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教育情報公表の制度化の流れと 大学ポートレート(仮称)活用のメリット 文部科学省 ………………………………………… 大学ポートレート(仮称)は進路指導に活用できるか 東京都立桜修館中等教育学校 小林洋司校長 ……………………………………… 大学の教育情報公表義務化と 大学ポートレート(仮称) このシリーズでは、高校生が志望大学を考えるときに、 どのような情報を提供し、指導に生かしていくのか、高 校の先生方へのインタビューやアンケートの結果などを 中心に紹介していく。 2010 年6月に大学の教育情報の公表が義務化され、 各大学ではホームページやパンフレット、オープンキャ ンパスなどを通じ、さまざまな情報を公表するように なった。また、以前から進路指導の際に使われてきた「設 置学部・学科名」や「入試日程・入試方法」も複雑化す る一方である。もちろん、予備校等が設定する「入試難 易度」なども、依然として進路指導において重要な位置 を占めている。 出版社や予備校が提供する情報も多様化している。こ こ数年で、入学者選抜や学部・学科に関する情報だけで なく、卒業後の進路情報や教育内容、財務状況など、さ まざまな情報をまとめたデータ集やランキングが発行さ れている。 このように、近年、大学に関する情報は、非常に多様 で膨大になっている。しかし、公表される情報は、読み 解き方が難しい、大学によって基準が異なるなど、課題 も多い。より多面的に大学を見られるようになる一方で、 進路指導において、これらの情報をどのように活用する か、ますます重要になるだろう。 そこで、2014 年度のガイドラインでは本コーナー を新設。先生方がどのように「大学選びの視点」を持ち、 進路指導に生かしているのか。つまり、どのような情報 に注目するのか、どのように数値等を読み解くのか、ど こまでの情報を生徒自身に調べさせるのか等について、 具体的な取り組みや工夫点を紹介していきたい。 まず、4・5月号では、「大学選びの視点」を考える 前提として、大学の情報公表が進んできた背景と、 2014年度中の公開が予定されている「大学ポートレー ト(仮称)」の概要について紹介する。 C ontents 大学 びの 視点 P53 P56 52 Kawaijuku Guideline 2014.45

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Page 1: 大学選びの 視点 - keinet.ne.jp · いは高校生自身の志望校選びにおいて、こうした情報を どのように活用すればいいのだろうか。教育情報公表の

教育情報公表の制度化の流れと大学ポートレート(仮称)活用のメリット

文部科学省 …………………………………………

大学ポートレート(仮称)は進路指導に活用できるか 東京都立桜修館中等教育学校小林洋司校長 ………………………………………

大学の教育情報公表義務化と大学ポートレート(仮称) このシリーズでは、高校生が志望大学を考えるときに、

どのような情報を提供し、指導に生かしていくのか、高

校の先生方へのインタビューやアンケートの結果などを

中心に紹介していく。

 2010年6月に大学の教育情報の公表が義務化され、

各大学ではホームページやパンフレット、オープンキャ

ンパスなどを通じ、さまざまな情報を公表するように

なった。また、以前から進路指導の際に使われてきた「設

置学部・学科名」や「入試日程・入試方法」も複雑化す

る一方である。もちろん、予備校等が設定する「入試難

易度」なども、依然として進路指導において重要な位置

を占めている。

 出版社や予備校が提供する情報も多様化している。こ

こ数年で、入学者選抜や学部・学科に関する情報だけで

なく、卒業後の進路情報や教育内容、財務状況など、さ

まざまな情報をまとめたデータ集やランキングが発行さ

れている。

 このように、近年、大学に関する情報は、非常に多様

で膨大になっている。しかし、公表される情報は、読み

解き方が難しい、大学によって基準が異なるなど、課題

も多い。より多面的に大学を見られるようになる一方で、

進路指導において、これらの情報をどのように活用する

か、ますます重要になるだろう。

 そこで、2014年度のガイドラインでは本コーナー

を新設。先生方がどのように「大学選びの視点」を持ち、

進路指導に生かしているのか。つまり、どのような情報

に注目するのか、どのように数値等を読み解くのか、ど

こまでの情報を生徒自身に調べさせるのか等について、

具体的な取り組みや工夫点を紹介していきたい。

 まず、4・5月号では、「大学選びの視点」を考える

前提として、大学の情報公表が進んできた背景と、

2014年度中の公開が予定されている「大学ポートレー

ト(仮称)」の概要について紹介する。

C o n t e n t s

大学選びの視点 第1回

P53

P56

52 Kawaijuku Guideline 2014.4・5

Page 2: 大学選びの 視点 - keinet.ne.jp · いは高校生自身の志望校選びにおいて、こうした情報を どのように活用すればいいのだろうか。教育情報公表の

大学選びの視点 第1回 

大学の教育情報公表義務化と大学ポートレート(仮称)

業績④入学者受入方針、入学者数、収容定員、在学者数、卒

業者数、 卒業後の進路(進学者数、 就職者数、主な就職分野)

⑤授業科目の名称、授業の方法・内容、年間授業計画⑥学修成果の評価の基準、卒業認定の基準⑦校地、校舎等の施設・設備その他の教育研究環境(キャ

ンパス概要、運動施設の概要、課外活動の状況とそのための施設、休息を行う環境、主な交通手段等)

⑧授業料、 入学料その他の費用徴収、寄宿舎・学生寮等の費用、施設利用料等

⑨学生の修学、進路選択、心身の健康等の支援(留学生支援や障がい者支援等のさまざまな学生支援を含む)

 他国の先行事例を参考にして 共通の情報提供の仕組みを検討

 「法令に基づく情報公表は、基本的には、各大学がそれぞれのホームページやパンフレットなどで教育情報を公表することが求められます。さらに、諸外国の取組等も踏まえて、文部科学省の『大学における教育情報の活用支援と公表の促進に関する協力者会議』などにおいて、各大学の情報公表に加えてデータベースを活用した共通の情報公表の仕組みを構築し、社会にわかりやすく発信することの必要性が指摘されるようになりました」(田中室長) 例えばアメリカでは、奨学金の受給資格として大学の情報公表が義務づけられており、以前から「College Navigator」というデータベースが構築されてきた。12の共通項目(一般的な情報、学費・生活費等、経済的支援、入学状況、中退・卒業率、分野ごとの学位取得状況、運動部活動、第三者評価の結果、キャンパスの安全など)が掲載されている。しかし、内容が専門的で使いにくいという指摘もあったため、2007 年には州立大学の団体が「College Portraits」を構築。統計データに加えて、

文部科学省

教育情報公表の制度化の流れと大学ポートレート(仮称)活用のメリット

 大学に教育情報の公表が義務化されたことを受けて、

ホームページやパンフレットなどで、さまざまな情報の

公表が進んでいる。2014年度には大学ポートレート

(仮称)も開設される予定だ。進路指導において、ある

いは高校生自身の志望校選びにおいて、こうした情報を

どのように活用すればいいのだろうか。教育情報公表の

これまでの流れと、大学ポートレート(仮称)の検討状

況などについて、文部科学省高等教育政策室に伺った。

 アカウンタビリティの観点から 大学に情報公表と評価が求められる

 なぜ、大学にさまざまな教育情報の公表が求められるようになってきたのか。文部科学省高等教育政策室の田中聡明室長は「アカウンタビリティ(説明責任)の観点から、社会から大学の情報公表と評価が求められるようになり、大学の自発的な取組とともに、国の施策としても制度化を進めてきた」と解説する。 まず 1999 年の大学設置基準の改正で、「大学における教育研究活動等の状況について積極的に提供する義務」が省令として定められた。次いで、2004 年に制定された国立大学法人法、2005 年に改正された私立学校法で、財務情報の公開義務が規定された。さらに、2007 年に学校教育法が改正され、教育情報の公表義務は、法律でも規定されることになった。 そして、2011 年には、学校教育法施行規則が改正され、各大学の教育情報公表は一気に加速した。というのも、この改正で、公表すべき教育情報を具体的に明確化するとともに、公表への取り組みが認証評価の対象項目になったからである。 このとき、すべての大学で公表すべき事項として、以下の9項目が掲げられている。①教育研究上の目的(学部・学科・課程等ごと)②教育研究上の基本組織(学部、学科、課程等の名称)③教員組織、教員数(男女別・職別)、教員の保有学位・

Kawaijuku Guideline 2014.4・5 53

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学生の学修成果や満足度などの項目が掲載されているほか、図やグラフが多用され、わかりやすく表示されていることが特徴だ。 イギリスでは、大学への公財政の配分を担う HEFCE

(Higher Education Funding Council for England)と、大学入試手続を担う UCAS(Universities & Colleges Admissions Service)が、2007 年に、各大学の教育情報を一元的に提供する「Unistats」を構築し、運営している。項目ごとに複数の大学を並べて表示できるところ

に特色がある。

 2014年度中に稼動開始予定

 こうした諸外国の取り組みを参考にして、日本でも共通の情報提供の仕組みを作ることをめざし、2012 年2月、「大学ポートレート(仮称)準備委員会」 が発足した。同年5月に専門的な調査審議を行うワーキンググループが設置され、大学団体なども参画して議論が進められ、11 月に 「検討経過報告」 として基本設計が公表された。

<図表1>大学ポートレート(仮称)の表示イメージ

【大学の基本情報】大学名、大学の連絡先(代表番号、メールアドレスなど)、大学の種類、本部所在地、設立年(設置認可年)、総学生数(学部、大学院)、総教員数(本務者)【大学の教育研究上の目的等】大学の教育研究上の目的や建学の精神【大学の特色等】大学の特色等【教育研究上の基本組織】学部、研究科の名称、その他の学内組織の名称【キャンパス】キャンパスの概要(アクセス、地図、写真等)【評価結果】認証評価及びその他の評価の結果、【学生支援】修学支援、心身の健康に係る支援、留学生支援、障がい者支援、就職・進路選択支援【課外活動】クラブ活動の状況、ボランティア活動の状況

大学全体の情報

設置形態  大学名   学部・研究科名

国立    A大学   医学部利用者が選択した学部・研究科を明示。

教育研究上の目的と3つの方針

学部・研究科等の特色等

学部、研究科、学科等ごとの目的

学部・研究科等の特色等

学科・専攻、専攻課程等の名称、修業年限、取得可能な学位、教育課程の特色、教育課程編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)、授業科目、授業の方法・内容、年間の授業計画(年間の授業計画、シラバス等)、学生が修得すべき知識及び能力に関する情報、学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)、学修の成果に係る評価の基準、卒業・修了認定の基準、取得可能な主な資格、取得人数、転学部・編入学等の可否、費用負担

入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)、入学者数、実施している入試方法、入試特別措置、入学者の構成(男女別、出身高校所在地別、入試方法別)

収容定員、学生数、学生の構成(年次別、男女別、外国人学生)、その他の学生数(研究生、科目等履修生、専攻科の学生数など)、編入学定員、編入学者数

学部・研究科等のキャンパスの所在地、アクセス、キャンパスの外観(写真等)、キャンパスアクセス図、キャンパス周辺図、校地・校舎等の施設及び設備その他の学生の教育環境(バリアフリー等への対応状況含む)、学生寮の整備状況(学生寮の有無、所在地、定員、寮費(食費込、食費無)、入寮条件、特色)

教員組織、教員数、教員が有する学位・業績、教員の構成(職位別、男女別、外国人教員)、教員の構成(年齢別)

授業料、入学料、その他の徴収費用(宿舎費用、教材購入費、施設利用料など)、学納金の延納・分納の可否、休学及び復学に係る費用、費用に関する説明、奨学金(金額、受給資格、支給枠)、授業料減免

卒業・修了者数、進学者数、就職者数、卒業・修了者の構成(男女別、職業別、産業別、就職地域別)、卒業・修了後の進路進路

教育課程

入試

教員

学生

キャンパス

費用及び経済的支援

大学ポートレート表示イメージ※イメージであり、システム開発の過程で変更があり得る。(全体表示)

学部・研究科に関する表示イメージ

大学ポートレート(仮称)準備委員会(第5回)資料より作成

大学全体に関する表示イメージ

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大学選びの視点 第1回 

大学の教育情報公表義務化と大学ポートレート(仮称)

 「2014 年度には『大学ポートレート(仮称)運営委員会』を組織した上で、2014 年度半ばを目処に、大学ポートレート(仮称)を本格稼動させる予定です。公表する内容等は、2012 年 11 月の「検討経過報告」に基づき、学校教育法施行規則で公表が義務づけられている9項目と認証評価結果のほか、ステークホルダー(利害関係者)の興味・関心が高い情報とされています。また、できるだけ図やグラフを用いて、ステークホルダーにわかりやすい情報発信を行うとされています。また、稼動後も継続的に改善・改良を加えることとされています」(田中室長) 参加・不参加は各大学の任意だが、少なくとも国公立大学に関しては、2013 年3月から独立行政法人大学評価・学位授与機構の情報ポータルサイトに掲載されている「大学基本情報」に全大学が参加しているほか、大学ポートレート(仮称)に関する説明会を経てほとんどの大学が連絡担当者を登録しており、積極的に参加する可能性が高い。

 活用のためのガイドラインも作成し 利便性を高める

 大学ポートレート(仮称)が稼動すれば、どのような活用が可能になるのだろうか。

 興味のある大学については、大学名やキャンパスの所在地、設置学部、設置形態(国立・公立・私立)などで大学を検索し、さまざまな項目を見ることができる。ただし、画一的なランキングにつながる恐れがあることから、項目ごとに大学の情報を一覧で表示したり、複数大学を比較したりできないようにする予定だ。

「法令に基づく情報公表は各大学が行うのが基本なので、大学ポートレート(仮称)は各大学のホームページに誘うための窓口という機能もあると思います。そのため、項目によっては大学のホームページの該当部分にリンクを張ることとされています。利用者のためのガイドラインも作成する予定となっており、その中では、どのような観点で情報を読み取ればいいのかなどの解説も盛り込まれる予定です」(田中室長) また、各大学の教育情報を海外に向けても発信できるように、将来的には英語をはじめとした多言語による公表も検討している。 大学ポートレート(仮称)については、情報活用の方法や運営体制など、未定の内容も多い。今後も大学、高校教員、大学進学希望者やその保護者といったステークホルダーのニーズ等も踏まえながら、本格稼動に向けて検討が進められていく予定だ。

<図表2>大学ポートレート(仮称)準備委員会の検討経過(概要)

中央教育審議会大学分科会(第 111回)資料より

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 詳細検索と簡易検索が可能な点がメリット より教育の中身に踏み込んだ情報も望まれる

──検索機能や表示画面のイメージについては、どのよ

うなご意見をお持ちですか。

小林 説明に用いられたイメージ画面を見ると、多岐にわたる情報が掲載されていたため、入口はもう少し簡単な方が良いのではないかと感じました。ただし、簡易検索と詳細検索の両方が可能になっており、その点は進路指導の現場では便利だと思います。実際の個人面談や三者面談では、1人の生徒に何時間もかけるのは不可能です。1人平均 15 ~ 20 分、長くても 30 分ぐらいが目安でしょう。詳細検索を使う時間的な余裕がないため、簡易検索が設けられていることはありがたいですね。──公表される予定の情報項目に関するご意見も聞かせ

てください。

小林 現在公表が予定されている項目を見ると、数値が多いようです。高校教員としては、もっと教育の中身にまで踏み込んだ情報の提供を期待します。例えば、生徒から 「大学でこんな分野を学びたい」「将来、こういう職業に就きたい」といった相談をされた場合、今回公表が予定されている項目では、学部・学科名までしか紹介できないでしょう。できれば、その分野に関連して、特色ある研究を行っている教員、研究室、ゼミなどの内容まで検索できれば、より充実した進路指導が可能になると思います。本校の場合は、5年次(高校2年)で、全ての生徒が 5,000 字の研究論文をまとめます。その中で、特定の分野に興味・関心が生まれる生徒もいます。ここで芽生えた知的好奇心を進路選択につなげられるような情報があると良いと思います。 そのほか、奨学金制度、学生に対する修学支援、メンタルヘルス支援、外国人留学生や障がいのある学生への

東京都立桜修館中等教育学校 小林洋司校長

大学ポートレート(仮称)は進路指導に活用できるか

 53ページで紹介したように、大学ポートレート(仮

称)が2014年度中に稼動する予定である。高校の進

路指導ではどのように活用することができるのか。また、

多様な教育情報の公表が進む中で、高校の進路指導の在

り方はどう変化していくのか。大学ポートレート(仮称)

準備委員会の委員でもある、東京都立桜修館中等教育学

校の小林洋司校長に聞いた。(本文中、敬称略)

 ミニマムコンセンサスでスタート 必要に応じて随時改善を加える予定

──準備委員会の委員として、大学ポートレート(仮称)

がスタートすることについてのご感想からお聞かせくだ

さい。

小林 今年2月 27 日、大学ポートレート(仮称)準備委員会が開催されました。これまでの検討状況を振り返るとともに、掲載項目や表示イメージが示され、2014年度中に公開されることが確認されました。さまざまな課題が残っており、細かい内容については賛否両論分かれるところもありましたが、「現状はあくまでミニマムコンセンサスであり、まずはポートレートを立ち上げ、活用しながら随時改善していく」という点で、委員の共通認識が得られたように思います。私も、それならばできるだけ早くスタートした方がいいと思い、賛成しました。──高校の進路指導の現場で活用できそうですか。

小林 かなり活用できると思います。大学ポートレート(仮称)の最大の意義は、質の高い情報が保証されることです。現在の各大学のホームページはそれぞれ特色があり、情報も多岐に渡っています。けれども、大学によってデータの基準が異なるため、比較するのは困難です。また、その他の媒体に掲載される情報もどれだけ信頼性があるのか、個々の高校教員が判断するのは難しいでしょう。大学ポートレート(仮称)で、正確な情報が得られるメリットは大きいと考えています。

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大学選びの視点 第1回 

大学の教育情報公表義務化と大学ポートレート(仮称)

支援など、生徒や保護者の目線に立った情報の充実にも期待しています。──大学ポートレート(仮称)が進路指導の現場でより

活用されるようになるために、課題はありますか。

小林 インターネット環境の整備がポイントになります。大学ポートレートはパソコンで、インターネットに接続して大学検索をすることが前提となっています。しかし、進路指導面談はクラス担任が各教室で行うことが多いと思いますが、都道府県や高校によっては全ての教室にインターネットを使えるパソコンがないかもしれません。タブレット端末の導入も含めて、今後の検討課題になると思います。

──大学ポートレート(仮称)も含めて、さまざまな大

学情報の公表が進行する中で、今後の高校の進路指導は

どのように変わっていくとお考えですか。

小林 これまでの大学選びを振り返ると、大学の名前や知名度を非常に重視することが多かったように思います。今後は、生徒の目的や特性に応じた情報を提供して、その生徒に合った大学を考えるような進路指導になっていくべきです。それが進路指導の本来の姿でもあります。大学ポートレート(仮称)が、そうした進路指導に変わっていくきっかけの1つになることを期待しています。

<図表>大学ポートレート検索イメージ

大学ポートレート(仮称)準備委員会(第5回)資料より作成

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