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酵母由来のペクチン分解酵素の解析と利用酵母由来のペクチン分解酵素の解析と利用
生命環境研究科・応用生命科学専攻 岸田正夫E-mail :masyksd@ biochem.osakafu-u.ac.jp TEL: 072-254-9455
FAX: 072-254-9921
SPSP1717
大阪府立大学
特 許 有
無共同研究先 有
無技術段階 研究段階
実用化段階
関連分野
食品加工・醸造分野、廃棄物関連分野、バイオマス バイオエネルギー・分野
への要望パートナー
研究概要・ ペクチンは果実や草本類に多く含まれる細胞壁多糖であり、その構造は一部メチル化したポリガラクチュロン酸主鎖に中性多糖側鎖が結合している。リンゴ等の果実に多く含まれ、食品加工時に搾汁粕として回収される。ペクチンの加工にはカビ培養液由来のペクチン分解酵素製剤が用いられるが、カビは多種多様な酵素を培養液に分泌するため、ペクチン分解酵素製剤には夾雑酵素が多く含まれる結果、夾雑酵素のよる影響を除く必要がある。一方、酵母菌の一部はペクチン分解酵素を生産するが、酵母菌は一種類あるいは数種類の酵素しか分泌しないので、夾雑酵素のない(少ない)酵素製剤源になり、また食品用酵母であれば酵母そのものを酵素源として使用可能である。
本研究は酵母のペクチン分解酵素を解析し、ペクチンおよびペクチン性廃棄物(果汁搾汁粕等)の加工および有用資源化に利用できる酵素製剤の開発につなげることを目的としている。本発表では主に醸造用酵母として代表的な Saccharomyces cerevisae の持つペクチン分解酵素の一種、ポリガラクチュロン酸分解酵素について述べる。この酵素の遺伝子は通常の条件では発現せず、まずポリガラクチュロナーゼ発現変異体を取得し、変異体が生産するポリガラクチュロナーゼの性質を解析した。ここでは解析で得られた結果を元にした酵母ポリガラクチュロナーゼの利用法に関して発表する
酵母ペク
チン
分解酵素
有用物
カビペク
チン
分解酵素
有用物
夾雑酵素 不純物
従来法 酵母酵素法
酵母由来のペクチン分解酵素の解析と利用酵母由来のペクチン分解酵素の解析と利用
P1P11717
大阪府立大学
生命環境研究科・応用生命科学専攻 岸田正夫E-mail :masyksd@ biochem.osakafu-u.ac.jp TEL: 072-254-9455
FAX: 072-254-9921
・本研究のねらい・本研究のねらい 本研究は酵母の生産するペクチン分解酵素を解析し、ペクチンおよびペクチン性廃棄物(果汁搾汁粕等)の加工および有用資源化に利用できる酵素製剤の開発につなげることを目的としている。
・本研究の概要・本研究の概要 ペクチンは果実や草本類に多く含まれる細胞壁多糖である。リンゴ ミ・カン等の果汁搾汁粕に多く含まれる。ここ数年の日本の搾汁粕は年間 15
万 t以上に上り、その約 30%が廃棄されるか土壌改良剤のような廃棄に近い使用にとどまっている。一般にペクチンの加工にはカビ培養液由来のペクチン分解酵素製剤が用いられるが、そこにはカビが生産する多種多様な酵素が夾雑している可能性があり、その夾雑反応がペクチン性廃棄物の再資源化の障害となっている。近年、酵母の一部の菌種がペクチン分解酵素を生産することが明らかになってきており、これらの酵母は一種類あるいは数種類の酵素しか生産しないので、夾雑酵素のない(少ない)酵素製剤源として使用できる。また、食品用酵母であれば酵母そのものの酵素源としての使用が可能である。本研究では酵母由来のペクチン分解酵素を単離精製し、本酵素をペクチン性廃棄物の再資源化にとっての重要なツールとして機能させるため、酵素科学的な機能解析を行う。
・本研究の特徴・本研究の特徴 本研究は従来本分野でよく用いられるカビ由来の酵素の代わりに酵母由来のペクチン分解酵素を利用を想定している。酵母のペクチン分解酵素についてはポリガラクチュロナーゼの研究報告が多く存在する。しかし報告菌種が少なく、遺伝子の発現を休眠させている例もあるので検索によりまだまだ多くの種類の酵素が見出されると考えている。酵母菌の場合、夾雑する酵素はあまりないと考えられるので、それを利用することによって、従来行えなかったペクチン性廃棄物からの有用化合物の発酵生産に新たな可能性が開けると考えられる。
酵母由来のペクチン分解酵素の解析と利用酵母由来のペクチン分解酵素の解析と利用
P2P21717
大阪府立大学
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ペクチン分解酵素の種類ガ
ラク
チュ
ロン
酸(MGA)
ワイ
ン酵
母の
酵素処理
産物
変異
酵母
の酵
素処理
産物
カビ
酵素
製剤処理
産物
MGA
DGA?
TGA?
酵母由来ペクチン分解酵素によるオリゴ糖生産
菌株 アントシアニン含量
(g/L)
濾過性 ( 分 )*
ワイン酵母 KW44s1†
ワイン酵母 UvaFerm
Fh6†
0.26±0.020.36±0.030.25±0.010.36±0.03
2123521443
†:ポリガラクチュロナーゼ生産変異株*100mlのワインが 0.25μ l マイクロメッシュを通過する時間
ペクチン分解酵素産生ワイン酵母による醸造ワイン
・本研究の用途例・本研究の用途例
・・実用化への課題実用化への課題
現在、ポリガラクチュロン酸についてのみ分解酵素(ポリガラクチュロナーゼ)が見つかっている。しかし、酵母菌からはその他のペクチン性多糖分解酵素が見つかっていない。
現在見つかっている酵素の使用条件は限定的であり、より幅広い酵素反応条件(低温、高温、極端な pH,糖濃度など)に適応した酵素の取得が必要である。
実用化に向けて、ポリガラクチュロナーゼ以外のペクチン分解酵素の取得と特殊環境で作用できる酵素の取得が今後の課題である。