Download - ÝÃ U [qÝþ Ylo議なメディア技術―」大阪大学総合学術博物館、大阪(各回12名、6回実施) 2013年9月8日「岐阜おおがきビエンナーレ2013」情報科学芸術大学院大学IAMAS、岐阜
メディア技術と想像力をめぐって
神奈川県青少年問題協議会
2014年11月17日 坂倉杏介 慶應義塾大学
「生」を「生きなおす」ための遊び=想像力と主体性
ある
なし
道具性
ペテン師 トム・ソーヤー
ハックルベリー・フィン ドン・キホーテ
矢野智司『意味が躍動する生とは何か 遊ぶ子どもの人間学』世織書房、2006年。
論理階型の識別能力
純粋性
関心の種類
遊べる
遊べない
遊ぶ遊ばない
想像力のない生きづらさ
主体的な生を生きる
バーチャルコミュニティへの期待と現実
ラインゴールドによると、CMC(Computer Mediated Comunication)は、以下の3つの点で世界をよりよくしていく可能性がある。
1)個人の体験する認識世界の変容と文化・感性の拡張。
2)距離を乗り越えた「多対多」の新しい社会的相互作用。
3)開かれた対話による民主的な政治のためのメディア。
→現実は?
H.ラインゴールド『バーチャル・コミュニティ―コンピューター・ネットワークが創る新しい社会』三田出版会、1995年。
ほんの20年前までは・・・
全員がつながりあうSNSの息苦しさ
SNSでクラス全員と友達に・・・現実よりも相互監視が強い関係に・・・一人でいることを見せられない、自己啓発の挫折、脚の引っ張り合い、挑戦しにくい社会・・・
目的性
共同性
便所飯
中二病 意識高い学生(笑)
リア充
オタク
行動
思想
築野優「大学生の居場所‒‒『共同性』『目的性』マトリックスを用いた分析‒‒」、アカデミックスキルズ論文集、慶應義塾大学教養研究センター、2013年。
××
とある学生の論文から・・・
インターネットは既に社会を構成する要素デジタルネイティブほど、仕組みを学ばなければならない?
学び=社会をつくることへの参加と関心
『学校と社会』の図式にのっとれば、インターネット=社会の構成要素なら、それを利用して学ぶだけではなく、それをつくる仕組みを通した学びが重要になる?
J.デューイ『学校と社会』、宮原誠一訳、岩波書店、1957年。
1)「身体知・映像」 一年かけて映画を撮影する初年次講座
2)「心臓ピクニック」 鼓動に触れるワークショップ
生活世界や他者を想像するために使うメディア技術の可能性小さな試みの紹介
メディア技術をより早くより遠くへ、より便利に使うのではなく、人間の想像する力を拡張するために使うことはできないだろうか?(残念ながらインターネットを利用した実践はないのですが)
イマジネーション(想像)とは?
1)外部からの刺激を受けた人間が、自身の内部に「イメージ」 を生成する働き。 2)身体的な活動をともなう働き。
3)イメージ生成は、常に流動的に変化しており、ひとつの固定 的な状態にとどまらない。
事例:身体知・映像
「身体知・映像 ー物語映画を読む、創るー」
○慶應義塾大学教養研究センター設置講座
○担当教員:横山千晶、坂倉杏介 特別講師:小泉明郎、松井周 TA:山田健人
○全学部の1~2年生を主な対象に教養科目として開講された授業で、グループによる映像制作を通じた「教養言語力の涵養」を目的とする
○定員は、20名
○1年間かけて「小説を題材にした物語映画」を制作
○2010年度より「アカデミックスキルズⅢ・Ⅳ」として開講
○2012年度から「身体知・映像」に科目変更
事例:身体知・映像
なぜ「身体知」か?
○目的:映像制作を通じた「教養言語力の涵養」
○小説を題材にした物語映画の制作=言葉、身体、視覚メディアを横断する物語の書き換え 身体表現を含むメディア横断によるリテラシー学習、言語力養成の機会提供
○グループ作業=映像制作は、解釈や脚本作成のディスカッション、エチュードや演技、撮影・編集といった具体的身体を通した共同作業
○映像作品とは、身体から離れた視覚情報ではなく、特にその協同制作の面から見ると、自己表現、自己発見、他者発見、他者受容の積み重ねの総体と考えられる
事例:身体知・映像
授業の特色 授業案内パンフレットより
1)映像制作の経験は問いません。経験の有無を問わず誰もが持っている映像言語を掘り起こし、表現できるようになるプログラムです。
2)言語、身体、視覚など、多様な表現にチャレンジします。撮影や映像編集だけではなく、小説の読み解きやエチュードによる脚本づくりなど、様々な表現のレッスンを行います。
3)受講者同士のコミュニケーションを重視します。映像制作は、一人ではできません。受講者それぞれが自分の持ち味を活かした役割を担い、共同で制作を進めます。
4)第一線のアーティストを特別講師として招聘します。映像作家、脚本家など第一線のアーティストを招き、撮影手法や物語の構成など、専門的なレッスンを行います。
事例:身体知・映像
ステップ1 導入:映像制作の簡易体験、チームビルディング
・デジタルスチルカメラ+QuickTimeProによる映像WS
・撮影は1時間:設定のみ決め、即興で物語を撮影
・手軽に視覚表現の楽しさを体験
・短時間の共同作業によるチームビルディング
1時間でつくる即興映画
春学期
事例:身体知・映像
ステップ2 プロトタイピング:脚本制作と撮影/編集の基礎
・グループで短いストーリーを作成、教室で撮影し編集
・映像制作経験の無い学生が、2週間で機材の使用の基本と制作の流れを理解
撮影/編集の基礎
春学期
事例:身体知・映像
・「三者関係」をテーマに物語の基本構造を設定
・「誰の(どんな境遇の人)」の「何が(持ち物とか)」
「どうなった(困ったこと)」を組み合わせた「強制発
想法」
「三者関係」や「強制発想法」によるストーリー生成
ステップ2 プロトタイピング:脚本制作と撮影/編集の基礎春学期
事例:身体知・映像
短編小説の映画化
撮影風景
秋学期
事例:身体知・映像
短編小説の映画化
「カセドラル」監督:舛添介優 脚本:山里晴香 2014年
https://www.youtube.com/watch?v=fq0-sUXCUYs
秋学期
事例:身体知・映像
短編小説の映画化
「曇りなき瞳」監督:濱田有都 脚本:林健太郎 2014年
https://www.youtube.com/watch?v=XYI7H9Jxq2I
秋学期
事例:身体知・映像
上映会
短編小説の映画化秋学期
事例:身体知・映像
学習者
学習対象(認知対象)
映画
批評
対人関係
グループワーク信頼関係の構築作業分担価値観の共有
対象の認知新たな批評的視点主体的思考力、判断力映像リテラシー
映画制作
→対象、対人、対自己関係の多層的なリテラシーの書き換えが生じる
対自己関係自己表現
自己開示、葛藤、主体的参加
映像制作を通じた協働学習
事例:身体知・映像
撮影・編集
カメラを通して編集を通して書き換える
演技を通して書き換える
エチュード
・物語の新しい解釈・映像言語の理解・自己像の確立
小説(物語)
自己表現=身体を通じた物語の書き換え
グループで取り組む
戯曲
映画
絵コンテ
小説(物語)
観客の反応を通して書き換える
上映会
川口ゆい ダンサー・振付家
渡邊淳司(NTTコミュニケーション科学基礎研究所) 触覚研究者・インタフェース研究者
坂倉杏介(慶應義塾大学) コミュニティ研究者
安藤英由樹(大阪大学) 非言語インタフェース研究者
メンバー
心臓の動き(鼓動)を手で「触れられる」ようにし自身・他者の生命を身体感覚を通じて再認識する
ワークショップ(参加型体験学習の場)
コンセプト
振動スピーカ (心臓ボックス)
聴診器
スイッチ
参加者は、片手に聴診器、もう片手に振動スピーカを持つ
胸に聴診器を当て、心音を検出し、音響信号を心臓ボックスから出力
鼓動を身体の外に取り出し、触れることで実感する。
これまでのワークショップ2010年10月15~17日「佐藤雅彦ディレクション“これも自分と認めざるをえない”展」関連プログラム、21_21 DESIGN SIGHT、東京(各回8名、9回実施)2011年11月3、4日「脳の中の『わたし』と情報の中の<私>―五感を揺るがす摩訶不思議なメディア技術―」大阪大学総合学術博物館、大阪(各回12名、6回実施)2013年9月8日「岐阜おおがきビエンナーレ2013」情報科学芸術大学院大学IAMAS、岐阜2014年8月9日「AKIBA Cancer Forum 2014~同時開催こども大学医学部サマースクール~、東京
体験型展示2011年9月1~7日「Ars Electronica Cyber Art Exhibition」OK center Linz, Austria.2011年12月10~18日「Poetry of Motion Ars Electronica Exhibition」BREEZE BREEZE 大阪
論文など渡邊淳司、川口ゆい、坂倉杏介、安藤英由樹「『心臓ピクニック』:鼓動に触れるワークショップ」日本バーチャルリアリティ学会論文誌、Vol. 16, No. 3、303-306頁、2011年。坂倉杏介、渡邊淳司、川口ゆい、安藤英由樹「『生命』のシンボル・グラウンディング 鼓動に触れるワークショップ『心臓ピクニック』の評価と展開」アートミーツケア Vol.4、20-29頁、2012年。
21_21DESIGN SIGHT
ワークショップの様子
Ars Electronica 2011 OK Cyberarts 11
大阪大学総合学術博物館
ワークショップの様子
おおがきビエンナーレ2013(IAMAS)
ワークショップの様子
ワークショップの構成
「ふだん気にかけることもない心臓に『いとおしさ』を感じ、生きていくために大切にしないといけないと思いました。」(70 代女性)
「思ったよりも早かった。ママのは、すごくゆっくりだった。走ったら、すごく早かった。」(9才女性)
「ただの四角の小さな箱なのにドキドキしている時は暖かく本当に生きているみたい。コードを抜くと冷たくさえ感じました。電源切るのが切ないです。」(30 代女性)
「次、こんな風に自分の心臓以外の拍動を感じるのは、赤ちゃんを授かった時かなあー、なんて幸せな気分にもなりました。」(20 代女性)
心臓ピクニックの感想
・生命の自律性(他者性)に触れる
・生命の不可逆性(生き返らない)に触れる
・記号や知識ではなく、他者や生命を「想像」する体験
生命の〈他者〉性を通じて他者の生命性に出会う体験デザイン心臓ピクニックを通して私たちは・・・
生命のイマジネーション
メディア技術と想像力をめぐって
・インターネット(メディア技術)は、社会を構成する一部
・使い方のリテラシーだけではなく、つくり方のリテラシーも必要
・想像力は身体と思考のあいだに生じる=体験学習の重要性
・メディア技術を活かした、これまでにない他者との共感的コミュニケーション
・大人のメディアリテラシーの質が、子どもの感性を育てる