誰でもできる高分散分光器の設計(エシェル分光器)
2007/7/19
0. HDS(High Dispersion Spectrograph)の光学系とエシェルフォーマット
1. 波長分解能の限界は何で決まるのか?
2. 観測できる波長域は何で決まるのか?
3. 分光器の感度(効率)は何で決まるのか?
4. HDSの実際
1. 波長分解能の限界は何で決まるのか?
1-1 グレーティングによる回折の原理で決まる限界
回折の次数を m、
平行光束に含まれるグレーティングの溝の
本数 を N とすると
回折限界で決まる波長分解能(λ/δλ)
は mN
1-2 シャープなスペクトルを結像させる(1)
分光器の光学系は、入射スリットの像をCCD上に結ばせる。CCD上の像がシャープな程分解能が高くなるので、スリット幅が狭い程分解能が高くなる。
但し、スリット幅をどんどん狭くして、回折限界以下にしても無意味
1-3 シャープなスペクトルを結像させる(2)
光学系の収差が大きいとCCD上のスリット像がぼやけて分解能が低下する。従って光学系の収差を十分小さくなるように設計する必要がある。(HIRESと比較した工夫)a) コリメータに軸外し放物面鏡を用いるb) カメラ光学系の補正レンズを3枚用いる
2. 観測できる波長域は何で決まるのか?
2-1 検出器の感度波長域による制限
2-2 光学系の透過率による制限鏡を用いた反射光学系では波長の制限が無いが、レンズを用いると透過率の制限を強く受ける。
2-3 光学系の収差による制限反射光学系では収差の量は波長に依存しないが、レンズでは波長に依存するので(分解能を保ったまま)広い波長域をカバーすることが難しい。
2-4 検出器の全体の大きさによる制限広い波長域を一度に観測しようとすると、巨大な検出器面積が必要となる。
3. 分光器の感度(効率)は何で決まるのか?
3-1 検出器の効率とノイズレベル
3-2 グレーティングの反射(回折)効率
3-3 鏡とレンズの反射(透過)効率
3-4 スリットへの入射(けられ)の効率
4. HDSの実際4-1 HDSの光学系
4-2 HDSの仕様
4-3 赤外波長域への対応
a) 赤外線検出器を用意する必要がある(フラットナーレンズはある)。
検出器部を交換する。b) 光学系は、波長約2.2ミクロンまでは使用可能。c) エシェルフォーマットが拡大するので、広い波長域は無理。