模擬送電鉄塔への落雷実験
がい し
雷インパルス発生装置を用いて,雷が鉄塔に落ちる様子を再現します。
雷インパルス発生装置
この装置は雷を模擬した高電圧を発生させることができます。最高電圧1200kV(120万ボルト)までの試験を行うことができ,電力設備の耐電圧試験などに使用しています。今回の実験では,600kV
(60万ボルト)の電圧で放電を発生させます。一瞬の放電とその時に発生する大きな音をお楽しみください。
[特徴]最高電圧1200kVの大型装置
落雷は,大きく分けて夏季雷と冬季雷に分類されます。雷によりばらつきがありますが,落雷の継続時間は1/10,000秒(100マイクロ秒)程度と一瞬です。
落雷の特性
実験概要
雷雲の高さ
模擬送電鉄塔雷インパルス発生装置
ポリマーがいし(クレーン吊り)
実験状況(イメージ)
実験装置配置図
落雷発生のイメージ落雷の特性表
継続時間1/10,000秒
項 目 夏 季 雷 冬 季 雷
発 生 時 期 4月 ~ 9月 10月 ~ 3月
雷 雲 の 高 さ 高い(3km以上) 低い(1km以下)
落 雷 電 流 数kA~300kA 数kA~300kA
極 性 負極性(-)がほとんど正極性(+)・負極性(-)
がほぼ同比率
落雷回数マップ
瞬時かつ大電流の現象を観測
するために,落雷の瞬間を撮影
して落雷の様相を観測する「雷
観測用カメラ」,鉄塔への落雷
時に電流値や波形を測定する
「雷サージメモリ」,雷撃位置
を標定する「落雷位置標定装置
(LLS※)」を導入しました。
これまでの雷研究成果と落雷実績雷は送電線故障の約7割と非常に大きな割合を占めており,研
究所創立以来,観測技術や落雷位置標定技術の確立,そしてそれを用いて設備被害の低減に関する技術開発に取り組んできました。
①これまでの雷研究成果
※ Lightning Location System
500kV送電線への落雷様相観測
夏季落雷回数(7
0kA以上)【回】
27
5kV
,50
0kV雷故障件数【回】
LLS 方位探知局(DF局)設置箇所
落雷回数と雷故障件数
冬季雷は海上や沿岸部に多い(日本海側)
②落 雷 実 績落雷回数と雷故障件数には一定の
相関性がみられます。今年度の夏季
落雷回数は,至近年では比較的多く
発生しましたが,雷故障は平年程度
であったといえます。
また,夏季と冬季を比較すると,
落雷回数は圧倒的に夏季の方が多く,
夏季雷は岐阜県周辺,冬季雷は海上
や沿岸部に多く発生していることが
分かります。
高速カメラ画像
0 ~ 50回
51 ~ 100回
101 ~ 500回
501 ~ 1000回
1001 ~ 2000回
2001 ~ 以上
【凡例】落雷回数
42 15 17 6 18 24 14 17 35 11 16 10 19 15 22 5 8 11 7 6 5
13,817
8,201
5,305
4,504
10,869
7,952
6,585 5,900
15,600
3,684
9,030
9,880
12,996
6,149
6,877
4,351
4,872
4,425
6,368
7,789 8,389
0
10
20
30
40
50
0
2,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
14,000
16,000
18,000
故障件数 落雷回数(70kA以上)
新潟
佐久
富士
島田渥美
中津川
高山
能登
大垣
上野
2020年 夏季 2019年 夏季 2019年 冬季
夏季雷は岐阜県周辺に多い2019年に比べて多い
冬季雷は海上や沿岸部に多い(太平洋側)