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  • 28 ビジネスコミュニケーション 2012 Vol.49 No.6

    インターネットトラヒック急

    増に伴い、ネットワーク高度化

    製品が注目を集めている。その

    背景について、IPネットワーク

    プロダクツビジネスユニット長

    の市川弘幸氏は、「今までネット

    ワーク事業者はトラヒックの急

    増に対してトランジット回線の

    帯域を増やすことでお客様の

    QoE(体感品質)を確保してきましたが、さらなる設

    備増強が求められる一方で、収益確保との両立とい

    う経営課題に直面しています。モバイルキャリアや

    アクセス網事業者(CATV/ISPアクセス)の皆様から

    多数お問合せいただいています」と語る。このよう

    な課題を解決するソリューションとして、同社は

    Allot社のDPI(Deep Packet Inspection)製品

    「NetEnforcer/Service Gateway」とF5社の「VIPRION」

    を軸に顧客の用途に合わせた最適な提案活動を展開

    している。

    L7(アプリケーション)レベルでトラヒックを可

    視化・制御する独自のDPI技術を核にヨーロッパを

    はじめ世界的に急成長を遂げているのがAllot社だ。

    図1にAllot社のネットワーク高度化ソリューショ

    ンを示す。図 1左は、DPI技術により、動画配信や

    P2PなどのトラヒックをL7レベルで識別し可視化/

    QoS制御/課金を行う。これにより、加入者単位・

    アプリケーション単位でのリアルタイムな利用量把

    握と契約ポリシーに基づく帯域制御を行うと共に、

    柔軟な課金制御も可能となる。

    また図1右は、DPIによるインテリジェントなトラ

    ヒック・ステアリング(転送)ソリューションの例

    だ。トランジット回線の効率化の為にネットワーク

    エッジにビデオキャッシュ等付加価値サービス機能

    を設置する場合、キャッシュ効率の高いトラヒック

    を識別して転送することで、効果的なキャッシング

    が可能になる。

    Allotビジネスを担当する長翁政良主任は、「Allot

    社のDPI製品の最大の特長は、高機能(優れたDPI

    エンジンを搭載し、様々なQoSポリシーを設定可能)、

    使い易さ(GUIで設定ができ、種類豊富なレポート

    とグラフを提供)、高可用性(シグネチャのアップデ

    ートはダウンタイムなし、電力供給断時にも通信を

    継続するバイパス機能付)です。2003年から取扱を

    開始しましたが、2011年は対前年比約3倍増、国内

    ブロードバンド環境の進展に伴いインターネットトラヒック、特に映像系やP2Pトラヒックが急増している。通信事業者にとっては、設備増強と収益確保の両立が大きな経営課題となっている。以下では、この課題を解決するネットワークの高度化プロダクツとして、Allot Communications(以下、Allot社)のDPI製品と、F5ネットワークス社(以下、F5社)のアプリケーション・デリバリ・コントローラを中心に紹介する。

    グローバルプロダクツ事業本部IPネットワークプロダクツビジネスユニット

    4

    ネットワーク事業者が直面するトラヒック急増課題

    L7レベルでトラヒックを可視化・制御するAllot社のDPI製品

    【左】ビジネスユニット長 

    市川弘幸氏【中】技術グループマネージャー 

    尾形徹氏【右】主任 

    長翁政良氏

  • の売上No.1を獲得しました。

    特に2006年~2007年に流行

    したWinnyの対策として導

    入された機器が更改の時期

    を迎えており、他社製品と

    比較して、機能面、性能面、

    運用面、費用面、サポート

    面で高い評価をいただき、

    採用いただいたことが最大

    のポイントです。こうした

    問合せは非常に増えており、

    今後も乗せ換え需要が伸び

    ていくと考えています」と

    述べている。

    F5社のアプリケーション・デリバリ・コントロー

    ラのうち、特に最近注目を集めている製品が、最上

    位機種「VIPRION」だ。IPネットワークプロダクツ

    ビジネスユニットの尾形徹技術グループマネージャ

    ーはVIPRIONについて、「一言でいいますと、非常

    にコストパフォーマンスに優れ、拡張性の高い製品

    です。L4-L7レベルでのトラヒックの識別・制御のパ

    フォーマンスに優れ、しかもネットワークやアプリ

    ケーションの再設定なしにブレードを追加すること

    で容易にアップグレードが可能なためビジネスの成

    長に合わせた投資が可能です」と語る。

    図2にスマートフォン急増によるアクセスネット

    ワーク圧迫対策としてNTT-ATが提案する2種の付

    加価値サービス機能連動ソリューションを示す。

    ネットワーク高度化に不可欠な試験装置として注

    目を集めているのが、高い I P負荷がかけられる

    「Spirent TestCenter」とアプリケーションを意識し、

    キャプチャした実トラヒックを高負荷発生可能な

    「BreakingPiont FireStorm CTM」だ。「単純なパケ

    ットの量ではなく、アプリケーションの中味によっ

    てネットワークの品質が左右されることから、アプ

    リケーションを意識し、かつ非常に高負荷がかけら

    れる試験装置は、今や不可欠です。」(市川BU長)

    29ビジネスコミュニケーション 2012 Vol.49 No.6

    《DPI 可視化/QoS制御/課金ソリューション》 《トラヒック・ステアリング・ソリューション》

    Gx/Gy

    DPI (アプリケーション識別)

    PCEF (QoS制御/利用量モニター)

    Allot Service Gateway / SMP

    トラヒック可視化 Allot NetXplorer

    (リアルタイムモニタリング)

    リアルタイム課金/ポリシー管理 PCRF(ポリシー/課金ルール機能)

    OCS(オンライン課金システム)

    Service

    IMS

    Internet

    Allot Service Gateway

    DPIなどで識別した トラヒックの転送 (ステアリング)

    ビデオキャッシュ・最適化の提供

    Internet

    Streaming Caching

    Video Optimization

    DPI/PCEF

    PCRF

    StreamingCaching

    MediaOptimization

    付加価値サービス機能

    Allot SigmaE

    ParentalControl

    顧客の要望に応じた柔軟 なサービス・課金を提供

    F5 VIPRION

    顧客の用途に応じて 帯域制御装置Allot Sigma-Eか、 負荷分散装置F5 VIPRIONを提案

    Allotの特徴 ・アプリケーションレベルでのトラヒックの 可視化/帯域制御 ・ビデオやP2Pストリーミングなどの効果が 出るトラヒックのみをステアリング可能 ・非対称トラヒックの収容が可能 ・Service Chainにより、複数の付加価値 サービスが利用可能 ・PCRFとの連携が可能であるため、加入 者単位でのステアリングや、利用量に 応じた料金プランの設定が可能

    ・L4レベルで識別して、ビデオキャッシ ングやメディア最適化装置への負荷 分散が可能。(i-Ruleの作成により、

     

    L7レベルでの識別、負荷分散も可能)

    F5の特徴

    トラヒック急増

    Internetアクセス網/ モバイルアクセス

    ※PCRF: Policy and Charging Rules Function ※PCEF: Policy and Charging Enforcement Function

    ・TCP Proxy やHTTP 圧縮など によりパフォーマンスを向上

    図2 スマートフォン急増によるアクセスネットワーク圧迫対策ソリューション-モバイルキャリア、アクセス網事業者(CATV/ISPアクセス)向け-

    図1 DPI技術によるAllot社のネットワーク高度化ソリューション

    アプリケーション・デリバリ・コントローラ市場で多くの導入実績を持つF5社のVIPRION

    ネットワークの性能・QoS測定や脆弱性を評価する測定機器も提供


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