オープンソース・オフィススイート「 LibreOffice 」と「 LibrePC 」
榎真治 ([email protected])アイクラフト株式会社
in SIGGRAPH Asia 20152015-11-05
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自己紹介 : 榎真治(えのきしんじ)● LibreOffice 日本語チームメンバー (2011- 現在 )● The Document Foundation メンバー (2014/4- 現在 )● フリーで LibreOffice のコンサル / サポート / トレーニング● アイクラフトと一緒に LibreOffice および LibrePC のビジ
ネス開発・サポート体制の構築
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アジェンダ
1.LibreOffice の紹介2.LibreOffice サポートの紹介3.LibrePC の紹介
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LibreOffice は 6 つの機能を統合● ワープロ● 表計算● プレゼンテーション● 図形描画● データベース● 数式エディタ
Microsoft Office に近いファイルの相互運用性も
チラシ、ポスターなどに便利ブースの印刷物はこれで
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LibreOffice の特徴● オープンソース● マルチプラットフォーム
– Windows 、 Macintosh 、 Linux● 多くの言語に対応
– インストール時に選べる言語は 110 くらい
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最近では ...● オンライン版
– 開発中– HTML5 で表示、ブラウザで編集– 画像をタイルレンダリング
● Android 版– ビューアが Google Play ストアで公開
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LibreOffice のミッション● 自由なオフィススイートを作ること!
– 誰もが自由に使えること– 誰もが自由に改変し、再配布できること
● 価値観:– 多くの人に参加してもらえるよう、透明性を重視
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LibreOffice コミュニティ(デンマークでの LibreOffice カンファレンス集合写真)
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活用例● Microsoft Office 全面 / 部分置換え● プレゼンを活用したい
– Impress のみ使うケースも● チラシなどを簡単に作りたい
– 図形描画の Draw を中心に
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導入のメリット :JA 福岡市● (全面導入 +Web でマニュアルを公開)● プレゼンツールを使った営業力の強化
– PowerPoint はほとんど購入していなかった– 追加コストなしで強化を計った
● バージョンアップ地獄を回避● ライセンスコストを低減● バージョンの統一によりサポートコストの低減
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導入のメリット : 会津若松市● ライセンスコストの削減(無駄な税金を使わない)● 国際標準のファイル形式 ODF へ対応● 市民もライセンスコストが不要な LibreOffice を使え
る● オープンな文化の醸成:オープンデータ活動へ
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導入のメリット(一般的に)● ライセンスコスト削減
– バージョン統一などでサポートコストが下がるケースも– 組織だけでなく、市民のライセンスコスト削減も
● ベンダロックイン回避– 誰でもソースコードレベルのサポートが可能に– バージョンアップ地獄を回避
● 自由な文化を組織に導入する
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気をつけるポイント● Microsoft Office の互換性品ではない
– 機能的な違いもある。 LibreOffice の方がいいところも– ファイルのやりとりすると、ずれるのは普通
● 情報は少な目– 書籍やコミュニテイはある
● 日本ではベンダサポートが弱かった– 今回、サポートサービスを行います
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業務改革プロジェクトとして● 技術的課題は少ないが、組織文化への影響
– 業務を棚卸しするチャンス– 現場が混乱しないようなフォローが大事– 組織内の調整も大事に
● 練習として最適– 業務システムがダウン、みたいなリスクはない– 当初の想定から外れても MSO のライセンスを買い足す程度– そういう意味でリスクはない
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導入事例● 国内
– 徳島県庁、会津若松市、交野市、甲賀市、– JA 福岡市、住友電工、 NTT コムウェアなど
● 海外– フランス内務省 24 万台、イタリア国防省 15 万台– イギリス政府などは ODF を標準へ: Collabora と契約– 台湾でも ODF を標準へ
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県庁で全面導入し、操作マニュアルをオープンデータで公開http://www.pref.tokushima.jp/docs/2011081000092/
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https://joinup.ec.europa.eu/community/osor/news/italian-military-switch-libreoffice-and-odf
イタリア国防省は LibreOffice を 15 万台へ導入プロセスを公開し、マニュアルもオープンデータで公開
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1.LibreOffice の紹介2.LibreOffice サポートの紹介3.LibrePC の紹介
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日本での LibreOffice のサポート状況● 移行や問い合わせサポートを提供している会社は何社か
ある– ただし、あまり知られていない
● 問題があった際にパッチを作成するなどのサポートが日本では提供されていなかった– 世界ではヨーロッパなどを中心に複数のベンダが存在
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そこで今回、● LibreOffice 認定開発者を最も多く擁する
英国・コラボラ社のサービスをアイクラフトでリセール● シーグラフ・アジアにあわせて発表、サービスを開始
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コラボラ社のサポート: 3 年間サポート( LTS )● 課題
– LibreOffice では半年ごとに機能追加版がリリース– 機能追加したくない場合、サポート期間は 1年程度– アップデート時に、再インストールする必要
● サービス– 3 年間機能追加なしのバージョンを提供– 差分アップデートの提供
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コラボラ社のサポート:レベル 3 サポート● 問題があった際に、ソースコードレベルで解析し、
必要に応じて素早くパッチを提供する
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アイクラフトがサポートパッケージとして提供● 課題
– 直接コラボラ社へ英語で問い合わせはハードルが高い– 障害の切り分けも、自力で行うのは簡単ではない
● レベル1:問い合わせ対応● レベル2:障害切り分け+コミュニティへのバグ報告や
(レベル 3 契約の場合は)コラボラ社へのエスカレーション● 日本のユーザーが安心して LibreOffice を使える環境の構
築を目指します
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英国政府がコラボラ社と契約してLibreOffice 導入を進めることを発表
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デンマークでの LibreOffice カンファレンスにてコラボラ社の Michael Meeks 氏、 Jan Holesovsky 氏と
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1.LibreOffice の紹介2.LibreOffice サポートの紹介3.LibrePC の紹介
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LibrePC の紹介● アイクラフトによる、 Linux をインストールした
パソコンへのサポート● ハードウェア、 OS 、主なアプリケーションをワンス
トップでカバー● 電話、メール、駆けつけサポート
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LibrePC● Windows クライアントやサーバ向けは以前よりサ
ポート● パソコン(ハード)もセットで提供可能
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デモ
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Linux クライアントの状況● 使い勝手も向上して、以前よりこなれてきた● OS 同士の見た目も近づき、さほど差がなくなってきた● Web サービスが増えたこともあり、
OS に依存するソフトウェアを使うシーンが減った
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なぜ LibrePC ?● Windows はメンテナンスが大変
– Debian/Ubuntu はアプリケーションまで一括で管理できてアップデート管理コストが低い
● 最近はサイバー攻撃も激しく Windows は狙われがち– Linux ベースであれば、現状は狙われる確率は低い
● ライセンスコストをカットできる– Linux+LibreOffice をセットで利用すれば 1 台あたり数万円以上のコストカットになるケースも
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Linux クライアントの課題● アプリケーションは、充実していない分野もある● 事例・情報が少ない● ビジネス向けのサポートが少ない
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LibrePC に適したパターン● ブラウザやオフィスソフト (LibreOffice) くらいしか
使わない業務● 現場の業務で、パソコンはメールや報告書レベルとか● VDI のクライアント側、もしくは仮想側
– 両方に Windows+MSO のライセンス費用を払うのは高い
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なぜアイクラフトはやるのか● オープンソースのエコシステムを支える活動をしたい
– 利用側から開発側へフィードバック– コミュニティで活動する人を支える
● IT をビジネスで使う際に、安心して使ってもらえるようにサポートしたい
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まとめ● LibreOffce は統合オフィススイートとして成熟● LibreOffice サポートにより、日本でもユーザが安心
して使える環境へ● LibrePC で Linux を普通の PC として使えるように
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Q&A
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ありがとうございました● 榎真治● お問い合わせ先: [email protected]