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―租税特別措置法(所得税関係の土地税制関係)の改正――相続税法等の改正―

はじめに

平成19年8月のいわゆるサブプライム危機に端を発し、平成20年9月のリーマン・ブラザーズ・ショックを契機として世界の金融資本市場は100年に一度と言われる混乱に陥り、日本経済においても、外需面に加え国内内需も停滞し、景気の下降局面が長期化・深刻化するおそれが高まりました。こうした金融資本市場の混乱は、国内の不動産市場にも大きな影響を与え、主要都市における地価上昇地点が姿を消し、Jリートの取得物件数が急減するなど、土地市場の低迷が懸念されました。このような状況の中、平成20年10月にまとめられた「生活対策」(平成20年10月30日 新たな経済対策に関する政府・与党会議、経済対策閣僚会議合同会議)において、土地税制についても「各種土地税制の延長・拡充等」が明記されたところ

です。平成21年度改正では、このような低迷する土地市場の状況を踏まえ、土地需要を喚起し、土地の流動化と有効活用を推進する観点から、「平成21年及び平成22年に取得した土地等の長期譲渡所得の1,000万円特別控除制度」及び下記二の「平成21年及び平成22年に土地等の先行取得をした場合の譲渡所得の課税の特例」が創設されました。これらの課税の特例を適用することにより、平成21年と平成22年の2年間に土地等を取得した場合に、将来の譲渡益課税の軽減若しくは繰延べが行われることとなります。この他、適用期限を迎える各般の土地税制に係る特例措置については、それぞれの適用状況等を踏まえ、所要の見直しを加えた上でその適用期限の延長が行われました。

租税特別措置法(所得税関係の土地税制関係)の改正目    次

一� 平成21年及び平成22年に取得した土地�等の長期譲渡所得の1,000万円特別控除制�度の創設………………………………………99二� 平成21年及び平成22年に土地等の先行�取得をした場合の譲渡所得の課税の特例�の創設……………………………………… 103三� 優良住宅地の造成等のために土地等を�譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特�例の改正…………………………………… 106四� 特定の事業用資産の買換え等の場合の�譲渡所得の課税の特例の改正…………… 108五� 収用等に伴い代替資産を取得した場合�の課税の特例の改正……………………… 109

六� 特定土地区画整理事業等のために土地�等を譲渡した場合の2,000万円特別控除の�改正………………………………………… 112七� 特定住宅地造成事業等のために土地等�を譲渡した場合の1,500万円特別控除の改�正…………………………………………… 113八� 農地保有の合理化等のために農地等を�譲渡した場合の800万円特別控除の改正�… 119九� 認定事業用地適正化計画の事業用地の�区域内にある土地等の交換等の場合の譲�渡所得の課税の特例の改正……………… 121十� 土地等の譲渡等に係る事業所得等の課�税の特例の改正…………………………… 121

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―租税特別措置法(所得税関係の土地税制関係)の改正―

1 制度の内容

⑴ 制度の概要

個人が、平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に取得(特別の関係がある者からの取得、相続等によるもの等一定のものを除きます。以下同じです。)をした国内にある土地又は土地の上に存する権利(以下「土地等」といいます。)で、その年1月1日において所有期間が5年を超えるものの譲渡をした場合には、その年中のその譲渡に係る長期譲渡所得の金額から1,000万円(その長期譲渡所得の金額が1,000万円に満たない場合には、その長期譲渡所得の金額)を控除することとされました(措法35の2①)。ただし、この特例は、所得税法第58条、措置法第31条の2、第33条から第33条の4まで、第34条から第35条まで、第36条の2、第36条の5、第37条、第37条の4から第37条の7まで及び第37条の9の2から第37条の9の5までの規定とは選択適用とされています(措法35の2①②等)。(注)� この特例の対象となる「譲渡」には、借地

権の設定などの譲渡所得の基因となる不動産

の貸付けを含むものとされています(措法35

の2②)。

⑵ 特例の対象となる譲渡資産

この特例の対象となる譲渡資産は、平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に取得をした国内にある土地又は土地の上に存する権利で、その譲渡の日の属する年の1月1日において所有期間が5年を超えるものに限られます。また、土地又は土地の上に存する権利であっても、棚卸資産に該当するものは除かれます(措法35の2①)。なお、土地需要を喚起するという本特例の創

設趣旨を踏まえて、次に掲げる取得は、この特例の対象となる「取得」の範囲から除かれています(措法35の2①、措令23の2①②)。① その個人の配偶者その他のその個人と特別の関係がある者からの取得(注)� 上記の「その個人と特別の関係がある者」

とは、次に掲げる者をいいます(措令23の

2①)。

イ� その個人の配偶者及び直系血族(父母、

孫等)

ロ� その個人と生計を一にしている親族(イ

に掲げる者を除きます。)

ハ� その個人と婚姻の届出をしていないが

事実上婚姻関係と同様の事情にある者及

びその者の親族でその者と生計を一にし

ているもの

ニ� その個人から受ける金銭等によって生

計を維持しているもの(使用人を除きま

す。)及びその者の親族でその者と生計を

一にしているもの(イからハまでに該当

する者を除きます。)

ホ� その個人、その個人のイ及びロに該当

する親族、その個人の使用人若しくはそ

の使用人の親族でその使用人と生計を一

にしているもの又はハ及びニに該当する

者を判定の基礎となる株主又は社員とし

た場合に同族会社となる会社その他の法

② 相続、遺贈、贈与及び交換によるもの、代物弁済としての取得並びに所有権移転外リース取引による取得(注)� 例えば、平成21年1月1日から平成22年

12月31日までの間に土地等を取得した個人

から相続、遺贈及び贈与により取得した土

地等を譲渡した場合には、この特例の対象

となりません。

一 平成21年及び平成22年に取得した土地等の長期譲渡所得の1,000万円特別控除制度の創設             

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―租税特別措置法(所得税関係の土地税制関係)の改正―

⑶ 他の課税の特例との適用関係

① この特例の対象となる「譲渡」には、固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例(所法58)の規定又は収用交換等の場合の5,000万円特別控除(措法33の4)、特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の2,000万円特別控除(措法34)、特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除(措法34の2)、農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合の800万円特別控除(措法34の3)若しくは居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除(措法35)の規定の適用を受ける譲渡は含まれないものとされています(措法35の2②)。したがって、これらの課税の特例と1,000万円特別控除との重複適用はできません。② 譲渡した土地等がこの1,000万円特別控除の適用対象となる土地等に該当する場合において、その譲渡所得について収用交換等の場合の5,000万円特別控除(措法33の4)、特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の2,000万円特別控除(措法34)、特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除(措法34の2)、農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合の800万円特別控除(措法34の3)又は居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除(措法35)の適用を受ける場合であっても、その年中に、他に1,000万円特別控除の適用対象となる土地等の譲渡があるときは、当該他の土地等については1,000万円特別控除の適用を受けることができます。③ その年中に譲渡した1,000万円特別控除の対象となる土地等の全部又は一部につき、次に掲げる課税の特例の適用を受ける場合には、この1,000万円特別控除の特例の適用を受けることはできないこととされています(措法35の2①)。すなわち、その年中に1,000万円特別控除の適用対象となる土地等を2以上譲渡した場合については、一方の土地等につい

てこの1,000万円特別控除の適用を受け、当該土地等以外の土地等について次に掲げる課税の特例の適用を受けることはできません。イ 収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例(措法33)ロ 交換処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例(措法33の2)ハ 換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例(措法33の3)ニ 特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法36の2)ホ 特定の居住用財産を交換した場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法36の5)ヘ 特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例(措法37)ト 特定の事業用資産を交換した場合の譲渡所得の課税の特例(措法37の4)チ 大規模な住宅地等造成事業の施行区域内にある土地等の造成のための交換等の場合の譲渡所得の課税の特例(措法37の7)リ 認定事業用地適正化計画の事業用地の区域内にある土地等の交換等の場合の譲渡所得の課税の特例(措法37の9の2)ヌ 承継業務の事業計画の施行区域内にある土地等の交換の場合の譲渡所得の課税の特例(措法37の9の3)ル 特定普通財産とその隣接する土地等の交換の場合の譲渡所得の課税の特例(措法37の9の4)

(注)� その年中に、例えば特定の事業用資産の

買換えの場合の譲渡所得の課税の特例(措

法37)の適用対象となる譲渡資産を2以上

譲渡した場合において、当該譲渡した資産

のうちにこの1,000万円特別控除の適用を受

けことができる土地等があり、当該土地等

について1,000万円特別控除の適用を受ける

ときは、1,000万円特別控除の適用対象とな

る土地等以外の土地等についてのみ買換え

の特例の適用を受けることができることに

なります。

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―租税特別措置法(所得税関係の土地税制関係)の改正―

④ その個人の有する土地等につきこの1,000万円特別控除の適用を受けるときは、その土地等の譲渡は、優良住宅地等のための譲渡又は確定優良住宅地等予定地のための譲渡に該当しないものとみなすこととされており、1,000万円特別控除と優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の軽減税率の特例(措法31の2)とを重複して適用を受けることはできないこととされています(措法31の2④)。⑤ 大規模な住宅地等造成事業の施行区域内にある土地等の造成のための交換等の場合の譲渡所得の課税の特例(措法37の7)の適用対象となる住宅地等造成事業の用に供するための土地等の譲渡については、この1,000万円特別控除の適用対象となる土地等の譲渡にも該当する場合があることから、同一の住宅地等造成事業の用に供するために、2以上の年にわたり土地等の交換又は譲渡があった場合又は同一年中に2以上の土地等の譲渡があった場合における1,000万円特別控除との適用関係については、次のようにされています。イ 同一の者が、この交換等の特例の対象となる交換又は譲渡をした日の属する年の前年以前において、その交換又は譲渡に係る一団の宅地造成事業の用地として土地等を譲渡し、既に1,000万円特別控除の適用を受けたことがある場合には、この交換等の特例は適用しないこととされています(措法37の7③)。ロ この交換等の特例の適用を受けた個人は、その交換又は譲渡をした日の属する年の翌年以後において、その交換又は譲渡に係る一団の宅地造成事業の用地として、その造成業者に対して土地等を譲渡しても、1,000万円特別控除の特例は適用しないこととされています(措法37の7⑥)。ハ 同一の者が、同一年中に、一団の宅地造成事業の事業用地として、同一の造成事業者に対し、2回以上にわたり土地等の譲

渡をした場合において、これらの譲渡の一部について1,000万円特別控除の適用を受けるときは、その年中のその事業用地として譲渡をした他の土地等の譲渡については、この交換等の特例は適用しないこととされています(措令25の6⑩)。

(注)� また、認定事業用地適正化計画の事業用

地の区域内にある土地等の交換等の場合の

譲渡所得の課税の特例(措法37の9の2)

についても、上記と同様、その交換等の特

例の適用対象となる所有隣接土地等の譲渡

については、この1,000万円特別控除の適用

対象となる土地等の譲渡にも該当する場合

があることから、2以上の年にわたり所有

隣接土地等の交換又は譲渡があった場合又

は同一年中に2以上の所有隣接土地等の譲

渡があった場合における1,000万円特別控除

との適用関係については、上記イからハま

でと同様、重複適用はできないこととされ

ています(措法37の9の2③④、措令25の

7の2⑧)。

⑥ 譲渡所得の特別控除額には、資産の譲渡の態様に応じて、今回創設された1,000万円特別控除を含め、次の6種類がありますが、譲渡所得の特別控除の限度額については、その年中の資産の譲渡について、次に掲げる特別控除のうち2以上の適用を受けることにより、特別控除額の合計額が5,000万円を超えることとなるときは、通じて5,000万円で頭打ちとされています(措法36)。イ 収用交換等の場合の5,000万円特別控除(措法33の4)ロ 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除(措法35)ハ 特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の2,000万円特別控除(措法34)ニ 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除(措法34の2)

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ホ 平成21年及び平成22年に取得した土地等の長期譲渡所得の1,000万円特別控除(措法35の2)ヘ 農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合の800万円特別控除(措法34の3)また、上記の頭打ち限度額の適用順序については、その年中に、収用等による譲渡の所得で5,000万円特別控除の対象となるものがあるときは、まず、その5,000万円特別控除のグループの特別控除を適用することとされています。次に、収用等による譲渡の5,000万円特別控除の適用がない場合、あるいは5,000万円特別控除の適用はあるが、収用等のグループの譲渡益が5,000万円に満たないため、5,000万円の全額の控除ができず控除不足額がある場合には、5,000万円又はその控除不足額の範囲内で、順次、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除、特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の2,000万円特別控除、特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除、平成21年及び平成22年に取得した土地等の長期譲渡所得の1,000万円特別控除、農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合の800万円特別控除を適用することとされています(措令24)。

⑷ 特別控除額の控除の方法

この1,000万円特別控除は、その年中に、平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に取得をした国内にある土地等で、その譲渡の日の属する年の1月1日において所有期間が5年を超えるものを譲渡した場合のそのすべての土地等に対する長期譲渡所得の金額からあわせて1,000万円を限度として控除するものです。この場合、当該譲渡したすべての土地等の

長期譲渡所得の金額の合計額が1,000万円に満たないときには、この特別控除額はその長期譲渡所得の金額の合計額に相当する金額となります(措法35の2①)。

⑸ 申告要件等

この1,000万円特別控除の特例は、その適用を受けようとする年分の確定申告書に、この特例の適用を受けようとする旨の記載があり、かつ、この特例の対象となる土地等に該当する旨を証する書類として、当該土地等に係る登記事項証明書、売買契約書の写しその他の書類で、当該土地等が平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に取得をされたものであることを明らかにする書類の添付がある場合に限り適用することとされています(措法35の2③、措規18の3)。(注)� この1,000万円特別控除の特例についても、

他の特別控除の特例と同様、確定申告書の提

出がなかった場合又は特例の適用を受ける旨

の記載若しくはこの特例の対象となる土地等

に該当する旨を証する書類の添付がない確定

申告書が提出された場合においても、税務署

長は、その提出又は記載若しくは添付がなか

ったことについてやむを得ない事情があると

認めるときは、その記載をした書類及びこの

特例の対象となる土地等に該当する旨を証す

る書類の提出があった場合に限り、この特例

の適用を受けることができることとされてい

ます(措法35の2④)。

2 適用関係

上記の制度は、平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に国内にある土地等を取得し、その年の1月1日において所有期間が5年を超えるものの譲渡をした場合について適用されます(措法35の2①)。

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1 制度の内容

⑴ 制度の概要

不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務を行う個人(以下「個人事業者」といいます。)が、平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に、国内にある土地等の取得をし、かつ、その取得をした日の属する年の翌年3月15日までにその取得をした土地等(以下「先行取得土地等」といいます。)につきこの特例の適用に係るものである旨その他一定の事項を記載した届出書を納税地の所轄税務署長に提出した場合において、その取得をした日の属する年の12月31日後10年以内に、その個人の所有する他の土地等(事業の用に供しているものに限ります。以下「事業用土地等」といいます。)の譲渡をしたときは、その事業用土地等に係る利益金額からその利益金額の100分の80に相当する金額(以下「繰延利益金額」といいます。)を控除した金額に相当する金額をその事業用土地等のその譲渡による譲渡所得の金額とする課税の繰延べの特例が創設されました(措法37の9の5①)。

⑵ 個人事業者による先行取得土地等の取得

個人事業者は、平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に取得した国内にある土地等についてこの課税の特例の適用を受けようとする場合には、その取得をした日の属する年の翌年3月15日までに、その取得をした先行取得土地等につきこの特例の適用に係るものである旨その他一定の事項を記載した届出書を納税地の所轄税務署長に提出することとされました(措法37の9の5①)。(注1)� 対象となる「国内にある土地等」とは、

国内にある土地又は土地の上に存する権利

をいい、棚卸資産及び雑所得の基因となる

土地又は土地の上に存する権利は除かれま

す(措法37の9の5①、措令25の7の5①)。

(注2)� 土地需要を喚起するという制度創設の趣

旨を踏まえ、対象となる「取得」の範囲から、

その個人の配偶者その他の個人と特別の関

係がある者からの取得、相続、遺贈、贈与

及び交換によるもの、所有権移転外リース

取引によるもの並びに代物弁済としての取

得は除かれています(措法37の9の5①、

措令25の7の5③)。なお、「その個人と特

別の関係がある者」とは、次に掲げる者を

いいます(措令25の7の5②)。

イ� その個人の配偶者及び直系血族(父母、

孫等)

ロ� その個人と生計を一にしている親族(イ

に掲げる者を除きます。)

ハ� その個人と婚姻の届出をしていないが

事実上婚姻関係と同様の事情にある者及

びその者の親族でその者と生計を一にし

ているもの

ニ� その個人から受ける金銭等によって生

計を維持しているもの(使用人を除きま

す。)及びその者の親族でその者と生計を

一にしているもの(イからハまでに該当

する者を除きます。)

ホ� その個人、その個人のイ及びロに該当

する親族、その個人の使用人若しくはそ

の使用人の親族でその使用人と生計を一

にしているもの又はハ及びニに該当する

者を判定の基礎となる株主又は社員とし

た場合に同族会社となる会社その他の法

(注3)� 先行取得土地等を取得した個人事業者が

提出すべき届出書に記載すべき事項は、次

の事項とされています(措法37の9の5①、

二 平成21年及び平成22年に土地等の先行取得をした場合の譲渡所得の課税の特例の創設               

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措規18の8の5①)。

イ� 先行取得土地等につきこの特例の適用

を受けようとする旨

ロ� 届出書の提出者の氏名及び住所

ハ� 届出書の提出者が取得をした先行取得

土地等の種類、面積、所在地、取得年月

日及び取得に要した金額

ニ� 届出書の提出者の行う不動産所得、事

業所得又は山林所得を生ずべき業務の内

ホ� その他参考となるべき事項

⑶ 個人事業者の事業用土地等の譲渡

① 先行取得土地等の取得をした個人事業者が、その取得をした日の属する年の12月31日後10年以内に、その者が所有する他の事業用土地等の譲渡をした場合には、その事業用土地等に係る利益金額から繰延利益金額を控除した金額相当額をもって、その事業用土地等の譲渡による譲渡所得の金額とすることとされました(措法37の9の5①)。(注)� 事業用土地等の譲渡について、所得税法

第58条、租税特別措置法第31条の2、第31

条の3、第33条から第33条の4まで、第34

条から第35条の2まで、第36条の2、第36

条の5、第37条、第37条の4から第37条の

7まで及び第37条の9の2から第37条の9

の4までの規定の適用を受ける場合には、

本課税の特例は適用できないこととされま

した(措法37の9の5①、措令25の7の5④)。

② 事業用土地等の譲渡による譲渡所得金額の計算式は、次のとおりです。

事業用土地等の譲渡による譲渡所得金額

= 事業用土地等に係る利益金額 − 繰延利

益金額

③ 上記の「事業用土地等に係る利益金額」とは、その事業用土地等の譲渡による収入金額からその事業用土地等の取得価額(その譲渡に要した費用の額がある場合には、その費用の額を加算した金額)を控除した残額をいい、

その譲渡をした日の属する年中に2以上の事業用土地等の譲渡が行われた場合には、これらの事業用土地等に係るその残額の合計額とされています(措法37の9の5①)。

④ 事業用土地等に係る利益金額から控除される「繰延利益金額」は、次のイ又はロにより計算されます。この場合において、計算された利益金額の80%(60%)相当額が、その譲渡をした日の属する年の対象先行取得土地等の取得価額の合計額を超える場合には、その合計額に相当する金額とされます(措法37の9の5①)。イ 対象先行取得土地等について下記ロ以外の場合……事業用土地等に係る利益金額の80%相当額ロ 対象先行取得土地等が平成22年1月1日から同年12月31日までの間に取得をされたもののみである場合……事業用土地等に係る利益金額の60%相当額

(注)� 上記イ又はロの「対象先行取得土地等」

とは、その譲渡をした日の属する年の前年

以前において他の事業用土地等の譲渡につ

きこの課税の特例の適用を受けた者が、そ

の適用を受けた結果、その取得価額が圧縮

されて零となったもの以外の先行取得土地

等で、その年の12月31日(その者が死亡し

た日の属する年にあっては、その死亡の日)

においてその個人が有するものをいいます。

⑤ 事業用土地等の譲渡をした年において、他の土地建物等の譲渡につき損失が生じている場合における繰延利益金額の計算の特例の規定が設けられました。事業用土地等の譲渡(利益金額がある場合の譲渡に限ります。以下「特定譲渡」といいます。)をした個人が、その特定譲渡をした日の属する年において、その事業用土地等の特定譲渡以外の土地建物等の譲渡をし、その譲渡による譲渡所得の金額の計算上損失の金額(以下「譲渡損失金額」といいます。)がある場合における繰延利益金額については、

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次のイ又はロのいずれか少ない金額(その金額が対象先行取得土地等の取得価額を超える場合には、その取得価額に相当する金額)とされます(措令25の7の5⑤)。イ 事業用土地等の利益金額の80%(60%)相当額ロ 事業用土地等の利益金額相当額から譲渡損失金額相当額を控除した金額この特例は、他の土地建物等の譲渡につき損失金額がある場合に、先に事業用土地等の利益金額についてこの課税の特例の適用を受けて圧縮してしまうと、結果的に利益金額から控除しきれない損失金額が残る場合があることから、この課税の特例を適用した結果として控除しきれない譲渡損失が残ることがないよう、繰延利益金額を調整するために設けられたものです。

⑷ 対象先行取得土地等の取得価額の再計算

この課税の特例は、事業用土地等の譲渡利益金額をその者の有する対象先行取得土地等の取得価額の範囲内で圧縮するとともに、その対象先行取得土地等の取得価額から、譲渡利益金額の圧縮額相当額を控除することで、課税の繰延べの効果を有しています。したがって、この課税の特例の適用を受けた者の有する対象先行取得土地等については、その適用を受けた年(以下「適用年」といいます。)後の対象先行取得土地等の取得価額は、適用年の取得価額からこの課税の特例の適用を受けた事業用土地等の繰延利益金額相当額を控除した残額とされました(措法37の9の5⑤)。また、この再計算された取得価額は、その対象先行取得土地等について譲渡又は一定の相続、遺贈若しくは贈与があった場合における譲渡所得の金額の計算の際にも、適用することとされました(措法37の9の5⑧)。(注1)� この場合において、対象先行取得土地等

が2以上ある場合には、先ず一の対象先行

取得土地等の取得価額全額を対象としてこ

の取得価額の再計算を行い、繰延利益金額

相当額がその対象先行取得土地等の取得価

額相当額よりも大きい場合(このときは、

先に再計算をする対象先行取得土地等の取

得価額は零になります。)には、その残額に

ついて、他の対象先行取得土地等の取得価

額を対象として取得価額の再計算を行いま

す(措法37の9の5⑤)。

(注2)� この特例の適用を受けようとする年において、平成21年中に取得した対象先行取得

土地等と平成22年中に取得した対象先行取

得土地等がある場合には、先ず、平成21年

中に取得した対象先行取得土地等から、そ

の取得価額の再計算を行うこととされまし

た(措法37の9の5⑥)。この場合、繰延利

益金額は事業用土地等の利益金額の80%相

当額となります。

(注3)� 対象先行取得土地等が他の課税繰延制度の適用を受けた土地等に該当する場合には、

その対象先行取得土地等の取得価額は、他

の課税繰延制度の規定により取得価額とさ

れる金額相当額とされます(措令25の7の

5⑧)。

(注4)� この取得価額の再計算の適用を受ける対象先行取得土地等については、租税特別措

置法第37条第3項(特定の事業用資産の買

換えの場合の譲渡所得の課税の特例)の取

得資産には該当しないこととされました(措

法37の9の5⑦)。

⑸ 適用を受けるための手続

事業用土地等の譲渡について、この課税の特例の適用を受けようとする者は、その譲渡をした日の属する年分の確定申告書に、この特例の適用を受けようとする旨の記載をし、あわせて、事業用土地等の譲渡による譲渡所得の金額、その事業用土地等の譲渡価額及び対象先行取得土地等の取得価額の明細書(以下「特例明細書」といいます。)を添付しなければならないこととされました(措法37の9の5②)。また、そ

─�105�─

―租税特別措置法(所得税関係の土地税制関係)の改正―

の確定申告書には、対象先行取得土地等に関する登記事項証明書、売買契約書の写しその他の書類で、対象先行取得土地等が平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に取得をされたものであることを明らかにする書類を添付しなければならないこととされました(措法37の9の5④、措令25の7の5⑥、措規18の8の5②)。なお、上記⑵のとおり、この課税の特例の適用を受けようとする場合には、先行取得土地等の取得をした日の属する年の翌年3月15日までに、その取得をした先行取得土地等につきこの特例の適用に係るものである旨その他一定の事項を記載した届出書を納税地の所轄税務署長に提出することとされています(措法37の9の5①)。(注1)� 税務署長は、先行取得土地等に係る届出

書の提出がなかった場合又は適用要件であ

る一定の事項の記載若しくは一定の書類の

添付がない確定申告書の提出があった場合

若しくは確定申告書の提出がなかった場合

においても、その提出又は記載若しくは添

付がなかったことについてやむを得ない事

情があると認めるときは、その届出書並び

にその記載をした書類及び特例明細書並び

に確定申告書の提出があった場合に限り、

この課税の特例を適用することができるこ

ととされました(措法37の9の5③)。

(注2)� 確定申告書を提出する者が、先行取得土地等に係る届出書に記載した氏名又は住所

の変更をした場合には、その者は、その届

出書に記載した氏名又は住所及び届出書を

提出した税務署の名称を記載した書類を確

定申告書に添付しなければならないことと

されました(措令25の7の5⑦、措規18の

8の5③)。

2 適用関係

上記の制度は、個人が平成21年1月1日以後に取得する先行取得土地等について適用されます(改正法附則29⑨)。

1 改正前の制度の概要

⑴ 個人が、昭和62年10月1日から平成20年12月31日までの間に、その年の1月1日において所有期間が5年を超える土地等の譲渡をした場合において、その譲渡が「優良住宅地等のための譲渡」に該当するときは、その「優良住宅地等のための譲渡」による譲渡所得については、一般の土地等の長期譲渡所得に対する課税(課税長期譲渡所得金額に対し一律15%(住民税を含めた税負担は20%))に代えて、課税長期譲渡所得金額2,000万円以下の部分は10%、課税長期譲渡所得金額2,000万円超の部分は15%の2段階の税率により所得税を課することとされています(旧措法31の2①)。

⑵ この具体的な所得税額の計算方法は、次の算式のとおりです。① 課税長期譲渡所得金額が2,000万円以下の場合

課税長期譲渡所得金額 × 10%

② 課税長期譲渡所得金額が2,000万円を超える場合

200万円 +(課税長期譲渡所得金額2,000万円− )× 15%

(注)� 住民税を含めた税負担は、課税長期譲渡所

得金額が2,000万円以下の部分は14%(うち住

民税4%)、2,000万円超の部分は20%(うち住

民税5%)となります。

三 優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の改正               

─�106�─

―租税特別措置法(所得税関係の土地税制関係)の改正―

⑶ この軽減税率の特例の適用対象とされる「優良住宅地等のための譲渡」とは、次に掲げる土地等の譲渡で一定の証明がされたものをいうこととされていました(旧措法31の2②)。① 国又は地方公共団体に対する土地等の譲渡② 国・地方公共団体に準ずる法人(地方道路公社等)が行う土地収用法等に基づく収用の対償に充てられる土地等の譲渡③ 独立行政法人都市再生機構、土地開発公社等の行う住宅建設又は宅地造成の用に供するための土地等の譲渡④ 収用交換等による土地等の譲渡⑤ 第一種市街地再開発事業の施行者に対する土地等の譲渡⑥ 防災街区整備事業の施行者に対する土地等の譲渡⑦ 防災再開発促進地区の区域内における認定建替計画に従って建築物の建替えの事業を行う認定事業者に対する土地等の譲渡⑧ 都市再生特別措置法による都市再生事業計画の認定を受けた一定の要件を満たす都市再生事業の認定事業者に対する土地等の譲渡⑨ 都市再生特別措置法による都市再生整備事業計画の認定を受けた一定の要件を満たす都市再生整備事業の認定整備事業者に対する土地等の譲渡⑩ マンションの建替えの円滑化等に関する法律の売渡し請求、買取り請求若しくは権利変換を希望しない旨の申出に基づくマンション建替事業の施行者に対する土地等の譲渡又は一定の要件を満たすマンション建替事業の施行者に対する隣接施行敷地に係る土地等の譲渡⑪ 優良な建築物の建築をする事業を行う者に対する土地等の譲渡⑫ 特定の民間再開発事業の施行者に対する土地等の譲渡⑬ 一団の宅地の造成を行う者に対する土地等の譲渡⑭ 大都市地域における優良宅地開発の促進に

関する緊急措置法の認定及び開発許可を受けて行われる複合的宅地開発事業の事業者に対する譲渡

⑮ 開発許可を受けて行う一団の住宅地造成の用に供するための土地等の譲渡

⑯ 都市計画区域内の宅地の造成で開発許可を要しない場合において、面積1,000㎡以上の一団の住宅地造成の用に供するための土地等の譲渡

⑰ 都市計画区域内において25戸以上の一団の住宅又は15戸以上若しくは1,000㎡以上の中高層耐火共同住宅の建設の用に供するための土地等の譲渡

⑱ 土地区画整理事業の施行地区内の土地等の譲渡で仮換地指定日から3年を経過する日の属する年中までに一定の住宅又は中高層耐火共同住宅の建設の用に供するための土地等の譲渡

⑷ 個人が、昭和62年10月1日から平成20年12月31日までの間に、その年1月1日において所有期間が5年を超える土地等の譲渡をした場合において、その譲渡が「確定優良住宅地等予定地のための譲渡」(その譲渡の日から一定期間内に上記⑶の⑬から⑱までに掲げる土地等の譲渡に該当することとなることが確実であると認められることにつき一定の証明がされた土地等の譲渡をいいます。)に該当するときにも、この軽減税率の特例の適用が認められています(旧措法31の2③)。

2 改正の内容

⑴ 適用期限の延長

今般の経済情勢も踏まえ、良好な環境を備えた住宅・宅地を整備する事業の迅速・円滑な推進に資する上記1⑶の「優良住宅地等のための譲渡」を引き続き促進する観点から、上記1⑴の優良住宅地等のための譲渡の特例の適用期限が平成25年12月31日まで5年延長されました(措法31の2①)。また、合わせて上記1⑷の「確定優良住宅地

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―租税特別措置法(所得税関係の土地税制関係)の改正―

等予定地のための譲渡の特例」についてもその適用期限が平成25年12月31日まで5年延長されました(措法31の2③)。

⑵ 適用対象の縮減

上記1⑶⑭の大都市地域における優良宅地開発の促進に関する緊急措置法の認定及び開発許可を受けて行われる複合的宅地開発事業の事業者に対する譲渡については、同法の認定期限が平成18年3月31日で終了して既に3年が経過

し、今後この特例の適用が見込まれないことから、上記1⑴の「優良住宅地等のための譲渡の特例」及び上記1⑷の「確定優良住宅地等予定地のための譲渡の特例」の適用対象から除外されました(旧措法31の2②十三、③)。

3 適用関係

上記2⑵の改正は、平成21年4月1日前に行った譲渡については、従前どおりとされています(改正法附則29①)。

1 改正前の制度の概要

⑴ 個人が昭和45年1月1日から平成23年12月31日(下記⑵⑯の買換えについては、平成10年1月1日から平成20年12月31日)までの間に、事業の用に供している特定の資産(譲渡資産)の譲渡をし、原則としてその年に一定の資産(買換資産)を取得して、その取得の日から1年以内に事業の用に供した場合又は供する見込みである場合には、次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に掲げる譲渡資産の譲渡があったものとして、取得価額の引継ぎによる課税の繰延べが認められるとともに、土地・建物等に係る長期譲渡所得又は短期譲渡所得の課税(船舶の場合にあっては、所得税法第33条の規定に基づく譲渡所得課税)を行うこととされています(旧措法37①)。① その譲渡資産の譲渡による収入金額が買換資産の取得価額以下である場合…その譲渡資産のうち収入金額の80%に相当する金額を超える金額に相当する部分② その譲渡資産の譲渡による収入金額が買換資産の取得価額を超える場合…その譲渡資産のうちその買換資産の取得価額の80%に相当する金額を超える金額に相当する部分また、①個人が昭和45年1月1日から平成23

年12月31日(下記⑵⑯の買換えについては、平成10年1月1日から平成20年12月31日)までの間に、事業の用に供している特定の資産(譲渡資産)の譲渡をし、その譲渡をした日の属する年の前年中に一定の資産(買換資産)の取得をし、かつ、その取得の日から1年以内にその取得をした資産を個人の事業の用に供した場合、②昭和45年1月1日から平成23年12月31日(下記⑵⑯の買換えについては、平成10年1月1日から平成20年12月31日)までの間に、事業の用に供している特定の資産(譲渡資産)の譲渡をした個人が、その譲渡をした日の属する年の翌年中に一定の資産(買換資産)の取得をする見込みであり、かつ、その取得の日から1年以内にその取得をした資産を個人の事業の用に供する見込みである場合についてもこの特例の適用があることとされています(旧措法37③④)。⑵ この特定の事業用資産の買換え等の場合の譲渡所得の課税の特例の対象となる買換えの態様として、次のものが定められています(旧措法37①の表)。① 既成市街地等(東京23区、大阪市、旧名古屋市などの地域をいいます。)の内から外への買換え

② 大気汚染規制区域の内から外へのばい煙発生施設の移転を伴う買換え

四 特定の事業用資産の買換え等の場合の譲渡所得の課税の特例の改正                        

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―租税特別措置法(所得税関係の土地税制関係)の改正―

③ 騒音規制地域の内から外への騒音発生施設の移転を伴う買換え④ 水質汚濁規制水域等の内から外への汚水排出施設の移転を伴う買換え⑤ 市街化区域又は既成市街地等の内から外への農林業用資産の買換え⑥ 飛行場の航空機騒音障害区域の内から外への買換え⑦ 誘致区域(誘致度の非常に高い地域)の外から内への買換え⑧ 農村地域工業等導入促進法による農村地域及び誘致区域の外から同法による工業等導入地区内への買換え⑨ 都市開発区域等及び誘致区域の外から都市開発区域等の内への買換え⑩ 土地等が土地の計画的かつ効率的な利用に資する施設の実施に伴って取得される場合の既成市街地等内での買換え⑪ 建物の高層化に伴う同一敷地上の権利の変換が行われる場合の買換え⑫ 既成市街地等内で都道府県知事が指定した特定整備区域内にある木造賃貸住宅から中高層貸家住宅への買換え

⑬ 農業振興地域の整備に関する法律に基づく協議、調停又はあっせん等による農業振興地域の農用地区域内にある土地等の買換え

⑭ 防災再開発促進地区内における防災街区整備事業に関する都市計画に基づく土地等の買換え

⑮ 防災再開発促進地区内における認定建替計画に基づく買換え

⑯ 長期所有の土地等、建物又は構築物(所有期間10年超のもの)から国内にある土地等、建物、構築物又は機械装置への買換え

⑰ 内航海運業用日本船舶から船舶以外の減価償却資産への買換え

⑱ 内航海運業用以外の日本船舶から日本船舶への買換え

2 改正の内容

長期所有土地等の買換えを引き続き促進する観点から、上記1⑵⑯の長期所有の土地等、建物又は構築物(所有期間10年超のもの)から国内にある土地等、建物、構築物又は機械装置への買換えの適用期限が平成23年12月31日まで3年延長されました(措法37①③④)。

1 改正前の制度の概要

⑴ 個人の有する資産(棚卸資産を除きます。)が、土地収用法その他の法律の規定によって収用権が認められている事業等のために収用等をされ、その補償金、対価又は清算金(以下「補償金等」といいます。)の額の全部又は一部に相当する金額をもって、その収用等により譲渡した資産と同種の資産その他これに代わるべき資産(以下「代替資産」といいます。)の取得(製作及び建設を含みます。)をしたときは、一定の要件の下で、収用交換等の場合の5,000万円特別控除(旧措法33の4)の適用との選択により、① その収用等により取得した補償金等の額

がその代替資産の取得価額以下であるときは、その譲渡した資産の譲渡がなかったものとし、

② その補償金等の額がその代替資産の取得価額を超えるときは、その譲渡した資産のうちその超える金額に相当する部分についてのみ譲渡があったものとして、

それぞれ譲渡所得の金額を計算することができることとされています(旧措法33①)。⑵ 代替資産を取得した場合の課税の特例が適用されるのは、個人の有する資産が、次に掲げる場合に該当し、それぞれの場合について定められた補償金等を取得したときとされています(旧措法33①③)。① 資産が土地収用法、都市計画法、都市再開

五 収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例の改正

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―租税特別措置法(所得税関係の土地税制関係)の改正―

発法その他の法律(以下「土地収用法等」といいます。)の規定に基づいて収用され補償金を取得する場合(一定の場合を除きます。)② 資産について買取りの申出を拒むときは土地収用法等の規定に基づいて収用されることとなる場合に、その資産が買取りの申出に応じて買い取られ、対価を取得するとき(一定の場合を除きます。)。③ 土地等について土地区画整理法による土地区画整理事業その他一定の事業が施行され、その土地等に係る換地処分によって清算金(一定のものを除きます。)を取得するとき。④ 資産につき都市再開発法による第一種市街地再開発事業が施行された場合において、その資産に係る権利変換により補償金(過小床のため施設建築物の一部等が与えられないように定められたことにより支払われるもの及びやむを得ない事情により権利変換を希望しない旨の申出をしたと認められる一定の場合に支払われるものに限ります。)を取得するとき(一定の場合を除きます。)。⑤ 資産につき密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律による防災街区整備事業が施行された場合において、その資産に係る権利変換により補償金(過小床のため防災施設建築物の一部等が与えられないように定められたこと又は過小床のため防災建築施設の部分が与えられないように定められたことにより支払われるもの及びやむを得ない事情により権利変換を希望しない旨の申出をしたと認められる一定の場合等に支払われるものに限ります。)を取得するとき(一定の場合を除きます。)。⑥ 土地等が都市計画法第52条の4第1項(同法第57条の5等において準用する場合を含みます。)又は第56条第1項の規定に基づいて買い取られ、対価を取得する場合⑦ 土地区画整理法による土地区画整理事業で減価補償金を交付すべきこととなるものが施行される場合において、公共施設用地に充て

るべきものとしてその事業の施行区域内の土地等が買い取られ、対価を取得するとき。

⑧ 国、地方公共団体等が、自ら居住するための住宅を必要とする者に対し賃貸し、又は譲渡する目的で行う50戸以上の一団地の住宅経営に係る事業の用に供するため土地等が買い取られ、対価を取得する場合

⑨ 土地等その他の資産が農地法の規定に基づいて買収され、対価を取得する場合

⑩ 資産が土地収用法等の規定により収用された場合(②の買取りがあった場合を含みます。)において、その資産に関して有する所有権以外の権利(借地権等)が消滅し、補償金又は対価を取得するとき(一定の場合を除きます。)。

⑪ 資産に関して有する権利で都市再開発法に規定する権利変換により新たな権利に変換をすることのないもの(地役権、工作物所有のための地上権等)が消滅したことにより補償金を取得する場合(一定の場合を除きます。)

⑫ 資産に関して有する権利で密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律に規定する権利変換により新たな権利に変換することのないものが消滅したことにより補償金を取得する場合

⑬ 国又は地方公共団体が行う公有水面の埋立て等に伴い、漁業権や入漁権等の権利の消滅又は価値の減少により、補償金又は対価を取得する場合

⑭ 国又は地方公共団体が、建築基準法、漁業法等の規定に基づき行う処分に伴う資産の買取りや消滅等によって、補償金又は対価を取得する場合

⑮ 土地等が土地収用法等の規定に基づき使用され補償金を取得する場合、又は土地等について使用の申出を拒むときは土地収用法等の規定に基づいて使用されることが確実であると認められる場合に契約によって土地等を使用させ対価を取得するとき(いずれもその土地等を使用させることが譲渡所得の基因とな

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―租税特別措置法(所得税関係の土地税制関係)の改正―

る不動産等の貸付けに該当する場合に限るものとし、一定の場合を除きます。)。⑯ 土地等が①から⑤まで又は⑮に該当することとなったため、その土地の上にある資産(建物等)が収用された場合や、取壊しや除去をしなければならなくなった場合等に、その資産の対価又はその資産の損失に対する補償金を取得するとき(一定の場合を除きます。)。

⑶ 個人の有する資産が上記⑵①から⑯までに該当する場合において、その者が補償金等の全部又は一部に相当する金額をもって、原則として収用等のあった年の翌年1月1日から収用等のあった日以後2年以内に代替資産を取得する見込みであるときにも、⑴の特例の適用を受けることができることとされています(措法33②、措規14④)。⑷ 土地等が収用等により譲渡された場合には、上記のとおり、代替資産を取得して取得価額の引継ぎによる課税の繰延べの適用を受けるか、又は5,000万円の特別控除の適用を受けるか、いずれかの選択適用とされていますが、この特例制度の適用を受けるためには、確定申告書に収用等の事由に該当して資産を譲渡したことを証する書類(収用等の証明書)を添付しなければならないこととされています(措法33⑤、措規14⑤)。この収用証明書は、原則的には、土地収用法等の規定に基づく収用事業としての認定(以下「事業認定」といいます。)を受けていることを証する書類とされていますが、道路法による道路や地方公共団体の設置する小学校等の用地などの一定の資産については、事業認定の確実性、地域の特定性あるいは事業の緊急性といった観点から、事業認定がなくても、その用地の買取

り(使用を含みます。)をする施行者の証明書があれば足りることとされています。これを一般に簡易証明制度と呼んでいます(措規14⑤三)。

2 改正の内容

今般、低炭素社会の実現のため新エネルギーとして風力及び太陽光の重要性が増し、「低炭素社会づくり行動計画」(平成20年7月29日閣議決定)において、ゼロ・エミッション電源の比率を50%以上に引き上げるため、太陽光発電については電気事業者によるメガソーラーの建設計画に対する支援を推進するとともに、風力発電については、陸上風力の導入支援を進めることとされています。よって、今後は電気事業者による大規模な風力発電施設及び太陽光発電施設の建設が行われ、それらを推進する必要があります。そこで、一般電気事業者が設置する大規模な風力発電施設及び太陽光発電施設のための事業用地の取得を円滑なものとするため、この特例における上記1⑷の簡易証明制度の対象となる事業(いわゆる特掲事業)に、電気事業法に規定する一般電気事業者が最大出力8,000kW以上の風力発電施設を設置する事業及び最大出力1,000kW以上の太陽光発電施設を設置する事業が追加されました(措規14⑤三イ)。なお、電気事業法に規定する一般電気事業者が設置する事業に限られていますが、これは、一般電気事業者には電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法による新エネルギー等の導入義務が課せられているためです。

3 適用関係

上記2の改正は、個人が平成21年4月1日以後に行う資産の譲渡について適用されます(改正措規附則6②)。

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―租税特別措置法(所得税関係の土地税制関係)の改正―

1 改正前の制度の概要

⑴ 個人の有する土地等が「特定土地区画整理事業等のために買い取られる場合」に該当することとなった場合には、譲渡所得の金額の計算上2,000万円の特別控除の適用が認められています(旧措法34①)。⑵ この特別控除の適用対象とされる「特定土地区画整理事業等のために買い取られる場合」とは、次の場合をいいます(旧措法34②)。① 国、地方公共団体、独立行政法人都市再生機構又は地方住宅供給公社が土地区画整理事業、住宅街区整備事業、第一種市街地再開発事業又は防災街区整備事業として行う公共施設の整備改善、宅地の造成、共同住宅の建設又は建築物及び建築敷地の整備に関する事業の用に供するために土地等がこれらの者に買い取られる場合② 第一種市街地再開発事業の事業予定地内の土地等が、都市計画法第56条第1項の規定に基づいて事業認可前に設立された市街地再開発組合に買い取られる場合③ 防災街区整備事業の事業予定地内の土地等が、都市計画法第56条第1項の規定に基づいて事業認可前に設立された防災街区整備事業組合に買い取られる場合④ 古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法や都市緑地法等に規定する買取請求に基づき地方公共団体等に土地等が買い取られる場合又は草地利用権に係る土地等が農地法に規定する裁定により買い取られる場合⑤ 重要文化財、史跡、名勝、天然記念物や国立公園及び国定公園の特別地域として指定された区域内の土地が国又は地方公共団体に買い取られる場合(当該重要文化財、史跡、名勝又は天然記念物として指定された土地が独

立行政法人国立博物館又は独立行政法人国立科学博物館に買い取られる場合を含みます。)

⑥ 保安林等として指定された区域内の土地等が保安施設事業のために国又は地方公共団体に買い取られる場合

⑦ 防災のための集団移転促進事業に係る国の財政上の特別措置等に関する法律に基づく集団移転促進事業計画に定められた移転促進区域内の農地等が同計画に基づき地方公共団体に買い取られる場合

2 改正の内容

我が国の食料及び農業をめぐる諸情勢の変化にかんがみ、国民に対する食料の安定供給を確保するため、農地について耕作者自らが所有することを最も適当としてきた制度を改め、将来にわたって国内の農業生産の基盤である農地の確保及びその有効利用が図られるよう、農地の転用に関する規制の強化、農地の権利移動についての許可基準の見直し、遊休農地の農業上の利用の増進を図るための措置の充実、農地の利用集積を円滑に実施するための事業の創設等の措置を講ずるための、農地法等の一部を改正する法律(平成21年法律第57号)が今通常国会(第171回国会)で成立しました。同法の中で農地制度の見直しが行われ、農地法に規定する草地利用権(養畜業者が共同して家畜の飼料用の牧草の栽培等を行うために設定された賃借権)制度が廃止されることに伴い、この特例の適用対象から、上記1⑵④の草地利用権に係る土地等が同法の裁定により買い取られる場合が所要の経過措置を講じた上、除外されました(旧措法34②三)。

3 適用関係

⑴ 上記2の改正は、土地等が農地法等の一部を

六 特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の2,000万円特別控除の改正               

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―租税特別措置法(所得税関係の土地税制関係)の改正―

改正する法律の施行の日前に農地法の裁定により買い取られた場合については、従前どおりとされています(改正法附則1五、29②)。⑵ ただし、農地法等の一部を改正する法律の施行の日以後に、同法附則第7条第2項の規定によりなお従前の例によることとされる同法による改正前の農地法(以下「旧農地法」といいま

す。)に規定する草地利用権に係る土地等が旧農地法の裁定により買い取られる場合には、その買い取られる場合を特定土地区画整理事業等のために買い取られる場合に該当するものとみなして、この特例の適用があるものとされています(改正法附則1五、29③、改正措規附則6③④)。

1 改正前の制度の概要

⑴ 個人の有する土地等が「特定住宅地造成事業等のために買い取られる場合」に該当することとなった場合には、譲渡所得の金額の計算上1,500万円の特別控除の適用が認められています(旧措法34の2①)。⑵ この特別控除の適用対象とされる「特定住宅地造成事業等のために買い取られる場合」には、次のようなものがあります(旧措法34の2②)。① 地方公共団体等が行う住宅建設又は宅地造成事業のために土地等が買い取られる場合② 収用の対償地に充てるために土地等が買い取られる場合③ 住宅地区改良法の改良住宅建設のため改良地区外の土地等が買い取られる場合④ 公営住宅法の公営住宅の買取りにより土地等が地方公共団体に買い取られる場合⑤ 平成6年1月1日から平成20年12月31日までの間に、特定の民間宅地造成事業等のために土地等が買い取られる場合⑥ 公有地の拡大の推進に関する法律第6条第1項の買取り協議に基づき地方公共団体等に土地等が買い取られる場合⑦ 特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法に規定する航空機騒音障害防止特別地区内にある土地が特定空港の設置者に同法第9条第2項の規定に基づき買い取られる場合

⑧ 地方公共団体が空港周辺整備計画に基づいて行う空港周辺の整備に関する事業のために土地等が買い取られる場合

⑨ 地方公共団体又は沿道整備推進機構が沿道整備道路の沿道の整備のために行う一定の事業の用に供するために沿道地区計画の区域内にある土地等がこれらの者に買い取られる場合

⑩ 地方公共団体又は防災街区整備推進機構が防災街区としての整備のために行う一定の事業の用に供するために特定防災街区整備地区又は防災街区整備地区計画の区域内にある土地等がこれらの者に買い取られる場合

⑪ 地方公共団体又は中心市街地整備推進機構が認定中心市街地の整備のために行う一定の事業の用に供するために認定中心市街地の区域内にある土地等がこれらの者に買い取られる場合

⑫ 地方公共団体又は景観整備機構が景観重要公共施設の整備に関する事業の用に供するために景観計画の区域内にある土地等がこれらの者に買い取られる場合

⑬ 地方公共団体又は都市再生整備推進法人が行う都市再生整備計画に記載された公共施設の整備に関する事業の用に供するために都市再生整備計画の区域内にある土地等がこれらの者に買い取られる場合

⑭ 地方公共団体又は歴史的風致維持向上支援

七 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除の改正                  

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―租税特別措置法(所得税関係の土地税制関係)の改正―

法人が行う認定重点区域における認定歴史的風致維持向上計画に記載された公共施設又は公用施設の整備に関する事業の用に供するために当該認定重点区域内にある土地等がこれらの者に買い取られる場合⑮ 地方公共団体又は国若しくは地方公共団体の出資に係る一定の法人が国又は都道府県が作成した総合的な地域開発に関する計画に基づいて行う工業用地等の造成事業のために土地等が買い取られる場合⑯ 中小小売商業振興法による認定を受けた高度化事業計画に基づく高度化事業の用に供するために事業協同組合等に土地等が買い取られる場合⑰ 中心市街地活性化法に規定する認定特定民間中心市街地活性化事業計画に基づく一定の中小小売商業高度化事業の用に供するために地方公共団体の出資に係る法人等に土地等が買い取られる場合⑱ 食品流通構造改善促進法による認定を受けた計画に基づく食品商業集積施設整備事業の用に供するために地方公共団体の出資に係る法人等に土地等が買い取られる場合⑲ 農業協同組合が行う宅地等供給事業で一定の要件を満たすもののために農地等が買い取られる場合⑳ 独立行政法人中小企業基盤整備機構の中小企業活性化資金の融資を受けて造成する商業団地で一定の要件を満たすもののために土地等が買い取られる場合� 産業廃棄物の処理に係る特定施設の整備の促進に関する法律による整備計画の認定を受けて行われる特定施設の整備事業のために地方公共団体の出資に係る法人等に土地等が買い取られる場合� 広域臨海環境整備センター法による基本計画の認可を受けて行う廃棄物の搬入施設の整備事業の用に供するために広域臨海環境整備センターに土地等が買い取られる場合

� 生産緑地地区内の土地が買取申出等に基づき地方公共団体等に買い取られる場合

� 国土利用計画法による規制区域内の土地等が地方公共団体等に買い取られる場合

� 国土利用計画法の土地利用基本計画に定められた学園都市計画等の地域の開発保全整備計画に係る事業のために地方公共団体等に土地等が買い取られる場合

� 土地区画整理促進区域等内の土地等が買取申出に基づき地方公共団体等に買い取られる場合

� 一定の土地区画整理事業による公営住宅等の用地のため又は拠点整備土地区画整理事業による公益的施設の用地に充てるための保留地とするために換地を取得しないで換地処分により土地等を譲渡した場合

� 土地区画整理事業の施行に伴い、一定の既存不適格建築物の敷地について換地を定めることが困難である場合に清算金を取得する場合

� マンション建替事業が施行された場合において、やむを得ない事情により、その土地等に係る権利変換により補償金を取得するとき又は売渡し請求若しくは買取り請求により買い取られたとき

� 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律による管理地区内の土地が国若しくは地方公共団体に買い取られる場合又は鳥獣保護区の特別保護地区内の土地のうち天然記念物である鳥獣の生息地等が国若しくは地方公共団体に買い取られる場合

� 都道府県立自然公園又は都道府県立自然環境保全地域の一定の特別地域又は特別地区内の土地が地方公共団体に買い取られる場合

� 農業経営基盤強化促進法第13条の2第2項の買取り協議に基づき農用地区域内にある農用地が農地保有合理化法人に買い取られる場合

─�114�─

―租税特別措置法(所得税関係の土地税制関係)の改正―

2 改正の内容

⑴ 適用期限の延長

昨今の民間の宅地造成事業等の状況等を踏まえ、上記1⑵⑤の特定の民間宅地造成事業のために土地等を譲渡した場合の適用期限が平成23年12月31日まで3年延長されました(措法34の2②三)。

⑵ 適用対象に商店街活性化事業又は商店街活性

化支援事業の用に供するために土地等を譲渡し

た場合の追加

近年の商店街を取り巻く厳しい状況を踏まえ、商店街の活性化を図るため、商店街への来訪者の増加を通じた中小小売商業者又は中小サービス業者の事業機会を増大させ、商店街振興組合等が行う地域住民の需要に応じた事業活動を促進する措置を講ずる「商店街の活性化のための地域住民の需要に応じた事業活動の促進に関する法律(以下「商店街活性化法」といいます。)」が今通常国会(第171回国会)で成立しました。商店街活性化法の制定に伴い、商店街振興組合等が行う地域住民の需要に応じた事業活動の促進を税制上も支援する観点から、この特例の適用対象に、商店街活性化法の認定商店街活性化事業計画に基づく商店街活性化事業又は認定商店街活性化支援事業計画に基づく商店街活性化支援事業の用に供するために土地等を譲渡した場合を加えることとされました(措法34の2②十三イ)。① 認定商店街活性化事業計画に基づく商店街活性化事業イ 認定商店街活性化事業計画

商店街活性化事業を行おうとする商店街振興組合等(商店街振興組合若しくは商店街振興組合連合会、事業協同組合、事業協同小組合若しくは協同組合連合会又は商店街組合若しくはこれを会員とする商工組合連合会をいいます。以下同じです。)

は、次のロの商店街活性化事業に関する計画(当該商店街振興組合等の組合員又は所属員の行う商店街活性化事業に関するものを含みます。以下「商店街活性化事業計画」といいます。)を作成し、これを経済産業大臣に提出して、その商店街活性化事業計画が適当である旨の認定を受けることができることとされています(商店街活性化法4①)。また、この認定を受けた認定商店街活性化事業者は、当該認定に係る商店街活性化事業計画を変更しようとするときは、経済産業大臣の認定を受けなければならないこととされています(商店街活性化法5①)。ロ 商店街活性化事業

商店街振興組合等が、その商店街振興組合等に係る商店街の区域及びその周辺の地域の住民の生活に関する需要に応じて行う商品の販売又は役務の提供、行事の実施等の事業であって、これらの事業を行うことにより当該商店街への来訪者の増加を通じて主として当該商店街振興組合等の組合員又は所属員である中小小売商業者又は中小サービス業者の事業機会の増大を図るものをいいます(商店街活性化法2②)。ハ 適用対象となる一定の商店街活性化事業

次の要件を満たす商店街活性化事業とされています(措令22の8⑳一イ、�)。イ� その事業が都市計画その他の土地利用に関する国又は地方公共団体の計画に適合して行われるものであることロ� その事業により顧客その他の地域住民の利便の増進を図るための施設が設置されることハ� その事業の区域の面積が1,000㎡以上であることニ� その事業に係る認定商店街活性化事業計画が、経済産業大臣が財務大臣と協議して定める基準に適合するものであり、その認定商店街活性化事業計画に従って

─�115�─

―租税特別措置法(所得税関係の土地税制関係)の改正―

事業が実施されていることホ� その他の要件(注)� 上記ニの基準及び上記ホの要件は、

商店街活性化法の制定にあわせて今後

定められる予定です。

ニ 適用対象となる譲渡を受ける法人認定商店街活性化事業計画に係る商店街活性化法に規定する認定商店街活性化事業者である法人で、中小企業等協同組合法に規定する特定共済組合及び特定共済組合連合会以外のものとされています(措令22の8�一イ)。

② 認定商店街活性化支援事業計画に基づく商店街活性化支援事業イ 認定商店街活性化支援事業計画

一般社団法人若しくは一般財団法人(一般社団法人にあってはその社員総会における議決権の2分の1以上を中小企業者が有しているもの、一般財団法人にあっては設立に際して拠出された財産の価額の2分の1以上が中小企業者により拠出されているものに限ります。)又は特定非営利活動法人(その社員総会における表決権の2分の1以上を中小企業者が有しているものに限ります。)は、商店街活性化支援事業に関する計画(以下「商店街活性化支援事業計画」といいます。)を作成し、これを経済産業大臣に提出して、その商店街活性化支援事業計画が適当である旨の認定を受けることができることとされています(商店街活性化法6①)。この認定を受けた認定商店街活性化支援事業者は、当該認定に係る商店街活性化支援事業計画を変更しようとするときは、経済産業大臣の認定を受けなければならないこととされています(商店街活性化法7①)。ロ 商店街活性化支援事業

商店街振興組合等に対する商店街活性化事業に関する計画の作成に必要な情報の提供及びこれと併せて行う当該商店街振興組

合等の組合員若しくは所属員に対する研修、商店街活性化事業を行う者の求めに応じて行う当該商店街活性化事業の実施についての指導又は助言その他の取組により、商店街活性化事業の円滑な実施を支援する事業をいいます(商店街活性化法2③)。ハ 適用対象となる一定の商店街活性化支援事業次の要件を満たす商店街活性化支援事業とされています(措令22の8⑳一ロ、�)。イ� その事業が都市計画その他の土地利用に関する国又は地方公共団体の計画に適合して行われるものであることロ� その事業を行う施設(その建築面積が150㎡以上であるものに限ります。)が設置されることハ� その事業区域の面積が300㎡以上であることニ� その事業に係る認定商店街活性化支援事業計画が、経済産業大臣が財務大臣と協議して定める基準に適合するものであり、その認定商店街活性化支援事業計画に従って事業が実施されていることホ� その他の要件(注)� 上記ニの基準及び上記ホの要件は、

商店街活性化法の制定にあわせて今後

定められる予定です。

ニ 適用対象となる譲渡を受ける法人認定商店街活性化支援事業計画に係る商店街活性化法に規定する認定商店街活性化支援事業者である法人(商店街活性化法に規定する一般社団法人又は一般財団法人であって、その定款において、その法人が解散した場合にその残余財産が地方公共団体又はその法人と類似の目的をもつ他の公益を目的とする事業を行う法人に帰属する旨の定めがあるもののうち、次の要件のいずれかを満たすものに限ります。)とされています(措令22の8�一ロ)。イ� その社員総会における議決権の総数の

─�116�─

―租税特別措置法(所得税関係の土地税制関係)の改正―

3分の1を超える数が地方公共団体により保有されている公益社団法人であることロ� その社員総会における議決権の総数の4分の1以上の数が一の地方公共団体により保有されている公益社団法人であることハ� その拠出をされた金額の3分の1を超える金額が地方公共団体により拠出をされている公益財団法人であることニ� その拠出をされた金額の4分の1以上の金額が一の地方公共団体により拠出をされている公益財団法人であること

(注)� 一般社団法人及び一般財団法人に関す

る法律及び公益社団法人及び公益財団法

人の認定等に関する法律の施行に伴う関

係法律の整備等に関する法律(以下「整

備法」といいます。)第38条の規定による

改正前の民法第34条の規定により設立さ

れた法人であって、整備法第40条第1項

の規定により一般社団法人又は一般財団

法人として存続するもののうち、整備法

第106条第1項(整備法第121条第1項に

おいて読み替えて準用する場合を含みま

す。)の登記をしていないもの(整備法第

131条第1項の規定により整備法第45条の

認可を取り消されたものを除きます。下

記⑷及び下記八の農地保有の合理化等の

ために農地等を譲渡した場合の800万円特

別控除制度の改正の2⑴において「特例

民法法人」といいます。)は、上記(イ)

から(ニ)までの公益社団法人又は公益

財団法人とみなすこととされています(改

正措令附則10⑤)。

⑶ 適用対象から高度化事業の用に供するために

事業協同組合等に土地等が買い取られる場合を

除外

上記⑵で述べたとおり商店街活性化法の制定に伴い、中小小売事業者への支援を上記⑵の商

店街の活性化に集中させるため、この特例の適用対象から、上記1⑵⑯中小小売商業振興法による認定を受けた高度化事業計画に基づく高度化事業の用に供するために事業協同組合等に土地等が買い取られる場合が所要の経過措置を講じた上、除外することとされました(旧措法34の2②十三イ)。

⑷ 適用対象に農業経営基盤強化促進法の協議に

基づいて農地利用集積円滑化団体に買い取られ

る場合を追加

上記六の「特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の2,000万円特別控除の改正」の2のとおり、農地法等の一部を改正する法律(平成21年法律第57号)が今通常国会(第171回国会)で成立しました。同法の中で農業経営基盤強化促進法の一部改

正も行われ、農地を面的に集積することで、より効率的に利用できるようにするため、市町村、市町村公社、農業協同組合等が、農地の所有者の委任を受けて、その者を代理して農地の貸付け等を行うこと等を内容とする農地利用集積円滑化事業を創設することとされ、農地利用集積円滑化団体が当該農地利用集積円滑化事業を行う法人として位置づけられました。税制においても農地利用の集積を支援する観点から、この課税の特例の適用対象に、農業経営基盤強化促進法に規定する農用地で農業振興地域の整備に関する法律に規定する農用地区域内にあるものが、農業経営基盤強化促進法の協議に基づいて、農地利用集積円滑化団体に買い取られる場合を加えることとされました(措法34の2②二十五)。① 農地利用集積円滑化団体

市町村、農業協同組合、一般社団法人若しくは一般財団法人又はこれらの者以外の者で営利を目的としない法人で一定のもの(市町村を除きます。)は、農地利用集積円滑化事業の全部又は一部を行おうとするときは、農地利用集積円滑化事業規程を定め、同意市町

─�117�─

―租税特別措置法(所得税関係の土地税制関係)の改正―

村の承認を受けることとされており、その承認を受けた者又は農地利用集積円滑化事業規程を定めた同意市町村を農用地利用集積円滑化団体ということとされています(農業経営基盤強化促進法4③、11の9①、11の12)。② 農地利用集積円滑化事業

効率的かつ安定的な農業経営を営む者に対する農用地の利用の集積の円滑化を図るため、次の者が行う次の事業とされています。イ 市町村、農業協同組合又は一般社団法人若しくは一般財団法人 次に掲げる事業イ� 農用地等の所有者の委任を受けて、その者を代理して農用地等について売渡し、貸付け又は農業の経営若しくは農作業の委託を行う事業(当該委任に係る農用地等の保全のための管理を行う事業を含みます。以下「農地所有者代理事業」といいます。)ロ� 農用地等を買い入れ、又は借り受けて、当該農用地等を売り渡し、交換し、又は貸し付ける事業ハ�� 研修等事業ロ イに掲げる者以外の営利を目的としない法人 農地所有者代理事業

③ 対象となる譲渡農業経営基盤強化促進法第13条の2第2項の協議に基づいて、農地利用集積円滑化団体(その農地利用集積円滑化団体が一般社団法人又は一般財団法人である場合には、一定のものに限ります。)に買い取られる場合がこの特例の対象となります。なお、同法上農地の買取りを行える農地利用集積円滑化団体は、市町村、農業協同組合、一般社団法人若しくは一般財団法人に限られています(農業経営基盤強化促進法4③、13の2①②)。(注)� 上記「一定のもの」とは、公益社団法人(そ

の社員総会における議決権の総数の2分の

1以上の数が地方公共団体により保有され

ているものに限ります。)又は公益財団法人

(その設立当初において拠出をされた金額の

2分の1以上の金額が地方公共団体により

拠出をされているものに限ります。)であっ

て、その定款において、その法人が解散し

た場合にその残余財産が地方公共団体又は

その法人と類似の目的をもつ他の公益を目

的とする事業を行う法人に帰属する旨の定

めがあるものとされています(措令22の8

�)。 なお、特例民法法人は、上記の公益社団法人又は公益財団法人とみなすこととされ

ています(改正措令附則10⑥)。

3 適用関係

⑴ 上記2⑵の改正は、商店街活性化法の施行の日以後に行う土地等の譲渡について適用されます(改正法附則29⑥)。⑵ 上記2⑶の改正は、土地等が商店街活性化法の施行の日前に高度化事業の用に供するために買い取られた場合については、従前どおりとされています(改正法附則1六、29④)。ただし、同日以後に、土地等が中小小売商業

振興法の規定による認定を受けた高度化事業計画に基づく高度化事業(同日前に認定を受けた高度化事業計画に基づくものであって、都市計画等に適合して行われるものであることその他の一定の要件(改正前と同様の要件)に該当することにつき証明がされたものに限ります。)の用に供するために買い取られる場合には、その買い取られる場合を改正後の特定住宅地造成事業等のために買い取られる場合に該当するものとみなして、1,500万円特別控除を適用することとされています(改正法附則1六、29⑤、改正措令附則1五、10①②)。⑶ 上記2⑷の改正は、農地法等の一部を改正する法律の施行の日以後に行う土地等の譲渡について適用し、同日前に行った土地等の譲渡については、従前どおりとされています(改正法附則29⑦)。

─�118�─

―租税特別措置法(所得税関係の土地税制関係)の改正―

1 改正前の制度の概要

⑴ 個人の有する土地等が「農地保有の合理化等のために譲渡した場合」に該当することとなった場合には、譲渡所得の金額の計算上800万円の特別控除の適用が認められています(旧措法34の3①)。⑵ この特別控除の適用対象とされる「農地保有の合理化等のために譲渡した場合」には、次のようなものがあります(旧措法34の3②)。① 農業振興地域内の農地等を農業委員会のあっせん等により譲渡した場合② 農地保有の合理化に資するため、農地保有合理化法人又は独立行政法人農業者年金基金に農地等を譲渡した場合③ 農用地区域内の農地等を農用地利用集積計画の定めるところにより譲渡した場合④ 農業振興地域の整備に関する法律に規定する農用地区域内の特定遊休農地を、農業経営基盤強化促進法に規定する勧告に係る協議により、同法に規定する特定農業法人のうち一定のものに譲渡した場合⑤ 特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律による所有権移転等促進計画の定めるところにより譲渡した場合⑥ 農村地域工業等導入地区内の農地等を工場用地等の用に供するために譲渡した場合⑦ 次の換地に際し、不換地の申出等により土地等を取得しなかったことに伴い清算金を取得した場合イ 土地改良事業施行区域内の農地等を農用地以外の用途に供するための換地(創設非農用地換地)ロ 土地改良事業施行区域内の農地等を農用地の保有の合理化を促進するために必要な

農用地を創設するための換地(創設農用地換地)

⑧ 森林組合等に委託して林地保有合理化のために地域森林計画の対象とされた山林に係る土地を譲渡した場合

⑨ 林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通等に関する暫定措置法の規定による都道府県知事のあっせんにより、林業経営改善計画の認定を受けた者に一定の山林に係る土地の譲渡をした場合

⑩ 農業振興地域の整備に関する法律の規定による交換分合で、取得すべき土地を定めないで清算金を取得する場合

⑪ 集落地域整備法の規定による交換分合で、取得すべき土地を定めないで清算金を取得する場合

2 改正の内容

⑴ 適用対象に農地利用集積円滑化団体が行う農

地売買等事業のために譲渡した場合を追加

上記六の「特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の2,000万円特別控除の改正」の2のとおり、農地法等の一部を改正する法律(平成21年法律第57号)が今通常国会(第171回国会)で成立しました。同法の中で上記七の「特定住宅地造成事業等

のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除の改正」の2⑷のとおり、農地利用集積円滑化事業を創設することとされ、当該農地利用集積円滑化事業を行う法人として農地利用集積円滑化団体が位置づけられました。税法においても農地の保有の合理化を一層促進するために、この特例の対象に、農業経営基盤強化促進法に創設される農地利用集積円滑化団体(その農地利用集積円滑化団体が一般社団法人又は一般財団法人である場合には、一定のものに限り

八 農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合の800万円�特別控除の改正                     

─�119�─

―租税特別措置法(所得税関係の土地税制関係)の改正―

ます。)に対し、その農地利用集積円滑化団体が行う同法の農地売買等事業のために、農地等で農業振興地域の整備に関する法律に規定する農用地区域内にあるもの等を譲渡した場合が追加されました(措令22の9①一)。(注)� 上記「一定のもの」とは、公益社団法人(そ

の社員総会における議決権の総数の2分の1

以上の数が地方公共団体により保有されてい

るものに限ります。)又は公益財団法人(その

設立当初において拠出をされた金額の2分の

1以上の金額が地方公共団体により拠出をさ

れているものに限ります。)であって、その定

款において、その法人が解散した場合にその

残余財産が地方公共団体又はその法人と類似

の目的をもつ他の公益を目的とする事業を行

う法人に帰属する旨の定めがあるものとされ

ています(措令22の9①一)。

� なお、特例民法法人は、上記の公益社団法人又は公益財団法人とみなすこととされてい

ます(改正措令附則10⑥)。

上記七の「特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除の改正」の2⑷で追加された譲渡との違いは、1,500万特別控除の対象は、農業経営基盤強化促進法第13条の2第2項の協議に基づいて、農地利用集積円滑化団体に買い取られる場合である一方、この特例の対象は、同法の協議に基づくものではなく、農地利用集積円滑化団体が行う同法の農地売買等事業のために譲渡した場合とされているところです。

⑵ 適用対象から特定遊休農地を農業経営基盤強

化促進法に規定する勧告に係る協議により一定

の特定農業法人に譲渡した場合を除外

農地法等の一部を改正する法律(平成21年法

律第57号)の中で遊休農地対策については、遊休農地のうち地域の農業振興を図る観点から市町村が指定したものについて必要な措置を講ずるという現行の仕組みを、全ての遊休農地を対象とした仕組みに見直す(現行の農業経営基盤強化促進法に基づく仕組みを農地法に基づく仕組みとする)こととされました。その際、農業者等が、遊休農地がある旨を申し出ることができる仕組みや、所有者が判明しない遊休農地についても利用を図る措置等を新たに設けることとされています。このような農地制度における遊休農地対策の

改正に伴い、施策の重点化及び租税特別措置の整理合理化の観点から、この特例の対象から、上記1⑵④の農業振興地域の整備に関する法律に規定する農用地区域内の特定遊休農地を、農業経営基盤強化促進法に規定する勧告に係る協議により、同法に規定する特定農業法人のうち一定のものに譲渡した場合が除外されました(旧措法34の3②三)。

3 適用関係

⑴ 上記2⑴の改正は、農地法等の一部を改正する法律の施行の日以後に行う土地等の譲渡について適用し、同日前に行った土地等の譲渡については、従前どおりとされています(改正措令附則10③)。⑵ 上記2⑵の改正は、農地法等の一部を改正する法律の施行の日前に行った土地等の譲渡については、従前どおりとされています(改正法附則29⑧)。

─�120�─

―租税特別措置法(所得税関係の土地税制関係)の改正―

1 改正前の制度の概要

個人が、民間都市開発の推進に関する特別措置法の規定による国土交通大臣の認定がされた一定の事業用地適正化計画(以下「認定計画」といいます。)に係る認定の日から平成21年3月31日までの間に、その認定計画に定められた事業用地(以下「認定事業用地」といいます。)の区域内にある所有隣接土地等の次に掲げる交換又は譲渡(その認定計画に従ってするものに限ります。)をしたときは、その所有隣接土地等(次の①の土地建物等とともに交換差金を取得し、又は①の譲渡による収入金額が②の土地建物等の取得価額を超える場合には、その所有隣接土地等のうちその交換差金又はその超える金額に相当する部分は除かれます。)のその交換又は譲渡がなかったものとして、長期譲渡所得又は短期譲渡所得の課税を行うこととされています(旧措法37の9の2①)。① 所有隣接土地等とその認定計画に係る認定事業者の有する土地建物等でその認定計画に

係る認定事業用地の区域以外の地域内にあるものとの交換

② その認定計画に係る認定事業者に所有隣接土地等の譲渡をし、かつ、その譲渡をした年の12月31日までに民間都市開発推進機構からその有する土地建物等でその認定計画に係る認定事業用地の区域以外の地域内にあるものを一定の方法により譲り受けた場合のその譲渡

2 改正の内容

都市における低・未利用地は、大都市都心部では減少傾向にあるものの、全国ベースでは未だ増加傾向にあり、引き続き低・未利用地を解消し土地の有効利用を図るとともに公共施設整備を伴う優良な民間都市開発を推進することにより都市機能を回復させ、都市再生や地域活性化を図ることが必要であることから、この特例の適用期限が平成23年3月31日まで2年延長されました(措法37の9の2①)。

九 認定事業用地適正化計画の事業用地の区域内にある土地等の交換等の場合の譲渡所得の課税の特例の改正       

十 土地等の譲渡等に係る事業所得等の課税の特例の改正

1 改正前の制度の概要

⑴ 個人が、他の者から取得した土地等で事業所得又は雑所得の基因となるもののうち、その年1月1日において所有期間が5年以下であるもの(その年中に他の者から取得した土地等を含みます。)の譲渡(賃借権の設定等、特定目的信託の設定及び土地等の譲渡に準ずる一定の行為を含みます。)をした場合には、その土地等の譲渡による事業所得又は雑所得については、他の所得と区分し、土地等に係る事業所得等の金額に対し、次のいずれか多い金額に相当する所得税を課することとされています(措法28の

4①)。① 土地等に係る課税事業所得等の金額の40%相当額

② 土地等に係る課税事業所得等の金額につき総合課税をした場合の上積税額の110%相当額

⑵ ただし、その土地等の譲渡が、次に掲げるものに該当し、確定申告書に証明書の添付がされた場合には、この分離課税制度は適用されず、事業所得又は雑所得として所得税法本則の課税(総合課税)が行われることとされています(措法28の4③)。① 国又は地方公共団体に対する譲渡

─�121�─

―租税特別措置法(所得税関係の土地税制関係)の改正―

② 独立行政法人都市再生機構等に対する譲渡で宅地の供給等の業務のために直接必要であると認められるもの③ 資産の収用交換等(土地収用法、都市計画法、都市再開発法その他の法律の規定による収用、買取り、換地処分、権利変換、買収、買入れ、消滅、使用又は交換をいいます。)による土地等の譲渡④ 都市計画法の開発許可を受けて行う1,000㎡以上の宅地造成事業で、譲渡価格が適正であること、公募の方法により販売されること等の要件に該当するもの⑤ 開発許可を要しない場合における1,000㎡以上の宅地造成事業で、都道府県知事の認定を受けていることその他④に準ずるもの⑥ 都道府県知事の認定を受けた新築住宅の販

売とあわせて行うその敷地の販売で1,000㎡以上のもののうち④に準ずるもの

⑦ 市町村長等の認定を受けた1,000㎡未満の小規模な宅地の譲渡で、譲渡価格が適正であるもの

⑧ 宅地建物取引業者の行う特定の宅地の譲渡で、土地等の売買の代理又は媒介に関し報酬を受ける行為に類するもの

⑶ なお、上記⑴の課税は、個人が平成10年1月1日から平成20年12月31日までの間にした土地等の譲渡については、適用しないこととされていました(旧措法28の4⑥)。

2 改正の内容

この特例の適用停止期間が、平成25年12月31日まで5年延長されました(措法28の4⑥)。

─�122�─


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