的な関係– リアルタイム=情報は細切れになる
• 誤解が⽣まれやすい– 同期性は往々にしてクオリティとのトレードオフ
• タイムセールに使えることもある– あくまでも商品やサービス次第
– すべては返事次第• 声を受け止めた後の⾏動、対応が肝心
– お礼を言うだけならbotでもできる– リアルタイムレスポンス
• 緊急時にはリアルタイムな対応が必要になる– 普段はTwitterでも翌⽇対応が許されるが障害発⽣時は別– 「なんで15時とか17時に閉めるんだバカ」→銀⾏や役所
ソーシャルメディアの3D構造 - Diversity
• Diversity 多様性– マニュアル的な対応は通用しない
• コピペやbotで顧客が感動するわけがない– 相⼿にあわせる
• フランクと感じるか、馴れ馴れしいと感じるか– 消費者だけじゃなく、企業だって多様性
• Dellのマネをしてうまくいくわけがない– ブランド、アウトレット品、圧倒的なフォロアー数
• 読者数、フォロアー数に意味はない– フォロアー数に繋がりの「深さ」は反映されない
• 自社用にカスタマイズしないとダメ– 具体的な事例ではなく、本質を捉えることが大事
使用上の注意
photo by adotmandaphoto by adotmanda
ソーシャルメディアマーケティングの難しさ
• 難しいことを覚悟する– みんなが言うほど簡単じゃない
• 売上に繋げるのはかなり難しい– 非対⾯で細切れのコミュニケーション
• 誤解を⽣みやすい– 評価は受け⼿次第
• 距離感が難しい– 他人⾏儀な対応は敬遠される– 同じ対応でも親近感を感じる人と無礼に感じる人がいる– 目安は「友だちのお友達」(by リトルスターレストラン)
– 開かれたチャネルは緊急時に最前線になる• トラブル時に沈黙するのはあり得ない
– その覚悟はあるのか
ソーシャルメディアを活用する際の注意点
• 担当者の課題– 「⽣協の白石さん」はそうそういない– 勤務形態の問題
• 夜中の対応や自宅での作業をどう管理するのか• ストレス管理や離職リスクへの対応
• 組織の課題– 社内調整、社内連携
• 社内で対話できないのに顧客とできるわけがない• ガイドラインの策定と徹底
• 評価や基準についての課題– 担当者の評価や効果測定をどうするか
• 撤退基準の設定と、撤退時の対応の明確化
まとめます
本日のまとめ
• 本当に繋がりたいのか?– ソーシャルメディアマーケティングは難しい
• 広告や販促的発想で儲けようとしてもムリ– ⼀部の成功事例に惑わされてはいけない
– ソーシャルメディアだけがその⼿段ではない• ソーシャルメディア=Twitterでもない
– そこに顧客(や潜在顧客)がいることも事実• でも⼀部に過ぎないということもちゃんと理解する
• 進めるための体制作りが重要– なにをおいても社内調整– 会社全体で世の中(顧客含む)と向き合う
• Twitterの中「だけ」人気者でもしょうがない
thank you!
• ご清聴ありがとうございました• 感想や相談はこちらまでお願いします
– [email protected]– http://smashmedia.jp/blog/– http://twitter.com/smashmedia– 検索してもOKです
Special thanks to�
Nathan Jongewaard, S x 2, Cremo, adotmanda,
and my friends! 企業がはじめるツイッター | smashmediahttp://smashmedia.jp/blog/2010/03/003345.html