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Annual Assembly of Astronomical Soociety of Japan in 2010 Spring at Hiroshima University

小矢野久(国立天文台/岡山)、佐々木敏由紀(国立天文台/ハワイ)野口猛(元国立天文台)、関口和寛(国立天文台)

Gamal B. Ali, Hamed Ismail, Ahmed Essam,Aly Haroon、Ibrahim Selim (NRIAG, Egypt)

エジプト・コッタミア天文台188cm望遠鏡の改修(II)

1. Kottamia 188cm TelescopeNational Research Institute of Astronomy and Geophysics (NRIAG), Helwan,Cairo,Egypt

3. Hartmann Test 結果

コッタミア天文台188cm望遠鏡の光学系修復を行っている。前回2009年6月期に続き、2009年11月14日から25日に同望遠鏡の不安定星像に関して、その主因である主鏡アキシャルサポートおよび同固定点の設定不具合を改善し、ニュートンCCD撮像機能の確立を図った。主鏡アクシャルサポートの改善後にハルトマンテストを実施し、光学性能の定量的測定を行った。また、今後のコッタミア天文台の天体観測機能を拡充するための諸機能の検討を行った。

2010-03-24~27

2. 作業項目

4. Coma-free 視野中心の確認

5. 今後の計画

Kottamia天文台はカイロ東方60kmの砂漠帯の小山483mにあり、国立天文台岡山天体物理観測所188cm望遠鏡の姉妹機を有する。年間晴天夜は300あるが、10年来の光学系不調が続き、充分使用されていなかった。エジプト側からの要請で我々は同望遠鏡の光学系修復を行っている(2009年秋季年会講演)。今回は2009年11月14日から25日にわたり、同望遠鏡での不安定星像に関して、その主因である主鏡アキシャルサポートおよび同固定点の設定不具合を、ハードウエアの改善とその調整を行う事によって改善し、ニュートンCCD撮像機能の確立を図った。主鏡アクシャルサポートの改善後にハルトマンテストを実施し、光学性能の定量的測定を可能とする測定を行った。

行った作業は、主鏡アキシャルサポートおよび同固定点の設定不具合の調整を主として、以下の項目を実施した。1.主鏡軸受け軸方向高さの測定および調整固定点の高さ調整し、その高さに合わせて他の軸受けの高さを調整した。高さの低い軸受けには支持パット部にプラスチックシートを臨時に挿入した。高さの高い軸受けにでは軸リミッタ穴を拡大して、調整可能とした。2.鏡軸方向軸受けの支持重量を測定した。ばらつきが10kg(10%)ある。3.主鏡半径方向軸受けの動作を確認した。4.ニュートン鏡支持機構の増締めを施した。(望遠鏡姿勢による星像移動が抑えられた)5.ハルトマンテストを実施し、取得イメージの評価を行った。6.その他

6-1 ドームフラット設置についての検討6-2 鏡蒸着方法の調査を行い、プリウエット法を提案した。6-3 主鏡 CO2スノー洗浄方法の導入案を検討した6-4 ニュートン副鏡、カセグレン副鏡カバーのクランプを更新した

今回の調整により、焦点像はシャープな星像となった。2星を用いたハルトマンテスト(2009-11-23実施)では、ハルトマン定数*は平均0.29秒(3377 33 Lyn)および平均0.32秒(4309 51 UMa)である。しかし、非点収差が若干見られる。188cm 望遠鏡主鏡アキシャルサポート支持力の測定で得られている10%を超える支持力のばらつきによる鏡面変形の可能性がある。*)ハルトマン定数は最小錯乱像の半径を秒角で表す。

1.主鏡軸方向軸受けの支持力の誤差10%を低減して、取得星像の改善を試みる。2.エジプト側が希望するニュートン焦点コマコレクターの設計を詰めて、製作可能手段を日本側で追求する。3.ドームフラット設置、鏡蒸着方法プリウエット法の導入、主鏡 CO2スノー洗浄法の導入を実施する。4.カセグレン分光器の遠隔操作化と観測実施を広島大学などとの協力で支援する。

ハルトマンテスト解析(左)。ハルトマン最小錯乱像焦点での残差プロット図(中)。最小錯乱像焦点でのスポット像(右)では、対称からずれた非点収差が見られる。

前回ニュートン焦点での撮像では南天視野から北天視野に移ったときに約4分角のコマフリー視野の移動がみられた。今回ニュートン焦点副鏡ホルダー内での副鏡のガタの検査(なしと判定)およびゆるんでいた焦点機構取付部の締め上げによって、観測視野によらずにコマフリー視野が安定していることを検査した。2009-11-23に撮像した北天のM38(ぎょしゃ座散開星団 α=05:28.7, δ=+35:50)、南天のM78(オリオン座反射星雲, α=05:46.7, δ=+00:03)の視野でのコマフリー視野中心は誤差(4", 13")の精度で一致していた。

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