【drop wave】cedec2012『起業したゲーム会社を7年間倒産させない方法』

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起業したゲーム会社を7年間 倒産させない方法 株式会社DropWave 本城 嘉太郎 株式会社ヘキサドライブ 松下 正和 ホットティー株式会社 保手濱 彰人 株式会社NAC 対馬 健司

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Page 1: 【Drop wave】cedec2012『起業したゲーム会社を7年間倒産させない方法』

起業したゲーム会社を7年間倒産させない方法

株式会社DropWave 本城 嘉太郎

株式会社ヘキサドライブ 松下 正和  

ホットティー株式会社 保手濱 彰人

株式会社NAC 対馬 健司

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今回の講演の趣旨

<本公演の趣旨>

 これからゲーム会社を起業したいけど、具体的にどうすればいいのか分からない人。勢い余って起業したものの、うまくいかずもがいている人。そんな人たちに向けて、起業や会社運営について、4人の社長が体験談を交えてお話しします。

<本講演の対象者>

 ゲーム業界で仕事をしてきて、これから自分でゲーム会社を立ち上げたいと思っている方。実際にゲーム会社を経営されている方。

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目次

・講演者紹介

1,起業すると決めてから、まずしたことは?

2,仲間(創業メンバー)をどうやって集めた?

3,キレイな会社の辞め方は?

4,創業時の資本政策(株、起業資金)は?

5,最初のオフィスはどうした?

6,税理士、労務士、弁護士はどうした?

7,最初のお客はどうやって見つけてきた?

8,TOP(社長)として気をつけていることは?

9,資金繰りで苦労したことは?

10,これから起業する人にお勧めしたい本は?

11,質疑応答

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講演者紹介

講演者紹介

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■経歴&株式会社DropWave概要

■株式会社DropWave会社概要

株式会社DropWave事業内容:オンライン・ソーシャルゲームの企画、開発、運営設立 2005年7月従業員 80名所在地:東京都新宿区(新宿御苑前駅徒歩5分)

■株式会社DropWave代表取締役 本城 嘉太郎

コンシューマのゲームプログラマを経て、オンラインゲーム制作&運営会社、株式会社DropWaveを2005年に設立。自社開発のオンラインゲームエンジンの設計などを担当。近年はスマートフォンで遊べるオンラインゲーム、ソーシャルゲームの開発、運営に注力。Cマガジン記事執筆、CEDEC2011、KGC2010、2011講演、スッキリ!!出演など。

■開発タイトル実績

『脱出ゲームDERO!』会員数100万人以上『リヴリーアイランドCOR』会員数100万人以上『わんこのお部屋forモバゲー』会員数45万人以上『激闘!ネコ騎士団』会員数20万人以上そのほか、いろんな有名タイトルの開発、運営を行っている会社です。

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http://hexadrive.jphttp://hexadrive.jphttp://hexadrive.jphttp://hexadrive.jp

家庭用ゲームの開発を中心に、最近ではソーシャルゲームなども開発中!スタッフの8割がプログラマーの会社です!

最近では、「関西から日本のゲームシーンを盛り上げる!」という事で、『GIPWest』という組織を作ってます!http://gipwest.com

会社名: 株式会社ヘキサドライブ設立: 2007年2月オフィス: 東京(港区高輪)、大阪(大阪市中央区)資本金: 一千万円 従業員数:44名(役員含む)

自己紹介 松下正和 

株式会社ヘキサドライブ 代表取締役 以前は、大手ゲーム会社にてプログラマー。

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自分理念:世界一と呼ばれる男になる企業理念:スマフォのゲームで世界を獲る

創業  :2006年8月事業内容:スマフォアプリ開発/スマフォゲーム開発

<紹介>•1984年生まれ。•東京大学を3回留年後中退。•2005年、ドリームゲートのビジネスコンテストで優勝。•2005年、ホリエモンのカバン持ちを経験。•2006年、学習塾を創業。•2009年、スマフォ事業を開始。•2011年、学習塾事業を売却、スマフォゲーム一本に事業集中。•2012年、KLab株式会社と資本業務提携。

ホットティー株式会社代表取締役 保手濱 彰人

6年前の写真

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株式会社NAC代表取締役 対馬 健司

創業  :2006年9月事業内容:CG受託制作

企業理念:良い仕事は良い精神から。     良い精神は良い環境から。

コンピューターグラフィックスを通じてお客様の満足を追求し全社員の物心両面の幸福と社会を笑顔にする事を目的とします。

■紹介■ ・ 1967年 北海道生まれ ・ 1985年 三菱ガス化学株式会社入社 ・ 1994年 ゲームメーカー入社 ・ 2003年 ゲームソフト開発会社取締役に就任 ・ 2006年 株式会社NAC設立  就活アワード2011,2012,2013 3年連続受賞  毎日新聞デジタル注目企業50  2009年度ベストベンチャー100

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1,起業すると決めてから、まずしたことは?

■DropWave本城

  起業資金の貯金を始めた。経営と経理と営業の勉強を始めた

■ヘキサドライブ松下

  仲間、仕事、場所の算段を付けた。

  仲間を説得するために、仕事と場所は先に探してきた。

■ホットティー保手濱

  仲間を集めるため、大学内に起業のサークルを作った。

■NAC対馬

  28歳でこの業界に入り、35歳になったら独立しようと思って

  いたので、そういう意味では技術的な日々の勉強と人脈作り。

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2,仲間(創業メンバー)をどうやって集めた?

■DropWave本城  退職時にたまたま同じタイミングで退職するスタッフに声をかけた。  あとは、すでに退職していた元同僚も誘った。  また、設立2年目から新卒採用を行った。

■ヘキサドライブ松下  所属していた会社の同僚に声をかけた。大手を辞めて付いてきてくれた仲間に感謝!

立ち上げてからは、新卒募集も早めに行った。

■ホットティ-保手濱  大学で作った起業サークルのメンバーに声をかけた。  ただ、自分が未熟だったため初期メンバーがすぐに離れてしまい、大きな後悔をした。

■NAC対馬  当時在職していた開発スタッフの仲間がほぼすべて。  弊社は離職率が非常に低いので今もほぼそれらのスタッフは在籍中。

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3,キレイな会社の辞め方は?

■DropWave本城  最低でも3ヶ月前から伝える。引き継ぎはキッチリやる。お客を持っていかない。

■ヘキサドライブ松下  なるべく早く。出来れば半年くらいは前に言うのが良いのではないか。  引き継ぎや、次の準備、上司に理解してもらう為の時間として、  それぐらいあった方が良い。以前の会社と揉めないのが一番大事。

■ホットティ-保手濱  大学の辞め方であれば、留年や休学を駆使し徐々にドロップアウトする。  両親や親類に諦めさせるのが重要w

■NAC対馬  会社に退職を伝えるのは、最低でも3ヶ月前から。理想を言えば半年前。  引き継ぎはキッチリやる。お客を持っていかない。  それと当然ですが上記以外での揉め事も避ける事、揉めて良いことはありません。

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4,創業時の資本政策(株、起業資金)は?

■DropWave本城  自分で貯金した300万円を使った。創業メンバー以外の株は入れない方が良いと思う。  その後、政策金融公庫から200万円借りた。もっと資本金を積んでおけば、もっと借りられた(

反省)

■ヘキサドライブ松下  1000万を個人で借りた。仕事さえあれば、1年以内で返済可能だと思う。自分でお金が無く

ても、そういう貸してくれる人を知っているという事も大事。初めのうちは、株は細かく分けず、社長が大目に持っておくのが良いと思う。

■ホットティ-保手濱  親類複数人から合計500万を借入した。  創業メンバーに株式を渡す際は、離職時に株式を返還するといった契約を「必ず」結ぶべき。

■NAC対馬  自分と共同経営者の分をあわせて350万円を資本にスタートした。  あとは設立時から2000万円ほどの仕事の入金予定があったのと、半年ほど先まで仕事の目

処がついていたので比較的資金繰りはスムーズにいけた。とりあえず会社作ってさて仕事探そうでは怖くて出来なかったと思う。とにかく開発会社は仕事があってなんぼですので日頃の営業、人脈作りが大事。

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5,最初のオフィスはどうした?

■DropWave本城

  ワンルームマンションを借りた。

■ヘキサドライブ松下

  知り合いの会社さんの中にパーテーションを張っての間借り。

  家賃や光熱費は払っていた。

■ホットティ-保手濱

  ビットバレーに倣い、渋谷道玄坂のラブホテル街にあるボロいマンションを借りた。環境が悪すぎて、その際に煩った喘息が未だに治らない。

■NAC対馬

  比較的坪単価の安い地下のオフィスを借りた。

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6,税理士、労務士、弁護士はどうした?

■DropWave本城  ドリームゲートで起業前に無料相談した。最初の税理士はたまたま営業し

てきた人と契約した。今思えば、信頼できる人からの紹介が鉄板。

■ヘキサドライブ松下  いずれも、自分たちでいくつか当たって、フィーリングの合う人を選んだ。    

今でも、その方達にお願いしている。

■ホットティ-保手濱  完全に独学のため、苦労した。  利益が出そうなら、税理士は早めに付けたほうがいい。

■NAC対馬  税理士、労務士はネットで探した。今のところ特に問題なし。私の場合、偶

々良い方にあたったんだと思う。税理士、労務士は一度お願いすると中々変更しにくいのではじめから慎重に選ぶ事をオススメします。弁護士は小学校からの友人の伝手です。

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7,最初のお客はどうやって見つけてきた?

■DropWave本城

  もともとフリーのプログラマをしていたので、そのときのクライアントを紹介してもらった。

  ゲーム関連では、前職の繋がりは一切使わず、独自で営業した。

  最初のゲーム会社としての営業では、Flashゲーム20個を破格でうけて、

  なんとか大手ゲーム会社との取引実績を確保した。

■ヘキサドライブ松下

  知り合い経由で。全く知らない人から仕事が貰えるなんてのはすごく稀なケース。

  会社に属している間に、他社の知り合いを作っておくのは是非やった方が良いと思う。

■ホットティ-保手濱

  学習塾ですが、ひたすらチラシを配り、駅前で頭を下げ続けた。

  人生で一番泥臭い期間で、今となってはいい経験。

■NAC対馬

  始めにメールと電話営業で300社ほど営業をかけた。とにかく必死だったので、言い方悪いですがかたっぱしでした。その中で実際直につながったのが2%くらい。そこから徐々に信頼を築き、お客様を増やしていった。ある程度のところまでいくとお客様が別のお客様を紹介してくれるようになりますので、最近はおかげさまでかなり営業面では楽になりました。

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8,TOP(社長)として気をつけていることは?

■DropWave本城

   率先垂範。社長は常に背中を見られていると肝に銘じている。また、会社の状況を理解して納得して働いてもらうために、戦略を社員に説明する努力を怠らないこと。毎月、経営方針説明会を開催して、全社員に会社の状況を説明していた。そのあと、社員全員で会社経費で飲みに行く会をやっていた。

■ヘキサドライブ松下

  スタッフが良いゲームを作れる環境を作る事。そういう理想を常に追い求めていく姿勢が大事なのかなと思います。まだまだ現実の壁は高く理想は遠いですが、諦めずに、一歩一歩進んでいく事が大切かと。

■ホットティ-保手濱

  自分が一番凄いこと。論理的妥当性。

■NAC対馬

  私の今の会社での役割は夢を描いて会社に入ってくる人達にいかに伸び伸びと良い仕事をしてもらえるかという環境作りと会社としての指針を示すことだと思ってます。特にクリエーターと呼ばれる人達はどれだけ高い給料を払っても自分のやりたいことが出来ていないとストレスとなって良い仕事にならない傾向が強い職種です。いくら見た目立派なオフィスでもそこで働いている社員の士気が低ければ良いものも生み出せません。やりたいこと=楽な事では無く、やりがいのある仕事を一生懸命できる環境作りを心がけています。

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9,資金繰りで苦労したことは?

■DropWave本城

   最初の半年の給与は役員全員13万円。また、起業後数年たってからも、会社のお金があぶなくなったときは、躊躇なく役員報酬をギリギリまで下げた。付き合ってくれた役員にも感謝。そのほか、入金の翌月末払いを徹底したり、銀行から多めに借りたりして、2~3ヶ月分以上の運転資金が常に口座にある状態をキープしている。

■ヘキサドライブ松下

    資金繰り=仕事繰りなんですが、開発出身の社長は”営業”がネックになりやすいのではないかと思います。私も3年目で営業をあまりしていなかったので、4年目で仕事が無くなり苦労しました。

■ホットティ-保手濱

   数年間苦労しっぱなしだった。消費者金融の常連だったこともある。どんぶり勘定だと後々大変なことになるから、大雑把な性格の人は、1円&1日単位で正確に通帳の動きを見るか、細かくてうるさい、自分を叱れる人を近くに置いておく必要がある。特に起業家は大雑把な人が多いので要注意。雑な資金繰りで倒産した周囲の社長を沢山見た。

■NAC対馬

   中小の開発会社の場合、気をつけなければならないのはPL(損益計算書)よりもCF(キャッシュフロー)すなわち綿密なキャッシュシュミレーションです。PL上で利益が出ていても資金力のない小さな会社の場合クライアントの支払い遅延や予期せぬ事が起こった場合資金ぐりがすぐに厳しくなってしまいますのでそういうこともある程度想定した余裕あるCF管理が重要になってくると思います。私の場合、かなり細かいCF管理表を作り尚且つ事故の事前予測を常に行う事でそれらをなんどか回避してきました。ですので本当の意味で苦労したことは今の会社では無いのですが昔役員をやってた会社ではかなり資金繰りに苦労してました。今思うと大きな要因は単純にどんぶり勘定が原因だったのですが今はその教訓で経営してます。理想的には無借金経営が理想ですがある程度余裕のあるCFという意味では無理のない範囲での銀行などからの借り入れも必要だとは思います。

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10,これから起業する人にお勧めしたい本は?

■DropWave本城

 実用重視で、3冊に絞るならこれ。

・成功者の告白(著:神田昌典)

  http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062810530/

  起業すると何が起こるか教えてくれる本。

起業する前の心の準備に最適。

・会社にお金が残らない本当の理由(著:岡本 吏郎)

  http://www.amazon.co.jp/dp/4894511576

  中小企業の会計の本質が書かれた本。これから経営を始める人必読。

・60分間・企業ダントツ化プロジェクト(著:神田昌典)

  http://www.amazon.co.jp/dp/447837421X

  企業戦略の基本的な考え方が身につく本。

最初に読んでおくとだいぶ差が出る。

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10,これから起業する人にお勧めしたい本は?

■ヘキサドライブ松下  特に無いんですよね…。本の代わりに言えることとして、「先達に積極的に

聞こう!」この言葉を伝えたいです。

■ホットティ-保手濱

・成功者の告白(著:神田昌典)  ⇒本城さんに同じ。

・堀江貴文のカンタン!儲かる会社のつくり方  http://amzn.to/PnX9wg  ⇒ホリエモンの書籍の中で一番実践的&具体的。

・追われ者―こうしてボクは上場企業社長の座を追い落とされた  http://amzn.to/NxXNV2  ⇒安易な意思決定の怖さを教えてくれる。

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10,これから起業する人にお勧めしたい本は?

■NAC対馬

私はどちらかというとメンタル面の本を読むことが多いのですが

・死ぬときに後悔すること(著:大津 秀一)  http://www.amazon.co.jp/dp/4884748522/  経営というより人生について考えさせられる本です。人の命は永遠では無いの

で自分は何のために生きているか何のために会社を経営しているかという事を考える為には良いかと思います。

・雨がふってもよろこぼう(著:嶋津 良智)  http://www.amazon.co.jp/dp/4894512882  私は会社の代表という立場で怒った事が今まで1度もありません。怒って上手く

事が運ぶ特性の方もいるかもしれませんが私の場合、感情にまかせて怒っても良い結果は生まれない事がわかってますのでこの本はそういう思考をわかりやすく書いてあります。

・社長の教科書―リーダーが身につけるべき経営の原理原則50(著:小宮 一慶)  http://www.amazon.co.jp/dp/4478012466  社長としてのありかたが実践的に書かれてます。

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11、質疑応答

■質疑応答

ありがとうございました。