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POWER DRIVER FOR STEPPER MOTORS INTEGRATED CIRCUITS TRINAMIC Motion Control GmbH & Co. KG Hamburg, Germany TMC2100-LA データシート ブロック図 spreadCycle stealthChop ドライバ TMC2100 256マイクロステップ・ シーケンサ 保護機能および 診断機能 7ピンによるコンフィギュレーション 電源 モータ STEP/DIR ステップ乗算器 spreadCycle stealthChop DACリファレンス IREF オプションの電流スケーリング TRISTATE検出との コンフィギュレーション・ インターフェイス CLK 停止電流削減 クロック発振器/ セレクタ チャージ・ポンプ +5Vレギュレータ ERROR / INDEX 機能と特徴 二相ステッピング・モータ スタンドアロン・ドライバ 駆動能力: 最大 1.2A のコイル電流(1.7A のピーク電流) STEP/DIR インターフェイス: マイクロステップ補間を使用 microPlyer™: マイクロステップ補間による滑らかなモータ動作 電圧範囲 DC 4.7546V 最大分解能: フルステップあたり 256 マイクロステップ stealthChop™: 極めて静粛でスムーズな動作を実現 spreadCycle™: 高度にダイナミックなモータ制御チョッパ 電流検出オプションを搭載 停止電流削減 完全な保護機能および診断機能(2 つの出力) 小型サイズ: 5x6mm 2 QFN36 パッケージ 説明 TMC2100 は、TRINAMIC の最も自律的なド ライバ・デバイスです。二相ステッピング・モー タ用のこの小型かつインテリジェントなスタンド アロン・ドライバは、7 つのピンのみで構成され ながら、市場をリードする機能を備えていま す。CPU による制御は不要です。ステップ信 号とディレクション信号によってモータを駆動し ます。TRINAMIC の高機能な stealthChop チョッパにより、効率を高め、モータ・トルクを 最適にするとともに、ノイズのない動作を可能 にします。内蔵されたパワーMOSFET により、 モータ電流は継続的に 1.2A RMS が処理され るか、コイルごとに短時間のピーク電流が 2.5A 処理されます。電力を削減するために、 TMC2100 は停止電流削減を実現します。保 護機能と診断機能は、強力かつ信頼できる動 作をサポートします。TMC2100 を使用すると、 外付け部品数の少ない小型化された設計が 可能になり、コスト効率が良く競争力の高いソ リューションを実現できます。 二相バイポーラ(双極)ステッピング・モータ用のスタンドアロン型のインテリジェントなステップ/ディレクション・ドライバ。 静かな動作のための stealthChop™。コイルあたり最大 2.0A のモータ電流に対応する MOSFET を内蔵。 アプリケーション 繊維産業、ミシン オフィス・オートメーション 消費者、住居 CCTV、セキュリティ ATM、キャッシュ・リサイクラー POS プリンタおよびスキャナー

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Page 1: 電源 TMC2100TMC2100-EVALは、TRINAMICの汎用評価 ボード・システムの一部であり、評価用にハー ドウェアの便利な操作および使いやすいソフト

POWER DRIVER FOR STEPPER MOTORS INTEGRATED CIRCUITS

TRINAMIC Motion Control GmbH & Co. KG Hamburg, Germany

TMC2100-LAデータシート

ブロック図

spreadCycle

stealthChop

ドライバ

TMC2100

256マイクロステップ・シーケンサ

保護機能および

診断機能

7ピンによるコンフィギュレーション

電源

モータ

STEP/DIR

ステップ乗算器 spreadCycle

stealthChop

DACリファレンス

IREF オプションの電流スケーリング

TRISTATE検出との

コンフィギュレーション・

インターフェイス

CLK

停止電流削減

クロック発振器/

セレクタ

チャージ・ポンプ

+5Vレギュレータ

ERROR / INDEX

機能と特徴

二相ステッピング・モータ

スタンドアロン・ドライバ

駆動能力: 最大 1.2Aのコイル電流(1.7Aのピーク電流)

STEP/DIR インターフェイス: マイクロステップ補間を使用

microPlyer™: マイクロステップ補間による滑らかなモータ動作

電圧範囲 DC 4.75~46V

最大分解能: フルステップあたり 256マイクロステップ

stealthChop™: 極めて静粛でスムーズな動作を実現

spreadCycle™: 高度にダイナミックなモータ制御チョッパ

電流検出オプションを搭載

停止電流削減

完全な保護機能および診断機能(2つの出力)

小型サイズ: 5x6mm2 QFN36パッケージ

説明 TMC2100は、TRINAMICの最も自律的なド

ライバ・デバイスです。二相ステッピング・モー

タ用のこの小型かつインテリジェントなスタンド

アロン・ドライバは、7つのピンのみで構成され

ながら、市場をリードする機能を備えていま

す。CPUによる制御は不要です。ステップ信

号とディレクション信号によってモータを駆動し

ます。TRINAMICの高機能な stealthChop

チョッパにより、効率を高め、モータ・トルクを

最適にするとともに、ノイズのない動作を可能

にします。内蔵されたパワーMOSFETにより、

モータ電流は継続的に 1.2A RMSが処理され

るか、コイルごとに短時間のピーク電流が

2.5A処理されます。電力を削減するために、

TMC2100は停止電流削減を実現します。保

護機能と診断機能は、強力かつ信頼できる動

作をサポートします。TMC2100を使用すると、

外付け部品数の少ない小型化された設計が

可能になり、コスト効率が良く競争力の高いソ

リューションを実現できます。

二相バイポーラ(双極)ステッピング・モータ用のスタンドアロン型のインテリジェントなステップ/ディレクション・ドライバ。

静かな動作のための stealthChop™。コイルあたり最大 2.0Aのモータ電流に対応する MOSFET を内蔵。

アプリケーション

繊維産業、ミシン

オフィス・オートメーション

消費者、住居

CCTV、セキュリティ

ATM、キャッシュ・リサイクラー

POS

プリンタおよびスキャナー

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TMC2100 データシート(Rev. 1.07 / 2017-MAY-15) 2

www.trinamic.com

アプリケーション例:シンプルなソリューション – 高い効率

TMC2100は、電力密度、内蔵されたパワーMOSFET、静粛でスムーズな動作、および快適な使いやすさを特徴としてい

ます。TMC2100は、バッテリ・システムから組み込みアプリケーションまで、コイルあたり 1.7Aのモータ電流を使用する幅

広いアプリケーションを対象にする多用途性を備えています。TRINAMICの独自モードである spreadCycleおよび

stealthChop を使用すると、駆動性能を最適化できます。stealthChopでは、低速動作時のモータ・ノイズをほぼ無音に近

いレベルまで削減できます。停止電流を削減することにより、電力損失と冷却のコストを抑えることができます。幅広いサ

ポートにより、設計サイクルを高速化し、競争力のある製品を短時間で市場に投入することができます。

1個のステッピング・モータ用のスタンドアロン設計

S/D NS

0A+

0A-

0B+

TMC2100

0B-

ERROR、INDEX

S/D NS

0A+

0A-

0B+

TMC2100

0B-

1個のステッピング・モータ用に小型化された設計

ERROR、INDEXCPU上位

インターフェイス

コンフィギュレーション/イネーブル

評価ボード・システム

注文コード

注文コード 説明 サイズ[mm2]

TMC2100-LA 1軸 dcStep、coolStep、および stealthChop ドライバ、QFN36 5 x 6

TMC2100-TA 1軸 dcStep、coolStep、および stealthChop ドライバ、TQFP48 9 x 9

TMC2100-EVAL TMC2100二相ステッピング・モータ・コントローラ/ドライバの評価ボード 85 x 55

LANDUNGSBRÜCKE TMC2100-EVALおよび追加評価ボードのベースボード 85 x 55

ESELSBRÜCKE プラグイン評価ボード・システム用のコネクタ・ボード 61 x 38

この例では、コンフィギュレーションはハード

ウェアに組み込まれています。モータはステッ

プ信号とディレクション信号によって駆動され

ます。動作制御タスクと ERRORおよび

INDEXの解釈はソフトウェアベースです。

ここでは、CPUは、ステップ信号とディレクショ

ン信号をTMC2100に送信し、ERRORおよび

INDEXを診断タスク用として読み取ります。ま

た、CPUは TMC2100 を設定し、動作制御を

管理します。TMC2100は、STEP/DIR信号に

基づいて、軸ごとにモータ電流を提供し、動作

を滑らかにするとともに駆動性能を最適化しま

す。

TMC2100-EVALは、TRINAMICの汎用評価

ボード・システムの一部であり、評価用にハー

ドウェアの便利な操作および使いやすいソフト

ウェア・ツールを提供します。TMC2100評価

ボード・システムは、STARTRAMPE (ベース

ボード)、ESELSBRÜCKE (複数のテスト・ポ

イントを含むコネクタ・ボード)、および

TMC2100-EVALの 3つの部分で構成されて

います。

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TMC2100 データシート(Rev. 1.07 / 2017-MAY-15) 3

www.trinamic.com

目次

1 重要な概念 ...................................................... 4

1.1 ソフトウェア .............................................. 5 1.2 STEP/DIR インターフェイス ...................... 5 1.3 停止電流削減 .......................................... 5 1.4 診断と保護 ............................................... 5

2 ピン配置 .......................................................... 6

2.1 パッケージの外形 ..................................... 6 2.2 信号の説明 .............................................. 7

3 動作 ................................................................ 8

3.1 CFGピンのコンフィギュレーション ............. 8

4 レイアウトに関する提案 .................................. 11

4.1 電源に関する基本的なヒント ................... 11 4.2 部品数の削減 ........................................ 11 4.3 内部電流の検出 ..................................... 11 4.4 外部 5V電源 ......................................... 12 4.5 5Vに限定された電源 ............................. 13 4.6 高モータ電流 .......................................... 14 4.7 ドライバの保護と EME回路 .................... 15

5 STEALTHCHOP™ ....................................... 16

5.1 電流レギュレーション .............................. 16 5.2 自動スケーリング ................................... 16 5.3 加速度 . エラー! ブックマークが定義されてい

ません。 5.4 STEALTHCHOPと SPREADCYCLEの

切り替え ................................................. 19

6 SPREADCYCLE .......................................... 20

6.1 SPREADCYCLEチョッパ ............................ 21

7 センス抵抗の選択 ......................................... 23

8 モータ電流制御 ............................................ 26

8.1 アナログ電流スケーリング AIN ......エラー!

ブックマークが定義されていません。

9 内部センス抵抗 エラー! ブックマークが定義されて

いません。

10 ドライバ診断と保護 .................................... 28

10.1 温度管理 ............................................... 28 10.2 グランド短絡保護 ................................... 28 10.3 非常停止 ............................................... 28

11 STEP/DIR インターフェイス ........................ 30

11.1 タイミング ............................................... 30 11.2 分解能の変更 ........................................ 31 11.3 MICROPLYERステップ補間器および

停止検出 ............................................... 32 11.4 INDEX出力 ........................................... 33

12 外部リセット ............................................... 34

13 クロック発振器とクロック入力 ...................... 34

13.1 周波数に関する考慮事項 ....................... 34

14 絶対最大定格 ............................................ 35

15 電気的特性 ............................................... 35

15.1 動作範囲 ............................................... 35 15.2 DC特性およびタイミング特性 ................. 36 15.3 熱特性 ................................................... 39

16 レイアウトに関する考慮事項 ....................... 40

16.1 露出ダイ・パッド ...................................... 40 16.2 グランドの配線 ....................................... 40 16.3 電源のフィルタリング .............................. 40 16.4 レイアウト例: TMC2100-BOB ................. 41

17 パッケージの物理的データ ......................... 43

17.1 QFN36 5X6の寸法図 ............................ 43 17.2 TQFP-EP 48 の寸法図 .......................... 46

18 免責事項 ................................................... 47

19 ESDの影響を受けやすいデバイス ............. 47

20 図表目次 ................................................... 48

21 改訂履歴 ................................................... 48

22 リファレンス ................................................ 48

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TMC2100 データシート(Rev. 1.07 / 2017-MAY-15) 4

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1 重要な概念 TMC2100は簡単に使用できます。TMC2100は 7つのハードウェア・ピンで構成できます。CPUによる制御は不要です。

TMC2100は、ステップ信号とディレクション信号に基づいてモータの位置を決定します。また、統合されているmicroPlyer

は、動作を自動的に滑らかにします。TMC2100によって、基本的なスタンバイ電流制御を実行できます。オプションの

フィードバック信号を使用して、エラー検出および同期を実行できます。必要に応じて、アナログ・リファレンス電流 IREFを

提供することにより、電流スケーリングを実現できます。

コンフィギュレーション、動作制御、および診断用の CPUを接続できますが、基本的に、モータを駆動するために CPUを

接続する必要はありません。

ステータス出力

(オープン・ドレイン)

ハーフブリッジ1

ハーフブリッジ2

+VM

VS

電流

コンパレータ

二相ステッピング・

モータ

NS

ステッピング・ドライバの保護機能

および診断機能

正弦波テーブル

(4*256エントリ)

DAC

x

ステップ乗算器microPlyer OA1

OA2

BRA

spreadCycle

およびstealthChop

チョッパ

VCC_IO

TMC 2100スタンドアロン・

ステッピング・モータ・ドライバ

TRISTATE

検出との

コンフィギュ

レーション・

インターフェイス

CFG0

CFG1

CFG3

CFG2

ST

EP

spreadCycleおよび

stealthChopモータ・

ドライバ

DIR

ハーフブリッジ1

ハーフブリッジ2

VS

電流

コンパレータDAC

OB1

OB2

BRB

クロック発振器/

セレクタ

DIAG0

CLK_IN

インターフェ

イス

DIAG1

+VIO

DRV_ENN

GNDP

GNDP

GN

DA

F

F = 60nsスパイク・フィルタ

TS

T_

MO

DE

DIE

PA

D

RS=0R15により、最大

コイル電流が可能になる。内部電流検出の場合は、

BRAとBRBをGNDに

接続する。

TRISTATEのコンフィギュレーション

(GND、VCC_IO、または

オープン)

オプションの

外部クロック

(10~16MHz)

3.3Vまたは

5VのI/O電圧100n

100n

100n

インデックス・パルス

ステップおよび

方向入力

RS

RS

ISENSE

ISENSE

ISENSE

ISENSE

+VM

DACリファレンス

AIN

_IR

EF

IREF

IREF

IREF

TG

TG

TG

TG

PDD

PM

D

TG=オープン・ピンを検出するために、166Kの

抵抗を使用してVCCとGNDを切り替える

PDD=100Kのプルダウン抵抗

PMD=VCC/2に接続された50Kの抵抗

オプションの電流スケーリング

F

停止電流削減

RREF

5VOUT

内部電流検出用のオプション。

RREF=9K1により、最大コイル

電流が可能になる。

5V電圧

レギュレータ

チャージ・ポンプ

CPO

CPI

VCP

22n

100n

+VM

5VOUT

VSA

4.7µ

100n

2R2

470n

2R2と470nは、最高のチョッパ精度を得るためのオプションの

フィルタ部品

VCC

ドライバ・エラー

CFG4 TG

CFG5 TG

DRV_ENN_CFG

6TG

CFG6

CFG3

オプションの

ドライバ・

イネーブル入力

CFG0

CFG4

CFG5

CFG1

CFG2

CFG1

CFG2

CFG1

CFG2

B.Dwersteg, ©

TRINAMIC 2014

GN

DD

図 1.1 TMC2100のスタンドアロン・ドライバ・アプリケーション図

TMC2100には、TRINAMIC製品専用の高度な機能が実装されています。これらの機能により、多くのステッピング・モー

タ・アプリケーションの精度が向上し、動作が滑らかになります。特に、TMC2100には、エンジンのノイズを削減し、モータ

の速度や負荷の変化に極めて高速に反応するために、特別なチョッパ・アルゴリズムが採用されています。

stealthChop™ 電圧チョッパの原理に基づいています。stealthChopは、停止時および低速動作時に、ボール・ベア

リングからのノイズを別にすれば、モータが完全に静かになることを保証します。極めてスムーズな

動作は、多くのアプリケーションに役立ちます。

spreadCycle™ 広い速度と負荷の範囲にわたって、よりスムーズな動作と高い電力効率を提供します。spreadCycle

チョッパ方式は、高速減衰サイクルを自動的に組み込むことで、スムーズなゼロ交差性能を保証しま

す。

microPlyer™ マイクロステッピングをさらに滑らかにするためのマイクロステップ補間器。

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TMC2100 データシート(Rev. 1.07 / 2017-MAY-15) 5

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1.1 ソフトウェア 通常、TMC2100は、関連するハードウェア・ピンを使用して固定コンフィギュレーション用として設定されます。エラー検出

用のステータス・ビットは、ERRORおよび INDEXを使用して読み取ることができます。TMC2100は、わずかな労力に

よってソフトウェアベースで駆動できるステッピング・モータ・ドライバ・デバイスです。マスターCPUやモーション・コントロー

ラ・デバイスは必要ありませんが、モータを駆動するにはステップ信号とディレクション信号を提供する必要があります。

1.2 STEP/DIR インターフェイス ステップ入力とディレクション入力により、モータを制御します。STEP入力のアクティブ・エッジは、立ち上がりエッジです。

各アクティブ・エッジでは、DIR入力からサンプリングされた状態により、前進するのか後進するのかが決定されます。各

ステップは、フルステップまたはマイクロステップ(フルステップあたり 2、4、8、16、32、64、128、または 256マイクロステッ

プ)にすることができます。マイクロステッピング中は、マイクロステップ分解能によって制御される値の分だけ、DIRでの

Low状態のステップ・インパルスによってマイクロステップ・カウンタが増やされ、High状態のステップ・インパルスによって

マイクロステップ・カウンタが減らされます。カウンタ値は、内部テーブルによって正弦波または余弦波の値に変換され、マ

イクロステッピングのモータ電流を制御します。

1.3 停止電流削減 自動停止電流削減により、モータ電流を自動的に約 3分の2削減することにより、停止電力を節約できます。このような削

減は多くのアプリケーションで実現できますが、これは、一般に必要なホールド・トルクが少なくなるためです。停止電流オ

プションがイネーブルされているときに、3Mクロック・サイクルよりも長い間ステップ・パルスが発生しない場合(スタンバイ

遅延時間)、モータ電流は 44M クロック・サイクル(3~4秒)後に 100%から 34%に緩やかにランプダウンします。ソフト電

流ランプにより、モータの変動を回避します。

t

電流

スタンバイ遅延時間CFG6_ENN = オープンであるRMS電流

I_HOLD = 34% * I_RUN

I_RUN

スタンバイ・ランプ時間

STEP

図 1.2 停止電流削減

1.4 診断と保護 TMC2100は、安全性を向上させ、機器を故障から回復させるために、出力の短絡、過熱、低電圧を検出し、これらの状

態から保護するための安全機能を提供します。

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TMC2100 データシート(Rev. 1.07 / 2017-MAY-15) 6

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2 ピン配置

2.1 パッケージの外形

CPIB

RA

OA

2

VS

TS

T_M

OD

E

GN

DP

OA

1

VC

PSTEP

CLKO

B1

GN

DP

CF

G4

BR

B

VS -

1

DIR

VCC_IO

CFG0

CFG1

CFG2

CFG3

INDEX

ERROR

AIN_IREF

GNDA

CPO

-

OB

2

VS

A

-

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

13

14

15

16

17

18

28

27

26

25

24

23

22

21

20

19

36

35

34

33

32

31

30

29

CFG6_ENN

VCC

5VOUT

GNDD CFG5

PAD = GNDD

TMC2100-LA

QFN-365mm x 6mm

図 2.1 TMC2100-LAパッケージおよび QFN36のピン配置(5x6mm)

図 2.2 TMC2100-TAパッケージおよび TQFP48のピン配置(9x9mm)

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TMC2100 データシート(Rev. 1.07 / 2017-MAY-15) 7

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2.2 信号の説明

ピン QFN36 TQFP48 タイプ 機能

CLK 1 2 DI クロック入力。内部クロックを使用する場合は、短いワイヤを使用しグラ

ンドに接続、そうでない場合は、このピンに外部クロックを供給します。

CFG3 2 3 DI コンフィギュレーション入力。

CFG2 3 4 DI コンフィギュレーション入力。

CFG1 4 5 DI コンフィギュレーション入力。

CFG0 5 7 DI コンフィギュレーション入力。

STEP 6 8 DI STEP入力。

DIR 7 9 DI DIR入力。

VCC_IO 8 10 すべてのデジタル・ピン用の 3.3V~5V I/O電源電圧。

D.N.C. 9, 17

11, 14, 16, 18, 20, 22, 23, 28, 41, 43, 45, 47

未使用ピン。オープン状態のままにします。

GNDD 10 12 デジタル GND。グランドに接続します。

N.C. 11 6, 31, 35 将来のバージョンとの互換性を保つための未使用ピン。グランドに接続

します。

GNDP 12, 35 13, 48 電源グランド。ピンの近くのグランド・プレーンに接続します。

OB1 13 15 モータ・コイル B出力 1

BRB 14 17 コイル Bのセンス抵抗の接続。センス抵抗をピンの近くのグランドに配置

します。

OB2 15 19 モータ・コイル B出力 2

VS 16, 31 21, 40

モータの電源電圧。それぞれグランド・プレーンを介した最も近い GNDP

ピンへの短いループを使用して、ピンの近くでフィルタ容量を提供しま

す。

CFG4 18 24 DI コンフィギュレーション入力。

CFG5 19 25 DI コンフィギュレーション入力。

ERROR 20 26 DO 診断オープン・ドレイン出力: ドライバ・エラー。

INDEX 21 27 DO 診断オープン・ドレイン出力: マイクロステップ・テーブル位置インデック

ス。

CFG6_ENN 22 29 DI イネーブル入力およびパワーダウンのコンフィギュレーション。

AIN_IREF 23 30 AI 電流スケーリング(オプションのモード)用のアナログ・リファレンス電圧ま

たは内部センス抵抗を使用するためのリファレンス電流。

GNDA 24 32 アナログ・グランド。グランド・プレーンに接続します。

5VOUT 25 33

内蔵 5Vレギュレータの出力。最高の性能を得るには、2.2μF以上のセラ

ミック・コンデンサを、ピンの近くで GNDAに接続します。デバイスの

VCCの供給に使用することもできます。

VCC 26 34

デバイス内のデジタル回路およびチャージ・ポンプ用の 5V電源入力。グ

ランド(グランド・プレーン)に 470nFのコンデンサを接続します。5VOUT

から供給することもできます。5VOUTからノイズを分離するために、

2.2Ωまたは 3.3Ωの抵抗を使用することを推奨します。外部電源を使用

する場合、5VOUTまたは VCC_IOのいずれか遅い方が上昇する前ま

たはそれと同時に VCCが上昇することを確認してください。

CPO 27 35 チャージ・ポンプ・コンデンサ出力。

CPI 28 37 チャージ・ポンプ・コンデンサ入力。22nF 50Vのコンデンサを使用して

CPOに接続します。

VCP 29 38 チャージ・ポンプ電圧。100nFのコンデンサを使用してVSに接続します。

VSA 30 39 5Vレギュレータ用のアナログ電源電圧。通常は、VSに接続します。

100nFフィルタ・コンデンサを接続します。

OA2 32 42 モータ・コイル A出力 2

BRA 33 44 コイル Aのセンス抵抗接続。センス抵抗をピンの近くのグランドに配置し

ます。

OA1 34 46 モータ・コイル A出力 1

TST_MODE 36 1 DI テスト・モード入力。短いワイヤを使用してグランドに接続します。

露出ダイ・パッド -

露出ダイ・パッドをグランド・プレーンに接続します。グランド・プレーンへ

の熱伝導を高めるために、できるだけ多くのビアを使用します。デジタル

回路用のグランド・ピンとして機能します。

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TMC2100 データシート(Rev. 1.07 / 2017-MAY-15) 8

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3 動作 STEP/DIR入力はドライバを制御します。TMC2100は、spreadCycleモードまたは stealthChopモードで動作します。

TMC2100は、マイクロステップ補間および自動停止電流削減を実現します。ERROR信号はドライバ・エラーを示し、

INDEX信号はマイクロステップ・テーブル・インデックスの位置を示します(アクティブ Lowオープン・ドレイン出力)。

VCC_IO

TMC2100

microPlyerでの

STEP/DIR入力

ST

EP

DIR

5V電圧

レギュレータチャージ・ポンプ

22n

63V

100n

16V

CLK_IN

+VM

5VOUT

VSA

4.7µ

+VIO

GN

DP

GN

DA

TS

T_

MO

DE

DIE

PA

D

VCC

オプションの外部

クロック12-16MHz

3.3Vまたは

5VのI/O電圧100n

100n

シーケンサ

フルブリッジA

フルブリッジB

+VM

VS

ステッピング・

モータ

NS

OA1

OA2

OB1

OB2

ドライバ

100n

BRB

100µF

CP

I

CP

O

BRA RSA

誘導率の低いSMDタイプを使用

(例: 1206、0.5W)

RSB

100n

VC

P

オプションの6Vの

低電圧を使用

2R2

470n

DACリファレンス

AIN

_IR

EF

IREF

誘導率の低いSMDタイプを使用

(例: 1206、0.5W)

ステータス出力

(オープン・ドレイン)

TRISTATE

検出との

コンフィギュ

レーション・

インターフェイス

CFG0

CFG1

CFG3

CFG2

ERROR

INDEX

TRISTATEのコンフィギュレーション

(GND、VCC_IO、または

オープン)

インデックス・パルス

ドライバ・エラー

CFG4

CFG5

CFG6_ENN

オプションの

ドライバ・

イネーブル入力

GN

DD

B.Dwersteg, ©

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図 3.1 スタンドアロン動作のサンプル回路

3.1 CFGピンのコンフィギュレーション TMC2100のコンフィギュレーションはハードウェアに組み込まれています。CFG0~CFG6の接尾辞の付いているすべて

のピンは、以下を識別するために、トライステート検出を使用して評価されます。

- グランドに接続された CFGピン

- オープン状態の CFGピン(接続なし)

- VCC_IOに接続された CFGピン

CFG6_ENNは、ドライバ・デバイスをイネーブルするために使用されます。また、停止電流削減を使用するかどうかを選

択します。

CFG6_ENN:イネーブル・ピンおよび停止パワーダウンのコンフィギュレーション

CFG6 モータ・ドライブのイネーブル 停止パワーダウン

グランド イネーブル なし

VCC_IO ディスエーブル ドライバはディスエーブルされます。

オープン イネーブル あり、1Mクロック・サイクルよりも長い間ステップ・パルスがない場

合(停止状態)、モータ電流は 44M クロック・サイクル(3~4秒)後に

100%から 34%にランプダウンします。stealthChop との組み合わ

せでは、停止電流の減少後にレギュレーションでモータ電流を測定

できなくなるため、低すぎる全体電流設定で動作しないようにしてく

ださい。停止期間の後に極めて低いモータ電流が発生します。

停止パワーダウンの詳細については、図 1.2 を参照してください。

電流制御モードは CFG3 を使用して設定できます。特に、リファレンス電圧の電源(デバイス上または外部)および電流ス

ケーリングの方法を選択できます。

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CFG3による電流設定モードの設定

CFG3 電流設定

グランド 内部リファレンス電圧。電流スケールは外部センス抵抗によってのみ設定されます。

VCC_IO 内部センス抵抗。内部センス抵抗のリファレンス電流として、AINでアナログ入力電流を使用しま

す。この設定を stealthChop電圧PWMチョッパと組み合わせると、最良の結果が得られます。

オープン AINピンの外部リファレンス電圧。電流スケールはセンス抵抗によって設定され、AINによって変

更されます。

STEP入力に必要なマイクロステップ分解能は、CFG2およびCFG1コンフィギュレーションを介して選択できます。低いマ

イクロステップ分解能に切り替える場合は特に、ドライバは、対称波が得られるマイクロステップ位置を自動的に使用しま

す。

spreadCycleモードは 256マイクロステップへの補間の有無にかかわらず使用可能であることに注意してください。

TRINAMICでは、スムーズな駆動を実現するためにステップ補間を使用することをお勧めします。spreadCycleのパラ

メータを最適なマイクロステップ性能で設定できる場合、stealthChopの設定は固定されています。CFG0とCFG4の設定

は、stealthChop コンフィギュレーションに影響を与えません。そのため、単に CFG1 と CFG2 を切り替えることによって、

spreadCycleモードと stealthChopモードを切り替えることができます。

CFG1および CFG2:STEP入力のマイクロステップ分解能の設定

CFG2, CFG1 マイクロステップ 補間 チョッパ・モード

グランド、グランド 1 (フルステップ) なし spreadCycle

グランド、VCC_IO 2 (ハーフステップ) なし

グランド、オープン 2 (ハーフステップ) あり、256 µstepsまで

VCC_IO、グランド 4 (クオーターステップ) なし

VCC_IO、VCC_IO 16 µsteps なし

VCC_IO、オープン 4 (クオーターステップ) あり、256 µstepsまで

オープン、グランド 16 µsteps あり、256 µstepsまで

オープン、VCC_IO 4 (クオーターステップ) あり、256 µstepsまで stealthChop

オープン、オープン 16 µsteps あり、256 µstepsまで

ヒント:

stealthChop を使用して動作を開始する前に、100ms以上 (最低でも 10MHz fCLK) の間、モータが休止できるようにして

ください。そうすることで、電流レギュレーションで初期モータ電流を増加できるようになります。

CFG0、CFG4、CFG5はチョッパ・コンフィギュレーションを対象としています。CFG0は、チョッパのオフ時間を設定するた

めに使用されます。この設定は、最大チョッパ周波数も制限します。このパラメータは、stealthChop を使用した動作には

使用しません。stealthChopのみを使用して動作する場合は、任意の CFG0設定で構いません。

CFG0:チョッパ・オフ時間(低速減衰フェーズの期間)の設定

CFG0 TOFF設定

グランド 140 TCLK (推奨値、最も汎用的な選択) 低い設定

VCC_IO 236 TCLK

中速度の設定

オープン 332 TCLK

高い設定

CFG4:チョッパ・ヒステリシスの設定(ゼロ交差精度の調整)

CFG4 ヒステリシス設定

グランド 5 (推奨値、最も汎用的な選択): フルスケール電流の≈4%の低いヒステリシス。

VCC_IO 9: センス抵抗でのフルスケール電流の≈5%の中程度の設定。

オープン 13: センス抵抗でのフルスケール電流の≈6%の高い設定。

CFG5は、コンパレータのブランク時間を選択します。この時間は、スイッチング・イベントおよびセンス抵抗のリンギング

期間を確実にカバーする必要があります。ほとんどのアプリケーションでは、24 クロック・サイクルが適切です。フィルタ・

ネットワークを使用する場合など、大きな容量性負荷の場合は、36 クロック・サイクルに設定する必要があります。

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CFG5:チョッパ・ブランク時間(スイッチング・スパイクのブランキング期間)の設定

CFG5 ブランク時間(クロック・サイクル数)

グランド 16 (stealthChopに最適な性能) 低い設定

VCC_IO 24 (推奨値、最も汎用的な選択) 中速度の設定

オープン 36 (モータ出力の容量性負荷が大きい場合に必要な可能性あり) 高い設定

例 1

滑らかでノイズのない stealthChopモードでは、低速動作を行うことが望まれます。素早い動作には、spreadCycleが使

用されます。コントローラは、1/16マイクロステップのステップ信号を提供できます。CFG2はオープン状態のままにし、ス

リー・ステート・ドライバを使用して CFG1 を駆動します。spreadCycleで動作する場合は、CFG1 を GNDに切り替え、

stealthChopで動作する場合は、CFG1 を hi-Z (オープン)状態に切り替えます。固定レベルからオープン入力に切り替え

る場合、異なるモードが短時間渡される可能性があるため、停止中のみ切り替えるようにしてください。

例 2

VCC_IO

CLK_IN

+VIO

内部クロックの使用

3.3Vまたは

5VのI/O電圧

100n

TRISTATE

検出との

コンフィギュ

レーション・

インターフェイス

CFG0

CFG1

CFG3

CFG2

CFG4

CFG5

DRV_ENN_CFG6停止電流の削減の使用

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中程度のブランク時間

低いヒステリシス

センス抵抗の使用

stealthChopでの

16マイクロステップステップ入力

小さい低速減衰時間

図 3.2 stealthChop用の TMC2100のコンフィギュレーション例

注意:

異なる ICの CFGピンを並列に接続すると、ピンのオープン検出が失敗します!

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4 レイアウトに関する提案 サンプル回路では、異なる動作モードと電源モードでの外付け部品の接続を示します。

4.1 電源に関する基本的なヒント 電源をフィルタリングするために、電流リップルに対処できる低 ESR コンデンサを使用します。電流リップルは、多くの場

合、電源とケーブルの長さに依存します。VCC_IOの電圧は 5VOUTから、または、低ドロップアウト 3.3V レギュレータな

どの外部電源から供給できます。VMが高いアプリケーションにおいて、内部 5V電圧レギュレータのリニア電圧レギュ

レータの電力損失を最小限に抑えるには、別の(より低い)電源電圧を使用できる場合、それを VSAに使用します。例えば、

多くのアプリケーションは、24Vや 36Vなどの高い電源電圧に加えて、12V電源を供給します。12V電源を VSAに使用

すると、内部 5Vレギュレータの電力損失が、モータの最大電圧で電源から生じる電力損失のうちの約 37%および 23%に

それぞれ減少します。

基本的なレイアウトのヒント

センス抵抗とすべてのフィルタ・コンデンサは、関連するデバイス・ピンのできるだけ近くに配置します。センス抵抗のグラ

ンドも含めて すべてのグランド接続には、切れ目のない共通グランドを使用します。5VOUTフィルタ・コンデンサは、

5VOUTピンと GNDAピンに直接接続します。詳細については、レイアウトのヒントを参照してください。VSのフィルタリン

グには、低 ESR電界コンデンサを推奨します。

注意

別の電圧源から VSAに供給する場合、パワーアップ時またはパワーダウン時に、VSAが VSよりも 1ダイオード電圧降

下分を超えて高くならないことを確認してください。

4.2 部品数の削減

5V電圧

レギュレータ

+VM

5VOUT

VSA

4.7µ

VCC

100n

オプションの

6Vの低電圧を使用

図 4.1 削減されたフィルタ部品数

標準アプリケーション回路では、RC フィルタを使用して、内部リニア・レギュレータの出力を、VCC入力から給電されるデ

ジタル回路によって発生する高周波リップルから分離しています。コストが重視されるアプリケーションの場合は、VCCで

の RCフィルタを削除できます。それによって、チャージ・ポンプと内部デジタル回路の動作から発生する 5VOUTでのノイ

ズが増加します。マイクロステップの振動とチョッパ・ノイズ性能に対して、わずかな影響があります。

4.3 内部電流の検出 コストが重視され、スペースに制限のあるアプリケーションの場合、センス抵抗の削除が必要になることがあります。

TMC2100では、内部 MOSFETの抵抗をセンス抵抗として使用できます。さらに、それによってドライバのブリッジの実効

抵抗が減少するため、電力損失がわずかに減少します。このアプリケーションでは、小さい外付け抵抗で設定されたリファ

レンス電流によって、出力電流を設定しています。リファレンス抵抗の計算については、エラー! 参照元が見つかりません。

章を参照してください。

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フルブリッジA

フルブリッジB

ステッピング・

モータ

NS

OA1

OA2

OB1

OB2

ドライバ

BRB

BRA

DACリファレンス

AIN

_IR

EF

IREF

AIN

_IR

EF

5V

OU

T

RREF

図 4.2 オン抵抗に基づく検出による高電流センス抵抗の削除

4.4 外部 5V電源 外部 5V電源を利用できる場合、内部リニア・レギュレータで発生する電力損失を除去することができます。これは、特に

高電圧アプリケーションにおいて熱的条件が重要である場合に役立ちます。この外部 5V電源を使用する場合、次の 2つ

の選択肢があります。1つは、外部 5V電源を VCCピンに供給することによって、ドライバのデジタル電源をサポートする

ために使用する方法、もう 1つは、内部電圧レギュレータを完全にブリッジし、外部電源電圧で置き換える方法です。

4.4.1 VCC電源のサポート この方式では、外部電源をドライバ内のすべてのデジタル回路に使用します(図 4.3)。デジタル回路が電力損失のほとん

どを占めているため、これによって内部 5Vレギュレータには、軽い負荷のみが残ります。正確に安定化された内部レギュ

レータの電圧は、モータ電流レギュレーションのリファレンスとして引き続き使用され、内部アナログ回路への給電にも使

用されます。

VCCピンを 5VOUTから切り離す場合、5VOUT電源よりも前または同時に VCC電源が立ち上がることを確認してくださ

い。そうしないと、内部ロジックによるパワーアップ・リセット・イベントが失敗する可能性があります。 簡単な回路図では、

VCCの内部電源と外部電源のORを形成する 2つのダイオードを使用しています。チップが内部レギュレータから電力の

一部を引き抜かないようにするには、外部 5V電源経路に低ドロップ 1Aショットキー・ダイオードを使用し、5VOUT経路に

はシリコン・ダイオードを使用します。

5V電圧

レギュレータ5VOUT

VSA

4.7µ

VCC

100n

470n

+5V LL4448

MSS1P3

+VM

外部5Vから供給されるVCC。5Vまたは3.3VのIO電圧。

図 4.3 ドライバのデジタル回路への外部 5V電源の使用

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4.4.2 ブリッジされた内部レギュレータ エラーの少ない外部5V電源を使用できる場合、それをアナログ部およびデジタル部全体の電源に使用できます(図4.4)。

回路は、十分に安定化された電源の恩恵を受けます(例えば、+/-1%精度のレギュレータを使用する場合など)。高精度の

電源によって、モータ電流の精度の向上が保証されます。これは、5VOUTの電圧が、ドライバのすべての内部ユニット

(特に、モータ電流制御)のリファレンス電圧に直接なるためです。最高の性能を得るには、高精度の安定した電源を、

5mVを十分に下回るようにリップルを抑えて、5VOUTピンに供給する必要があります。一部のスイッチング・レギュレータ

に高いリップルが存在していたり、電源に対するさまざまな負荷によって低周波リップルが発生したりする場合があります。

その場合は、5VOUTに接続する容量を増やします。外部電源電圧の安定性が低い場合、または低周波リップルが存在

する場合、モータ電流レギュレーションの精度に影響を与え、チョッパ・ノイズが増加します。

5V電圧

レギュレータ

+5V

5VOUT

VSA

4.7µ

VCC

470n

10R

+-5%以上の精度に

十分安定化された電源

図 4.4 外部 5V電源を使用した内部レギュレータのバイパス

4.5 5Vに限定された電源

VCC_IO

TMC2100

microPlyerでの

STEP/DIR入力

ST

EP

DIR

5V電圧

レギュレータチャージ・ポンプ

22n

63V

100n

16V

CLK_IN

+VIO

GN

DP

GN

DA

TS

T_

MO

DE

DIE

PA

D

オプションの

外部クロック

(12~16MHz)

3.3Vまたは

5VのI/O電圧100n

シーケンサ

フルブリッジA

フルブリッジB

+5V

VS

ステッピング・

モータ

NS

OA1

OA2

OB1

OB2

ドライバ

100n

BRB

100µF

CP

I

CP

O

BRA RSA

誘導率の低いSMDタイプを使用

(例: 1206、0.5W)

RSB

100n

VC

P

DACリファレンス

AIN

_IR

EF

IREF

誘導率の低いSMDタイプを使用

(例: 1206、0.5W)

ステータス出力

(オープン・ドレイン)

TRISTATE

検出との

コンフィギュ

レーション・

インターフェイス

CFG0

CFG1

CFG3

CFG2

ERROR

INDES

TRISTATEのコンフィギュレーション

(GND、VCC_IO、または

オープン)

インデックス・パルス

ドライバ・エラー

CFG4

CFG5

DRV_ENN_CFG6

オプションの

ドライバ・

イネーブル入力

GN

DD

B.Dwersteg, ©

TRINAMIC 2014

GN

DD

オープン状態のままにする

+5V

5VOUT

VSA

4.7µ

VCC

470n

図 4.5 5Vに限定された動作

標準アプリケーション回路は、おおよそ 5.5V以下の電源電圧に制限されますが、5Vに限定されたアプリケーションでは、

デバイスは標準 5V +/-10%の電源で動作します。このアプリケーションでは、リニア・レギュレータでの電圧降下を最小限

に抑える必要があります。そのため、外部電源から直接 VCCに供給することによって、主要な 5Vの負荷を除去します。

電源のリップルをアナログ電圧リファレンスから分離するために、5VOUTにフィルタリング容量を接続する必要があり、

5VOUTピンは 5V電源にブリッジされません。

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4.6 高モータ電流 高モータ電流で動作する場合、MOSFETスイッチのオン抵抗に起因するドライバの電力損失により、ドライバの温度が著

しく上昇します。増加したデューティ・サイクルで動作した場合、この電力損失によってプリント基板の冷却機構の温度も上

昇します。これによって、ドライバの温度がさらに上昇します。約 100°Cの温度上昇によって、MOSFETの抵抗が約 50%

増加します。これは、MOSFETスイッチの標準的な挙動です。そのため、高デューティ・サイクル、高負荷の条件では、特

に周囲温度の上昇に対応する必要がある場合に、熱特性を慎重に考慮する必要があります。詳細については、熱特性と

レイアウトのヒントを参照してください。原則的に、QFN-36では、約1A RMS以上のモータ電流が長時間流れる場合、プリ

ント基板設計の熱特性が重要になります。モータ電流の 2乗に比例して抵抗性電力損失が増加することに注意してくださ

い。一方、このことは、モータ電流のわずかな減少によって放熱とエネルギーが大幅に削減されることを意味しています。

中程度のモータ速度および約 1.2A を超えるモータの正弦波ピーク電流において、spreadCycleチョッパの高速減衰サイ

クルの期間に内部ダイオードの導通が増えることによる悪影響の増大に気付く場合があります。これは、増加した電流の

一部がパワーMOSFETのドレインからグランドに直接流れ、センス抵抗に流れないことにより、正弦波のこの位相の間に

電流測定で最大コイル電流が発生しないためです。その結果、ある条件の下で spreadCycle を使用したときに、電流の

正弦波にわずかな歪みが生じることがあります。これは、重要なゼロ電流の遷移に影響しないため、ほとんどのモータの

スムーズな動作に悪影響を与えることはありません。この症状は、stealthChop を使用した場合、発生しません。

4.6.1 リニア・レギュレータの電力損失の低減 高電源電圧で動作する場合、最初の手順として、例えば 5Vの外部電源を使用することで、内部の 5V リニア・レギュレー

タの電力損失を減らすことができます。これによって、全体的な熱が減少します。全体的な電力損失を削減するために、

モータの停止電流を減らすことをお勧めします。できれば、coolStep も使用してください。クロック周波数を減らすと、内部

ロジックの電力損失が減少します。クロック周波数を減らすことで、さらに電力損失を低減することもできます。

4.6.2 2Aのピーク電流に近いまたは超える動作 ドライバは、最大2.5Aのモータのピーク電流を供給できます。このピーク電流は、熱特性を考慮し、デューティ・サイクルで

制限された動作でのみ可能です。最大 2.5Aのピーク電流を駆動する場合、ドライバのチップ温度を 105°C以下に保つ必

要があります。2A~2.5Aの出力電流の範囲で、設計ピーク温度を 125°Cから 105°Cに線形にディレーティングします(図

4.6 を参照)。この範囲を超えると、短絡が検出される場合があります。

ダイ温度

ピーク・コイル

電流

105°C

125°C

2A

長時間の動作は推奨されません

2.5A1.75A

115°C

135°C

1.5A

過熱しきい値の下限による制限

最大125に規定された動作範囲

2Aを超える場合のディレーティング

高温の範囲

電流制限

2.25A

図 4.6 上昇したダイ(チップ)温度での最大正弦波ピーク電流のディレーティング

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4.7 ドライバの保護と EME回路 アプリケーションによっては、モータの動作または外部の影響によって発生するESDイベントに対処する必要があります。

ドライバ・デバイス内には ESD回路がありますが、動作中に発生する ESD イベントによって、モータ・ドライバがリセットさ

れたり、エネルギーによっては破壊されたりすることさえあります。特にプラスチック筐体やベルト駆動システムで ESD イ

ベントが発生する傾向があります。すべての導電性部品(特にモータ自体)をプリント基板のグランドに接続して ESD イベ

ントを防止するか、導電性プラスチック部品を適用することをお勧めします。これに加えて、ある程度の ESD イベントや

モータの活線挿抜からドライバを保護することができます。モータの活線挿抜によっても、モータのコネクタ端子に高電圧

と高電流が発生します。シンプルな方式では、ドライバの出力でコンデンサを使用して、ESDイベントで発生する dV/dt を

低減します。このコンデンサを大きくすると、ESDの抑制に関しては効果がありますが、各チョッパ・サイクルで追加電流

が発生するため、特に高電源電圧ではドライバの電力損失が増えます。ここで示した値は例であり、100pF~1nFの間で

変化する場合があります。これらのコンデンサは、回路のデジタル部から発生する高周波ノイズも抑制するため、電磁放

射を低減します。さらに複雑な方式では、LC フィルタを使用して、ドライバ出力をモータのコネクタから分離します。バリス

タによって、活線挿抜から発生するコイルの過電圧が除去されます。LC フィルタは発振しやすいため、スナバ素子が追加

されています。この方式の欠点は、特に高電源電圧で電力損失が大幅に増えることです。フェライト・インダクタに並列に

接続された減衰抵抗は、オプションのスナバ素子です。

フルブリッジA

フルブリッジB

ステッピング・

モータ

NS

OA1

OA2

OB1

OB2

ドライバ

470pF

100V

470pF

100V

470pF

100V

470pF

100V

フルブリッジA

フルブリッジB

ステッピング・

モータ

NS

OA1

OA2

OB1

OB2

ドライバ

4n7

50V

470pF

100V

470pF

100V

50Ohm @

100MHz

50Ohm @

100MHz

50Ohm @

100MHz

50Ohm @

100MHz

V1

V2

定格電圧を供給するように、

バリスタV1およびV2を適合させます。

SMDインダクタには、モータの

最大コイル電流が流れます。

27R

4n7

50V

27R

4n7

50V470pF

100V

27R

4n7

50V470pF

100V

27R

インダクタとコンデンサの

リンギングを除去する

オプションのスナバ

(値は単なる例)BRB

RSA

BRA

100nF

16V

RSB100nF

16V

図 4.7 シンプルな ESD対策の拡張と、さらに複雑なモータ出力保護

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5 stealthChop™ stealthChopは、低速~中速用の極めて静粛なステッピングモータ用の動作モードです。このモードは、電

圧モード PWMに基づいています。停止および低速動作の場合に、モータのノイズが完全になくなります。

そのため、stealthChopによって動作するステッピング・モータ・アプリケーションは、屋内または住宅内で

の使用に非常に適しています。モータは、低速動作時に全く振動しません。stealthChopでは、電圧モード

PWMを使用して特定の実効電圧をコイルに駆動することによって、モータ電流を加えます。モータの目標

電流を生成するための PWM電圧のレギュレーション以外に、必要なコンフィギュレーションはありません。

図 5.1 stealthChop を使用した場合のモータ・コイルの正弦波電流(電流プローブを使用して測定)

5.1 電流レギュレーション モータ電流を特定のレベルに一致させるには、電圧モード PWMの電圧を、実際のモータ速度に応じて調整する必要があ

ります。モータの抵抗、モータの逆起電力(モータの速度に直接比例する)、電源電圧の実際のレベルという複数の追加要

因が、目標電流でモータを駆動するために必要な電圧レベルに影響を与えます。簡単に使用するために、TMC2100では、

電流帰還が考慮される電流レギュレーションの自動モードを使用します。PWM周波数は、内部でクロック周波数から分割

されます。

PWM周波数が高くなればダイナミック消費電力が増加しますが、モータ速度が高いほどメリットがあります。

STEALTHCHOPの PWM周波数

クロック周波数 fCLK fPWM=2/683 fCLK

18MHz 52.7kHz

16MHz 46.8kHz

(内部) 38kHz

12MHz 35.1kHz

10MHz 29.3kHz

8MHz 23.4kHz

表 5.1 PWM周波数 – 緑色の部分は推奨値

5.2 自動スケーリング stealthChop電圧PWMモードでは、内部自動スケーリング機能によってモータ電流を目的の電流設定に安定化させます。

ドライバは、チョッパのオン時間の間にモータ電流を測定し、そのモータ電流を目標電流に一致させるために、見合ったレ

ギュレータを使用します。レギュレーションの品質は、さまざまな速度でモータ・コイル電流を監視する場合、および適用可

能な最速の加速時に調べることができます。加速フェーズと同様に、減速フェーズの間、モータのコイル電流を一定に維

持するように、電圧 PWM振幅を適応させる必要があります。

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図 5.2 スコープの画面: 電流は加速フェーズに追従できます。

速度

時間

停止PWM

スケール

PWMが最大振幅に

達する255

0

モータ電流

公称電流

(正弦波RMS)

一定のRMS電流

0

PWMスケール

高速によって電流が低下する場合がある

適切な

PW

M_G

RAD

適切な

PW

M_G

RAD

適切な範囲内で加速した場合の電流と速度

図 5.3 電流と速度の図

最高の性能を得るために、必ず対称的なレイアウトのセンス抵抗、同一の長さのトレースのセンス抵抗、および十分に一

致するセンス抵抗を使用してください。

自動スケーリング機能は、モータの停止中にのみレギュレーションを起動します。stealthChop をイネーブルした後に、必

ず電流レギュレーションが安定状態に達するのを待ってから動作を開始してください。そうしないと、ゼロ・モータ電流が発

生します。

目的の動作速度で自動スケーリング・レギュレーションが不安定な場合は、クロック周波数を変更してみてください。最適

な結果を得るには、ブランク時間(CFG5)とモータ電流も適応させます。

5.2.1 低電流制限 stealthChop電流レギュレータは、モータ電流レギュレーションの下限を課します。チョッパ相のみの間にシャント抵抗でコ

イル電流を測定することができるので、コイル電流の調整を可能にする最小チョッパデューティサイクルは、TBLとチョッパ

周波数によって設定されるブランク時間によって与えられます。したがって、stealthChopオートスケーリングモードのモー

ター固有最小コイル電流は電源電圧とともに上昇します。ブランキング時間を短くすると、電流制限が小さくなります。動

作電流を下限値より上に保つ必要があります: それは AINピンのスケーリングが低すぎるために PWMスケールが小さ

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すぎると、レギュレータがリカバリできなくなる可能性があるためです。レギュレータは、モーターが停止したら回復します。

下限のモータコイル電流制限は、モータパラメータとチョッパ設定から計算できます。

VMの場合、モータの電源電圧と RCOILはモータコイルの抵抗になります。

ILower Limit は可能なモータ電流設定値の最小値として扱うことができます。tBLANK

例:

モータのコイル抵抗は 5Ω、電源電圧は 24Vです。 tBLANKの設定は 24 クロックサイクルです:

pwm_autoscaleモードでは、コイルの電流制限が低くなります。この限界は、電流プローブを用いて計算または測定する

ことができます。モータ動作電流設定値をこの低い電流制限値よりも十分に上に保ちます。

5.3 加速度 自動電流レギュレーションにより、さまざまな速度での逆起電力の変動が補正されます(図 5.2および図 5.3を参照)。また、

フルステップごとに実際の電流が測定された後、PWMの電圧の限定的な修正が行われます。したがって、加速と減速が

非常に大きい場合、内部レギュレーションが目標電流に近い範囲内のモータ電流を安定化するのに十分速く反応できな

い可能性があります。電流プローブを使用して、(急な)加速時のモータ電流を確認します。電流レギュレーションが追従で

きない場合(図 5.4 を参照)、モータ電流が加速フェーズで減少し、その結果、モータ・トルクが低下します。減速フェーズの

間、モータ電流は短時間増加します。電流の逸脱が大きすぎる場合、モータは加速フェーズで必要なトルクを得ることがで

きません。

stealthChop を使用した加速フェーズでモータ電流が大幅に減少した場合、電流レギュレーションを改善する方法は複数

あります。

- 加速を低下

- 動作を開始する前にホールド電流から動作電流へ切り替え

- ドライバの電源電圧を増加(電圧を 2倍にすると、反応速度も 2倍になります)

- ドライバのクロック周波数を増加

- 電流コイルの巻き線のより多いモータを使用(逆起電力は比例して減少します)

- 高速な動作を開始する前にコンフィギュレーションを stealthChopから spreadCycleに切り替え

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図 5.4 加速フェーズ中に追従できない電流レギュレーション

ヒント

stealthChop を調べる場合は、アプリケーション内でモータを動作させます。モータの性能は、多くの場合、機械的負荷が

存在すると向上します。これは、負荷がない場合に発生する可能性のある機械的な振動によって、モータがストールしな

いためです。

5.4 stealthChop と spreadCycleの切り替え stealthChopと spreadCycleを組み合わせることは、関連するCFGピンを使用して 2つのコンフィギュレーションを切り替

えることによって実現可能です。ただし、間違ったマイクロステッピング・モードで動作しないよう注意する必要があります。

トライステート検出ロジックはオープンピンとの間の遷移を検出するために複数のサイクルを必要とするため、スイッチン

グは停止中に行う必要があります。新しいステップを実行する前に、変更されたモード選択の検出に 3072 tCLK の余裕を

持たせます。内部クロックでは、次のステップが実行される前に、3msの遅延を持たせることにより新しいモードに適切に

移行できます。

自動電流レギュレーションを最初に使用するときに stealthChopモードをイネーブルする際は、適切な電流レギュレーショ

ンを可能にするために、モータを停止状態にする必要があります。ドライバが高速時に別のチョッパ・モードに切り替わると、

stealthChopのロジックは、モータが再び低速に戻るまで、最後の電流レギュレーション設定を保存します。この方法によ

り、モータが低速に戻って stealthChopが再びイネーブルされたときに、レギュレーションには既知の開始点が存在します。

そのため、チョッパが別のモードに切り替わるときに、速度しきい値も電源電圧も大幅に変化することはありません。これ

を行わないと、モータがステップを失ったり、高すぎるか低すぎる瞬間電流が発生する恐れがあります。

注意

モータストールまたはモータ速度の急激な変化により、ドライバが短絡を検出することがあり、このような状況で、電流が

上限を超える可能性があります。 この状態から回復するには、ドライバをディスエーブルしてから再びイネーブルして、

モータをゼロ速度から再起動してください。

ヒント

最初に stealthChop をオンにする場合、stealthChopが初期停止電流制御を実行できるようにするために、モータを停止

状態から起動し、少なくとも 128チョッパ周期の間モータを停止したままにします。

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6 spreadCycle stealthChopは電圧モード PWM制御チョッパですが、spreadCycleはサイクルごとの電流制御です。そのため、

spreadCycleはモータの速度や負荷の変化に極めて高速に反応できます。両方のモータ・コイルに流れる電流は、チョッ

パを使用して制御されます。各チョッパは、互いに独立して動作します。図 6.1に、異なるチョッパ・フェーズを示します。

RSENS

E

ICOIL

オン・フェーズ:

電流は目標電流の

ディレクションに

流れます

RSENS

E

ICOIL

高速減衰フェーズ:

電流は目標電流とは

逆の方向に流れます

RSENS

E

ICOIL

低速減衰フェーズ:

電流は再循環します

+VM +VM +VM

図 6.1 チョッパ・フェーズ

オン・フェーズと高速減衰フェーズのみを使用して電流を安定化できますが、モータ内の電気的損失および電流リップルを

減らすには、低速減衰フェーズの挿入が重要になります。低速減衰フェーズの期間は、制御パラメータで指定され、チョッ

パ周波数の上限を設定します。電流コンパレータは、電流がセンス抵抗を流れる場合、フェーズ中のコイル電流を測定で

きますが、低速減衰フェーズ中のコイル電流を測定できません。そのため、低速減衰フェーズはタイマによって終了されま

す。オン・フェーズは、コイルに流れる電流が目標電流に達したときに、コンパレータによって終了されます。高速減衰

フェーズは、コンパレータまたは別のタイマによって終了することができます。

コイル電流が切り替わるときに、寄生容量が充放電されるため、センス抵抗にスパイクが発生します。この間(通常、1マイ

クロ秒または 2マイクロ秒)、電流は測定できません。ブランキングは、このスパイクを遮断するために、コンパレータへの

入力がマスクされる時間です。

spreadCycleモードは、オン、低速減衰、高速減衰、および第 2低速減衰の 4つのフェーズを循環します。

チョッパ周波数は、チョッパ制御モータ・ドライバにとって重要なパラメータです。この周波数が低すぎると、可聴ノイズが発

生する場合があります。周波数を高くするとモータ内の電流リップルが減少しますが、高くなり過ぎると磁気損失が増える

可能性があります。周波数が増えるとともに、スイッチング・スロープの影響が増大して動的損失が発生することにより、ド

ライバの電力損失も増加します。そのため、妥協点を見つける必要があります。ほとんどのモータは、16kHz~30kHzの

周波数範囲で最適に動作します。チョッパ周波数は、多数のパラメータ設定から影響を受けるとともに、モータの誘導率と

電源電圧からも影響を受けます。

ヒント

spreadCycleを使用する場合、16kHz~30kHzの範囲内のチョッパ周波数によって、ほとんどのモータで良好な結果が得

られます。周波数を高くすると、スイッチング損失が増加します。

CFG0および CFG4 (チョッパ・オフ時間とチョッパ・ヒステリシス)の詳細については、3.1章を参照してください。

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6.1 spreadCycleチョッパ 特許取得済みの spreadCycleチョッパ・アルゴリズムは、高速減衰フェーズの最適な長さを自動的に決定する、高精度の

簡単に使用できるチョッパ・モードです。spreadCycleは、デフォルトの設定を使用した場合でも、高品質のマイクロステッ

ピングを提供します。複数のパラメータを使用して、チョッパを特定のアプリケーション向けに最適化することができます。

各チョッパは、オン・フェーズ、低速減衰フェーズ、高速減衰フェーズ、および第 2低速減衰フェーズで構成されます(図 6.3

を参照)。チョッパ・サイクルごとの 2つの低速減衰フェーズと 2つのブランク時間は、チョッパ周波数の上限を設定します。

低速減衰フェーズは、通常、停止時のチョッパ・サイクルの 50%~75%を占めるため、モータとドライバの電力損失を抑え

るために重要になります。

16MHz クロック周波数では、低い tOFF設定(140 tCLK)により、𝑡𝑂𝐹𝐹 = 140 ∗1

16𝑀𝐻𝑧= 8.75𝜇𝑠を設定します。これにより、各

チョッパ・サイクルでは低速減衰時間の 2 * 8.75µs = 17.5µs を使用します。

ヒステリシスを設定すると、ドライバに対してモータ・コイルに最小の電流リップルが発生するように強制します。この電流

リップルは、最適なマイクロステッピングを得るために、モータ内の抵抗性損失によって発生する電流リップルよりも高い

必要があります。これによってチョッパは、目標電流が上昇する場合と低下する場合の両方で、電流を正確に安定化でき

ます。モータ・コイルに電流リップルが発生するために要する時間によって、チョッパ周波数も減少します。そのため、ヒス

テリシス設定を高くすると、チョッパ周波数が減少します。モータのインダクタンスは、モータ電流の変化に追随するチョッ

パの能力を制限します。さらに、ブランキング期間に電流コンパレータがディスエーブルされるため、オン・フェーズと高速

減衰の期間を、ブランキング時間よりも長くする必要があります。

最適な設定を簡単に見つけるには、最も低いヒステリシス設定(CFG4=GND)から開始します。モータが低い速度設定で

スムーズに動作しない場合は、より高い設定を使用します。これは、電流プローブを使用するか、センス抵抗の電圧を調

べてモータ電流を測定すると、最も確実に確認できます(図6.2を参照)。ゼロの近くで遷移する正弦波の形状を確認すると、

ヒステリシス設定が小さすぎる場合、両方の半波長の間に小さい出っ張りがあるのが分かります。中速度(1秒あたり 100

~400 フルステップ)では、ヒステリシス設定が低すぎる場合、モータの作動音と振動が増加します。

図 6.2 十分なヒステリシスにより出っ張りのない電流波形(マゼンタ:電流A、黄色および青:センス抵抗の電圧Aおよび B)

ヒステリシス設定が高すぎると、チョッパ周波数が減少してチョッパ・ノイズが増えますが、波形にはなんのメリットもありま

せん。

実験で示されるように、通常は電流の高いモータほど低いコイル抵抗を持っているため、設定はモータに全く依存しませ

ん。そのため、ヒステリシスの低いデフォルト値の選択は、通常、ほとんどのアプリケーションに適合します。

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t

I

目標電流

目標電流-ヒステリシス

目標電流+ヒステリシス開始値

on sd fd sd

図 6.3 spreadCycleチョッパ方式が示すチョッパ・サイクル中のコイル電流

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7 センス抵抗の選択

センス抵抗に適切な値を選択して、必要な最大モータ電流を設定します。次の表は、モータの電流スケーリングを追加せ

ずに標準の抵抗とモータのタイプを使用して到達できる RMS電流値を示しています。

RSENSEの選択と得られる最大モータ電流

RSENSE [Ω] RMS電流[A]

AIN=2.5V (or open)

最適モータータイプ

(例) 1.00 0.23

300mAモータ 0.82 0.27

0.75 0.30

0.68 0.33 400mAモータ

0.50 0.44

500mAモータ 470m 0.47

390m 0.56 600mAモータ

330m 0.66 700mAモータ

270m 0.79 800mAモータ

220m 0.96 1Aモータ

180m 1.15 1.2Aモータ

150m 1.35

1.5Aモータ 120m 1.64*) 100m 1.92*)

*) 値が上限電流定格を超え、スケールダウンが必要となります、つまり AINを減少させます。

センス抵抗は注意深く選択する必要があります。全モータ電流が検出抵抗器を通って流れます。チョッパ動作により、セン

ス抵抗には MOSFETブリッジからのパルス電流が流れます。したがって、検出電圧の入力にリンギングを生じ、測定結

果が不安定になることを防ぐために、フィルムや組成抵抗などの低インダクタンスタイプが必要です。また、低インダクタン

スで低抵抗の PCBレイアウトが不可欠です。2つの電流検出信号間の結合につながるので、2つの検出抵抗の共通の

GND経路は避けなければなりません。大規模なグランド面が最適です。 第 16章のレイアウトの考慮事項も参照してくだ

さい。

センス抵抗は、スタンバイ電力が減少しない限り、モーター停止状態でピークモータコイル電流を導通させることができる

必要があります。通常の状態では、センス抵抗はコイル RMS電流よりも少ない電流を流します、なぜなら、低速減衰

フェーズ中に電流がセンス抵抗を流れないからです。ほとんどのアプリケーションでは、1.2A RMS電流で 0.5W タイプで

十分です。

ピーク・センス抵抗の消費電力は次のとおりです:

𝑃𝑅𝑆𝑀𝐴𝑋 = 𝐼𝐶𝑂𝐼𝐿2 ∗ 𝑅𝑆𝐸𝑁𝑆𝐸

注意

対称センス抵抗のレイアウトと、同じ長さの短いストレートセンス抵抗のトレースを必ず使用してください。最適マッチング

のセンス抵抗は最高の性能を保証します。

寄生抵抗の影響を避けるには、大規模なグランドプレーンを持つコンパクトなレイアウトが最適です。

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8 モータ電流制御 基本のモータ電流は、センス抵抗の抵抗によって設定されます。いくつかの可能性は、モータ電流をスケールダウンさせ

る、すなわち、異なるモータに適合させること、または停止状態または低負荷状態でモータ電流を減少させます。

CFG3ピンを使用して 3つのモードの電流設定を選択できます。

CFG3:電流設定モードの設定

CFG3 電流設定

グランド 内部リファレンス電圧。電流スケールはセンス抵抗によってのみ設定されます。

VCC_IO 内部センス抵抗。内部センス抵抗のリファレンス電流として、AINでアナログ入力電流を使用しま

す。この設定を stealthChop電圧 PWMチョッパと組み合わせると、最良の結果が得られます。

BRA と BRBを直接 GNDに接続します。詳細は第 9章を参照してください。

オープン AINピンの外部リファレンス電圧。電流スケールはセンス抵抗によって設定され、AINによって変

更されます。これにより、簡単な分圧器を使用して電流設定を微調整することができます。

フル電流スケール(VREF = 2.5V)でモータに十分な電流を供給するためには、センス抵抗を選択してください。

RMS実行電流の計算:

𝐼𝑅𝑀𝑆 =𝑉𝐹𝑆

𝑅𝑆𝐸𝑁𝑆𝐸+20𝑚Ω∗

1

√2

停止のホールド電流はの計算:

𝐼𝑅𝑀𝑆 =12

32∗

𝑉𝐹𝑆

𝑅𝑆𝐸𝑁𝑆𝐸+20𝑚Ω∗

1

√2

VFSはフルスケール電圧です。

アナログスケールによる電流の低減:

VFSのアナログ・スケーリングをイネーブルした場合、得られる電圧 VFS‘は、次のように計算できます。

𝑉𝐹𝑆′ = 𝑉𝐹𝑆 ∗

𝑉𝐴𝐼𝑁

2.5𝑉

ここで、VAINは 0V~V5VOUT/2の範囲内の AIN_IREFピンの電圧です。

対称電流設定を最高の精度で行うには、アプリケーションの電流を測定し、微調整することをお勧めします。

8.1 アナログ電流制御 AIN 柔軟性の高い出力電流スケーリングが必要な場合、異なるセンス抵抗のセットを選択するのではなく、ドライバのアナログ

入力をイネーブルして電流を制御できます。この方法で、シンプルな電圧分割器を使用して、ボードを別のモータに適応さ

せることができます。したがって、CFG3ピンはオープン状態のままにします。

AINによるモータ電流の変更

TMC2100は、電流制御のために、内部リファレンス電圧を提供します。内部リファレンス電圧は、5VOUT電源出力から

直接得られます。内部リファレンス電圧の代わりに、外部リファレンス電圧を使用することもできます。このリファレンス電

圧は、チョッパ・コンパレータで使用するために、スケールダウンされます。チョッパ・コンパレータは、電流レギュレーション

を行うために、BRA と BRBの電圧をスケールダウンされたリファレンス電圧と比較します。アナログ・スケーリングをイ

ネーブルすると(CFG3はオープン)、AINに加えた外部電圧が増幅およびフィルタされて、リファレンス電圧として使用され

ます。2.5Vの電圧(または 2.5V~5V間の任意の電圧)は、内部リファレンス電圧と同じ電流スケーリングを設定します。

0V~2.5V間の電圧は、0とセンス抵抗設定によって定義された電流スケーリングの間で、電流の大きさを線形に変更しま

す。0.5V~1Vを下回るリファレンス電圧での動作は推奨されません。これは、AIN電圧が低いと、デジタル回路から発生

する相対的なアナログ・ノイズがチョッパ精度に与える影響が増えるためです。最高の精度を得るには、2V~2.4Vの範囲

の AINで目的の最大電流を達成するように、センス抵抗を選択します。必ずチョッパ設定を、モータの通常動作電流に合

わせて最適化してください。

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AINの駆動

AINに電圧を供給する最も簡単な方法は、電圧分割器を使用して安定した電源電圧から供給するか、マイクロコントロー

ラの DAC出力を使用することです。PWM信号を使用して電流制御を行うこともできます。PWMは、AINピンで追加 R/C

ローパス・フィルタを使用してアナログ電圧に変換されます。PWMデューティ・サイクルによって、アナログ電圧が制御され

ます。10kHzを十分に上回る PWM周波数を使用する際に、数ミリ秒のコーナー周波数を持つローパスが形成されるよう

に、R と Cの値を選択します。さらに AINは、3.5kHzの帯域幅を持つ内部ローパス・フィルタを提供します。AINに電圧を

供給する電圧分割器に NTCを統合することで、温度に依存するモータ電流スケーリングを実現できます。正確なリファレ

ンス電圧を(例えばTL431Aから)使用できる場合、内部電圧リファレンスと比較して、モータ電流レギュレーションの精度を

向上できます。

ヒント

高電流ドライバを低電流モータに適応させるために低いリファレンス電圧(例えば、1V未満)を使用すると、アナログ性能

が低下します。目的のモータ電流に合わせてセンス抵抗を適応させた方が、良い結果が得られます。

DACリファレンス

AIN

_IR

EF

IREF

8ビットDACデジタル

電流制御

2.5V

高精度

リファレンス

電流スケーリング用の

0~2.4V

DACリファレンス

AIN

_IR

EF

IREF

20kHzを

超えるμCの

PWM出力

電流スケーリング用の

0~2.4V

22k

高精度電流スケーラ PWMに基づくシンプルな電流スケーラ

DACリファレンス

AIN

_IR

EF

IREF

固定電流スケーリング用の

1~2.4V

R1

電流のスケールを設定する固定抵抗分割器

(精度を向上するために外部リファレンスを使用)

R2

5VOUTまたは

高精度

リファレンス電圧

R1+R2»10K

R3

100k

オプションの

デジタル制御BC847

図 8.1 アナログ入力を使用したモータ電流のスケーリング

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9 内部センス抵抗 TMC2100は外付けセンス抵抗を除去するオプションを備えています。このモードでは、外付けセンス抵抗が省略され(短

絡)、パワーMOSFETの内部オン抵抗が電流測定に使用されます(図 4.2参照)。MOSFETは温度に依存し、製造ばら

つきの影響を受けますので、+ 5VOUTから AIN / IREFに接続された小さな外部抵抗が正確な絶対電流リファレンスを提

供します。この抵抗は 5Vの電圧を基準電流に変換します。このモードでは、ICパッケージの近くで BRAピンと BRBピン

を GNDに直接接続してください。 このモードは、CFG3 を VCCIOに接続することで有効になります。

内部センス抵抗とセンス抵抗との比較

項目 内部センス抵抗 外部センス抵抗

使いやすさ 最初に OTPパラメータを設定する必要

があります。

(*)デフォルト

価格 (*) センス抵抗のコストを削減。

電流精度 やや低下。 (*) 良好

電流の推奨範囲 200mA RMS〜1.2A RMS 50mA〜1.4A RMS

推奨チョッパー stealthChop、spreadCycleは > 1Aで

のパフォーマンスがわずかに低下してい

ます。

stealthChopまたはspreadCycle

RDSonベースの測定値はドライバのコストとサイズに関するメリットをもたらしますが、外付けセンス抵抗に比べてコイル

電流の精度がわずかに低くなります。内部センス抵抗は、ドライバ ICによって自動的に補償される特定の温度依存性を

持っています。しかし、高電流モータの場合、ICの内部センス抵抗と補償回路の間の温度勾配は、ドライバ ICの発熱時

に約10%の初期電流オーバーシュートを招きます。この現象はおよそ 1秒間現れますが、モータの初期加速時にトルクを

増加させることで有益かもしれません。

動作原理

VREFピンへの基準電流は、モータ電流の基準として使用されます。一定の電流を実現するために、5VOUT と AINの間

に 1個の抵抗(RREF)を接続することができます(抵抗の選択については表を参照してください)。AIN入力抵抗は約 1kΩ

です。 結果として生じる AINへの電流は、3000倍に増幅されます。したがって、0.5mAの電流は、1.5Aのピークのモー

タ電流を生じます。リファレンス抵抗の計算には、AINの内部抵抗をさらに考慮する必要があります。0.5mA を超えるリ

ファレンス電流を使用すると、最大 2Aの理論電流設定が得られますが、チップ温度が特定の最高温度を超えると、結果

として流れる電流が直線的に減少します。2Aの設定では、100までの 2Aから 150までに約 1.5Aまで低下します。

センス抵抗なし動作のための RREFの選択

RREF [Ω] ピーク電流 [A] RMS電流 [A]

6k8 1.92 1.35

7k5 1.76 1.24

8k2 1.63 1.15

9k1 1.49 1.05

10k 1.36 0.96

12k 1.15 0.81

15k 0.94 0.66

18k 0.79 0.55

22k 0.65 0.45

27k 0.60 0.42

33k 0.54 0.38

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RDSon測定モードでは、BRAピンと BRBピンを可能な限り最短の経路(すなわち、可能な限り低い PCB抵抗)を使用し

て GNDに接続します。RDSonベースの測定は、stealthChop と組み合わせると最良の結果が得られます。RDSonベー

スの電流測定で spreadCycleを使用する場合、正の電流(オン相)と負電流(高速減衰相)のわずかな非対称電流測定に

よりチョッパノイズが発生する可能性があります。これは、特に、高いチップ温度および増加したモータ電流で生じます。

注意

RDSonベースの電流検出で達成される絶対電流レベルは、BRピンのトレース抵抗が実効センス抵抗に加わるため、外

付けセンス抵抗とまったく同じように PCBレイアウトに依存する場合があります。したがって、アプリケーション内の現在の

設定を測定して較正することをお勧めします。

基本ルール

RDSonベースの電流検出は、最大 1A RMS電流のモータに最適です。RDSonベースの電流検出と組み合わせて

stealthChopオペレーションで最良の結果が得られます。最も正確な電流制御と、spreadCycleによる最良の結果を得る

には、RDSonベースの電流制御ではなく、外部 1%のセンス抵抗を使用することを推奨します。

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10 ドライバ診断と保護 TMC2100 ドライバは、グランド短絡保護や過熱検出などの一連の診断機能と保護機能を提供します。

10.1 温度管理 TMC2100 ドライバは、過熱に対する保護用として温度センサーを内蔵しています。温度が 150°Cに達すると、TMC2100

は自動的にオフになって対応します。その後、デバイスの温度が下がって 120°Cになると、TMC2100は自動的に回復し

て動作を開始します。

熱は主にモータ・ドライバおよび内蔵電圧レギュレータから発生します。中央温度検出器は、対流の冷却不足や環境温度

の上昇などが原因でデータベースに蓄積された熱を検出できます。多くのアプリケーションでは、過熱事前警告は、異常

な動作状況を示し、ユーザに警戒措置やモータ電流の削減などの電力削減対策を実行させるために使用できます。高温

環境での連続動作が必要な場合は、より正確なプロセッサベースの温度測定を使用してアプリケーション固有の加熱検

出を実現する必要があります。サーマル・シャットダウンは単なる緊急処置であり、設計によって、温度がシャットダウン・

レベルに上昇するのを防ぐ必要があります。

注意

過熱保護は、すべての場合の ICの熱破壊を避けることはできません。過熱センサーが反応する前に、定格モータ電流が

超過した場合、過度の発熱がドライバーを急速に加熱する可能性があります。 これは、ICチップ上の熱伝導の遅延によ

るものです。

過熱センサーのトリガ後に、ドライバは、システムの温度が 120°Cを下回るまでオフのままになり、温度が連続してシャッ

トダウン・レベルに上昇するのを防ぎます。

10.2 グランド短絡保護 TMC2100の電力段は、ハイサイドMOSFETを流れる電流の測定を追加することによって、短絡状態から保護されていま

す。これは、ほとんどの短絡状態がモータ・ケーブルの絶縁不良(例えば、システムのグランドに接続された導通部分に接

触した場合)から発生するため、重要です。短絡検出は、モータをオフにするまでに 3回再試行することによって、(ESD放

電などによる)スプリアスのトリガから保護されています。

短絡状態が安全に検出されると、対応するドライバのブリッジがオフになり、診断用の ERROR出力でエラーが示されま

す。モータを再起動するには、ユーザが、ドライバをディスエーブルしてから再びイネーブルすることによって、介入する必

要があります。短絡イベントは正確には定義されておらず、複雑な外付け部品のネットワークが関係している場合がある

ため、グランド短絡保護機能によって、考えられるすべての短絡イベントからシステムと電力段を保護できるわけではない

ということに、注意する必要があります。そのため、短絡は基本的に避ける必要があります。

10.3 非常停止 ドライバは、すべてのパワーMOSFETを安全にオフにするための負アクティブ・イネーブル・ピン ENNを備えています。こ

のピンを使用して、モータをフリーホイーリング状態にすることができます。さらにこれは、ソフトウェアと連動しない非常停

止が必要な場合に、安全なハードウェア機能になります。

10.4 診断出力 ドライバは、すべてのパワーMOSFETを安全にオフするために、負のアクティブ・イネーブル・ピン ENNを備えています。

これにより、モータをフリーホイールにすることができます。さらにそれは、ソフトウェアに結合されていない非常停止が必

要な場合の、安全なハードウェア機能です。

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図 10.1 エラーとインデックス出力

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11 STEP/DIR インターフェイス STEP入力および DIR入力は、多くの既存のモーション・コントローラと互換性のあるシンプルな標準インターフェイスを提

供します。microPlyer STEPパルス補間器は、元々は粗いステッピング用に設計されたアプリケーションに、高分解能マ

イクロステッピングによるスムーズなモータ動作をもたらします。

11.1 タイミング 図11.2に、STEP信号およびDIR信号のタイミング・パラメータを示し、下の表にそれらの仕様を示します。立ち上がりエッ

ジのみがアクティブになります。STEPとDIRは、システム・クロックと同期してサンプリングされます。内部アナログ・フィル

タは、プリント基板の長いトレースなどによって発生する信号のグリッチを除去します。信号源がデバイスから遠い場合、

特に信号がケーブル上で送信される場合、信号をフィルタリングするか、差動で送信する必要があります。

DIR

STEP

tDSHtSH tSLtDSU

アクティブ・エッジ

(de

dg

e=

0)

アクティブ・エッジ

(de

dg

e=

0)

図 11.1 STEPおよび DIRのタイミング

STEPおよび DIRインターフェイスの

タイミング

AC特性

クロック周期は tCLK

パラメータ シンボル 条件 最小 標準 最大 単位

ステップ周波数

(最大マイクロステップ分解能において)

fSTEP ½ fCLK

フルステップ周波数 fFS fCLK/512

STEP入力の Low時間 *) tSL max(tFILTSD, tCLK+20)

ns

STEP入力の High時間 *) tSH max(tFILTSD, tCLK+20)

ns

STEPまでの DIRのセットアップ時間 tDSU 20 ns

STEP後の DIRのホールド時間 tDSH 20 ns

STEPおよび DIRスパイク・

フィルタリング時間 *)

tFILTSD 立ち上がりおよび

立ち下がりエッジ

36 60 85 ns

CLK入力の立ち上がりに対するSTEP

および DIRサンプリング

tSDCLKHI CLK入力の立ち上がり

エッジの前

tFILTSD ns

*) これらの値は、フル入力ロジック・レベル・スイングでのみ有効です。非対称論理レベルは、内部入力 RC フィルタによ

るフィルタリング遅延 tFILTSD,を増加させます。

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11.2 分解能の変更 マイクロステップ分解能を下げて動作させることが必要な場合があります。内部マイクロステップ・テーブルは、1024個の

正弦波エントリを使用して波形を生成します。テーブル内で使用されるステップ幅は、マイクロステップ分解能設定によっ

て変わります。DIR入力に応じて、各 STEPパルスによってマイクロステップ・カウンタがステップ幅の分だけ増やされる

(DIR=0)か、減らされ(DIR=1)ます。原則的に、マイクロステップ分解能はいつでも変更できます。マイクロステップ分解能

によって、インクリメントおよびデクリメントが決まります。例えば、最大分解能では、シーケンサはステップ・パルスごとに 1

ステップ進みます。1/2分解能では 2ステップ進みます。シーケンサは、さまざまなマイクロステップ・レート間のシームレス

な切り替えを可能にするために、特殊な機能を備えています。マイクロステップ分解能が低い分解能に切り替わると、シー

ケンサは目標分解能以内でもっと近いステップを計算し、その位置での電流ベクトルを読み取ります。この動作は、フルス

テップやハーフステップなどの低い分解能の場合、ステップ・シーケンサで障害が発生すると、時計回りと反時計回りで

モータの動作を比較した場合に非対称な動作になってしまうため、特に重要になります。

フルステップ: テーブル位置のサイクル:128,384,640及び 896(45°,135°,225°及び 315°の電気的位置。つまり、

両方のコイルに同一の電流が流れる)です。夫々の位置のコイル電流は RMS値(0.71*振幅)

に相当します。ステップ・サイズは 256(電気的に 90°)です。

ハーフステップ: 最初のテーブル位置は 64(電気的に 22.5°)です。ステップ・サイズは 128(45°のステップ)です。

クオーターステップ: 最初のテーブル位置は 32 (つまり、電気的に 90°/8=11.25°)です。ステップ・サイズは

64(22.5°のステップ)です。

この方法で等距離のステップが得られ、それらは両方の回転方向で同一になります。一部の古いドライバは、ステップ・

テーブル内で最大電流(90°)に加えてゼロ電流(テーブル・エントリ 0、0°)も使用します。この種のステッピングは、トルクが

低下し、ドライバとモータ内の電力損失が悪化するため、避けます。

ステップ位置 テーブル位置 コイル Aの電流 コイル Bの電流

ハーフステップ 0 64 38.3% 92.4%

フルステップ 0 128 70.7% 70.7%

ハーフステップ 1 192 92.4% 38.3%

ハーフステップ 2 320 92.4% -38.3%

フルステップ 1 384 70.7% -70.7%

ハーフステップ 3 448 38.3% -92.4%

ハーフステップ 4 576 -38.3% -92.4%

フルステップ 2 640 -70.7% -70.7%

ハーフステップ 5 704 -92.4% -38.3%

ハーフステップ 6 832 -92.4% 38.3%

フルステップ 3 896 -70.7% 70.7%

ハーフステップ7 960 -38.3% 92.4%

CFG1および CFG2による STEP入力のマイクロステップ分解能の設定

CFG2 CFG1 マイクロステップ 補間 チョッパ・モード

グランド グランド 1 (フルステップ) なし spreadCycle

グランド VCC_IO 2 (ハーフステップ) なし

グランド オープン 2 (ハーフステップ) あり、256 µstepsまで

VCC_IO グランド 4 (クオーターステップ) なし

VCC_IO VCC_IO 16 µsteps なし

VCC_IO オープン 4 (クオーターステップ) あり、256 µstepsまで

オープン グランド 16 µsteps あり、256 µstepsまで

オープン VCC_IO 4 (クオーターステップ) あり、256 µstepsまで stealthChop

オープン オープン 16 µsteps あり、256 µstepsまで

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11.3 microPlyerステップ補間器および停止検出 microPlyerは、STEPでのアクティブ・エッジごとに、図 11.2に示すように 256x分解能でマイクロステップを生成します。

最後のステップ間隔に基づいて、ステップ入力での 2つのステップ・インパルスの間に時間が内挿されます。この方法で、

1つのステップ・パルスに対して 2マイクロステップ(128マイクロステップから 256マイクロステップへの補間)から最大 256

マイクロステップ(フルステップ入力から 256マイクロステップへの補間)まで駆動されます。

内挿される2~256マイクロステップのステップ・レートは、前のステップ期間の時間間隔を測定し、それを最大 256個に等

分割することによって決定されます。2つのマイクロステップ間の最大時間は、256マイクロステップに均等に分配された

場合、 220に対応します(おおよそ 100万システム・クロック・サイクル)。16 MHzのシステム・クロック周波数では、

microPlyer動作用の 16Hzの最小ステップ入力周波数が得られます。ステップ・レートが低いと、停止イベントが検出され

ます。この周波数では、マイクロステップは(システム・クロック周波数)/216~256 Hzのレートで発生します。停止が検出さ

れると、ドライバは自動的に停止電流削減を開始します(CFG6_ENNによって選択されている場合)。

注意

microPlyerは、安定した STEP周波数を使用した場合にのみ完全に動作します。

STEP

内挿された

マイクロステップ

アクティブ・エッジ

(de

dg

e=

0)

アクティブ・エッジ

(de

dg

e=

0)

アクティブ・エッジ

(de

dg

e=

0)

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 32

アクティブ・エッジ

(de

dg

e=

0)

停止(stst) が

アクティブ

33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50

モータ

角度

52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 6651

2^20 tCLK

図 11.2 STEP周波数が(例: 16から 256へ)上昇する場合のmicroPlyerによるマイクロスップの内挿

図 11.2では、最初の STEPサイクルが十分長いため、停止ビット ststが設定されます。このビットは、次の STEPのアク

ティブ・エッジでクリアされます。次に、外部 STEP周波数が増加します。周波数が増加して 1サイクル後に、microPlyer

は、内挿されたマイクロステップ・レートをその高い周波数に適応させます。周波数が低い最後のサイクル中に、

microPlyerは 16マイクロステップの一部を生成していません。そのため、周波数が高い 1番目と 2番目のサイクル間の

モータ角度で小さいジャンプが発生します。

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11.4 INDEX出力 アクティブ INDEX出力は、モータ・コイル Aの正弦波が正のゼロ交差にあることを示します。これは、マイクロステップ・

シーケンスのゼロ・ポイントに関連しています。通常、これと同時にコイル Bの余弦波は最大ポイントにあります。このため、

インデックス信号は、各電気的周期内に入るとアクティブになり、4つのフルステップのシーケンス内のモータの定義位置

に対応します。この方法により、INDEX出力では特定のマイクロステップ・パターンを検出できるため、停止スイッチを使

用する場合より正確に位置を検出しやすくなります。

コイルA

コイルB

電流

時間

時間

時間

電流

INDEX

STEPS

0

図 11.3 コイル Aの正弦波の正のゼロ交差にあるインデックス信号

注意

インデックスパルスの持続時間は、マイクロステップの持続時間に対応します。256マイクロステップ未満の補間なしで動

作させる場合、インデックス時間は 2つの CLK クロックサイクルに低下します。

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12 外部リセット デバイスは、パワーオン時に、内部パワーオン・リセットを介し、デフォルト値を使用してロードされます。デバイスをパワー

オン時のデフォルト値にリセットするには、内部リセット回路によって監視された任意の電源電圧(VSA、+5VOUT、または

VCC_IO)をオフにしてからオンにする必要があります。VCCは監視されません。そのため、デバイスの動作中に VCCを

オフにしてはなりません。+5VOUTは、内部電圧レギュレータの出力であるため、VSAを使用する以外に、外部ソースを

介してオフにしてからオンにすることはできません。デバイスを完全にリセットするには、VCC_IOをオフにしてからオンに

するのが最も簡単で安全です。また、VCC_IOから消費される電流は低いため、VCC_IOの駆動要件は単純です。入力

保護ダイオードにより、デジタル入力が VCC_IO レベルを超えて上昇することが許されないため、このリセット動作時には、

すべての入力を Lowで駆動する必要があります。これが不可能な場合は、入力保護抵抗を使用して、関連する入力に流

れる電流を制限することができます。

外部ソースから VCCが供給される場合、リセットの終了後に、VCCが動作下限値を超えて安定していることを確認してく

ださい。通常、この条件は、VCCピンに供給する+5V電源から 3.3V VCC_IOを生成する場合に満たされます。これは、

VCCピンの電圧が、遅れて立ち上がるためです。

13 クロック発振器とクロック入力 クロックは、チョッパ、ステップ実行、電流制御などのすべての機能の時間基準になります。多くのパラメータがクロック周

波数を使用して調整されるため、正確な時間基準によって決定性の高い結果が得られます。外部クロックを簡単に使用で

きない場合は、内蔵クロック発振器がタイミングを提供します。

内部クロックの使用

内部クロック発振器を使用する場合は、CLK入力をデバイスの近くでグランドに直接接続します。

モータの正確なチョッパ動作が必要な場合は、外部クロック源を使用することになります。

外部クロックの使用

外部クロックを使用できる場合は、最適な性能を実現するために、10MHz~16MHzの範囲の周波数を推奨します。ピン

の最小HighまたはLow入力時間が満たされている限り、クロック信号のデューティ・サイクルは重要ではありません(電気

的特性を参照)。クロックのデューティ・サイクルが 50%である場合、最大 18MHzを使用できます。高いクロック周波数を

使用する場合は、クロック源が急勾配でエラーのない CMOS出力ロジック・レベルを供給することを確認してください。外

部クロック入力は、CLK入力に最初に現れる正極性によってイネーブルされます。

注意

外部クロック周波数をオフにすると、ドライバの通常動作が妨げられます。そのため、(イネーブル入力などを使用して)

モータ・ドライバをオフにしてからクロックをオフにするように注意してください。そうしないと、チョッパが停止し、モータ電流

レベルが制御されずに上昇する恐れがあります。グランド短絡検出機能は、イネーブルされている場合、クロックがなくて

もアクティブなままになります。

13.1 周波数に関する考慮事項 周波数を高くすると、システムの電磁放射が増え、TMC2100のデジタル・コアと電圧レギュレータの電力損失が増加する

可能性があります。一般に、ほとんどのアプリケーションでは、10MHz~16MHzの範囲の周波数で十分です。モータの動

作性能に関連する要件が低い場合は、8MHzまでの低いクロック周波数(または、さらに低い周波数)を検討できます。

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14 絶対最大定格 いかなる環境においても、最大定格を超えることはできません。回路がある最大定格以上で長時間動作することは、アプ

リケーション設計によって避けるものとします。

パラメータ シンボル 最小 最大 単位

誘導負荷で動作する電源電圧(VVS ≥ VVSA) VVS, VVSA -0.5 49 V

電源およびブリッジ最大電圧 *) VVMAX 50 V

VS とは異なる場合の VSA VVSA -0.5 VVS+0.5 V

I/O電源電圧 VVIO -0.5 5.5 V

デジタル VCC電源電圧(内部レギュレータから供給されない場合) VVCC -0.5 5.5 V

ロジック入力電圧 VI -0.5 VVIO+0.5 V

デジタル・ピンおよび

アナログ低電圧 I/Oの最大電流

IIO +/-10 mA

5Vレギュレータ出力電流(内部および外部の負荷) I5VOUT 50 mA

5Vレギュレータの連続電力損失(VVM-5V) * I5VOUT P5VOUT 1 W

パワー・ブリッジ反復出力電流 IOx 3.0 A

接合部温度 TJ -50 150 °C

保存温度 TSTG -55 150 °C

インターフェイス・ピンの ESD保護(人体モデル、HBM) VESDAP 4 kV

取り扱い時の ESD保護(人体モデル、HBM) VESD 1 kV

*) 誘導性負荷の駆動時に、グランドと VSの接続の浮遊インダクタンスが電源電圧のリンギングを引き起こします。この

リンギングは、ドライバ出力の高速スイッチング・スロープが、出力ドライバ MOSFETのボディ・ダイオードの逆方向回

復と組み合わさって発生します。小さいトレースのインダクタンスとセンス抵抗の浮遊インダクタンスも、数ボルトのリン

ギングを容易に生成し、一時的な電圧オーバーシュートを引き起こすことがあります。最大電圧の近くで動作する場合、

このことを考慮してください。

15 電気特性

15.1 動作範囲 パラメータ シンボル 最小 最大 単位

接合部温度 TJ -40 125 °C

電源電圧(内部+5Vレギュレータを使用) VVS, VVSA 5.5 46 V

電源電圧(ブリッジされた内部+5V レギュレータ:VVCC=VVSA=VVS) VVS 4.7 5.4 V

I/O電源電圧 VVIO 3.00 5.25 V

オプションの外部ソースを使用した場合の VCC電圧(デジタル・ロ

ジックおよびチャージ・ポンプに供給)

VVCC 4.6 5.25 V

コイルごとの RMSモータ・コイル電流(設計ガイドラインの値)

QFN36 5x6パッケージの場合。 TQFP-48パッケージの場合。

IRMS-QFN36 IRMS-TQFP48

1.2 1.4

A

外部または内部電流検出を使用したモータ・コイル出力ごとのピーク

出力電流(正弦波ピーク)

IOx 1.7 A

短時間の動作時のモータ・コイル出力ごとのピーク出力電流(正弦波

ピーク)。TJ ≤ 105°Cに制限します(例えば、50%を下回るデューティ・

サイクルでの 100msの短時間の加速フェーズの場合)。

IOx 2.5 A

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15.2 DC特性およびタイミング特性 DC特性には、特に記載のないかぎり、規定された電源電圧範囲内で保証される値の範囲が含まれます。標準値は、

+25°Cで測定されたすべてのデバイスの平均値を表します。また、温度変化によって一部の値は変動します。標準値を持

つデバイスが全温度範囲内で最小/最大の範囲を維持するわけではありません。

電源電流 DC特性

VVS = VVSA = 24.0V

パラメータ シンボル 条件 最小 標準 最大 単位

ドライバがディスエーブルされたときの

電源電流 IVS + IVSA + IVCC

IS fCLK=16MHz 15 22 mA

動作時の電源電流 IVS + IVSA + IVCC IS fCLK=16MHz, 23.4kHz

チョッパ、無負荷

19 mA

VSからのアイドル電源電流、チャー

ジ・ポンプ動作

IVS0 fCLK=0Hz、

ドライバはディスエーブ

ルされる

0.25 0.5 mA

VSAからの定常電源電流 IVSA0 fCLK=0Hz 1.4 2 3 mA

ドライバがディスエーブルされたときの

電源電流(クロック周波数に依存)

IVSA fCLKが可変、IVSA0に追

加される

0.8

mA/ MHz

VCCピンに供給される 5V電源の内部

電流消費量

IVCC fCLK=16MHz, 23.4kHz

チョッパ

16 mA

IO電源電流(5Vでの標準値) IVIO 出力は無負荷、VIOまた

はグランドで入力、

プルアップ/プルダウン

抵抗を除く

15 30 µA

モータ・ドライバ・セクション DC特性およびタイミング特性

VVS = 24.0V

パラメータ シンボル 条件 最小 標準 最大 単位

ローサイド MOSFETのオン抵抗 RONL 100mA、25°C、定常状

態で測定

0.4 0.5 Ω

ハイサイド MOSFETのオン抵抗 RONH 100mA、25°C、定常状

態で測定

0.5 0.6 Ω

MOSFETがオンになるスロープ tSLPON 700mAの負荷電流で

測定(抵抗性負荷)

50 120 220 ns

MOSFETがオフになるスロープ tSLPOFF 700mAの負荷電流で測

(抵抗性負荷)

50 120 220 ns

ドライバがオフのときの電流ソース IOIDLE OXXがグランドに引き下

げられる

120 180 250 µA

チャージ・ポンプ DC特性

パラメータ シンボル 条件 最小 標準 最大 単位

チャージ・ポンプ出力電圧 VVCP-VVS 動作時、標準でfchop<40kHz

4.0 VVCC -0.3

VVCC V

低電圧検出用のチャージ・ポンプ電圧

しきい値

VVCP-VVS 内部 5Vレギュレータ電

圧を使用

3.3 3.6 3.8 V

チャージ・ポンプ周波数 fCP 1/16 fCLKOSC

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リニア・レギュレータ DC特性

VVS = VVSA = 24.0V

パラメータ シンボル 条件 最小 標準 最大 単位

出力電圧 V5VOUT I5VOUT = 0mA

TJ = 25°C

4.80 5.0 5.25 V

出力抵抗 R5VOUT 静的負荷 3

全温度範囲での出力電圧の変動 V5VOUT(DE

V) I5VOUT = 16mA

TJ =全範囲

+/-30 +/-100 mV

全電源電圧範囲での出力電圧の変動 V5VOUT(DE

V) I5VOUT = 0mA

VVSA = 可変

+/-15 +/-30 mV / 10V

全電源電圧範囲での出力電圧の変動 V5VOUT(DE

V) I5VOUT = 16mA

VVSA = 可変

-38 +/-75 mV / 10V

クロック発振器および入力 タイミング特性

パラメータ シンボル 条件 最小 標準 最大 単位

クロック発振器周波数 fCLKOSC tJ=-50°C 9 12.4 MHz

クロック発振器周波数 fCLKOSC tJ=50°C 10.1 13.2 17.2 MHz

クロック発振器周波数 fCLKOSC tJ=150°C 13.4 18 MHz

外部クロック周波数(動作時) fCLK 4 10-16 18 MHz

外部クロックの High/Lowレベル時間 tCLK クロックが 0.1 VVIO / 0.9

VVIOに駆動される

10 ns

外部クロックソースへの外部クロックの

最初のサイクルのトリガスイッチング

tCLK1 クロックがHighに駆動さ

れる

30 25 ns

検出器レベル DC特性

パラメータ シンボル 条件 最小 標準 最大 単位

リセット用の VVSA低電圧しきい値 VUV_VSA VVSA の立ち上がり 3.8 4.2 4.6 V

リセット用の V5VOUT低電圧しきい値 VUV_5VOUT V5VOUT の立ち上がり 3.5 V

リセット用の VVCC_IO低電圧しきい値 VUV_VIO VVCC_IO の立ち上がり

(標準 10 µsの遅延)

2.1 2.55 3.0 V

VVCC_IOの低電圧検出器のヒステリシス VUV_VIOHY

ST 0.3 V

グランド・ショート検出器のしきい値

(VVS - VOx)

VOS2G 2 2.5 3 V

グランド・ショート検出器の遅延

(検出されたショートへのハイサイド・

スイッチ・オン)

tS2G ハイサイド出力が

VSP-3Vにクランプされる

0.8 1.3 2 µs

過熱からの回復 tOTPW 温度の低下 100 120 140 °C

過熱シャットダウン tOT 温度の上昇 135 150 170 °C

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センス抵抗電圧レベル DC特性

fCLK=16MHz

パラメータ シンボル 条件 最小 標準 最大 単位

センス入力ピークしきい値電圧 VSRTL 正弦波のピーク、

低いヒステリシス

325 mV

センス入力の許容誤差/モータ電流の

フルスケール許容誤差

-内部リファレンスを使用

ICOIL -5 +5 %

センス入力の許容誤差/モータ電流の

フルスケール許容誤差

-外部リファレンス電圧を使用

ICOIL AINを介したアナログ・

スケーリング

-2 +2 %

BRxyピンから内部センス

・コンパレータへの内部抵抗

(センス抵抗への追加)

RBRxy 20 mΩ

デジタル・ロジック・レベル DC特性

パラメータ シンボル 条件 最小 標準 最大 単位

入力電圧 Lowレベル VINLO -0.3 0.3 VVIO V

入力電圧 High レベル VINHI 0.7 VVIO VVIO+0.3 V

入力シュミット・トリガ・ヒステリシス VINHYST 0.12 VVIO

V

出力電圧 Lowレベル VOUTLO IOUTLO = 2mA 0.2 V

出力電圧 High レベル VOUTHI IOUTHI = -2mA VVIO-0.2 V

入力リーク電流 IILEAK -10 10 µA

CFGxでのトライステート検出に使用す

るプルアップ/プルダウン抵抗

RPU/RPD 132 166 200 kΩ

トライステート検出の切り替え頻度 fTOGGLE 1/1024 fCLK

オープン CFGピンを検出する時間 tcfg 3072 tCLK

デジタルピンの容量 C 3.5 pF

AIN/IREF入力 DC特性

パラメータ シンボル 条件 最小 標準 最大 単位

2.5V (=5VOUT/2)への AIN_IREF入

力抵抗

RAIN グランドまで測定 260 330 400 kΩ

線形電流スケーリング用の AIN_IREF

入力電圧範囲

VAIN グランドまで測定 0 0.5-2.4 V5VOUT/2

V

AIN_IREFオープン入力電圧

レベル

VAINO オープン回路電圧

V5VOUT/2

V

リファレンス電流入力のグランドへの

AIN_IREF入力抵抗

RIREF グランドまで測定 0.8 1 1.2 kΩ

最大設定でのリファレンス電流の

コイル電流への AIN_IREF電流増幅

IREFAMPL IIREF = 0.25mA 3000 Times

モータ電流のフルスケール許容誤差

-オン抵抗測定を使用

ICOIL IIREF = 0.25mA -10 +10 %

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15.3 熱特性 以下の表で、パッケージの熱抵抗の概要を示します。4層基板の熱抵抗は、標準的なアプリケーションに適しています。実

際の熱特性は、プリント基板レイアウト、プリント基板の種類とサイズによって変わります。熱抵抗を下げるには、熱がプリ

ント基板内で均一に分散するように、銅(内部)層を厚くすると効果があります。また、空気の流れによっても熱抵抗が減少

します。

標準的な基板の 24K/Wの熱抵抗は、25°Cの周囲温度で、ダイ温度を 125°C未満に抑えながら、パッケージが連続的に

4.1W を消費できることを意味します。

パラメータ シンボル 条件 標準 単位

標準的な電力損失 PD stealthChopまたは spreadCycle、二相モー

タでの 0.92A RMS電流、正弦波、20kHz

チョッパ、24V、内部電源、84°Cのパッケー

ジ表面のピーク温度(QSH4218-035-10-027

モータ)

2.6 W

多層基板での周囲空気との接合部の

熱抵抗

RTMJA デュアル信号および JEDEC EIA JESD51-5

と JESD51-7での定義(FR4、35µmの銅層、

84mm x 55mm、d=1.5mm)に従う 2枚の内

部電源プレーン基板(2s2p)

24 K/W

TQFP-EP48パッケージ用多層基板上

の接合部間熱抵抗

RTMJA デュアル信号および JEDEC EIA JESD51-5

と JESD51-7での定義(FR4、35µmの銅層、

70mm x 133mm、d=1.5mm)に従う 2枚の内

部電源プレーン基板(2s2p)

21 K/W

基板との接合部の熱抵抗 RTJB パッケージから1mm以内で測定されたプリン

ト基板温度

8 K/W

ケースとの接合部の熱抵抗 RTJC パッケージのヒート・スラグとの接合部の温度 3 K/W

表 12.1 熱特性 QFN5x6 と QFP-EP48

実際のレイアウトの熱抵抗は、デバイスのスタンバイ消費電力によって生じる温度上昇を確認することによってテストでき

ます。モータを接続しない場合、電源からの電力は、すべてデバイス内で消費されます。

ノート

TMC2100の消費電力を計算するためのスプレッドシートは www.trinamic.comで入手できます。

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16 レイアウトに関する考慮事項

16.1 露出ダイ・パッド TMC2100では、ドライバとリニア・レギュレータから基板への放熱に、ダイ接続パッドが使用されます。最高の電気的性能

と熱的性能を実現するには、妥当な数の熱伝導性ビアを、ダイ接続パッドとグランド・プレーンの間で連続して使用します。

プリント基板では、切れ目のないグランド・プレーンを使用して熱を基板に分散し、安定したグランド・リファレンスを提供す

る必要があります。

16.2 グランドの配線 TMC2100のすべての信号は、それらの各グランドを基準にしています。すべてのグランド・ピン(GND、GNDP、GNDA、

およびダイ接続パッド)は、デバイスの下面で共通グランド領域に直接接続します。ダイ接続パッドの直下のグランド・プ

レーンは、仮想的なスターポイントとして扱う必要があります。熱的な理由により、プリント基板の最上位層をプリント基板

の大きいグランド・プレーンに接続して、プリント基板内で熱を分散しなければなりません。

注意

マイクロステップ電流ステップは、最小 0.5mVの電圧を補正します。そのため、特にセンス抵抗はグランドの違いおよびグ

ランドのリップル電圧の影響を受けやすくなります。センス抵抗以外の電流を、それらの抵抗とグランドおよび TMC2100

との接続に流さないでください。それらのセンス抵抗は、センス抵抗ごとに 1つ以上のビアを使用して、デバイスの近くでグ

ランド・プレーンに適切に接続します。プリント基板のトレースにも一定の抵抗があるため、1つのコイルの 2つのセンス抵

抗で、共通グランド接続のトレースやビアを共有しないでください。

16.3 電源のフィルタリング 5VOUT出力電圧のセラミック・フィルタ・コンデンサ(4.7μFを推奨)は、そのグランド・リターンをGNDAピンに直接接続し、

できるだけ5VOUTピンに近づけて配置する必要があります。このグランド接続は、他の負荷や、グランド・プレーンへの追

加ビアと共有してはなりません。できるだけ短く厚い接続を使用します。最高のマイクロステッピング性能と最小のチョッ

パ・ノイズを実現するには、VCCピンとグランドの間にフィルタ・コンデンサを追加して、モータ電流のレギュレーションに影

響を与えるチャージ・ポンプとデジタル部のリップルを防ぎます。そのため、セラミック・フィルタ・コンデンサ(470nF を推奨)

を、そのグランド・リターンとグランド・プレーンを接続して、できるだけVCCピンに近づけて(1~2mmの距離で)配置します。

VCCピンからリップルを分離しながら、5VOUTからデジタル・ロジックに電力を供給するために、2.2Ωまたは 3.3Ωの抵

抗を使用して、VCCを 5VOUT と結合することができます。

100nFのフィルタ・コンデンサを、VSAピンとグランド・プレーンの間に、できるだけ VSAピンに近づけて配置します。モー

タの電源ピンVSは、電解コンデンサ(47μF以上を推奨)とセラミック・コンデンサをできるだけデバイスに近づけて配置して、

デカップリングします。

スイッチング・モータのコイル出力が高い dV/dt を持っていることを考慮します。モータのトレースが他のトレースに長い距

離にわたって近づいていると、高抵抗の信号に浮遊容量が発生する可能性があります。

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16.4 レイアウト例: TMC2100-BOB 小さい TMC2100-BOBは、TMC2100内蔵型スタンドアロン・ステッピング・ドライバのブレークアウト・ボードです。

TMC2100-BOBを使用すると、すべてのコンフィギュレーション・ハードウェア・ピンにアクセスできます。

回路図

1- 最上位層(アセンブリ側)

2- 内部層 1

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3- 内部層 2

4- 最下層

部品

図 0.1 TMC2100-BOBのレイアウト例

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17 パッケージの物理的データ

17.1 QFN36 5x6の寸法図 注意:図の縮尺は正確ではありません。

図 0.1 QFN 5x6の寸法図

ピン 1角

上面図

座面

露出ダイ

接続パッド

下面図

図 M-M

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パラメータ 参照 最小 標準 最大

合計厚さ A 0.8 0.85 0.9

絶縁体 A1 0 0.035 0.05

モールドの厚さ A2 - 0.65 -

リード・フレームの厚さ A3 0.203

リード幅 b 0.2 0.25 0.3

本体の Xサイズ D 4.9 5 5.1

本体の Yサイズ E 5.9 6 6.1

リード・ピッチ e 0.5

露出ダイ・パッドの Xサイズ J 3.5 3.6 3.7

露出ダイ・パッドの Yサイズ K 4.0 4.1 4.2

リードの長さ L 0.35 0.4 0.45

モールドの平坦性 bbb 0.1

共平面性 ccc 0.08

リード・オフセット ddd 0.1

露出パッド・オフセット eee 0.1

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17.2 TQFP-EP48の寸法図

注意:図の縮尺は正確ではありません。

図 17.2 寸法図 TQFP-EP48

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パラメータ 参照 最小 標準 最大

合計厚さ A - - 1.2

絶縁体 A1 0.05 - 0.15

モールドの厚さ A2 0.95 1 1.05

リード幅(メッキ) b 0.17 0.22 0.27

リード幅 b1 0.17 0.2 0.23

リード・フレームの厚さ(メッキ) c 0.09 - 0.2

リード・フレームの厚さ c1 0.09 - 0.16

本体の Xサイズ(リード端) D 9.0

本体の Yサイズ(リード端) E 9.0

本体の Xサイズ D1 7.0

本体の Yサイズ E1 7.0

リード・ピッチ e 0.5

リード L 0.45 0.6 0.75

フットプリント L1 1 REF

0° 3.5° 7°

1 0° - -

2 11° 12° 13°

3 11° 12° 13°

R1 0.08 - -

R2 0.08 - 0.2

S 0.2 - -

露出ダイ・パッドの Xサイズ M 4.9 5 5.1

露出ダイ・パッドの Yサイズ N 4.9 5 5.1

パッケージエッジ許容差 aaa 0.2

リードエッジ許容差 bbb 0.2

同一平面性 ccc 0.08

リード・オフセット ddd 0.08

モールド平坦度 eee 0.05

17.3 パッケージ・コード

タイプ パッケージ 温度範囲 コードとマーキング

TMC2100-LA QFN36 (RoHS) -40°C …+125°C TMC2100-LA

TMC2100-TA TQFP-EP48 (RoHS) -40°C …+125°C TMC2100-TA

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18 免責事項 TRINAMIC Motion Control GmbH & Co. KGは、TRINAMIC Motion Control GmbH & Co. KGの個別の書面による同

意なしに、自社の製品を生命維持システムに使用することを承認も保証もしません。生命維持システムとは、生命を支援

または維持することを目的とした装置であり、提供された手順に従って適切に使用した場合に正常に動作しないと、怪我

や人命の損失をもたらすことが合理的に予想できる装置のことです。

このデータシートに記載された情報は正確かつ信頼できるものと考えておりますが、その使用の結果に関する責務は負

わず、その使用によって発生する可能性のある第三者の特許などの権利の侵害に関する責務は負いません。

仕様は、予告なく変更される場合があります。

使用されているすべての商標は、それぞれの所有者に帰属します。

19 ESDの影響を受けやすいデバイス

TMC2100は、静電放電に対して敏感な、ESDの影響を受けやすい CMOSデバイスです。扱う際には、人員と機器を十

分に接地するように特別な注意を払ってください。本デバイスを基板に半田付けすると、ESD要件はさらに緩和されます。

これらを怠った場合、信頼性が損なわれたり、低下したりする可能性があります。

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20 図表目次 図 1.1 TMC2100のスタンドアロン・ドライバ・アプリケーション図 .................................................................................. 4 図 1.2 停止電流削減 ................................................................................................................................................ 5 図 2.1 TMC2100-LAパッケージおよび QFN36のピン配置(5X6MM) ........................................................................... 6 図 3.1 スタンドアロン動作のサンプル回路 ................................................................................................................. 8 図 3.2 STEALTHCHOP用の TMC2100のコンフィギュレーション例 .............................................................................. 10 図 4.1 削減されたフィルタ部品数 ............................................................................................................................. 11 図 4.2 オン抵抗に基づく検出による高電流センス抵抗の削除 ................................................................................... 12 図 4.3 ドライバのデジタル回路への外部 5V電源の使用 .......................................................................................... 12 図 4.4 外部 5V電源を使用した内部レギュレータのバイパス .................................................................................... 13 図 4.5 5Vに限定された動作 .................................................................................................................................... 13 図 4.6 上昇したダイ温度での最大正弦波ピーク電流のディレーティング .................................................................... 14 図 4.7 シンプルな ESD対策の拡張と、さらに複雑なモータ出力保護 ........................................................................ 15 図 5.1 STEALTHCHOPを使用した場合のモータ・コイルの正弦波電流(電流プローブを使用して測定) ............................ 16 図 5.2 スコープの画面: 電流は加速フェーズに追従できます。 .................................................................................. 17 図 5.3 電流と速度の図 ........................................................................................................................................... 17 図 5.4 加速フェーズ中に追従できない電流レギュレーション ...................................................................................... 19 図 6.1 チョッパ・フェーズ .......................................................................................................................................... 20 図 6.2 十分なヒステリシスにより出っ張りのない電流波形

(マゼンタ:電流A、黄色および青:センス抵抗の電圧Aおよび B) ....................................................................... 21 図 6.3 SPREADCYCLEチョッパ方式が示すチョッパ・サイクル中のコイル電流 ............................................................... 22 図 7.1 アナログ入力を使用したモータ電流のスケーリング ........................................................................................ 25 図 11.1 STEPおよび DIRのタイミング .................................................................................................................... 30 図 11.2 STEP周波数が(例: 16から 256へ)上昇する場合の MICROPLYERによるマイクロスップの内挿 ..................... 32 図 11.3 コイル Aの正弦波の正のゼロ交差にあるインデックス信号 .......................................................................... 33 図 16.1 TMC2100-BOBのレイアウト例 ................................................................................................................... 42 図 17.1 QFN 5X6の寸法図 ..................................................................................................................................... 43

図 17.2 TQFP-EP48の寸法………………………………………………………………………………………………….45

21 改訂履歴

21.1 ドキュメントの改訂 バージョン 日付 作者

BD= Bernhard Dwersteg SK= Stephan Kubisch SD= Sonja Dwersteg

説明

V0.90 2014-OKT-30 SD 初版

V1.00 2014-NOV-26 BD パッケージの寸法とモータ電流表を修正しました。

V1.04 2016-APR-22 BD より多くの詳細:stealthChop低電流制限

修正:有効なステルス PWM周波数は 2 *ピン周波数、5V±5%、ESD回

路図 スナバの代わりにバリスタ

V1.05 2016-JUL-25 BD 第 11.2章のハーフステップテーブルを修正しました。

V1.06 2016-NOV-18 BD -TAパッケージが追加されました。第 7-9章の変更された順序/言い換え。

V1.07 2017-MAY-15 BD p10 "例 1 - CFG1を GND /オープンにドライブ"に修正

表 21.1 ドキュメントの改訂

22 リファレンス [TMC2100-EVAL] TMC2100-EVAL Manual [AN001] Trinamic Application Note 001 - Parameterization of spreadCycle™, www.trinamic.com Calculation sheet - TMC5130_TMC2130_TMC2100_Calculations.xlsx