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研究所ニュース

「EE東北’14」および第1回「震災対策技術展」/大阪への出展

寒地技術推進室

写真-1 展示ブース内での開発技術の説明

写真-2 新技術プレゼンテーションで

  発表する二ノ宮研究員

1.はじめに

 寒地土木研究所では、各種の技術展示会等において研究成果の普及活動を推進しています。その一環として、東日本大震災の復旧・復興事業の本格的支援が進む中で寒地土木研究所の開発技術の普及を目的に「EE東北’14」および第1回「震災対策技術展」/大阪に出展したので報告します。

2.「EE東北’14」への参加

 平成26年6月4日(水)~5日(木)、宮城県仙台市「夢メッセみやぎ」において、EE東北実行委員会主催で「EE東北’14」(ENGINEERING�EXHIBITION)が開催されました。「EE東北」は、建設事業に係わる新材料・新工法、その他時代のニーズに対応して開発された新技術を公開し、その普及を図ることにより、技術開発を促進するとともに、良質な社会資本の整備を通じて社会に寄与し、新技術を広く公開することが目的となっています。出展技術は、「復旧・復興に関する技術分野」、「建設段階の技術分野」、「維持管理・予防保全の技術分野」、「建設副産物・リサイクル等の技術分野」、「防災・安全等の技術分野」、「その他共通の技術分野」の6分野であり、主催者発表では出展者数が298、出展技術数が792、2日間の来場者数は過去最多の12,800人であり、新技術への関心と早期復興への期待が伺えるといったコメントがありました。 寒地土木研究所からは、「その他の共通技術分野」に地域景観ユニットの二ノ宮研究員が「積雪寒冷地における景観形成手法」について、「維持管理・予防保全」の技術分野に寒地機械技術チームの住田主任研究員らが「ロータリ除雪車対応型アタッチメント式路面清掃装置」について展示説明を行いました。 会場セッションにおけるプレゼンテーションでは、「積雪寒冷における景観形成手法」と題して、地域性を踏まえた実践的なルール作りに関する技術資料である「北海道の道路デザインブック(案)」、「北海道における道路景観チェックリスト(案)」、「北海道の道路緑

化に関する技術資料(案)」について、作成に至った背景や、その内容について発表するとともに「北海道の道路デザインブック(案)」の記載例として、片持式道路案内標識と比較して景観・コスト・安全性で優れる「路側式道路案内標識」について詳細な説明がありました。

3.第1回「震災対策技術展」/大阪への参加

 平成26年6月17日(火)~ 18日(水)、大阪府大阪市のグランフロント大阪内「コングレコンベンションセンター」において「震災対策技術展」/大阪実行委員会主催で開催されました。「震災対策技術展」は、地

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写真-4 携帯端末で計算結果のムービーを

確認する阿部研究員 

写真-3 セミナー講演で発表する阿部研究員

4.おわりに

 今回は「EE東北’14」と第1回「震災対策技術展」/大阪に参加し、開発技術について紹介しました。その中で「寒地土木研究所」とは一体どのような組織なのかといった質問を多数受け、積雪寒冷地で求められる寒地土木技術を開発している研究機関であるといった基本的なPRが必要であると実感しました。 今後も各地で開催されるショーケースやフォーラムおよび仙台と横浜で開催される「震災対策技術展」等に参加し、多くの開発技術を積極的に紹介していきたいと考えています。

(文責:寒地技術推進室 竹ヶ原 一郎)

 セミナー講演への来場者からは、「無償のソフトウェアは誰でもダウンロード出来ますか。」や「NPOの取り組みとして取り入れたいと考えているが、本当に遡上距離や遡上高を計算することが可能なのか。」といった活発な質疑応答があり、関心の高さが伺えま

した。また、講演後の来場者からのアンケートでは、「簡単にシミュレーションが出来そうなので、近くの川でやってみたい。」、「予測データとして活用してみたい。」、「データがあれば誰でも出来るのは面白い。」といった好評価をいただきました。 さらに展示ブースにおいても、この技術を活用したいといった相談を多数受け、研究事例を用いて具体的な説明のもと、データの入力やソフトウェアの使用方法について活発な意見交換が交わされていました。

震をはじめとする大規模な被害を及ぼす土砂災害や水災害の脅威に対する減災社会の構築を目的とされ、最新の災害対策製品・技術・情報が一堂に会し、また、地震・災害対策をテーマに地方自治体、研究機関、学術機関から専門家による最新情報のセミナーが催されました。 出展技術は、「震災対策総合支援」、「備蓄品」、「電力対策」、「非常時通信対策」、「BCP 関連」、「救助・救出支援」、「水害対策」、「その他の災害対策」の8分野に分かれており、主催者発表で出展者数が124社で162小間、セミナー講演は34セッション、来場者数は2日間で8,900人であり、震災対策・自然災害対策に焦点を持たれた方々が多く訪れていました。 寒地土木研究所からは、水害対策として寒地水圏研究グループ寒地河川チームの阿部研究員が「河川津波における遡上距離・遡上高の推定手法とその活用方法」について、展示説明とセミナー講演を行いました。 事前に津波規模と河川流量に応じた河川津波の遡上距離および遡上高を計算し河川津波予測縦断図を作成しておき、河川津波が発生した場合には瞬時に遡上距離と遡上高の値を得られ、河川管理者にとって緊急を要する防災・減災対応を判断するための基礎資料とすることが可能といった説明と、この技術は無償のiRIC ソフトウェアを活用し、地形データ等は無償のGIS ソフトQGIS を活用して解析の準備を行い、特別な知識を有さない人でも河川津波の平面的な氾濫範囲を把握出来るといった講演内容でした。

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