Transcript

平成 17 年度 電気学会東京支部茨城支所研究発表会

1.はじめに 変電所システム全体の最適化により機能を減らさずにコストを削減することを目的に、変電所機能を各機器に分散させ通信でやりとりすることで機能を実現する変電所ネットワーク化が進んでいる。変電所通信ネットワーク国際標準IEC61850の規格化が成立したことで、徐々に実用段階に向かっている。 本研究では、IEC61850 に準拠した変電所ネットワークの試作を行った。 2.試作概要 IEC61850 は、保護制御とセンサ間の省線化を主なねらいとするプロセスバスと、変電所監視と保護制御間の変電所情報一元化、異メーカ相互運用をねらいとするステーションバスを、共にイーサネットで構成する。図1にそのシステム構成を示す。

図1 IEC61850 のシステム構成

本試作においては、電流値、電圧値などのセンササンプリングデータを集約するマージングユニット、及びリレー機能を構成する保護ユニットを、ブロック型アーキテクチャを特徴とする UbiCompo(1)を用いて模擬し、ステーションレベルの操作・表示卓を PCで模擬した。 3.評価 試作したシステムを用いて評価を行った。 3.1 プロセスバスの評価 プロセスバスは、センサのサンプリング値を周期内に確実に伝送するリアルタイム性が課題である。電気角7.5度に相当する347μ秒の周期で伝送させた

結果、10Base では性能が不足し、100Base が必要であることを確認した。図2に性能評価結果を示す。

図2 プロセスバス性能評価結果

3.2 ステーションバスの評価 ステーションバスは、異メーカ相互運用が可能か否かの検証が最大の課題であり、本試作が実際に他社 4社の PCデモソフトと相互接続可能であることを確認した。図3にステーションバス試作構成を示す。

図3 ステーションバス試作構成

4.まとめ IEC61850 準拠の変電所ネットワークを試作した。 [1] プロセスバスは、10Base では性能が不足し、 100Base が必要であることを確認した。

[2] ステーションバスは、他社 4社の PC デモソフト と相互接続可能であることを確認した。

本発表は通信の基本的部分のみの試作であったが、今後大規模で実際的なネットワークに拡大し、性能や機能面でどのような課題があるか、さらに研究を継続していく必要がある。

文献 (1)松本典剛,他「遠隔監視向け端末のためのブロック型アーキテク

チャの提案と評価」,情処論, Vol.45, No.SIG03 ACS5(2004)

PB12 国際標準規格 IEC61850 を用いた変電所ネットワークの試作

Trial of Substation Network in Compliance with International Standard IEC61850 ○吉田 昌司、城戸 三安、小松 親司、兵頭 和幸、菊池 賢一、千葉 富雄、滝口 裕(日立製作所)○Shoji YOSHIDA, Mitsuyasu KIDO, Chikashi KOMATSU, Kazuyuki HYODO, Kenichi KIKUCHI, Tomio CHIBA,

Hiroshi TAKIGUCHI (HITACHI, Ltd.)

Top Related