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木質ペレット製造実証実験について
平成 27 年3月 長岡市環境部環境政策課
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Ⅰ 目 的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
Ⅱ 概 要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
1.検証事項 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
2.実施期間 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
3.実施場所 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
4.実施体制 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
5.原材料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
6.製造工程 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
7.使用機器 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
Ⅲ 検証結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
1.木質ペレットの生産性について ・・・・・・・・・・・・ 4
(1)生産量 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
①生産実績 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
②当プラントの生産可能量 ・・・・・・・・・・・・・ 4
(2)生産性向上のための取組み ・・・・・・・・・・・・・ 4
①一次破砕工程 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
②二次破砕工程 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
③乾燥工程 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
④袋入工程 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
2.木質ペレットの品質について ・・・・・・・・・・・・・・ 6
(1)木質ペレットの燃焼試験結果 ・・・・・・・・・・・ 6
(2)木質ペレットの品質検査結果 ・・・・・・・・・・・ 11
(3)モニターアンケートの結果 ・・・・・・・・・・・ 13
(4)品質向上のための取組み ・・・・・・・・・・・ 14
①一次破砕工程 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14
②二次破砕工程 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14
③乾燥工程 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14
④ペレット成型工程 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
⑤その他 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
3.その他 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
(1)故障発生の未然防止対策、故障時の対処について ・・・ 16
(2)作業環境等について ・・・・・・・・・ 16
(3)作業事故防止の取り組みについて ・・・・・・・・・ 17
(4)製造した木質ペレットの販売について ・・・・・・・・ 17
(5)製造コストについて ・・・・・・・・・・・・・・・ 18
目 次
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Ⅳ ま と め ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20
1.検証結果の総括 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20
2.今後の取組み ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20
参考資料 ・資料1 木質ペレットの製造工程 ・資料2 機器配置図 ・資料3 各機器の説明
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1
Ⅰ 目的
本実証実験は、これまで処理に困っていた街路樹剪定枝等のバイオマス資源としての可能性と、
小規模生産設備を用いた木質ペレット製造における諸課題を検証することを目的に実施したも
のです。
Ⅱ 概要
1.検証事項
主に、以下の事項について検証を行いました。
・木質ペレットの生産性について
・木質ペレットの品質について
2.実施期間
平成 24 年度から平成 26年度の3年間
3.実施場所
長岡市柿町地内 旧仮設牛舎
製造施設外観 製造施設内の状況
4.実施体制 本事業は、長岡緑地環境協同組合(以下『組合』という。)と市が協定を締結し、以下の分
担により実施しました。
○組合
・木質ペレットの製造、販売及びこれに係る人件費の負担
【作業人員】 4名体制(平成 26年度から2名体制)
【作業時間】 第2・第4土曜日を除く平日午前8時~午後5時
・一次破砕機、二次破砕機の購入
○長岡市
・木質ペレット製造経費(燃料費、光熱水費、その他諸経費)の負担
・木質ペレット製造設備の購入(破砕機を除く)
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2
5.原材料
本実証実験では、組合に加盟する造園業者から排出された伐採樹木を使用しました。 主な樹種は下記のとおりです。 広葉樹 アカシア・サクラ・プラタナス・トウカエデ・イチョウ・ヤナギ
ケヤキ・ポプラ・ユリノキ・シラカシ ほか 針葉樹 マツ類・ヒバ類・ヒマラヤシーダ・スギ ほか
6.製造工程
次の工程で製造を行いました。 ※詳細については、巻末の資料1、2を参照
⑤ペレット成型
ペレタイザーにより木質ペレットを
製造
カップエレベータで振い機に投入し、
振い機からフレコンバッグへ投入
一次破砕したチップを軽トラックで集
積所から製造施設内へ運搬
②二次破砕(二次破砕機)
チップをベルトコンベアから二次破砕
機へ自動投入し、さらに破砕
③乾燥(ロータリーキルン)
チップをベルトコンベアでロータリー
キルンへ自動投入し、乾燥させる。
①一次破砕(一次破砕機)
原材料を集積所で破砕
チップを人力でベルトコンベアへ載せ
る。
二次破砕したチップはベルトコンベア
上に自動的に落下
④移動(サイクロン)
乾燥後のチップをサイクロンで吸引
し、一次貯蔵箱に移す。
チップを一次貯蔵箱からペレタイザ
ーへ自動供給
保管
フレコンバッグのまま冷却し、保管
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3
7.使用機器
本事業では、下記の機器を使用し、木質ペレット製造を行いました。
機器の名称 目的 使用機器(能力)
①一次破砕機 原材料を破砕
(45mm 程度まで破砕)
㈱モロオカ MC-2000
出力/回転数 145/2,100kw/min-1
ホッパー 高 1,300×径 1,800mm
②二次破砕機 一次破砕したチップをさ
らに細かく破砕
(9.5mm 程度まで破砕)
協和機工㈱ KF-812A
モーター10ps、破砕口寸法 315×185mm、
回転刃6枚、固定刃4枚、
③ロータリーキルン 破砕したチップを乾燥 ㈱さいかい産業
処理量 80~200kg/h
熱 源 燃焼炉(燃料は、ペレット成型
に適さない細い枝等を使用)
④サイクロン
チップをロータリーキル
ンから吸引し、排出させ
る。
㈱さいかい産業
φ600
排気ファン屋外モータ 3.7kw
⑤ペレタイザー 木質ペレットを成型 新興工機㈱ S-30
成型能力 100~250kg/h
※ 機器の詳細については、巻末の資料3を参照
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4
Ⅲ 検証結果
1.木質ペレットの生産性について
小規模生産設備を用いた木質ペレットの生産性について、以下の検証結果を得ることができ
ました。
(1)生産量
①生産実績
平成 25 年2月 12日から平成 26 年9月 30日までの間に、全木ペレットを 66.6t製造し
ました。
【内訳】ペレットストーブ向け(直径7mm) 64.6t
ペレットボイラー向け(直径7mm、8mm) 2.0t
※1 全木ペレットとは、原材料の樹皮を剥かずに製造した木質ペレットです。
※2 本実証実験で製造したペレットボイラー向けの木質ペレットは、原材料として枝部を多く使用している
ため、ストーブ用と比べて樹皮を多く含んでいるものです。
【月ごとの生産量】 単位:t
4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 合計
24 年度 - - - - - - - - - - 1.00 2.00 3.00
25 年度 1.80 3.00 3.45 2.88 3.82 3.04 6.77 7.15 2.80 1.44 0 1.90 38.05
26 年度 0 0 3.60 6.85 8.55 6.55 - - - - - - 25.55
②生産可能量
当プラントをフル稼働した場合、木質ペレットをどれくらいまで生産できるのかについ
て、平成 26 年度に検証を行いました。その結果、平成 26 年8月の生産量が 8.55tであっ
たことから、年間を通じて安定的に、この製造ペースを維持した場合、年間 100t以上の製
造が可能であることがわかりました。
(2)生産性向上のための取組み
木質ペレットの生産性を向上させるために行った取り組みは以下のとおりです。
これにより、当初4名体制のところ、2名体制での作業が可能になりました。
①一次破砕工程
・実証実験開始当初、一次破砕は 30mm のスクリーンメッシュを使用していましたが、破
砕に時間が掛かりすぎること、破砕機のドラム内で目詰まりが発生することから、平成
25 年度に 45mm のスクリーンメッシュに変更し、これを改善することができました。
※1
※2
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5
②二次破砕工程
・実証実験開始当初は、一次破砕のみであったため、大粒のチップの混入によりペレタイ
ザーが目詰まりを起こすなどのトラブルが発生しました。平成 25年度に二次破砕機を導
入し、改善することができました。
・しかし、二次破砕機への投入作業を人力に頼らざるを得なかったため、作業効率の低下
を招く結果となりました。このため、平成 26年度に二次破砕機へのチップ投入用ベルト
コンベアを増設し、作業効率の向上を図ることができました。
実験当初 平成 26 年度ベルトコンベア1基増設 実験開始当初 平成 26 年度ベルトコンベア増設 ③乾燥工程
・実証実験開始当初は、ペレタイザー投入前のチップの含水率を測定できず、高含水率(広
葉樹で 35~50%、針葉樹で 40~50%)のチップを投入していたため、ペレタイザーの目
詰まり等のトラブルが発生しました。平成 25 年度に水分計を導入し、破砕後のチップの
含水率を測定するなど、生産の各工程で水分管理を徹底することにより、安定的に製造で
きるようになりました。
④袋入工程
・実証実験開始当初は、木質ペレットを成型する際に生ずる木粉をふるい機にかけた後、
カップエレベータでフレコンバッグに収めていましたが、カップエレベータが木質ペレッ
トを砕いてしまうため、木粉がフレコンバッグへ多く混入してしまいました。
これを改善するため、ふるい機とカップエレベータの順番を入れ替えることにより、フ
レコンバッグに混入する木粉の量を減少させることができました。
変更前:ペレタイザー ⇒ ふるい機 ⇒ カップエレベータ ⇒ フレコンバッグ
変更後:ペレタイザー ⇒ カップエレベータ ⇒ ふるい機 ⇒ フレコンバッグ
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6
2.木質ペレットの品質について
製造した木質ペレットについて、燃焼試験、品質検査及びモニターアンケートを実施し、燃料と
しての品質に問題のないことが確認できました。
(1)木質ペレットの燃焼試験
以下の燃焼試験を実施しました。
・自主燃焼試験
・家庭用ペレットボイラー等製造業者による燃焼試験
・業務用ペレットボイラー製造業者による燃焼試験
①自主燃焼試験
製造施設内に設置したペレットストーブを使用し、他社製の木質ペレットとの燃焼具合等
の比較を行いました。(平成 25年 12 月実施)
■燃焼試験の概要
下記の木質ペレット各5㎏について、㈱さいかい産業製ペレットストーブ(定格出力
10,836kcal/h)を使用し、燃焼状況を比較しました。
■使用した木質ペレット
a,ホワイトペレット(A社製造、小売価格 60 円/㎏)
b,全木ペレット (B社製造、小売価格 60 円/㎏)
c,全木ペレット (本実証実験で製造、小売価格 55 円/㎏)
■試験結果
3種類ともに、未燃焼ペレットは発生せず良好に燃焼しました。
灰の量は3種類とも1%未満であったものの、本実証実験で製造した木質ペレットは、
他と比べて灰が多く生じました。これは、原材料に樹皮が多く含まれていることが要因で
あると考えられます。
a b c
1 直径、含水率 6mm、6.3% 6mm、6.0% 7mm、5.8%
2 燃焼状況 良 良 良
3 灰の発生量 12g 28g 48g
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②家庭用ペレットボイラー等製造業者による燃焼試験
家庭用ペレットボイラー及びペレットストーブを製造する業者〔㈱さいかい産業〕による
燃焼試験を実施しました。
■燃焼試験の概要
㈱さいかい産業製のペレットボイラー(定格出力3万 kcal/h)2台及びペレットストー
ブ(定格出力 5,590kcal/h)を使用し、燃焼試験を実施しました。(平成 26年3月実施)
■試験結果
ペレットボイラー等の燃料として、問題のない品質であることが確認できました。
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精度
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③業務用ペレットボイラー製造業者による燃焼試験
業務用ペレットボイラー製造業者〔小片鉄工㈱〕による燃焼試験を実施しました。
■燃焼試験の概要
小片鉄工㈱製のペレットボイラー(定格出力 50 万 kcal/h)を使用し、燃焼試験を実施し
ました。(平成 26年 10 月実施)
■試験結果
業務用ペレットボイラーの燃料として、全く問題のない品質であることを確認すること
ができました。
また、「あぐらって長岡」内に設置してある同一形式のペレットボイラー(小片鉄工㈱製
定格出力 10 万 kcal/h)での使用についても問題がないことを確認できました。
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11
(2)木質ペレットの品質検査結果 一般財団法人 新潟県環境分析センターに依頼し、製造した木質ペレットの品質検査を
5回実施しました。 ■検査結果
1 林野庁の定める木質ペレットの指標値
※1 http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/riyou/pdf/121102-03.pdf
検査項目 単位 検査結果
指針値 判定 H25.2 H25.10
H26.3
ボイラー用 H26.9
H26.10
ボイラー用
セシウム 134 Bq/Kg
4 未満 4 未満 未実施 4 未満 4 未満 40以下(セシウム134及び
137 の合計) 適
セシウム 137 4 未満 4 未満 未実施 4 未満 4 未満
2 一般社団法人 日本木質ペレット協会の定める品質基準
※2 http://www.w-pellet.org/pellet/hinshitsu.pdf
検 査 項 目 単位
検査結果
基準値 判定 H25.2 H25.10
H26.3
ボイラー用 H26.9
H26.10
ボイラー用
直 径 ㎜ 7.0 7.1 7.1 7.1 8.0 7.0(8.0) 適
長 さ %
-
100
(無) 100 (無)
100
(無) 100 (無)
100
(無)
長さL≦30㎜が質量割
合で95%以上かつL>40
㎜が含まれないこと
適
か さ 密 度 kg/㎥ 770 730 710 760 700 650 以上 750 以下 一部否
含 水 率 % 8.2 7.3 6.4 5.1 7.0 10 未満 適
微 粉 率 % 0.4 0.2 0.1
未満 0.8 0.6 1.0 未満 適
機械的耐久性 % 96.2 97.5 95.4 94.6 91.3 97.5 以上 一部否
高 位 発 熱 量 MJ/kg 18.5 18.5 18.5 18.5 18.5 18.4 以上 適
低 位 発 熱 量 MJ/kg 17.5 17.0 17.5 17.5 17.0 16.5 以上 適
灰 分 % 5.7 1.1 3.0 1.5 1.4 5.0 未満 一部否
硫 黄 % 0.03 0.03
未満 0.06
0.03
未満
0.03
未満 0.03 未満 一部否
窒 素 % 0.2 0.1 0.5 0.2 0.2 0.5 未満 適
全 塩 素 % 0.02
未満
0.02
未満 0.02
0.02
未満
0.02
未満 0.02 未満 適
ヒ 素 mg/kg 0.1
未満
0.1
未満
0.1
未満
0.1
未満
0.1
未満 1 未満 適
カ ド ミ ウ ム mg/kg 0.84 0.14 0.28 0.07 0.13 0.5 未満 一部否
全 ク ロ ム mg/kg 1 未満 1 未満 1 未満 1 未満 1 未満 10 未満 適
銅 mg/kg 4 1 3 1 1 10 未満 適
総 水 銀 mg/kg 0.01 未
満
0.01 未
満
0.01 未
満
0.01 未
満
0.01 未
満 0.1 未満 適
ニ ッ ケ ル mg/kg 1 未満 1 未満 1 未満 1 未満 1 未満 10 未満 適
鉛 mg/kg 1 未満 1 未満 1 1 未満 1 未満 10 未満 適
亜 鉛 mg/kg 41 12 27 10
未満
10
未満 100 未満 適
※ 網掛の項目が、基準値不適合
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12
・放射性セシウム濃度については林野庁の定める指針値以下でした。
・一般社団法人日本木質ペレット協会(以下『協会』という。)が定める品質基準について、
平成 25 年 10 月に実施した検査では、すべての項目に適合することができたものの、他の
時期に実施した検査では、かさ密度など一部の項目で基準を満たさないものがありました。
協会に確認したところ、これにより流通・販売における規制を受けることはなく、製品と
しても問題はないと回答を得ています。
以下に、不適合となった主な項目について、原因を考察します。
≪かさ密度≫
かさ密度とは、容器に木質ペレットを目一杯充てんした時の密度のことをいいます。
木質ペレットの長さが短いと、木質ペレット同士と容器の間隙が少なくなるため、かさ
密度の値は大きくなります。
木質ペレットの長さは、一般的に、これを成型するペレタイザーの金型(ダイス)の厚
さに比例するとされています。平成 26年度は、ペレタイザーのダイスを、従来品よりも薄
いものに交換したため、かさ密度の濃度が高くなってしまったものと考えます。
≪機械的耐久性≫
機械的耐久性とは、木質ペレットの壊れにくさのことをいいます。
協会に確認したところ、主に製造技術の熟練度に大きく影響する項目とのことでした。
ボイラー向け8mmサイズの木質ペレット製造により、直径を大きくしたことで成形・圧縮
の度合いが甘くなったことなどが原因で基準値を下回ったものと考えます。
また、今回の実験で、原材料として針葉樹と広葉樹が混在すると成型しずらい傾向があ
り、同一樹種を原材料とした方が良いという結果がでています。
≪灰分≫
灰分とは、木質ペレットを燃焼させた後に残る不燃物のことをいいます。
一般的に原材料が広葉樹の場合、灰の量が多くなるといわれています。
≪硫黄≫ 原材料である街路樹等の病害虫防除用に使用された薬剤の影響が考えられますが、原材
料の採取地や採取時期、樹種等が不明のため、原因は分かりませんでした。
≪カドミウム≫ 原材料採集地や採集時期、樹種等が不明のため、原因は分かりませんでした。
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13
(3)モニターアンケートの結果
ペレットストーブを実際に利用している方々の生の声を、木質ペレットの品質向上に生
かすため、平成 24、25 年度に、長岡市省エネルギー・新エネルギー設備等導入事業補助金
を利用しペレットストーブを導入した市民を対象に、本実証実験で製造した木質ペレット
のモニターアンケートを実施しました。
灰が多いという声が多くありましたが、その他については、木質ペレット燃料として問
題のないことが確認できました。
■モニターアンケートの概要及び結果
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14
(4)品質向上のための取組み
木質ペレットの品質を向上させるために行った取り組みは以下のとおりです。
①一次破砕工程
原材料は破砕後、通常3~4日で発酵が始まってしまうため、その前に加工工程へ移
しました。
また、針葉樹、広葉樹のいずれかの比率が高いほうが品質の良いものができることか
ら、破砕前に、集積された原材料の中から出来るだけ樹種が単一になるように選別しま
した。
②二次破砕工程
次の表のとおり、原材料を細かく破砕するほど品質が向上するため、できるだけ細か
いスクリーンメッシュを使用し、二次破砕を行いました。
破砕の方法 木質ペレットの品質
一次破砕(45㎜スクリーン) → 二次破砕(9.5 ㎜スクリーン) ◎
一次破砕(45㎜スクリーン) → 二次破砕(16㎜スクリーン) ○
一次破砕のみ(30㎜スクリーン) △
一次破砕のみ(45㎜スクリーン) ×
③乾燥工程
ペレタイザー投入前のチップの含水率を8~14%程度になるように乾燥させた後、ペ
レタイザーで圧縮成型すると、木質ペレットの品質が向上することがわかりました。こ
のため、生産の各工程でチップの含水率を測定し、最適となるように乾燥を行いました。
・二次破砕した乾燥前のチップの含水率が 50%未満の場合、乾燥機の温度を 50~60℃
に、チップの含水率が 50%以上の場合、乾燥機の温度を 60~70℃に保つと乾燥後の
チップの含水率が8~14%前後となりました。
・含水率8%未満のものは水分が少なすぎて成型せず、含水率 14%以上のものは水分
が多すぎて成型しずらくなりました。
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④ペレット成型工程 ペレタイザーのダイスの穴径及び厚さにより、製造される木質ペレットの硬さ等に違
いが生じることがわかりました。原材料との相性によりますが、穴径7mm、厚さ 35mm
のダイスを使用した時が、効率及び品質ともに最も優れた木質ペレットを製造すること
ができました。
(使用したダイス) 穴径 厚さ 備考 7㎜ 35 ㎜ 7㎜ 30 ㎜ 8㎜ 35 ㎜ 6㎜ 30 ㎜ 借用品
ペレタイザーのダイス
・厚さ 35mm のダイスに比べて、厚さ 30mm のダイスでは十分加圧できないため、製造さ
れたペレットは脆く、崩れやすいものでした。
・穴径が大きいほど、ペレット製造のスピードは速まるものの、十分な硬さにはなりま
せんでした。
・穴径が小さい場合には、破砕をさらに細かくしないと目詰まりの原因になる可能性が
あります。
⑤その他
モニターアンケート等から、製品に木粉が多いとの意見が多かったため、製品を袋詰 めする際に再度ふるい機にかけ、木粉を除去しました。 また、製品保管時には、袋詰めした製品に木粉がつかないようにビニールで梱包しま
した。
保管状況(ラッピングし、パレット上で保管)
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3.その他
(1)故障発生の未然防止対策、故障時の対処について
製造装置の故障を未然防止するため、以下の取り組みを行いました。
・ペレタイザーは、作業後、残存した木質ペレットが無いよう清掃を徹底するとともに、
定期的に油脂の補充と分解清掃を実施しました。
・破砕したチップに混入した異物を除去するため、ベルトコンベア上にネオジウム磁石
を2箇所に設置し、ボルトなどの金属片がペレタイザーに入らないようにしました。
(平成 25年度に、原材料に金属片が混入、製造装置が故障したことにより実施しました。)
ベルトコンベアへのネオジウム磁石設置
(2)作業環境等について
木質ペレットを製造する際に必要な作業環境上の留意点等については以下のとおりです。
<粉塵対策>
・二次破砕を工場内で行う場合、粉じんが多く発生するため、作業時にはマスク、ゴー
グルの着用が不可欠です。
・送風機、排気ダクトの設置により粉じんの多くは施設外へ排出されるようになりまし
たが、より良好な作業環境を確保するためには、まだ改善の余地があります。
・作業場内に製品を保管する場合、粉じんで袋が粉だらけになってしまうため、シート
等で養生する必要があります。
<施設について>
・製造装置及び製品保管場所は、作業効率について熟考し配置する必要があります。
・製造した直後の木質ペレットはまだ熱を持っているため、冷却用のスペースを確保す
る必要があります。
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(3)作業事故防止の取組
事故や怪我の未然防止のため、以下の取り組みを行いました。
また、本実証実験期間中における事故や怪我などは発生しませんでした。
・安全作業マニュアルの策定
・各種作業機械の作業前点検、定期点検の実施
・重機等の運転は有資格者に限定
・緊急時連絡網の掲示
(4)製造した木質ペレットの販売について
本実証実験で製造した木質ペレット(品質試験に用いたもの等を除く)は、木質ペレ
ットストーブの顧客を多く抱える市内販売店を中心に販売しました。
【木質ペレットの販売実績】 (単位:㎏)
販売先 平成 24 年度 平成 25 年度 平成 26 年度 市有施設 1,000 2,600 3,300
A 社 0 5,000 12,200 B 社 0 200 0 C 社 0 9,580 0 D 社 0 20 0 E 社 0 330 0 F 社 0 565 0 合計 1,000 18,295 15,500
※生産量 3,000 38,050 25,550 ※品質試験や燃焼試験、市民モニター用、ペレットストーブ PR 用としても木質ペ
レットを使用したため、生産量と販売量は一致しない。
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(5)製造コストについて 平成 25、26 年度における本実証実験の製造コストは以下のとおりです。
【平成 25、26 年度における製造コストの比較】
費 目 単位 算 式 25 年度 26 年度
生産量 A ㎏ 38,050 25,550
売上高 B 円 726,737 669,500
総支出 C 円 14,519,977 6,308,292
収支 D 円 (B-C) ▲ 13,793,240 ▲ 5,638,792
キロあたり
製造コスト E 円/㎏ (C/A) 382 247
人件費 F 円 6,670,600 1,153,159
燃料費 G 円 2,582,088 1,765,596
光熱水費 H 円 780,806 734,188
直接製造費 I 円 (F+G+H) 10,033,494 3,652,943
※平成 24年度は、初期投資額が事業費のほとんどを占めたこと、また実際の製造期間が
短く、生産量も僅かだったことから記載していない。
※組合の事業で発生する剪定枝等を使用したため、原材料調達費用はかかっていない。
いずれの年度においても支出が収入を遥かに上回り、収支バランスが悪い状況です。支
出のうち、人件費、燃料費、光熱水費(電気料)が全支出の約6割と大きな割合を占め、
製造コストの低減にあたっては重要な費目となっています。
製造工程の見直しなど、生産性の向上等に取り組んだ結果、平成26年度の製造コストは、
平成 25 年度と比較し、1kg あたり 35%改善することができたものの、販売価格(税抜き
55 円/㎏)の約4倍ものコストがかかっています。
そこで、どの程度の生産規模であれば、木質ペレット製造の収支バランスが取れるのか
について試算をしたところ、年間 400t以上製造した場合に収支バランスが取れる可能性の
あることがわかりました。
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収入
単価 数量 単位
売上金 22,000,000 55 × × 400,000 kg ペレット販売代金
合計 22,000,000
支出
単価コスト
改善率数量 単位
人件費 6,000,000 125,000 × 4.00 × × 12 月 人件費(4人)
燃料費 9,101,467 270,877 × 4.00 × 0.70 × 12 月 平成26年度実績より推計
電気料 4,364,275 113,653 × 4.00 × 0.80 × 12 月 平成26年度実績より推計
施設管理(トイレ等) 256,920 21,410 × 1.00 × × 12 月 平成26年度実績より推計
製造設備保険料 229,050 229,050 × 1.00 × × 1 式 平成26年度実績額
修繕料 1,000,000 1 式 設備のメンテナンス等を含む
消耗品 1,048,288 1 式 ダイス、オイル等
合計 22,000,000
収入-支出= 0
算出根拠内容
費目 金額
算出根拠
内容
費目 金額
【年間 400tを製造した場合の収支試算】
※1 平成 26年8月(8.55t製造=年間 100t換算)の実績を基に算出
※2 大量生産による各費目のコスト低減率について、実績を基に算出
※1 ※2
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Ⅳ まとめ
1.検証結果の総括
今まで処理に困っていた街路樹剪定枝等からでも、一般社団法人日本木質ペレット協会の定
める品質基準と比べて、遜色のない木質ペレットを製造することができました。
また、木質ペレットの品質を高めるためには、原材料の選定や水分管理、破砕工程での工夫
等が重要であることや、採算が得られる製造工程を構築するためには、燃料費等の削減が最大
のポイントであることなど、様々なノウハウを得ることができました。
しかし、本実証実験のような小さな生産規模では、販売価格の数倍ものコストがかかってし
まい、年間 400t以上の木質ペレットを生産することで、ようやく収支のバランスがとれる可能
性のあることがわかりました。
2.今後の取り組み
本実証実験によって、街路樹剪定枝等からでも良質な木質ペレットが製造でき、一定規模以
上の生産・販売量を確保することができれば、事業化の可能性があることがわかりました。
しかし、現在、近隣市の木質ペレット製造事業者の生産設備においては、操業後数年を経過
してもフル稼働に至っておらず、木質ペレットの需要は伸び悩んでいる状況にあります。
これは、ペレットストーブ本体が石油ファンヒーターなどと比べて初期投資額が多いことや、
ペレットストーブ及びペレットボイラーについての情報不足、認知不足などにより、機器の普
及が進んでいないことが考えられます。
このため、以下の取り組みを行い、ペレットストーブやペレットボイラーの普及を促進し、
木質ペレットの需要拡大に取り組んでいきます。
(主な取り組み)
・省エネルギー・新エネルギー設備等導入事業補助制度によりペレットストーブやペレットボ
イラーの普及支援の継続・拡充を図ります。
・ペレットストーブやペレットボイラーのメリットや、実際にペレットストーブやペレットボ
イラーを導入した事例を紹介したパンフレット等を作成するとともに、農林部や関係機関と
連携した普及啓発を図ります。
・市有施設においては、ペレットストーブの導入を検討するとともに、大口の木質ペレットの
利用が見込めるペレットボイラーの導入についても、既存設備の入れ替えを含めて検討しま
す。
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資料1
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<機器配置図>
<原材料集積場所> ①一次破砕機
カップエレベータ
⑤ペレタイザー
ベルトコンベア
④サイクロン ③ロータリーキルン
ロータリーキ
ルンの燃焼炉
一次貯蔵箱 振い機
フレコンバッグ
ベルトコンベア
②二次破砕機
資料2
軽トラックで運搬
● :ネオジウム磁石の設置箇所
●
●
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各機器の説明 ①一次破砕機(集積場所)
使用機械 (株)モロオカ MC-2000
②二次破砕機(製造施設内) 使用機材 協和機工㈱ KF-812A
資料3(1)
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③ロータリーキルン (株)さいかい産業製
ロータリーキルン
(株)さいかい産業製
ロータリーキルンの燃焼炉
資料3(2)
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④サイクロン(吸引式排出機)と一時貯蔵箱 (株)さいかい産業製
サイクロン
サイクロン (乾燥が終わったチップを吸引器で吸い上げ一時貯蔵箱へ送る)
(株)さいかい産業製
一次貯蔵箱
(ロータリーキルンから乾燥済チップをペレタイザーへ運ぶベル
トコンベアに載せ替える所)
資料3(3)
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⑤ペレタイザー(ペレット製造機) 新興工機㈱製 ペレタイザー(ペレット製造機)
型式 S-30
方式 フラットダイ方式
ペレットサイズ
(形状) 直径 6.0mm~8.0mm×長さ 20mm 程度
成型能力 100~250kg/h
定格出力 22Kw
寸法(mm)
高さ : 1,785
幅 : 750
奥行き : 1,800
重量 (約)1,650kg
オプション 原料投入装置、操作盤、特殊穴径対応ダイス(φ4~φ15)
※ 成型能力は原料の種類、性状、水分等の条件により変動
資料3(4)