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「自分の考えをまとめるメモとして使おう!」

 はがき新聞を国語授業の中でノートの一部として活用した実践を紹介します。文学作品を読んだのち、登場人物になって主人公に手紙を書きながら読みを深めていきます。本実践は文学の 読みですから、他の学年においても十分実践可能かと思われます。児童が「自分の考えを書き たい」という意欲を持たせながら読みを深めていくのにとても有効です。

Teacher's メール

群馬県太田市立南小学校 :教諭 鯨井文代

は 聞新きが

 国語科の授業で、ノートに自分の考えを書かせますが、いざ交流の時になると一部の児童�

しか取り上げることができないことがあります。授業中の話し合いの交流のとき、もっと良い

手立てがないかと考えたのが、はがき新聞です。ノートを集めて赤ペンを入れる場合、自分の�

考えを書いたはがき新聞だけを集めることができ評価も効率的です。授業中に黒板に掲示する

際もコンパクトな大きさなので一度にたくさん掲示することもできます。1時間の学習の中で�

より多くの児童の考えを取り上げることができるのです。また、学習の整理をする際には、ノート

の中にはがき新聞を貼り付けたり、はがき新聞を印刷して掲示したりでき、1枚書くだけで、�

多くの活用方法が可能となります。

 ここでは1年生の文学作品「けんかしたやま」を読むことを目標とした実践例と、6年生の

「二十一世紀に生きる君たちへ」を読むことを目標とした実践例を紹介します。

 入門期の1年生と6年生では文章を書く力は大きく違いますが、一単元の中で国語ノートと

併用してはがき新聞を取り入れながら授業したという点で同じです。主体的に自分の考えを、

結論と理由を関係付けながら簡潔に表現できる力が今とても重要だと言われています。1年生

でも6年生でも、文章の文字数は違いますが、学年の発達に応じて、もちろん他の学年でも�

実践できると思います。参考としていただけたら幸いです。

 はがきの大きさを活用して、今までノートに書かせていた内容を書かせますが、本時の学習

のねらいが達成できているのか、評価するために書かせるのです。

この実践の場合は、

~国語ノートと併用し活用する実践例~はがき新聞を国語ノートとして活かす

Vol.12

はがき新聞の特徴を活かして

◦何を紹介したいのかを書く。 ❶一番好きな場面を書く。 ❷その理由(主題)を書く。

◦文章の内容にかかわる絵 あらすじやテーマがイメージできるようにする◦本の題名 本の紹介であるので、一目でわかるようにする

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【学年に応じた内容で】

 ほとんどが60文字前後で書いていました。何を書

いたらいいのかはっきりしていますから、1年生でも

簡潔にまとめることができました。学年の状況に応

じて条件を変えていけばよいかと思います。

 このことは他の学年でも記事の内容を「あらすじ」

や「感想」「おすすめの場面」「主人公の紹介」、図表を

「人物相関図」や「印象に残った場面」「主人公の紹介」

などにして実践ができます。

 まず、自分が今まで読んできた本を振り返ります。

その本の中で、特に印象に残っている場面を決めます。

 次に、心に残った場面についての紹介とわけを�

書きます。絵や見出しのつながりができているかを考

えることも大切です。最後に、色を塗ったり、見栄えの

するものにするためにただ色をつけるのではなく、

キーワードに色をつけたりします。

 右記のはがき新聞は、場面ごとに登場人物から主

人公の山に手紙を書かせたものです。子どもたちは、

はがき大の大きさでも自由に自分の考えを書くこと

ができるので、はがき新聞が大好きです。

 こうして学習の最後では、次のような紹介文を簡単

に書きあげられるようになります。

Teacher's メール

おおまかな活動の流れ

1年の実践例

完成

本実践は、小学校1年生の実践ですので、◦�分かりやすく書く。◦�文字数の規制はない。◦�絵など描いてもよい。

体験を通して考えた筆者の言葉

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 6年生の実践では、司馬遼太郎が「二十一世紀に�

生きる君たちへ」の文章の中で主張している「自分に

厳しく、他人に優しく」の言葉と向き合い、自分を見つ

め考えたことを書く活動に活かすことができました。

 学習課題「はがき新聞で司馬遼太郎に対しての�

自分の考えをまとめる」としました。

 レイアウトは提示された基本形のものを参考に�

して決めます。レイアウトが決まれば、文字数も決まり

ます。見出しや絵・図など工夫します。どこから書き

始めてもかまいません。最後に、色を塗ったり、記事

の文字を水性ペンで書いたりすることで、見栄えの�

するものにします。

 完成したはがき新聞は、交流活動をしたり、掲示�

したりします。

 はがき新聞は、小さなはがきであるため全文を�

書きこむと、原稿のマス目の大きさにもよりますが

200文字から300文字は入ります。単元を通して自分

の考えを4枚から5枚のはがき新聞に簡潔にまとめる

取り組みをしてきました。ノートに書くのでは、文字

数をとらえながら1つの作品に仕上げることは同時

にできません。その点、はがき新聞を取り入れたこ

とで、学習新聞のテーマをいろいろな角度から自分

の考えで書くことができるため、目で確認しながら自

分の文章を振り返ることができます。繰り返しの中で

いろいろな書き方を学び、テーマを追求できました。

 書く学習を苦手とする児童は「何枚書けばいいの

か」と聞いてくることがありますが、はがき新聞は見

たとおり、完成までのゴールを見通すことができます。

また、絵や図を書くこともできるため、意欲的に取り

組むことができるのです。児童の書くスピードの違い

はありますが、はがき新聞があることで時間調整が

しやすいことも利点として挙げられます。そして何�

より「楽しかった。やってよかった」などの達成感を�

どの児童も味わうことができ、次の書くことへの�

意欲関心を高めることにつながったと思います。

まずは実践していただくことです。多くの先生方が、

多くの実践をされ、それらを交流することができた

ら、たくさんのバリエーションとなり最高ではないで

しょうか。

Teacher's メール

*公益財団法人理想教育財団から「はがき新聞」用

原稿用紙が助成されています。

「未来の自分へ」

 

司馬遼太郎さんが亡くなる少

し前に、二十一世紀を生きる私

たちに励ましの文章を書いてく

ださいました。私は、「『自然に生

かされている』という言葉を忘

れず、強く、他人に優しい人にな

りなさい。」とそんな思いが込め

られているのかなと思いました。

司馬遼太郎さん自身がそのよう

な人だから書けたのだろうなと

思います。

 

年月が流れていくにつれ、技

術や科学が発展していくのに、

私たちは、自然に感謝する心が

なくなっているように思います。

でも私は、人を労わり人のこと

を親身に考えてあげられことな

ら、今だからこそできるように

思います。

 

そんな言葉を残してくれた司

馬遼太郎さんは、とても優しい

人だと思いました。歴史が大好

きだった司馬遼太郎さんが、私

たちに歴史から学べといったよ

うに、未来に向かって進んでい

き、未来を私たちの手で変えて

いきたいと思いました。

単元の最後6年生の書いた文章

6年の実践例

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