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PLASE study PDA and Left Atrial Size
Evaluation Study
計測マニュアル
Version 1
PLASE study研究グループ編 2015/4/15
目次
3. 計測の原則 4. エコー検査を始める前に 5. 左房容積(四腔断面) 7. LA/Ao(長軸断面) 9. 左室径(短軸断面) 12. 左肺動脈拡張末期速度 13. 動脈管径 14. 動脈管血流パターン
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計測の原則
○ 児のエコー侵襲を低減するため、計測は、B-mode, M-mode, ドップラー波形などの記録を行っておき、児を心エコー検査(プローベをあてている状態)から解放した後に施行して下さい。
○ 本研究のために心電図を貼付して心エコーを行う必要はありません。 ○ 心エコーの撮像は、関心領域を画面一杯に拡大し、濃淡のゲイン調
整、深さによるゲイン調整、フォーカスをあわせる、などの基本に基づいてください。
○ 計測を行う前の静止画像や動画を、各施設でデジタルで保管してく
ださい。後に確認や再計測が必要になるかもしれないためです。 ○ 計測はきれいにとれた、代表的な1ビートで、計測してください。 ○ エコー機器は定期のメインテナンスを受けてください。 ○ わからない事があれば、PLASE事務局までご連絡ください。
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エコー検査を始める前に
赤ちゃんの状態の確認
エコーゲルやプローブの暖め 冷えたエコーゲルやプローブは、呼吸や循環に影響します。検査をはじめる前にクベース内で暖めておきます。
赤ちゃんの呼吸や循環の状態に急な変化はありませんか? そうであれば必要な処置をしてから検査を開始して下さい。
赤ちゃんの皮膚の状態は安定していますか?
そうでなければ必要な処置をしてから検査を開始して下さい。
感染防止 直近に検査をした患児からの菌の伝播を防ぐためにプローブなどを環境クロスなどで拭いて下さい。
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左房容積 左房容積計測は心尖部四腔断面のみから行います。計測はArea-Length法を用います。これは、面積と長
さを計測して容積を求める方法です。左図のように、僧房弁が開く前、左房エリアが最大となる時相で計測します。 左図のように、僧房弁の付け根(ヒンジ)の間は直線で結び、下図のように肺静脈はふくまずに緩やかにトレースして面積を測定します。 右図のように、縦のその長さを計測します。計算は症例報告用紙に計測した面積と長さを入れれば左房容積は自動計算されます。
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緑の肺静脈の部分はふくまずに緩やかにトレースしてください。
LA Area
LA Length
J Am Soc Echocardiogr 2005;18:1440-1463.
左房容積
左は超低出生体重児での実際の 測定画面です。 上図のガイドラインに従って、肺静脈の 部分を含まないように、丸みを帯びた トレースすると、およそ左のようになります。
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J Am Soc Echocardiogr 2005;18:1440-1463.
左房容積
左は超低出生体重児での実際の測定画面です。 本来、心尖部からの四腔断面は前頁のように中隔がまっすぐです。ところが、左の画面では中隔がやや斜めになっています。 この症例ではプローブが心尖部だと肺がかぶり、明瞭な像が得られませんでした。そのため、やや胸骨に寄せたエコー窓から観察したために、中隔がやや斜めになる断面になっています。 本研究では、エコー窓を確保するために左側臥位とはせず、臥位のままの検査し、中隔が斜めであるこの像を許容します。
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中隔の軸
左房容積
同様にもう一例、1.3Kgの児の計測です。 この症例も中隔の軸がやや斜めですが、 同様に計測します。 面積、長さは、cm2, cmの単位でエクセルに入力してください。
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弁輪線
中隔の軸
中隔や左房の辺縁を しっかりと描出するように ご留意ください。
位置決め LA/Ao
LV長軸の描出:左室の長軸をイメージ(赤)して、胸骨左縁第4肋間付近でプローブマークを患
児の右上に向け、長軸が最も長く描出される方向(*)を探って下さい。
まずLV long axisで長軸が最も長く描出される位置を探します。
もし長軸が左下図のように立ってしまうと、M-modeで正しく垂直に切ることができません。
一から二肋間あげて、大動脈流出路方向にプローブを少し移動させ、胸骨に近づけることにより、右下図のように“寝た”長軸を得ることができ、正しいM-mode計測が可能になります。
* 体軸
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LA/Ao比
左室長軸断面から左房、大動脈バルサルバを垂直に切り、M-mode計測に移ります。左図のように、画角が中隔と大
動脈前壁を切る点(画角両端の赤点)を結ぶ直線がプローブと並行に、水色の長さが等しくなるようにします。 大動脈径は一番後に動いた時相で、左房は一番大きな時相で計測します。下右のように、大動脈・左房ともに壁の前から前まで計測して下さい。 この際、左房後壁が肺静脈を含まないように、留意してください。
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位置決め 左室径
LV長軸の描出:左室の長軸をイメージ(赤)して、胸骨左縁第4肋間付近でプローブマークを患
児の右上に向け、長軸が最も長く描出される方向(*)を探って下さい。 肺の状態によっては、胸骨右縁からのアプローチが有用なこともあります。
まずLV long axisで長軸が最も長く描出される位置を探します。
LV long axis
RV LV
LA
Ao
#
この時に、画面の垂直方向とLV short axisとの角度(#)を覚えて下さい。 →次のtiltに使う
LV short axisでLV dimensionを測定する位置は僧帽弁の最下端になります。
* 体軸
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正しい左室短軸像の出し方
先程見つけた方向(赤)をずらさずに、大動脈流出路方向にプローブを少し移動させ、プローブを(患児の前方から見て) 時計方向に約90°回転して(青)下さい。この時にプローブを回転しすぎてプローブが左右方向になりやすいので注意して下さい。 先程覚えた垂直方向とLV short axisとの角度(#)にtiltして(プローブを頭方向に傾ける) 下さい。 この二つが肝!
次にLV short axisでLVをみます。
#
*
LV short axis 注意点 1.頭部方向に移動しすぎて大動脈短軸像になっても問題ありません。 そこから少しずつapex側に平行移動し、僧房弁が見えなくなり、乳頭筋が見える場所を確認してください。 2.右室圧が高く、短軸が楕円であっても、できるだけ内腔が大きくなる方向をプローブを回転することで探ってください。
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M modeでの左室計測方法
LVDdの計測方法
心電図があればQRSの開始時点もしくはRの時相で測定して下さい。どちらでも構いません。ただ等容収縮期において、LVは、少し後方に動きます。大きく捉えすぎないよう注意して下さい(図右)。
LVDsの計測方法
心室中隔と左室後壁が最も近づいた時点で計測して下さい。心電図があれば、T波(といっても分かりにくいですが)の終わりより少し手前の時相です。
LV short axisが描出されたら、二つの乳頭筋がみえ、僧房弁が入らないレベルにし、その中心を通る部位にROIを置き、M-modeで計測を始めて下さい。
Dd Ds ○ ×
心電図を装着していない場合は、最大径と最小径と思われる時相で測ってください。 いずれも輝度の高い部位の中央で測って下さい。中隔では、低輝度部位の内腔側の高輝度部位を採って下さい。内膜表面の高輝度の部位(太矢印)や連続して描出されない部位は、内腔とみなして下さい。 内膜表面がわかりにくいときはわかりやすい部位からなぞっていき確定して下さい。
M mode (LV short axis) 注
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左肺動脈拡張末期速度
左肺動脈にビームがまっすぐに入るように調整し(図が必要)、PW modeで拡張末期速
度を計測します。拡張期のピークではなくて、拡張末期(下図)を計測してください。 LPAの拡張期血流が確認できない場合は"0"を入力して下さい
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3血管断面で左右の肺動脈を描出する。
動脈管の描出の仕方-1
MPA
SVC
AAo
RPA LPA
動脈管の描出の仕方-2
プローベを 反時計に60 度くらいひねる!
下行大動脈から主肺動脈へ流れる赤いフロー(動脈管)が見える。
DA
MPA
動脈管径を測定する時はカラーを消して一番細い部分を測定する 。
動脈管の描出の仕方-3
プローベを 半時計に60 度くらいひねる!
DA
MPA
動脈管径
○動脈管内径はカラーを載せないBモードで計測し、
最も狭い部位を計測して下さい。断面の指定はありません。 ○左上は背骨と並行して、肺動脈・動脈管・下行大動脈のつながりを出した断面です。(第一選択) ○左上は肺動脈分岐がわかる短軸断面、肺動脈が二股に分かれる3血管断面をフローをかけながら 描出し,プローべを半時計に約60度回転させると動
脈管の全長が(赤く)見え,そこでカラーを消して計測している画面です。 ○左上を第一選択としますが、難しいときは左下の断面でも構いません。最も狭いと部分を計測してください。 小さくて計測できない場合は、0mmと記載してくださ
い。条件が悪く、存在の有無を確認できない場合は999mmと記載してください。
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肺動脈
下行大動脈
動脈管
大動脈峡部
心エコーハンドブック 先天性心疾患 2013:43-51
DA
MPA
動脈管血流パターン
右図のように、PW法で動脈管内にサンプルボ
リュームを置いて(小さい緑線に囲まれた場所)、計測します。 症例登録用紙には、“左右、両方向性、右左、なし”の、パターンのみを選択してください。 左上が両方向性のパターンです。 左下が左右のパターンです。 常に下方向であれば、右左になります。 PDAの存在が確認できないときは、“なし”を選択してください。
19 Arch Dis Child Fetal Neonatal Ed 1997;77:F36-40.
両方向
両方向
左右 左右