深読みをしない 問題行動は行動支援 - 公益社団法人 子どもの ......2013/12/9...

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2013/12/9 1 ☆新しい生徒指導☆ 子どものSMILEサポート® 子どの発達科学研究所 和久田学 暴力行為登校いじめ 生徒指導では、暴力行為・不登校・いじめ等への対応を することが非常に重要になっています。 さて、「暴力行為」とは何でしょう? 「不登校」とは 何でしょう? 「いじめ」とは何でしょう? 様々な定義がありますが、ここでは、その全てが子ども の「行動」であることに着目します。 深読みをしない 暴力行為、不登校、いじめについて、それを起こす子どもの心を深 読みしてはいけません。 心は見えません。 よって、どれが正解かわかりません。 心の問題にすると、性格の話になり、個人攻撃に陥りやすくなり ます 「心を変える」「心を豊かにする」・・大切なことですが、具体的な 方法を見つけにくい上に、評価が難しいです ここでは、やはりこれらを「行動」として見た方が良いです その方が具体的になり、共通理解がしやすく、個人攻撃に陥りません 問題行動は行動支援 暴力行為、不登校、いじめ等は、子どもの「行動」の問 です。 さらに言うならば、ルールを守る、友達と仲良くする、 授業をきちんと受ける等も、全て子どもの「行動」の問 です。 →→→ 生徒指導は、子どもの「行動」を取り扱う 行動を変える~応用行動分析 ABC分析 機能分析と対応 子どもを巡る状況と生徒指導 生徒指導とは 行動とはか? 死人にできることは行動ではない・・・ 行動は「死人」にはできないことです。 行動は「死人」にはできないことです。 行動は「死人」にはできないことです。 行動は「死人」にはできないことです。 行動であるかどうかを、「死人テスト」 で判断することができます。 22

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2013/12/9

1

☆新しい生徒指導☆

子どものSMILEサポート®

子どもの発達科学研究所 和久田学

暴力行為・不登校・いじめ• 生徒指導では、暴力行為・不登校・いじめ等への対応をすることが非常に重要になっています。

• さて、「暴力行為」とは何でしょう? 「不登校」とは何でしょう? 「いじめ」とは何でしょう?

• 様々な定義がありますが、ここでは、その全てが子どもの「行動」であることに着目します。

深読みをしない• 暴力行為、不登校、いじめについて、それを起こす子どもの心を深読みしてはいけません。

心は見えません。

よって、どれが正解かわかりません。

心の問題にすると、性格の話になり、個人攻撃に陥りやすくなります

「心を変える」「心を豊かにする」・・大切なことですが、具体的な方法を見つけにくい上に、評価が難しいです

ここでは、やはりこれらを「行動」として見た方が良いです

その方が具体的になり、共通理解がしやすく、個人攻撃に陥りません

問題行動は行動支援• 暴力行為、不登校、いじめ等は、子どもの「行動」の問題です。

• さらに言うならば、ルールを守る、友達と仲良くする、授業をきちんと受ける等も、全て子どもの「行動」の問題です。

→→→ 生徒指導は、子どもの「行動」を取り扱う

メニュー• 行動を変える~応用行動分析

• ABC分析

• 機能分析と対応

• 子どもを巡る状況と生徒指導

• 生徒指導とは

行動とは何か?

死人にできることは行動ではない・・・

行動は「死人」にはできないことです。行動は「死人」にはできないことです。行動は「死人」にはできないことです。行動は「死人」にはできないことです。

行動であるかどうかを、「死人テスト」で判断することができます。

22

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2

死人テスト• 以下のことは、「行動」ですか?

(死人にできることは「行動」ではありません)

友達をたたかない

授業中、教室から飛び出さない

授業中、静かにしている

友達をいじめない

不登校(学校に来ない)22

行動とは何か?• IBSOテスト

The “Is the Behavior Specific and Objective” Test

行動 的確 客観的

Q1 計測できますか? Yes

Q2 具体的に記述できますか? Yes

Q3 それ以上細かな行動に分割できますか? No

22

練習・IBSOテスト• 友達と仲良くする

友達って誰? 仲良くするって?

• 安定した気持ちで授業を受ける

安定した気持ちってどこでわかるの? 全部の授業?

• 相手の気持ちを考えて行動する

その行動って具体的に何?

• 学校のルールを守る

ルールってたくさんあるけれど・・・

• 友達をいじめない

「いじめ」って何? だいたい死人テストをパスしない

22

行動を捉える• ある行動を増やすには?

良いことが起こる

悪いことが起こらない

• ある行動を減らすには?

悪いことが起こる

良いことが起こらない

18

行動療法に関する主な理論と

そこから生まれた治療技法

応用行動分析;

「オペラント条件付け」「行動の環境との相関」

強化法、刺激統制法、プロンプティング・・・

新行動S-R仲介理論;「古典的条件付け」「不安の学習」

系統的脱感療法、エキシポージャー法

社会学習理論;「代理強化」「象徴過程」

モデリング、セルフモニタリング

認知行動療法理論;「信念」「スキーマ」

認知再構成法

目的によって、方法を変える

行動支援の目標

A 必要な行動の形成や増加

できなくて困っている

B 問題行動の減少

誤学習をしてしまった

C 不安反応の減少

何をやるにも不安、緊張する

D 不適応行動を引き起こす認知の変容

嫌な気持ち(考え)で行動がおかしくなる

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3

行動の原理• 強化の原理 強化された行動は増える

消去の原理 しかし強化されなくなるとその行動は減る

• 弱化の原理 弱化された行動は減る

※罰にはたくさんの副作用がある

(派生の原理、反発の原理、学習性無気力、弁別の原理)

復帰の原理 しかし弱化されなくなるとその行動は元に

戻る18

行動の原理• 弁別の原理 行動は強化の先行条件によって引き起こさ

れ、弱化の先行条件によって抑えられるようになる

• 派生の原理 好子、嫌子は周りのものもそれぞれ好子化

嫌子化する

• 部分強化の原理 連続強化より部分強化の方が消去され

にくい

• 反発の原理(カウンターコントロール)

嫌子が出現したり急に消去されたりすると相手を攻

撃する行動が起こりやすくなる

• 分化の原理 強化された行動はそれ以外よりも増える。

弱化された行動はそれ以外よりも減る。18

行動の原理と問題行動Q 問題行動はなぜ問題行動として定着しているのか?

A 行動が定着するのは、その行動が過去に強化されてきたからです。また何らかの好子を現在も得ている可能性があります。

部分強化の原理によって、いつも好子がなくても、数回に一回でも良いことが起こるとその行動は消去されにくくなります。

定着している行動を変化させるには、消去の原理と分化の原理を使って、新たな行動(より好ましい)を強化していく必要があります。

19

「叱る」ことのリスクQ 「叱る」ことはリスクが高いと言えます。

なぜですか?

A 「叱る」ことでその行動は減ります。(弱化の原理)

しかし派生の原理によって、「叱った人」が嫌子となります。また反発の原理によって、子どもの攻撃性を高める場合があります。(それで成功すると強化の原理によって、その攻撃性が問題行動として強化される)また弁別の原理によって、「叱る」ことを経験した直前の状況の全て(例:叱った人が現れる)が行動を抑制します。

19

「叱る」ことのリスクQ 「叱る」ことをする大人はたくさんいます。なぜです

か?

A 「叱る」ことは体罰を含め、即効性があります。よって「叱る」という行動は、すぐに子どもが思い通りになるため、強化されます。また、叱った人の存在が、弱化の先行条件になるため、弁別の原理から、叱った人がいるだけで、その行動が抑制されます。つまり「叱る」ことには強化が働きやすいと言えます。

しかし子どもの行動を全体的に捉えると「叱る」ことのマイナス面は非常に大きいと言えます。

19

行動を定着させるQ 御褒美に頼っていると、御褒美がないとやらない子になってしまうのでは??

御褒美を具体的なものから、道徳的なもの、内発的なものに変えていくことにより行動の定着を図る必要があります。(派生の原理)

ちなみに善悪といった価値が御褒美となるのには、時間がかかります(発達段階にも関係する)ので、まずは損得や快不快といったことを好子、嫌子として利用することが良いでしょう。

19

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好子についての注意• 好子が取引に使われないように注意する

• 相手がASDの場合、好子がこだわりの対象にならないようにする

• よって価値がありすぎないもの、しかし価値を見いだせるものが良い

• 子どもによって好子が違うのは当たり前。また好子にもバリエーションが必要

• 好子は、最初、良い行動の対価となるが、徐々に量と質を変えていくのが大切

具体的好子→抽象的好子→道徳的好子→内発的動機

19

個人の行動個人の行動は、遺伝・歴史・現状によって決まる。

遺伝・・生得的機能、気質、認知特性

歴史・・生育歴 何が習得的好子、習得的嫌子になってい

るか。どの行動が強化されてきたか。

(行動のレパートリー)

現状・・ABC分析へ

19

メニュー• 行動を変える~応用行動分析

• ABC分析

• 機能分析と対応

• 子どもを巡る状況と生徒指導

• 生徒指導とは

ABC分析行動と原因と結果の流れの中で捉える(行動随伴性)

• 原因(先行条件):Antecedent

• 行動 :Behavior

• 結果 :Consequence

先行条件(原因) 行動 結果

19

ABC分析(子ども編)A:先行条件A:先行条件A:先行条件A:先行条件 B:行動B:行動B:行動B:行動 C:結果C:結果C:結果C:結果

暑い・運動をした 冷たい水を飲んだ すっきり↑

授業がわからない 席を立って歩いた面白い↑

注目を集めた↑授業が潰れた↑叱られた↓

友達とトラブル やっつけた 自分の思い通り↑

20

ABC分析(大人編)A:先行条件A:先行条件A:先行条件A:先行条件 B:行動B:行動B:行動B:行動 C:結果C:結果C:結果C:結果

つまらない研修 内職自分の仕事が進んだ↑

いつの間にか研修が終わった↑

子どもが困っている 助けた教えた

自己肯定感up↑子どもができるようになった↑感謝された↑

言うことを聞いた↑子どもが指示に従わない

体罰!(虐待)気分すっきり↑

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学校現場でのABC分析• 先行条件として:環境因と直接因を

環境因(確立操作):

場(曜日、時間、場所)、視覚、聴覚

人的環境(支援者)

その他(体調、気候、日課)

• 結果として

本人の結果と大人の結果を

(大人の都合で問題行動が起きていたら、大人のABC分析に切り替える)

だいたい2週間くらい記録を取ります 20

資料1

メニュー• 行動を変える~応用行動分析

• ABC分析

• 機能分析と対応

• 子どもを巡る状況と生徒指導

• 生徒指導とは

機能分析• その行動が、どのような意味を持っているのか?

注意喚起行動 :いわゆる見て見て行動

要求行動 :物、特権、サービスの要求

逃避行動 :活動、場からの逃避

自己刺激行動 :行動そのものが快感(感覚の問題)

被虐待児の場合、Limit Testingの可能性がある

※ 行動動機診断スケールの活用20

問題行動の先行条件• フラストレーション

どうしたらいいか分からない。意思が伝えられない。

活動が阻害される。要求が高すぎる。取り残される。

• 刺激の欠乏や不足

無視されている。機械的で意味のない活動に思える。

ペースがゆっくり過ぎる。説明や教示が不十分。

• 刺激の過多

騒音や人の多さ。活動が早すぎる。不必要な物が多い。

過度な教示や支援。

20

先行条件へのアプローチ• インストラクショナルデザインの活用

わかってできる状況を作る

• 目標を下げる。もしくは上げる。(アセスメント)

• リスクマネージメントをする

どういうときに、どのようなリスク(問題行動の)が

あるのか。

→ 自己理解 → 感情・行動コントロール

→ セルフマネージメント

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セルフマネージメント• 感情の理解(特に負の感情の理解と処理)感情の理解(特に負の感情の理解と処理)感情の理解(特に負の感情の理解と処理)感情の理解(特に負の感情の理解と処理)

• 間違った認知の矯正

• 過敏性など自分の特徴の理解

• リラックスする方法の獲得

• モニタリングの力(前兆行動の理解)

文字に書き出すことで理解を深める

• 支援者主体→本人の力へ

• 成功体験

21

母親が受け入れ、言葉で整理すると、感情が社会化社会化社会化社会化される。

大切なのは、ネガティブな感情ネガティブな感情ネガティブな感情ネガティブな感情の処理をすること

21

自己理解が重要

• 誰もが当たり前にやっていること

• まず支援者が本人の特性を整理する

• 特性に沿った支援を行い成功体験を積む

• 本人の特性を、伝える

• 自分で自分の支援ができるようにする

社会学習理論(モデリング、セルフモニタリング)

21

結果へのアプローチ• 行動の機能が果たせられないように(弱化の原理)

→ 支援者が巻き込まれない(プロとして)

→ 「淡々と」「冷静に」がキーワード

→ 「静かな時間」(タイムアウト)「静かな時間」(タイムアウト)「静かな時間」(タイムアウト)「静かな時間」(タイムアウト)の手法を用いる

ことも

• 代替スキルの獲得

→ みんなに受け入れられる方法

→ コミュニケーションスキルコミュニケーションスキルコミュニケーションスキルコミュニケーションスキルの獲得

インストラクショナルデザインを活用インストラクショナルデザインを活用インストラクショナルデザインを活用インストラクショナルデザインを活用21

静かな時間(タイムアウト)• 場面を変え、結果と刺激を同時に遮断することでパニックを収める

• 二次被害、三次被害をなくす

• 自分でパニックから立ち直るスキルを獲得させる

罰にしない安全な場所(本人も傷つかない、周りも壊れない)パニックの最中は放っておく(何を言ってもダメ)

あまりにもひどい場合は、安全確保のために押さえ込みをする(体罰ではないことを、あらかじめ保護者に説明しておく)時間を計る(際限なく使わないように)落ち着いた時は、「落ち着きを取り戻したこと」を褒める「静かな時間」の場所が、安全基地に変わっていくように(逃げ場ではない)

44

あとで詳しくやります

代替スキルの獲得(行動を置き換える)

• 問題行動の多くが、「適切な学習がなされなかった」もしくは、「誤学習がされた」結果である。

• 問題行動は効率の悪い方法とし、適切な行動が効率の良い方法となるようにする。

インストラクショナルデザインの採用

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ABC分析(子ども編)A:先行条件A:先行条件A:先行条件A:先行条件 B:行動B:行動B:行動B:行動 C:結果C:結果C:結果C:結果

授業がわからない 席を立って歩いた

叱られなかった↑授業がわからないしっかりと授業を

受けた

面白い↑注目を集めた↑授業が潰れた↑叱られた↓

厳しい先生が見ている

質問した(スキル)

我慢できた↑

ストレスがたまった↓

授業がわからないわかった↑褒められた↑テストで100点↑授業に集中授業に集中授業に集中授業に集中↑↑↑↑

コミュニケーションスキルの獲得• 「報告」と「依頼」のスキルを (強化する!)

・報告すると褒めてもらえる

・依頼すると助けてもらえる

• 言葉以外の方法

・言葉も文脈も見えないので・・・

・AAC、PECS、コミック会話のアイディア

• 練習して、実際の場面に生かす

• コミュニケーションの喜びを味わわせ、意欲を育てる

21

効率よく強化する• 即時性 その場で褒める

• 多様性 褒め方を工夫する

(言葉、御褒美、名誉・・)

• 明示性 具体的に褒める(指示する)

(何が良かったのか。どうすればさらに良いのか)

• 間欠性 適切な間隔で褒める

初めは毎回、徐々に間隔をあける

※ 傷ついている子どもは、簡単ではないが・・・

メニュー• 行動を変える~応用行動分析

• ABC分析

• 機能分析と対応

• 子どもを巡る状況と生徒指導

• 生徒指導とは

23

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暴力行為、加害児童生徒への学校の対応

• 被害者に対する謝罪指導

• 友人関係を改善するための指導

• ルールの徹底や規範意識を醸成するための指導

• 個別の学習支援

• 当該児童生徒が意欲を持って活動できる場を用意

• 教職員との関係改善

• 保護者の協力を求めて、家族関係等の改善・調整

• その他

29170

17241

26621

2915

4308

5670

14444

328

34

不登校になったきっかけと考えられる状況

(学校に関わる状況)

• いじめ

• いじめを除く友人関係を巡る問題

• 教職員との関係を巡る問題

• 学業の不振

• 進路にかかる不安

• クラブ活動、部活動等への不適応

• 学校の決まり等をめぐる問題

• 入学、転編入学、進級時の不適応

2.0%

14.7%

1.8%

8.6%

1.1%

1.8%

2.0%

2.7%

不登校になったきっかけと考えられる状況

(家庭、本人に関わる状況)

• 家庭の生活環境の急激な変化

• 親子関係を巡る問題

• 家庭内の不和

• 病気による欠席

• あそび・非行

• 無気力

• 不安などの情緒的混乱

• 意図的な拒否

• 上記に該当しない本人に関わる問題

5.9%

10.9%

3.9%

8.1%

9.6%

24.4%

26.5%

4.8%

5.5%

「指導の結果登校する又はできるようになった児

童生徒」に特に効果があった学校の措置

• 教員研修で全教師の共通理解

• 全ての教師が当該児童生徒に触れあいを多くする

• 教育相談担当の教師が専門的に指導

• 養護教諭が専門的に指導

• スクールカウンセラーが専門的に指導

• 友人関係を改善するための指導を行った

• 教師との触れあいを多くし、教師との関係改善

• 授業方法の改善、個別の指導、授業の工夫

• 様々な活動で、本人が意欲的に活動できる場を

• 保健室等特別な場に登校させる

35.0%

28.8%

18.5%

23.8%

39.6%

28.3%

31.9%

17.8%

27.7%

37.8%

「指導の結果登校する又はできるようになった児

童生徒」に特に効果があった学校の措置

• 登校を促すために電話を掛けたり迎えに行ったり

• 家庭訪問で学業や生活での相談

• 保護者の協力を求めて家族関係や家庭生活の改善

• 教育相談センター等の相談機関と連携

• 病院等の医療機関と連携して指導

49.5%

48.4%

39.4%

24.5%

13.1%

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いじめ認知 5 子どもの問題• 暴力行為、不登校、いじめ、非行等に、我々は何を根拠に、対応をしているだろうか?

例えば、喫煙をした生徒にどのような指導支援を行いますか?

・罰を与える?

・喫煙が健康によくないことを教える?

・保護者に指導する?

検証が必要• 喫煙をした児童生徒に対して、何らかの指導をしたとする。

その後、その児童生徒はどうなったのか?

同じことを繰り返した?

直後は改善したが、数年後は?

こうした検証を統計的に行ってこそ、指導に効果があったかどうかがわかる。

検証のない指導では、無責任

今後、責任を追及されるようになるかもしれない。

問題行動対応の研究• 危険行動の結果を知らせるという従来の知識伝達型防止知識伝達型防止知識伝達型防止知識伝達型防止教育の限界教育の限界教育の限界教育の限界が指摘されている(上原、2008)

• 1960年代の喫煙による健康被害の情報を提供する教育は情報を提供する教育は情報を提供する教育は情報を提供する教育はほとんど効果が見られなかったほとんど効果が見られなかったほとんど効果が見られなかったほとんど効果が見られなかった(Goodstadt、1978;Thompson、1978)

• 危険行動は人生の比較的早い段階において形成され、一一一一度形成された行動の変容は困難度形成された行動の変容は困難度形成された行動の変容は困難度形成された行動の変容は困難であることから、早い時期に効果的教育により予防することが重要である(川畑ら、2002)。

37

メニュー• 行動を変える~応用行動分析

• ABC分析

• 機能分析と対応

• 子どもを巡る状況と生徒指導

• 生徒指導とは

生徒指導とは• 生徒指導とは、一人一人の児童生徒の人格を尊重し、個性の伸張を図りながら、社会的資質や行動力を高めることを目指して行われる教育活動のことです。

• すなわち、生徒指導は、すべての児童生徒のそれぞれの人格のよりよき発達を目指すとともに、学校生活がすべての児童生徒にとって有意義で興味深く、充実したものになることを目指しています。

• 生徒指導は学校の教育目標を達成する上で重要な機能を果たすものであり、学習指導と並んで学校教育において重要な意義を持つものと言えます。

(生徒指導提要より) 6

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生徒指導リーフより生徒指導とは、…

• 生徒指導とは、社会の中で自分らしく生きることができる大人へと児童生徒が育つように、その成長・発達を促したり支えたりする意図でなされる働きかけの総称のことです。

すなわち、

• 学校生活の中で児童生徒自らが、その社会的素質を伸ばすとともに、さらなる社会的能力を獲得していくこと(社会性の育成)

そして、

• それらの資質・能力を適切に行使して自己実現を図りながら自己の幸福と社会の発展を追求していく大人になること(社会に受け入れられる自己実現)

• そうしたことを願って児童生徒の自発的かつ主体的な成長・発達の過程を支援していく働きかけのことを、生徒指導と呼んでいます。

生徒指導の変遷• 戦後、生徒指導は新しい指導の考え方・方法として導入新しい指導の考え方・方法として導入新しい指導の考え方・方法として導入新しい指導の考え方・方法として導入され、その普及が図られた。され、その普及が図られた。され、その普及が図られた。され、その普及が図られた。当初は児童生徒を正しく理解する方法、人格の指導、学級・ホームルームにおける指導などを中心に考えられていた。学校教育が量的に拡大したころから、問題行動の多様化とも相まって生徒指導の意義が改めて問い直されるようになった。

• 児童生徒の問題行動等のうち、少年非行を見ると、昭和26年、39年、58年をピークとする3つの波がある。

• 少年非行が第3のピーク(昭和58年)を迎えようとする頃、受験戦争の過熱、いじめ、不登校(登校拒否)、暴受験戦争の過熱、いじめ、不登校(登校拒否)、暴受験戦争の過熱、いじめ、不登校(登校拒否)、暴受験戦争の過熱、いじめ、不登校(登校拒否)、暴力行為(校内暴力)、少年非行など教育荒廃といわれる力行為(校内暴力)、少年非行など教育荒廃といわれる力行為(校内暴力)、少年非行など教育荒廃といわれる力行為(校内暴力)、少年非行など教育荒廃といわれる現象現象現象現象が社会的に大きな関心を集めるようになった。

生徒指導の変遷• 平成8年に出された中央教育審議会答申「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」は、今日の学校教育において最も解決に向けた取組が求められる課題の一つとして、いじめ・不登校(登校拒否)いじめ・不登校(登校拒否)いじめ・不登校(登校拒否)いじめ・不登校(登校拒否)を挙げている。

• 平成13年度からはスクールカウンセラーの配置が補助事業となり、学校の生徒指導をサポートする体制の充実が図られている。また平成20年度からは、スクールソーシャルワーカーの配置も始まったところである。

(以上、「生徒指導上の諸問題の推移とこれからの生徒指導」平成21年、国立教育政策研究所生徒指導研究センターより)

生徒指導・・・• 全体への指導

校則・ルールの指導

日々のマナー、ソーシャルスキルの指導

• 個別指導

問題行動への指導

(暴力行為、いじめ、非行、不登校)

教育相談

関係する重要な項目

・子どもの人権 ・体罰と懲戒権、出席停止

・虐待の発見 ・犯罪 7

従来の生徒指導• 大いなる経験則

• 伝統的な我が国の教育観に基づいているが、その中で、社会の様々な問題に適応しようとしてきた

我が国の常識 儒教的な考え

徒弟制度的なトレーニング

カリスマ教師の存在

しかし社会全体の情報化、グローバル化が一挙に進み、これまでにない大きな変化に対応しなければならなくなった(子どもを巡る環境の劇的変化)

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現代社会• 多価値観

• 数値主義

• 説明責任

• 個人の権利、重視

• 情報化(インターネット)

• 日本的な“家”、“地域社会”の崩壊

• 外国人の増加 (両親どちらかが外国人、3%以上)

特別支援教育・インクルーシブ教育の導入

当たり前の崩壊