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Page 1: 授業科目名 企業倫理 平 野 琢35 第10回目 <講義テーマ> 企業倫理と企業価値②(各論;不祥事編) <講義のねらい> 第6回に続き企業事故研究や組織文化研究の理論や事例を基に企業の不祥事が生じるメカニズムについ

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授業科目名(講義題目) 企業倫理 開 講 学 期

単 位 数前 期2単位

担 当 教 員 平 野   琢講義コード 科 目 区 分

対 象 学 生必 修1年生20176005

開講予定日① 4/14 ② 4/21 ③ 4/28 ④ 5/7(木) ⑤ 5/12 ⑥ 5/19 ⑦ 5/26 ⑧ 6/2 ⑨ 6/16 ⑩ 6/23 ⑪ 6/30 ⑫ 7/7 ⑬ 7/14 ⑭ 7/21 ⑮ 7/28

履 修 条 件特になし

キーワード企業倫理、ISO26000、BOP ビジネス、CSR、共通価値の創造、人権 Due Diligence

全体の教育目 標

企業経営に必要な企業倫理の視点を学ぶ 個別の学習

目 標

①重要な概念・用語の理解。②事例の論理的な分析。③具体的な課題解決の提案。

授 業 形 態(項   目)

・講義・グループワーク・プレゼンテーション・ディスカッション

使 用 す る教 材 等

・板書・テキスト(紙媒体)・スライド資料・映像・音声資料

授 業 形 態(内   容)

・(講義)授業担当教員による解説(又は板書)を主とした形態であり、時折、学生との問答を通じて、関連の知識を深めていきます。

・(グループワーク、ペアワーク)学生同士でグループを作り、学生同士で話し合って課題等を進める授業の方式です。課題を進める中でグループ内での自身の役割をくみ取ったり、臨機応変に自身の役割を変えたりすることが求められます。

・(プレゼンテーション)特定の課題等に対する自身の意見や考えを取りまとめ、複数の学生の前で発表し、質疑応答をする形式の授業があります。

・(ディスカッション)特定のテーマに関して複数人で議論をする授業があります。テーマに沿って自身の意見を整理し、その内容を他の学生に伝えることや、他の学生の意見に対して、賛成なのか、あるいは反対なのか自身の立場を示し、その理由とともに自身の意見を再構築し、他の学生との合意点を探ることが求められます。

授 業 の 概 要 現代社会において、企業倫理の必要性は企業を取り巻く様々なステイクホルダーが認めるところです。しかしながら、「企業は倫理的であるべき根拠は何か?」、「倫理的である企業とは具体的にはどのような企業か?」「企業倫理は企業価値の向上にどのように結びつくのか?」等、企業倫理に関する論点や問題は様々に存在します。本講義では、企業倫理に関する基本的な理論を俯瞰し、統合社会契約論、ステイクホルダマネジメント、CSR、CSV経営等の企業倫理に関する基本的な概念を学びます。また多くの事例研究・学習や実務に携わる人々との対話から企業の現場における企業倫理の実像を知ることで、これらの論点や課題を一つずつ紐解いていきます。

授業の進め方 【授業の進め方】授業前学習;配布するケースを読み、出題された課題について意見をまとめてください。授業;座学とクラス討議を中心に行います。必要に応じて演習を実施します。授業後学習;授業の内容を復習してください、必要に応じて補完教材を配布します。【受講に際しての注意】

•最初の授業は、ガイダンスを行います。•テキストや参考書は追加・変更されることがあります。変更がある場合は、授業開始後に適宜、受講者に連絡を行います。

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教科書および参 考 図 書

●(参考書)髙巖(2013)『マネジメント・テキスト ビジネスエシックス[企業倫理]』、日本経済新聞出版社。(4,500円 +税)

●(参考書)岩井克人、小宮山宏(2014)『会社は社会を変えられる 社会問題と事業を〈統合〉する CSR 戦略』、プレジデント社。(1,600円 +税)

●(参考書)岡本大輔、梅津光弘(2006)『企業評価 +企業倫理―CSR へのアプローチ (慶應経営学叢書)』、慶應義塾大学出版会。(3,400円 +税)

●(参考書)上田和勇(2014)『企業倫理リスクのマネジメント』、同文館出版。(2,300円 +税)

試験・成績評価 の 方 法 等

期末レポート 50% ; 中間プレゼンテーション 30% ; 講義内課題 20%

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第 1 回 目

<講義テーマ>企業倫理への招待

<講義のねらい>講義前半では本講義の目的や構成について説明します。講義後半では、企業倫理学の理論を基に企業倫理における基礎的な概念や定義について整理し学習します。

<ディスカッション・ポイント>・企業倫理とは何か?・倫理的な企業とはどのような企業か?

<参考文献等>髙巖(2013)『マネジメント・テキスト ビジネスエシックス[企業倫理]』、日本経済新聞出版社。

第 2 回 目

<講義テーマ>倫理的主体としての現代企業

<講義のねらい>企業は何故倫理的である事を求められるのかという点について既存研究における理論考察を通じて学びます。講義では moral agency 論争や統合社会契約論に加えて、経営学以外の法学や応用倫理学の理論を含めて概観する事で企業が道徳的主体であり、組織として倫理的責任を有する事を考察・導出します。

<ディスカッション・ポイント>・なぜ企業は倫理的であるべきか?・企業の持続的発展と企業倫理はどのような関係性にあるか?

<参考文献等>宮坂純一(2009)『道徳的主体としての現代企業―何故に、企業不祥事が繰り返されるのか』、晃洋書房。

第 3 回 目

<講義テーマ>倫理学への導入(倫理学の構造)

<講義のねらい>企業倫理は応用倫理学の一部と位置付けられます。この講義では倫理学の体系を俯瞰し、企業倫理が倫理学から見てどのような立場であるかを学びます。また、倫理的問題を考える際に重要となるフレームワークを学びます。

<ディスカッション・ポイント>・倫理的に「正しい」とは何か?

<参考文献等>田上孝一(2010)『本当にわかる倫理学』、日本実業出版社。

授 業 計 画

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第 4 回 目

<講義テーマ>倫理学への導入(規範倫理学の概略)

<講義のねらい>規範倫理学の代表的な理論(功利主義、義務論、徳倫理)を、「倫理的に正しい規範とはなにか?」を言う点をテーマに学びます。講義では実際のケースをもとに、「倫理的に正しい」と私たちが考える行為や判断が相違する背景には、個々人が有する倫理的な原則の相違が存在することを学びます。またそれぞれの倫理的な原則が有する特性についても学びます。

<ディスカッション・ポイント>・なぜ、特定の行為は倫理的に正しいといえるのか?

<参考文献等>宇都宮芳明(編)、熊野純彦(編)(1994)『倫理学を学ぶ人のために』、世界思想社。

第 5 回 目

<講義テーマ>倫理的な企業とはどのような企業か?

<講義のねらい>その時代や社会が基盤とする社会哲学によって倫理的な企業像は相違します。この講義では、代表的な社会哲学の概略を学ぶとともに、それぞれの社会哲学が示す「理想とする企業像」についてケースディスカッションを通じて学びます。また、それぞれの社会哲学が示すに「理想とする企業像」に内在する課題についても学びます。

<ディスカッション・ポイント>・倫理的な企業とはどのような企業か?・企業が倫理的である理由はどこに求められるか?

<参考文献等>髙巖(2013)『マネジメント・テキスト ビジネスエシックス[企業倫理]』、日本経済新聞出版社。

第 6 回 目

<講義テーマ>日本の伝統的倫理観と企業倫理(中世~江戸中期)

<講義のねらい>近江商人の三方よし・石田梅岩など、日本における商業業倫理の発達を俯瞰します。また事例研究を基に、これらの思想が現代企業に及ぼした影響について学習します。

<ディスカッション・ポイント>・日本の伝統的な商業倫理と欧米の商業倫理の共通点と相違点は何か?・日本の伝統的な職業倫理は、我が国の現代企業にどのような影響を及ぼしたか?

<参考文献等>島田燁子(1990)『日本人の職業倫理』、有斐閣。

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第 7 回 目

<講義テーマ>日本の伝統的倫理観と企業倫理(江戸後期~明治)

<講義のねらい>二宮尊徳・渋沢栄一など、日本における商業業倫理の発達を俯瞰します。また事例研究を基に、これらの思想が現代企業に及ぼした影響について学習します。

<ディスカッション・ポイント>・日本の伝統的な商業倫理と欧米の商業倫理の共通点と相違点は何か?・日本の伝統的な職業倫理は、我が国の現代企業にどのような影響を及ぼしたか?

<参考文献等>田中宏司、水尾順一、蟻生俊夫(2017)『二宮尊徳に学ぶ『報徳』の経営』、同友館。田中宏司、水尾順一、蟻生俊夫(2016)『渋沢栄一に学ぶ「論語と算盤」の経営』、同友館。

第 8 回 目

<講義テーマ>企業倫理と企業価値①(総論)

<講義のねらい>企業の倫理性と競争優位性の関係について、理論的なフレームワークから学びます。企業の社会性評価を試みた理論・実証研究の結果を俯瞰すること企業倫理の実践が実際に企業価値の向上に結び付くことを学習します。

<ディスカッション・ポイント>・企業倫理の実践は企業の競争優位性を構築するか?

<参考文献等>岡本大輔、梅津光弘(2006)『企業評価 +企業倫理―CSR へのアプローチ(慶應経営学叢書)』、慶應義塾大学出版会。

第 9 回 目

<講義テーマ>企業倫理と企業価値②(各論;不祥事編)

<講義のねらい>事例分析をもとに、企業の非倫理的行為が企業価値の損失をもたらすことを学びます。また、講義では企業事故研究や組織文化研究の理論や事例を基に企業の不祥事が生じるメカニズムについて学習します。

<ディスカッション・ポイント>・不祥事に至る企業の戦略的・組織的共通点はなにか?・事故・不祥事の調査報告書の意義と課題はなにか?

<参考文献等>岡本浩一、鎌田晶子、(2006)『属人思考の心理学―組織風土改善の社会技術(組織の社会技術3)』、新曜社。

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第 10 回 目

<講義テーマ>企業倫理と企業価値②(各論;不祥事編)

<講義のねらい>第6回に続き企業事故研究や組織文化研究の理論や事例を基に企業の不祥事が生じるメカニズムについて学習すると共に、不祥事防止のためのマネジメント手法や理論について学習します。

<ディスカッション・ポイント>・企業倫理活動の実践にもかかわらず、なぜ企業は不祥事に至ってしまうのか?

<参考文献等>

第 11 回 目

<講義テーマ>企業倫理と企業価値③(各論;産業事故編)

<講義のねらい>企業不祥事の代表的な例とされる産業事故について、その背景にある倫理的問題について学びます。また、現状の事故調査の分析手法の概要や課題について学びます。

<ディスカッション・ポイント>・事故と災害を分けるポイントはどこにあるか。

<参考文献等>

第 12 回 目

<講義テーマ>企業倫理と企業価値④(各論;CSR 編)

<講義のねらい>企業の社会的責任(CSR:corporate social responsibility)について基礎的な理論を学びます。また、ソーシャルイシューマネジメントの立場から、企業が自らの社会的責任を果たすために求められるマネジメントシステムについて学びます。

<ディスカッション・ポイント>・企業が対応すべき社会的責任の範囲はどこか?・企業が自らの社会的責任を果たすためには、どのようなマネジメントは求められるか?

<参考文献等>川村雅彦(2015)『CSR 経営パーフェクトガイド』、ウィズワークス。

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第 13 回 目

<講義テーマ>企業倫理と企業価値⑤(各論;CSR 編)

<講義のねらい>マクロデーターの分析や事例研究を基に日本企業の CSR活動の特性や内在する課題について学びます。また、アジアや欧州など海外諸国における CSR 活動の成立ちや活動の特性を学びます。また、日本企業の活動特性との国際比較を通じて、その相違について学びます。

<ディスカッション・ポイント>・我が国特有の CSR 活動の課題をもたらした要因はなにか?・我が国特有の CSR 活動の課題を克服するために、企業が行うべきことはなにか?

<参考文献等>

第 14 回 目

<講義テーマ>企業倫理と企業価値⑥(各論;CSR 編)

<講義のねらい>戦略的 CSR や CSV 経営等、近年は企業倫理の実践が企業価値と社会的価値(公益)の両方を向上させることが主張されています。講義ではこれらの主張が生まれた背景や概念の内容を学習するとともに、企業倫理の実践が企業価値と社会的価値(公益)の両方を向上させた事例を学びます。

<ディスカッション・ポイント>・自社の強みを CSR 活動に結び付けるために、企業が行うべきことはなにか?・戦略的 CSR 活動が企業に与えるメリットとデメリットは何か?

<参考文献等>水尾順一(2005)『CSR で経営力を高める』、東洋経済新報社。フリードヘルム・シュヴァルツ(著)、石原薫(訳)(2016)『知られざる競争優位~ネスレはなぜ CSVに挑戦するのか~』、ダイヤモンド社。

第 15 回 目

<講義テーマ>企業経営の変化と企業倫理①

<講義のねらい>グローバル化に伴って新たに顕在化した企業倫理の課題(原材料調達先での環境破壊、贈収賄文化の存在等)について学び、その実態と課題について学びます。

<ディスカッション・ポイント>・企業倫理活動の地域最適化の要請と世界共通化の要請を両立させるために、経営者はどのような 施策を行うべきか?

<参考文献等>デービッド・ボーゲル(著)、小松由紀子(訳)、村上美智子(訳)、田村勝省(訳)(2007)『企業の社会的責任(CSR)の徹底研究 利益の追求と美徳のバランス―その事例による検証』一灯舎。


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