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ASEANレポート
【タイ編】
~今、なぜASEANが注目されるのか~
⽇本企業にとってのみならず、国際的に⾒てもアジアに注がれる視線が益々熱気を帯びてきています。
2009年から2011年にかけて、その⼈⼝の多さから中国に対する過剰な期待感が持たれていたところに、政治的な難しさが水を差したことによって、急激に中国熱が冷め、ある意味で冷静さを取り戻しているのが現在の状況と言えそうです。
一方、中国に変わって過熱気味となっているのがASEANです。2009年を境に国際ビジネスで今後注⼒する先としての存在感を増し続け、既に中国を越えて最も期待感の高い地域となっています。
当⾯伸び続ける⼈⼝、良好な対⽇感情、中間層の台頭による消費の拡⼤、さらにはASEAN地域からの訪日観光客など、生産地や消費市場としての魅⼒に留まらず、相互依存の関係性が今後⼀層強化される可能性が⾼い
ASEAN。
今回は、タイについて紹介いたします。
はじめに
タイは日本の約1.4倍の面積を有しており、
6,593万人の人が暮らしています。ASEANの中ではインドネシア、フィリピン、ベトナムに次いで
4番目に人口が多い国です。首都バンコクには約
828万⼈と全国⺠の約13%が居住しています。熱帯に位置し、高温多湿の気候です。季節は雨
季と乾季に⼤きく分かれます。年間で⾬が最も多い時期が5⽉〜10月で、いわゆるスコールが頻繁に降るのがこの期間です。逆に11⽉〜1⽉には⾬はほとんど降りません。国⺠の多くはタイ族で、その他を構成している
のは、華僑やマレー族です。そして山岳地帯には
100万⼈の少数⺠族が住んでおり、その半数はミャンマーとの国境付近に住むカレン族です。タイの宗教は戒律の厳しい上座部仏教。信仰⼼
が厚く、王室への深い敬意が払われています。ほほえみの国とも呼ばれている穏やかな国⺠性の⼀⽅で、政治の不安定さや軍部のクーデター、カンボジアとの国境を巡る対⽴など、難しさが残されています。
タイはどんな国?
【基礎情報】人口:6,593万人(2013年)面積:51万3,115Km2名目GDP:3,660億ドル(2012年)1人当たりGDP:5,678ドル(2012年)言語:国語はタイ語民族:タイ族75%、華人14%、その他11%宗教:仏教、イスラム教産業構成:(名目GDP比、2012年)
第1次産業:11.4%第2次産業:38.2%第3次産業:50.3%
タイの工業化は非常に進んでいます。特に1985年のプラザ合意を契機として、⽇本企業をはじめとする外資の進出が加速しました。特に⾃動⾞メーカーが早くから進出し、それを支える部品メーカーも多数進出。その集積ぶりから「アジアのデトロイト」と称されています。工業化が進んだことにより、1990年に1,500ドルだった一人あたり名目GDPは、2012年時点で6,000ドルちかくにまで上昇しました。タイと日本とは古くから深い親交が有り、経済的にも関係が強く、日本はタイ
の輸出先として中国に次いで第2位(シェア10%)、輸入先として第1位(シェア20%)です。日本からの直接投資は、他の外資と比較しても依然大きな割合を占めており、タイに進出している日本企業は7,000社にも上ります。世界銀⾏の「Doing Business」によれば、世界185カ国中で18番目にビジネ
スをやりやすい国という評価を得ています。ASEANの中ではシンガポールとマレーシアに次ぐ順位で、ベトナム、フィリピン、インドネシアを⼤きく引き離しています。ASEAN中で最も評価が⾼いのは「建設許可の取得」「電⼒供給の得やすさ」「登記のしやすさ」の3点であり、特に「電⼒供給の得やすさ」は世界で第10位です。
世界的に見てもビジネス環境が良いタイ
タイ マレーシア 中国 インドネシア
建設許可の取得 16 96 181 75
電力供給の得やすさ 10 28 114 147
登記のしやすさ 26 33 44 98
輸出入のしやすさ 20 11 68 37
(資料)世界銀行 “Doing Business 2013”よりマクロミル作成
タイは良好な投資環境であるのみならず、産業集積が⾼度に発展した結果、バンコクから⾞で1〜
2時間以内の範囲に多くの工業団地が密集。特に⾃動⾞と電機・電子産業の集積が進んでいます。効率的な物作りを可能にする環境が整っていることがメリットである反面、企業が集中していることで、⼀度バンコク近郊が災害に直⾯すると、サプライチェーンが機能マヒを起こすリスクに直結してしまう点に留意が必要です。なお、これらの地域ではカンボ
ジア、ラオス、ミャンマーなど周辺国の安価な労働⼒を活⽤しており、200〜300万人の外国人労働者も、タイの産業を支える強みとなっています。
ASEAN随一の産業集積
BOI(The Borad Of Investigation)タイ投資委員会は、タイ国内への投資奨励を担当するタイ政府機関。国内外で投資家に便宜を図り、タイ国内への投資を促すことを目的としており、投資誘致活動、投資の許認可などを担当している。委員会ではタイ国内を立地、周辺環境により、3ゾーンに分けて投資誘致を行っている。一般的にゾーン1からゾーン3に移行するにつれ都市圏から離れるが、同時に手厚い優遇措置が行われる。
持続的な経済発展によって、タイの消費者の購買⼒は着実に⾼まっています。世帯所得が5,000ドル以上3万5,000ドル未満の中間層の割合は66.9%にまで達しています。2020年には中間層が全体の7割を超えるという予測もあります。タイではクレジットカードを所有できる所得基準が約6,000ドルとなっており、今後さらに消費が活発になることが予想されます。
購買力を持つ中間層が増加中
【所得定義】低所得層:5000米ドル未満下位中間層:5000~15000米ドル上位中間層:15000~35000米ドル富裕層:35000米ドル以上(資料)EUROMONITORよりマクロミル作成
【年間可処分所得別世帯構成比(2011年)】
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Singapore
Japan
Indonesia
Malaysia
Philippines
Thailand
Vietnam
【年間可処分所得帯レンジ別出現率(2011年)】
一人あたりGDPが3,000ドルを超えるとモータリゼーションが本格化すると言われています。所得水準が5,000ドルを超えたタイでは、首都バンコク周辺の乗⽤⾞の普及が進んでいます。⼀⽅農村部では、これまで税制⾯での優遇もあり、業務用と兼用できるピックアップ・トラックの普及が進みましたが、今後は乗用⾞へのシフトが始まると⾒込まれています。ちなみにタイでは中古⾞の下取り価格がほとんど下がらない為、乗⽤⾞は売却時にある程度のお⾦が戻ってくる”資産”と考えられているようです。
消費財の普及状況と消費動向
耐久財普及率がマレーシアに次ぐ⽔準であるタイは、先⾏するマレーシアを追う形で耐久財の普及率を⾼めていくと⾒込まれています。サービスに関する⽀出の伸びも⾒ら
れており、海外旅⾏やレジャーなどをはじめとする消費のみならず、フィットネスクラブや、学習塾にお⾦を使う人も増加しています。ちなみに⼈気の海外旅⾏先として⽇
本は上位にあげられており、京都、東京、⼤阪、富⼠⼭、北海道が観光地として注目されています。
出所:IMF“World Economic Outlook 2012”よりマクロミル作成
地域別に⾒た世帯収⼊(⽉額)で他の地域から突出しているバンコク。2012年には32,000バーツ(1,100ドル)と全国平均の1.7倍に上ります。近代化された街並みは、インドシナ地域の中心としてさらなる発展が期待されています。日本企業のバンコクを中心とした進出は枚挙に暇がありません。バンコクは世
界で⼀番⽇本⾷レストラン⽐率が⾼い街とも⾔われています。
ASEAN有数の消費地、バンコク
バンコクに進出している日系企業(2012年)
【小売業】イオン、伊勢丹、ファミリーマートファーストリテイリング
【外食】⼤⼾屋、すき家、CoCo壱番屋、幸楽苑モスフード、やよい軒
【サービス業】久喜屋(クリーニング・チェーン店)公文教育研究会、ツヴァイ
タイにおいてサービス業は原則として、外資側が株式の過半数を取得出来ない為、合弁またはフランチャイズの形態でなければならず、事業の正否はパートナーの発掘がカギとなります。
出所:タイ国統計局(2013)よりマクロミル作成
⼀般に所得⽔準の上昇に伴って、⽣活上で不可⽋な⾷品飲料費の⽀出の⽀出全体に占める割合(エンゲル係数)は低下する傾向にあると言われています。タイの場合、エンゲル係数が2000年から2012年の間にむしろ上昇しています。⾷品飲料費の⽀出は経済発展の度合いと⽐例して都市部で最も⾼く、外⾷につ
いては、⾷品飲料⽀出全体に占める割合が35.1%に上っています。また、都市部では外⾷と中⾷の⽀出計が⾷材の⽀出を超えており、家庭で調理することの少ない都市部タイ⼈の、より良い外⾷を楽しむライフスタイルが垣間⾒えます。
収入に占める食費
出所:タイ国統計局(2011)よりマクロミル作成
マクロミルのグローバルリサーチサービスについて
10¥
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海外の自主調査及びセミナー
マクロミルではより詳しい海外事情及び海外リサーチについてお客様に知っていただくため、
さまざまな自主調査を企画し、セミナーなどを通してリリースしております。
マクロミルの現地⽀社やエリアスペシャリストがリリースしている国別レポートから、調査時に留意すべき海外の回答傾向や、
⼿法によるデータの差など、リサーチ前後のフェーズでお役に⽴てる情報をたくさん⽤意しております。
■リサーチ関連の自主調査
・訪問面接調査とインターネット調査の比較結果
・各国の複数回答の傾向検証
・微信を活かしたマーケティング事例など
■現地情報関連の自主調査
・チャイナレポート、台湾レポート、ASEANレポート
・インド駐在員レポート
・THE LIFE 12カ都市の⽣活実態、意識調査など
自主調査 グローバルセミナー
・拡大する中国オンラインショッピング市場
・台湾生活者調査から読む台湾市場のトレンド
・ミャンマーのビジネス・市場の環境
・知っているようで知らない、韓国人の消費者像
・中国 90年後⽣まれの⽣活意識
・中国都市部 中間所得層のリアルに迫る!
・アジア・ASEANマーケット攻略 ・・・など
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お客様からお⾒積もりのご相談が来たとき、マクロミルなら複数の海外パートナー会社に、実現可能性と費⽤を確認および吟味した上で、お⾒積を作成いたします。
調査実施例
の 案件事例 (参考)
インド
生活実態把握調査
デスクリサーチ、家庭訪問(写真撮影含)
30営業日 180万円
20営業日 90万円
20日間 160万円
9営業日 150万円
ブラジル
ホームセンター 売り場写真収集調査
店舗訪問(写真撮影、店員インタビュー)
中国 (上海、福州)
化粧品販売店についての調査
ミステリーショッパー(16店舗)
アメリカ、シンガポール、中国
スマートフォンの利⽤実態調査
オンラインリサーチ(20問、各国200ss)
日本、中国、インド、米国
カメラ受容性検証調査
CLT (各国90ss、コンジョイントあり)
60営業日 1500万円
30営業日 700万円
ドイツ、イタリア、アメリカ、中国、マレーシア、日本
タイヤに関する調査
オンラインリサーチ(40問、各国400ss)
国
案件
手法
国
案件
手法
25営業日 350万円
30営業日 100万円
アメリカ
携帯電話に関する調査
FGI (6グループ)
ASEAN (インドネシア、タイ、マレーシア)
ゲーム業界の現状把握
デスクリサーチ、キーマンインタビュー
アメリカ
トイレタリー製品のHUT
HUT(200ss)
60日間 270万円
国
案件
手法
国
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手法
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手法
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手法
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案件
手法
国
案件
手法
国
案件
手法
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マクロミルの海外拠点
⼩⻄ 克己代表者 :
社名 : 明路市場調査(上海)有限公司
設⽴ : 2011年3月31日
資本⾦ : 1億5,000万円 ※2014年2月現在
従業員数 : 24名 ※2014年2月現在
事業内容 : オンラインリサーチ、CLT、FGI/DI、
デスク・リサーチ、パネル・サプライ
所在地 : 上海市⻩浦区九江路288号 宏伊国際広場1203室
MACROMILL EMBRAIN CO., LTD.
MACROMILL CHINA, INC.
株式会社マクロミル・エムブレイン社名 :
Choi In Su代表者 :
1998年10月設⽴ :
12th Fl, Tower 837 Bldg., 837, Yeoksamdong,Gangnam-gu, Seoul, Korea (135-080)
所在地 :
11億7,090万ウォン ※2014年2月現在資本⾦ :
175名 ※2014年2月現在従業員数 :
オンラインリサーチ、CLT、 FGI/DI、HUT、CATI、訪問調査、デスク・リサーチ、パネル・サプライ
業務内容 :
EOLembrain
詹宏志代表者 :
社名 : 東方快線網絡市調(EOLembrain)
設⽴ : 2000年
事業内容 : オンラインリサーチ、CLT、FGI/DI、パネル・サプライ、
データベース販売
所在地 : 台北市信義路四段306號5F-1
グローバルリサーチ部 青葉