子供たちの命と健康を守り育てるために · 2020. 10. 13. ·...

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全国養護教諭連絡協議会 副会長  小林 幸恵 子供たちの命と健康を守り育てるために 会員の皆様には、日頃より本会の運営・活動に対し深いご理解とご支援・ご協力をい ただきありがとうございます。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、 今年度は総会を書面決議に変更し、第21回学校保健連絡協議会を中止、第23回研修会を 延期させていただきましたことを、この場を借りて心からお詫び申し上げます。 さて、今年1月に中国湖北省武漢市を中心に発生した新型コロナウイルス感染症は、 世界中で猛威を振るい、子供たちの生活や教育の環境も激変しました。学校での感染拡 大にかかる科学的エビデンスが蓄積されていない状況で、情報や知見が日々変化し、感染予防に必要な資材が不 足する中、学習の保障と感染症予防対策が喫緊の課題となりました。全国の学校でこの難局を乗り越えるために、 専門職である養護教諭は、学校における新型コロナウイルス感染症対策を推進する中心的立場として「チーム学 校」で取り組み、奮闘されて来たことと思います。 今回、かつて経験したことのない新型コロナウイルス感染症の対応に苦慮するなか、養護教諭にとって教職員 や保護者、学校三師、関係機関等との連携・協働を高める大きな機会になりました。保健管理の徹底、感染予防 や生活習慣、心の健康など保健教育の充実、さらに何より、子供たちの健康に関する関心が高まり、主体的に手 洗いやマスクの着用など感染症予防に取り組み、健康的な生活を実践できるようになりました。今後も、ウィズ コロナのもとで、私たち養護教諭は子供たちの命と健康を守り育てる責務を果たせるよう、専門的な知識・技術 をはじめ必要な資質能力を高めていくことが大切だと考えます。 本会では、「新しい生活様式」を取り入れた会の運営に努め、これからも養護教諭の資質向上、職の充実・発展 のための取組を積極的に進めていきたいと思います。今後とも、会員の皆様のご支援とご協力をよろしくお願い いたします。 令和元・2年度 役員 引き続き、よろしくお願いいたします。 会  長/浅野 明美 長/安藤 季美 小林 幸恵 田中 和子 常務理事/齋藤 寛子 辻野 智香 深山 結花 有野 久美 青木 規子 嵯峨山文子 事務局 事 務 局 長/米元まり子 事務局職員/木嶋 晴代 事務所入り口の様子 全国養護教諭連絡協議会 令和2年9月30日 第81号 (1) 令和2年9月 発行 全国養護教諭連絡協議会 代表者 浅野 明美 東京都港区芝公園 2-6-8 日本女子会館 4階 TEL. :03(3433)5767 FAX. :03(3433)5768 NO.81 全国養護教諭連絡協議会ホームページアドレス http://www.yougo.jp

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Page 1: 子供たちの命と健康を守り育てるために · 2020. 10. 13. · 全国養護教諭連絡協議会 副会長 小林 幸恵 子供たちの命と健康を守り育てるために

全国養護教諭連絡協議会

副会長 小林 幸恵

子供たちの命と健康を守り育てるために

会員の皆様には、日頃より本会の運営・活動に対し深いご理解とご支援・ご協力をいただきありがとうございます。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、今年度は総会を書面決議に変更し、第21回学校保健連絡協議会を中止、第23回研修会を延期させていただきましたことを、この場を借りて心からお詫び申し上げます。さて、今年1月に中国湖北省武漢市を中心に発生した新型コロナウイルス感染症は、世界中で猛威を振るい、子供たちの生活や教育の環境も激変しました。学校での感染拡

大にかかる科学的エビデンスが蓄積されていない状況で、情報や知見が日々変化し、感染予防に必要な資材が不足する中、学習の保障と感染症予防対策が喫緊の課題となりました。全国の学校でこの難局を乗り越えるために、専門職である養護教諭は、学校における新型コロナウイルス感染症対策を推進する中心的立場として「チーム学校」で取り組み、奮闘されて来たことと思います。今回、かつて経験したことのない新型コロナウイルス感染症の対応に苦慮するなか、養護教諭にとって教職員や保護者、学校三師、関係機関等との連携・協働を高める大きな機会になりました。保健管理の徹底、感染予防や生活習慣、心の健康など保健教育の充実、さらに何より、子供たちの健康に関する関心が高まり、主体的に手洗いやマスクの着用など感染症予防に取り組み、健康的な生活を実践できるようになりました。今後も、ウィズコロナのもとで、私たち養護教諭は子供たちの命と健康を守り育てる責務を果たせるよう、専門的な知識・技術をはじめ必要な資質能力を高めていくことが大切だと考えます。本会では、「新しい生活様式」を取り入れた会の運営に努め、これからも養護教諭の資質向上、職の充実・発展のための取組を積極的に進めていきたいと思います。今後とも、会員の皆様のご支援とご協力をよろしくお願いいたします。

令和元・2年度 役員 引き続き、よろしくお願いいたします。会  長/浅野 明美副 会 長/安藤 季美     小林 幸恵     田中 和子

常務理事/齋藤 寛子     辻野 智香     深山 結花     有野 久美     青木 規子     嵯峨山文子事務局事 務 局 長/米元まり子事務局職員/木嶋 晴代

事務所入り口の様子

全国養護教諭連絡協議会令和2年9月30日 第81号 (1)

令和2年9月 発行全国養護教諭連絡協議会代表者 浅野 明美東京都港区芝公園 2-6-8日本女子会館 4階TEL. :03(3433)5767FAX. :03(3433)5768

NO.81

全国養護教諭連絡協議会ホームページアドレス http://www.yougo.jp

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貴会の皆様におかれましては、日頃から、児童生徒の心身の健康の保持増進並びに学校保健活動の充実・発展に多大なるご尽力を賜り、心から感謝申し上げます。また、全国的に感染が拡大している新型コロナウイルス感染症については、目まぐるしく変化する状況に応じて、学校のまさに最前線でご対応いただいておりますことに、厚く御礼申し上げます。国内外の感染状況を見据えると、今後も新型コロナウイルス感染症への対応は長期化することが見込まれます。こうした中でも、持続的に児童生徒等の学びを保障していくため、学校における感染及びその拡大のリスクを可能な限り低減した上で、学校

の多様な教育活動を継続していく必要があります。感染症対策を徹底しつつも、感染リスクはゼロにすることはできないという事実を前提として、学校においても「3つの密」を避ける、「マスクの着用」及び「手洗いなどの手指衛生」など基本的な感染対策を継続する「新しい生活様式」を継続するとともに、地域の感染状況に応じた感染症対策を講じながら、可能な限り、授業や部活動、各種行事等の教育活動を継続し、子供の健やかな学びを保障していくことが必要です。文部科学省においても、これらの学習補償等に必要な人的・物的体制の整備にかかる予算を措置するとともに、必要な情報を提供するなど各学校が感染症対策に万全を期した上で教育活動を実施いただけるよう支援してまいります。 養護教諭の皆様には、引き続き、児童生徒の健康管理等に専門性を生かしつつ、中心的な役割を果たしていただき、本協議会における情報共有や助言等がさらなる取組の推進につながることを期待しています。結びに、全国養護教諭連絡協議会の益々のご発展と、貴会の皆様の御活躍を祈念いたしますとともに、これからも文部科学行政への御理解と御協力の下、各学校における健康課題の解決及び新型コロナウイルス感染対策に向けてより一層の御尽力をいただきますようお願いいたします。

全国養護教諭連絡協議会の皆様におかれましては、日頃より子どもたちの心身の健康の保持増進及び学校保健の充実・発展に貢献されていますことに対し、全国の公立小学校長を代表して心より御礼申し上げます。特に今年度は、新型コロナウイルス感染症予防を最優先とした学校経営にあって、養護教諭の皆様にはその最前線でご対応いただいています。それは、医療従事者と同じように自らの感染リスクとの闘いでもあります。それでも、子どもたちや教職員の感染防止のために日々ご尽力いただいていることに心より敬意を表するものです。全国連合小学校長会といたしましても、去る5月14日文部科学省初等中等教育局長に対し、今般の新型コロナウイルス対応下における学校教育充実のための要望を行いました。ここでは、養護教諭の負担軽減と迅速な対応の実現、子どもたちのメンタルヘルスの保持に資するための2名配置をお願いしたころでございます。さて、新型コロナウイルス感染症への対応は、まだまだ続いていくことは明らかです。インフルエンザの流行期と重なることで、医療機関はさらに逼迫し、再度の臨時休業も想定されます。生命を守ること経済を回していくという構造の難しさは学校も同じです。子どもたちや教職員の健康・安全の確保と学びの保障という大命題に立ち向かっていかなくてはなりません。それまでに薬品の開発が進んでいることや有益な知見が得られることを期待していますが、学校現場が常に最前線であることには変わりません。子どもたちや教職員の健康を守る要として養護教諭の皆様への期待が高まっています。これからも、養護教諭の専門的立場から見た感染症予防策やコロナ禍の学校運営そのものについて、積極的に発信していただき、校長の学校経営を支えていただければと存じます。結びに、全国養護教諭連絡協議会の益々の充実・発展と会員の皆様のご健勝とご活躍を心より祈念申し上げ、挨拶といたします。

全国養護教諭連絡協議会に望むこと全国養護教諭連絡協議会に望むこと全国養護教諭連絡協議会に望むこと文部科学省初等中等教育局 健康教育・食育課長 平 山 直 子

全国連合小学校長会 会長 喜 名 朝 博

全国養護教諭連絡協議会(2) 令和2年9月30日 第81号

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令和2年度の総会は、新型コロナウイルス感染症対策のため書面決議といたしました。各研究会代表者の皆様から「承認書」の提出をいただき、すべての議案について「承認」をいただきました。

 (1)令和元年度事業報告   承認   (4)令和2年度事業計画  承認 (2)令和元年度会計決算報告 承認   (5)令和2年度会計予算  承認 (3)令和2年度基本方針   承認

昨年度の総会において新役員のご承認をいただき、令和という新しい時代とともにスタートし、会員の皆様のご理解とご支援・ご協力をいただきながら、本会事業を進めることができました。役員一同、深く感謝申し上げます。今年度の総会は「書面決議」という残念な形となりましたが、各研究会代表者の皆様からすべての議案についてご承認いただき、2年目をスタートすることができました。謹んで御礼申し上げます。また、各研究会代表者の皆様から、本会の運営に対してのご助言やご要望、温かい労いのお言葉や励ましのお言葉を多数お寄せいただきました。このようなご意見をいただけることが、本会にとってどれだけ心強いことか言葉では言い尽くせません。皆様のご厚情に、心より感謝申し上げます。さて、各研究会代表者の皆様からいただきましたご質問とご要望への回答は、各研究会代表者の皆様には既にお伝えいたしましたが、改めて会員の皆様にお伝えいたします。

第26回研究協議会の開催について(ご質問)令和3年2月開催予定の第26回研究協議会については、新型コロナウイルス感染症の状況を見極め、「新しい生活様式」を考慮した会の開催方法を検討しました結果、「WEBによる動画配信」の形式で実施することにいたしました。詳細につきましては、10月に全会員にお知らせいたしますので、是非とも多くの方々のお申し込みをお願いいたします。

新型コロナウイルス感染症対策における養護教諭の実践や課題等の取りまとめについて(ご要望)新型コロナウイルス感染症対策については、それぞれの地域の実状に応じて、養護教諭の専門性を発揮し学校保健の中心的立場として感染対策や児童生徒の心のケア等を行っていることと思います。また、各研究会においても、各会の運営等について様々な対応をされていることと思います。このような現状を踏まえ、全国組織として、各研究会での取組等を取りまとめ情報を共有してはどうかというご要望がございました。大変貴重なご意見をいただきました。本会としましては、理事会をとおして各研究会の取組及び現状と課題を把握し、情報交換を行う予定です。また、令和2年10月実施の「養護教諭の職務に関する調査」には、新型コロナウイルス感染症対策に関する設問を追加しております。さらに、文部科学省をはじめとする関係団体に対して、感染症対策に関する学校現場の状況と全養連としての意見・要望等をお伝えしております。今年度も会員の皆様のご意見をいただきながら、「新しい生活様式」を取り入れた形で、会の運営を進めていきたいと考えております。これからも、皆様のご支援とご協力をよろしくお願いいたします。

会長  浅野 明美

全国養護教諭連絡協議会令和2年度総会議事

全国養護教諭連絡協議会令和2年9月30日 第81号 (3)

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学校における新型コロナウイルス感染症対策について学校における新型コロナウイルス感染症対策について(令和2年9月11日時点)(令和2年9月11日時点) 文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課

健康教育調査官 松 﨑 美 枝

 新型コロナウイルス感染症については、国内外の感染状況を見据えると、長期的な対応が求められることが見込まれる状況である。このため、学校においても、「3つの密」を徹底的に避ける、「マスクの着用」及び「手洗いなどの手指衛生」など基本的な感染対策を継続する「新しい生活様式」を導入し、感染及びその拡大のリスクを可能な限り低減しつつ、教育活動を継続し、子供の健やかな学びを保障していくことが必要である。 その際、感染症対策を徹底しつつも、感染リスクはゼロにすることはできないという事実を前提として、感染者が確認された場合には、迅速かつ的確に対処することができるよう、地方自治体内での衛生主管部局との連携や、学校医・学校薬剤師等の専門家と連携した学校におけ

る保健管理体制を築いていくことが重要である。 感染者が確認された場合には、ただちに地域一律に一斉の臨時休業を行うのではなく、感染者及び濃厚接触者を出席停止としたり、分散登校を取り入れたりしつつ、学校内で感染が広がっている可能性についての疫学的な評価を踏まえた臨時休業についての判断を行う。 同時に、感染者や濃厚接触者である児童生徒等が、差別・偏見・いじめ・誹謗中傷などの対象にならぬよう、十分な配慮・注意が必要である。 文部科学省では、学校の衛生管理に関するより具体的な事項について学校の参考となるよう「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル~「学校の新しい生活様式」~」(以下、「衛生管理マニュアル」という。)を作成している。 今回は、令和2年9月3日に改訂した衛生管理マニュアルVer4の概要を紹介する。

1. 学校における新型コロナウイルス感染症対策の考え方○衛生管理マニュアルで示す行動基準を参考としつつ、「新しい生活様式」への円滑な移行と児童生徒等及び教職員の行動変容の徹底を図ることによって、感染及びその拡大のリスクを可能な限り低減しつつ、授業や部活動、各種行事等の教育活動を継続し、子供の健やかな学びを保障していくことが必要である。

2.学校における基本的な新型コロナウイルス感染症対策○基本的な感染症対策の徹底・日常の健康観察(風邪症状が見られる場合は自宅休養)、手洗い、咳エチケット、清掃・消毒(※)、抵抗力を高める 等(※)一時的な消毒の効果を期待するよりも、清掃により清潔な空間を保ち、健康的な生活により児童生徒等の

免疫力を高め、手洗いを徹底することの方が重要であり、通常の清掃活動の中にポイントを絞って消毒の効果を取り入れるようにする。

○集団感染リスクへの対応・「3つの密」と「大声」に注意すること・換気の徹底、感染状況等に応じた身体的距離の確保、身体的距離が十分とれない場合のマスク着用・マスクなしでフェイスシールドのみで学校内で過ごす場合は身体的距離をとること

(※1)どの感染レベルに該当するかは、児童生徒等及び教職員の生活圏におけるまん延状況や地域のまん延状況や医療提供体制等の    状況を踏まえ、地方自治体の衛生主管部局と相談の上、学校の設置者において判断。(※2)「今後想定される感染状況と対策について」(令和2年8月7日新型コロナウイルス感染症分科会提言)     ステージⅠ:感染者の散発的発生及び医療提供体制に特段の支障がない段階     ステージⅡ:感染者の漸増及び医療提供体制への負荷が蓄積する段階     ステージⅢ:感染者の急増及び医療提供体制における大きな支障の発生を避けるための対応が必要な段階     ステージⅣ:爆発的な感染拡大及び深刻な医療提供体制の機能不全を避けるための対応が必要な段階

「新しい生活様式」を踏まえた学校の行動基準

全国養護教諭連絡協議会(4) 令和2年9月30日 第81号

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3.具体的な活動場面ごとの感染症予防対策○各教科等について 児童生徒が長時間近距離で対面形式となる「グループワーク」、室内での近距離での「合唱」、近距離での「調理実習」、「密集する運動」など「感染症対策を講じてもなお感染のリスクが高い学習活動」は、レベル3の地域では行わない。レベル2の地域ではリスクの低い活動から徐々に実施することを検討する。レベル1では適切な感染症対策を行った上で実施する。○部活動 レベル3地域ではなるべく個人での活動とし、少人数で実施する場合は十分な距離を空ける。密集する運動や近距離で接触する活動は行わない。レベル2ではリスクの低い活動から徐々に実施を検討する。レベル1では可能な限り感染症対策を行い実施する。○学校給食 前後の手洗いの徹底のほか、会食時には飛沫を飛ばさないよう、例えば机を向かい合わせにしない、大声での会話を控える。○図書館 図書館利用前後の手洗いを徹底し、図書館内で密集が生じないよう配慮した上で貸出機能を維持する。○登下校・登下校時間帯の分散等、集団登下校を行う場合やスクールバス乗車中に「3つの密」を避ける。・夏期の気温・湿度や暑さ指数が高い中でマスクをすることによる熱中症のリスクから、人と十分な距離が確保できる場合、マスクを外すよう指導する。

○寮や寄宿舎、修学旅行等・居室や共用スペースにおいて活動場所ごとの感染症対策を行うほか、平時から体温測定や健康観察等を行う。・発熱等の症状があるものを隔離し、主要症状が消退した後2日を経過するまで部活動や寮生活等の集団活動に参加させないようにする。・新型コロナウイルス感染症が疑われる場合、個室に隔離し、共用スペースを使用させないようにする等の対応を行う。

4.臨時休業の判断について○児童生徒等や教職員の感染が確認された場合、設置者は、保健所による濃厚接触者の範囲の特定や検査に必要な日数・範囲で臨時休業を実施。(濃厚接触者の特定に時間を要しない場合や、濃厚接触者がいない等の場合においては、必ずしも臨時休業の必要はない。現在は、感染者が発生した後、1~3日の臨時休業を実施してから、学校を再開する例が一般的である。)○その後、校長は、感染した児童生徒等や、保健所の調査により濃厚接触者に該当すると判断された児童生徒等について、出席停止の措置を取る。○これにとどまらず、学校の設置者が、学校の全部または一部の臨時休業を行うのは、保健所の調査等により、感染者の学校内での活動の状況や地域の感染拡大の状況を踏まえ、学校内で感染が広がっている可能性が高いと判断された場合。一方、感染経路が判明しており、学校外で感染したことが明らかであって、他の児童生徒等に感染を広めているおそれが低い場合には、学校の臨時休業を実施する必要性は低いと考えられる。

5.児童生徒等への指導について 学校生活においては、休み時間や登下校など教職員の目が届かない所での児童生徒等の行動が大きな感染リスクとなる。したがって、児童生徒等が本感染症を正しく理解し、感染のリスクを自ら判断し、これを避ける行動をとることができるよう、感染症対策に関する指導を行うことが必要である。また、学校で新型コロナウイルス感染者が発生した場合や児童生徒等の家族が感染した場合、感染者及びその家族等への差別・偏見・誹謗中傷などはあってはならないことである。差別・偏見・誹謗中傷のもととなる「不安」を解消するためにも、本感染症を正しく理解することが大切である。文部科学省では、保健教育指導資料「新型コロナウイルス感染症の予防~子供たちが正しく理解し、実践できることを目指して~」また、「改訂『生きる力』を育む中学校保健教育の手引」(追補版)を作成している。 これらの資料を有効に活用し、小・中・高等学校それぞれの子供たちの発達段階を踏まえて指導することが大切である。

※これらはあくまで目安であり、それぞれの施設の状況や感染リスクの状況に応じて、柔軟に対応することが可能である。座席の間隔に一律にこだわるのではなく、頻繁な換気などを組み合わせることなどにより、現場の状況に応じて柔軟に対応する。

※参考(座席配置の例)

■レベル1・2地域 (1クラス40人程度)の例

■レベル3地域 (1クラス20人程度)の例

 令和2年9月3日に改訂した衛生管理マニュアルVer4の概要を紹介したが、衛生管理マニュアルは、新たな情報や知見が得られた場合、随時見直しを行い更新している。最新のものを確認していただきながら、各学校において感染症対策に努めていただきたい。

全国養護教諭連絡協議会令和2年9月30日 第81号 (5)

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平成30年度 養護教諭の職務に関する調査ダイジェスト報告 №3

2 健康相談の事例件数と複数配置状況との関連

第3弾は、「健康相談」について報告します。

1 校種別健康相談事例の内容

○相談内容は、「人間関係に関すること」「身体の健康に関すること(アレルギー含む)」「メンタルヘルス」「登校しぶり」「自傷行為・自虐行為」「過呼吸症候群」「性に関する問題」など、多岐にわたっている。○新たに調査した「インターネット等メディア」については、中・高等学校の割合が高く、中学校では45.1%、高等学校では55.9%であった。

〇健康相談の事例件数は、複数配置で「ある・ない」にかかわらず「1~20件」が最も多いが、「21件以上」を合計すると、未配置校は25.3%、配置校は44.6%で、倍近くになる。 また、複数配置校では「101件以上」も10.3%あり、多くの相談にあたっていることが分かる。

全国養護教諭連絡協議会(6) 令和2年9月30日 第81号

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仲間の実践から学びを深めましょう!研究誌「瑞星」第12号 今冬 発刊‼

実践事例集テーマ「今、求められる学校保健の推進~連携・協働を高める養護教諭の役割~」全国の各研究会から推薦された実践家が執筆!幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の仲間の21実践を掲載しています。実践は、「保健教育」と「保健管理」の2分野。学習指導要領の改訂、子供を取り巻く健康課題の多様化を受け、教職員や家庭・地域の専門機関とも連携・協働を高めた実践が満載です。研修会や研究大会に思うように参加できない今だからこそ、全国の仲間の実践を通して、学校保健の推進を見直してみませんか。実践の紹介は、本会ホームページ、「瑞星編集委員会だより」をご覧ください。販売申し込みは、今秋に各研究会を通してお知らせします。

 8月4日~5日に予定しておりました第23回研修会については、参加者様の感染拡大防止対策を最優先に考えた結果、やむなく延期とさせていただきました。参加を検討して頂いた皆様のご理解に感謝申し上げます。一日も早い新型コロナウイルス感染症の終息を願いつつ、全国の会員の皆様と研修会でお目にかかれることを楽しみに準備を進めていきます。

第23回研修会第23回研修会

全国養護教諭連絡協議会

202012

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全国養護教諭連絡協議会令和2年9月30日 第81号 (7)