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健康管理のための簡便な咀嚼回数計数装置の開発
松本歯科大学 総合歯科医学研究所
顎口腔機能制御学部門
教授 増田 裕次
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はじめに
咀嚼回数を測定することの意義
・よく噛むことで消化・吸収を助ける ・よく噛むことで美味しく味わって食べることができる。 ・咀嚼回数を定量化することで、食事の状況を知る。 ・咀嚼回数を定量化することで、よりよく噛む食事ができる。 ・咀嚼回数を増やす工夫をすることで、食事を意識できる。 ・健康な食生活管理を意識し、実践できる。
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下顎の上下運動をタッチセンサーでとらえて開口回数を測定するとともに、食事時間を測定
測定装置 「かみかみセンサー」(㈱日陶科学) 市販されている咀嚼回数測定装置
従来技術とその問題点
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従来技術とその問題点 既に市販されている、「カミカミセンサー」は 開口回数をカウントする。 しかし、 ・下顎が、毎回当たるように噛む必要がある。 ・タッチセンサーを耳にかけた治具に設置してるので、強く当たるとずれることが多い。
自由な咀嚼(特に成人)を行う、食事中の咀嚼回数を正確に、測定することは難しい
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新技術の特徴・従来技術との比較
• イヤホン型のセンサーを外耳道に挿入するだけなので、成人でも、簡便に、自由な咀嚼を長時間測定できる。
• 噛む運動のみを抽出し、咀嚼回数を計数できるので、正確である。
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気圧計と耳栓を組み合わせたセンサー (耳栓部の変形で生じる内腔の圧変化を記録)
①外耳道内センサー
外耳道内圧測定装置の概要
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センサー挿入時 ①外耳道内センサー
外耳道内圧測定装置の概要
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②自己相関関数
リズミカルな運動を抽出するために、2秒間を1ブロッ
クとした波形を用いた自己相関関数がピークとなる時間(τ)から判定する
咀嚼以外の運動でも外耳道内圧に変化が生じる
外耳道内圧測定装置の概要
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③咀嚼回数の計数
1.一定のピークが出現する リズム性の有無 2.-0.9<τpeak<-0.4 咀嚼リズムに相当
自己相関関数において
1/ -τpeakを加算して行き咀嚼回数とする
外耳道内圧測定装置の概要
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検証実験
被験者: 健常成人1名 記録: 左側外耳道内圧 左側咬筋筋電図 食品: ガム、カンパン 比較 咀嚼回数: 咬筋筋電図 波形分析ソフト(spike2)にて自動計測
外耳道内圧測定装置の概要
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・一定の咀嚼中には、本計数装置で得られた咀嚼回数は、咬筋筋電図からカウントした値と類似していた。 ・会話中には、本装置では誤った計数はなかった。 ・咀嚼以外の下顎の側方運動を伴う口腔運動で誤った計数が認められた。
検証実験結果:まとめ
外耳道内圧測定装置の概要
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想定される用途
• 本技術により、だれでも日々の食生活の中で、簡単に、咀嚼回数の計測が可能となる。
• 咀嚼回数を数値化できるので、健康な食生活の管理が、家庭で行うことができ、個人々々が健康を維持することに役立つ。
• 噛むことで食の楽しみが高まり、また、外食産業などで噛む食事作りの定量化ができる。
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実用化に向けた課題
• 現在、耳のセンサー部は耳栓を改良したものを用いて、咀嚼回数の計数が可能である。しかし、外耳孔の大きさが個人で異なるために、計数が困難な方もいる。
• 耳のセンサー部のサイズを数種類用意して、どのような体格の方にも適用したい。
• また、耳のセンサー部の形状を工夫し、環境音を聞きながら測定できるようにしたい。
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企業への期待
• 耳のセンサー部について、既存の技術を用いて、構造や材質に変更を加えることで、解決でき、センサー部を量産化できる企業。
• 健康維持に役立つ商品あるいは食品や外食産業のメニューに「噛む」という付加価値を与えたものを広く販売できる企業。
とのマッチングを希望
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本技術に関する知的財産権
• 発明の名称 :咀嚼回数識別計数表示装置出願番号 :特願2014-137387
登録番号 :特許5660556 • 出願人 :松本歯科大学 • 発明者 :増田 裕次
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産学連携の経歴 多方位口唇閉鎖力測定装置 • 2006年-現在 ㈱プロシードと共同研究実施 • 2014年 長野県 現場課題解決型医療・福祉機器開発支援事業補助事業に採択
咀嚼回数を計数する装置 • 2013年-2014年 JST A-STEP事業に採択 • 2014年-現在 ㈱イチカワと共同研究実施