令和元年度CLT施工図・加工図演習セミナー
「CLT建築物の建て方と施工図・加工図の考え方」
株式会社木構堂 渡邉須美樹
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第1回
(1)CLTの加工及び建方の実際
(2)CLT建築物現地見学(西条市西消防署)
(3)接合金物(χマーク金物)の種類と使用方法
(4)CLT建築物の施工図・加工図演習①
※文中の*1は「CLT低層住宅 施工マニュアル」*2は「CLTを用いた建築物の設計施工マニュアル」の該当ページを示す。
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(1)CLTの加工及び建方の実際
「施工図」って何ですか
施工図とは、設計図書を元に建築物を施工する過程で、実際の現場の状況や、建具・設備などの収まりなどを反映させた生産設計派生図面の総称である。実際の工事の段取りを計画した施工計画図や、鉄
骨構造・建具・昇降機・家具・住宅設備(住設)などを作る製作図(加工図)とは別のものである。
(ウィキペディアより)
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施工図には1.躯体図1.平面詳細図1.配管図1.プロット図1.割付図 などがある。
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CLT建物の施工図は1.アンカープラン図
(アンカーボルト位置図)1.伏図・軸組図
(CLT壁、水平面材の配置図)1.詳細図
(部材や接合部の納まり詳細図)1.部品図
(金物単品図)1.部材相番図
(部材配置番号図)
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CLT建物の加工形状接合金物の加工χマーク金物の加工
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その他の加工1.設備関係の加工・給排水配管孔・給排気設備孔・電気設備配管・配線孔・空調設備配管孔
※ルート1計算では耐力壁に孔を明けることはNGです。
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1.建て方用架設加工・パネル吊上げ用治具加工
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*1_P-29
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CLT建物の建て方と加工(建て方と加工が関連している部分を解説)
接合部の概要
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①⑤引き金物・底板の座堀・引きボルト頭の座堀
⑥床引き金物・加工無し
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②せん断金物・底板の座堀・アンカーボルト頭の座堀
③④せん断金物・加工無し
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CLTパネルの仮置きと養生 *1_P-9
(1)仮置きは地面にブルーシートを敷き桟木を配置し水平に積み重ねる。3層3プライ 桟木2ヶ所 最大12段5層5プライ 桟木2ヶ所 最大9段5層7プライ 桟木2ヶ所 最大7段 程度
(2)CLTパネルの小口は水が浸みこみやすい為養生に注意する。
(3)降雨対策として、ブルーシートなどを多めに準備する。
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床パネルの吊上げ *1_P-11
吊上げ用のアイボルト孔は工場加工
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アンカーボルト位置精度の確保は *1_P-14
建て方をする上で重要なポイントです。アンカーボルトは田植え方式では無く適切な治具等を使い基礎型枠等に固定する。
*1_P-15
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CLT壁パネル建て入れ *1_P-19
CLT壁パネルの転倒防止及び建て入れ精度確保のため架設サポートを取り付ける。サポートの種類により工場での加工が必要な場合もある。
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CLT壁パネルを現しとする場合 *1_P-22
χマーク金物(TC-DP)
は現し用金物ですドリフトピンの打込みが片側からになり孔を貫通しないように注意する。
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CLT床パネル引き金物(STF)位置出し *1_P-30
STF金物位置をCLTパネルに位置位置出しを加工工場でしておくと現場では作業がスムーズになる。
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小屋部材等の金物取合い加工 *1_P-32
小屋部材等がCLT接合金物と干渉する部分は工場であらかじめ加工をしておく。
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(3)接合金物(χマーク金物)の種類と使用方法
χマーク金物はCLTパネル構法建物の計算ルート1の場合に使用される「日本住宅・木材技術センター」が2016年に制定した規格金物です。木造建築の規格金物には、軸組工法用のZマーク金物、枠組壁構法用のCマーク金物、丸太組構法用のMマーク金物があり
ます。
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χマーク金物一覧
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引張り金物TB-90、TB-150、TB-DP
基礎-壁パネルTC-90、TC-150、TC-DP
壁パネル-壁パネル壁パネル-天井パネル
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せん断金物SB-90、SB150 基礎-壁パネル(土台無)SBM-90、SBM-150 基礎-壁パネル(土台有)SP 壁パネル-垂れ壁・腰壁SP-DP 壁パネル-垂れ壁・腰壁D32 基礎-壁パネル
壁パネル-壁パネル
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帯金物STF 床・天井パネル相互の引張り接合部STF-DP 床・天井パネル相互の引張り接合部
(現し)STW-790 壁パネル相互の引張り接合部
床パネル厚さ=150mm
STW-850 壁パネル相互の引張り接合部床パネル厚さ=210mm
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L形金物LST 壁パネル-床・天井パネル せん断接合部
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ボルト、座金、ビス、ドリフトピン
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(4)CLT建築物の施工図・加工図演習①
西条西消防署河北出張所建築主体工事を題材に、施工図、加工図(部品図)を描き作図内容、作図方法の習得ができるように講習会を進める。実際に普段使用しているCADを用いて施工図・加工図を作成する。CADは汎用CADでJwCADやAotoCAD等で十分対応可能です。
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演習① 施工図の描き方施工図の種類と作図のポイントを解説。
軸組図に接合金物を記入する演習を行います。
演習② 加工図(部品図)の描き方加工図の種類と作図のポイントを解説。壁パネルの加工図を描く演習を行います。
演習③ 加工図・接合金物図の描き方床パネルの加工図を描く演習を行います。接合金物図の種類と作図のポイントを解説。
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施工図の描き方・ポイント①伏図・部材記号、部材符号(相番)の記入・接合金物番号の記入・部材寸法の記入・部材の位置及び寄り寸法の記入・部材高さの記入
※複雑な高さ関係では軸組図も併記する・CLTパネルの軸方向(強・弱)を記入
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部材符号を記入
土台は高さ=90mmですそれ以外はχマーク金物金物対応無し
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部材寄り寸法を記入
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部材配置高さを記入
金物仕様を記入
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CLTパネル軸方向を記入
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軸組も記入
相番も記入
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②アンカープラン図・アンカーボルトの仕様と位置を記載する。アンカーボルトの仕様は記号で記載する方が見やすい。
・基礎との納まり詳細図も併記する。GLやFLとの高さ関係を明確にする。
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アンカーボルト仕様を記号で記入記号は詳細図とリンク
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GLやFLとの高さ関係を明確にする。
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③軸組図・部材記号、部材符号(相番)の記入・接合金物番号の記入・部材寸法の記入・部材の位置及び寄り寸法の記入・設備開口の記入・CLTパネルの軸方向(強・弱)を記入
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相番も記入
金物記号を記入
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設備開口を記入
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金物割付のポイント①引張り金物
垂れ壁受け欠きがあった場合は引っ込んだ部分で配置
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せん断金物の配置ポイント②L形金物 LST
・2ヶ1組で配置する。壁パネルの表裏で配置。表裏で配置できない場合は横に並べて配置。
・配置目安は壁長さ2ヶ/mの割合で配置。壁パネル1m以下 2ヶ壁パネル1m 2m以下 4ヶ配置詳細は設計図を参照する。
・垂れ壁、腰壁は2ヶ/mで配置する。
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床引張り金物③STF金物の配置・床・天井パネル継手部分に配置・耐力壁線上の継手部分に配置耐力壁線上以外は不要
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④金物製作図・金物形状(3面図が基本)・プレート厚さ、孔径を記入・溶接記号を記入・数量を記入付属のボルト、ドリフトピン、ビスの数量も記載
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