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宝塚市教育委員会 平成30年(2018年)2月

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  • 宝塚市教育委員会

    平成30年(2018年)2月

  • 1

    はじめに

    国内の民間調査(博報堂2016年)によると、セクシュアルマイノリティに該当する人

    は約8.0%。そのうち LGBTに該当する人は、約 5.9%(レズビアン 1.7%、ゲイ 1.94%、

    バイセクシャル 1.74%、トランスジェンダー0.47%)と推定されています。このことを学

    校園所に置き換えると、クラスに1~2人は在籍していることになります。カミングアウト

    をする子どももいれば、多くの当事者は言い出しにくい雰囲気の中で悩み苦しんでいること

    でしょう。

    また、セクシュアルマイノリティを対象に実施された調査によれば、いじめ被害経験率は

    58.2%、不登校経験率は 21.1%です。また、ゲイ・バイセクシュアル男性のうち、自殺を

    考えた経験がある人は 66%、実際に自殺未遂の経験は 14%におよんでいることがわかって

    います。特に中学校・高校の学齢期に性的指向に関連する出来事が多く発生していることか

    ら、それまでに「性の多様性」に関する指導は必要不可欠です。

    文部科学省から、平成28年(2016年)に「性同一性障害や性的指向・性自認に係る、

    児童生徒に対するきめ細かな対応等の実施について(教職員向け)」が出されました。そのな

    かで、学校における支援体制の確立や日頃より子どもが相談しやすい環境を整えることの重

    要性が改めて示されています。保育士・教職員は、悩みや不安を抱える子どものよき一番の

    理解者となるよう努め、セクシュアルマイノリティに関する正しい知識・理解を図る必要が

    あります。

    本市においては、『ありのままに自分らしく生きられるまち 宝塚』教職員用リーフレット

    を作成・配布し、また関連絵本や図書を学校園所に配架しています。今年度においては、電

    話相談カードを作成・配布し、周知徹底に努めるところです。

    学校園所は、すべての子どもたちが『ありのままに自分らしく』過ごせる場所でなくては

    なりません。そのために保育士・教職員の人権意識の向上と同時に、子ども一人ひとりが安

    心できる居場所づくりが大切です。「性の多様性」に関する保育・教育活動は、人権保育・教

    育に位置付けて発達段階に応じて系統的・計画的に実践していかなければなりません。

    「性の多様性」に関する指導の前提には、互いの違いを認め合い、自分らしさを大切にす

    る素地づくりが重要です。「性の多様性」に関する保育士・教職員研修の充実を図るとともに、

    学校園所での環境づくりを進め、子どもが正しく理解できるよう冊子に掲載している就学

    前・小・中学校の保育・授業実践モデル例を参考に、保育・授業づくりを進める一助にして

    いただきたいと考えます。

  • 2

    多様なセクシュアリティ(性)

    セクシュアリティ(性)のあり様について次の4つを通して考えてみましょう。

    ①身体の性 身体的な特徴や性染色体、生殖腺などによって客観的に判断される性別です。外性器の違

    いで判断される場合が多いですが、精巣や卵巣の有無、染色体の組み合わせなど、からだの

    性の違いは、目に見えるものだけではありません。

    ②性自認(心の性) 自分自身が自分の性をどう捉えるかということです。男性(女性)の身体を持って生まれ

    た人の圧倒的多数が自分のことを男性(女性)と認識しています。しかし、心の性と身体の

    性が一致せず自分自身の身体に違和感を持っている人や男性でも女性でもないと感じている

    人もいます。

    ③性的指向(好きになる性) 恋愛感情が主にどの性別に向いているかということであり、男性を好きか、女性を好きか、

    男女両方好きか、あるいは誰に対しても恋愛感情は抱かないといったことです。

    ④性別表現(表現する性) 言葉づかいやファッションなど装いを自分自身がどのように表現したいか、ということで

    す。男らしさ、女らしさは、時代や文化と共に変化します。性自認と性別表現が一致すると

    も限りませんし、特定の性的指向を持つ人が特定の性別表現をするとも限りません。

    知っていますか?LGBT

    LGBTとは、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの

    頭文字を組み合わせた言葉です。

    L・・・レズビアン(Lesbian):女性同性愛者

    G・・・ゲイ(Gay):男性同性愛者

    B・・・バイセクシュアル(Bisexual):両性愛者

    T・・・トランスジェンダー(Transgender):身体の性に違和感を持った人、生まれた時の性別とは違う性別で生きる人、生きたいと望む人

    この他にも、心の性や好きになる性がはっきりしない人(クエスチョニング)など

    があります。性の多様性について、知っておく必要があります。

  • 3

    確認しましょう!学校園所の環境づくり

    LGBTなどの人口規模を考えると、クラスに1~2人在籍していることになります。

    このことからも、出会ったことがないのではなく、出会っていたが気がついていない

    だけかもしれません。中には言い出したかったが、言い出せなかった子どもがいたか

    もしれません。系統立てたカリキュラムを作成するなど、セクシュアルマイノリティ

    の子どもがいることを前提に、学校園所の環境づくりをしていく必要があります。

    下記のことに心がけましょう。

    学校園所では・・・

    ◆一人ひとりを大切にする体制をつくりましょう。

    →普段から受容と共感の態度で子どもと関わるようにすると、子どもが安心で

    きる居場所になります。

    ◆不必要な男女の区別をしないようにしましょう。(呼称、名簿、役割分担など)

    →身体や心の性の違いなどで悩んでいる子どもがいるかもしれません。

    ◆保育士・教職員の言動、子どもの言動について注意しましょう。

    →LGBTなどをからかう発言や差別する言葉(ホモ、おかま、オネエなど)

    が飛び交っていると、子どもの安心できる居場所にはなりません。

    ◆互いの違いを認め合い、自分らしさを大切にできる学級・学校園所づくりをめざし

    ましょう。

    →子どもの頑張りを褒めたり、子ども同士で良いところを見つけ合ったりす

    るなど、自尊感情を高める取組を継続して行うことで、意識の向上につな

    がります。

    ◆子どもが見える所にLGBTなどに関連する絵本や図書を置いたり、ポスターや

    レインボーマークを掲示したりして、LGBTなどについての理解を日頃より促し

    ましょう。

    →LGBTなどについて理解を日頃より促すことで、子どもは安心できます。

    宝塚市レインボーマーク

  • 4

    もっと深めていきましょう

    宝塚市教育委員会 学校教育課、宝塚市立教育総合センターに置いているLGBTなどに関連す

    る書籍の一部を紹介します。貸し出しもしていますので、ぜひご活用ください。

    『もっと知りたい!話したい!セクシュアルマイノリティ1・2・3』

    著者:日高 庸晴 発行:汐文社

    ※市立小・中・特別支援学校に配架しています。

    『先生と親のための LGBTガイド

    もしあなたがカミングアウト

    されたなら』

    著者:遠藤 まめた

    発行:合同出版

    『セクシュアルマイノリティって

    なに?』

    著者:日高 庸晴

    発行:少年写真新聞社

    『LGBTQを知っていますか?

    “みんなと違う”は

    “ヘン”じゃない』

    監著:日高 庸晴

    著者:星野 慎二ほか

    発行:少年写真新聞社

    『ゲイのぼくから伝えたい「好き」

    の?(ハテナ)がわかる本』

    著者:石川 大我

    発行:太郎次郎エディタス

    『タンタンタンゴはパパふたり』

    作者:

    発行:ポット出版

    ※市内就学前施設に配架しています。

    『わたしはあかねこ』

    作者:サトシン

    発行:文溪堂

    ※市内就学前施設に配架

    しています。

    『王さまと王さま』

    作者:

    発行:ポット出版

  • 5

    ○ 就学前・小学校低学年・中学年・高学年、中学校の「性の多様性」について考えるモデル案を提示しています。

    ○ 「性の多様性」の保育・授業を行う場合、誰もが互いに認め合える素地づくりが重要です。保育・授業だけの指導ではなく、日頃からの環境づくりを心がけましょう。

    ○ クラスの状況や子どもの発達段階に応じて、モデル案を適宜変更してください。 ○ 保育・授業をする場合、以下の点に注意しましょう。 ・クラスの中にセクシュアルマイノリティの子どもがいることを前提にしましょう。

    ・不適切な発言(ホモ、オネエ、レズなど)が子どもから出た場合、その時に適切な指導

    をしましょう。

  • 6

    保育環境を見直してみよう ~事例を通して考える~

    1. 保育環境のポイント

    ・性のあり方は、人の数だけ存在するということを念頭に保育を行い、一人ひとりを大

    切にする保育活動につなげる。

    ・個々の人権を保障することは、就学前の子どもにとってその後の育ちに重要な要素と

    なっていくことを理解し、実践する。

    ・性別によって先入観で固定的な対応をしないように配慮した保育を実践し、常に振り

    返ることで、さらに見直しを図る。

    2. 具体的事例

    具体的事例 指導上の留意点及び支援

    1.言葉の使い方について

    「男の子グループは~」など、「男の子」

    「女の子」という言葉を無意識に使ってい

    ないか。

    ・「男の子」「女の子」という言葉を不必要に

    使用しない。

    ・グループ分けの一つとして安易に使用しな

    いようにする。

    具体的事例 指導上の留意点及び支援

    2.トイレの使用方法について

    男子用便器の使用について考える。

    ・2 歳後半になると、男子用便器の使用につ

    いて教えるが、座ってする仕方でもよいこ

    とも伝える。

    具体的事例 指導上の留意点及び支援

    3.トイレの環境について

    トイレのスリッパの色が青とピンクに

    なっていることで、女児はピンクのスリ

    ッパが空くまで待つことがあった。

    男児「空いてるよ。」

    女児「ピンクがないもん。」

    男児「何色でもいいのになあ。」

    ・無意識に色分けしていたことに気づき、ス

    リッパの色を一色に統一する。

    ・他にも無意識に色分けしてしまっているこ

    とがないか、環境を再確認する。

    具体的事例 指導上の留意点及び支援

    4.好きな色について

    男児「○○ちゃん(女児)、青色が好き

    なんだって。」

    女性保育者「私も青が好きだよ。一緒だ

    ね。」

    後ろで聞いていた女児がにっこり微笑

    み、男児と笑顔で去っていく。

    ・色に男の子の色、女の子の色などがないこ

    とに気づかせる。(好きな色は何色でもよ

    い)

    ・子どもに無意識のうちに無用な性の認識を

    もたせないよう配慮する。

    ・子どものあるがままの思いを受け止めてい

    く。

    具体的事例 指導上の留意点及び支援

    5.服装や遊びについて

    “女の子はピンクが好きでスカート姿”

    “男の子は戦いごっこが好き”

    「男の子は・・・」「女の子は・・・」

    という、子どもに先入観や思い込みがあ

    る。

    ・女の子・男の子の決まった遊びや服装がな

    いことに気づかせる。

    ・先入観や思い込みのイメージから外れてい

    る子どもが排除されないようにする。

    ・保育者が無意識のうちに先入観や思い込み

    による言動をしていないかを振り返る。

    就学前①

  • 7

    自分らしくていいんだよ

    1. ねらいと内容

    自分らしくていいことを感じ取る。

    ・自分の毛の色が好き、他の色になりたくないあかねこちゃんの気持ちを分かろうとする。

    ・自分があかねこちゃんだったら、どう思うかを考えようとする。

    2. 展開

    幼児の活動 指導上の留意点及び支援

    1. 絵本「わたしはあかねこ」の読み聞かせを聞く。

    2. 読み聞かせを聞いて感じたことを話す。

    3. あかねこちゃんは自分の毛の色をどう思っているか、自分の考えを話したり、

    友だちの考えを聞いたりする。

    4. 自分の毛の色が好きというあかねこちゃんについて、思ったことを話したり、

    友達の思いを聞いたりする。

    5. 自分があかねこちゃんだったら、どう思うか話したり、友だちの思いを聞いたり

    する。

    6. 人それぞれに特徴があることについて考える。

    7. 自分らしくていいことを感じ取る。

    ・全幼児に絵本がよく見えるように、場を設

    定する。

    ・内容がよく伝わるように、ゆったりと読み

    聞かせをする。

    ・友だちの話を落ち着いて聞くことができる

    ように場を設定する。

    ・読み聞かせを聞いてどのように感じたかを

    尋ねる。

    ・個々の幼児の感じたことを受け止める。

    ・あかねこちゃんは自分の毛の色をどう思っ

    ているかを問いかける。

    ・あかねこちゃんは自分の色が好きなこと、

    他の色になりたくないと思っていることを

    確かめる。

    ・家族とは違っても、自分の毛の色が好きと

    いうあかねこちゃんをどう思うか、問いか

    ける。

    ・家族とは違っても、自分の毛の色が好きと

    言えるあかねこちゃんの素晴らしさに気づ

    かせる。

    ・自分があかねこちゃんだったら、自分の毛

    の色をどう思うか、問いかける。

    ・それぞれの幼児の思いを受け止めながら、

    自分の毛の色が好きという幼児の思いに共

    感する。

    ・顔や声等、みんな違うことから、人それぞ

    れには持ち味や良いところがあることを、

    話し合いを通して気づかせる。

    ・自分らしくていいことが感じ取れるように

    言葉をかける。

    ※ 資料参照 「わたしはあかねこ」 作:サトシン 絵:西村敏雄 発行:文溪堂

    就学前②

  • 8

    あなたのすきないろは?

    1.指導目標

    ・性別に対して見方や考え方を固定化しないことに気づく。

    ・一人ひとりの好きなものを認め合う大切さに気づく。

    2.展開

    学習活動 指導上の留意点及び支援

    1.好きな動物、好きな食べ物、使ってい

    るランドセルの色など発表する。

    2.白い Tシャツのワークシートに好きな

    色をぬる。

    3.なぜ、その色をぬったのか発表する。

    4.自分の好きな色を確認する。

    5.まとめの話を聞く。

    ・ 一人ひとり好きなものは違うことに気づかせる。

    ・ 白い Tシャツのワークシートを用意する。

    ・ ぬり終わったワークシートを掲示する。 ・ あまり変化がない場合などは、教師がぬったワークシートを掲示する。

    ・ 性別と色との固定観念がわかるものを取りあげる。

    ・ 一人ひとり好きな色が違うことを確認させる。

    ・ 性別に関係なく、好きなものを選んでよいことを知らせる。

    ・ 一人ひとりの違いを理解することが大切であることに気づかせる。

    小学校低学年①

    好きな色をぬって Tシャツを完成させよう

  • 9

    家族の多様性について考える

    1.指導目標

    ・様々な「家族のあり方」があり、違いがあっていいことを知る。

    2.展開

    学習活動 指導上の留意点及び支援

    1.「シンデレラ」の読み聞かせを聞く。

    2.内容を確認する。

    3.「王さまと王さま」の読み聞かせを聞く。

    4.感想・意見を交流し合う。

    ・ 王さまと王さまが結婚するのは おかしい。

    ・ 男どうしで結婚できるの?など

    5.様々な家族について知る。

    「いろいろかぞく」の読み聞かせを聞く。

    ・ 読み聞かせをする。

    ・ 最後に王子とシンデレラが結婚することを押さえておく。

    ・ 内容がよく伝わるように読み聞かせをする。

    ・ 「シンデレラ」と「王さまと王さま」の違いを考えさせる。

    ・ 「シンデレラ」と「王さまと王さま」の同じところを考えさせる。

    ・ 性のあり方は一人ひとり違っていいこと、異性を好きになることもあれば、同性を好きになる

    こともあるということを知らせる。

    ・ 内容がよく伝わるように読み聞かせをする。

    ・ 様々な家族の形があることを知ることで、幸せの形は様々で、違っていいことに気づかせる。

    ※家族の多様性について書かれている絵本

    ※資料参照

    ・「王さまと王さま」 作者:リンダ・ハーン、スターン・ナイランド 発行:ポット出版

    ・「いろいろかぞく」 作者:トッド・パール 発行:フレーベル社

    小学校低学年②

    【紹介したい家族の多様性】

    異性同士のカップル、同性同士の

    カップル、人種の違うカップル、

    一人親家庭等

  • 10

    女らしさ、男らしさって何だろう?

    1.指導目標

    ・「女らしさ」「男らしさ」という固定観念にとらわれず、男女の区別は関係なく、「自分

    らしさ」が大切であることに気づく。

    2.展開

    学習活動 指導上の留意点及び支援

    1.今まで「女だから」「男だから」「女のくせ

    に」「男のくせに」と言われた経験がない

    かを考える。

    女の子だから「おしとやかにしなさい 」と言われた。

    水色のランドセルをして行ったら、友だちに「女の子みたい」と言われ、新しい

    ものをまた買ってもらった。

    「男の子だからメソメソするな」と言われた。

    特に言われたことがない。など

    2.自分が感じている「女らしさ」「男らしさ」

    を発表する。

    女らしさのイメージ

    おとなしくてかわいい。 料理や手芸が好き。 やさしい。 色なら、赤やピンクが好き。 ままごとや人形が好き。

    男らしさのイメージ

    強い。 泣かない。 力が強い。 スポーツが得意。 色なら、青や黒が好き。

    自分たちの中でも、「男」「女」と区別して 考えていることがないか、考えさせる。

    身の回りにあるトイレやお風呂の標識など、女性用はピンク色のスカートをはいていて、

    男性用は青や黒のズボンをはいている。

    女の子は「さん」男の子は「くん」と区別 されて呼ばれている。

    CMやドラマでは、女性が料理をしている ことが多い。

    お家の人に言われてきた。 など、身の回りの社会に固定観念化されて

    いる事例が多くあることに気づかせる。

    「らしさ」について考えよう

    小学校中学年①

  • 11

    3.イラストを見て、「らしさ」について考え

    自分の意見を発表する。

    (例)

    4.まとめの話を聞く。

    「女らしさ」「男らしさ」という固定観念に気づかせる。

    一人ひとり好きなものが違うことを確認する。

    性別に関係なく、好きなものを選んでよいことを知らせる。

    一人ひとりの違いを理解することが大切であることに気づかせる。

  • 12

    心とからだの性について考える

    1.指導目標

    ・性には4つの性「身体の性」「心の性」「好きになる性」「表現する性」があることを

    知り、また、一人ひとり違っていいことに気づく。

    2.展開

    学習活動 指導上の留意点及び支援

    1.性には、4つの性があることを知る。

    ・「身体の性」は、生まれた時の性。

    ・「心の性」は、自分が感じる性。

    ・「好きになる性」は、好きになる相手の性。

    ・「表現する性」は、呼び方や服装など自分

    のことを表現する性。

    2.「タンタンタンゴはパパふたり」の読み聞か

    せを聞く。

    3.感想・意見を交流し合う。

    4.性は、一人ひとり違っていいことを知る。

    ・4つの性「身体の性」「心の性」「好きになる

    性」「表現する性」があることを知らせる。

    ・内容がよく伝わるように読み聞かせをする。

    ・実話であることを伝える。

    (米国 セントラルパーク動物園)

    ・好きになる相手を図で説明する。

    ・一人ひとりが違っていいこと、異性を好きに

    なることもあれば、同性を好きになることも

    あっていいこと、100人いれば性のあり方は、

    100通りあることを知らせる。

    ※資料参照

    ・「タンタンタンゴはパパふたり」

    作者:ジャスティン・リチャードソン&ピーター・パーネル 発行:ポット出版 小学校中学年②

    自分 男の子 女の子 自分 男の子 女の子 自分 男の子 女の子 自分 男の子 女の子 好きにならない 男の子が好き 女の子が好き どちらも好き

  • 13

    心とからだについて考えよう ~すべての人が生きやすい社会って?~

    1.指導目標

    ・セクシャルマイノリティの人々の生きづらさに気づき、共感し理解する。

    ・4つの性「身体の性」「心の性」「好きになる性」「表現する性」があることを知り、

    また、一人ひとり違っていいことに気づく。

    ・自分の心とからだを見つめる。

    2.展開

    学習活動 指導上の留意点及び支援

    1.性には、4つの性があることを知る。

    1つ目は身体の性…生まれた時の性。 2つ目は心の性…「わたしは女だ」「ぼくは男だ」というように自分がどう感じてい

    るか。

    3つ目は好きになる性…デートしたいな、2人になりたいなと思う、好きになる相手

    の性。

    4つ目は、表現する性…例えば、自分のことを「ぼく」「わたし」「あたし」など、

    どんなふうに呼ぶか。また、長い髪にする、

    スポーツ刈りにする、リボンをつけるな

    ど、自分をどのように表現するか。

    2.セクシャルマイノリティの人々について知る。

    4つの性があること、また、性のあり方は、

    100人いれば 100通りあることを知らせ

    る。

    日本でも、すでに100組以上の同性婚カップルが結婚式を挙げていることや、

    国、自治体、企業で多様なセクシュアリ

    ティのあり方を受け入れ、だれもが幸せ

    に暮らせる取組が始まっていることを知

    らせる。

    東京都渋谷区、世田谷区、三重県伊賀市、宝塚市、沖縄県那覇市では、同性婚パート

    ナーシップ制度を試行しており、およそ

    70組が登録していることを知らせる。

    小学校高学年①

    【LGBTについて】

    L…レズビアン(Lesbian):女性同性愛者

    G…ゲイ(Gay):男性同性愛者

    B…バイセクシュアル(Bisexual):両性愛者

    T…トランスジェンダー(Transgender)

    :身体の性に違和感を持った人、生まれた

    時の性別とは違う性別で生きる人、生き

    たいと望む人

  • 14

    3.今日の授業について、また、「先輩からのエー

    ル」を読んで、思ったことを書く。

    一人ひとりの違いを理解することが大切であることに気づかせる。

    「ホモ」「オネエ」「おかま」という言葉はセクシュアルマイノリティの人々が傷つ

    く言葉であることを知らせる。

    ・社会の中で前向きに生きるセクシュアル

    マイノリティの人々の声を紹介する。

    ※「もっと知りたい!話したい!セクシュ

    アルマイノリティ ありのままのきみ

    がいい1」 P.42~45参照

    ※資料参照

    『もっと知りたい!話したい! セクシュアルマイノリティ ありのままのきみがいい』

    全3巻 著者:日高 庸晴 発行:汐文社

  • 15

    すべての人が「自分らしく」生きられる社会って?

    1.指導目標

    ・セクシュアルマイノリティであってもなくても、すべての人々の人権が尊重されなけ

    ればならないことを理解する。

    ・違いを認め合い、すべての人々が「ありのままに自分らしく」生きることができる

    社会をつくろうとする態度を養う。

    2.展開

    学習活動 指導上の留意点及び支援

    1.「世界人権宣言」について知る。

    2. 授業のテーマを確認し、基本的人権について考え

    る。

    ・教育を受ける権利、住みたい所に住める権利、

    個性に応じて職業を選択する権利と自由、幸せ

    に生きる権利、相手の同意を得て結婚する権利

    など

    3.社会にある差別について考える。

    ・人種差別・民族差別・部落差別

    ・「しょうがい」児(者)差別・性による差別

    ・沖縄への差別 など

    4.セクシュアルマイノリティについて知る。

    ・「世界人権宣言」を分かりやすく

    訳したものを提示する。

    ・すべての人々に保障されているか

    どうか、考えさせる。

    ・本時は、特にセクシュアルマイノリ

    ティの人々への差別について考え

    ることを伝え、資料を配布する。

    ・病気ではないことをおさえる。

    わたし達にはどんな権利や自由があるか考えよう

    小学校高学年②

    【LGBTについて】

    L…レズビアン(Lesbian):女性同性愛者

    G…ゲイ(Gay):男性同性愛者

    B…バイセクシュアル(Bisexual):両性愛者

    T…トランスジェンダー(Transgender)

    :身体の性に違和感を持った人、生まれた時

    の性別とはちがう性別で生きる人、生きた

    いと望む人

  • 16

    5.セクシュアルマイノリティの人々への差別の実態

    を知る。

    6.自分の考えをまとめる。

    ・映像を見て、セクシュアルマイノリティの人々が

    「自分らしく」生きようと活動していることを知

    る。

    ・資料を見て、すべての人が「自分らしく」生きら

    れるよう、制度が整いつつあることを知る。

    ・ワークシートに自分の考えを書き、クラスで交流

    する。

    7.今日の学習の感想を書く。

    ・セクシュアルマイノリティの人々が

    感じている生きづらさについて考

    えさせる。

    ・「ホモ」「オネエ」「おかま」などの

    言葉に傷ついていることに気づか

    せる。

    ・※NHK for schoolを見せる。

    「ON MY WAY」

    ・日本でも、すでに100組以上の同

    性婚カップルが結婚式を挙げてい

    ることや、国、自治体、企業で多様

    なセクシュアリティのあり方を受

    け入れ、だれもが幸せに暮らせる取

    組が始まっていることを伝える。

    ※資料参照

    ・『もっと知りたい!話したい! セクシュアルマイノリティ ありのままのきみがいい』

    全3巻 著者:日高 庸晴 発行:汐文社

    ・NHK for school

    「ON MY WAY」 第 1回『 偏見をなくすためにはどうすればいいんだろう?』

    http://www.nhk.or.jp/doutoku/onmyway/

  • 17

    「性の多様性」について考える 1.指導目標

    ・「性の多様性」について正しく理解し、違いを認め合おうとする。

    2.展開

    学習活動 指導上の留意点及び支援

    1.性には、4つの性があることを知る。

    身体の性…生まれた時の性。 性自認(心の性)…自分自身が自分の性をどう捉えているか。

    性的指向(好きになる性)…恋愛感情が主にどの性別に向いているか。

    性別表現(表現する性)…言葉づかいやファッションなどの装いを自分自身が

    どのように表現したいか。

    2.セクシュアルマイノリティについて知る。

    4つの性があること、また、性のあり方は、100人いれば 100通りあることを知ら

    せる。

    自分の性と違った性別を好きになる人 (ヘテロセクシュアル)、身体の性と心の

    性が一致している人(シスジェンダー)に

    ついても紹介する。

    自分もその中の一人であることに気づかせる。

    セクシュアルマイノリティの人たちは、 特別な人たちではないことをおさえる。

    「ホモ」「オネエ」「おかま」という言葉はセクシュアルマイノリティの人々を差別

    する言葉であることを知らせる。

    中学生

    性の多様性について考えよう

    【LGBTについて】

    L…レズビアン(Lesbian):女性同性愛者

    G…ゲイ(Gay):男性同性愛者

    B…バイセクシュアル(Bisexual):両性愛者

    T…トランスジェンダー(Transgender)

    :身体の性に違和感を持った人、生まれた

    時の性別とは違う性別で生きる人、生き

    たいと望む人)

  • 18

    3.自分の性について考える。

    4.ゲストティーチャ―(当事者や支援団体*)

    の話を聞く。

    5.本時のまとめをする。

    4つの性をもとにして、自分の性について考えさせる。

    せる。

    自分の性については、図につけさせず、心の中で考える活動だけにする。

    →周りの目を気にしないよう配慮する。

    当事者の経験や支援団体からの話を聞くことにより、自分の身近な存在であること

    を理解させる。

    一人ひとりの違いを理解することが大切であることに気づかせる。

    特に悩みをもち始める成長段階なので、悩んでいる時は、信頼できる人に相談するよ

    う伝える。

    相談された場合、相手の気持ちに寄り添い、悩みを聞くことを伝える。

    →相談相手の了解も得ずに、第三者に伝え

    ることはしない。

    ※資料参照

    『もっと知りたい!話したい! セクシュアルマイノリティ ありのままのきみがいい』

    全3巻 著者:日高 庸晴 発行:汐文社

    *LGBTなどに関するゲストティーチャーの問い合わせ先

    宝塚市教育委員会 学校教育室人権教育担当 TEL:0797-77-2040

    《 こんな先生に相談したい 》 ・話しにくさを理解し、ていねいに話を聴

    いてくれる先生 ・からかったり、差別したりする言動をし

    ない、許さない先生 ・LGBTなどについて正しく理解し、発信

    してくれる先生

  • 【制 作】

    ○宝塚市教育委員会 委嘱研究員

    ○宝塚市教育委員会 学校教育室 人権教育担当

    教育支援室 教育研究課

    幼児教育センター

    【制作協力】

    宝塚大学 看護学部 教授 日高 庸晴

    セクシュアルマイノリティ電話相談 相談は無料です。秘密は守られます。自分の性や性的指向をはじめ、 さまざまな相談に応じます。 電話番号:0797-71-2136 開設日時:毎週水曜15時~18時(祝日、年末年始を除く) ※おおむね1人30分程度 対 象:子どもから大人までだれでも利用可能です。

    宝塚市教育委員会より『ありのままに自分らしく生きられるまち 宝塚』教職員用

    リーフレットを作成・配布しています。LGBTなどに関することが詳しく掲載されて

    います。宝塚市ホームページからもダウンロードできますので、ぜひご活用ください。

    【ダウンロードの方法】

    宝塚市ホームページの『サイト内検索』に ID 番号

    「1020809」を入力すると関連資料を

    ダウンロードすることができます。