IGPI All Rights Reserved
企業のIoT, BD, AI戦略
2016年6月20(月) 株式会社経営共創基盤 代表取締役CEO 冨山和彦
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G×Lの成長機会の到来:AI新時代の到来
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デジタル革命 AI (人工知能)
第一期 (1980年頃~)
ダウンサイジングと水平分業
【コンピュータ産業】
第二期 (1990年頃~)
インターネット・モバイル革命
【BtoC系エレクトロニクス産業】
近年
ビッグデータ
IoT(モノのインターネット)、クラウド
第一次ブーム (1960年頃~)
物理記号システム仮説
エキスパートシステム、探索手法など
第二次ブーム (1980年頃~)
ソフトコンピューティング
ニューラルネットワーク、ファジィ理論など
近年
ディープラーニング
データマイニング、自然言語処理、画像・音声認識など
AI 革新による産業イノベーション
【自動車、重電、運輸・交通、医療・介護、観光、農業などすべての産業】
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既存プレーヤーが進化することで、産業分野ごとに、川下側と川上側の両方を押さえてしまうモデルが優越的になる可能性がある。
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AI 新時代はどのような企業が勝つのか
企画・開発
部品生産
組み立て
販売
アフター サービス
付加価値
バリューチェーン 川上 川下
キーコンポーネント サプライヤー
既存 プレーヤー
プラット フォーマー
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人工知能はビジネスをどう変えるか(次に破壊的イノベーションが起きるのはどこか?)
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「モノ、運動」に強い日本の産業クラスター vs 「データ、情報」に強いシリコンバレーの産業クラスター
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「TOYOTA RESEARCH INSTITUTE, INC.」
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• 2016年1月に、新会社を米国“シリコンバレー”に設立
• トヨタの技術イノベーションの拠点として、5年で10億ドルを投入
• 今後の産業技術の基盤となり、新たな産業創出も期待される人工知能技術の研究・開発を加速
トヨタ自動車(株)(以下、トヨタ)は、2016年1月に、人工知能技術の研究・開発の拠点として、新会社「TOYOTA RESEARCH INSTITUTE, INC.」(以下、TRI)を、米国カリフォルニア州の通称“シリコンバレー”に設立し、今後5年間で約10億ドルを投入する。
人工知能技術は、これからの産業技術の基盤を担うとともに、新たな産業を創出すると期待される重要技術である。今後トヨタは、TRIを技術イノベーションの拠点と位置づけ、人工知能技術に関する研究・開発を加速させる。
具体的には、人工知能技術を通じてビッグ・データを活用することにより、これからの社会が直面する様々な課題を解決し、将来の持続可能なモビリティ社会の実現はもとより、誰もが安心して安全・自由に、より豊かに暮らすことができる社会の実現を目指し、革新的な商品の企画・開発を進める。
元DARPAのPMであるギル・プラット博士(Gill A. Pratt)がTRIの最高経営責任者(CEO)に就任し、 優秀な研究者を集めるとともに、マサチューセッツ工科大学やスタンフォード大学に設立した研究センターとの連携を進めるなど、研究体制を強化していく。
出所 TOYOTA Global Newsroom
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労働生産性対米比(1980~2010年)
ドル
非製造業の労働生産性の国際比較
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労働生産性水準(1980~2010年)
ドル
出所:経済産業省「通商白書2013」
日本の生産性は、米国の5割程度にとどまっており、欧米諸国(独、仏、英)と比較しても低水準となっている
27.6
51.2
44.8
39.034.8
0
5
10
15
20
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1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010
日本 米国 英国 ドイツ フランス
53.9
100.0
87.6
76.267.9
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70
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1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010
日本 フランス 米国 英国 ドイツ
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労働生産性水準(対米日)と就業者シェア
出所:経済産業省作成資料より
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ピンチがそのまま大きなチャンスへ!
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労働生産性の低さは巨大なのびシロ
今後のAIイノベーションは労働生産性向上に最も効果的
構造的、、慢性的人手不足社会においてはイノベーションベネフィット » コスト
AIイノベーションに後顧の憂いなく突っ走れる国
AIイノベーションで解決すべき経済社会問題は、将来、世界中が直面
果実はグローバル展開できる
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リニアモデルとスパイラルモデルの連動力が鍵
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イノベーションの加速
基礎研究
基礎研究
基礎研究
社会実装
社会実装
社会実装
基礎 応用 開発 事業化
物質系イノベーション 情報系イノベーション
魔の川
死の谷
ダーウィンの海
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スタディサプリ
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© Recruit Holdings Co., Ltd
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解決課題
物質系のリニアなイノベーションのエコシステムもまだまだ脆弱
基礎研究では日本はトップレベル
情報系のスパイラルなイノベーション・エコシステムはもっと弱い 規制改革の遅れ 省別、業界別、企業別、学域別のタコツボ構造
ベンチャーエコシステムの課題
大手金融機関系のサラリーマンキャピタリストの限界 ストリートファイター系から本格テッキー系への転換
大企業の課題
閉じた同質的組織の限界(世界のトップVBが組みたい相手か?) 過剰すり合せ、競争領域過大評価のワナ
大学・研究機関の課題
・「知のプロフェッショナル」の活動領域、人材市場をオープンでダイナミックで流動的にすることは必須 ・テストベッド、プラットフォームをどんどん作り「社会実装」実験をやらせる
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日本の新陳代謝力を高めよ!
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2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
開業率 日本
USA
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出所:日本:法務省登記統計、国税庁「国税庁統計年報書」より算出
アメリカ:U.S. Business Dynamics Statistics
イギリス:Office for National Statistics「Business Demography」
ドイツ:Statistisches Bundesamt
フランス:2014年中小企業白書
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日本の新陳代謝力を高めよ!
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4%
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12%
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2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
廃業率 日本
USA
UK
ドイツ
フランス
出所:日本:法務省登記統計、国税庁「国税庁統計年報書」より算出
アメリカ:U.S. Business Dynamics Statistics
イギリス:Office for National Statistics「Business Demography」
ドイツ:Statistisches Bundesamt
フランス:2014年中小企業白書
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政策論(立法と予算措置)としてのベンチャー問題
どれを政策(立法と予算措置)の対象領域として考えるのか?
既存の市場メカニズム、民間プレーヤー(金の出し手、事業の担い手)の機能状況にかなりの差が存在するので、政策的には異なるアプローチが必要 Ⅲ、Ⅳは民間市場機能(バイアウトファンド、既存の日本型VCと銀行のデット金融など)
ですでにかなりカバーできている(後述するDCFの世界) Ⅰ、Ⅱ、特にⅠにおいて問題は深刻であり、「エコシステム」はほとんど存在しない
労働集約型 知識集約型
ヒト
高
低 カネ
(資本集約度)
Ⅰ. 本格 テッキー系
バイオ、材料、 メカトロ、 エネルギー、B2B業ハイテク
Ⅱ. ネット上B2Cサービス系
アプリ、 ゲーム・・・
Ⅲ. ストリート ファイター系
外食、小売、アパレル・・・
Ⅳ. インフラ系
公共的設備 サービス系
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第1回IoT推進ラボ(10月30日) 支援委員会の半数が外資系企業
10月23日に開催された総会の様子 600社、760人が参加
7
IoT推進ラボ
○国内外の大手企業・ベンチャー 合計900社超がメンバー ○外資系企業が大きなプレゼンス ○業種・企業規模・国内外の垣根を超えたプロジェクトを継続的に組成していく
○様々な分野でIoTの社会実装をいち早く進め、規制改革・ルール形成につなげる
→とにかく具体的プロジェクト 「百の総論」より「一の各論」
→国籍を問わず、オープンな運営
○企業間連携によるプラットフォームの獲得
→競争領域と協調領域の戦略
第一回(10月30日)の意見の概要 ○IoTビジネスは圧倒的にスピード。日本は「面倒な国」であり、事業の候補地にこれまでなっ
ていないが、技術力と社会的ニーズを有しており、チャンスあり。 ○このためには、どのような規制があっても、1年以内には先鋭的な実証が開始できるような
「スピード感」と「リーダーシップ」による環境整備が必要。
<ラボのミッション>
破壊的イノベーションの時代を生き抜く隠れたcritical issue (1)
企業統治を含む日本企業の「会社のかたち」の問題
経営力≒決断力×実行力(現場力)
日本の組織の弱点は「決断力」 「あれも、これも」のすり合せバイアス(アジェンダ設定の問題) 「あれ」を選ぶか「これ」を選ぶか(的確性の問題) 迅速に決められるか(適時性の問題)
イノベーションの時代は決断力の重要性が非常に高まる
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モノ、運動系領域から全産業を覆うような大きなイノベーションが起きつつあるLの問題を解決し、その成果をGに展開できる千載一遇のチャンスを逃すな!
「日本型」正規雇用を基軸にした「働き方」の問題
新卒一括採用&終身雇用&フルタイムな働き方至上主義
もはや「日本型」とは言えない現実 実質20%しかカバーしない慣行を「日本型」と呼ぶイタさ
知識集約化、サービス化、ダイナミック化、グローバル化との著しい不適合 特定の企業と個人を生涯にわたりフルタイムで結合させることにどこまで意味があるのか(特に働き手にとって)? 「正社員」は高生産性の幻想 スーパープロフェッショナル化(Gの世界)、ジョブエキスパート化(Lの世界)は不可避 スキル教育の生涯化も不可避
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多様で柔軟で可変的で複線的でオープンかつフェアな働き方体系とそれを支える教育システムの再構築を急げ!
破壊的イノベーションの時代を生き抜く隠れたcritical issue (2)
ご清聴ありがとうございました