造影剤腎症
慈恵ICU勉強会2016.2.2
齋藤慎二郎
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造影剤腎症
定義がいろいろ• Contrast-inducednephropathy (CIN)– 主に循環器領域で普及してきた定義– AriseinSCrof≥0.5mg/dl(≥44mmol/l)ora25%increasefrombaselinevalue,assessedat48hoursaKeraradiologicalprocedure.
AmJCardiol2008;101:812–819.• Contrast-inducedacutekidneyinjury(CI-AKI)– KDIGOが定義の統一化を提言
2
• KDIGOガイドラインでは
極端に言うとこれらの定義は,ラボデータに基づいて独断的に行われるものである。臨床試験の統計学的な比較には有用である。個人のハードアウトカムを問題視する場合には小さな違いはあまり意味がないかもしれない。 3
造影剤とAKIのリスク
KDIGOガイドラインとその後の研究
4
Riskfactor
KidneyInternaXonal(2006)69,S11–S155
KDIGOガイドラインではPre-exisXngrenalfailureが強調されている
ThereisnosharpGFRthresholdbelowwhichtheriskforCI-AKIisclearlyincreasing.BoththeKDOQIguidelineandKDIGOrecommendthat,instablepaXents,aneGFRshouldbeused.• 安定した腎機能の患者ではeGFRによるベースラインの評価
を推奨6
AJRAmJRoentgenol2009,192:711-718.
背景:コントロール群との比較研究が少なく,造影剤の動注の小規模研究が主方法:
• 単施設(大学病院),TheretrospecXvecohortstudy• 7年間(fromJanuary1,2000,throughDecember31,2006)• 70,366人のCT施行患者のうち,Crのデータが十分揃っている参入基準を満
たす11,588人• Iohexol(low-osmolar)群,iodixanol(iso-osmolar)群,controll群でベースライン
の腎機能とCINの発生頻度を比較
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ThebaselineSCrconcentraXonis• ≥1.3mg/dlinmen,≥1.0mg/dlinwomen• equivalenttoaneGFR<60ml/minper1.73m2しかし,Bruceらの最近のデータが示すように<40ml/minper1.73m2が許容できるかもしれない。
KDIGOガイドライン
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造影剤の量とAKI
目的:Volume/CrCl とCIN発生の関係を調べる。Risk予測方法を評価する方法:3179人のPCI患者。PCI施行後24−48時間の間に0.5mg/dlのClの増加を認めた患者をCINと定義し,PCI前の造影剤のVolume/CrCLとの関係を調べた。
JAmCollCardiol2007;50:584–90
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ROC曲線分析:V/CrClraXoof3.7(C-staXsXc0.69),oddsraXo3.84;95%confidenceinterval2.0to7.3,p=0.001
g-I(gramsiodine)/eGFRraXos
KDIGOガイドライン
ActaRadiol2008;49:658–667.ClinJAmSocNephrol.2008;3:1242–124311
Intra-Arterial
• Intra-arterialCMadministraXonの方がAKIになりやすい(JNephrol.2012;25:290–301,JVascIntervRadiol.2011;22:1159–1165.)
u 心血管系の既往症を持つ患者が多いu Theinvasivenatureofcatheterangiography
• コレステロール結晶• 動脈プラーク• 血栓Ø microembolizaXonoftherenalparenchyma
u 一過性の低血圧や低心拍出量u 造影剤の腎実質のピーク濃度が高い
動注と静注は分けて考えるのが妥当12
Radiology2013;267:119–128
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背景
• 各国の放射線医学会から造影剤使用に関するガイドラインが公開
• 診断の正確性を代償に造影剤の手控えの頻度が増加
• CINと造影剤の因果関係は不明Ø 動物実験の誇張された結果Ø ほとんどの文献が動注(心臟カテーテル検査)の結果Ø コントロール群が欠落している研究がほとんど
CTに使用される静脈内投与に関してコントロール群を用いた研究のメタ解析が必要
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方法
• PreferredReporXngItemsforSystemaXcReviewsandMeta-Analyses(orPRISMA)statementguidelines
• DataSourcesandSearchesØ controlledstudies(造影剤を使用しないCT患者ある
いは全く検査していない患者をコントロールとした研究)
Ø 静脈投与のCT患者のみ(動注は除外)Ø CrあるいはeGFRによるAKIの評価がされている研究Ø 言語,サンプルサイズ,既往症は問わないØ 2011年9月までの文献
15
方法
• Subgroupandsensi?vityanalysis(Perorihypothesis)Ø paXent-level(presenceofrenalinsufficiencyordiabetesmellitus)
Ø procedural-level(useofiso-,low-,orhigh-osmolalitycontrastagents)
Ø diagnosXc-level(absoluteorrelaXveincreaseinSCrleveltodiagnoseAKI)characterisXcs.
Renalinsufficiency:abaselineSCr>1.2mg/,abaselineeGFR≤59mL/min/1.73m2orlower,CKD≥stage2,タンパク尿. 16
結果
• ほとんどの研究がコントロール群がないため除外された
• “Controlled”と記載された研究のほとんどが予防法や造影剤の種類に対してだった
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• 全部で25950人の患者• RCTは0件,RetrospecXve9件,ProspecXve4件• 患者数の中央値は426人• 年齢の中央値は62歳• 造影剤使用患者15582人(年齢中央値63歳) vs.不使用患者10368人(年齢中央値60歳)• TheNewcastle-Opawascoresの平均7点(研究の質を評価する0-8点までのス
コア)19
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腎機能の低下している患者でも結果は変わらない。
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Discussion
そもそも造影剤は腎機能を悪化させるのか?以前の研究との違い• RaoとNewhouseらのシステマチックレビュー(Radiology2006;239(2):392–397)との違いØ Raoらの研究は対照群があるのは2件だけ。今回はさらに11件のコントロール研究を追加
Ø この2件も対照群とのAKI発生頻度に差がないØ Raoらの研究はAKIのカットオフのばらつきが大きい
• サンプルサイズが大きい。25950人• 腎機能の低下している患者やその他のリスクについ
てもサブグループ解析を設定。AKIのリスクは上がらない
• この研究結果は造影剤の静脈内投与である事に注意 23
Discussion
対照群でも造影剤使用群と同様にCrが上昇している。• 造影剤そのものが原因ではない?
Ø Newhouseらの研究では造影剤を使用していない入院患者でもこれまでの報告と同様のAKIの頻度(AJRAmJRoentgenol2008;191(2):376–382)
Ø 入院患者はCr濃度を変化させる生理学的負荷にさらされている。低血圧,輸液負荷,出血,薬剤・・・
• 観察研究のバイアスØ 全体的に造影剤使用群の RRが低い。Ø 死亡やRRTの頻度が対照群で高い
RCTは倫理的に難しいのでPropensityscorematchedstudyが報告された。次に2つ紹介。 24
Radiology2013;268:719–728
Propensityscoreをマッチさせたグループ間のAKIと造影剤の関連性をeGFRで層別化し評価する
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方法
• Studydesign:singlecenterretrospecXvestudy• Studypopula?on
Ø Inclusioncriteriaü 18歳以上。CTを撮影した患者。造影剤使用or非使用。(between January1,2000,toMay14,2010)
ü AKIの進行を評価できる十分なデータある患者(24hourspriortoand24–72hoursfollowingCT)
ü 撮影前のベースラインのeGFRを計算できる患者。CT前5日以上前のデータがある。(MDRD)
Ø Exclusioncriteriaü 透析患者ü PaXentswithunstablerenalfuncXon(increaseordecreaseinSCrby50%ofbaselineand/or0.3mg/dLwhenpre-CTSCr)
• AKIの定義はAKINcriteriaを使用
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1:1propensityscorematching後のメイン結果
eGFR<30の患者では造影剤がAKIのリスクが上がった。27
Radiology2014;271:65–73
目的 ベースラインのeGFRで患者を層別化してPropensityscoreをマッチさせたグループ間のAKIと造影剤の関連性を評価する
28
方法
• Studydesign:singlecenterretrospecXvestudy• Studypopula?on
Ø Inclusioncriteriaü 胸部,腹部,骨盤のCTを撮影した患者。造影剤使用or非使
用。(betweenJanuary1,2000,andDecember31,2010)ü AKIの進行を評価できる十分なデータある患者(24hourspriortoand24–72hoursfollowingCT)
ü 撮影前のeGFRを計算できる患者(MDRD)Ø Exclusioncriteria
ü CT前に透析をしている患者ü CT後14日以内に再度造影CTを行っている患者ü CT前14日以内に急性腎不全
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方法
• BaselineRenalFunc?onStra?fica?onbaselineeGFR– ≥90mL/min/1.73m2– 60–89mL/min/1.73m2– 30–59mL/min/1.73m2– ≤30mL/min/1.73m2(≤15mL/min/1.73m2は人数が少ないため層別化せず)
• ClinicalandOutcomeVariablesAKIの定義:SCrのベースラインより≥0.5mg/dL上昇(CT撮影24-72時間以内)-baseline(meanSCrlevel24hourspriortoscanning)-
30
方法
• PropensityScoreAnalysis• 造影剤使用の可能性• eGFRで層別化したグループごとに13項目の
変数で多変量解析を行いpropensityscoreを算出
• eGFRグループごとに1:1でマッチング(byusing1:1nearestneighbor(Greedy-type)matchingandacaliperwidthofa0.15standarddeviaXonofthepropensityscorelogit.)
31
結果
Inclusioncriteriaを41249人が満たし,最終的に12508人のコホートが作成された。 32
33
34
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各eGFR群のスコアの分布• eGFR≥60はスコアの
範囲がだいたい一緒。高率に造影剤使用
• <59ではスコアが下がり,それに伴って造影剤の使用が減少。
• <30群と30-59群のオーバーラップは少ない。
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eGFR群における各変数の影響度の違い• eGFRサブグループ間
で変数の影響度は異なる
• eGFR≥90群,60-89群,<30群は年齢が最も大きな因子
• eGFR30-59は群はベースの腎機能が最も大きな因子
• その他の変数はグループ間での違いは小さい
37
• 造影剤使用群と非使用群ともにベースのeGFRが減少するに従いAKIの発生頻度も上昇
• 両群でAKIのriskに有意な違いはない
造影剤使用CTvs.非造影剤使用CT
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考察
• 彼らはベースのSCrで層別化した同様の研究を報告しているが結果は同じ– SCr<1.5mg/dL,1.5–2.0mg/dL,>2.0mg/dL
(Radiology2013;267(1):106–118)• Davenportらとの研究結果の違い
(Radiology2013;268(3):719–728)Ø 層別化してからpropensityscoreを算出Ø Nが十分。特にeGFR≤30群
• LimitaXonØ HydraXonなどの予防やnephrotoxicな薬剤の情報が
ない
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造影剤とAKIのリスクまとめ
• 造影CTにおける造影剤とAKIの関連はnon-controlledstudyの結果によりこれまで誇張されすぎていた
• 少なくともeGFR≥30mL/min/1.73m2の患者では造影剤とAKIの関連は弱そうである
• eGFR<30mL/min/1.73m2の患者やIntra-arterialの造影剤投与に関してはまだ情報が少ない
40
造影剤腎症と予防
• Bicarbonate溶液の必要性• Volume負荷の速度と時間
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薬理学的予防方法
生食か重炭酸溶液か?
NAC:n-acetylcysteineについては今回省略
Volumeexpansion
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予防のメカニズム(仮説)
• Volumeexpansion– Expandingplasmavolume
Ø レニン活性の抑制Ø NO産生の抑制
– 尿量増加Ø 尿細管内の造影剤の希釈Ø 活性酸素の産生抑制Ø 粘性低下による造影剤の排泄促進
• 薬剤による活性酸素の抑制– 尿のアルカリ化
Ø Haber-Weiss反応の抑制
43
一般的に使用されている投与速度と期間
ü 1.0ml/kg/hour, 造影剤投与の12時間前から開始して,終了後12時間投与(古くから最も普及している方法)
NEnglJMed1994;331:1416–20.
ü 1.0〜1.5ml/kg/hour, 造影剤投与の1時間前から投与して終了後3-6時間投与(メタ解析の15研究で報告された方法)
ClinJAmSocNephrol2009;4:1584–92.
ü 1〜1.5ml/kg/hour,造影剤投与の6時間前から開始して,終了後6時間投与(AmericanCollegeofRadiologyと theEuropeanSocietyofUrogenitalRadiologyで推奨されている方法)
RadiologyACo.ACRManualonContrastMedia.2013;version9:81–98.2013.EurRadiol.2011;21:2527–2541.
44
AnnInternMed2009,151:631-638.
Bicarbonate とsalineの比較をしたRCTの最も大きなシステマチックレビュー
• 純粋にbicarbonateとsalineの治療を比較したRCTは3研究のみ
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RR=0.62(95%CI=0.45to0.86)• publishedとunpublishedの間に大きなheterogeneityあり• 多変量解析では,質の低い,小規模で直近のアウトカムを評価した研究が
bicarbonateの優位性を示す傾向があることを示した。• RRT,心不全,死亡率に治療間の違いは認められなかった。
RR
46
ClinJAmSocNephrol10:1519–1524,2015.
背景:これまで重炭酸溶液の長期的予後に関する効果は不明である。• 重炭酸溶液と生食を比較した初めての多施設RCT
TheBicarbonateOrSalineStudy(BOSS)
47
方法
• Studydesignandpar?cipants– ProspecXve,randomized,double-blind– March2010andMay2012,22UnitedStatescenters(中間解析までの期間)
– Inclusioncriteria• eGFR≤45mL/minper1·73m2,18歳以上,冠動脈カ
テーテルか末梢動脈造影検査予定患者– Exclusioncriteria
• 循環動態不安定(医者の判断),RRT,低カルシウム血症
48
方法
• Studyprotocol– カテーテル検査1時間前に5ml/kg/hr,カテーテル終
了後4時間1.5ml/kg/hr継続。(LowEF,うっ血性心不全や重篤な浮腫の既往のある患者は同量を検査後5時間で投与)
– 1.3%sodiumbicarbonate(154mEq/L)群vs.0.9%sodiumchloride(154mEq/L)群
– 検査開始時から輸液開始。検査終了4時間後まで継続
Scrの検査– 検査12時間前(baseline),検査後days1,3,7,30,90,180
49
方法
• Randomiza?onandmasking– centralregistry,治療者も割り付けを知らされない– 場所や検査の種類での層別化は行わない
• Outcomeu Primaryoutcome– Primarycompositeendpoint– Sustained>20%lossofeGFR:byatleasttwoseparatemeasurementsbetweenday30andday180Crcomparedwiththebaselinevalue
– RRT– Death
50
方法
• Sta?s?calanalysis– サンプルサイズの計算• 1.3%sodiumbicarbonate(154mEq/L)群 2.5%vs.0.9%
sodiumchloride(154mEq/L)群8%のPrimarycompositeendpoint発生率で算出
• データ欠損の見積もり4%• 80%powerandatwo-sidedαof0·05Ø 536人の患者が必要 • 60%の患者が集まったところで中間解析を事前に予定
51
Figure1
52
53
• 48時間血清重炭酸濃度は重炭酸グループで継続的に高かった。(27.5±3.6vs.26.0±3.7mEq,respecXvely;P=0.001).
• 観察中の急性うっ血性心不全の頻度は両群で同様であった。(7.4%vs.7.5%;P=0.99)
中間解析の分析により実際に必要なサンプルサイズは1500人以上となり,研究は中止された。
54
Discussion
• High-doseregimenofsodiumbicarbonateは全身のアルカローシス化の目的に達することができた
• 生食に比較して有害事象の増加はきたさなかった
• CINに対する有効性は示せなかった– BaselineのeGFRがbicarbonate群で低かった– 生食群の投与量が既存の報告より比較的多かった。
重炭酸の予防的投与は現時点では治療者の自由裁量権に任せられるのが妥当か
55
Lancet2014;383:1814–23
心臓カテーテル検査を受ける患者で左室拡張末期圧を指標とした輸液負荷がCINの頻度を減らすことができるかthePrevenXonofContrastRenalInjurywithDifferentHydraXonStrategies(POSEIDON)trial
56
方法
• Studydesignandpar?cipants– 期間(BetweenOct10,2010,andJuly17,2012)– Inclusioncriteria
• eGFR≤60mL/minper1·73m2,18歳以上,CINのリスクを持つ患者(HT,DM,CHF,75歳以上のいずれか一つ以上)
– Exclusioncriteria• 緊急検査,RRT,他の造影剤暴露(2日以内),アレルギ
ー,急性非代償性心不全,重症弁膜症,人工大動脈補助装置,左室血栓,検査前にeGFRの悪化(7.5%/dayor≥15%2日以上前から)
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方法
• Studyprotocol– 全員カテーテル1時間前に3ml/kg/hrで生食のボーラス投与。左室
に5or6Frのpigtail挿入– LVEDP-guidedtherapy群
• 5mL/kg/h,LVEDP<13mmHg• 3mL/kg/h,LVEDP<18mmHg• 1.5mL/kg/h,LVEDP≥18mmHg
– Control群• 1.5mL/kg/h,LVEDP≥18mmHg
– 検査開始時から輸液開始。検査終了4時間後まで継続– 造影剤(ioxilan(350mgiodine/mL),non-ionic,low-osmolar
contrastmedium)Scrの検査– 検査前(baseline),検査後day1とday4
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方法
• Randomiza?onandmasking治療する医師以外は割り付けを知らされない
• Outcome
検査後day1-4での最高値
59
方法
• Sta?s?calanalysis– サンプルサイズの計算• Control群8%,LVEDP-guidedtherapy群18%のCIN発生率
で算出• 10%のSCrデータ欠損が出ると見積り• 80%powerandatwo-sidedαof0·05Ø 390人の患者が必要
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結果
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LVEDP-guidedtherapy群196人
コントロール群200人
178人 172人
• Day1-4の間にSCrが1回しかない-98%,2回ある-88%• 30-dayと6-monthのclinicalfollow-upは全員完了で
きた。
62
63
LVEDP-guidedtherapy196人 コントロール群200人
つづき
64
1727(583)mLvs. 812(142)mL
ter?le1(448–874mL)N=117
ter?le2(874–1512mL)N=117
ter?le3(1512–3055mL)N=116
P
AKI 20(17%) 13(11%) 7(6%) 0.03
• NS100mLごとに9%のORの低下(oddsraXo0·91,95%CI0·89–0·94;p=0·01).65
• TherelaXveriskwas0·41(95%CI0·22–0·79)• Theabsoluteriskdifferencewas–9·5%(–2·9to–16·2%).• NNT=11.
66
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考察
• Normalsalineの投与速度の違いを比較した初めてのRCT。• 介入群で対照群の2倍以上の輸液量が投与された。• これまで報告された研究で最大の投与速度• AKIだけでなく,6ヶ月後のcompositemajoradverseevents
も減少• 対照群の投与方法は最近15研究で行わている方法に準
じている。(入院と外来の両方で適用可能な方法)• うっ血性心不全とPCIの不均衡を調整しても結果は変わら
ない• LimitaXon:
– 患者が限定されている– 治療者の盲検ができていない
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Editorialcomment果たしてLVEDPを指標にする意義はあるのか?– Pulmonaryedemaの頻度が両群で変わらず(両群3人
ずつ。コントロール群の2人とLVEDP群の1人はLVEDPが低かった)
– 全体の50%以上の患者がLVEDPが正常。18mmHg以上は15%程度
– ある観察研究では心臟カテーテル検査前のルーチン1Lの5%ブドウ糖液投与がAKIを減少させたとの報告
– Commonregimenが不十分な可能性– CKDがある患者は造影剤の排泄に10時間以上かか
ることがある。糸球体濾過後の造影剤の希釈を目的とするなら尿量を指標にするのが合理的かもしれない (RenalGuardsystem-guidedhydraXonregimensとの比較)JACCCardiovascInterv2012;5:90–97.
70
TheRenalGuardTMsystem(PLCMedicalSystems,Inc,Franklin,MA)• 尿量を正確に測定し、秒単位で補正• プライミング生食250mlボーラス投与(30
分)• フロセミド0.5mg/kgを尿量300ml/hrを
ターゲットに適宜ボーラス投与する• フロセミドの最大投与量は2.0mg/kg• カテーテル検査後4時間継続
CirculaXon.2011;124:1260-126971
• Studydesignandpar?cipants– TheRenalGuardTMsystemとsodiumbicarbonate(154mEq/L)を比較した多施設RCT
– January2009toDecember2010– Inclusioncriteria
• eGFR≤30mL/min/1·73m2orriskscore≥11(JAmCollCardiol.2004;44:1393–1399)
• 冠動脈カテーテルか末梢動脈造影検査予定患者– Exclusioncriteria
• AMI,acutepulmonaryedema,cardiogenicshock,dialysis,mulXplemyeloma,administraXonofsodiumbicarbonate,theophilline,dopamine,mannitol,and/orfenoldopam,recent(48hours)administraXonofiodinatedCM;andcurrentenrollmentinanyotherstudy
– コントロール群:検査1時間前3ml/kg/hr,検査後6時間1ml/kg/hr
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TheRenalGuardTMsystem群の生食投与量と尿量の推移
ターゲットの尿量に至らなかった患者は9%
73
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予防のReview
• Volumeexpansionが唯一強く推奨されている予防法である(controlledstudyによるエビデンスはないけれども)が投与速度や時間に関する情報はまだ少ない
• 調節可能なターゲットの検討が有用かもしれない(尿量やhemodynamicparameterなど)
• Intra-ArterialかIntravenousでさらなる検討が必要そうである
• 薬剤で確固たるエビデンスが示されているものはない• 現在8000人規模の2:2のBicarbonateとNACのRCTが予定され
ている(NCT01467466)• CT技術の向上により従来の半分以下の造影剤での撮影が
研究されているRadiology.2014;273:373–382.
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本日のまとめ
• 造影剤投与後のAKIのリスクØ これまでnon-controlledstudyにより誇張されすぎてきたØ 重篤な腎機能低下患者(abaselineCrof>2.0mg/dLoraneGFRof<30mL/min/1.73m2)についてはまだ慎重な姿勢が必要
• 予防方法Ø HydraXonが唯一の予防法である(controlledstudyによる
エビデンスはないけれども)が投与速度や時間に関する情報はまだ少ない
造影剤の有益性を損なわないために個人毎にリスクとのバランスを考慮することが重要である
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